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「プレゼンテーション」

勤医協中央病院 総合診療部 佐藤健太


レベル別プレゼンテーションスキル

• BPS:Basic Presentation Skills


→プレゼンする際の「心意気」と「型」について

•IPS : Intermediate Presentation Skills


→プレゼンに含むべき「内容」と、上手い「伝え方」

• APS : advanced presentation skills


→プレゼンを行う「相手」と「状況」に応じて使い分ける
今回の目標

• BPSを身につける
– ノンバーバルで9割がた決まる
– 内容がつまらなくても、立派に見せるポイント

• IPSの流れを知る
– 基本フォーマットの反復練習
– 同じ内容でも、より相手を惹きつけるコツ
BASIC
PRESENTATION
SKILLS
7% ボディランゲージ

話しかた

話の内容

38% 55%
ボディランゲージ
姿勢 :両足を肩幅の広さに。堂々と立つ。
立ち位置 :聴き手から見える場所を陣取る。
ホワイトボード・画像・自分と視線を誘導

指導医のプレゼン!

ダメな研修医のプレゼン
話しかた
• 最初と最後が肝心!
最初・・・いきなり始めない。
「では、症例提示を始めさせていただきます」
最後・・・なんとなく終わらない。
「以上です。ご質問は?」

語尾…言い切る!
「と思うんですが・・・」→「~です」「~ます」

枕詞…余計なことを言わない
「えー、あのー、そのー」はダメ
話しかた
• テンポが大切
途中で間違っても止まったり、謝る必要はない
はっきり、ゆっくり話す。

• 目線は聞き手へ
声は目線の先にしか届かない(メモより人へ)
反応を見ながら話し方を変える(常識)
小まとめ
• 見た目と話し方が大切
– 内容のまずさは大分ごまかせる
– まず伝える=聞いてもらうためには必須のスキル

• ただし内容がどうでもいいというわけではない
INTERMEDIATE
PRESENTATION
SKILLS
大原則
• 鑑別診断をロコツににじませる
・クイズ大会ではない!!
・診断に寄与するキーワードをちりばめる

• The shorter, the better


・忙しい、イライラする→最後まで聞かない
・30分→10分→5分→2分→1分→一言へ
「道」を極めるコツ
• 型を決めて執拗に繰り返す(守・破・離)
・Always SOAP and ABC (流れと重要度順)

• つまらないプレゼンは、誰も聞かない
・常にBPSは維持する
実際のプレゼンの内容と順序
• Subjective(2-3分)
1.Opening Statement & 主訴
2.現病歴
3.既往歴・生活歴
• Objective(1-2分)
4.身体所見
5.初期検査
• Assessment&Plan(2-3分)
6.プロブレムリスト
7.アセスメント & プラン
1.Opening statement

• ID(氏名・年齢・性別)と主訴が最低限

• 主訴に関係する背景もここに混ぜる!
⇒「△△さんは、来院2日前までは特に問題のない
健康な24歳の男性でしたが、一昨日の起床時に
突然の胸痛を自覚」

この一言をいれるだけで、聴衆の理解度が格段に良くなる。
→ディスカッションがはずむ
→できる研修医っぽい
2.現病歴

• chronological and pertinent


– 時間経過にそって
• 「日付」でなく、「受診何日前か」で表現
• 受療行動に触れるなら、その「効果・結果」も述べる

– 意味のある陽性/陰性所見を述べる
• 検査結果で異常所見だけ述べるのはだめ
意味のある所見とは
• 鑑別疾患を考える上で必要な情報のみを効率よく伝える
– Pertinent positive history/sign
意味のある陽性症状/所見
→理想的にはこれだけでプレゼンを構成する
– Pertinent negative history/sign
意味のある陰性症状/所見 ≠意味のない症状/所見
→意味がないなら言わない

