Factory Physicsはどのようにシミュレーションに役立つか

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2004 Winter Simulation Conference 予稿集

R. G. Ingalls, M. D. Rossetti, J. S. Smith, B. A. Peters 編集

Factory Physics はどのようにシミュレーション


はどのようにシミュレーションに
シミュレーションに役立つか
役立つか

Charles R. Standridge
工学部
グランドヴァリー州立大学
アメリカ合衆国 49504 ミシガン州 301 West Fulton Grand Rapids

摘要
Factory Physics は法則として表現された、システムに内在する振る舞いの体系的な記述を
提供する。これらの法則はシミュレーション・スタディを実行する際の重要な助けを提供
することが出来る。それらは、シミュレーション結果を解釈する際と同様に、どんなパフ
ォーマンス尺度を収集すべきか、そしてどのような選択肢を評価すべきかを決定する際に
役立つ。その法則はモデルに含めるのに重要であるだろうシステムの性質を特定するのに
助けになる。それらはシステムの振る舞いを理解するのに、そしてシミュレーション・ス
タディで扱う課題のタイプへの洞察を与えるのに役立つ解析的基盤を提供する。確認と検
証の証拠はこれらの法則に基づいて収集することが出来る。この論文は特定の Factory
Physics の諸法則のシミュレーション・プロジェクトへの適用について研究する。産業のプ
ロジェクトやマスター級の学生のプロジェクトや学部と大学院のシミュレーション・クラ
スで使用されるアプリケーション・スタディでのこれらの原則の適用を示す諸々の例が与
えられる。

1. 導入

解析的モデルとシミュレーション・モデルは、一般のシステムと同様に特に生産システム
の振る舞いを説明し理解するための2つの方法である。解析的モデルは数学的形式で表現
された、システムのコンポーネント間の関係を含む。解析的モデルの構築はしばしばあら
かじめ定義した構造へのシステムの概念化と若干の詳細の省略を含む。そのようなモデル
の解は通常、長期間のあるいは定常状態の平均の振る舞いに関する情報を生成する。解析
的モデルとその解は、たとえさらに情報が必要であろうと、システムの構造と動作に関す
る有用な情報を得るための、少なくともスタート点を提供する。これらのモデルはシステ

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ムの挙動を支配する、あるいは少なくともそれに影響を与える、因果関係に対する明らか
な数学的洞察を得る際に役立つ。
シミュレーション・モデルは時間の経過につれてのシステムの挙動を追跡する。それら
は数学的関係と論理的関係(if-then-else:もし~ならば~さもなければ~)を含み得る。シ
ミュレーション・モデルは動作の詳細を精密に正しい時間に置き、それらの過渡的効果を
観察することを可能にする。シミュレーション・モデルはシステム・パフォーマンスの計
算可能な尺度を決定するのに使用することが出来る。シミュレーション・モデルはシステ
ム挙動の全ての詳細を含むことが出来る。
解析的モデルとシミュレーション・モデルは各々、同じ種類のシステムを研究する際と
同じ種類の課題を扱う際に使用出来る。解析的モデルは構築が迅速で正確な数学的解を生
成する。シミュレーション・モデルは解析的モデルが収容できない詳細を収容できプロジ
ェクトに特有の情報要求を満足することが出来る。
よって、問題解決のためにシミュレーション・モデルと解析的モデルが一緒に使用され
るような方法を調査することは有用である。解析的モデルと関連原則の1つの集合が Hopp
と Spearman (2000)によって開発され Factory Physics と呼ばれている。これらの法則のい
くつかは方程式として表現されているが他のものは生産システムがどのように動作するか
についての一般的な原則を述べている。Factory Physics の法則とシミュレーションを問題
解決のために並行して使用することはこの論文の主題である。
シミュレーション・プロジェクトを進める際に役立つことを経験が示した個々の Factory
Physics の法則が順番に議論される。シミュレーション・プロジェクト内部の各々の法則の
使用例が与えられる。産業への適用の守秘義務によって制限されていない場合、数量的結
果を示す。Factory Physics の諸法則は、確認と検証やパフォーマンス尺度の選択、選択肢
の選択、モデルの範囲を含むシミュレーション・スタディの多くの局面に影響を与えるこ
とが示される。

