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親中の現実、アンゴラは脱「中国一辺倒」
02/19 09:55

【巨竜むさぼる�中国式「資源」獲得術】第2部�親中の現実(4)
�■アンゴラは脱「中国一辺倒」
�その無機質なモニュメントは、アンゴラがかつて社会主義国だったことを思い起こさせた。1979年に没したネト初
代大統領の記念塔である。首都ルアンダの海岸近くに、そびえ立っていた。
�建設したのはアンゴラでもなければ、同国と関係の深い中国でもない。記念碑造りには 定評 のある北朝鮮だっ
た。「旧ソ連が途中でほうり出した事業を引き継いだ」(外交筋)という。ほぼ完成したためか、作業員の姿はなかっ
た。
�「われわれはアンゴラの独立を世界で2番目に承認した。時差の関係でブラジルには負けたがね」
�ルアンダ中心部のベトナム大使館。ファム・チエン・ニエン大使(59)はアンゴラとの特別な関係を強調した。アン
ゴラ在住のベトナム人は5千人に達し、支援の一環として数多くの医師や教師が地方に派遣されているという。
�アンゴラは75年に、社会主義国としてポルトガルから独立した。その後の内戦ではソ連、キューバなど旧東側陣
営がネト政権を支援し、米国と南アフリカが反政府組織を後押しした。
�当時、アンゴラで盛んに使われた呼びかけの言葉に、「カマラーダ」(同志)というポルトガル語がある。確かに、北
朝鮮やベトナムはアンゴラの「カマラーダ」だった。中国はしかし、中ソ対立の影響もあって大きな貢献をしておらず
同志としては影が薄い。
�「カマラーダ」は支援をするだけではない。ニエン越大使によると、昨年末、国営石油会社、ペトロベトナムの社長
が来訪したという。ベトナムはアンゴラの石油のほか、豊富な天然ガスにも関心を示している。
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�アンゴラ政府は、石油収入とその使途の透明化を求める国際通貨基金(IMF)など、国際社会の声を無視してき
た。資金援助をしてくれる中国という後ろ盾があったからだ。
�「その代わり、アンゴラは悪い条件をのまされてきた」。ルアンダにある名門、カトリック大教授(経済学)のピント・ア
ンドラーデ氏(60)はそう語る。
�中国が受注した工事では市場価格より高い中国製資材を甘んじて受け入れてきたアンゴラに、転機が訪れる。
2008年、中部ロビトに製油所を建設する合弁事業でアンゴラと中国との間の協議が決裂したのだ。
�アンドラーデ氏によると、中国側が油の対中輸出分をもっと増やすよう要求、国内向けの供給を重視するアンゴラ
と折り合いが付かなかったのだという。
�「大統領ファミリーや軍、与党、政府の特権的幹部らが欧米とのビジネスを望んでいる。中国だけではなく、欧米
からもワイロを得ようと狙っているのだ」
�アンゴラが中国と距離を置き始めていると指摘するアンドラーデ氏は、その背景をこんなふうに説明してみせた。
�象徴的だったのは、アンゴラ政府が昨年11月、IMFの融資受け入れでIMF側と合意したことだった。国際社会との
関係改善に向けた、アンゴラ側のシグナルと受け止められた。
�クリントン米国務長官も昨年8月、アンゴラを訪問し、アンゴラ財務省に米側専門家が出向することになったとい
う。オイルマネーの透明化に向けた第一歩と期待されている。
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�変化の波は日本にも押し寄せた。昨年末、アンゴラの地質鉱山省が日本大使館に協力を求めてきたのだ。鉱物
資源開発の国家計画を策定・実施するに当たり、資源調査などに協力してくれないか−という要請だった。ブラジ
ル、ロシア、スペインにも同様の協力が打診された。
�越川和彦大使(53)は、中国がその中に含まれていないことを知り、「アンゴラ政府はリスクの分散を図ろうとして
いるな」とみた。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/print/economy/worldecon/359512/
�手付かずの鉱物資源の調査に最初からかかわることができる好機である。積極協力する意向を伝えた。
�「中国や欧米のように、日本もアンゴラを資源が眠るビジネスチャンスの場として、有望な市場としてとらえるべき
だ」。大使はアンゴラ側の変化の機会を逃してはならないと訴える。
�石油、ダイヤモンドのほかにも、アンゴラは多くの資源を抱えている。「北部地域の銅、南部のウランも有望だ」とい
う地質鉱山省のルイス・アントニオ国際協力局長。「さまざまな国がこの資源開発計画に関心を示している」と強調
することも忘れなかった。
�ポルトガル語圏をはじめとする欧米諸国、そして「カマラーダ」。アンゴラは決して中国一辺倒ではない。(藤本欣
也)

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http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/print/economy/worldecon/359512/

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