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【正論】東京基督教大学教授・西岡力 ミサイル技術の対北流出断て - MSN産経ニュース 26/04/09 12:33 PM

【正論】東京基督教大学教授・西岡力 ミサイル技術の
対北流出断て
2009.4.23 02:52

 ≪ダチョウの弱気許されず≫

 北朝鮮が大陸間弾道ミサイルの発射実験を強行した。わが国をはじめ世界中に工作員
を送り、12以上の国々の罪のない国民を多数拉致して抑留し続けるテロ国家が、すで
に核爆弾を持ち、その運搬手段である弾道ミサイル開発を続けている。わが国と世界の
安全保障に対する重大な脅威だ。

 彼らの恐喝外交には「悪いことをしたときには罰が与えられ、ほうびは来ない」とい
うことを骨身にしみて分からせるしか対抗手段がない。その意味で、「極めて挑発的な
行為であり、断じて看過することはできない」と強く抗議するとした麻生首相の発言、
「ルール違反で処罰されなければならない」としたオバマ米大統領の発言を支持した
い。

 今回のテポドン・ミサイルはその射程から米国攻撃を意図したとみられる兵器だが、
ミサイル技術の向上、日米同盟の核抑止力への挑戦という面では、わが国にとって深刻
な問題だ。日本を射程に入れるノドン・ミサイルは1993年に実験がなされ、すでに
150 200基以上が実戦配備されている。こちらこそがわが国への直接的脅威とい
える。

 ノドンの実験のとき、当時の宮沢内閣の河野洋平官房長官は米国からもたらされた発
射情報を非公開とした。ダチョウが外敵に襲われるとき、頭を足の間に入れて外敵を見
ないようにしてやり過ごす、それと同じ対応だった。当時の官僚トップ石原信雄官房副
長官が、河野長官の方針に従わずマスコミに情報を流したので、国民は危機の存在を知
ることができた。

 ≪追加制裁で足りないもの≫

 それに比べると今回、麻生政権は「ミサイルが領土領海を侵すならば迎撃」と明言
し、米韓首脳などの支持を取りつけ、MD(ミサイル防衛)システムを海陸に展開し
た。この結果、毅然(きぜん)たるメッセージを北朝鮮に送ることができた。看過して
はならない成果といえる。政府はMDの一層の拡充強化に努めてほしい。
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はならない成果といえる。政府はMDの一層の拡充強化に努めてほしい。

 ミサイル発射を受けて政府は現行制裁の1年間の延長と追加制裁を決めた。その際出
された官房長官談話は拉致問題にも触れ、「昨年8月に合意した調査のやり直しにいま
だ着手していないことなど」と北の不当な対応を具体的に指摘した。そのうえで「昨年
8月の日朝実務者協議の合意に従い、 北朝鮮が具体的な行動をとることを求める」と
記した。

 当然のことながら評価したい。しかし追加制裁は「対北送金と現金などの持ち込みに
際して届け出を義務づける基準の引き下げ」だけである。現行法規の範囲で政府の決断
一つで実行可能な輸出や送金の全面禁止、在日朝鮮人・日本人の北朝鮮往来の全面禁止
などが実行されなかったことは残念だ。それらを実行してわが国の強い意思を示した上
で、国連などを通じた国際制裁の強化実現のために努力するのが筋だろう。

 追加制裁に関してぜひ知るべき事実がある。一部の朝鮮総連系在日本朝鮮人が北朝鮮
の核ミサイル開発に技術的に大きく貢献していることである。

 在日本朝鮮人科学技術協会(科協)は国内の大学や企業で働く在日朝鮮人研究者ら約
1200人で組織され、朝鮮労働党の工作機関「対外連絡部」の直轄下にある。崔泰福
朝鮮労働党書記は1999年8月、科協幹部らも招かれた大会で前年のテポドン1号発
射実験に対する在日科学者、技術者の貢献を公然とたたえている。

 2005年10月、警視庁が薬事法違反容疑で科協の副会長らを逮捕した際の家宅捜
索で、陸上自衛隊の地対空ミサイル(SAM)の資料が防衛庁から科協に流出していた
ことが判明している。

 ≪北を往復するエンジニア≫

 昨年10月中旬、科協所属の徐判道・金剛原動機合弁会社副社長らが訪朝し、1カ月
滞在して帰国した。徐・副社長は東大出身のエンジンの専門家で、2006年のミサイ
ル実験の際にも訪朝している。徐錫洪同社長も東大出身のエンジン専門家で、この間何
回も訪朝してきた。金剛原動機合弁会社は、元山に本社と工場を構える北朝鮮との合併
会社で、表向きはモーターの会社だが、ミサイルエンジンに関連しているといわれてい
る。金正日総書記は2002年2月に同社現代化のための「配慮金」100万ドルを総
連に送り、同年10月21日には同社を現地指導した。

 このような事実を踏まえるなら、追加制裁として、すべての在日朝鮮人、少なくとも
軍事に転用できる技術を持つ在日朝鮮人の北朝鮮渡航を禁止して、技術流出を止めるこ
とが絶対必要だ。具体的には現在、北朝鮮の国会議員をかねる6人の朝鮮総連幹部に科
されている北を渡航先とする再入国許可停止措置を拡大するとともに、別の国を渡航先
として申請して北入国が判明した場合には、在留資格の取り消しなどの罰則措置を取る
ことだ。自民党拉致問題特命委員会でも何回も論議し、民主党の拉致問題対策本部も昨
年末に決めた追加制裁案の中に、同じ項目を入れている。麻生首相の決断を強く求めた
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年末に決めた追加制裁案の中に、同じ項目を入れている。麻生首相の決断を強く求めた
い。(にしおか つとむ)

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