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オペアンプ
オペアンプ
1.反転増 幅回路
1.1 目的
反転増幅回路を作成することを通して、反転増幅回路であるオペアンプの一種の基本的な特性を理解する
1.2 原理
1.2.1 OP アンプの基本知識
OP アンプはアナログ信号の演算ができる増幅器という意味から「Operational Amplifier」と名付けられた。
OP アンプは通常 2 つの入力端子、1 つの出力端子及び正負菱電減端子を持った差動増幅回路であり、下図の
ように示している。
V+:非反転入力端子
V-:反転入力端子
VS+:正電源端子
VS-:負電源端子
Vout:出力電圧
図 1 OP アン プ 図 2 OP アン プ内部 の等価 回
路
大類重範『アナログ電子回路』によれば、理想 OP アンプは次のようになる。
1. 反転入力端子と非反転入力端子における入力電圧は同じである。すなわち、V
1.2.2 反転増幅回路
Vi − Vin V − V0
I1 = , I 2 = in
Rin Rf
理想的な OP アンプの入力インピーダンスは無限大なので、入力端子には電流が流れないから、
I1 = I 2
となる。したがって、
Vi − Vin Vin − V0
=
Rin Rf
より、V0 と Vi の間の関係は、次式が成り立つ。
Rf
V0 = − Vi ...(式1)
Rin
ただし、負の符号は位相が反転することを示している。
1.3 使用した実験装置・器具
演算増幅回路実習装置(OPA-20) 1 台
マルチテスタ 2個
10kΩ の抵抗 1個
1.4 実習手法
i. マルチテスターを用いて、入力電圧 Vi を 2.0[V]に設定する。
v. 出力電圧を測定できるようにマルチテスターを接続する。このとき、マルチテスターのレンジは 20V
にする。
vi. 演算増幅回路実習装置の電源をオンにする。
vii. 出力電圧を測定してから、演算増幅回路実習装置の電源をオフにする。
1.5 結果
以下の表に可変抵抗の値によって、測定した出力電圧および計算した反転増幅回路の理論値を表す。
表 1 反 転増幅 特性
1.6 考察
今回の実習は、反転増幅回路を作成することを通して、反転増幅回路であるオペアンプの一種の基本的な特性
を理解するために行った。OP アンプは Operational Amplifier の略で、意味通りにアナログ回路の中に信号
を増幅するための役割を持つ。この性質は本実習から明らかなように、入力電圧 Vi を 2.0[V]にしても、可変
抵抗値が 2.0[kΩ]のとき、出力電圧は 11.43[V]と増幅した。さらに、式1からわかるように、出力電圧は入
力電圧の可変抵抗値分のフィードバック抵抗値の倍になる。
しかし、実験による得られた出力電圧は理論的な値と比べると同じでなかった。私たちが測定した出力電圧は
理論的な値より大きかったということがわかった。たとえば、可変抵抗値が 2.0[kΩ]のとき、理論値は 10V
であるはずだが、得られた測定値は 11.43[V]であった。
その理由を説明することに先立ち、この反転増幅回路の具体的な動作を説明し、得られた相違点との関係をつ
けようとする。(図 3 参照)まず、アース側が常に電圧が 0 であるから非反転入力端子における電圧も 0 と
なる。すなわち、V+=VG=0 となる。すると、 第1理想 OP アンプの条件を考慮すれば、反転入力端子も 0
となる。このようにして、Rin に流れている電流はオームの法則により、I1=(Vin – V-)/Rin=Vin/Rin となる。同
じく、Rf に流れている電流は I2=(V- - Vout)/Rf =-Vout/Rf となる。理想 OP アンプの性質に基づいて、OP アン
プに入ってくる電流はないから、I- = 0 である。すると、キリヒホッフの法則を適用すれば、I1=I2+I-=I2 と
なる。I1 と I2 にさっき求めた値を代入すると、式 1 が求まった。
このように考えると、本実習では理想 OP アンプの性質が満たさなかったから、最終的に得られた値は理論値
と同じでなかったと考えられる。すなわち、OP アンプの中の入力インピーダンスは十分大きくなかったので、
反転入力端子から非反転入力端子に電流が流れることによって、OP アンプの中に電流が流れる恐れがあると
考えられる。
機械工作実習1、KMJ3161‐OP アンプ‐ハイリ 07049 5
また、出力電圧が入力電圧より倍になる理由は可変抵抗値によって決まることが考えられる。仮に、指定され
た可変抵抗値より違って測定すれば、最終的に出力電圧が変わったと思われる。つまり、個人誤差が原因にな
ると考えられる。さらに、可変抵抗の素子は本当に効果的に働くのかはっきりわからなかったからである。
次に、カリスさんたちのグループの結果と比べると、カリスさんたちの実験値はほぼ理論値と同じ値を得た。
