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間 通巻231号、2008年12月8日
発行


 
 
 
  
  
 
 


 


 





 


 





 
 


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。 振 で
週刊マーケットレター、第 号

258
︵ 年 月8日週号︶
08
12

1
曽我 純
為替レート 12 月5日(前週) 1ヵ月前 3ヵ月前
  円ドル 92.80(95.50) 97.95 107.7
 ドルユーロ 1.2715(1.2695) 1.2955 1.4265
 ドルポンド 1.4735(1.5405) 1.5895 1.7635
 スイスフランドル 1.2215(1.2135) 1.163 1.1175
短期金利(3ヵ月)
 日本 0.95000(0.93500) 0.89938 0.8975
 米国 2.18563(2.21688) 2.50625 2.81438
 ユーロ 3.56750(3.85125) 4.65625 4.955
 スイス 1.16667(1.25500) 2.60167 2.73
長期金利(10 年債)
 日本 1.370(1.395) 1.53 1.435
 米国 2.70(2.92) 3.7 3.7
 英国 3.41(3.77) 4.42 4.4
 ドイツ 3.04(3.25) 3.76 4.03
株 式
 日経平均株価 7917.51(8512.27) 9521.24 12212.23
  TOPIX 786.02(834.82) 966.91 1170.84
  NY ダウ 8635.42(8829.04) 9139.27 11220.96
  S & P500 876.07(896.24) 952.77 1242.31
ナスダック 1509.31(1535.57) 1681.64 2255.88
  FTSE100(英) 4049.37(4288.01) 4530.73 5240.7
  DAX(独) 4381.47(4669.44) 5166.87 6127.44
商品市況(先物)
  CRB 指数 208.60(242.20) 267.97 367.7
 原油(WTI、ドル/バレル) 40.81(54.43) 65.3 106.23
 金(ドル/トロイオンス) 750.5(816.2) 741.3 797.6

表 1: 主要マーケット指標

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■ 米3ヵ月物金利ゼロの示唆する世界経済
米財務省証券3ヵ月物の金利はゼロとなり、1941年以来 年ぶりの記録を付けた。

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リーマン ・ ブラザーズ破綻後、 一気に1%未満に急低下し、 9月 日には売りレートは

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0・ %とゼロに接近した。 月 日以降、4日間は1%台を回復したが、その後、再び
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低下し、 月3、4日の売りレートはゼロとなった。住宅ローンの延滞率上昇や急増しつ
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つある不動産の差し押さえ、金融機関の経営不安、小売業や新車販売の記録的な減少、米
自動車産業の救済の行方等が、資金をより安全な財務省証券に向かわせている。
米 年債の利回りも4日には2・ %まで低下、1954年以来の低水準である。長期
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3
債の利回り低下は、米経済成長率の先行き大幅鈍化観測が強まっているからだ。 年7∼

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9月期の米名目GDPは前年比3・4%に低下したが、雇用統計の急激な悪化などから判
断すれば、 年1∼3月期には1%台に低下するだろう。米名目経済成長率が1%台に低
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下するのは異例のことであり、もしそうなれば1961年1∼3月期以来ということにな
る。ITバブル崩壊による景気後退では2・7%、その前の 年代初めには2・9%が最

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低となり、日本のようにマイナス成長になることはなかった。米国が名目マイナスに陥っ
たのは、1958年1∼3月期であり、そのときの 年債利回りは2・ %であった。い

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まの債券利回りはその水準を下回っており、米経済成長率の大幅な低下を先取りしている
ようにも思える。
ECBとイングランド銀行は4日、 政
策 金利を0 ・ %、1・0%それぞれ下

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げ、 年2 ・ 5%、 2 ・ 0%とした。 いず
れも3ヵ月連続の利下げだが、 英国は

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月8日に5%から4・5%に下げてから、
その約2ヵ月後には2%へと計3%も引
き下げた。 欧州経済が需要の急減と金融
機能の麻痺といったかつてない危機に陥
り、 危機打開に躍起になっている中央銀
行の姿勢を感じる。 欧州の東欧圏への拡

