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Title インドネシア語の動詞形成における接頭辞meN-の機能

Sub Title Fungsi prefiks "meN-" dalam pembentukan verba dalam bahasa Indonesia
Author 松本, 圭介(Matsumoto, Keisuke)
重松, 淳(Shigematsu, Jun)
Publisher 慶應義塾大学湘南藤沢学会
Publication year 2002-03
Jtitle 研究会優秀論文
Abstract 本書は、インドネシア語における接頭辞meN-の機能について考察したものである。接頭辞meN-
の機能は一般的に自動詞・他動詞を形成する事であると言われるが、本書では「派生」および「屈折」
という二つの考え方を利用する事によって、接頭辞meN-は、自動詞を形成する機能は持っている
が、他動詞を形成する機能は持っていないという結論を導き出したものである。
Notes 重松淳研究会2001年秋学期
Genre Technical Report
URL http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=0302-0000-0408

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SFC−SWP2001

ンドネシア譜の動詞形成における
接頭辞meN−の機能
2001年 秋学期
AUTUMN

松本 圭介 環境情報学部4年

重松 淳研究会

慶應義塾大学湘南藤沢学会
 ̄( ̄− ̄ ̄■転鞍 董讃毒毒議

一指掟監≡至≡三…≡享

2001年度卒業論文

指導教員

慶應義塾大学総合政策学部
重松淳助教授

インドネシア語の動詞形成における接頭辞meN−の機能

FungsiPre抗ks山meN一山dalamPembentukanVbrba
dalamBahasaIndonesia

慶應義塾大学環境情報学部
学籍番号79858982
松 本 圭 介

慶應義塾大学
湘南藤沢キャンパス(SFC)
…■;●㌢さ諾苧…史、、

琵毒峯臣‡≡=二
■■・:・:くて・:<÷.ヽヽ

・・ノ・■・■・一・ヽ■・’・●・1・■・‘・㌧

;二==二こ積串婆享.▲H_..▲−__
!さ八§繋苦欝毒手三き三妻
目次

要旨 P.3

序章 はじめに P.5

1. 研究の目的 P.5

2. 研究の指針 P.6
3. 論文の構成 P.7

第一章 語の構造 P.8

1. 語の構成要素 P.9

2. 動詞の構造 P.15

第二章 派生と屈折 P.20

1. 派生と屈折 P.20
2. インドネシア語における屈折 P.22

第三章 接頭辞「meN・」の機能 P.27

1. P.27
meN他動詞における接頭辞meN・の機能
2. P.33
meN自動詞における接頭辞meN・の機能

結章 結論 P.35

謝辞 P.38

参考文献 P.39

付録1:拘束基礎形態素、単純動詞例 P.41

付録2:文法用語対照表(日本語−インドネシア語一英語) P.46

ー2−
要旨

本研究はインドネシア語における接頭辞meN−の機能について考察したものであ
る。接頭辞meN一の機能は一般的に、自動詞、他動詞を形成することであるといわ
れるが、本研究では接頭辞meN・は自動詞を形成する機能は持っているが、他動詞
を形成する械能は持っていないという結論に達した。その結論は、「派生」および「屈
折」という二つの考え方を利用することにより、説明される。インドネシア語の語は
屈折変化を持たないといわれているが、実際には、他動詞に限りいくつかの文法カテ
ゴリーによって屈折変化をする。そのことは、他動詞における接頭辞meN・が、受
動態や命令法の時に接頭辞di−やゼロ接辞と置き換えられることから明らかである。

つまり、他動詞における接頭辞meN・はその他動詞にとっての必要条件であるとは
いえず、そのことは接頭辞meN・が他動詞形成の樺能を担っているわけではないと
いうことを意味する。一方の自動詞は、他動詞のような文法カテゴリーによる屈折変
化はなく、いかなる場合においても接頭辞meN−が取り去られる、または、他の接
頭辞と置き換えられることはない。つまり、自動詞における接頭辞meN−はその自
動詞にとっての必要条件であり、接頭辞meN・が自動詞形成の械能を担っていると
いえる。以上のことより、接頭辞meN−の機能は、自動詞を形成すること、および
他動詞の文法カテゴリーを表すことである、と結論づけた。

キーワード

接辞、派生、屈折、ゼロ接辞、文法カテゴリー

ー3−
Abstrak

● ● ●

Dalamskripsllni,Penulismeやeliti鮎ngsIPre丘ksmeN∴Pada

umumnya,払ngslI)re丘ks meN・adalah membentuk verba transitiち


● ●

maupunintransiti£tetapidalam skripslinlI)enulis menu由ukkan


kesimpulanbahwapre丘ksmeN・memI)unyai血ngsimembentukverba

intransitiftetapitidakmempunyai払ngslmembentukverbatransiti£

Kesimpulaninidijelaskandenganmemakaiduateorilinguistik,yaitu
derivasidanin皿eksi.Pada umumnya,bahasaIndonesia tidak
● ●

mempunyalPerubahanbentukin皿eksionaltetapl,Sebenarnya,Verba

transitif mempunyalI)erubahan bentukin皿eksionalbergantung


beberapa kategorigramatikal,yaitu pre丘ks meN・digantidengan

Pre丘ksdi・ataua丘kskosongpadabentukpasifdanmodusimperati£
artinya pre蝕smeN−bukanlahunsurwajibbagiverbatransitifdan

Pre丘ks meN− tidak mempunyai払gslmembentuk verba transiti£


Sedangkan,Verbaintransitif tidak mempunyaiperubahan bentuk
in皿eksional,Sehingga pre色ks meN・tidak bisa dihilangkan,mauPun
digantidengana丘kslai皿,artinyapre蝕smeN−Padaverbaintransitif

adalab baglVerbaintransitifdanpre丘ks meN・1ahyang


unsurw如ib
● ●

ber払ngsISebagalPembentuk verbaintransitilDariuraian diatas,


Penulismenunjukkankesimpulanbahwa払ngslI)re丘ksmeN・adalaトー月}一− ●

membentuk verbaintransitifdan kategon gramatikal


menu巾ukkan
Padaverbatransitil

Kataku皿Ci

a丘ks,derivasi,in皿eksi,a丘kskosong,kategotd訂amatikal

−4−
1.研究の目的

インドネシア語において、動詞形成(pembentukanverba)にかかわる接辞(a丘ks)
として一般的に知られているのは、接頭辞(pre蝕s〉berlおよび接頭辞meN・であ
る。また非常に大まかに、接頭辞ber−は自動詞(verbaintransitif)を、接頭辞meN・
は他動詞(verbatransitif)を形成するといわれることもあるが、接頭辞ber・を含む
動詞がすべて自動詞である一方、接頭辞meN・を含むものには、例えばmemanjang
(長くなる)やmelompat(跳ぶ)のように自動詞であるものも少なくない。このこ
とから、接頭辞ber・の機能が自動詞を形成することである一方、接頭辞meN・は
他動詞を形成すること、および自動詞を形成することの二つの樺能を有していると推
測することができる。実際多くの文法書の「接頭辞meN・による動詞形成」や「meN
動詞」などというトピックにおいて、「接頭辞meN−による自動詞形成」、「接頭辞

meN・による他動詞形成」、また「meN自動詞」、「meN他動詞」といった分類が
なされている。

しかしながら以下のような考察から、接頭辞meNlが他動詞形成、自動詞形成の
両方の機能を持っているということ
mendarat menge〔jakan
に対して疑問が生まれる。
命令文 mendarat kedakan
① 表1のように、自動詞mendarat 受動態文・三人称 dikeづakan
(着陸する)における接頭辞
表0・1:動詞の変化

ー5−
meN・が命令文中においても付加されたままであるのに対し、他動詞
mengeホka皿(行う)における接頭辞meN・は命令文中、また行為者が3人称
である受動態文中などにおいて取り去られることから、他動詞における接頭辞
meN− と語基との結びつきは、自動詞におけるそれに比べて弱いと考えられる。

② あらゆる文中においてmeN自動詞から接頭辞meN一を取り去ることができな

いのは、「「meN自動詞」はその語基が当初から自動詞であるものを除いて、
「meN・」を付加することが自動詞であるための必要条件である。したがって他動
詞にみられるように構文によって、あるいは命令文だからといって、「meN・」を
取り去って他の形態にすること(いわゆる人称動詞や命令形にすること)はでき
ない」(松岡1990:50)ためであるが、このことから、接頭辞meN・を取り去る
ことのできるmeN他動詞の場合は、接頭辞meN・を付加することが必要条件で
はないといえるのではないか。

以上の①、(多から「接頭辞meN・は自動詞形成の機能は持っているが、他動詞形
成の機能は持っていないのではないか、少なくともmeN他動詞形成の必要条件では
ないのではないか」また、「もしそうだとすれば、meN他動詞における接頭辞meN・
の機能とは何であろうか」という疑問を筆者は抱いた。

上の疑問点が本研究の動機であり、その疑問に対する十分な解答を導き出すことが
本研究の目的である。

2.研究の指針

本研究の中核を成すのは、言語学の「派生(derivasi)」および「屈折(in皿eksi)」
という考え方である。それらは日本語文法や英語文法などを含む言語学において一般
的に利用されている考え方であり、インドネシアにおける(インドネシア語のみを扱