<意味のある情報>
聴衆に、具体的な鑑別疾患を想起させるキーワード
その情報により、ある疾患の確率を左右する症状/所見
3.既往歴・生活歴など
• 既往歴
– 手術歴(±輸血歴)、アレルギー歴
– 内科疾患+薬剤歴
– 月経歴
– 感染症情報(シックコンタクト、ワクチン、性、動物、旅行)
• 家族歴
– 疾患歴
• 生活習慣病、悪性腫瘍・IHD・脳卒中、
• 患者の疾患と同じ臓器の病気、遺伝性疾患
– 家族構成
• 家系図、主な病名・年齢・居住地
• 生活歴
– 喫煙、飲酒 →全ての患者で必須
– 食事、運動 →生活習慣病とうつ病スクリーニング
– 睡眠・ストレス→うつ病、不安への配慮(をアピール)
4.身体所見
• 順番を守って、簡潔に
– バイタルサイン
– HEENT&neck
– 胸・背・腹部
– 四肢
– 神経系

– Pertinentなところは個別に述べるが、
項目内にPertinentな情報がなければ一括する
5.検査所見
• 順番を守って簡潔に
– 事前に提示するデータは並べておく
– ほかの事を述べている間は隠す

– 検体検査 (採血、尿検査、その他)
– 生理検査 (ECG、エコー・スパイロ)
– 放射線 (単純X線、CT、MRI、シンチ)

☆基本は採血(CBC/生化/その他)→尿検査→ECG→CXR
6.プロブレムリスト

• まず、全リストを列挙する
– 聴き終わったと思ったのに、次々話が出てく
るのはウザイ

– 重要度順に
• 症例を把握する能力がロコツに現れる
• 入院中に関与しないなら、リストに挙げない
• 心理社会的問題点も含めたほうが良い
7.アセスメント & プラン
• 各プロブレムごとにA→Pの順に述べる
– まずは第一診断名Most likely diagnosisに関して簡潔に
診断名→その根拠→プラン(追加検査、治療方法)
「~~といった根拠から○○と診断しました。したがって治療は何々
を、追加検査としてこれを行います」

– 鑑別診断(Must rule out)を述べる場合には、この後に追加


「鑑別としてA、Bを考えていますが、○○の根拠から否定的」
「診断基準を満たすのですが、尐し非典型的な印象があり・・・」

– マイナープロブレムは扱いも軽く
「#5~8に関しては順次対応していきます」くらいでもよい
まとめ
• Opening statementを必ず言おう!

• 必要な情報「だけ」を、型に沿って並べる
– 究極型は「OS+診断名+方針」で30秒!

• アセスメントの簡潔さが優劣を分ける!

• いつも心にBPSを!!
参考文献
• 「米国式 症例プレゼンテーションが劇的に
上手くなる方法」
岸本暢将(著) 羊土社 3360円

• 「プレゼンテーションを学べ!!」
Andrew Bradbury(著) Discover
おまけ.アセスメント と プラン の違い

• 今日からは、A/Pと書くのはやめましょう!

• Assessment
– 鑑別診断 最低3個
• 重症度、臨床分類、合併症、細かい病態など付け加える
• 「一番考えられる診断名は急性心不全、鑑別として気管支喘息・ARD
S。急性心不全としてはNYHAⅢ度で、low output typeで拡張不全がメ
インの左室不全です。弁膜症とAfも合併しており、pre-shockの状態でも
あります。」
– 思考・判断のプロセスも一言そえる

– 方針(≠計画)
→「明日飲みに行こう!」が方針 (そのうち尿量をみて徐水する)
「店、参加者、会費、幹事や開催理由を明示する」のが計画
おまけ.アセスメント と プラン の違い

• Plan(=計画)
– 具体的・簡潔・明確に
• 誰が、いつ、どこで、何をどういった手技で実施する

– 3つに分けて考えるクセをつける
• Dx →診断、病態把握に必要なS&O(検査だけではない)
• Tx →原因治療、対症療法、病態修飾
• Ex →病状説明、患者教育など

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