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海産クロレラ(Nannochloropsis oculata)

ナンノクロロプシス Nannochloropsis は直径 3µm(重量:7.1x106 μ g/


細胞)ほどの小さな球形の 緑藻で、一般に海産クロレラまたは単にナンノと
呼ばれ、海産魚類の種苗生産でのワムシの培養の餌とか、リーフタンクで珊瑚
やそのほかのフィルターフィーダー(プランクトン食性の生物)の餌として
も用いられる。特に魚類の仔魚飼育では、必須不飽和脂肪酸であるエイコサペ
ンタエン酸 eicosapentaenoic acid (EPA)を多く含み長期冷凍保存ができ
るなど、ワムシにとって最高の餌とされている。

しかし同じく仔魚の必須栄養素であるドコサヘキサエン酸 docosahexaenoic acid (DHA) や アラ


キドン酸 arachidonic acid (ARA)の含有量は不足しているので、仔魚に与えるワムシをナンノで培養
した場合には、これらを別に強化しなければならない。この微小藻は、グリーンウォータとして飼育水槽
の水質安定にも役立つ。貝類の種苗生産においては、イガイ類(mussels)以外では、餌としては小さす
ぎるとされている。
培養適温は 11-25° C とされ、培地としては、f/2-Si, とか f/2 agar が、一般に用いられる。屋外での大
量培養には、塩素滅菌したろ過海水の1kl(キロリットル)あたり、硫安を 100g、硫酸マグネシウム
を 35g、過燐酸石灰を 20g、およびクレワット(EDTA)を 5g の割合で、よく溶かして投入する。ここで
気をつけなくてはならないのは、海水に含まれる肥料成分は場所によって異なるので、使用する海水に
合わせて上記の肥料組成を改 変しなくてはならないことである。たとえばインドネシアのバリ島の研究
所では、海水 1 kl あたりに硫安を 80 g、重過燐酸石灰を 30 g、尿素を 10 g、EDTA を5g、そして塩化
鉄 2.5 gを加えていた。なお、バリ島でのナンノの培養は、高照度と高温の影響なのか、培養細胞密度が
1.0 x10 7を大きく超えることはなかった。
ナンノの培養には、大型水槽が必要であるし、人手もかかり、その培養は必ずしも安定していない。した
がって淡水産クロレラを培養・濃縮した濃縮クロレラというものが市販されるようになった。このクロ
レラには、ワムシの増殖に不可欠のビタミンB 12 などの必須栄養素が欠けている。近年になって不足し
ている栄養素を補った製品が市販されるようになった。最近では、仔魚に必要な栄養素までも補った栄
養素含有濃縮クロレラが販売されるようになった。
そのほかの藻類
(1)テトラセルミス Tetraselmis suecica
テトラセルミスは、前述のナンノに比べて比較
的高温での培養が可能なので、高温に弱いナン
ノに代わって夏場のワムシの餌として培養され
る場合もある。
  緑藻類に類似するが、鞭毛の表面に微細な鱗
片状付着物があること、光合成産物としてマン
ニトールをつくり、ショ糖をつくる 緑藻と区別
されます。水温、塩分の 変 化に影響を受けにくく、
極めて培養が容易な藻類であるため、通常、二枚
貝の親飼育などに使用される。細胞の直径

が 10~20μ m程と大型のため、幼生期~初期稚貝の餌としては不適である。
http://www.fishexp.pref.hokkaido.jp/shikenima/451to500/476/476.htm

(2)イソクリシス Isochrysis galbana


イソクリシスは長さが 4-
8μm ほどの黄金色/茶色の
鞭毛藻類で、種苗生産ではよ
く使われる。これは DHA の含
有量が高く、ワムシやアルテ
ミアなどの動物性餌料の栄養
強化に用いられる。イソクリ
シスは貝類種苗生産場での主
餌料の一つで、エビの種苗生
産に

使われる場合もある。同じイソクリシスでも、そのタヒチ株は、DHA を多く含むことで知られており、T-
ISO と表現される。培養液には、f/2-Si, L1 などが用いられ、適水温は 11-36° C とされている。

