Financial Times

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[FT]十分な自由を謳歌する中国経済界のエリート

(2010 年 10 月 21 日付 英フゖナンシャル・タ゗ムズ紙)

今週、中国共産党の年次総会で習近平氏が軍の要職に任命されたことから、中国はほぼ確実に次期
最高指導者になる人物を知ることになった。だが、この国には習氏のことをよく知る人はおらず、気に
かける人もほとんどいない。

次期最高指導者に無関心な大学生

「胡錦濤(国家主席)の後継者が誰になるかなんて、中国の学生の大半は関心がない。それよりもキ
ング(・オブ・ポップ)のマ゗ケル・ジャクソンの後継者の方に関心がありますよ」

中国旅行中の筆者が北京で出会った清華大学の大学院生、゗ン・ワンさんはこう語った。折しも、習氏
が次のリーダーとして登場し、知識経済への発展を目指す新5カ年計画の草案が発表された時のこと
だ。

もっとも、政治に関する知識はまだ十分ではない。中国の政府系英字紙チャ゗ナ・デーリーに載った
略歴によれば、習氏は「村長という低い地位 から身を起こした」。10 代のころは羊飼いとして働き、
「夜にはノミの嫌がらせに耐えながら灯油ランプのほの暗い明かりで読書に励んだ」という。

ここには、正しい部分もあれば、そうでない部分もある。確かに、文化大革命のために農場でかゆい
思いをして時間を過ごさざるを得なかったこともあったが、出自は決して低くない。

全体主義体制の維持と高成長の並立は不可能か

彼は党の有力派閥を構成している「太子党(共産党高級幹部の子弟のグループ)」の一員であり、清
華大学で学んだ。恐らく胡氏と同じくらい退屈でテクノクラート的な人物になるのだろう。

今や世界第2位の経済大国に成長した中国で、ダークスーツに身を包んだ初老の男性たちが整列し、
党の方針を支持するという意思表示のために 手を挙げる光景はこっけいに映る。中国では 2015 年ま
でに大卒者数が2億人に達する見通しだが、これほど豊かで教育水準も高い市民が、いつまでも政治
的 に従順なままでいられるものだろうか?

それ以前に、中国は高度な経済を誇る国になれるのだろうか? 低賃金しか払えない工場を知識
集約型のハ゗テク産業やエネルギー産業の新興企業に置き換えることが、国民を自由にすることなく
成し遂げられるのだろうか?

欧米の楽観論者たちは、最終的には資本主義が自由をもたらすと考えてきた。国家管理と荒々しい
自由市場資本主義という中国独特の組み合わせは、いずれその矛盾に押しつぶされるというわけだ。
ニューヨーク・タ゗ムズ紙のコラムニスト、トーマス・フリードマン氏も先日、中国が全体主義体制を維
持しながらあれほどの高成長を続けることは不可能だと書いている。

体制に不満持たない若手特権階級

長期的には楽観論者たちの予想通りになるかもしれない。だが、中国の「長期的」はかなりの長期だ。
筆者が今回参加した中国のエリートたちに 会う旅は、中国と米国の架け橋になることを目指して中国
系米国人が立ち上げた「百人会(Committee of 100)」という団体が企画したものだったが、道中では反
乱の兆候などほとんど見受けられなかった。

それどころか筆者は、清華大学でも北京市第 101 中学校でも、あるいはハ゗テク企業を立ち上げた


起業家との会話でも、中国で台頭しているエ リートたち、すなわちビジネス界の若手特権階級の人々
は不満など持っておらず、納得したうえで政府の制限の範囲内で行動しているという印象を持った。

実際、彼らは多少の自己検閲を行うことで、ほとんどの人がうらやむような待遇を得ている。

かつて詩人ワーズワースはフランス革命について、「生きて迎える夜明けは歓び、だが若さこそは至
上の至福」と書いた。1989 年の天安門での抗議行動に加わった人々の子供たちにも同じことが言える
だろう。しかし彼らにとって、夜明けとは資本主義のことだ。

高い教育と豊富な起業機会

清華大学などで科学や工学を学んだ卒業生たちは、多くの人が大学に残って勉学を続ける米国の
スタンフォード大学やゕ゗ビーリーグの卒業生たちと同じくらい、いやもしかしたらそれ以上に多くの機
会を手にする。

この世代にどんなものが与えられているか、考えてみよう。彼らはまず、極めて質の高い教育を受
けている。英国や米国の゗ンナーシテゖと呼ばれる貧しい都心部にある大部分の学校よりはるかに良
質だ。

いわゆる一人っ子政策のために兄弟姉妹がいないから、お金の心配をほとんどせずに済む。事業を
立ち上げようと思えば資金は豊富に集められるし、世界有数の規模を誇り、急成長を遂げている国内
市場をターゲットにすることもできる。

その見返りに求められることは、さほど多くない。勤勉であること、公の場での発言には慎重を期す
ること。もっとも内輪では大抵、思ったこと を口にできる。そして、反体制派の劉暁波氏へのノーベル
平和賞授与や、東シナ海の釣魚島(中国側の呼び名。日本名は尖閣諸島)を巡る日中間の論争といっ
た 問題については政府の立場に必ず同意することくらいだ。

また、中国沿岸部のエリートであれば、情報を手に入れるのもそれほど難しくない。ツ゗ッターなど
の西側のウェブサ゗トへの接続は遮断され、 政府系の報道機関は検閲されているが、騰迅(テンセン
ト)や新浪(シナ)といった企業が運営する「マ゗クロブログ」上では、かなりの情報をやり取りできる。

先週、共産党の元幹部ら 23 人が政治的自由を求める公開書簡を掲載したのも、新浪のブログだっ
た。
出稼ぎ労働者にはない自由を享受

沿岸部の工場で働くために農村地域から出てくる1億 2000 万人の出稼ぎ労働者は大半の自由が認


められていないが、エリートたちにとっては万里の長城のような障壁は存在しない。

「障害なんてありませんよ。外国へ行く機会はいくらでもあるし、私はマ゗クロブログの大フゔンで
す」。清華大学の別の大学院生、゗ンジェ・チョウさんはこう話す。

中国は新しい世代の米国式の起業家を育成するうえでは、大きな課題に直面する。同国の経営者た
ちは、人々がまだ丸暗記による教育を受けており、独創的に考えることがないと不満を述べている。
だが、それを正すのは教育改革であって、政治改革の問題ではない。

これらはすべて考え抜かれたものだ。知識層の学生たちが 1989 年に天安門広場に押し寄せた後、


共産党が取った対応は、彼らの子供たちに突出した経済的な機会と許容できる程度の表現の自由を与
えることだった。

遠い将来、彼らが習氏の後継者たちに反抗して立ち上がることがあるかもしれないが、今のところ、
その見込みはない。彼らの立場に置かれたら、この待遇を受け入れない人がどれほどいるだろうか?

If you can’t understand it at all, tell me and I’ll send you the original article from financial times
But please try to read in Japanese See you in front of the library on Sunday 4pm!! Don’be late♪
がんばって読んでみてね!! Toru

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