Organic EL

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課題名 有機ELのための有機金属錯体の合成と評価

発表者氏名 今元惇哉 小田島岳史 中島健一郎


指導教官 成田彰
1、目的
有機ELディスプレイは、実用化されているプラズマや液晶ディスプレイに比べ、低電
力で高い輝度を得ることができ、視認性、応答速度、消費電力の点で優れており未来のデ
ィスプレイとして注目されている。だが、一方で寿命が短いなどの問題点もある。
本研究では、有機ELの有機層に着目し、それに使用可能な有機物の探求・合成ととも
に有機ELに対する性能等を比較・評価した。
2、概要
一 般 的 に 有 機 E L の 有 機 層 に は Alq 3 ( Fig.1) が 使 わ
れ る が 、 こ の 中 心 金 属 元 素 を Mg、 Ca、 Ba、 Sn、 Zn、
Ni、 Cu に 変 え た 有 機 金 属 錯 体 を 合 成 し た 。 ま た 、 キ ノ
Fig.1 Fig.2
リ ノ ー ル に メ チ ル を 導 入 し た 有 機 金 属 錯 体( Fig.2)を 合
Alq 3 の 構 造 式 Almq 3 の 構 造 式
成するとともに紫外線を照射したときの発光色・強度の
変化を調査した。
※ Alq 3 の Al が 他 の 金 属 M に 置 き 換 わ っ た 錯 体 を そ れ ぞ れ Mq 3 と 、ま た メ チ ル 基 を 導 入 し
た 形 を Mmq 3 と 表 記 す る 。
3合成方法
(1)Mq 3 の 合 成 ※ こ こ で は 例 と し て Alq 3 の 合 成 法 を 示 す 。
( 8-hydroxyquinoline)
AlCl 3 ・ 6H 2 O( 塩 化 ア ル ミ ニ ウ ム ) 混合 0.88g
0.48g → 純 水 に 溶 か す 。 ※ ①
→ ethanol に 溶 か す

p H = 11 に 調 整 ( NaOHaq)

沈 殿 の 生 成 ( Alq 3 )

(2)メ チ ル 基 を 導 入 し た Mq 3 の 合 成

混合 ( 2-methyl-8-hydroxyquin
AlCl 3 ・ 6H 2 O( 塩 化 ア ル ミ ニ ウ ム )
oline) 0.96g
0.48g → 純 水 に 溶 か す 。 ※ ①
→ ethanol に 溶 か す

p H = 11 に 調 整 ( NaOHaq)
※ ① 他 の 金 属 例 え ば 、Caq 3 を 合 成
す る 場 合 CaCl 2 を 用 い る 。 沈 殿 の 生 成 ( Almq 3 )

4、結果
table.1 : U V 照 射 に よ る 発 行 色 の 違 い ( ×: 発 光 し な か っ た )
中心金属元素 Mg Al Ca Ni Cu Zn Sn Ba

Mq 3 青緑 黄色 水色 × × 黄緑 黄色 水色

メチル基導入 水色 水色 水色 × × 緑青 水色 水色
(1)U V 照 射 に よ る 発 行 色 の 違 い 90

今回それぞれ 7 種類の金属元素を 80

70 Alq3(①)
導 入 し UV 発 光 を 比 べ た が 、 遷 移 金 属 元
60

素は発光を示さなかった。

強度(%)
50 Baq3(②)
(2)メ チ ル 基 導 入 に よ る UV 発 光 の 変 化 40 ①

table.1 か ら も わ か る 通 り 、全 体 的 に 30 Caq3(③)

発光色が青色側にシフトしているのがわ 20
Mgq3(④)
10
か る 。 特 に Alq 3 と Znq 3 は 変 化 が 激 し か
0 Znq3(⑤)
っ た の で 下 図 (Fig.4, Fig.5)に 示 す 。 400 450 500 550 600 650 700 750
※ Snq 3 は 発 光 が 非 常 に 弱 い た め デ ー タ が 取 波長(nm)
Fig.3 UV 照 射 時 の 発 光 ス ペ ク ト ル
れなかった。
100 100
90 90
80 80
A lq3(① )
70 70 Znq3(①)
強度(%)

60 60
強度(%)

50 ①
A lm q3(② ) 50
Znmq3(②)
40 40

30
② 30
20

20
10 10
0 0
300 400 500 600 700
波 長 (nm ) 400 500 600 700
波長(nm)
Fig.4 Alq 3 と Almq 3 の 発 光 ス ペ ク ト ル の 違 い
Fig.5 Znq 3 と Znmq 3 の 発 光 ス ペ ク ト ル の 違 い
5、考察
(1) 典 型 元 素 は d 軌 道 が す べ て う ま っ て い る た め 、
励 起 状 態 に な る と d 軌 道 よ り エネルギー準 位 の 高
い p 軌 道 に 移 る 。こ の d 軌 道 と p 軌 道 の 間 は 、
エネルギーギャップが 可 視 光 の 範 囲 と 対 応 し て い る
Fig. 6
た め Fig.7 の よ う に 、可 視 光 線 と し て 放 出 し
た と 考 え ら れ る 。そ れ に 対 し 、遷 移 元 素 は 空 の d 軌 道 が あ る 。
Mq 3 の 中 心 金 属 元 素 に よ っ て 、 d 軌 道 が エネルギーの 異 な る 2 つ
の軌道に分かれる。その 2 つの軌道には赤外線や熱に対応す
る エネルギーギャップが 生 じ る 。そ の た め 、Fig.6 の よ う に 赤 外 線
Fig. 7
や熱として放出されるため発光を示さなかったと考えられる。
(2) メ チ ル 基 を 導 入 し な い と Fig.4・Fig.5 か ら わ か る 通 り 、波 長 500~600( 緑 ~ 黄 )の 光
が 多 く 含 ま れ て い る 。 そ の た め 、 Alq 3 と Znq 3 の UV 発 光 は 少 し 黄 色 が か っ て 見 え て
い た 。一 方 、メ チ ル 基 を 導 入 す る と 波 長 500~600 の 光 が 明 ら か に 弱 ま っ て い る の が わ
かる。よって、メチル基によって全体的に青色がかった色に変化するのではないかと
考えられる。
6、今後の課題
・ 合成した有機金属錯体を素子にして発光等を比較、評価する。
・ 側 鎖 に メ チ ル 基 を 導 入 し た 有 機 金 属 錯 体 を 合 成 し た が 、他 の 基 を dy 2 導 入 し 変 化 を 比 較
する。

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