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現代文編  短歌・俳句

ラジオ学習メモ

春風や 【俳句】 (全二回)
講師 季語─「芋の露」秋
畠山 俊 「正しうす」は擬人法である。そこには作者の姿勢も感じ取
ることができる。芋畑の近景と山並みの遠景とを対比させてい
る。
全二回 の
 
一 [春風や]
  みずはら しゅうお う し
水原秋桜子 

− 149 −
■学習のねらい■
冬菊のまとふはおのがひかりのみ
現代の俳句を読んで、その中に詠まれた自然や生活のひ
とこまを味わう。 (冬菊がまとっているのは自分自身の光だけである)
季語─「冬菊」冬
「まとふ」
は擬人法。本当は冬の薄日が射しているのだろうが、
学習のポイント1
現代文編

 
冬枯れの景色の中で、菊の花自身が輝いているように見えてい
俳句の中の自然を感じよう
る。

高校講座・学習メモ
いい だ だ こつ
国語総合

飯田蛇笏
   学習のポイント2
第 59・60 回
芋の露連山影を正しうす
 現代の俳句について考えてみよう
(芋の葉に露が降り、その畑の向こうには連なった山並 短歌同様、日常に使う言葉で、句を作るようになった。また、
みが姿勢を正すようにまっすぐくっきり見えている) 「歳時記」という季語を集めた本には新しい言葉も次々に載る
ようになっている。 「B面」とは「主ではない」ということ。楽しみにしていた
ラジオ学習メモ

松尾芭蕉の理念「不易流行」は現代にも受け継がれている。 旅も終わってしまい、夏休みも付け足しのようになってしまっ
た、日常の気分を歌に詠んでいる。言葉遣いもふつうに使うも
のである。
学習のポイント3 
 
 生活の中から生まれた *    *    *    *
  俳句を読み味わおう
全二回 の
  二 [春風や]
 
なかむらていじょ
中村汀女 ■学習のねらい■
 
せき 旅を詠んだ俳句や希望を詠んだ俳句を鑑賞し、作者の心
咳の子のなぞなぞあそびきりもなや
情について考える。
(風邪をひいて咳をしている子どもがなぞなぞあそび

− 150 −
をきりもなくせがんでいる)
 学習のポイント1
季語―「咳」冬
「きりもなや」は「きりもない」に詠嘆の助詞「や」がつい  旅路を詠んだ俳句を鑑賞してみよう
か ぜ
ているもの。風邪をひいて寝ていなければならず、退屈してい
る子どもの相手をしている母親の愛情が感じられる。生活のひ やまぐちせい し
山口誓子
 
現代文編

とこまである。 そう や と なみ
流氷や宗谷の門波荒れやまず
あゆずみ
黛 まどか  (流氷よ。
宗谷海峡に立つ波は荒狂っていることだ)

高校講座・学習メモ
季語─「流氷」春
国語総合

なつ やすみ
旅終へてよりB面の夏休
作者は北海道から祖父のいる樺太島に渡ろうと連絡船に乗っ
第 59・60 回
(楽しい旅が終わってからは、つまらない付けたし ている。春早い海峡は荒い波が立っている。それはこれからの
のような夏休みになった) 生活の厳しさもうかがわせる表現となっている。
「や」
は切れ字。
季語─「夏休み」夏 「門波」は「万葉集」に使われた語の再発見となっている。
たね だ さんとう か
種田山頭火   が生え始めたことだ)
ラジオ学習メモ

季語─「万緑」夏
分け入っても分け入っても青い山
草の生い茂る生命力と子どもに生え始めた歯の生命力とを対
(分け入っても分け入っても木々の生い茂った山が 比的に表現している。真ん中の七音の途中に意味の切れ目があ
続いている) り、そのふたつが競い合っているかのようなイメージを与えて
無季自由律 いる。
作者は無季自由律(季語を入れず、五七五の音数にこだわら
ないこと)の俳句を追及し続けた人で、実際に旅に生きた経験 はしもと た
橋本多佳子 
か こ
を、句作りの厳しさの象徴として表現して句にしている。 りん ご
星空へ店より林檎あふれをり
(星空へ向かって店頭に積まれた林檎があふれ出て
 学習のポイント2
いくようである)
 切れ字について考えてみよう

− 151 −
季語─「林檎」秋
「や、かな、けり」などの字で句がいったん切れることがあり、 暗くなるのが早くなった秋の日。家路を急ぐ目に、果物屋の
その文字を切れ字と呼ぶ。感動の中心を表したり、余情をもた 店頭の灯りが飛び込んでくる。店頭いっぱいにうず高く積まれ
らしたりする。句末に置かれることもある。 た林檎が星空に飛び出していくように見える。「星」や「林檎」
が希望を象徴しているように思える、戦後復興期の句である。
現代文編

 学習のポイント3
 俳句の中の希望を読み取ろう

高校講座・学習メモ
国語総合
なかむらくさ た お
第 59・60 回

中村草田男
 
あ こ
万緑の中や吾子の歯生え初むる
(あたり一面に生い茂った草の中、私の子どもの歯

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