(3)フェオダクチラム Phaeodactylum tricornutum


フェオダクチラムは、海産性単細胞珪藻で海に生息し直径約 15㎛
で、培養条件によって球形、楕円形、あるいは針型に変化する。細胞
中の脂質含量は約 15%であり、 脂肪酸中の約 15%の EPA を含ん
でいる。他に、パルミトオレイン酸、DHA 等の不飽和脂肪酸を含ん
でいる変

(4)パブロバ Pavlova lutheri


パブロバは、細胞前端に2本の等長鞭毛と、ハプト藻の名前のもととな
ったハプトネマと呼ばれる長い鞭毛の合計3本によって海水中を自由
に移動する球形の植物プランクトンである。細胞の直径は 4~8 μ mと
小型で、活発に遊泳する。この藻類は群体を作らない分離浮遊性で、無性
生殖(雄と雌の区別がなく、2分裂で増殖する)で増 殖し(培養液;
f/2-Si, ASM4, Prov)、増殖適温は 20℃前後(12-26° C)である。

高度不飽和脂肪酸である EPA、DHA を含む餌料価値の高い藻類で、通常は二枚貝の幼生期~成貝の餌


として用いられるが、動物性餌料の栄養強化にも適している。通常3 L フラスコで培養しているが、30~
100 L水槽での培養も可能である。
http://www.fishexp.pref.hokkaido.jp/shikenima/451to500/476/476.htm
http://www.fishexp.pref.hokkaido.jp/exp/saibai/algae.htm
http://www.chlostanin.co.jp/text/discover.html

(5)キートセラス、Chaetoceros gracilis, C.calcitrans
 キートセラスは長方体の珪藻(珪酸の殻を持つ)であり、4 つの角に長い
棘を持つ植物プランクトンです。キートセラスの多くの種類は糸状に繋が
ったりする群体になりますが、この2種類のキートセラスは分離浮遊性
(塊になったり、繋がったりしない)のものです。大きさは、長さがグラシ
リ ス ( C.gracilis ) で 8μm ( 0.008mm ) ほ ど 、 カ ル シ ト ラ ン ス
(C.calcitrans)では 6μm(0.006mm)ほどの大きさです。通常は 2 分
裂で 増殖します。EPA を含むなど餌料価値が高く、棘皮動物(ウニ・ナマ
コ)の幼生の飼育には欠かせない餌料である。二枚貝の幼生~成貝の餌と
しても用いられる。

最近、社 団法人マリノフォーラム21からの委託研究の成果として日清マリンテック・ヤマハ発動機な
どが共同で高密度大量培養技術を開発し、市販されるようになった。
http://www.seaworld.co.jp/~aquanet/aq-4/source/112.html 

(6)ドナリエラ
x 106

12

変殖率減少期 平衡期
培 10

細8

密6
度 死滅期
(4 対 数対 殖期

胞2
数 潜伏期
/ml)

0
1 2 3 4 5 6 7 8

培養日数(日)

上の図は、微小生物を培養するときの一般的な増殖曲線を海産クロレラ (ナンノ)の培養を例に示してい
る。培養開始に当たって、培養海水に肥料とともに種となるナンノを 1mL 当たり 2 百万細胞の密度にな
るように調整した場合が示されている。開始当初の密度にはほとんど 変化が見られない。これを潜伏期
という。この後、密度は急激に増加する(対数 増殖期)が、しばらくすると増殖の度合いが減少する時期(増
殖率減少期)に入り、さらに密度がほとんど変わらない時期(平衡期)に入る。この後は死滅期に入り密度
は急激に減少する。一般には、密度が最高の時期に培養を植え継ぐことが多いが、この時にはすでに培養
水には増殖阻害物質が蓄積していると思われる。また培養生物そのものの増殖能力も低下していること
が多いので、植え 継ぎは培養がまだ 対数 増殖期にあるうち(緑色の円と矢印で示した)に行うほうが安全で
ある。
このように微小藻類の培養にあたっては、その培
養密度を知ることが大切である。一般には、培養密
度の観察にはトーマの血球計算盤を用いてきた。血
球計算盤は、左の図のように盤上の 1mm 四方に
20×20 のグリッドが引かれている。各グリッドは 、
5 グリッドごとに引かれた中線によって 縦横 4 つ
ずつ計 16 個の枠にまとめられている。盤上にカバ
ーグラスを載せ、しっかりと密着させるとニュート
ンリングという虹色の縞模様ができる (親指で軽く
抑えて、回転を与えるようにしてすり合わせると、
ニュートンリングができる) 。このとき計算盤とカ
バーグラスとの間の隙間は 0.1mm となるように