ったものではなく、言語全般を扱った)言語学の文献においてもそれらの解説はなさ
れているが、インドネシア語については例として触れている程度でインドネシア語文
法においてはあまり利用されていない、もしくはインドネシア語に屈折はないとされ
ているのが現状である。しかしながら、インドネシア語においても「派生」、「屈折」
の考え方は有用で、これらの考え方を利用することによりこれまで「自動詞、他動詞
を形成する」と一般的にされてきた接頭辞meN・の機能を再考するとともに、上の
「1.研究の目的」であげた疑問に解答を与えることができる。

本研究において利用される理論は、主に文法の一分野である形態論(mo血10gi)の
中で扱われるものである。形態論はアメリカの言語学者ブルームフィールド
(ムeα〃βカ月わom品∋〃)を中心とする構造主義の言語学(1inguistikstruktur)者達に

ー6−
よって1930年代から盛んに研究された分野であるが、チョムスキー(入bβ皿
〔旗omβわ′)によって提唱された生成文法(1inguistikgeneratif)が主流となった1950
年代以降は軽視されてきた。しかし1970年代以降、変形文法(1inguistik

trans払rmasi)などの影響を受けつつ再び形態論は言語学の一分野としてその重要性
を見直され、研究が進められている。なお、インドネシア文法における形態論では構
造主義の言語学の理論が中心となっており、さらには、それ以前の伝統的言語学
(1inguistiktraditional)の影響も多分に残っているというのが現状のようである。

薫E
本研究はインドネシア P口ヽ 日本語による言語学およびインドネシア語文法、日本語
文法の文献を参考に行うこととする。基本的には言語学の理論をもとにそれをインド
ネシア語文法に適用するという方法であるが、必要に応じて日本語文法とインドネシ
ア語文法の対比を織り交ぜている。

3.論文の構成

既に述べたとおり、本研究の目的は「派生」、「屈折」という考え方をもとにインド
ネシア語における接頭辞meN−の横能を明らかにしていくということだが、それら
を理解するにあたって必ず必要となる「動詞の構造(strukturverba)」(第Ⅰ章)に

ついてまず考察した上で、「派生と屈折」(第Ⅱ章)、「接頭辞meN・の機能」(第Ⅲ章)
へと展開していき、結論を導いていく。また、本論文を理解する上で手助けとなるで
あろう「拘束基礎形態素(Mor危mDasar¶汀ikat)、単純動詞(VbrbaAsal)例」、「文
法用語対照表(日本語一英語−インドネシア語)」を付録として添付した。

なお、本文中のローマ字は基本的にインドネシア語を表すが、斜体のものはその他
の外国語である。

−7−
インドネシア語の語(kata)はその構造(stmktur)から大きく二種類に分類される。

一つ目は「単純語(katatunggal)」と呼ばれる、一つの構成要素のみから成るもので、
二つ目は「合成語(kataturunan)」と呼ばれる、二つ以上の構成要素から成るもの
である。

①Sayamembelikanadiksayamobil・mObilan.
(私は弟に車のおもちゃを買ってあげた。)

上の例文①における語の中で一つの構成要素のみから成る単純語は、Saya(私)お
よびadik(弟)であり、一方二つ以上の構成要素から成る合成語は、membelikan
(買ってあげる)およびmobil・mObilan(車のおもちゃ)である。合成語membelikan
は〈mem・〉、‡beli〉、‡−kan〉の三つの構成要素に分解することができ、また合成語

mobil・mObilanは〈mobil〉、〈−mObilの繰り返し〉、トan〉に分解することができる。

また動詞も同様に、その構造から大きく二つに分類される。一つ目は「単純動詞
(verbatunggal)」と呼ばれる、ひとつの構成要素のみから成るもので、二つ目は「派
生動詞(verbaturunan)」と呼ばれる、二つ以上の構成要素から成るものである。単
純動詞にはmakan(食べる)、tidur(寝る)などがあり、派生動詞にはmembeli(買
う=〈mem・〉+〈beli〉)、belajar(勉強する=〈bel−〉+‡ajar〉)などがある。

以上のようにインドネシア語の語はいくつかの構成要素から成り立っており、以下

−8−
本章では、「1.語を構成する要素」について述べた上で、「2.動詞の構造」につい
て述べていく。

1. 語の構成要素

インドネシア語の語は一つもしくは二つ以上の構成要素から成ることは既に述べ
たとおりであるが、それら語を構成する要素を「形態素(mor良m)」という。また、
語の構成要素となる形態素はその機能からさらに、「基礎形態素(mor良mdasar)」、
「接辞(a丘ks)」、「重複形態素(mor良mreduplikasi)」「接詞(klitik)」に分類される。

1.1. 形態素くmor危m)

②Kemarinsayamembelirokokdikiositu.
(私は昨日、その売店でタバコを買いました。)
③Saya些呈些虫速satubungkussehari.
(私は毎日、タバコを一箱吸う。)

上の例文①の下線部rokok(タバコ)がそれ以上分解できない(分解すると意味を
失ってしまう)のに対し、例文②のmerokok(タバコを吸う)は、〈me・〉および〈rokok〉
に分解することができる。〈me・〉および〈rokok〉は分解された後でも意味を持ってい
るが、それ以上分解されると意味を失ってしまう。この〈me・〉や〈rokok〉のように意
味を持つ最小の単位を「形態素(mor危m)」といい、以下本論文において形態素は上
の例のように、〈形態素〉で表すこととする。

この形態素はインドネシア語文法においても、日本語文法においても全く同じ定義
である。日本語の例を挙げると、「全世界」という語は、〈全〉および〈世界〉に分解する
ことができるがそれ以上分解することはできない。つまり、〈全〉および〈世界〉は意味
を持つ最小の単位、形態素である。また、英語の例も挙げておくならば、軸と

いう語は‡如〉および卜α〉に分解することができ、それらはそれぞれ語血紺を
構成する形態素である。

1.2. 異形態〈alomorf〉

「異形態(alomorf)」とは、「同一形態素であるが異なる形態を持ち、かつその形態
上の違いを音韻上説明できるもの」である。例えば、上に挙げた形態素〈me・〉はそれ
に続く形態素によって以下のように形態が変化する。

ー9−
④Saya些鼻maSakmasakanIndo皿eSiauntuktemansayadariIndonesia.
(私はインドネシア人の友人のためにインドネシア料理を作った。)
⑤Diamendapatkangajisetiaptanggalsatu.(彼は毎月1日に給料を得る。)

⑥Sayamembacakananaksayaceritarakyat.
(私は子供に民話を読んであげた。)
⑦Akbirnyasaya些堕坦又adarimasalahitu.
(最終的に私はその問遺に気付いた。)
⑧Anakitusedang些呈型哩gambar印nungBromo.
(その子はブロモ山を描いている。)
⑨恥ntaraAS由bomA籍anistan.
(アメリカ軍はアフガニスタンを爆撃した。)

上の例文④中の語memasak(料理する)における〈me・〉、例文⑤のmendapatkan
(得る)における〈men・〉、例文⑥のmembacakan(読んであげる)における〈mem・〉、
例文⑦のmenyadari(気付く)における〈meny・‡、例文⑧のmenggambar(措く)
における〈meng・〉、例文⑨のmengebom(爆撃する)おける〈meng一〉は、形態は異
なるが同一形態素である。つまり、〈me・〉、〈men・〉、〈mem・〉、〈meny・〉、〈meng・〉、
〈menge・〉は、同一形態素の「異形態」である。なぜならばその形態の違いは以下の
ように説明することができるからである。

〈me・〉はそれに続く形態素の最初の音素が〃、ル/、/m/、/山、/ny/、血/、ケ/のとき、
〈men・〉は/c/、/d/、W、几/(肘は消える)のとき、〈mem・〉は化/、小/軸/は消える)
のとき、〈meny・‡は/s/(/s/は消える)のとき、〈meng・〉は母音、/g/、仙/、化/のと
き、〈menge−〉はそれに続く形態素が1音節のとき、それぞれ現れる。

そして、それら異形態の総称は形態素〈meN・〉で表される。

日本語では、例えば語「日がさ」の構成要素である〈がさ〉は形態素〈かさ〉の、語「竹
ざお」の構成要素である〈ざお〉は形態素〈さお〉の、それぞれ異形態である。

1.3. 形態素の種類(je血s・je血smor危m)

1.3.1. 独立形態素(皿Or危皿bebas)、拘束形態素(皿Or魚mte血at)

「1.1.形態素」において、〈me−〉、〈rokok〉という二つの形態素の例を挙げた
が、形態素〈rokok〉が例文(∋のようにそれ自体単独で文中において使用できるのに対
し、形態素〈meうは単独で文中において使用することはできず、〈rokok〉のようなそ
の他の形態素に付加されることによってのみ文中で使用することができる。〈rokok〉

