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間 通巻228号、2008年11月10日
発行

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。 振 で
町工場の現場から︵一四︶
杉浦 明巳
■ 金融危機の波紋
月に入り、いつの間にか、冷え込むようになってきた。先月の始めに行った、関東出張の時
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は、薄手のコートで十分だったけれども、今回はウールのジャケットやセーターをクローゼットか
ら引きずり出して、しっかり着込んだ。
1ヶ月の間に、ずいぶん身支度も様変わりするものだ。

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関東には、日本各地に支店を持ち、産業用特殊車両の製造・販売を行い、700億円からの売上
げを出すA社がある。ウチの関東の客先のほとんどが、このA社に部品を納入する下請け会社だ。
月から 月にかけて、関東出張の際に訪問した、4社の客先の様子を追ってみようと思う。
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月の始め、利根川をはさんで、埼玉との県境にある群馬県の板金工場を訪ねた。
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去年応対してくれた、社長の甥っ子の環境担当者は、今年は﹁カイゼン﹂の研修と言うことで、
A社に1年間の出向中。 担当者は年配の、 Oさんに代わっていた。 破綻したサブプライムの影響
が、じわじわと出始めた頃だった。Oさんは、送迎の車の中で、いろいろな話を聞かせてくれた。
新車の売れ行きが悪く、新規の金型発注が完全にストップしているとのこと。近くに、サンヨー
電機の群馬工場があるのだが、1万人いた従業員が1000人に減らされ、9000人が下請け会
社に回されたのだそうだ。富士重工のような大きな会社でも、人件費のかかる 代∼ 代が解雇

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され、まさに晴天の霹靂、途端に生活に窮する家庭が増えていると言う。
自分のところは、まだ残業があるので、良い方だが、こんな状況では、世の中全体、年末にかけ
て、修羅場になると言い切っていた。
実は、私・・・バブルの頃、自分の会社を、つぶしてるんですよ・・・。今と同じ、 人

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くらいの製造会社。
解雇した社員の、次の就職先と、自分の住む家だけは何とか、確保した。それでも、苦渋の選択
で、引き際が難しかったと、しみじみと語ってくれた。
ところ変わって、その数日後に行った、埼玉にある建設機械部品加工の会社では、対米の輸出は

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減っているが、中国インド・東南アジア・ロシアなどのインフラ整備や、鉱山機械の部品生産が、
まだ伸びているので、今のところはプラスマイナス、ゼロという話だった。
この会社は、建機大手の K製作所を主要取引先として、その協力会社で作るグループ会にも入っ
ている。 このグループ会では、 今年始め、 協力会社を一堂に集め、 2015年までの増産計画に
伴って、どんどん設備投資をするよう、発破を掛けたらしい。この会社も、来年明けには、200
0坪の敷地に建つ新工場に引越しをする予定だ。
亡くなった父親の後を継いだ社長は、まだ若い。おっとりした社長と突っ込みを入れる環境責任
者を前にして、ことばのやり取りは弾み、私は、初めて、仕事の手応えのようなものを感じた。新
工場建設に関しては、去年から話を聞いていたが、私は、何も言えないでいた。
ウチの客先は、輸出で稼いでいる職種が多いので、アメリカの金融危機を受けて、この夏以降
は、どこも業績が落ちこみ出していた。つい最
近までは、前年比1・5倍とか、2倍などと、
売上げを伸ばして、残業、派遣を増やし増産体
制で臨んできたのが、まるで嘘のようだ・・・。
そうして、 月になって、セーターとジャ

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ケットに身を包んだ私は、さらに北上し、赤
城山の麓にやってきた。山の木々は、色とり
どりに紅葉しはじめていたが、景気は一段と
悪くなっていた。
駅まで迎えに来てくれた、社長の奥さんが

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工場の近くにある、親類のリンゴ園に少し寄っ
てくれた。
もいでけ・・・好きなだけ・・・
と、 言われたリンゴは、 たわわに実り、 大き
く、真っ赤に色づいている。
工場の隣にも、リンゴの木がなっていた。
夫婦と息子に従業員、牛の世話のかたわら、
手伝いに来るパートの5人でやっている板金
塗装工場。売上げは、去年の3分の2に減っている。
先行きが、まるで見えないんですよ。ウチのような利益率の低い業種では、本当に痛
いんだよね。取引先に掛け合いに行って、どうにかなるもんなら、やってるけど、こ
んな状況じゃあ、どうしようもない。
あれこれ、心配していてもしょうがないから、さっさと家に帰って、おいしいご飯を
用意してるの。
いつもは前向きで、元気な奥さんが、力なく笑う。
それでも、設備投資はもう、2∼3年前に済ませているようだ。
大儲けしなくても、普通に暮らしていければいい。みんなが、安心して、平和に暮ら
していける・・・

