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間 通巻208号、2008年3月3日
発行


           週       週  


    ・ ・ 第 刊 ・ ・ 第 刊  
    投 主 二 マ 米 主 二 マ 目
    機 要 二 ー 景 要 二 ー 次
    マ マ 三 ケ 況 マ 四 ケ
  ネ ー 号 ッ 感 ー 号 ッ


  ー ケ ( ト 悪 ケ ( ト
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  翻 ト 八 タ し ト 八 タ
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  体 日 速 週
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研  
究 純

週刊マーケットレター、第 号

224
︵ 年3月3日週号︶
08

1
曽我 純
為替レート 2月 29 日(前週) 1ヵ月前 3ヵ月前
  円ドル 103.70(107.15) 106.45 111.2
 ドルユーロ 1.5180(1.4825) 1.4855 1.463
 ドルポンド 1.9885(1.9675) 1.9885 2.0575
 スイスフランドル 1.0415(1.0850) 1.081 1.132
短期金利(3ヵ月)
 日本 0.96250(0.89500) 0.87375 0.9875
 米国 3.05750(3.08000) 3.11188 5.13125
 ユーロ 4.38813(4.37813) 4.3775 4.81125
 スイス 2.79667(2.78333) 2.65333 2.745
長期金利(10 年債)
 日本 1.355(1.450) 1.44 1.46
 米国 3.51(3.80) 3.59 3.94
 英国 4.46(4.74) 4.51 4.67
 ドイツ 3.88(4.01) 3.92 4.15
株 式
 日経平均株価 13603.02(13500.46) 13592.47 15680.67
  TOPIX 1324.28(1321.37) 1346.31 1531.88
  NY ダウ 12266.39(12381.02) 12650.36 13371.72
  S & P500 1330.63(1353.11) 1378.55 1481.14
ナスダック 2271.48(2303.35) 2389.86 2660.96
  FTSE100(英) 5884.3(5888.5) 5879.8 6432.5
  DAX(独) 6748.13(6806.29) 6851.75 7870.52
商品市況(先物)
  CRB 指数 412.69(398.67) 369.46 339.84
 原油(WTI、ドル/バレル) 101.84(98.81) 91.75 88.71
 金(ドル/トロイオンス) 972.1(944.7) 922.7 782.2

表 1: 主要マーケット指標

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■ 米景況感悪化しドル売り加速
2月 日、 日のバーナンキFRB議長の議会
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証言や各種経済指標の発表によって、米景気への不
安が一段高まり、資金は株式から米債や商品へ流れ
た。 米 債 券 利 回 り は 3 ・ %と 年6月以来約5

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03
年4ヵ月振りの水準に、TB3ヵ月物は1%台に低
下し、CRB指数は過去最高値を更新した。
米景気悪化や利下げ観測が強まり、主要通貨に対
してドルは売られ、対ユーロでは最安値を付けた。
3ヵ月前には3ヵ月物の金利は米がユーロを上回っ

3
ていたが、それが逆転し、今ではユーロが米よりも
1・3ポイントほど高い。景気重視の立場から米政
策金利はまだ引き下げられるけれども、ユーロは現
状で推移する可能性が高く、短期金利差は拡大し、
ユーロ高は持続する見通しである。
対円では103円台、週末比で3円 銭もの円高

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ドル安となった。昨年6月の123円台から 円以

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上も上昇し、 年1 月 以 来約 3 年 振 りの 円 高 ド ル

05
安である。日本の景気も悪化しているが、それ以上
に米国景気に対する不安感が強く、ドル売りが加速している状況だ。 年1月の102円

05
を突破すれば、さらに円高ドル安は進行するかもしれない。日本企業が想定している円ド
ルレート︵ 月調査の﹃短観﹄によると113円 銭︵大企業・製造業︶︶から 円以上
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円高ドル安にぶれているため、今後、円買いドル売りの予約を入れ、そうした企業行動が
一層、円を押し上げるのではないかと思う。円高ドル安が輸出企業の採算を悪化させてい
るが、輸出が伸び悩むことになり、受取金額だけでなく数量からも業績に響いてくる。
ドル安進行がドルから原油や金といったモノへの資産配分を促している。WTIは週末
では始めて100ドルを超え、金は最高値を更新するなど、相場の急騰は止らない。CR
B指数は1ヵ月で ・7%もの急激な上昇しており、米国景気の悪化などの経済動向とは
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無関係な動きをしている。ドル保有者がドルの目減りを回避するためとはいえ、常識では