ー10−
のように文中においてそのまま使用できる形態素を「独立形態素(mor魚mbeba8)」
といい、〈me一〉のように単独で文中において使用できない(その他の形態素と結合す
ることを常に必要とする)形態素を、「拘束形態素くmor危皿te血at)」という。イン
ドネシア語では、例えば〈makan(食べる)‡、〈bagus(よい)〉、〈kursi(いす)〉
などは、その他の形態素との集合体を形成することなく文中で語として使用できるた
め、独立形態素に分類される。また、すべての「接辞(a丘ks)」はその他の形態素に
付加されることによってのみ文中で使用されるため、拘束形態素に分類される。

独立形態素、および拘束形態素への分類についてはいくつかの注意すべき形態素が
ある。

まず注意を必要とするのが、〈juang〉、〈henti〉、〈temu〉などといった形態素で、
これらの形態素は語の中心をなす形態素であり接辞には含まれないが、文中において
単独で使用されることはない。これらの形態素が文中で使用されるには「接辞付加
(a丘ksasi)」、「畳語化(reduplikasi)」、「複合語化(komposisi)」といった造語過程
(prosesmor払10gis)を経る必要がある。そのため、これらの形態素は拘束形態素に分
類される。

また、例えば形態素〈印1ita〉や〈kerontang〉などは、必ず特定の語と一組で使われ
る形態素である。〈gulita〉はgelap gulita(真っ暗な)、〈kerontang〉はke血g
kerontang(非常に乾いた)という句においてのみ使われるため、これら形態素も接
辞には含まれないが拘束形態素に分類される。またこれらの形態素は、「特異形態素
(mor良munik)」と呼ばれる。

‡pada(a≠)〉、〈dan(β月d)〉、〈dari(血m)〉、〈jika(」椚〉といった形態素は、文中
において単独で使用されるため独立形態素に分類されるが、統語論的(secara

sintaksis)には他の語が存在しなければ使用できないため、〈makan(食べる)〉、
〈bagus(よい)〉、ikursi(いす)〉などといった、文の主要素となる形態素に比べて
独立性は弱いといえる。語のレベルにおいて、これらの形態素は「横能語(katatugas

=九月C血Ⅳαゼ)」と呼ばれる。

1.3.2. 基礎形態素くmor危m da8ar)、接辞くa丘ks)、重複形態素(mor危m

red叩1辻asi)、接詞(k址辻)

「基礎形態素(mor危mdasar)」とは造語過程において単独で「語基(bentukdasar

=ムaβe)」となる、また「語根(akar=∫℃Of)」となる形態素である。つまり、接辞付
加の過程において接辞を付加されるもの、畳語化の過程において繰り返されるもの、
複合語化の過程において他の形態素と結合するもの(=語基)である。また逆に、あ

ー11−
る合成語における接辞をすべて取り除いたときに残るもの(=語根)である。例えば、
語mencedtakan(Tを話す)は、形態素〈cerita〉が接辞〈meN・〉および〈・kan‡を付
加された結果、形成されたものであり、逆に、語menceritakanから接辞〈meN・〉お
よび〈−kan〉を取り除くと、形態素‡cerita〉が残る。つまり、形態素〈cerita〉は基礎形
態素である。また、基礎形態素とのデイコトミー(dikotomi=舶0わ巧γ)として扱わ
れるのが、「接辞(a蝕s)」である。

基礎形態素には、〈pergi(行く)〉、‡jatub(落ちる)〉のように文中において単独
で使用できる「独立基礎形態素(mor良mdasarbebas)」、および〈temu〉、‡juang〉
のように文中で単独で使うことのできない「拘束基礎形態素(mor良m dasar

terikat)」がある。拘束基礎形態素〈temu〉は、語bertemu(会う)、Pertemuan(会
合)、menemukan(発見する)などといった形態で使用されるが、これらはいずれも
接辞が形態素〈temu〉に付加されたものであり、そのようなプロセスを経ない限り形
態素〈temu〉が文中で使用されることはない。

接辞はすべて拘束形態素に分類される。接辞は語基のどの位置に付加されるかによ

ってさらに、「接頭辞(pre蝕s)」、「接中辞(in丘ks)」、「接尾辞(su蝕s)」、「挟接辞
(kon蝕s)」に分類される。接頭辞は語根の前に付加される接辞で、〈meN・〉、〈ber・〉、
‡per・〉などが含まれ、接中辞は語根の間に付加される接辞で、トem・〉、トer・〉、トel・〉
が含まれ、接尾辞は語根の後ろに付加される接辞で、〈・kan〉、卜i〉、卜an〉などが含
まれ、挟接辞は語根の前後に付加される接辞であり、〈ke・an〉、〈pe・an〉などが含ま
れる。また、挟接辞とは別に「接辞結合(kombinasia丘ks)」という接辞付加のプロ
セスがある。例えば、「be叩akaian」という語は基礎形態素‡pakai〉に挟接辞〈ber・an〉
が付加されたものではなく、〈pakai〉に接尾辞トan〉が付加された後に、接頭辞〈ber・〉
が付加されたものである。つまり、語「be叩akaian」に付加されたのは挟接辞〈ber−an〉
ではなく、接尾辞〈・an〉および接頭辞〈ber・‡の結合である。

また、一般的に基礎形態素とのデイコトミーとして扱われるのが接辞であることは
前述のとおりであるが、接辞とは別に「重複形態素(morefbmreduplikasi)」と呼ば
れる形態素がある。重複形態素は畳語の構成要素としてのみ現れる形態素であり、拘
束形態素に分類される。例えば、畳語duduk・dudukにおける形態素卜duduk〉、畳
語melibat・1ihatにおける形態素〈−1ihat〉、畳語bersalam・Salamanにおける形態
素トsalam〉、畳語tolong・menOlongにおける形態素卜tolong〉、畳語cerai・beraiに
おける形態素‡・berai〉などが重複形態素に含まれ、例のように、語根が繰り返される
ものがほとんどだが、Cerai・beraiのように語根の音素の一部が変化するものもある。
また、bersalam・Salamanのように「語根+重複形態素」が語基となって接辞を付

−12−
加されるものや、tOlong・menOlongのように重複形態素が単独で語基となり接辞を付
加されるものもある。

さらに、接辞形態素、重複形態素とは別に「接詞(klitik)」1と呼ばれる形態素があ
る。接詞には〈ku・〉、〈kau・‡、〈・ku〉、〈・mu〉、〈・nya〉が含まれ、これらはそれぞれ、
〈ku・〉およびトku〉は〈aku(ぼく)〉の、〈kau−〉は〈engkau(きみ)〉の、トmu〉は〈kamu
(きみ)〉の、〈・nya〉は〈dia(かれ)〉の短縮形であり、必ず他の形態素に付加される
ことによってのみ文中で使用されるが、例えばpacarku(僕の恋人)がpacarbaruku
(僕の新しい恋人)となるように、トku〉は他の形態素(上の例では〈pacar〉)と別
れ、間に新たな形態素を付加することも可能であることから、その他の接辞に比べて
拘束性は弱いといえる。また、PaCarkuの構成要素卜ku〉は、PaCar akuにおける

akuの形態が」£uに変化しpacarと結合したものであることから、卜ku〉は〈aku〉
の異形態といえるかもしれない。しかしながら、異形態が常に語の中において同じ分
布(distribusi)を持つ構成要素間での形態の違いを対象としている(例:〈meN・〉一
‡me−〉一〈men・〉一〈mem−〉一‥・)のに対し、iaku〉と‡一ku〉は語の中において同じ
分布を持つことはなく(〈−aku〉、‡aku・〉、〈ku〉という形態は存在しない)、また、
〈aku〉が常に文中において単独で使われるのに対し、〈・ku〉は常に他の形態素と結合
して使われることから、トku〉が〈aku〉の異形態であるとはいえないのかもしれない。

1.3.3.語彙的意味を持つ形態素〈mor魚mbemak皿akksikal)、文法的意味を
持つ形態素〈mor魚mbemak皿agraⅡlat辻d)

「語彙的意味を持つ形態素(mor危mbermaknaleksikal)」とは、それ自体固有に
意味(maknainberen)を持つ形態素であり、「文法的意味を持つ形態素(mor危m
bermaknagramatikal)」とは、固有の意味は持っていないが、造語過程において固
有の意味を持った語基と結合することにより、その語基の固有の意味に文法的意味を
加える形態素である。つまり、意味的に語の中心となるのが語彙的意味を持つ形態素
であり、そこに文法的意味を付加するのが文法的意味を持つ形態素である。語彙的意
味を持つ形態素にはすべての基礎形態素および接詞が含まれるが、拘束基礎形態素お
よび接詞は他の形態素と結合してはじめて語としての意味を成すため、形態的特長と
同様に、意味的にも他の形態素に拘束されているといえる。また接詞は、形態的にも
意味的にも語の中心とはならない。機能語となる形態素は、語のレベルにおいては固
有の意味を持つが、文のレベルにおいては他の語との関係を持って始めて意味的に機
能する。また、文法的意味を持つ形態素には接詞を除くすべての接辞が含まれる。

1接詞は、松岡(1990:6)による「klitik」の訳語P口○

一13−
1.3.4.ゼロ接辞(a址sko80皿g)

接辞の中には機能は持っているが形態上は現れないものがあり、そのような接辞を
「ゼロ接辞(a丘kskoso皿g)」という。以下のような英語の例を挙げれば容易に理解で
きるであろう。