2. 材料保存の
材料保存の法則

材料の保存の法則は次のように述べられる。安定したシステムでは、長期間で見れば、シ
ステムを出て行くレートは入るレート引く歩留ロスに等しい。この法則は等式の形式で表
現出来る(1)。
Rateout = Ratein + Rate Loss (1)
この法則はシミュレーション・プロジェクトにおいて確認と検証の証拠を得る方法とし
て応用がある。それはこの目的のために以下のように言い換えることが出来る。シミュレ
ーション・ランの間に生成されるエンティティの数は消滅した数、プラス、ランの最後に
システムに残った数に等しい。生成されたエンティティの数は、初期条件である、ランの
スタート時点でシステムに最初にあるエンティティを含む。この考えは式(2)にも表現され

2
る。
生成+初期=消滅+残存 (2)
エンティティはシステムによってなされる処理によって行動し転化するパーツや客や情
報などを表すモデル化要素である。よって、保存法則は、正しいことを示す時に、モデル
が正しく実装され有効である証拠を提供するバランス式を提供する。
単純なシステムを考察しよう。個々のワークステーションの前にバッファを持つ直列に
なった2つのワークステーションである。エンティティは最初のステーションの前のバッ
ファに到着し、2番目のステーションで処理後に消滅する。よって、このシステムのシミ
ュレーションの個々の反復において、到着するエンティティの数、プラス、最初に存在す
る数は消滅した数、プラス、最後にシステムにある数に等しい。この後者の数は個々のバ
ッファ、プラス、個々のステーションで処理中の数に等しい。
この方法はエンティティが存在し得る各々の場所を特定することを含むことに注意しよ
う。これはエンティティが現在モデルの中を移動していて迷子になったり、さもなければ
失ったりしていないことを確認することを助ける。
保存法則が守られており、かつそれが、モデルが間違って実装されていたり無効であっ
たりする証拠になることはあり得る。例えば、直列システムになった2つのワークステー
ションでシミュレーション・ランが100個のエンティティを到着させ、最後に10個が
消滅し90個がシステムに残っているとしよう。最後にシステムにエンティティの90%
が残っているという事実は処理に問題がある、おそらくワークステーションの1つがキャ
パシティ不足であることを示している。
この法則は他のタイプのシステムと同様より複雑なシステムにも適用可能である。図1
に示す Maas(2003)によって記述された生産と在庫の管理システムについて考察しよう。カ
ッコ内の数はバッチサイズを示している。
1つのあわラインと複数の射出成形装置を用いるこのシステムによって生産される26
種類の製品がある。各々の製品は自分の在庫を持つ。顧客需要は在庫から引き当てられる。
在庫量が予め指定した目標値より下がると、目標値まで在庫量を回復させるために生産シ
ステムにオーダーが送られる。
この場合、保存法則は各々の製品に個別に適用され次のように書き直される。最初の在
庫+生産量=顧客への出荷-最終在庫。保存法則の使用は、システムの各々のコンポーネ
ント間のバッチサイズ間の保存が正しく行われていたことを保障するのに役立つ。

3
射出成形
ラック(144)

あわライン(1)