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なんで、そんな世の中になれないんでしょうかねえ・・・?
ため息混じりの呟きが、いつまでも耳に残った。
この日の夜は、同じく群馬にある精密板金加工の会社の専務︵社長の息子さん︶と食事をした。
ISOのサーベランスが迫ってきたので、 上司に相談があるということだったが、 環境の話題は
チョロっと出ただけで、あとはやっぱり景気の話だった。部下を連れて、わざわざ愛知の生産管理
を視察に来るほどの、熱心な2代目だ。特殊車両を作るA社が主な取引先で、工場もほぼ隣り合わ
せに建っている。そのA社からの受注が、半分に減ったのだそうだ。A社は、従業員の労働時間を
短縮して、その分、管理職が残業や休日返上で働いているらしい。
同業の会社で、リストラが行われたとか、派遣
を切ったとか、建設系の2部上場会社がつぶれた
とか・・・、どれも、暗い話ばかりだった。
語っている本人が、 何より悲愴な面持ちになっ
ている。プロの野球チームでピッチャーをしてい
たという、上背のある体を丸めて、ずいぶんと元
気がない。事態の深刻さを感じるとともに、責任
感の強い彼のことが、心配になる。バブルの折、会
社をつぶしたと言った、Oさんのことがチラッと
頭に浮かんだ。彼は、時間が空いて、暇になった

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から、今だからできる新しいことをしたいと、言
い残して帰って行った。
ほんの1ヶ月ほどの間にも、確実に景気は悪化
している。厳しくなることは、予想していても、頭
の中の想像には、痛みが伴わないので、わかって
はいなかった。
周りには、1∼2年もすれば、元にもどるように考える楽観的な人が多い。私のような、高度経
済成長以後の世代にとっては、初めての危機だ。どこまで、大きくなるのか・・・。街の人通りやテ
レビの中の風景を見ていると、昨日と同じ今日が、いつまでも続くように錯覚してしまいそうだ。
けれども、 もう違和感を持ってしまった。 誰もがいずれ、 妄想から覚めて、 現実と向き合わさ
れる。
私にできることは、何なのか?
世の中の動きを横目でしっかり、見つめながら、手探りの試行錯誤をしようと思う。

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週刊マーケットレター、第 号

254
︵ 年 月 日週号︶
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曽我 純
為替レート 11 月7日(前週) 1ヵ月前 3ヵ月前
  円ドル 98.25(98.50) 101.45 109.45
 ドルユーロ 1.2715(1.2730) 1.3585 1.5325
 ドルポンド 1.5675(1.6105) 1.747 1.9425
 スイスフランドル 1.1775(1.1575) 1.1375 1.062
短期金利(3ヵ月)
 日本 0.89250(0.94063) 1.0875 0.90406
 米国 2.29000(3.02625) 4.32 2.8025
 ユーロ 4.47250(4.76875) 5.37125 4.96375
 スイス 2.30500(2.71833) 3.055 2.75
長期金利(10 年債)
 日本 1.510(1.480) 1.435 1.515
 米国 3.79(3.96) 3.5 3.92
 英国 4.19(4.50) 4.23 4.68
 ドイツ 3.67(3.75) 3.73 4.27
株 式
 日経平均株価 8583.00(8576.98) 10155.9 13124.99
  TOPIX 879.00(867.12) 977.61 1258.81
  NY ダウ 8943.81(9325.01) 9447.11 11431.43
  S & P500 930.99(968.75) 996.23 1266.07
ナスダック 1647.40(1720.95) 1754.88 2355.73
  FTSE100(英) 4364.96(4377.34) 4605.22 5477.5
  DAX(独) 4938.46(4987.97) 5326.63 6543.49
商品市況(先物)
  CRB 指数 256.84(268.39) 312.81 399.54
 原油(WTI、ドル/バレル) 61.04(67.81) 90.06 120.02
 金(ドル/トロイオンス) 733.2(716.8) 878.4 870.7

表 1: 主要マーケット指標

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■ 利益に見合った水準に落ちて行く日本株
月の米新車販売台数は前年を ・9%も下回り、年率販売台数は1983年2月以
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来、 年8ヵ月ぶりの記録的な低水準に落ち込んだ。昨年 月から前年を割り込んでい
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たが、住宅バブル破裂の影響が深刻化するにつれて、マイナス幅は5月の ・7%から

