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古文編  物語

ラジオ学習メモ

伊勢物語 (全二回) 芥川
講師 ア行下二段動詞
畠山 俊 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形

  得 え え う うる うれ えよ  
        ▽現代語訳 手に入れる
ハ行下二段動詞
 
全二回 の 一 [伊勢物語
   芥川]
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形

− 220 −
 

■学習のねらい■ 経 へ へ ふ ふる ふれ へよ
歌物語とはどのようなものかを知り、同時に物語の初め ワ行上一段動詞
の部分の展開を捉える。 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
 

率る ゐ ゐ ゐる ゐる ゐれ ゐよ
「已然形+ば」 ▽現代語訳「ので、と、ところ」
古文編

「けり」 過去の助動詞 
学習のポイント1
 
「なむ(係助詞)─連体形」 係り結び 強意
  男と女はどのような逃避行を行ったか

高校講座・学習メモ
幼い者や小さいものに対するいとしさ、愛らしさを表す言葉 ■内容のまとめ
国語総合
が「うくつし」である。 結婚を許されなかった男が夜の暗さにまぎれて、求婚してい
第 80・81 回
た女を盗むように連れ出し、逃げた。露を女は「あれは何」と
【文法事項のまとめ】 尋ねた。
「え─打消し」 不可能を表す。
 学習のポイント2 *    *    *    * 
ラジオ学習メモ

 歌物語とはどのようなものか 全二回 の 二 [伊勢物語


     芥川]
「伊勢物語」は平安時代に書かれた初の歌物語である。 ■学習のねらい■
歌には事情を説明した詞書が歌に先立って付けられているこ 物語後半を読んで、話の部分と歌の部分とがどのように
とがある。その詞書が発展したものが歌物語であると考えられ かかわっているかを読み味わう。
ている。伊勢物語の主人公の男は在原業平がモデルではないか
と言われている。業平は六歌仙のひとりで、「古今集」を代表
 学習のポイント1
する歌人のひとりである。
 女の行方はどうなったのだろうか
【文法のまとめ】
学習のポイント3 
 
「なむ」 
 男の心遣いについて読みとろう

− 221 −
  ▼未然形に付く場合
【文法事項のまとめ】
   願望の助詞 *本文はこの例
「で」 接続助詞  ▽現代語訳「ないで」
        ▽現代語訳「~してほしい」
「いと・いみじ・いたう」 いずれも強調の言葉
  ▼連用形に付く場合
「さへ」      ▽現代語訳「までも」 「な」強めの助動詞+「む」推量の助動詞
   
古文編

ラ行変格活用
        ▽現代語訳「~だろう」
未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 *現代語訳してみると、ここは願望の助詞がふさわしいとわ
をり をら をり をり をる をれ をれ
  かる。

高校講座・学習メモ
  ▼種々の語に付く場合
国語総合
■内容のまとめ
   係助詞
第 80・81 回
夜が更けるし、雷と雨が激しいため男は見つけた荒れ果てた (全体)「はや夜も明けなむ」
   
蔵で女を休ませようとする。女を奥に入れ、自分は戸口で番を ▽現代語訳「早く夜も明けてほしい」
        
する。いずれも男の心遣いである。 「ゐる」ワ行上一段動詞
   「居る」  ▽現代語訳「座っている」    ▽
全体の現代語訳 「消えてしまえばよかったのに」
ラジオ学習メモ

「率る」
      ▽現代語訳 「連れて行く」
「え……打消し」=不可能  ■内容のまとめ
前の部分で草に降りた露を「あれは何ですか」と女が尋ねて
        ▽現代語訳「……することができない」
「食ひてけり」 「食ひ」ハ行四段動詞連用形 いた。
「て」完了の助動詞連用形 その場面と歌が直接に続いている。あの問いは歌を参考にす
        
「けり」過去の助動詞終止形 ると、「あれは真珠でしょうか、何でしょうか」と尋ねたとわ
        
「来し」 「来(こ)」カ行変格活用未然形 かる。そして男の心情は「女を鬼に食われてしまうくらいなら、
あのときあれは露ですと答えて、露のようにふたりで消えてし
      「し」過去の助動詞連体形 基本形は「き」
まえばよかったのに」という後悔の念となる。露は「はかない
■内容のまとめ もの」で、命を象徴している、歌でよく用いられる「たとえ」
夜が明けそうになり、男が蔵の奥を見ると女がいない。きっ である。