⑲ ∂ゐ8丘

fⅣPム0β毎
⑪ β戎e甲

fⅣP虚e切身
⑲ 侶〃

侶堪
⑬ β〃′

β〃墟㌢ ☆8はゼロ接辞を表す。

⑲における〈甘〉、⑪におけるゼロ接辞はともに複数であることを表す機能があるが、
⑪の場合形態上は現れない。また、⑲における〈−ed〉、⑬におけるゼロ接辞はともに
過去であることを表す機能があるが、⑬の場合形態上は現れない。また、⑪における
ゼロ接辞は⑲における‡7〉の、⑬におけるゼロ接辞は⑲における卜ed〉の異形態であ
る。

以上の形態素の分類および、形態素の特徴は以下の表のようにまとめられる。

独立性 単独で語基 語彙的意味


独立基礎形態素 ○ ○ ○

拘束基礎形態素 × ○ ○

機能語 △*1 △*2 △*1

接辞 × × ×

特異形態素 × × ×

重複形態素 × ○ ×

接詞 × × ○

*1語のレベルでは○、文のレベルでは×。

*2基礎形態素なので単独で語基となる可能性を持っているが、一部の例外を除いて
語基となることはない。

表卜1:形態素の分類

−14−
2. 動詞の構造(Stm址urVb血a)

動詞はその構造から単純動詞および派生動詞に分類されることは既に述べたが、派
生動詞はさらに、接辞動詞(verbabera蝕s)、重複動詞(verbaberulang)、複合動詞
(verbamajemuk)に分類される。また、重複動詞には接辞を持つもの、複合動詞に
は接辞を持つもの、重複形を含むものもある。以上の分類は以下の図1に示したとお
りである。

単純動詞 ■ ● ● ■ ● ● ● ● ● ■ ● ● ■ ● ●
■ ■ ● ● l■ ■ ● ● l ■ ● ● l■ ● ■ ■

・=・makan

接辞動詞 ■ ■ ■
● ■ l ■ 1■ ●l● ● ■ ● ■ ●1■ ● =・l

membeli
動詞

基礎重複動詞 ‥‥
duduk−duduk

派生動詞
重複動詞
〈 接辞重複動詞 ・・‥
bersalam−Salaman

基礎複合動詞 ‥‥

jatuhbangun

複合動詞 接辞複合動詞 一‥・menyebar山askan

重複複合動詞 ・・‥

gOyang−gOyangkaki

囲卜1:動詞の構造上の分類

以下、以上の分類ごとに動詞の構造について述べていく。

2.1. 単純動詞の構造

上記のとおり、単純動詞は一つの構成要素のみから成り立っているため、構成要素
である形態素と語である単純動詞の形態は同じである。単純動詞を形成する形態素は
特定の独立基礎形態素である。つまり単純動詞の構造は以下のとおりである。

単純動詞 独立基礎形態素

例:

makan †makanI
独立基礎形態素

tidur ItidurI

独立基礎形態素

−15−
2.2. 派生動詞の構造

2.2.1.凍辞動詞の構造

接辞動詞は二つ以上の構成要素から成り立っている。つまり、基礎形態素を語根と
し、そこに接頭辞、接尾辞、挟接辞が一つ以上付加されたものである。接辞動詞の構
造は以下のとおりである。

接辞動詞 接頭辞 接頭辞 語根(基礎形態素) +


接尾辞
☆接辞は一つ以上
もしくは、

接辞動詞 語根 + 挟接辞
☆接辞は一つのみ
例:

membeli ImeN−I+ IbeliI


接頭辞 +
語根

membica柑kan =ImeN−I+IbicaraI Ⅰ−kanl


接頭辞 + 語根 接尾辞

memperbarui=ImeN−1+ IperI IbaruI+ Ⅰ−il


接頭辞 + 接頭辞 語根 + 接尾辞

berpukulan
=Ipuku‖ +Iberanl
語根 +
挟接辞

上記の「1.3.2.」(p.10)において述べたように、接辞動詞の構造で特に注意
を必要とするのが、扶接辞と接辞結合の違いである。既に挙げた「berpakaian」の構
造は以下のとおりであって、「語根+挟接辞」ではない。

berpakaian Iberl+Ipakail+ Ianl


接頭辞 +
語根 + 接尾辞

−16−
2.2.2. 重複動詞の構造

2.2.2.1. 基礎重複動詞の構造

基礎重複動詞とは語根および語根の重複(重複形態素)から成り立つもので、構成
要素に接辞を含まないものである。また語根の重複には、語根の音素が変化するもの
もある。基礎重複動詞の構造は以下のとおりである。

基礎重複動詞 =
語根 + 語根の重複(重複形態素)

例:

duduk−duduk =IdudukI+ 卜dudukI


語根 +
語根の重複

cera卜berai =IceraiI+ 卜berail



語根 +
語根の重複

2.2.2.2. 凍辞重複動詞の構造

接辞重複動詞とは語根および語根の重複、接辞から成り立つものである。接辞重複
動詞には以下の四つの構造を持つものがある。

①接辞重複動詞 語根 +(接頭辞 語根の重複)

例:

Puku卜memukul Ipuku= + ImeN−I 卜puku=


語根 +
(接頭辞 語根の重複)

②接辞重複動詞 語根 +(接頭辞 +
語根の重複 + 接尾辞)

例:

SuaP ̄menyuaPl IsuapI+ ImeN−1 卜suapl +


卜=
語根 +
(接頭辞 語根の重複 +
接尾辞)

③接辞重複動詞 (接頭辞 語根)+ 語根の重複

例:

be〔jalanrjalan Iberl +Ijalanl+ IjaIanI


(接頭辞 +
語根)+ 語根の重複

−17−
④接辞重複動詞 接頭辞 +(語根 +
語根)+ 接尾辞

例:

bersalam−Salam畠n IberI +IsalamI+ 卜salamI +


Ⅰ−anI
接頭辞 +
(語根 +
語根の重複)+ 接尾辞

2.2.3. 複合動詞の構造

2.2.3.1. 基礎複合動詞の構造

基礎複合動詞とは、接辞および重複形を構成要素に持たない複合動詞である。つま
り、二つの基礎形態素のみからなる複合動詞である。基礎複合動詞の構成要素には、
独立基礎形態素、拘束基礎形態素のいずれもがなれる。基礎複合動詞の構造は以下の
とおりである。

基礎複合動詞 基礎形態素 基礎形態素

例:

gegarotak IgegarI Iotakl


基礎形態素 基礎形態素

2.2.3.2. 接辞複合動詞の構造

接辞複合動詞とは、二つの基礎形態素および接辞から成る複合動詞である。つまり、
複合語を語基として接辞が付加されたのが、接辞複合動詞である。複合語に接頭辞、
接尾辞の両方が付加された接辞複合動詞は二つの基礎形態素の間にスペースを入れ
ないが、接頭辞、接尾辞のいずれかしか持たない接辞複合動詞は二つの基礎形態素の
間にスペースを入れる(例:tandatanga皿一tandatangani−mena皿datangani)。
接辞複合動詞の構造は以下のとおりである。

接辞複合動詞 接頭辞 +(基礎形態素 + 基礎形態素)+ 接尾辞

例:

memberitahu ImeN−I+ Iberil + ItahuI


接頭辞 +(基礎形態素 +
基礎形態素)

menaikturunkan ImeN−I +
InaikI +
IturunI
+Ⅰ−kanI
接頭辞 +(基礎形態素 + 基礎形態素)+ 接尾辞

また数は多くないが、既に接辞を付加されたものが構成要素となることもある。

−18−
例:
hilangpikiran Ihilangl IpikirI +
卜anI
基礎形態素 (基礎形態素 + 接尾辞)

2.2.3.3. 重複複合動詞の構造

重複複合動詞とは、重複語が複合語の一つの構成要素となっている複合動詞である。
重複複合動詞の構造は以下のとおりである。

重複複合動詞 (語幹 + 語幹の重複) +


基礎形態素

例:

goyang−gOyangkaki=Igoyangl+ 卜goyangI +
Ikakil
(語幹 +
語幹の重複)+ 基礎形態素

−19−
1.派生と屈折(Derivasida皿Ⅰ皿皿eksi)

1.1.屈折〈Ⅰ皿皿eksi〉

動詞は、文中において他の語との関係や文中における機能によってその形態を変化
させる。まずは、日本語の動詞の語形変化を見てみる。

①私は彼に日本語を教える。(oshie・ru)
(彰私は彼に日本語を教えた。〈oshie・ta)
③彼に日本語を教えるのは私だ。

例文①と②の違いは下線部の「教える」と「教えた」の部分だけであるが、その違い
によって「私は彼に日本語を教える」という行為が、①では未来に行われることを表
しているのに対し、②では過去に行われたということを表している。ここでは卜ru〉
および卜ta〉の二つの形態素の対立によって「非過去」と「過去」という文法的意味
の違いを作っている。〈・ru〉、〈・ta〉のように「非過去」と「過去」の対立によって表
される文法的意味を時制(kala)といい、時制のように文中で表される文法的意味を文
法カテゴリー(kategorigramatikal)という。文法カテゴリーには他に、人称
くpersona)や相(aspek)、態(voise)、対極性(polaritas)、、、などがあるが、一つの
書萱丘
仁コP口 にそのすべてが現れるわけではなく、例えば日本語の動詞では人称という文法カ
テゴリーは表されないが、ドイツ語やフランス語などといったヨーロッパの言語では

