Download as pdf or txt
Download as pdf or txt
You are on page 1of 4

Garôta de Ipanema

Garôta de Ipanema

基本データ

参考⾳源

Getz/Gilberto (1963年)

Oscar Peterson/We Get Requests (1964)

Francis Albert Sinatra & Antonio Carlos Jobim (1967)

曲⽬解説

キーとコード進⾏

歌詞とメロディの関係

ブリッジのコード進⾏

Garôta de Ipanema
基本データ
作曲年︓1962年
作曲︓Antônio Carlos Jobim (1927-1994)
作詞︓Vinícius de Moraes (1913-1980)
英詞︓Norman Gimbel (1927- )
英題︓The Girl From Ipanema

参考⾳源
Getz/Gilberto (1963年)
このレコードが⼤ヒットしこの曲が⼀躍有名になる。キーはD♭。1コーラス⽬がJoaõがポル
トガル語で、2コーラス⽬と4コーラス⽬後半をAstrudが英語で歌っている。

Oscar Peterson/We Get Requests (1964)


Petersonのトリオは、Getz/Gilbertoが発表された年にさっそくこの曲を演奏している。この
素早さはすごい。リズムは、ボサノバというよりはスウィングと融合した独⾃のものになっ
ている。これをご機嫌なピーターソン節と好意的に受け⽌めるか、ブラジル⾳楽へのリスペ
クトが⾜りないとみなすかは意⾒が分かれるところだろう。キーはD♭。

Francis Albert Sinatra & Antonio Carlos Jobim (1967)


シナトラがジョビンと共演したアルバム。編曲はClaus Ogermanで、キーはF。

曲⽬解説
キーとコード進⾏
ジャム・セッションの場や、急なリクエストに応えてインストゥルメンタルで譜⾯を⾒ずに
演奏するとき、この曲はFで演奏することが多い。

また、例えば、5-8⼩節⽬のコード進⾏は、Gm7 | G♭7 | Fmaj7 | G♭7 |のようにルートが半⾳


で進⾏するものが標準となっている。ほとんどの曲集がこのコード進⾏を採⽤している。

これは、1967年、フランク・シナトラが作者アントニオ・カルロス・ジョビンと共演した録
⾳の影響であると考えられる。

まず、キーがFである。

また、コード進⾏に注⽬すると、アレンジの都合で必ずしも上に述べた通りではないけれど
も、1コーラス⽬から2コーラス⽬のつなぎ⽬などをうまく利⽤して簡略化すると、われわれ
がふつう演奏する標準的なコード進⾏に近くなる。

Getz/Gilbertoのレコードもヒットしたが、シナトラ-ジョビンの影響⼒も絶⼤だったともいえ
そうである。

ちなみにGetz/GilbertoのキーはD♭、5-8⼩節はギターのみによる1コーラス⽬は半⾳進⾏っぽ
くも聞こえるが(ただしベースの役割であるギターの最低⾳は⾳域の都合とボサノバのスタ
イルによりルートを弾いていない)、ベースが⼊る2コーラス⽬以降に注⽬すると、
E♭m7/A♭ | A♭7 | D♭maj7 | D♭maj7 |と解釈できる。その翌年録⾳のピーターソン・トリ
オもこの解釈にならっている。

歌詞とメロディの関係
この曲は、ブラジルの公⽤語であるポルトガル語の歌詞のほかに英語の歌詞もつけられてい
る。Getz/Gilbertoの⽶国での⼤ヒットはAstrudが歌った英詞の果たした役割を看過すること
はできない。

私は、この曲のポルトガル語と英語の歌を聴き⽐べ、さらには譜⾯を⾒⽐べることにより、
⾔語とメロディの関係性についてあらためて再認識した。

これは、冒頭4⼩節⽬の英語の歌詞に対するストレートメロディである(⾼島慶司編『スタン
ダードジャズのすべて2』全⾳楽譜出版社、1988年、46ページ)。
同じ箇所をポルトガル語の歌詞に対するメロディと⽐べてみる(吉野幸⼦著『ボサノヴァ・
ハンドブック2すぐに使える91曲Vol. 44-91』中央アート出版社、2010年、6ページ)とずい
ぶんと異なることに気づくだろう。

いずれの楽譜も、原典にあたるという編集⽅針を貫いていると思われ、引⽤したもの以外に
もまったく同じメロディ符割を掲載している曲集がそれぞれ存在することから、いずれも信
頼性は⾼いと思われる。

⻄洋⾳楽では、原則として⾳符の数(タイのなったものは1つと数える)とシラブル(⾳節)
の数は⼀致する。したがって、英訳するにあたりポルトガル語の歌詞のシラブルと⼀致させ
ることをしなかったというのが原因である。加えて、英詞に対するメロディのシンコペーシ
ョンは英語そのもののリズムにも由来しているように思われるし、またポルトガル語版の、
英語版より控えめなシンコペーションの符割は、実際に楽譜を⾒ながら聴くとポルトガル語
のもつ固有のリズムにも由来しているようも思われる。

ブリッジのコード進⾏
この曲のブリッジ(サビ)は少し変わっていて、特徴的なコード進⾏はメロディや歌詞とと
もにこの曲を印象深いものにしている。

ブリッジのコード進⾏は⼀般に1963年のGetz/Gilbertoの録⾳のコード進⾏が定着している。
特に17-28⼩節⽬(ブリッジの1-12⼩節⽬)の少し不思議なこの進⾏の解釈をするには、その
前年のPery Ribeiroの録⾳が⼿がかりになる(かも知れない)。

⼩節番号 17-18 19-20 21-22 23-24 25-26 27-28

⼀般的な進
G♭maj7 C♭7 F♯m7 D7 Gm7 E♭7

Pery Ribeiro
G♭m7 Am7 | B♭m7 |
による初録 G♭maj7 Amaj7 B♭maj7
| C♭7 D7 E♭7
⾳(1962)

アナライズ キーE
キーD♭ 同 同 キーFの 同
(的なも の
のIV(SD) iv(SDm) iv(SDm) IV(SD) iv(SDm)
の) IV(SD)

上の表は、⼀般的なコード進⾏とRibeiroの録⾳(この曲の初録⾳とされる)を⽐較したもの
である。⽐較しやすいように、どちらもFに移調した。
メロディは、最初の4⼩節を、次の4⼩節で増2度(短3度)上に、そして続く4⼩節でさらに半
⾳上に転調している。

Ribeiroの録⾳では、コードもメロディとまったく同様に転調させていることに気づくだろ
う。4⼩節ごとに現れる♭VII7はサブドミナントマイナーivの代理コードであるから、2⼩節ご
とにサブドミナント(メジャー)(SD)-サブドミナントマイナー(SDm)が転調しながら3
回繰り返されている。

⼀⽅、Getz/Gilberto以降⼀般的な進⾏では、2回⽬と3回⽬のIVmaj7が、ほぼ同様の機能であ
るIIm7に置き換わっているのが特徴である。

また、Getz/GilbertoではVIm7も省略されて、同じ機能を持つ♭VII7で統⼀されているが、今
⽇でもここの処理の仕⽅の多少好みが別れるところかもしれない。たとえば、Sinatra-Jobim
の録⾳では27-28⼩節⽬だけB♭m7としている。

You might also like