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浮雲はしがき

ば ら かしら の み かび
薔薇の花は 頭 に咲て活人は絵となる世の中独り文章而已は 黴 の
ちんぷんかん ほおがえ
生えた 陳 奮 翰 の四角張りたるに 頬 返 しを附けかね又は舌足らずの
ものいい よだれ つたな いっと
物 言 を学びて口に 涎 を流すは 拙 しこれはどうでも言文一途の事だと
たて
思立ては矢も楯 もなく文明の風改良の熱一度に寄せ来るどさくさ紛れお
まっくらさんぽうこうじん たてまつ かけすずり おぼろ
先真闇 三宝荒神 さまと春のや先生を頼み 奉 り 欠 硯 に 朧 の月の
しずく すりなが
雫 を受けて墨 摺 流 す空のきおい夕立の雨の一しきりさらさらさっと書流
うたて やさ がけ とじこめ
せばアラ無情始末にゆかぬ浮雲めが艶 しき月の面影を思い 懸 なく閉籠
あやめ うばたま
て黒白も分かぬ烏夜玉のやみらみっちゃな小説が出来しぞやと我ながら
つぶ
肝を 潰 してこの書の巻端に序するものは

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