在庫箱(120)
在庫<目標

顧客へ
図1 生産と在庫のシステム

3. ステーション・
ステーション・サイクルタイムの
サイクルタイムの定義

Factory Physics のステーション・サイクルタイムの定義は、ステーションでの平均サイク


ルタイムは、ステーションへの移動、バッファ内での時間、セットアップ時間、処理時間
などといったステーションでの作業の各々のコンポーネントに費やされる平均時間を足す
ことによって得ることが出来ると言明している。
この法則はシミュレーション・プロジェクトでの使用のために以下のように言い換える
ことが出来る。ステーションでの総時間は、待ち時間と処理時間と他の非生産時間の合計
に等しい。あとの項は通常、修理中であるか他のステーションでタスクを実行して忙しく
てリソースが使用不可能であることを含む。この項は特に厄介でシミュレーションはそれ
を評価することが他に類例をみないほど出来る。これは式(3)で表現される。
ステーション時間=待ち時間+処理時間+非生産時間 (3)
一例として、複数の半自動ステーションからなるワークセルを考察しよう。セルを稼動
させるのに1個フローの原則が使用されている。個々のステーションは3つの処理ステッ
プ、作業者の補助による装置へのロード、作業者の補助なしでの処理、作業者の補助によ
る装置からのアンロード、である。装置にとっての非生産時間はパーツがロードあるいは
アンロードの準備が出来ているのにその作業をすることが出来る作業者がいない時に発生
する。作業者にとっての非生産時間はパーツを運ぶことなくステーションからステーショ
ンへ歩く時間を含む。
非生産時間はステーションのキャパシティを、システム作業を実行不能にする程度にさ

4
え効果的に削減する。実行不能とは、実効処理レートが非生産時間によって通常レートか
ら削減され、到着レートより少なくなっていることを意味する。
シミュレーションだけが非生産時間を数量化するために使用出来る。複数待ちタスクの
ための代替作業者優先度のような、非生産時間を削減する可能性のある選択肢を評価する
ことが出来る。

4. リトルの
リトルの法則

Factory Physics では、リトルの法則 (Little 1961)は式(4)

TH = WIP (4)
CT
として、あるいは言葉で、
(スループットは長期においてWIPをサイクルタイムで割った
ものに等しい、と)言明される。Factory Physics の文脈では、サイクルタイムはシステム
に入る時刻とシステムから出る時刻の間の時間として定義される。
リトルの法則はシミュレーション・スタディでは以下のように使用できる。スループッ
トは一般にエンティティが処理を完了するレートとして考えられている。しかし、材料の
保存の法則によりスループットはエンティティが到着するレートでもあり、通常、到着間
隔時間として表現される。よって、スループットは大部分のシミュレーション・スタディ
において効果的なパフォーマンス尺度ではない。明白な例外は、スタディの目的がシステ
ムが十分な資本設備あるいは、ステーション・サイクルタイム定義での議論で示されたよ
うにすることを割当てられた作業の全てをする他のリソース、を持つかどうかを評価する
ことである場合である。
サイクルタイム、すなわちシステムにいる時間、とWIPはありふれたシミュレーショ
ン実験のパフォーマンス尺度である。しかし、WIPのサイクルタイムに対する比は長期
間では定数である。よって、結果を描くためにWIPとサイクルタイムによって提供され
る情報は等価である。
リトルの法則は確認と検証に利用出来る。WIPを減らす意図でのモデルの変更はサイ
クルタイムをも減らす。もしそうでなければ、モデルが有効でない証拠が存在する。WI
Pのサイクルタイムに対する比は到着レートと大体等しくあるべきである。もしこれらの
いずれかが真でなければ、モデルが正しく実装されていないか、有効でないことの証拠が
存在する。

5. 変動の
変動の緩衝

変動の緩衝の法則は以下のように言明される。変動は在庫(仕掛)、キャパシティ、リード
タイムの組合せによって緩衝される。Spearman (2003)は「リーン」の一つの意味はシステ