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大 ・ 進出や資源バブルで沸いたロシアの
需要拡大といった特需により欧州経済は
活況を謳歌してきたが、 欧州の住宅バブ
ルと資源高バブルが弾け、 需要の急速な
減退により欧州経済はこれまでにない厳
しい試練に直面している。 銀行の貸出余
力が乏しくなっているだけでなく、 実質
GDPの2四半期連続の低下にみられる
経済の縮小が資金需要を後退させている。
そうした経済状況下では利下げが、 どの
程度景気を支えることができるかは疑問。自動車工場等の稼働率低下による痛手や出稼ぎ
など弱い立場の解雇などが重なり、東欧経済も苦境に立たされている。
米政策金利はすでに1%と利下げ余地は少ないが、今月 、 日開催のFOMCで利下

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げが実施されるだろう。ただ利下げしたとしても、ビッグ3への融資のように後ろ向きの
資金需要では、利下げの景気引き上げ効果は期待できない。悪いところを抱えている状態
では、日本の例からも明らかな通り、いつまでもそこに資金を吸い取られ、経済は良くな
らない。雲行きが怪しくなった途端に、市場原理主義が共産主義に豹変するのは、経営者
たちが自らの立場を護りたいがためだ。内部崩壊による企業を救済することになれば、次
から次へ救済が広がり、経済混乱を収拾できなくなる。景気拡大期の旨みは独り占めし、
後退期には救済してもらうという身勝手を許すわけには行かない。

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月の米非農業部門雇用者数は前月比 ・3万人減と1974年 月以来、約 年ぶり
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の記録的な減少となった。前月比減は今年1月から ヵ月連続となり、1日、NBERも

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遅ればせながら、 年 月から米景気は後退に入ったと宣言した。戦後の米景気後退期
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間は平均 ヵ月と短期で底打ちしているが、今回の後退はすでに1年を超えている。2度
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の石油ショック後の ヵ月が戦後最長の後退だが、今回はこれを抜くことは間違いなく、

16
大恐慌︵1929年8月の山から1933年3月の谷までの ヵ月︶以来の長い後退にな

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るだろう。
米景気後退の長期化は世界景気についても当てはまり、世界的に需要不足・過剰設備の
状態が続くことになる。原油価格はバレル ドル近くまで急落したけれども、世界的な需

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要減少がさらに価格に下方圧力を掛けるはずだ。CRB先物指数は208に急低下し、

02
年5月頃の水準に落ち込んだが、さらに資源は売り込まれ、過去最低の180前後を下回
るかもしれない。
こうした世界景気の激しい後退は、外需依存の高い日本企業の収益に大打撃を与えるだ
ろう。7∼9月期の﹃法人企業統計﹄によると、全産業の営業利益は前年を ・4%も下

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回った。営業利益の前年割れは 年 ∼ 月期以降4四半期連続である。売上高は 年1
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08
∼3月期から3四半期連続のマイナスだが、輸出の減少が深刻になることから、減収率は
大きくなると考えられる。7∼9月期の原価率は前年よりも0・9ポイント悪化したが、
売上減などから原価率はさらに上昇し、 ∼ 月期の営業利益は前年を4割前後下回る

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見通しだ。欧米住宅バブルによる予想外の需要増、資源高特需等で拡大していた売上の反
動減は企業利益を奪ってしまうだろう。人件費の抑制、支払利息の激減が企業コスト引き

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下げていたが、裏返してみれば、個人消費不振の原因でもあった。特需に浮かれて、内需
を疎かにした傲慢な企業経営や市場主義者の幼稚な政策によって、日本経済は厳しい状況
に晒されている。
週刊マーケットレター、第 号

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︵ 年 月1日週号︶
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12