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考えられない水準に高騰している素材を、さらに買い付けることを私的企業が行いうるか
疑問だ。
昨年 ∼ 月期のケース・シラー住宅価格指数は前年比マイナス8・9%と6四半期連
10
12
続の前年割れとなった。1月の中古住宅販売は前年を ・4%下回る一方、在庫は ・4

23

18
%も増加した。新築一戸建て住宅販売は ・9%も落ち込み、米住宅不況は泥沼化してい

33
る。こうした住宅販売の不振が不動産価格をさらに引き下げ、価格の下落が住宅購入を見
合せ、手控えさせるという悪循環に陥っているように思える。不動産価格の下落により、
金 融 機 関 の 不 動 産 融 資 の 一 部 が 不 良 債 権 化 し つ つ あ り、 昨 年 ∼ 月期の米金融機関の

10

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不良債権処理は312億ドルに膨れた。 日、FRB議長は中小銀行の﹁多少の破綻を予

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想する﹂と発言し、市場を動揺させたけれども、﹁多少﹂ではなく﹁多数﹂の中小銀行が
行き詰まるのではないか。
1月の米個人消費支出は前月比0・4%伸び
たが、2月のコンファレンスボードやミシガン
大学の消費者信頼感指数はいずれも大幅に低下
し、今後、米住宅不況の消費への影響は強まる
見通しである。非国防資本財受注︵航空機を除
く︶は前月比マイナス1・4%と2ヵ月ぶりに
減少したが、 前年比では5 ・ 7%増加してお
り、もたついてはいるものの、景気の足を引っ
張っているほどではない。商品市況の高騰が設

5
備投資の悪化を支えていると考えられるが、消
費がますます抑制されるようになると、企業家
の投資心理は大きく傷つけられ、設備投資は冷
え込むことになるだろう。
昨年 ∼ 月期の米企業収益︵S&P50

10

12
0︶は前年比 %減少したが、 年1 ∼ 3月

24

08
期は1・5%の増益を見込んでいる。だが、設
備投資の減少と生産者物価指数の上昇により、
企業の収益環境は厳しさを増すはずだ。今回の
景気悪化は不動産というストックの毀損に根ざ
しているだけに、通常の景気底入れとは異なり、不況は長引くだろう。企業収益の前年割
れは2四半期で止ることはなく、さらに継続すると予想しておく必要がある。まだ、米株
式市場は楽観的収益見通しを前提としており、1∼3月期以降の減益を織り込んでいない。

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週刊マーケットレター、第 号

223
︵ 年2月 日週号︶
08

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曽我 純
為替レート 2月 22 日(前週) 1ヵ月前 3ヵ月前
  円ドル 107.15(107.80) 106.45 108.4
 ドルユーロ 1.4825(1.4680) 1.463 1.4855
 ドルポンド 1.9675(1.9610) 1.9615 2.066
 スイスフランドル 1.0850(1.0930) 1.0965 1.102
短期金利(3ヵ月)
 日本 0.89500(0.89688) 0.88906 0.92
 米国 3.08000(3.07000) 3.7175 5.015
 ユーロ 4.37813(4.35563) 4.33 4.65363
 スイス 2.78333(2.76500) 2.655 2.75333
長期金利(10 年債)
 日本 1.450(1.455) 1.315 1.415
 米国 3.80(3.77) 3.43 4
 英国 4.74(4.64) 4.53 4.59
 ドイツ 4.01(3.96) 3.99 4.03
株 式
 日経平均株価 13500.46(13622.56) 12573.05 14888.77
  TOPIX 1321.37(1334.89) 1219.95 1437.38
  NY ダウ 12381.02(12348.21) 11971.19 12799.04
  S & P500 1353.11(1349.21) 1310.5 1416.77
ナスダック 2303.35(2321.80) 2292.27 2562.15
  FTSE100(英) 5888.5(5787.6) 5740.1 6155.3
  DAX(独) 6806.29(6832.43) 6769.47 7562.1
商品市況(先物)
  CRB 指数 398.67(384.23) 356.81 350.82
 原油(WTI、ドル/バレル) 98.81(95.50) 89.85 97.29
 金(ドル/トロイオンス) 944.7(902.8) 889.6 797.7

表 1: 主要マーケット指標

8
■ 投機マネーに翻弄される実体経済
原油がはじめてバレル100ドルを超え、金も過去最高を更新するなど、資源高に拍車
が掛かっている。米住宅不況がいつ終わるとも分からず、信用不安が強まったり弱まった
りしている不安定ななかで、資源価格の高騰が目立つ。株式は信用状態を無視できず、そ
れに頭を抑えられ、債券は資源高による価格上昇懸念が上昇を立ち塞いでいる。
米住宅着工件数がピークを付けてから2年経過したが、過去の住宅不況期の落ち込みか
ら判断すると、まだ底に達したとはいえず、米住宅不況は依然深刻な状態にあるといえる。
1月の米住宅着工件数は101・2万戸と2ヵ月ぶりに前月を上回ったが、主力の一戸