−20−
表されることが多い。例えばイタリア語のβaエb(話す)という語は下の表1のよう
に人称、および数(jumlah)によって動詞は語形
単数 複数
変化する。もちろんこれに時制などの文法カテゴ
一人称 クβエb クβ∫血皿0
リーが加わってくればさらに複雑な語形変化を
二人称 夕月∫滋 クa∫血ね
することになる。以上のような語形変化はその語
三人称 ♪a刀伝 βa∫海月0
の持つ固有の意味を変化させることはなく、その
語の文法的意味を変化させるだけである。つまり、 表Ⅱ・1:イタリア語の人称による
前に挙げた日本語の例では、動詞の語形変化によ 屈折(Chaer,1994:171)

って文法的意味(時制)は変化しても、「私は彼に
日本語を教える」という行為自体は変化しないのである。このような変化のことを屈
折(in皿eksi)といい、特に動詞の屈折に関しては活用(konyugasi)、名詞や形容詞の
屈折に関しては格変化(deklinasi)という。また、屈折にかかわる接辞を屈折接辞
(a丘ksin皿eksional)といい(日本語文法では活用語尾)、それらは語基に文法的カテ
ゴリーを付与する横能を持っている。

1.2.派生〈dedvasi〉

上の例文①と②の違いに対し、例文①と③の下線部「教える」と「教えるの」は品
詞、さらには固有の意味までが違う。つまり、「教える」に「の」が付加されたとき
以下の二つの変化が起こる。

1.品詞 教える<動詞> 一
教えるの<名詞(動名詞)>
2.固有の意味 教える<動作> 一
教えるの<動作をする人>

また、英語の例を挙げれば、≠eac力 という語に接尾辞 −erを付加することにより


≠eβCムerという語が派生される。

1.品詞 ≠eβCム<動詞>

ね∂Cム朗<名詞>
2.固有の意味 feβC点<動作> 一
feβC点朗<動作をする人>

このように、語基の固有の意味が変化する語形変化を派生(derivasi)という。また、
この派生にかかわる接辞を派生接辞(a丘ksderivatif)という。なお派生には、例えば
英語の「β∬£ゐゐ(可能)一也励ゐ(不可能)」のように品詞が変化しないもの
もある。

なお、日本語の場合には形態素を連ねていく(付加する)ことによって、文法カテ
ゴリーを表したり、語を派生させたりする働きをするため厳密には語形変化とはいえ
ない。

−21−
2.インドネシア語における屈折(Ⅰ皿皿eksidalamBabasaI皿do皿eSia)
書萱丘
仁コP[1 の類型論では、ラテン語のように文法的意味を語形変化で表す言語を屈折語と
いい、日本語のように文法的意味を表す形態素を連ねていくことによって表す言語を
膠着語、中国語のように屈折変化をもたない言語を孤立語という。インドネシア語は

一般的に、「BabasaIndonesiabukanlahbabasaber鮎ksi.Jadi,tidakadamasalah
konyugasidandeklinasidalambahasaIndo皿eSia.(インドネシア語は屈折語ではな
いため、インドネシア語に活用や格変化の問題はない。:筆者訳)」(Chaer1994:175)
といわれており、インドネシア語の接辞付加による語形変化はすべて派生的であると
いわれている。しかしながら筆者は、他動詞のごく限られた文法カテゴリーによるも
ののみではあるが、インドネシア語にも屈折変化があると考える。

以下は、筆者の考えるインドネシア語における屈折変化にかかわる文法カテゴリー
である。

2.1.態くvoise)

2.1.1.受動態、能動態(akt弦pa8げ)

文法カテゴリー「態」によって表されるのは、「能動態(aktif)」と「受動態(pasif)」
である。能動態文とは動作の行為者が主語(主部)、動作の被行為者が目的語(目的
部)となっている文であり、受動態文とは、逆に動作の被行為者が主語、動作の行為
者が目的語となっている文のことである。

④BambangmemukulWbyang.(バンパンはワヤンを殴った。)
主部 述語 目的部
⑤Ⅵもyang di ukul Bambang.( ワヤンはバンパンに殴られた。)
主部 述語 目的部

例文④、⑤はどちらも、「memukul(殴る)」という行為を「Bambang」(行為者)
が「Ⅵbyang」(被行為者)に対して行ったということを表しているが、④では行為者
が主語になっているのに対し、(9では被行為者が主語となっている。文中の主語を入
れ替えるだけでは、行為者、被行為者が入れ替わってしまうため、態を表す必要があ
る。文中でこの態を表しているのが、接頭辞meN・および接頭辞di−である(例文
中において接頭辞meN−は能動態を、接頭辞di・は受動態を表している)。この接頭
辞meN・から接頭辞di・への変化は文法カテゴリー、態による変化であり、明らか
に屈折的変化であるといえる。

また、インドネシア語の態による変化には文法カテゴリー、人称もかかわっている。

−22−
上の例では能動態文における主語が三人称であったが、能動態文における主語が二人
称、三人称である文を受動態にした場合、接頭辞meN・はゼロ接辞に置き換えられ
る。また、受動態文における目的語(能動態文における主語)は述語の前におかれる。

⑥SayamemukulWゝyang.(私はワヤンを殴った。)
⑦Ⅵbyangsaya辿.(ワヤンは私に殴られた。)

⑧AndamemukulⅥbyang.(あなたはワヤンを殴った。)
⑨ⅥbyangA皿da辿.(ワヤンはあなたに殴られた。)

また、一人称の代名詞としてaku(ぼく)、二人称の代名詞としてengkau(きみ)
が使われた場合、それらは動詞と結合し、kupukul、kaupukulといった形態をと
ることもある。

以上のことより
memukulは、以下のように文法カテゴリーによって、屈折変化を
する。

能動態 受動態

一人称 二人称 三人称

memuku1 8pukul, 8pukul, dipukul

kupukul kauI)ukul

☆8はゼロ接辞を表す。
図Ⅱ−1:memukulの態による屈折変化

能動態、受動態に関して日本語との関連で少し付け加えておく。現代の日本語には
無生物を主語にする表現が非常に増えてきているが、「昔から日本語では、無生物が
主語になった場合は受身の形を使わない、というのが本来の性格」(金田一、

1988:63)である。一方の、インドネシアではそのような傾向は見られず、無生物
であっても受動態文における主語となることは普通である。例えば、本論文28ペー
ジにおいて以下のような文を例として利用している。

Pisangitusaya辿.

上のインドネシア語はpisang(バナナー無生物)を主語とする受動態文であるが、

ー23−
これを日本語に直訳すれば、「そのバナナは私に買われる。」となる。しかし、無生物
を主語とするこのような表現は日本語においては不自然であり、自然な日本語訳をつ
けるとすれば、「私がそのバナナを買う。」もしくは、「そのバナナは私が買う。」とな
るであろう。つまり受動態表現の、インドネシア語における使われ方と日本語におけ
る使われ方はことなっており、インドネシア語の無生物が主語となる受動態文は、日
本語においては、その受動態文の能動態文、もしくは主題文に対応し、無生物が主語
となる受動態は不自然な表現となってしまう場合が多い。ただし、日本語においても
最近は無生物を主語とする受動態文が使われることが多くなってきているようであ
る。

2.1.2.他動詞、自動詞〈Ⅵ汀baTramit弦1ゐ血aI血ra皿Sitif)

態に関連して、「他動詞(verbatransitif)」、「自動詞(verbaintra皿Sitif)」について
述べておく。他動詞とは、その動詞で表されている動作の行為者と被行為者の関係を
表す動詞で、そのためにはもちろん主語と目的語を必要とする。一方の自動詞はその
関係を必要としないものである。そのため、他動詞には必ず能動態、それに対応する
受動態が存在するが、自動詞は目的語を伴わないため受動態にすることはできない。
日本語においては、間接受身といわれる自動詞文の能動態に対応する受動態があるが、
インドネシア語にそのような自動詞の用法はない。

⑲ 一晩中赤ちゃんに泣かれて、眠れなかった。
⑪Karenabayimenangissepanjangmalam,tidakbisatidur.
(赤ちゃんが一晩中泣いていたので、眠れなかった。)
⑲Karenaditangisbayisepa巾angmalam,tidakbisatidur.(誤用)

例文⑲の日本語に対応するインドネシア語は、例文⑪のようにしか表すことはできず、
⑲のような自動詞の用法はできない。

インドネシア語の他動詞、自動詞を見分けるには、まず動詞の形態から見分ける方
法がある。接辞の櫻能から考えれば、接頭辞ber・を含むものは必ず自動詞であり、
接尾辞・kan、・iを含むものは必ず他動詞である。しかし、この形態からの判断だけ
では、単純動詞や自動詞、他動詞いずれもの可能性を持つ、接頭辞meN・を含む動
詞を見分けることはできない。そこで、松岡(1990:29)は接頭辞di−の付加できる動
詞を他動詞、そうでないものを自動詞とする方法を主張している。確かに接頭辞di・
は受動態・三人称を表す接辞であり、自動詞からは受動態が作れないことを考慮すれ
ば有効な手段であるといえる。