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月には3割を超える異常な不振へと拡大し、米自動車産業はもはや自力で存続することが
不可能な状態に陥っている。
債務超過状態にあるGMはクライスラーとの合併協議が中断し、生き残る手立ては、政
府の融資に縋る以外にはない。政府に頼ることになったとしても、このような販売の落ち

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込みが続くことになれば、 融資も焼け石に水となり、 税金が泡となり消えていくだけで
ある。
FRBによると、米金融機関の融資は一段厳格になっており、自動車向けローンも絞り
込んでいるようだ。消費マインドも 月は急低下、調査開始以来に悪化し、自動車のよ

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うな耐久消費財に対する支出は、ますます切り詰められるだろう。
月の非農業部門雇用者数は前月比 万人減少し、失業率は0・4ポイント上昇の6・
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5%に跳ね上がった。失業者数は1008万人と1983年9月以来、約 年ぶりに1千

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万人を超えたが、このような雇用の急速な悪化も自動車等の耐久消費財販売が先行きさら
に落ち込むことを予想させる。そして耐久消費財の販売不振が雇用を奪うという悪循環に
陥っていく。 月の失業率は前回IT不況のピークを上回ったが、雇用の悪化が経済全体

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に及んでいることから、 失業率の上昇は
まだまだ続き、 1992年6月の7 ・ 8
%を超えるかもしれない。
米国ほどの落ち込みではないが、 日本
の新車販売台数も 月、前年比 ・6%減

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少した。2004年以降、新車販売台数は
4年連続の前年割れとなっており、 国内
では低迷していたが、 欧米に加えて新興
国の需要拡大により、 日本の自動車メー
カーの業績は好調を持続していた。だが、

10
最大の得意先である米国での需要激減の
影響は大きく、 7∼9月期のトヨタの営
業利益は前年比 ・2%も減少した。7

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∼9月期の北米、 欧州の営業利益は赤字
となるなど収益は急激に悪化しており、

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年度下期の営業利益はほぼゼロになると
想定している。5月時点では 年度の営

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業利益は1・6兆円を見込んでいたが、今
回6000億円へと1兆円も減額し、 ト
ヨタショックを引き起こした。
自動車産業の大幅な業績下方修正など
により、 日経平均株価の予想株価収益率
︵PER︶は先月末頃より上昇していたが、
先週末には 倍、1週間で2ポイント以

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上上昇し、この株価水準でも割高になって
しまった。 海外の主要株価指数のPER
は 倍程度であり、配当利回りについて

10
も、日経平均株価を大幅に上回っている。
現時点の日経平均株価の 年度予想1株

08
当たり利益は589円である。 日経の予

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想が正しいと仮定すると、 海外主要株価
並の予想PER 倍では日経平均株価は

10
5890円となる。
IMFは6日、 世界経済見通しを発表
したが、 年の実質成長率は米国、ユー

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ロ圏、日本はマイナス0・7%、マイナス
0・5%、マイナス0・2%といずれもマ
イナスとなり、 主要国の景気後退はより
深刻になると予想している。 月の米非

10
農業部門雇用者数は前年比0 ・ 8%減少
したが、前回の景気後退期の減少率に達していない。今回は通常の景気後退と異なり、景
気後退はストックが適正な水準に落ち着くまで続くであろう。OECDの景気先行指数を
みると、最近のユーロ圏の景気悪化は米国以上である。 月 日、FRBが利下げし、同
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日、日銀が続き、先週の6日にはECBとイングランド銀行が0・5%、1・5%それぞ
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れ引き下げたことからも、世界が徒ならぬ景気後退に陥りつつあることを裏付けている。
米国、ユーロ圏、日本が景気後退に陥れば、新興国の経済も打撃をうけることは間違い
ない。日本企業はアジア等への輸出で、欧米向けを補っているが、早晩、新興国もへこた
れるだろう。9月の日本のアジア輸出は数量ベースで前年比1・1%まで低下しており、
月は前年割れになるかもしれない。そうなれば、すべての地域への輸出がマイナスとな
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り、企業収益はさらに下振れすることになる。日本株は利益に見合った水準に落ちて行く

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過程にある。
﹁人間の経済﹂、通巻 号
228

 二〇〇八年一一月一〇日 発行
 編集・発行 ゲゼル研究会
0021

  - 横浜市神奈川区子安通3丁目 番地 森野榮一気付
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321
  Gesell Research Society Japan
  http://www.grsj.org/
  info@grsj.org
Gesell Research Society Japan all rights reserved
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頒価1ワット
ゲゼル研究会

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