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曽我 純
為替レート 11 月 28 日(前週) 1ヵ月前 3ヵ月前
  円ドル 95.50(95.90) 98.5 108.75
 ドルユーロ 1.2695(1.2585) 1.273 1.4675
 ドルポンド 1.5405(1.4855) 1.6105 1.8235
 スイスフランドル 1.2135(1.2225) 1.1575 1.101
短期金利(3ヵ月)
 日本 0.93500(0.92125) 0.94063 0.88125
 米国 2.21688(2.15750) 3.02625 2.81063
 ユーロ 3.85125(4.00375) 4.76875 4.95938
 スイス 1.25500(1.32500) 2.71833 2.745
長期金利(10 年債)
 日本 1.395(1.400) 1.54 1.405
 米国 2.92(3.19) 3.96 3.81
 英国 3.77(3.85) 4.5 4.48
 ドイツ 3.25(3.38) 3.91 4.17
株 式
 日経平均株価 8512.27(7910.79) 8576.98 13072.87
  TOPIX 834.82(802.69) 867.12 1254.71
  NY ダウ 8829.04(8046.42) 9235.01 11543.55
  S & P500 896.24(800.03) 968.75 1282.83
ナスダック 1535.57(1384.35) 1720.95 2367.52
  FTSE100(英) 4288.01(3780.96) 4377.34 5636.6
  DAX(独) 4669.44(4127.41) 4987.97 6422.3
商品市況(先物)
  CRB 指数 242.20(231.38) 268.39 391.71
 原油(WTI、ドル/バレル) 54.43(49.93) 67.81 115.46
 金(ドル/トロイオンス) 816.2(791.7) 716.8 829.3

表 1: 主要マーケット指標

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■ 米住宅・資源高バブル破裂が日本の生産を直撃
週末の経済統計が消費や生産の悪化を示したにもかかわらず、株価は2日連続して上昇
した。 月第3週までの﹃投資部門別売買状況﹄によると、外人は大幅に売り越している
11

が、信託銀行の買い越しが目立ち、公的資金が介入していることが見て取れる。9月の信
託銀行の買い越し額︵東証1部︶は717億円と8月を 億円上回っただけだが、 月は

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1兆1814億円と突然増えた。 月も第3週までに9377億円を買い越しており、先
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週の株価上昇も公的資金によって作為的に形成された可能性が高い。
年代から2000年代初めにかけても公的資金の買いがしばしばみられたが、結局、
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日本株は、いまだ長期下降相場から抜け出せないでいることを考えると、そうした介入は
市場を歪め、一時しのぎに以上の効果は期待できない。だが、そうした過ちを再び繰り返
そうとしている。厚生年金や国民年金として集めた金を、暴落しているからという理由だ
けで、日本株に投じるのは間違っている。結局は稚拙な運用により、巨額の損失を出すの
が関の山だ。
年金などは株などで運用しなくてよいのである。日本経済がマイナス成長を続けようと
しているのに、企業利益など出るはずがなく、どこまで下落するかわからない株に手を出
せば、運用は悲惨な結果になるだけだ。運用者などに給与を支払い、高い運用コストを掛
けることを止めて、国債を自動的に購入すればよい。日本経済がマイナス成長しているの
に、国債利回りは1・4%程度ある、これ以上望むことになれば、相当危ないことに手を
出さなくてはならない。
それにしても、 日本の景気の落ち込み
具合は急坂を転げ落ちている感じで、恐ろ
しいくらいだ。 月の鉱工業生産指数は

10
前月比3・1%低下し、ピークの今年2月
から7・2%の落ち込みである。しかも、
月、 月が前月比6・4%、2・9%そ

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れぞれ大幅に下落する予想になっている。
主力の一般機械、電子部品・デバイス、輸
送機械などが軒並み生産を落とし、 予想