−24−
2.2.法(皿Odus)

法(modus)は「sikapataupendiriansipenuturterhadapsatuperistiwadan
kejadian(ある事柄、事態に対する話し手の態度や見解:筆者訳)」(Parera,1994:97)
を表す文法カテゴリーである。法には直説法、仮定法、命令法などがあるが、インド
ネシア語では命令法が動詞の語形変化によって表される。

⑬ Andabarusmencaribukuitu. (あなたはその本を探さねばならない。)
⑭ Caribukuitu! (その本を探せ。)

⑮Andaharusberan katsegera.(あなたはすぐに出発しなければならない。)
⑲Beran katsegera!(すぐに出発しなさい。)

⑫AndaharusmendaratdiBangkok.
(あなたはバンコクで着陸しなければならない。)
⑲MendaratlahdiBangkok!(バンコクで着陸しろ。)

例文⑬から⑭のように直説法から命令法への変化を示すために、他動詞memcariは
8cariへと形態が変化している。このように他動詞が命令法を示すためには、接頭辞

meN−をゼロ形態素と置き換えねばならない。しかし、例文⑮、⑲のように自動詞は
接辞が置き換えられることはなく、形態上の変化はない。同様に例文⑰、⑲のように、
接頭辞meN・を含む動詞であってもそれが自動詞ならば、接辞が置き換えられるこ
とはない。なお、他動詞であっても単純動詞のときは、接辞がないため接辞の置き換
えは起きえない。また、例文⑲のように語調が弱める横能を持つ・1ahを付加するこ
ともある。

以上のように接頭辞meN・を含む他動詞は、文法カテゴリー、法による屈折変化
をもっているのである。

以上の、文法カテゴリー「態」、「法」、受動態時に限って「人称」による他動詞の
屈折変化は以下の表のようにまとめられる。

−25−

能動態・直説法 memukul menCarl

¢pukul, ¢cari,
受動態1一人称
kupukul kucari

¢pukul, ¢cari,
受動態・二人称
kaupukuI kaucari

受動態・三人称 dipukul dicari

¢pukul, ¢cari,
命令法
¢pukulIah ¢carilah

★8はゼロ接辞を表す。

表Ⅱ−2:インドネシア語の屈折変化①

以上のように、文法カテゴリー「態」、「法」、受動態時に限って「人称」、さらには他
動詞にのみ、という非常に限定的な場合ではあるが、孤立語に分類されているインド
ネシア語にも屈折変化があることは明らかである。

−26−
1.meN他動詞における接頭辞meN・の機能

meN他動詞に使われる接辞は、接頭辞meN−、接尾辞・kan、接尾辞一iの三つ
であるが、これらの組み合わせによって以下の三種類の構造を持ったmeN動詞が存
在する。

(∋ meN・D membek(買う),皿enggunting(はさみで切る)
② meN・D・kan melakukan(行う),merealisasika皿(実現させる)
(彰 meN・D−i memenuhi(みたす),me皿emani(∼に付き添う)
☆Dは語基

これらいずれの構造を持ったmeN他動詞も、接頭辞meN・もしくは接頭辞meN・
を含む扶接辞meN・kan、meN・iによって派生されるといわれている。つまり

meN他動詞の構造を図で示すと以下のようになるという。

Membeli melakukan memunuhi

meN・ beli meN・1aku ・kan meN・ Penuh −i

図Ⅲ・1:meN他動詞の構造①

−27−
しかしながら筆者はmeN他動詞を形成しているのが、接頭辞meN・もしくは接頭
辞meN・を含む扶接辞meN・kan、meN・iであるということに対して疑問を持
つている。

インドネシア語の他動詞は「態」、「法」また受動態のときのみ「人称」の三つの文
法カテゴリーによって以下のように屈折することは既に述べた通りである。

能動態・直説法 menggunting melakukan memenuhi

¢gunting, 釧akukan, ¢penuhi,


受動態・一人称
kugunting kulakukan kupenuhi

¢gunting, 釧akukan, ¢penuhi,


受動態・二人称
kaugunting kaulakukan kaupenuhi

受動態・三人称 digunting dilakukan dipenuhi

¢gunting, 釧akukan, ¢penuhi,


命令法
¢guntinglah ¢lakukanIah ¢penuhilah

☆8はゼロ接辞を表す。
表Ⅲ−1:インドネシア語の屈折変化(参

上の図からもわかるように、能動態、直説法以外の形態では接頭辞meN・は、三人
称・受動態を表す接頭辞di・、または一人称、二人称・受動態、また命令法を表すゼ

ロ接辞と置き換えられており、また口語レベルにおいて接頭辞meN・は省略される
ことが非常に多いが、接頭辞meNのない形態でもそれらは文中において他動詞とし
て使用される。一方の接尾辞・kanおよび・iは口語レベルも含めこ どの形態におい

ても置き換えられることはなく、また、もし接尾辞・kan、・iが置き換えられてしま

った場合、置き換えられる前の意味としては理解されない。また語基が拘束語基なら
ば、もはや語でもなくなってしまう。つまり、meN他動詞といわれる動詞が動詞で
あるための必要条件は接尾辞・kan、・iであり、接頭辞meN・は文法的意味を表す屈
折接辞にすぎない。つまり屈折接辞の機能上、接頭辞meNは他動詞形成にはかかわ

っておらず、接尾辞によって動詞化された語に文法的意味を加えているだけなのであ
る。このことより、筆者はmeN他動詞の構造は上に挙げたような構造ではなく、以
下の図のとおりであると考える。

−28−
melakukan memenuhi

meN− 1aku meN・ Penuh ・i


−kan

図Ⅲ・2:meN他動詞の構造(彰

また、接頭辞meN・は他の文法カテゴリーを表す接頭辞di・やゼロ接辞と置き換え
られることも当然ある。つまり、接辞me・kanや、me・iは扶接辞ではなく、接頭辞

meN・と接尾辞−kanまたは−iの接辞結合である。

以上のことより、語基から動詞を派生し、さらに文法カテゴリーによって屈折接辞
が付加されるプロセスは以下の図とおりである。

1aku(行為) 1akukan(行う)
<名詞> <他動詞>

melakukan 81akukan, 81akukan, dilakukan 81akukan,

<能動態・ kulakukan kaulakukan <受動態・ 81akukanlah

直説法> <受動態・ <受動態・ 三人称> <命令法>

一人称> 二人称>

☆8はゼロ接辞をあらわす。

図Ⅲ−3:meN他動詞の派生、屈折プロセス①

それではmengguntingのように、その構成要素に接頭辞meN・および語基のみ
しかない場合、つまり接尾辞・kanや・iを構成要素に含まない場合はどうであろう
か。mengguntingも接尾辞・kanや・iが付加された他の他動詞と同様に、

menggunting(能動態・直説法)
8gunting,kugunting(受動態・一人称)、
8gunting,kaugunting(受動態・二人称)、

ー29−
digunting(受動態・三人称)、
8gunting,8guntinglah(命令法)

と、文法カテゴリーによって屈折変化をすることから、meng印ntingにおける接頭
辞meN・もやはり屈折接辞であって、他動詞形成の必要条件ではないといえる。つ
まり、接頭辞meN− と語基のみからなる他動詞も同様に以下のようなプロセスで形成
される。

gu皿tiIlg(はさみ) gunti皿g8

<名詞> (はさみで切る)
<他動詞>

menggunting8 8gunting8, 8gunting8, digunting8 8gunti皿g8,

<能動態・ kugunting8 kaugunting8 <受動態・ 8gu皿ting81ab

直説法> <受動態・ <受動態・ 三人称> <命令法>

一人称> 二人称>
☆8はゼロ接辞をあらわす。

囲Ⅲ・4:meN他動詞の派生、屈折プロセス②

上の図からもわかるとおり、他動詞の形態の多くが語基(名詞)と形態上同様のもの
が多くあるが、実際にはゼロ接辞が付加されており、そのゼロ接辞が派生および屈折
の機能を担っている。ただ、接尾辞・kanや−iを持つmeN他動詞の場合には、口
語レベルにおいて接頭辞meN・は省略されることが多いことは既に述べたが、接頭
辞のないmeN他動詞の場合その形態上の問題から接頭辞meN・が省略されること
は稀で(もちろん受動態、命令法のときはゼロ接辞となる)、口語を含めた接頭辞

meN・の使用頻度からすれば、接尾辞のないmeN他動詞の、語幹と接頭辞meN・の
結びつきは、接尾辞のあるもののそれと比べて強いといえる。

ここでもう一つ問題にしておきたいのが、‡beli〉、‡1ihat〉、‡ambil〉といった形態
素についてである。これらの形態素は語基となる基礎形態素であるが、一般的に独立
形態素に含まれるとされる。例えば形態素〈beli〉は以下のように文中において使用さ
れる。