血球計算盤(Haemocytometer)の目盛
られている。この状態でカバーグラスと計算盤の間にサンプルを流し込むと、盤上の 1mm 四方を占め
るサンプルの容量は 1.0×10-4ml となる。顕微鏡下でクロレラのサンプルを計数して、1mm 四方内に
100 個あれば、このサンプルのクロレラ密度は 1ml 当たり 100 万細胞ということになる。
シオミズツボワムシ

ワムシ 3 タイプ;大きい順に、 SS 型ワムシ SS 型ワムシ;左は通常卵を持ち、


殻長 が 290(L),190(S),140(SS) 右は耐久卵を持つ。
μm

左下の大(♀)小(♂)のワムシは交 オスの SS 型ワムシ。他のワムシ 耐久卵を持った SS 型ワムシ。


尾 中 。 右 端 の 2 本 線 の 幅 は 、と比べて内臓器官が見当たらな
50μm 前後である。 いことに注目。
S 型ワムシ(Brachionus rotundiformis;以下ワムシ)は、仔魚の餌としてサイズが適当で、浮遊性、運
動性を有すること、それなりに栄養素を含んでおり消化吸収されやすいこと、培養が比較的容易である
こと等から海産魚類の種苗生産における初期餌料として必要不可欠となっている。一方,ワムシの短所と
しては、質、サイズが一定しないこと、貯蔵が不可能で運搬も難しいこと、大量培養には多くの労力と施
設が必要であること等がある。餌としては、主に微小藻類が活用され、特に海産クロレラ(ナンノ)を用
いることが多い。その必要量はワムシ 1 個体当たり約 10 万細胞ですが、ナンノは培養密度が 2,000 万
細胞/ml 程度であるために、数十~数百億個のワムシを培養するためには大量に必要となる。
ワムシの培養方法は、間引き法と植え継ぎ法の大きく 2 つに分けられる。間引き法では、培養水槽の中
のワムシを一定量毎日培養水とともに抜き取り、減った水量分を餌となるナンノ培養水とともに補って
やる。この方法は、比較的低密度で行う大型水槽での培養によく見られた。一方の植え継ぎ方式は、培養
期間 2-3日で全量を抜き取り、この中から次の培養に必要な量のワムシを分けとって種として新しい
培養水槽に移し、ここに新しい海水と餌料となる微小藻類や酵母などを加える。いずれの方法も、濃縮淡
水クロレラの普及により、給餌作業が効率化された。このほかに培養ワムシ密度の違いから、低密度培養
法(数百個体/mL)、高密度培養法(数千~数万個体/mL)、および超高密度培養法(数十万個体/mL)の 3
つに分けられる(吉村、2002)。
 植え継ぎ方式の培養では、ワムシの増殖曲線の対数増殖期を過ぎて植え継ぐことが恒常的に行われて
いる。そのため溶存態と思われる何らかの阻害物質が、アンモニアと同様に培養液の中に蓄積し、その結
果増、殖の停滞を招いていると思われる(小磯・日野、2002)。したがって海産クロレラの培養の項でも述
べたように、ワムシが増殖曲線の対数増殖期にあるうちに植え継ぐことが重要である。このほかに、ワム
シ培養水中の溶存酸素量や細菌相の変化も、良好な培養を維持するための重要な要因である。
250 140

ワムシ 卵

mL
120 卵

200

ム 100 )(
シ 150

密 80 卵
度 数
(

個 100
60

体 全
数 40

/ 50

mL)

20

0 0

0 6 12 18 24 30 36 42 48 /

培養開始後時間(時間)

濃縮淡水クロレラを使ったワムシ培養
培養水槽:濃縮淡水クロレラ(生クロ)は、水槽内全体に十分な水の動きがないと底に沈殿する量が多く
なる。したがって円形で底が円錐形の水槽の中央部にエアレーションを与えた場合に最も効率よく水流
が得られる。この場合、水槽の半径と同程度の水深の場合が最もエアレーションによる水の動きが効率
的である。ワムシは、標準和名がシオミズツボワムシというように、天然では汽水域にすんでいる。した
がって培養水も 2/3 海水程度を使うとよいのだが、種苗生産の現場では天然海水をそのまま使ってい
るところが多い。培養水温は本培養の場合には 28 度前後で行われている。培養水は、培養生物の死骸や
食べかすなどで汚れるので水槽内にフィルターをつるして、これを除去する。フィルターは 毎日取り出
して洗浄して干しておく。代わりに清浄な乾燥したフィルターを吊るす。