5
ムが最小の変動緩衝(バッファリング)を持つことであると言っている。
変動の緩衝の必要性はシステム内の変動からのみ引き起こされる。2つのタイプの変動、
ランダムと構造的、が存在する。ランダム変動の発生源は通常、確率変数としてモデル化
され、エンティティの到着の間の時間や処理時間、製品の顧客需要、故障と故障の間の時
間、といった量を含む。構造的変動は、確率変数が関係していなくても何かがいつも同じ
時間であるいは同じように実行されない時にいつも発生する。例えば、ある装置は2つの
タイプのパーツを、一方は正確に1分で他方は正確に2分で処理する。
全ての「悪い」イベントが一度に発生する時のシステムの挙動を評価するのをシミュレ
ーションは助ける。例えば、ある生産ラインが、自分の生産する最終製品の在庫が低くて、
ランダムな顧客需要が最大に近い時に、メンテナンスのためのシャットダウンの直後にラ
ンダムな故障のせいでダウンする。
Standridge と Heltne (2000)が記述した種類の化学プラント生産システムを考察しよう。
製品は連続反応器によって作られ混合タンクに流れる。混合タンクがいっぱいの時、もし
スペースがあるならば製品は出荷タンクに移される。顧客需要は1つの積載場でいっぱい
にしたトラックによって出荷タンクから満たされる。このシステムを図2に示す。

図2: 連続生産システム

変動緩衝は出荷タンクによって提供される。ランダム変動は反応器からの流率を広い範
囲で変化させるイベントと同様に積載場の予期せぬダウン時間に起因する。構造的変動は
スケジュールされた流率の変更と生産のスケジュール(毎日)と出荷(週5日)の間の不
一致に起因する。シミュレーションは毎日要求されたキャパシティの出荷タンク(変動バ
ッファ)を出荷することによる構造的変動の縮小の効果を見積るために使用された。

6
6. 現実的な
現実的なワーストケースの
ワーストケースの定義

Hopp と Spearman (2000)は最小限受入れ可能なシステムの挙動を定義している。この現実


的なワーストケースは偶然性が最大のケースと見なすことが出来、つまり、あるエンティ
ティが任意のワークステーションに等しい確からしさで存在している。全てのワークステ
ーションが同じ平均処理時間を持ち、各々が一度に1つのエンティティを作業出来ると仮
定すると、この定義は処理時間と到着間隔時間が指数分布で分布していることを導き出す。
この定義は、シミュレーション・モデルを構築する際に作られる、到着間隔時間の、そ
れより頻度は低いが、処理時間の分布についての仮定に影響がある。指数分布を使用する
ことは、対応するシステムに宿っているより多くの変動をモデルに加える保守的な仮定と
見られ、よって必要とするより大きな変動バッファが必要であると結論する結果になる可
能性がある。より変動の少ない他の分布や定数を用いた実験を行うことは比較のために必
要である。これは結論が採用した分布の仮定に過度に依存していないことを保障するのに
役立つ。

7. 利用率の
利用率の法則

利用率の法則は以下の通りである。もしステーションが他のいかなる変更もなしに利用率
を増加させるならば、平均WIPと平均サイクルタイムは非常に非線形的に増加する。こ
の法則は、ステーションに装置が1台ある場合に式(5)として示される VUT 式の中に具体化
されている。

CTq =
(c 2
a )
+ ce2
*
u
* t e = V *U * T (5)
2 1− u

ただし CTq は待ち行列、あるいはバッファ、内の平均サイクルタイムであり、 c a は到着間

隔時間の変動係数であり、 c e は処理時間の変動係数(標準偏差を平均で割ったもの)であ
り、 u は利用率(ビジーな時間の割合)であり、 t e は処理時間である。待ち行列内のエン
ティティの平均個数は式(5)とリトルの法則を用いて計算出来ることに注意しよう。
シミュレーション・スタディでは、この式が表現する関係についてこの式は役立つ。V 項
は到着間隔時間と処理時間の2乗変動係数の平均を処理しなければならない。指数分布は
しばしば到着間隔時間をモデル化するために使用され、そして現実的なワーストケースに
対応しているが、c a = 1 である。処理時間をモデル化するのに使用される分布のような他の
分布については、c e < 1 である。もし処理時間が定数あるいはほとんど変動がない( c e << 1 )
ならば、 V 項は c a によって支配される。よって、利用する分布の平均と標準偏差について
確率量を正確にモデル化することは重要である。Law と McComas (2003)によっても議論