9
建ては ・3万戸、前月比5・2%減、前年比でも ・8%も減少しており、米住宅市場
74

33
は冷え込んでいる様子が窺える。一戸建ての許可件数は ・3万戸、前年比マイナス ・

67

40
3%と下げ止る気配はなく、今後、住宅市場はさらに悪化するように思う。
昨年末比の資源価格の上昇率を比較すると、銅が ・3%上昇し、値上り率トップだ。

23
金は ・2%の値上がりだが、原油は2・9%と低く、CRB先物指数の ・ 1% を下
13

11
回っている。米住宅着工件数がピークから128万戸も減少していることは、膨大な建設
資材が行き場を失っていると想像できる。需要が大幅に減少したにもかかわらず、素材が
過去最高値を更新することは、単に、需給の関係だけでなく、他の要因により価格が形成
されているのか、あるいは米国の需要減を埋め合わすほどの需要が新興国などで発生し、
需給の均衡が保たれているのだろうか。
ひとついえることは、資源の価格表示は大半
がドル建てとなっているため、ドル実効相場と
商品市況の相関関係は強く、 年2月以降の

02
ドル安が商品市況の活況をもたらしていること
だ。 6年に及ぶドルの下落で、 実効相場は過
去最低に下落、ドルを多く抱えている国はドル
の目減りを恐れて、ドルをモノに交換している
ようだ。中国をはじめアジアのドル保有国は原
油、中近東の産油国やロシアは金を求めている
のではないか。米住宅不況が泥沼の様相を深め

10
ていることから、ドルがさらに敬遠されること
になれば、商品市況の勢いは強まるであろう。
いずれにせよ、世界景気が減速しつつある状況
下で、ドル安により資源だけが青天井のように
なることは異常である。商品市況に巨額の投機
資金が流入していることは間違いなく、どこか
で、だれかがババを掴むことになるだろう。
資源価格の上昇が最終財価格に波及せず、資
源の値上りだけにとどまっていることも、資源
高を長期化させている要因のひとつと考えられ
る。 第1次、 第2次オイルショックのときは、 原油高が消費財価格まで瞬く間に波及し、
激しいインフレに見舞われた。主要国では、あらゆるモノの価格が上昇し、物価上昇率は
2桁に跳ね上がった。原油輸出国は原油以外の商品は輸入に頼っているため、原油高で入
手した輸出代金も輸入財の価格上昇で消えてしまった。原油高は高インフレを伴う景気後
退を引き起こし、世界経済を混乱させただけだ。
今回の資源高も過去のように、最終消費財までの価格引き上げという価格体系の急激な
変更が行われなければ収束しないのだろうか。 主要国の消費者物価上昇率は、 高くても
ユーロ圏の3・2%だが、これが、4%、5%に上昇することになれば、当然、ECBは
利上げに踏み切るだろう。低金利に慣れた経済には金利の上昇は応え、景気は想定を上回
る速度で減速していくはずだ。ユーロ高・ドル安により、米輸入物価も上昇し、米消費者

11
物価指数のコアも1月の前年比2・5%から3%を超えるのにそう時間は掛からないかも
しれない。景気後退局面でも金利を引き下げられないという事態も考えられる。世界的に
景気は後退し、資源需要は低迷、資源高バブルの破裂が世界景気をさらに深刻な局面に追
い込むだろう。
金融資産の蓄積規模がここまで巨額になると、本来ならば、実体経済の発展のために役
立つはずのものが、逆に、実体経済を振り回すことになる。日本のゼロ金利が、資金をコ
ストゼロで世界中にばら撒いた。そうしたマネーが僅かの利鞘を求めて世界中を瞬時に駆
け巡る。商品市況に流入している資金もそうした金が一部含まれているのだろう。
資金の動きは、効率とか合理的とかそういう概念とはまったく次元が違う。儲けること
ができるかどうかである。資金の動きを自由にさせていれば、実体経済の振幅はますます
大きくなり、生活は脅かされることになる。資金の動きを自由に任せて実体経済が翻弄さ
れてもよいのか、取引税等の導入により、資金の動きを鈍くし、実体経済の安定を求める
のか、そうした岐路に立たされているように思う。

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﹁人間の経済﹂、通巻 号
208

 二〇〇八年三月三日 発行
 編集・発行 ゲゼル研究会
0021

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321
  Gesell Research Society Japan
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