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間 通巻230号、2008年12月2日
発行


 
 
 
   
  ・
 米
 


 





 
 
 



 
 


 大 四 5 ー   革 次
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げ に に
る 対 於
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と 猛 錬
す 威 金
る を 術
。 振 で
quote of the week
金に従革せず
森野 榮一
﹃五行大義﹄を再び手に取る。
100年に一度といわれる大変の時である。この書は、陰陽道の安部・賀茂両家には平

1
安の昔から必読の書であったという。
もちろん科学的にどうこうという次元のものではない。思考の流儀に影響するインスピ
レーションを喚起してくれるたぐいのものだ。
昨今の金融事象をみるにつき、同書の﹁金曰従革﹂︵金に従革と曰ふ︶の条りを参照せ
ざるをえない。以下に読み下し文を掲げる。
きん じゅうかく い かく こう はん したが あらた かたち あらた
金に 従 革 と曰ふ。従革とは、革は更なり。範に 従 ひて 更 まり、 形 、 革 まり
うつわ な せいほう ものすで な さっき さか しゅうきおこ
て 器 を成すなり。西方の物既に成り、殺気の盛んなるなり。故に秋気起りて、
ようじゅん はばた しゅんき か こ さっせい にたん ここ は く ろ しも
1

3
鷹 隼 、撃 き、春気動きて、鷹隼化す。此れ殺生の二端なり。是を以て白露霜と
さつばつ ひょう お う じゃへい じゅうじ ちゅう
4

5
なる。霜は殺伐の 表 。王者兵を教へ、戎事 を集めて以て不義を 誅 し、暴乱
ひゃくせい いにしえ じんくん やす き ふ ぐ
6

7
を禁じて以て 百 姓 を安んず。 古 の人君は、安 きも危を忘れず、以て不虞を
いまし いくさ あやう こくゆう
戒 む。故に曰く、天下安きと雖も、 戦 を忘るる者は 危 く、国邑強きと雖も、
たたかい
戦 を好めば必ず亡ぶ、と。殺伐は必ず義に応ず。義に応ずれば則ち金気順ひ、
じゅん せい こうじちゅうさく あらた

8
金気 順 なれば則ち其の性の如し。其の性の如きは、工治鋳作し、形を 革 めて
も しんりょう こうせん しきろ

9
器を成す。如し人君 侵 凌 を楽しみ、攻戦を好み、色賂を貪り、百姓の命を軽
きん やちゅう ぎょうたいきょけん

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んじ、人民騒動すれば、則ち金其の性を失ひ、冶鋳化せず、凝 滞 渠 堅 にして、

2
おお も きんき さから
成らざる者衆し。秋時は万物皆熟し、百穀已に熟す。若し金気に 逆 へば、則
タカ、ハヤブサのこと
1

化すとは変化するの意
2
二端とはふたつの始めの意
3
表とはしるし、シーニュ︵ signe
4
︶の意
兵を集めるの意
5
民衆を指す

6
予想外の災いを不虞という。

7
金属を鋳て形を器とすること

8
侵略のこと

9
かたまって固くなる意

10

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ち万物成らず。故に金に従革せずと曰ふ。
ここで便宜的に、金を貨幣に置き換えてみれば、まことに、なにゆえ金不従革なのか、
範に従い改まることがないのか、実に示唆的に思える。金の方位は西。西方の物とはカネ
である。西は日の没する方位。まさに死の象徴である。そうした金が既に成りとはまさに
現今。グローバリズムと経済の金融化は極限まで来た。同時に殺気も盛んで、ここにいう
人君を米国とすれば、戦いを好むものは必ず滅ぶの体。なぜなら義なき︵道理なき︶いく
さ。カネが従うことはない。実際、イラク戦争の戦費は米国にのしかかってきた。
カネの生来の性はその形を変え、役立つ器に変ずること。金属であれば、人に役立つ道
具に変ずること。金を貨幣と考えるなら、実体経済に奉仕すること。しかしそうでなけれ