− 222 −
と鬼が食べてしまったのだろうと男は考えた。女の行方は「鬼
に食われた」のである。
 学習のポイント3
 事件の真相を解明しよう
 学習のポイント2
この話には続きがある。
 歌に込められた
古文編

「これは二条の后の、いとこの女御の御もとに仕ふま
  男の心情を読み取ろう つるやうにてゐ給へりけるを、かたちのいとめでたくお
【文法のまとめ】 はしければ、盗みて負ひて出でたりけるを、御兄人堀河

高校講座・学習メモ
「消えなましものを」
国語総合

のおとど、太郎国経の大納言、まだ下﨟にて内裏へ参り
  「消え」ヤ行下二段動詞連用形  基本形「消ゆ」
第 80・81 回

給ふに、いみじう泣く人あるを聞きつけて、とどめて取
  「な」強めの助動詞未然形 基本形「ぬ」 り返し給うてけり。それをかく鬼とはいふなりけり。ま
  「まし」反実仮想の助動詞終止形 だいと若うて、后のただにおはしけるときとや。

  「ものを」逆接の助詞
〔現代語訳〕 この話は二条の后が、いとこの女御の元に
ラジオ学習メモ

お仕えするような形で過ごしていらっしゃったのを、顔立
ちがとても美しくていらっしゃったので、(男が)盗んで
背負って逃げ出したのを、御兄弟の堀川のおとどと太郎国
経の大納言とが、まだ身分が低くて宮中に参内なさる途中
で、たいそう泣いている人がいるのを聞きつけて、とどめ
て 取 り 返 し な さ っ た の で あ っ た。 そ れ を こ の よ う に 鬼 と
言ったのであった。まだとてもお若くて、后がふつうの人
でいらっしゃったときのことだとか。
誰の話か「事の真相」を、後の人が説明した部分だと考えら
れる。

− 223 −
古文編

高校講座・学習メモ
国語総合
第 80・81 回
ラジオ学習メモ

講師
伊勢物語 芥川
あくた が は
い せ
 畠

 俊

昔、男ありけり。女のえ得まじかりけるを、年を経てよばひわたりける
い ゐ
を、からうじて盗み出でて、いと暗きに来けり。芥川といふ川を率て行き
なに
ければ、草の上に置きたりける露を、「かれは何ぞ。」となむ男に問ひける。

行くさき多く、夜も更けにければ、鬼ある所とも知らで、神さへいといみ 現代語訳
昔、ある男がいた。女で手に入れられなかった女を、
じう鳴り、雨もいたう降りければ、あばらなる蔵に、女をば奥に押し入れ
やなぐひ 何年にもわたって求婚し続けていたが、やっとのことで
て、男、弓、胡簶を負ひて戸口にをり、はや夜も明けなむと思ひつつゐた 男は女を盗み出して、たいへん暗い時に逃げてきた。芥

− 224 −
川という川の近くを女を連れて逃げていったところ、草
りけるに、鬼はや一口に食ひてけり。「あなや。
」と言ひけれど、神鳴る騒
こ の上に降りている露を女が見て、「あれは何ですか。
」と
ぎにえ聞かざりけり。やうやう夜も明けゆくに、見れば、率て来し女もな 男に尋ねた。これから行く道のりは遠く、夜も更けてし
まったので、鬼のいるところとも知らないで、雷までも
し。足ずりをして泣けどもかひなし。
がたいへんひどく鳴り、雨も激しく降ってきたので、荒
白玉か何ぞと人の問ひし時露と答へて消えなましものを
  れ果てた蔵に、連れてきた女を奥に押し入れて、男は、
弓とやなぐいを背負ったまま戸口に控えていた。早く夜
【第六段】
古文編

が明けてほしいと思いながら男が座っていると、鬼がす
ば や く 一 口 で 女 を 食 っ て し ま っ た。「 あ れ っ。」 と 女 は
言ったけれど、雷の鳴る大きな音で男はその声を聞きつ
けることが出来なかった。だんだんと夜が明けてゆくの

高校講座・学習メモ
で、蔵の中を見てみると連れてきた女もいない。足をこ
国語総合

すりつけて泣いたが何にもならない。
第 80・81 回
あのきらきら輝いているのは真珠でしょうか、そ
れともほかの何かでしょうかと、あの人が尋ねたと
きに、あれは露ですと答えて、露のようにふたりで
本文は、
「新日本古典文学大系」によった。
消えてしまえばよかったのに。

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