7
されたように、そうしないことはサイクルタイムやWIPのようなパフォーマンス尺度の
不正確な見積をもたらすだろう。
利用率が増加するにつれてのサイクルタイムの非線形の増加を示すために、 U 項と利用
率のグラフを図3に示す。
システム運用の1つの目標がサイクルタイムを、少なくとも時間の与えられた割合で、
予め決めた数値より少なくすることであるとしよう。この目標を満足することは利用率を
十分に低く保つためにキャパシティの追加を要求するかもしれない。そのような追加キャ
パシティの必要性を評価することはシミュレーション・スタディのありふれた目的である。
もう一つ別に、高利用率が運用目標であるとしよう。これは V 項が、大きな U 項の影響を
打ち消すことによりサイクルタイムを低く保つのに十分なくらい小さくなければならない
ことを意味する。

図3: U項と利用率

よって、処理時間と到着間隔時間の変動はコントロールされなければならない。
Standridge と Heltne (2000)で検討され、図4で示すロジスティクス・システムを考察し
よう。

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図4: ロジスティクス・システム

製品は反応器内で作られタンクに保管される。タンクから、製品は顧客への出荷のため
に鉄道車両に積まれる。顧客サイトで鉄道車両が荷降しした後、それらは再度積み込みの
ために工場へ戻る。
式(2)で表現される関係に基づいて、75%の利用率基準が鉄道車両荷積み施設のために確
立された。これは、顧客への製品出荷を積み込むために工場がその総サイクルタイム基準
を満足させることを助けるために確立された。さらに、鉄道荷積み時間は大きな変動があ
る。よって車両と車両基地のリソースを長く待つことを避けるのに十分なほどこれらの利
用率を低く保つために追加の鉄道車両と車両基地のキャパシティが必要とされる。式(2)に
基づくこれらの洞察はシミュレーションを用いて詳細に確認され定量化された。

8. CONWIP の法則

ConWIP は Contant WIP(一定WIP)の略である。ConWIP は1つのワークステーショ


ンあるいはワークステーションのグループで許されるWIPの最大量が予め指定されたパ
ラメータであることを意味する。 Hopp と Spearman (2000) は、かんばんシステムが
ConWIP システムの特別なケースであると議論している。ConWIP システムとかんばんシ
ステムはプル・システムであり、そこでは製品は顧客需要に反応して生産されるが、対照
的にプッシュ・システムでは製品は予想需要を満足するためにスケジュールされる。
大部分のシミュレーション言語はプッシュ・システムをモデル化することを指向してい
るが、大部分の現代的な生産システムはプル・システムである。よって、プッシュ・シス
テムの枠組み内でプル・システムをモデル化することがなされなければならない。

9
ConWIP システムのためにこれを達成するひとつの方法は以下の通りである。到着は、
在庫から取り除かれる製品の顧客需要と対応している。これは追加の生産の需要を引き起
こす。しかし、生産を開始することは ConWIP 制御システムからの許可を必要とする。こ
の許可は、現在処理出来るエンティティの数と等しいユニットの数を持つリソースとして
モデル化される。
Frimard (2003)は図5に示す生産と較正のシステムをモデル化しシミュレートするため
にこれらのアイディアを用いた。

図5: 生産と較正のシステム

ConWIP 制御はWIPラックを用いて実装される。バッチエリア内の1つの生産バッチ
は、生産が開始出来る前に使用可能になっていなければならない1個のラックに詰め込め
られる。較正が実施される1個流しエリアでは一度に1個のラックしか存在出来ない。
リソースはWIPラックをモデル化し1個流しエリアでのWIPラックの数を制御する
ために用いられる。シミュレーション実験はスループットを制約することを避けるのに必
要なWIPラックの最小数を決定するために用いられた。この数は14個と決定されそれ
は最初のシステム設計に一致していた。1個流しロジックがモデル内に正しく実装されて
いることをチェックするためにアニメーションが用いられ、そしてシステムの運用におい
て効果的であることを証明した。

