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漢文編  唐詩

ラジオ学習メモ

唐詩   春暁
(一)
講師
 学習のポイント2 
渡辺恭子
 「春暁」の構成法
「春暁」は、「春の明け方」という意味です。この詩は、作者
■学習のねらい■ である孟浩然が、寝床の中で感じた、春の朝の様子をうたって
 
「唐詩」の一回目。「春暁」を学習する。語句の意味を考 います。また、「春暁」は、四つの句からなっていますが、こ

− 123 −
えたり、作品の書かれた背景を学んだりすることで、詩人 のような構成法を「起承転結の構成」といい、現在も文章や物
たちが全力を尽くして表現の限界に挑戦していった作品 事の組み立てに使われています。それでは、
「春暁」の詩を具
を鑑賞しよう。 体的に見てみましょう。
第一句(起句)── 寝床の中にいて、うとうとしながら春
の訪れを感じている作者の様子がうたわれています。
「起
学習のポイント1
 
漢文編

句」は、歌い起こしです。まず初めに読者を引きつけなけ
 「唐詩」について ればならない所なので、作者は力を入れて作ります。
「唐詩」とは、唐代(日本でいうと奈良・平安時代頃)に作 第二句(承句)── 眠りから完全には覚めていない作者の

高校講座・学習メモ
られた詩のことです。「唐」は、詩が最も盛んになった時代で、 耳に、鳥の鳴き声が飛び込んできます。この二句目は初め
国語総合
詩の評価が人物評価にまでなったほどです。役人になるための の起句を受けてこれを更に発展させる役目をします。
第 45 回
か きょ
難しい試験(=科挙)にも、詩を作る問題が出題されました。 第三句(転句)── 前半二句の明るい情景から一転して、
ですから、「唐詩」は、三千年の歴史を持つ中国の「漢詩」の 「夜」「風雨」という言葉が暗い雰囲気を感じさせます。
中でも、最も完成度が高いものなのです。 三句目で場面が転換するのです。
第四句(結句)──庭の花はどのくらい散ったかしら、と
ラジオ学習メモ

作者の意識が花に移っていくところで目が覚めます。第四  唐詩(一) 
句は全体のまとめです。 春暁
まうかうねん
孟浩然
ここに出てくる重要語句の意味を理解しましょう。
春 眠







レ レ
【語句の意味】



処 聞 啼

い て

あかつき うヲ
・暁………… 夜明け方 二


おぼ
・覚えず…… 気がつかない


来 風 雨 声

しょしょ
・処処……… あちらこちらで



ルコト ル


多 少

ていちょう
・啼 鳥 ………鳥の鳴く声。鳥のさえずり。
や らい
・夜来……… ゆうべ 『唐詩選』
たう し せん

・声………… 音

− 124 −
・知る多少ぞ……知る+疑問詞=知らない。わからない。
        口語訳「どのくらい散ったのかしら」
口語訳
学習のポイント3  ①春の夜の眠りは心地よいから、夜が
 
明けたのにも気がつかない。
 作者「孟浩然」と「春暁」の
漢文編

②(うとうとしていると)あちらこち
   作られた背景について らから鳥のさえずりが聞こえてくる。
③(そういえば眠りに落ちる前に)昨
孟浩然は、唐代自然詩人の先駆者として有名です。彼の詩の 夜はしきりに風と雨の音がしていた
が、(その風と雨にたたかれて)

高校講座・学習メモ
うまさは抜群だったのですが、残念ながら役人になるための試
国語総合

④(庭に一面に咲いていた)花はどれ
験(=科挙)には、合格することができませんでした。 くらい散っただろうか。
第 45 回
だからこそ、この詩のように、夜が明けたのにも気づかず、
ぬくぬくと春のねむりを貪る詩を作ることができたのです。

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