濃縮淡水クロレラ各種
クロレラ濃縮液:日本クロレラ
フレッシュグリーン 600:日清サイアンス
生クロレラー V12:クロレラ工業
基本使用例(太平洋貿易:http://www.pacific-trading.co.jp/items01-chlov12.html)
開始時:S 型ワムシ密度 100 個体/ml の場合、10ton 水槽当たり「生クロレラ-V12」3L を目安に投与
する。水温は 24°C 程度にする。上の図の場合では、潜伏期が長くなっているが培養条件が好ければ、こ
の間に卵率が上昇している。
2 日目:朝夕 2 回に分けて給餌する。ワムシが 150~160 個体/ml 増えている。残餌を確認して量を
調節する。十分に多くの卵が順次孵化するので、個体数が急速に 増える。
3 日目:生クロレラ-V12 を 4L、朝夕 2 回に分けて給餌する。ワムシ 230~240 個体/ml 増えている。
残餌を 確認して量を調節する。 増殖率が停滞期に入るので、密度の 増加は、個体数の割に減少する。
4 日目:ワムシ 300~320 個体/ml 増えている。収穫するか、または 2 基の水槽に分けて新たに培養
を開始する。水槽の汚染回避や培養の効率化のため、3 日目に収穫・新培養開始とする場合が多い。
ワムシの観察・計数
ワムシ培養においては、プランクトン計数板を
使った、ワムシの健康状態観察と密度の計数が重
要な日常業務となる。プランクトン計数板は左の
図のような幅 8cm 足らずの厚いガラス板である。
板上は 1mm 四方の格子に区切られている。この
上に金枠を貼り付けることによって、ほぼ 1ml
のサンプルを観察することができる。ワムシ培養
液をこの上にとり、1ml 中のワムシの数を数えて
培養密度を知ることができる。

