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筋力 トレーニ ングの基礎知識
筋力 トレーニ ングの基礎知識
Title 力増加のメカニズム―
Author(s) 市橋, 則明
URL http://hdl.handle.net/2433/49548
Right
Textversion publisher
Kyoto University
京都 大学医療技術短期大学部 紀要 別冊
健康 人間学 第 9号 1
997
筋力 トレーニ ングの基礎知識
一 筋力に影響す る要因 と筋力増加のメカニズムー
市 橋 則 明
表 1 運動要素による分類
は じ め に
等尺性収縮-関節の角度あるいは筋の長さが一定
近年,筋力 トレーニ ングはスポーツ選手 だけ 等張性収縮一筋の発生する張力が一定
等速性収縮一筋の収縮速度が
でな く,健康維持のための体力づ くりとして,
一般 に広 く行われるようになって きた。体力テ
ス ト時に行われる握力,背筋力 といった筋力の 一定
表 2 収縮要素によ
京都 大学医療技術 短期 ダンベ
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9 6年 1月3
1 0日受 lt
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付 - 3
健康 人間学 第 9号 1
997
3)筋線維組成
人間の筋線維 は次 の 3つ に分類 される。
①so 線維 (
タイプ Ⅰ
)
短縮速度は遅 いが,持久性 に優れている。
②FG 線維 (
タイプ Hb)
速 く短縮 し,発揮す る張力 も大 きいが,疲労
紡錘筋
P‥
しやすい。
③FOG 線維 (
タイプ I
Ia)
P :生理学 的 羽状筋
P> A p-a+b
FG 線維 と SO 線維 の両方の性質 を有 し,痩
図 1 紡錘筋 A :解 剖学 的断面積
と羽状筋 における解剖学的断
断面積
縮速度 も速 く,持久性 も高い。
- 3
4一 A
市橋則 明 :筋力 トレーニングの基礎知識
l
=
≡≡=
Z l
≡ ≡Z
Z l モーメ ン トアームが関係 す る 。 関節 の トル ク
ト
-筋節
I
-+ 杭節
一一
一
一
・
一-
1 (
T),モーメ ン トアーム (
Ma),筋張力 (
線維張力が総合 されて臆 に作用 された力)の関
F:筋
T
L
節の角度が変化す ることによ りモーメン トアー
- _
L≡ ≡ = 1
_ - I
-- ムは変化 し,筋張力の変化 も筋長が変化す るこ
とによ り引 き起 こされる。例 えば,膝関節伸展
ら) 直列
( の場合 を考 えてみると, トル クが最大 になる角
0
1 1
0 0
1 1
0 度 は約 6
0度であ り,伸展 してい くに従 って トル
クは減少す る。 これはモーメ ン トアームの減少
図 2 筋節の連結 (
並列 と直列)における力8
) と筋線維長の短縮 (
筋線維の張カー長 さ関係 に
- 35-
健康人間学 第 9号 1
997
8
2
0
4
6
00 VL VM V
図 3 大腿部 における筋
I RF SM ST BF GRA SAR ADD
(
vL:外側広 筋,vM
の生理学 的断面積 (
:内側広筋,vI: pc中間広筋,R
sA)と筋線維長 (FL)
F:大腿直9)
筋,sM :半膜様筋,sT : 様筋
筋,SAR :縫工筋,AD 内転筋群) ,BF:大腿二頭筋,GRA :薄
トレーニ
図4 最大筋九 最
ン
グ
負榊
重
度度
(
,
最
大
偉
大筋
力
-1
0
0%
と
速
し
た
相対
強度 大パワーに ;
%)
図5 トレーニングによる最大挙上
立幅 跳
性最大筋力および跳躍力の変化
重量,等尺
n
2
トレーニンクした虎青 年
トレーニングしな
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絶 対 筋力
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筋 (
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高齢者
4一 一一一℃
節 トレーニンク期 68
斬 1
4 図 7 筋力 トレーニングにおける筋 間(
週)
面
■
■
一一 的要 因の相対 的貢献度 17 肥大 と神経
(
cn
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3
1
2