−30−
①Sayamembelipisangitu.(私はそのバナナを買う。)
②pisangitusaya辿.(そのバナ ナは私に買われる(私が買う)。)
③Pisangitudibeliolehorangitu.
(そのバナナはその人に買われる (その人が買う_)。)
④Janganbelipisangitu!(そのバナナを買うな!)
⑤Akubelipisangitu.(僕はそのバナナを見え。)

上の例文(彰、④、(9中の語、beliは形態素〈beli〉と同一形態でありその形態上からは
確かに、〈beli〉はそのまま文中で使われるため独立形態素であるといえる。

しかしながら、本当に形態素‡beli〉はそのまま文中で使われているのであろうか。
聾者は形態素〈beli〉がそのまま文中で使われることはない、つまり形態素〈beli〉は拘
束形態素であると考える。

上記の「meN他動詞の派生、屈折プロセス」に形態素〈beli〉を当てはめてみれば、
形態素‡beli〉と例文(彰、④、(9で使われている語beliの違いは明らかである。

ibeli〉 beli8(買う)
<拘束基礎 <他動詞>
形態素>

membeli8 8beli8→②, ¢beli8, dibeli8 8beli8→④,


<能動態・ kubeli8 kaubeli8 <受動態・ 8beli81ah

直説法> <受動態・ <受動態・ 三人称> <命令法>

一人称> 二人称>

☆8はゼロ接辞をあらわす。

図Ⅲ・5:meN他動詞の派生、屈折プロセス③

−31−
まず、接頭辞meN・をはじめとする屈折接辞には動詞を形成(派生)する機能が
ないこと、形態素〈beli〉からは、名詞pembeli(買い手)やbelian(買ったもの)
といった語も派生されることから、屈折接辞を付加する前に形態素〈beli〉を他動詞と
して確定させねばならない。そのため、形態素はゼロ接辞によってまず他動詞へと派
生される(接尾辞−kan、・iと同様の機能のため、便宜上、ここでのゼロ接辞は接尾
辞とした)。次に、これまでと同様に屈折接辞が付加される。

以上のプロセスを考慮すれば、(彰、④については派生接辞としてのゼロ接辞、およ
び接頭辞meN・に代わる屈折接辞としてのゼロ接辞が付加されているはずであり、
形態素〈beli‡とは文法上同じものではない。また、⑤については口語レベルでの表現
であるため形態上接辞は現れていないが、文法的意味はmembeliと同じであり形態
素〈beli〉から語membeliへのプロセスを経た後に、接頭辞meN−が省略されたもの
であるといえる。このことは、例えば形態素‡tunggu〉が

〈tu皿ggu〉 一

menunggu(待つ)

nu皿ggu<口語表現>

というプロセスを経て、口語レベルではnungguという形態で用いられることから
も明らかである。

以上のような考察から形態素〈beli〉が文中で使われる場合、必ず上記のプロセスを
たどる必要があり、形態素〈be払〉がそのまま文中で使われることはない。つまり、形
態素〈beli〉は拘束形態素である。このことは、以下の一般的に拘束形態素として考え
られている形態素(下の例では〈bubung〉)のプロセスと同様のプロセスを形態素
〈beli〉がたどっていることからもわかる。

‡bubung〉 bubu皿gi(連絡を取る)
<拘束基礎 <他動詞>
形態素>

8hubungl, 8hubungl,
● ● ● ●

mengbubungl 8hubungl, dihubungl

8hubungilah

<能動態・ kuhubungl kauhubungi <受動態・


直説法> <受動態・ <受動態・ 三人称> <命令法>

一人称> 二人称>

図Ⅲ・6:meN他動詞の派生、屈折プロセス④

−32−
形態素〈hubung〉と〈beli〉の違いは他動詞を派生する接辞がi−かゼロ接辞かの違い
だけで、それらが形態素から語が形成するプロセス自体は全く同じなのだが、ただ、
形態素‡beli〉の場合は形態上、受動態・一人称/二人称および命令法のときに形態素
と同じ形態をとるため、独立形態素であると考えられてしまっているのである。

以下に、形態素〈beli〉のように一般的に独立形態素に分類されるているが、本来拘
束形態素に分類されるべきものの例を挙げておく。その他の拘束形態素については付
録(『TataBahasaBakuBabasaIndonesia』より)を参照。

如ak entak panggil

ambil gali I)impin

angkat hela petik


beli ikat seret

buka jamab simpan


Carl kuI)aS tambah


CuCl kirim tangkap

dapat lantik tutup

diang olah ubah

2.皿eN自動詞における接頭辞meN・の機能

次に本節ではmeN自動詞における接頭辞meNについて述べていく。meN自動
詞はもちろん自動詞であるため、他動詞にみられるような態による屈折変化はない。
それでは命令法による変化はどうであろうか。

⑥Kamiharusmendaratsegera.(我々はすぐに着陸しなければならない。)
(∋Mendarat! (着陸せよ!)
(参☆Darat!

上の例文⑥におけるmeN自動詞mendaratは「着陸する」という意味だが、その
命令法「着陸せよ!」は必ず例文⑦となり、例文⑧とはならない。自動詞mendarat
から接頭辞meN・を取り去った形態である、例文⑧のdaratはもはや自動詞として
の意味はなく、「陸」という意味の名詞となってしまう。つまり、meN自動詞は命令
法による形態変化もなく、また、meN自動詞から接頭辞meN・を取り去ってしまう
とそれは自動詞としての械能を失ってしまう。このことは、接頭辞meN・がmeN他
動詞における接頭辞meN・のように屈折接辞として機能しているのではなく、派生
接辞としての機能を担っている、つまり自動詞形成の機能を担っている、ということ

−33−
を明らかにしている。

以上のことは、例えば「「meN自動詞」はその語基が当初から自動詞であるものを

除いて、「meN一」を付加することが自動詞であるための必要条件である。したがって
他動詞にみられるように構文によって、あるいは命令文だからといって、「meN・」を
取り去って他の形態にすること(いわゆる人称動詞や命令形にすること)はできない」
(松岡,1990:50)や、また「Perbedaanbesarantaraverbatransitifdantaktransitif

yangsama・Samaditurunkandenganpre丘ksmeng・adalabpadaverbatransitif

Pre蝕sinibersi払tmanasuka,Sedangkanpadaverbataktransitifsi払tnyawajib.
KarenaitulahpadaverbatransitifI)re丘ksiniseringditanggalkandalambahasa

lisan,Sedangka皿Padaverbataktransitifpre丘ksitutidakmu皿gkindihilangkan.

(共に接頭辞meng・によって形成される他動詞と自動詞の大きな違いは、他動詞に
おいてはこの接頭辞が任意であるのに対し、一方の自動詞においては必ず必要である
ということである。そのため、他動詞におけるこの接頭辞は口語においてたびたび取
り去られるのに対し、自動詞におけるこの接頭辞は取り去ることが不可能である。:
筆者訳)」(alwiら,1998:36)のように一般的に受け入れられている考えで、これに
は筆者も何の異論も持っていない(alwiらの「共に接頭辞meng・によって形成さ
れる他動詞と自動詞」という考え方についてはもちろん異論である)。

−34−
結章 結論

Kesimpulan

本研究は序章において述べたように、以下のような疑問に対して解答を与えること
が目的であった。

■ 接頭辞meN・は自動詞形成の機能は持っているが、他動詞形成の機能は持っ
ていないのではないか、少なくともmeN他動詞形成の必要条件ではないので
はないか。

■ もしそうだとすれば、meN他動詞における接頭辞meN・の機能とは何であ
ろうか。

そして、第一章から第三章までの形態論的アプローチによる meN動詞を中心とする
研究によって、その疑問に解答を与えるに至った。

第一章で述べたインドネシア語の「動詞の構造」をもとに、第二章ではその構成要
素である接辞の、「派生と屈折」という二つの異なる機能を持つ語形変化に着目し、
第三章においてはそれらを用いることによって、以下のような接頭辞meN・の機能
を導いた。

1.
一般的に孤立語に分類されているインドネシア語には、屈折変化がないとい
われているが、実際には、meN他動詞は文法カテゴリー「態」、「法」、受動
態時に限って「人称」によって屈折変化をする。このことは、meN他動詞
における接頭辞meN・がそれら文法カテゴリーによって、接頭辞di・やゼ

−35−
ロ接辞と置き換えられることから明らかである。

2. 他動詞における接頭辞meN・は、その他の接頭辞di・やゼロ接辞と共に屈
l

折接辞としての機能を担っており、その他動詞が他動詞であるための必要条
件ではない。このことは同時に、接頭辞meN・は他動詞を派生する機能は
持っておらず、meN他動詞の派生機能を担っているのは接尾辞−kanや

・iまたはそれらに代わるゼロ接辞であるということを意味する。接頭辞
meN・などの屈折接辞は、上記の文法カテゴリー「態」、「法」、受動態時に
限って「人称」を表している。

3. 自動詞における接頭辞meN−は、派生接辞としての機能を担っており、そ
の自動詞が自動詞であるための必要条件である。そのため、いかなる形態に
おいてもこの接頭辞meN・が他の形態素と置き換えられることはない。こ
のことは、meN自動詞がmeN他動詞のように文法カテゴリーによる語形
変化を持たないことから明らかである。つまりインドネシア語においては、
他動詞が屈折変化を持つのに対し、自動詞は屈折変化を持たない。

