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漢文  論語・史話〈一〉
渡辺恭子

論語 「学ぶということ」
講師

理解を深めるために
■学習のねらい■
『論語』を、
「学問」
「人間」
「政治」の各方面から、三回にわたって学習しま
す。今回は、
その一回目。
「学問」についてです。孔子の言行録である『論語』
は、古くからたくさんの人々に親しまれ、日本人の精神や文化にも、大きな影
響を与えてきました。孔子とは、一体どのような人なのでしょうか。そして、
孔子の学問に対する態度についての理解を深めましょう。
*        *        * 
孔子とはどんな人でしょうか
ろ すうゆう きょくふ
孔子は、紀元前五五二年ごろに、魯の陬邑、現在の山東省曲阜市で生まれまし
あざな ちゅう じ
た。名は丘。字は、仲尼といます。孔子は、幼いころ父を亡くし、貧しい生活の
中で育ちました。学問好きで、
苦労して学問をした結果、立派な役人になりました。
ところが、反対勢力に破れ失脚。孔子を慕う弟子たちを連れ、自分の考えを受け
入れてくれる国を探して、諸国巡業の旅に出ます。しかし、孔子のいう「人間愛
に基づく政治」は、時代に合わないと見向きもされませんでした。孔子は、七十
歳近くになって、再び故郷魯に帰り、政治には一切かかわらず、残りの人生を弟
子の教育と書物の整理とにかけたといわれています。
「学問」について述べた三つの章句を読み味わいましょう
(1)子曰、「学而時習之、……」 
☆孔子塾の教育理念「人格形成は学問に始まり学問に終わる」と述べています。
 

⃝イント 学問の三つの段階を確認しましょう。
ラジオ学習メモ

①知らなかったことを知る喜び
 
②友と切磋琢磨して成長してゆく喜び
 
③君子といわれるまでに向上してゆく人格完成

国語総合
第 75 回

222

(2)子曰、
「吾十有五而志于学。……」 
 ☆「孔子の人生」・
「理想とする人生」の二説があります。
ポイント 年齢を表す熟語を覚えましょう。

①十五歳(志学・しがく) 
②三十歳(而立・じりつ)
③四十歳(不惑・ふわく) 
④五十歳(知命・ちめい)
⑤六十歳(耳順・じじゅん)
⑥七十歳(従心・じゅうしん)
(3)子曰、
「由、誨女知之乎。…」
 
 ☆「学ぶこと」
・「考えること」は、どちらも大切です。
ポイント 真の
⃝ 「知者」
は、「知っていること」と「曖昧でよくわからないこと」
との区別を明確にする。
おし か おし か
◦「誨へん乎」……「誨ふ」とは、言葉で人を諭すこと。「乎」は、文末に置
いて疑問を表す。
「孔子の学問に対する態度」についての理解を深めましょう
ここでのキーワードは、「学ぶ」と「習う」です。孔子のいう「学ぶ」とは、「書
物や他人から教えを受けること」です。
「習う」は、「身に付くまで何度も繰り返
し復習すること」をいいます。この二つを合わせると「学習」となりますね。も
う一つのキーワードは「知る」です。
「知る」とは、「既知のことと未知のことと
の区別を明確にすること」をいいます。つまり、学問とは、「学ぼうとする謙虚
な態度、そして、復習し、自ら考える努力によって完成されるのだ。そのために
は、既知と未知との区別をしっかりと付け、既知なものの上に、未知なものを極
める態度が大切で、そこに、学問の向上がある。」と孔子はいっているのです。
ラジオ学習メモ

国語総合
第 75 回

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渡辺恭子

論語   八章
講師

 学ぶと言うこと
よろこ

し い
曰、「学
ハク ビ







之、不
れヲ ず ま

た バシカラ や
説 乎。有










も よ
自 遠
リ き
方 来、不
タル シ
亦 楽 乎。人
カラ シ
不 知
テ ラ











不 慍
、不
らミ ナ
亦 君 子
ラ ト
乎。






がく  

〔学而〕 
子 曰、「吾

ク わ
れ ニ
十 有 五
シテ ス
而 志

于 学。三


シテ






立。四 十

シテ ハ
而 不 惑。五


シテ ル
而 知 天





命。六
ヲ ニ

シテ し
而 耳 順。七
たがフ ニ
十 而
シテ ヒ

テ ノ
心 所







欲、不

ル ト


エ の


りヲ





ゐ せい
〔為政
 
〕 


曰、「由、誨
ク い
う を
しヘン な

んぢニ ル

ヲ ヲ


乎。知

ヲ ヲ


為 知
シ ル








之、不
ヲ ざ
ルヲ ラ
知 為




知。是

レ ル
知 也。

りト








〔為政〕 
ラジオ学習メモ

国語総合
第 75 回

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【書き下し文】
①子曰はく、
「学びて時に之を習ふ、亦説ばしからずや。朋
有り遠方より来たる、亦楽しからずや。人知らずして慍み
ず、亦君子ならずや。」と。
② 子 曰 は く、
「 吾 十 有 五 に し て 学 に 志 す。 三 十 に し て 立 つ。
四十にして惑はず。五十にして天命を知る。六十にして耳
順ふ。七十にして心の欲する所に従ひて、
矩を踰えず。
」と。
③子曰はく、
「由、女に之を知るを誨へんか。之を知るを之
を知ると為し、
知らざるを知らずと為す。是れ知るなり。
」と。
【現代語訳】
① 先 生 が お っ し ゃ っ た、
「 学 ん だ こ と を 機 会 を 見 つ け て は、
そのときそのときに復習する。なんとうれしいことではな
いか。友人が遠方からやってきて
(学問について話し合う)、
なんと楽しいことではないか。他人が自分を認めてくれな
いからといって、不平不満を抱かない、なんと徳の備わっ
た人ではないか。」と。
②先生がおっしゃった、「私は十五歳で、学問修養に志した。
その後努力し、三十歳になると、
(一通りの学問や道徳心
も身に付き、
)独り立ちができた。四十歳の時には、
(どん
なことに出会っても、取り乱すことがなく、
)迷うことも
なくなった。五十歳になると、天から自分に与えられた使
命を悟った。六十歳になると、他人の言葉が素直に聞ける
ようになった。七十歳になってやっと、自分の思うままに
振る舞っても、(人としての)道を踏み外さないようになっ
た。
」と。
③先生がおっしゃった、「由よ。お前に知るということを教
えようか。知ってることを知っているとし、知らないこと
を知らないとする。それが知るということだ。
」と。
ラジオ学習メモ

国語総合
第 75 回

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