3
ば、凝滞渠堅、凝固して逆らう︵カネは退蔵される︶。経済において﹁成らざる者衆し﹂と
なる。
も きんき さから
秋時は万物皆熟し、百穀已に熟す。若し金気に 逆 へば、則ち万物成らず。故

に金に従革せず曰ふ。
ちょうど秋、米国のサブプライムローンの支払い能力危機から流動性危機へと進み、金
融危機が続いている。信用収縮が激しく、実体経済に危機が波及している。ちょうど秋は
中村璋八、藤井友子、﹃五行大義﹄全釈、上巻、67∼68頁

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実りの季節、豊穣な豊かさを感ずることができる季節に、則ち万物成らず、か。実体経済
がいくらよくてもカネに逆らえない。
危機は金融の不安定性から始まる。カネを範に従わせねばならぬ。
ここで範とは万物をして皆熟させる天地人の総体、自然であろう。
自然を本位とした通貨制度が求められる。

4
週刊マーケットレター、第 号

256
︵ 年 月 日週号︶
08
11
24

5
曽我 純
為替レート 11 月 21 日(前週) 1ヵ月前 3ヵ月前
  円ドル 95.90(97.10) 100.15 108.4
 ドルユーロ 1.2585(1.2605) 1.306 1.49
 ドルポンド 1.4855(1.4870) 1.674 1.8765
 スイスフランドル 1.2225(1.1895) 1.1515 1.0875
短期金利(3ヵ月)
 日本 0.92125(0.89250) 1.035 0.86813
 米国 2.15750(2.23625) 3.83375 2.81063
 ユーロ 4.00375(4.22125) 4.95875 4.95188
 スイス 1.32500(2.07667) 3.0725 2.74833
長期金利(10 年債)
 日本 1.400(1.500) 1.575 1.41
 米国 3.19(3.74) 3.74 3.83
 英国 3.85(4.07) 4.61 4.56
 ドイツ 3.38(3.67) 3.9 4.17
株 式
 日経平均株価 7910.79(8462.39) 9306.25 12752.21
  TOPIX 802.69(846.91) 956.64 1224.53
  NY ダウ 8046.42(8497.31) 9033.66 11430.21
  S & P500 800.03(873.29) 955.05 1277.72
ナスダック 1384.35(1516.85) 1696.68 2380.38
  FTSE100(英) 3780.96(4232.97) 4229.73 5370.2
  DAX(独) 4127.41(4710.24) 4784.41 6236.96
商品市況(先物)
  CRB 指数 231.38(247.58) 278.7 405.92
 原油(WTI、ドル/バレル) 49.93(57.04) 70.89 121.18
 金(ドル/トロイオンス) 791.7(742.4) 766.1 833

表 1: 主要マーケット指標

6
■ 2四半期で約9兆円減少した名目GDP
週初に7∼9月期のGDPが発表されたが、名目前期比マイナス0・5%と2四半期連
続のマイナスとなり、 年から弱含んでいた日本の景気が 年の春頃から明らかに後退期
07

08
に入っていたことが裏付けられた。国内需要の寄与度は0・3%と2四半期ぶりにプラス
になったが、外需の寄与度が前期と同じマイナス0・8%となったため名目GDPは0・
5%低下した。名目GDPは 年4∼6月期に前期比マイナスと 四半期ぶりに減少し
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10
てから、不安定な足取りをたどっており、日本経済はいつ景気後退に入ってもおかしくな
い状態であった。

7
名目前年比伸び率は 年1∼3月期にすでにマイナスとなり、7∼9月期は1・7%減
08
と 年4∼6月期以来、約6年ぶりの大幅な落ち込みとなった。設備投資や住宅の前年割
02

れに加えて、消費も1%台の低成長にとどまったことから、民需は前年比0・4%と5四
半期連続の低い伸びである。そこへ輸出の鈍化と輸入の増大による外需の悪化がのし掛か
り、名目GDPは前年割れとなってしまった。 月の輸出は前年比マイナス7・7%と約

