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漢文編  論語

ラジオ学習メモ

論語  学ぶということ
講師 学問好きで、苦労して学問をした結果、立派な役人になりまし
渡辺恭子 た。ところが、反対勢力に破れ失脚。孔子を慕う弟子たちを連
れ、自分の考えを受け入れてくれる国を探して、諸国巡業の旅
に出ます。しかし、孔子のいう「人間愛に基づく政治」は、時
■学習のねらい■ 代に合わないと見向きもされませんでした。
『論語』を、
「学問」「人間」「政治」の各方面から、三回 孔子は、七十歳近くになって、再び故郷魯に帰り、政治には

− 210 −
にわたって学習する。今回は、その一回目。「学問」につ 一切かかわらず、残りの人生を弟子の教育と書物の整理とにか
いてである。孔子の言行録である『論語』は、古くからた けたといわれています。
くさんの人々に親しまれ、日本人の精神や文化にも、大き
な影響を与えてきた。孔子とは、一体どのような人なのだ
 学習のポイント2
ろうか。そして、祖先が『論語』を行動の基本、人生のよ
 「学問」について述べた
漢文編

すがとしてきた意味を、ぜひ実感してほしい。
  三つの文章を読み味わう
(1)子曰、
「学而時習之、不亦説乎。有朋自遠方来不亦楽乎。
学習のポイント1
 

高校講座・学習メモ
   人不知而不慍、不亦君子乎。

国語総合
 孔子とはどんな人か ■孔子塾の教育理念「人格形成は学問に始まり学問に終わる」
第 77 回
ろ すうゆう きょ
孔子は、紀元前五五二年ごろに、魯の陬邑、現在の山東省曲 [ポイント] 学問の三つの段階を確認しましょう。
くふ あざな ちゅう じ
阜市で生まれました。名は丘。 字 は、 仲 尼といます。 ①知らなかったことを知る喜び
孔子は、幼いこと父を亡くし、貧しい生活の中で育ちました。 ②友と切磋琢磨して成長してゆく喜び
③君子といわれるまでに向上してゆく人格完成 をいいます。この二つを合わせると「学習」となります。
ラジオ学習メモ

もう一つのキーワードは「知る」です。「知る」とは、
「既知
(2)子曰、「吾十有五而志于学。三十而立。四十而不惑。  のことと未知のこととの区別を明確にすること」をいいます。
   五十而知天命。六十而耳順。七十而従心所欲不踰矩。
」 つまり、学問とは、
「学ぼうとする謙虚な態度、そして、復習し、
■「孔子の人生」・「理想とする人生」の二説があります。 自ら考える努力によって完成されるのだ。そのためには、既知
[ポイント] 年齢を表す熟語を覚えましょう。 と未知の区別をしっかり付け、既知なものの上に、未知なもの
し がく じ りつ ふ わく
①十五歳(志学) ②三十歳(而立) ③四十歳(不惑) を極める態度が大切で、そこに、学問の向上がある。」と孔子
ち めい じ じゅん じゅうしん
④五十歳(知命) ⑤六十歳(耳順) ⑥七十歳(従心) はいっているのです。
(3)子曰、「由誨女知之乎。知之為知之不知為不知。是知也。」
■真の「知者」とはどんな人か。
[ポイント] 「知る」と言うことの意味を理解しましょう。

− 211 −
真の「知者」は、「知っていること」と「曖昧で良くわか
  らないこと」との区別を明確にする人。
おし
「誨へんか(乎)」
おし か
   ……「 誨
ふ」とは、言葉で人を諭すこと。「乎」は、文
     末に置いて疑問を表す。
漢文編

学習のポイント3 
 
 「孔子の学問に対する態度」についての

高校講座・学習メモ
国語総合
  理解を深める
第 77 回
ここでのキーワードは、「学ぶ」と「習う」です。
孔子のいう「学ぶ」とは、「書物や他人から教えを受けること」
です。「習う」は、「身に付くまで何度も繰り返し復習すること」
論語  学ぶということ
講師
ラジオ学習メモ

 渡辺恭子
よろこ
口語訳
子 曰
、「学 而 時 習 之
、不 亦 説 乎
。有 朋 自
し  
いハク  ビ
テ ニ
  フ
  こ
れヲ  ず
  ま
た  バシカラ や  
リ  と
も  よ


レ 二 一
    レ
  二

先生がお っしゃった、「学んだことを機会を
見つけては、その時その時に復習する。なんと
遠 方 来 不 亦 楽 乎
。人 不 知 而 不 慍、不
きタル  シ
  カラ  シ
テ  ラ
  う
らミ
一  二
    一
  レ
  レ
  二
 
嬉しいことではないか。友人が遠方からやって
きて(学問について話し合う)。なんと楽しい
亦 君 子 乎


ナラ  ト
 



ことではないか。他人が自分を認めてくれない
がく じ
[学而 ]
  からといって、不平不満を抱かない、なんと徳
の備わった人ではないか。
」と。

− 212 −
子 曰
、「吾 十 有 五 而 志 于 学。三 十 而 立。
ク   われ  ニ
ハ ス  
シテ   ニ ニ
シテ  ツ

先 生 が お っ し ゃ っ た、「 私 は 十 五 歳 で、 学 問


  一
 
修養に志した。その後努力し、三十歳になると、
四 十 而 不 惑
。五 十 而 知 天 命
。六 十 而
ニシテ  ハ
    ニ
シテ  ル
  ヲ

シテ 
(一通りの学問や道徳心も身に付き、)独り立


 

  一
 
ちができた。四十歳の時には、
(どんなことに
耳 順
。七 十 而 従 心 所 欲 不 踰 矩。


たがフ  ニ
シテ ヒテ  
  ノ  
ニ  ス
ル  ト
  こ
エ  の
りヲ

二 一
 
レ  レ

 
出会っても、取り乱すことがなく、)迷うこと
ゐ せい
もなくなった。五十歳になると、天から自分に
[為政]
 
与えられた使命を悟った。六十歳になると、他
 
漢文編

人の言葉が素直に聞けるようになった。七十歳
になってやっと、自分の思うままに振る舞って
も、(人としての)道を踏み外さないようになっ
子 曰
、「由 誨 女 知 之 乎
。知 之 為 知 之 不

ク  い しヘン   なんぢニ  ル
う  を ヲ  ヲ
  か
  ル
ヲ  ヲ
  な
シ  ル
ト  ヲ
  ざ
ルヲ
た。」と。

高校講座・学習メモ
二 一
  レ  レ
レ     レ


国語総合
知 為 不 知
。是 知 也


ラ  ス
    ト ラ  
  こレ  ル
  ト

レ  レ
   
第 77 回
[為政] 先 生 が お っ し ゃ っ た、「 由 よ。 お 前 に 知 る と
  いうことを教えようか。知ってることを知って
いるとし、知らないことを知らないとする。そ
れが知るということだ。」と。

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