プランクトン計数板
ワムシ計数の手順
1.プランクトン計数板を 顕微鏡の横に平らになるように置いておく。
2.培養器のエアレーションが盛り上がっている部分からサンプル(0.5~1.0ml)を採ってくる。サンプ
リングしたビーカー内でワムシが均一に分布するように混ぜているか?よく混ぜるといってぐるぐる
回すとワムシは中央に蝟集する。これをピペットで採取すると計数結果は多めに出る。. 採取するピペ
ットの先端が細すぎないか?チップの先端をすこしカットして、容量を校正して使用するとよい。実験
的にピペットの先端が細すぎると、誤差が大きいことが示されている。培養が高密度の場合は、一度に多
くの個体を数えないほうが良い。50 個体ぐらいなら、よいが 100~200 個体以上になると、2 つに分け
て数えたりする。ただし現場では、時間を節約するために、500 個体ぐらい数えたりすることが多い。
3.顕微鏡の下で、ワムシの動き、餌の食べ具合、卵のつき方、原虫の有無などを観察する。
4.このサンプルにヨード液を滴下しワムシの動きを止めるとともに染色して観察しやすくする。この
あと計数板を水平に保ったまま前後にゆすってワムシを真ん中に一線になるように集めておくと計数
が容易になる。真ん中の一線を左または右から順に数えていく。次いで周辺に散らばっている残ったワ
ムシを数える。
5.同様にして、卵の数を数える。
6.培養開始時には、ワムシの殻長・殻幅を数えておく。全体の傾向を見るために全個体の測定を行う
とともに、携卵個体のみの測定結果を平均して現在培養している系統のワムシの大きさを知っておく。
7.ワムシの計数は、毎朝必ず、すべての作業に先立って行う必要がある。培養の状況を的確に知るため
には、1 日数回の計数が望ましい。このとき残餌(クロレラ)の密度も計数しておくと給餌量調整の判断材
料となる。
 現在の魚類種苗生産にとってブライン・シュリンプ(Artemia salina)は欠かせない餌である。そのほ
とんどは、アメリカユタ州のソルトレイクという塩水湖で採れた乾燥卵が洗浄・餞別されて缶入りの商
品として供給されている。
 アルテミアの乾燥耐久卵(図1 A)を、およそ80%の海水に入れ、水温 25℃のもとで強く曝気してや
ると、吸水して球形(図1 B)となり、15~20時間後に孵化してアンブレラ・ステージ(図2)のノープ
リウスとなる。このノープリウスは、その後2~3時間以内にインスター I(図3)のノープリウスに発育
し、さらに12時間以内にインスター II(図4)に進む。インスター I は、体長 400~500μm、乾重量 2μg
で、その 23.2%が脂質である。一方インスター II は、乾重量の 16.5%しか脂質を含まない。もちろんこれ
らの値はアルテミアの系統や生産年度の違いなど、さまざまの要因によって変動する。栄養成分以外で
も、インスター II は I に比べて体色が薄く動きが早い。したがってインスター II を栄養強化しないまま仔
稚魚に与えることは、あまり好ましくない。
 初めて仔稚魚にアルテミアを与える場合、最初の 2~3 日はインスター I を少量のみ与えて、新しい餌
に馴致させるとよい。仔魚が新しい餌に慣れたならば、栄養強化したインスター II に切り替えてより高
い栄養価の餌を食べさせるようにする。一般に、仔魚の餌をアルテミアに切り替えた時期に腹部膨満症
など消化器系の異状を伴う大量斃死が起こることが多い。したがって仔魚には、十分に洗浄した細菌に
汚染されていない清浄なアルテミアを与えなければならない。また仔魚がアルテミアを過食し、未消化
で排泄したり、消化管に詰まらせたりするのを避けるため、アルテミアの給餌は 2 回/日以上の頻度と
し、消化機能の負担を極力軽減し餌料効率を高める工夫が必要である。多くの仔魚は、自分の湿重量の
40~60%を餌として毎日摂取する。サラサハタの仔魚の湿重量は、日令 13 で 0.87mg、日令 21 では
1.70mg であった。このような測定値を基に適正給餌量の推定し、実際の摂餌状況を観察しながら、毎日
の給餌量を決めていく。
コペポーダ

海産魚類の仔魚飼育に用いられる生物餌料としての動物プランクトンは、3 種類ある。それらは、図2
に示したワムシ(R)と、アルテミア(AR)、コペポーダ(橈脚類;AC)である。ワムシとアルテミア
についてはすでに説明した。ここではコペポーダについて説明する。上の写真はアカルチア Acartia
sinjiensis のものである。図 4 はC5のメス、図 5 はC6のオスで、図中の横線はいずれも 0.5mm である。
卵(図6-E)から孵化したあと、A. sinjiensis は6期のノープリウス期(図6-N1-6;横線は 0.1mm)、
さらに5期のコペポダイト期(図7-C1-5;横線は 1.0mm)を経て成体になる。
コペポーダにもさまざまな種類のものがあり、日本では匍匐性の Harpacticoid(代表種としては
Tigriopus、 Tisbe など)や遊泳性の Calanoid(代表種としては Acartia)などがある。次にその代表的な
種の各ステージの体長を示した。

All species investigated have several characteristics in common:

high fecundity and short generation time


extreme tolerance limits to changes in environmental conditions: i.e. salinity ranges of 15-
70 mg.g-1 and temperature ranges of 17-30 ー C.
a large variety of food can be administered to the cultures; rice bran or yeast even allow
higher productions than algae
potential to achieve high biomass densities: e.g. Tigriopus fed on rice bran increases
rapidly from 0.05 to 9.5 ind.ml-1 in 12 days
The culture can be started by isolating 10-100 gravid female copepods in 2 to 40 l of pure
filtered (1 オ m) seawater. The culture is then maintained at a density of at least one
copepod per ml at a temperature of 24-26 ー C. No additional lighting is needed; if outdoor
cultures are used, partial shading should be provided. The main culture tanks contain 500 l
of filtered seawater (100 オ m). Optimal culture densities are 20-70 copepods.ml-1, with a
population growth rate of approximately 15%.day-1. Since high densities are used, it is
advisable to use (semi) flow-through conditions instead of batch systems as to avoid
deterioration and eutrophication of the culture medium; the main problem here is the
clogging of the fine-mesh screen. Food concentrations are maintained at 5.104 to 2.105
cells.ml-1 of Chaetoceros gracilis corresponding to a water transparency level of 7-10 cm.
Faster growth and higher fecundity can be obtained by using dinoflagellates
(Gymnodinium splendens) or flagellated green phytoplankton.