カリスさんの結果は以下に示す。(図 9 参照)
カリスさんたちの結果を見ると、実験値と理論値はほぼ同じ曲線にある。カリスさんたちによると、可変抵抗
の値を決めるとき、マルチメータの測定はできるだけ正確な値が得るように可変抵抗を調節する。すなわち、
表示値が落ち着くことが確認したあと、電源をオンにする。したがって、出力電圧が可変抵抗値の次第で変わ
るといえる。
2.1 目的
非反転増幅回路を作成することを通して、非反転増幅回路であるオペアンプの一種の基本的な特性を理解する。
さらに、非反転増幅回路と反転増幅回路との違いを理解し、比較を行う。
2.2 原理
図 10 非反 転増幅 回路
V0 R1 + R2 R
= = 1+ 2
Vin R1 R1
したがって、
R
V0 = 1 + Vin
2
...(式 2)
R1
となる。
2.3 使用した実験装置・器具
演算増幅回路実習装置(OPA-20) 1 台
マルチテスタ 2個
10kΩ の抵抗 1個
2.4 実習手法
i. 1.4 と同じような手法で、非反転増幅回路の特性を測定する。
iii. 非反転回路の理論値(式2)を計算し、実験値との比較を行う。
2.5 結果
以下の表に可変抵抗の値によって、測定した出力電圧および計算した非反転増幅回路の理論値を表す。
以上の結果に基づいて、実験値による非反転増幅回路の特性を図 13 に、非反転増幅回路の理論特性を図 14
に示す。それぞれのグラフは、y 軸に出力電圧[V] 、x 軸に可変抵抗値[kΩ]をとるグラフである。
機械工作実習1、KMJ3161‐OP アンプ‐ハイリ 07049 8
図 13 実験 値によ る非反 転増幅 特性
図 8 と図 15 のグラフを重ね、反転増幅回路と非反転増幅回路を比較するグラフは図 16 に示している。右側
の y 軸に理論値[V]、左側の y 軸に実験値の出力電圧[V]、x 軸に可変抵抗値[kΩ]を採るグラフである。Y 軸の
0 の値より大きい値は非反転増幅回路の特性を、0 より小さい値は反転増幅回路の特性を現している。
本実習では、非反転増幅回路を作成することを通して、非反転増幅回路であるオペアンプの一種の基本的な特
性を理解し、さらに、非反転増幅回路と反転増幅回路との違いを理解して比較を行った。非反転増幅回路は反
転増幅か炉と同じように、アナログ回路の中の信号を増幅するために用いられる。しかし、電流の向きが反対
の方向に流れるのみの相違点が知られている。この実習では、得られた実験値は理論値とほぼ同じであるが、
全体的にいうと理論値より少し大きかったとわかった。
この理由を説明することに先立ち、まず非反転増幅回路の具体的な動
作を説明する。(図 17 参照)非反転入力端子における入力電圧 V+と
入力電源 Vs は同じ経路にあるから、V+の電位差は Vs と同じ値を持つ。
第 1 理想的な OP アンプの条件に基づいて、非反転入力端子と反転入
力端子の入力は同じはずなので、V+=V-である。すると、V1 は V-と
同じ経路にあるから、V1=V-=V+=Vs となる。Z2 に流れる電流 I2 は
オームの法則により、I2=(Vout-V1)/Z2=(Vout-Vs)/Z2 である。同じく
オームの法則を適用すると、Z1 に流れる電流 I1 は I1=(V1-0)/Z1=Vs
図 17 非 反転増 幅回路 /Z1 と求められる。そして、V1 で、キリヒホッフの法則を適用すると、
I1=I2+I-=I2 となる。さっき求めた I1 と I2 の値を代入して式 2 が求ま
った。
このように考えると、非反転増幅回路の出力電圧は入力電圧の(1+R2/R1)の倍になる。すなわち、非反転増幅
回路の出力電圧は反転増幅回路と同様に可変抵抗の値により変わったと考えられる。可変抵抗の内部の様子が
わからないこと、かつ、可変抵抗の調節が困難であることはその相違点の原因になると思われる。
そして、反転増幅回路と非反転増幅回路の出力電圧を比較すると、明らかにわかった出力電圧の位相が反対に
なること以外に、非反転増幅回路の出力は不安定である状態を観察した。たとえば、実習結果をよく見ると、
非反転増幅回路の出力は可変抵抗が 2.0~13.0[kΩ]のとき、出力電圧が可変抵抗値と反比例的に変わったが、
14.0[kΩ]のとき、出力電圧が少し大きくなった。
この、不安定な状態は式 2 から明らかなように、非反転増幅回路の出力電圧は入力電圧の(1+R2/R1)の倍で変
わったからであると思われる。一方、反転増幅回路の出力電圧は入力電圧の(R2/R1)の倍だけで変わる。つま
り、入力インピーダンスの後、可変抵抗は OP アンプの回路の中に必要不可欠な役割を果たすと考えられる。
参考文献
iii. 図 1、2、3、10:http://en.wikipedia.org/wiki/Operational_amplifier
iv. 図 17:http://www.eas.asu.edu/~holbert/ece201/opamp.html
以上