10
7年ぶりの大幅減となり、消費者マインドも極度に悪化していることなどを考慮すると、

08 ∼ 月期のGDPはさらに悪化し、前年比2%超える減少となり、 年1∼3月
10

12

02
期の過去最大の減少率︵マイナス3・3%︶に近づくかもしれない。
年7∼9月期の名目GDPは年率5
08
07・5兆円と 年1∼3月期から8・8

07 08
兆円、ピークの 年1∼3月期からは 兆

10
円も減少してしまった。今回の不況は前回
ITバブル崩壊を上回ることは間違いな
く、 年の初めには名目GDPは500

09
兆円を割ることになるだろう。 年金や医
療費などはGDPという毎年の稼ぎのな
かから捻出しているけれども、 GDPが
減少する状況では従来の方式に従っては、

8
そうした社会保障費を賄うことができな
くなり、 パイの奪い合いの事態が予想さ
れる。
日本は利下げ余地がなく、 金融政策は
限界に達しており、 700兆円を超す借
金を抱えている国家財政に頼ることもで
きず、 GDPの減少を食い止める手段を
持ち合わせていない。GDPというフロー
が縮小し、 日々の支出を賄うことができ
なければ、ストックを取り崩すほかない。
年末の日本の正味資産は2716兆円、前年比 兆円増加したが、株価の急落や地価の
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75

下落により、今は 年末を大幅に下回っているはずだ。 年末には3552兆円もあった


06

90
正味資産の800兆円以上を取り崩してしまったが、名目GDPが減少し続けるなかで、
生活水準を維持していくには、正味資産を食い潰していく以外に方法はない。
■ 米大不況が日本経済を揺さぶる
月の米住宅着工件数は ・1万戸と1959年の統計開始以来の最低を記録し、
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79

10
月の消費者物価指数も前月比マイナス1・0%と過去最大の下落率となるなど、米景気の

9
後退は一層深刻になっている。米政府はビッグ3に再建策を求めているようだが、GMの
新車販売台数が 月、前年を ・4%も下回るようでは、現存設備の半分近くが不必要に
10

45
なり、再建は不可能だ。住宅着工件数は 年1月︵229・2万戸︶の3分の1近くまで

06
激減し、米国経済は大不況下にあるといってよいだろう。
米国景気の激しい収縮は世界経済に伝播しているが、特に、日本の被る被害は甚大であ
り、そのことは貿易統計にはっきりあらわれている。 月の対米輸出は数量ベースで前年

10
比 ・9%減と3ヵ月連続の2桁減である。金額ベースでは ・0%と5ヵ月連続の大幅
16

19
なマイナスとなり、対米輸出依存度の高い自動車産業を始め、企業業績に深刻な影響をお
よぼしている。対EU輸出も数量で ・3%減少し、伸び率が縮小していた対アジアもつ

10
いにマイナス1・8%と小幅だが、マイナスに転落した。
貿易統計をみても米国景気の激しい後
退がEUやアジア経済を巻き込みつつあ
ることがわかる。 日本の対米輸出がさら
に酷くなるばかりでなく、 対EU ・ アジ
アの減少がより顕著になると考えられる。
輸出企業を中心に 年度下期の業績は下

08
方修正される可能性が高く、 前年の半分
程度になるのではないか。
世界の消費 ・ 投資財の急激な需要減に
よって、 商品市況は釣瓶落としの様相を

10
呈している。 先週末、 CRB先物指数は
231 ・ と7月のピークから4ヵ月半

38
で ・1%も下落し、 年7月以来5年

51

03
4ヵ月ぶりの低い水準を付けた。5年以上
かけて上昇したものが、たった4ヵ月半で
帳消しになった。原油相場はバレル ド

50
ルを割ったが、 住宅や自動車の世界的な
不振などにより、値上りする前の 年代

90
の ドル前後まで下落するだろう。商品

20
相場の暴落に遅れて、 世界の消費者物価
も大幅に低下することになり、世界経済をデフレが覆うことになりそうだ。

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﹁人間の経済﹂、通巻 号
230

 二〇〇八年一二月二日 発行
 編集・発行 ゲゼル研究会
0021

  - 横浜市神奈川区子安通3丁目 番地 森野榮一気付
221

321
  Gesell Research Society Japan
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頒価1ワット
ゲゼル研究会

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