10
通りに推移すれば、 生産は過去最大の急
低下となる。
だが、 この急低下で底が確認されるか
というと、それはまだ先になりそうだ。

90
年代以降、鉱工業生産指数には 年5月、

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年5月、 年 月、そして今回の 年

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00

12

08
2月と4つのピークがみられる。 今回の
ピークを除き、 ITバブルまでの最高値
はほぼ102程度であった。それが、今回
は110・2と約8ポイントも高いとこ
ろまで上昇した。これは一重に、欧米の住
宅バブル、 資源高バブル、 新興国の高成
長等外需拡大の賜物であった。 こうした
予想外の外需拡大によって、 生産は過去
のレベルを大幅に超えた。 ところが、 こ
れらのバブルが相次ぎ破裂したことから、
需要は一気に萎んでしまった。 欧米の住
宅バブル、 資源高バブルといった2つの
バブルの破裂は、 日本だけでなく、 高い
水準に引き上げた世界中の生産を直撃し

11
ており、 資本財を中心に生産の低下はま
だまだ続くだろう。
鉱工業生産予想に基づけば、 月の生

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産指数は ・0に急低下することになる。

93
ITバブル後の谷は ・0、 年1月の

87

94
底も ・8と 程度が底のメドになって

87

87
いるが、2つのバブル崩壊が襲っているた
め、もっと下を想定しておくべきだろう。
月の米個人消費支出が前月比マイナ

10
ス1 ・ 0%の大幅な減少となり、 資本財
受注も前月比4・0%減少するなど、消費と設備投資が一段冷え込んでいる。欧州も 月

11
の消費者物価が前年比2・1%と前月から1・1ポイントも低下、さらに 月の景況感指

11
数は ・5と1985年の調査開始以来の低水準となるなど記録的な指標が相次ぎ、こう
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した需要の激しい後退やマインドの悪化が、まだまだ日本企業を襲うことは間違いない。
生産の急落は企業収益を揺るがすだろう。 年度上期の上場全産業︵金融を除く︶の最
08
終損益は前年を約 %下回ったが、下期は予想をさらに下回り悲惨な結果になり、収益か
25

らみれば、すでに割高な日本株はますます割高となると考えられる。公的資金が購入した
株式はすぐに含み損を抱えることになるだろう。
■ 屑証券の疎開に励む米政府とFRB

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月 日、米政府はシティの救済策を発表した。シティ保有の不良資産3060億ド
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ル︵この3060億ドルの評価は適正なのだろうか︶に対して損失が出た場合、2500
億ドルについては政府が負担するという内容である。520億ドルの資本注入をしておき
ながら、さらにその5倍ほどの金を注ぎ込むのである。
FRBはその3日後の 日、最大で8千億ドルの金融対策を発表。住宅公社保有のモー

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ゲージ担保証券や自動車・カードローンを担保にした証券化商品を買い取るそうだ。
米政府とFRBは血道を上げて民間保有の屑証券を買い込んでいる。これは単に、民間
から政府等への屑証券の移し変えにすぎない。すでにFRBの総資産は2・1兆ドル︵

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月 日時点︶、前年比では1・22兆ドルも増加した。FRBはなにも生み出していない
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ので、財務省からの援助で貸し出しや債券の買い取り用資金を調達する。財務省はといえ
ば、国債を発行して資金調達せざるを得ない。このような方法で景気が回復すると考えて
いるのだろうか。屑証券などをどこかに移転させるのではなく、処分しなければならない。
そうすれば徐々に、血液の流れは正常になり、景気も回復に向かうだろう。
銀行に資本注入しても経済が好転しないことは、日本の経済がいまだに不安極まりない
様相をみせていることからもあきらかである。大きいから潰せないのであれば、解体し、
管理職以上を入れ替えなければならない。銀行と証券は分離し、巨大銀行は分割する必要
がある。なんらリスクを負わず、責任を取らない銀行を自由にさせておいたつけはあまり
にも大きい。

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﹁人間の経済﹂、通巻 号
231

 二〇〇八年一二月八日 発行
 編集・発行 ゲゼル研究会
0021

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221

321
  Gesell Research Society Japan
  http://www.grsj.org/
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頒価1ワット
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