Generation time under optimal conditions is about 8-11 days at 24-26 ー C. E. acutifrons has
6 naupliar stages and 6 copepodite stages (including the adult). The newly hatched nauplii
(N1) have a dimension of 50 x 50 x 70 オ m, the copepodites C6 have a size of 150 x 175 x
700 オ m.

Before harvesting the copepods, the biomass and carrying capacity of the population must
be calculated. Therefore three samples of 2 ml should be taken daily and the different
development stages counted under a binocular. With these data the required harvest
volume can be estimated. N1 can be collected from the culture medium on a 37 オ m sieve
and separated from the other nauplii using a 70 オ m sieve. The copepodites can be
concentrated on a 100 オ m screen.

The copepod culture must always be free from rotifers, except for cultures of Tigriopus
japonicus. If rotifers start to take over the culture, a new stock culture should be started
with gravid females as described above. Check always for rotifers during sampling. In
some cases, T. japonicus is batch cultured in combination with the rotifer Brachionus
plicatilis (Fukusho, 1980). As food source, baker's yeast or Omega-yeast is used, however,
cultures are always started with Chlorella algae. A bloom of this alga is first induced in big
outdoor tanks which are consequently seeded with rotifers and Tigriopus, at
concentrations of 15-30 animals.l-1 . In this way a total amount of 168 kg live weight of
Tigriopus can be harvested during 89 days at maximal densities of 22,000 animals.l-1. The
amount of yeast used for a 1 kg production of Tigriopus is 5 to 6 kg
微小藻類の脂肪酸組成
脂肪酸 ナンノクロロプシス テトラセルミス イソクリシス フェオダクチラム キートセラス
N. ocelatus * T. tetrathele *1 T-Iso *2 C. gracilis *2

16:0 17.7 17.3 6.0 16.0
16:1 16.1 3.7 6.8 2.0
18:0 2.4 3.1 - 1.2
18:1 13.2 13.8- (n-9) 5.2 (n-9) 1.7
18:2(n- 5.2 9.2 3.6 1.8
6)
18:3(n- 0.5 19.8 5.8 1.5
3)
18:4(n- 0.2 2.2 28.9 0.5
3)
20:1 2.6 4.2 0.5 -
20:4(n- 4.7 2.1 - 3.0
6)
20:5(n- 16.5 5.9 0.5 22.0
3)
22:6(n- 0.2 Tr. 2.8 0.9
3)
∑3HUFA 22.9 11.1 3.3 22.9
20:4(n-6): ARA; 20:5(n-3): EPA; 22:6(n-3) DHA
出処:*1:福所ほか、1985 *2:Okauchi et al., 1997
各種微小藻類で 2 次培養(栄養強化)したワムシ(SS)の脂肪酸組成(mg/g dry weight)
脂肪酸 ナンノクロロプシス イソクリシス キートセラス ドナリエラ
Nannochloropsi Isochrysis Chaetoceros Dunaliella
s
16:0 14.44 11.50 7.20 5.51
16:1 6.36 7.76 4.78 7.98
18:0 2.39 2.03 2.00 1.31
18:1 6.93 8.94 4.41 4.43
18:2(n- 12.96 5.55 3.75 4.13
6)
18:3(n- 5.26 3.14 0.57 0.10
3)
18:4(n- 0.03 7.68 0.34 0.12
3)
20:1 1.54 1.84 1.52 1.13
20:4(n- - - - -
6)
20:5(n- 4.41 3.78 3.35 3.24
3)
22:5(n- 2.10 1.47 2.97 1.95
3)
22:6(n- 0.18 4.12 0.08 0.35
3)
Others 12.11 22.17 9.34 15.27
Total 111.45 79.98 40.31 45.85
(バリ島のゴンドール水産試験場で採取したサンプルを鹿児島大学金沢研究室に依頼して分析した)
冷凍餌料
冷凍コペポーダ
(有)アイエスシー http://www.sceti.co.jp/
HUFA:EPA 35mg/g
HUFA:DHA 33mg/g
全脂質 35%
蛋白質 50%
アスタキサンチン 3000ppm
消化酵素 活性・極めて大きい
嗜好性 促進
免疫賦活剤(β-グルカン) 1.5mg/g