9. まとめ

Factory Physics の諸法則はシミュレーション・プロジェクトを遂行するのに役立つ。これ


らの法則は、確認と検証や、パフォーマンス尺度の定義や、結果の解釈や、評価のための
選択肢の定義といった多様な活動に役立つ。モデル化の課題は ConWIP と他のプル・シス
テムをモデル化する必要によって引き起こされた。

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製造と他の領域での関連のある適用例との関連において Factory Physics とシミュレー
ションを並行して教えることは価値があるように見える。そのようなコースを開発中であ
り、それは近い将来、講義されることになる。Standridge (2004)はこの目的を果たすのに
役立つ教科書を開発中である。

参考文献

Hopp W. J. and M. L. Spearman. 2000. 「 Factory Physics 、 第 2 版 」 Boston,


MA:McGraw-Hill.
Grimard, C. 2003. EMD 組立ライン 未発表マスターズ・プロジェクト。 School of
Engineering, Grand Valley Sate University, Grand Rapids, Michigan.
Law, A. M. and M. G. McComas. 2003. どのように Expertfit 分布近似ソフトウェアはあな
たのシミュレーション・モデルをより有効にすることが出来るか。In Proceedings
of the 2003 Winter Simulation Conference, ed., S. Chick, P.J. Sanchezz, D.
Ferrin and D. J. Morris, 169-174. Institute of Electrical and Electronics
Engineers, Piscataway, NJ.
Little, J. D. C. 1961.「待ち行列公式 L = λW の証明」 Operations Research 9(3).
Mass, S. 2003. 複数製品スケジューリングと在庫管理のための手続き。未発表マスター
ズ・プロジェクト提案。School of Engineering, Grand Valley Sate University,
Grand Rapids, Michigan.
Spearman, M. 2003. 「尺度とモデルと Factory Physics」 Presentation to the Michigan
Simulation Users Group 2003 Annual Conference. <www.m-sug.org>からオン
ライン入手可能[2004/8/4 アクセス]
Standridge, C. R. and D. R. Heltne. 2000. 「戦略的かつ戦術的ロジスティクスのための
MSE ベース・シミュレーション能力」 In Proceedings of the 2000 Winter
Simulation Conference, ed., J. A. Joines, R. R. Barton, K. Kand, and P. A.
Fishwick, 1107-1113. Institute of Electrical and Electronics Engineersm
Piscataway, NJ.
Standridge, C. R. 2004. 「シミュレーションの実際。導入」作成中。

著者略歴

CHARLES R. STANDRIDGE は Grand Valley State University における School of


Engineering, Padnos College of Engineering and Computing の教授である。彼は学界と
産業界において30年のシミュレーション経験を持つ。彼は多くのシミュレーションの適
用を遂行し、市販シミュレーション・ソフトウェアを開発し、3つの大学でシミュレーシ

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ョンを教えてきた。彼の現在の研究の興味はモジュラー・シミュレーション環境(MSE:
modular simulation environment)の開発である。彼は MSE のサプライチェーン・マネ
ジメント問題への適用について在庫管理と同様に戦略的かつ戦術的なロジスティクスを重
視して産業界と作業をしている。彼の講義の興味は、ケースを基にした方法を用いて大学
院と学部の導入コースにおいての Factory Physics とリーン生産とシックスシグマの並行
使用にある。彼はエンジニアリング・マネジメントとデータ解析の分野でも講義をしてい
る。彼は Purdue University から IE の Ph.D.を得ている。彼の E メールアドレスは
<standric@gvsu.edu>である。

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