の 因子 を高 め る トレーニ ング と
) して は, ウエ
1
1
トリフテ ィ ング選手 の トレーニ ングが あ げ ら イ
1
0
トレーニング 2
0日目 0
4白目 6
0日目 る。 ウエ イ トリフテ ィ ングは,制 限 され た れ
の 中で, よ り強 い筋力発揮 が要 求 され る 体重
前 トレー
大脳 の興奮水準 を可能 な限 り高 め,筋 力発
ため,
図 6 最大筋力,筋断面積
ニンク期間 (
日)
レーニングに伴 う および絶対筋力の ト 参加 す る筋線維 を1
00%近 くまで高 め 揮に
言 い換 えれ ば心 理 的限界 をで きるだ け生
る よ うな,
もた らされて い る。 変化 16)
界
る。に近
そづのけ
たるめよ
にうな
は, トレーニ
強 い 負 ングが 必 要
理に的限
な
1
00%) で低 頻 度 の筋 力 トレーニ
荷 (最 大 の 90-
筋力 に影響 す る
ま と め
よ り変化 させ る こ要 因の 中で, トレーニ ングに
と神経系 に よる要 とがで きるの は,筋 の断面積
力 トレーニ ン 因で あ る。 この こ とか ら,筋 れ1
る 文 の絶対
)。福永哲夫 :ヒト 献 ングが 実 施 さ
組成 ・筋力の分析 .東
筋力-超音波による体肢
大 を引 き起 こす
グ を実施 す る場 合 は,筋線維 の肥
7
5-1
05 京 :杏林書院,1
978=
グ と神経 系 の要 こ とに重点 をおいた トレーニ ン
)金久博昭 ‥スポーツ選手の単位断面積当た りの
2
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i1986
409
414
5
c
ports
:
-,角田直
高 め る) トレー因 を高 め る (
大脳 の興奮 水準 を 脚伸展力.Ja
pJ
3)
る 16)。 例 え ば, 筋
ニ肥ン グ に 分 け る こ とが で き 也,金久博昭,福永哲夫他 ‥大腿四頭筋
大ビル
ング と して は, ボデ ィ を 目的 と した トレーニ
最大筋力
の60
70%
-
強 くしない
トレーニ ( あ る。 この場合
ングが 選手 ,負荷
の実施 はあ
して
) で量 まる
をい り
す る方 向で トレーニ ン グ され る。 一方 ,神経
多系く
- 3
8
市橋則明 :筋力 トレーニ ングの基礎知識
1
995:6, 1
25-1
29 2) 金子公宥, 田路秀樹 :パ ワーア ップの原則 再
1
5
)古屋かおる :筋収縮力 の調節機構.体育の科学 考.JapJSport
sSc
i 1993:1
2, 1
60-1
64
1
988:3
8,41
9-425 1
3) 森谷敏夫,根本 勇 :スポーツ生理学.東京 :
6)勝 田茂 :運動生理学 20講.東京 :朝倉書 店, 朝倉書店 , 199
4:147-1
59
19
93:8-1
4 4) 金子公宥, 副本隆文,田路秀樹,末井健作 :人
1
7
)金久博昭 :筋の トレーニ ング科学.東京 :光文 体筋の力 速度 ・パ ワー関係 に及 ぼす トレーニ
堂, 1
989:42-
50 ングの効果.体力科学 1
981:30,86-
93
8)金子公宥 :パ ワーア ップの科学.東京 :朝倉書 1
5)Thor
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店, 1
988:37-
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9)市橋 則 明,吉 田正樹,石川 斉他 :MRIに よ z
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る筋線維長及 び生理学 的断面積の測定.理学療 mans ke
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and 1
976:
法学 994:21 (
1 学会特別号),354 96,3
92-398
1
0)福永哲夫 :筋力 「人間の発揮で きるカー筋カ 6)福永哲夫 :筋力 トレーニ ング.臨床 スポーツ医
1
の と ら え 方」. JapJ Spor
tsS°
i 1
994:1
3, 学 1
984:1
,571
う78
371
-37
6 1
7)森谷敏夫 :トレーニ ングによる筋力増大のメカ
)猪飼道夫 :筋力の生理 的限界 と心理的限界の筋
ll ニズム.臨床 スポーツ医学 1
991:8,7
41-7
44
電図学的研究.体育学研究 1
961:5, 1
54-1
66
ー 39