品名 内容量 形態 入数 Kg Kg 単価 箱・袋金額
冷凍コペポーダ 750g 箱 7.5 2,933 22,000
× 10

Apocyclops royi (個体サイズ :600μm~800μm)

■脂肪酸比較表 (台湾水産試験場の実験による年間平均値)
  DHA EPA
活コペポーダ 20.7% 14.4mg/g 14.05% 10.1mg/g
冷凍コペポーダ 19.4% 13.5mg/g 13.63% 9.8mg/g
ワムシ※ 1.9% 1.4mg/g 2.70% 2.0mg/g
アルテミア(栄養強化後※) 3.0% 2.1mg/g 5.20% 3.6mg/g
アルテミア(孵化直後) 0.3% 0.2mg/g 3.90% 2.7mg/g
※クロレラにより培養したワムシ

※ベルギー INVE AQUA CULTURE NV.社の栄養強化剤 SUPER SELCO により 24 時間栄養強化したもの


仔魚用配合飼料
品名 粒大(mm) 内容量 形態 入数 Kg Kg 単価 箱・袋金額
初期飼料協和 A-250 0.25 以下 500g×5 箱 2.5 31,480 78,700
初期飼料協和 A-400 0.25~0.40 500g×5 箱 2.5 31,480 78,700
初期飼料協和 B-250 0.25 以下 500g×5 箱 2.5 7,160 17,900
初期飼料協和 B-400 0.25~0.40 500g×10 箱 5 7,040 35,200
初期飼料協和 B-700 0.40~0.71 500g×10 箱 5 7,040 35,200
初期飼料協和 C-700 0.7 10 箱 10 1,270 12,700
初期飼料協和 C-1000 1 10 箱 10 1,270 12,700
初期飼料協和 C-2000 2 10 箱 10 1,270 12,700
初期飼料協和 C-3000 3 10 箱 10 1,270 12,700
初期飼料協和 C-4000 4 10 箱 10 1,270 12,700
油脂酵母 15 箱 15 953 14,300
http://www.pacific-trading.co.jp/items02-08.html

優れた物性
各サイズとも、サラサラ感に優れ給餌機を用いてもボタ落ちはなく、また水面での分散性も抜群でほど
良い浮遊性を有し、
低温化で製造した顆粒飼料
造粒加工中、栄養成分の熱変性やビタミン類の破壊がおこらないよう「流動層造粒機」で低温条件下で造
粒しています。
必須脂肪酸の強化:魚の必須脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸
(DHA)を多く含む原料を使用し、稚仔魚の必須脂肪酸要求量を満たすよう配慮しています。
リン脂質の強化:リン脂質は生体内において脂質の消化吸収および代謝・細胞膜の形成等の重要な役
割を果たしており、稚仔魚はその成長・生存のためリン脂質を必須とすることが知られています。そこ
で、リン脂質を多く含む原料を使用し、稚仔魚のリン脂質要求量を満たすように配慮していますので、脂
質の消化吸収性が良く、優れた発育を示します。
ビタミン・ミネラルの強化:ビタミン・ミネラルを大幅に強化しましたので、稚仔魚期に多いビールス
性の病気の予防や育成率の向上が期待できます。特に、ビタミン C は造粒時に減耗を防止するための添
加方法にも配慮していますので、飼料中に高いレベルで含まれます。
嗜好性が優れる:各魚種で嗜好性が確認されているアミノ酸類の添加の外に、エキス類を使用している
ため稚仔魚の嗜好性が非常に優れ、斉一性の向上が期待できます。
保存性が優れる:機密性の高い包装としたうえ、脱酸素剤を封入しているので保存性が優れています。
文献
小磯雅彦・日野明徳(2002):シオミズツボワムシの大量培養における増殖停滞の機構に関する研究.
水産増殖、50(2)、197-204.
吉村研治(2002):ワムシ高密度大量培養技術.Nippon Suisan Gakkaishi、68(5)、692-632.
Wilkerson, J. D.(2002) : Clownfishes-A Guide to Their Captive Care, Breeding & Natural
History. T.F.H. Publications. pp.240.

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