4. 以上のように、他動詞における接頭辞meN・と、自動詞における接頭辞

meN・はそれぞれ異なる機能を担っており、自動詞における接頭辞meN・
が派生接辞としての機能を有しているのに対し、他動詞における接頭辞

meN−は、派生接辞としての機能は持っておらず、屈折接辞として文法カテ
ゴリーを表している。

5. また、以上の理論を用いることにより形態素〈beli〉、〈1ihat〉、〈ambil〉とい

った、一般的には独立形態素に含まれるとされている形態素は、本来、拘束
形態素に含まれるべきである、ということもあわせて筆者は主張したい。こ
れは、上に挙げた形態素〈beli〉、〈uhat〉、〈ambil〉などが一般的に拘束基礎
形態素に含まれるとされる、〈hubung〉、〈benti〉などと同様に、派生、屈折
のプロセスを経た後にのみ文中において使用されるということから、明らか
である。

以上が本論文より結論として導かれた接頭辞meN−の機能であるであるが、当初

の疑問に答える形で短くまとめるならば、以下のようになる。

■ たしかに、接頭辞meN・は自動詞形成の機能は持っているが、他動詞形成の
機能は持っていないといえる。それは接頭辞meN−がmeN自動詞において
は派生接辞としての、meN他動詞においては屈折接辞としての機能を担って
いることから明らかである。また、meN他動詞において屈折接辞としての機

ー36−
能を担っている接頭辞meN・は、その他動詞にとっての必要条件ではなく、
文法カテゴリーによって、他の接頭辞di・やゼロ接辞と置き換えられることも
ある。

以上が本論文の結論であるが、これで接頭辞meN・の語形成における機能につい
てはかなり明確にすることができた。本論文においては、接頭辞meN−の意味的機
能についてまで記述するには至らなかったが、この意味的機能にまで研究を広げれば
さらに複雑なものとなるであろう。また、接頭辞meN・以外の接辞もまだまだ多く
あり、それぞれが複雑な機能を持っているのである。このようにインドネシア語の接
辞は非常に複雑な体系を持っており、それがインドネシア語の、語のバリエーション
を生み出している。

インドネシア語は一般的に比較的容易に習得できる言語だといわれているが、それ
も初級段階までのことであり、前述のとおり、本論文のテーマである接頭辞meN・な
どを含む接辞の問題は非常に複雑で、その習得には少なからず困難を伴う。しかしな
がら、正確なインドネシア語を習得するにはこの接辞の用法を習得することが不可欠
であり、それはインドネシア語文法において最も重要であるといっても過言ではない。
本論文はその一部分を考察したものに過ぎないが、本論文が筆者以外のインドネシア
語学習者にとっても、接辞の用法を理解する手助けとなるよう期待する。

ー37−
謝辞

本論文は、慶應義塾大学環境情報学部を卒業するにあたっての、最終課逝として執
筆した論文である。論文執筆に際しては、多くの方々の手助けを受けた。特に、指導
教員を快く引き受けていただき貴重な助言をいただいた、慶應義塾大学総合政策学部
助教授の重松淳氏、インドネシア語についての貴重な助言をいただいた、神田外語大
学の舟田京子氏、また、インドネシア滞在中に学問から生活まであらゆる面でお世話
になった、前慶應義塾大学総合政策学部客員講師(招碍)でUniversitas Merdeka

Malang(ムルデカ大学マラン)のSuyoto(スヨト)氏に感謝する。また、ここには
書ききれない、多くの、手助けをしてくださった方々に感謝する。

最後に、大学を卒業するにいたるまで私を育ててくれた両親にも感謝する。

−38−

インドネシア語の文献

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日本語の文献

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ットワーク)

景山太郎・由本陽子r語形成と概念構造J(1997、研究社出版)

金田一春彦『日本語新版J(1988、岩波新書)

小泉保r言語学入門J(1993、大修館書店)

鈴木重幸r日本語文法・形態論』(1972、むぎ書房)

高殿良博r初めて学ぶインドネシア語J(1996、語研)

長谷川信子「生成日本語学入門』(1999、大修館書店)

舟田京子Fやさしい初歩のインドネシア語』(1987、南雲堂)

松岡邦夫Fインドネシア語文法研究』(1990、大学書林)

−40−
付録1

拘束基礎形態素(Mor危mDasar「托r辻at)、単純動詞(Ⅵ)血aAsal)例
r恥taBaba8aBa血BabasaI皿do皿eSia十Edi8iⅨetigaTJp.166・170より

☆さらに詳細な拘束基礎形態素例は、『pembentukanKatadalamBahasaIndonesia

−EdisiKedua−』(Kridalaksana,1986)に付録として添付されているが、一般
的に使用される形態素は、以下引用する『TataBahasaBakuBahasaIndonesia

−EdisiKetiga−』に添付されているもので十分網羅していると思われる。

−41−
拘束基礎形態素(Mor危mDasarTbr辻at)、単純動詞(Ⅵ)血aAsal)例
r恥taB血舶aBakuBa血asaI皿do皿e8iaT名血siXetiga−j p.166・170より

1. 拘束基礎形態素(Mor危mDasar¶汀辻at)

aCu
Cengkam gerutu

如ar Cenung geSa

如u CerCa
giur
CuCur
alih golong

ali皿g cerab goI)Ob

alir gOreS

amuk dadak gubris

anggur“tidakbekerja” duyun gu皿ul

a巾ak gunCa皿g

● ●

a叫ur edar gu叫1皿g

antuk 由ek gurau

anut elak

aPu皿g embus badap

emPaS halau

babar“bentang’’ haru
endap
bahakαtertawa,, engah hatur

baring eram hela

bela‘‘merawatわ erang benti

belalak hindar

benam 払ya birau

bengkalai hubung

bentang

gayut bu叫am

be皿tur hunus
gebu
bincang gegaP huyu皿g

gegaS

Cadang gelepar idam

Ca皿tum gelimang idaI)

cebur gelimpang igau

Celup genang imbau

Ce皿ga皿g gerayang impi

−42−
inap kobar mangu

ingsut kuak menung

kulai mOga

jabar kulum naung


j如a kunJung nganga


Jangkit kutik nglang

jeblos nuki

jejal 1aden obrol

jelma lambai oceb


Jerembab lamI)1aS oles

JerumuS lamplr olok


● ●

Jlngkat lamun omel

joangGuang) langkau Oyak


jubel lanJur Paling

julang 1antar PamPang

lantun

Jungkir Pantul

Juntai lawat PaI)aS

lejut Pelanting
kaok leleh PenCar

kecimpung lemI)ang Pe皿Cil


kekeh lempem Pental
kelahi lenceng Peranjat
keliar lenggang PergOk
kena皿“meraSaSenang” libat Perhati
kenang linang Peri

kendara lindas PuSar

kerdip lindung

kerlaP

liput r如alela
kerumun lontar r如uk
kibar lorot ramba皿g
kibas luap rambat
kilik lumur rampat

kitar lunta rana

koak ranCang

koar maktub rangkak

−43−
raSa
Selip“memasukkan’’ tekur

rasuk Selo皿0皿g tele

rembet Seloyong temu

rembuk Selundup tengger


re皿gek SelusuI) teqemab

renung selusuI・ tetas

repet sembul tikai

reSaI) sender tikung

rinding se】Tak timbrung


ringlS sia timI)al


rintih Slar timI)uk

ronta Singkir tindih


rosot Singslng tipis

rundung sisih toleh

Sisip tongkrong

Salng sodor tonjol


Sua tubi
Saji

salin Sual
t巾u
Samun
Suguh tular

sandar suruk tumpang

Sanding SuSuI)

Sandung ungSl

Sangkal talar ural

Sangkut tanding usah


SaIリu皿g ta叫jak utik

saruk tarung

SaSar tatar WeJang

Selenggara taut Wenang

Seli皿aP tawa

難1ing tegun

−44−
2. 単純動詞(ⅥrbaAsal)

ada 1ari
roboh(rubuh)
lenyap rugi
bangkit lewat

bangun lulus Samf〉al

benci lunas Sayang

cinta lupa selesai


luI)ut SemaPut

datang sesak
diam makan SeSat

duduk mandi Singgah

gagal mangkir Surut

gugur masuk
habis mati tahu

hadir mau tampak

hendak minta tampil

hidup mlnum tanggal

hilang mohon tenggelam

hinggap mulai terbang

muncul terbirit

ikut mundur terJun

ingat tiba

ingin naik tidur

jadi timbul

jatuh Patah tinggal

PerCaya tumbang

karam Pergi tumbuh

kasih Pindah tunduk

keluaIT PlngSan turun

kembali Pulang turut

kenal Punya

PutuS uSal

1ahir

lalu rebah yakin

−45−
打線2

文法用語対照表

(日本語−インドネシア語一英語)

−46−
文法用語対照表(日本語−インドネシア語一英語)

日本語 インドネシア語 英語

異形態 aIomoげ alIomorph

格変化 dekIinasi declination


活用 konyugasi korvugation

基礎形態素 moげem dasar dasarmorphem

機能語 katatugas function word

挟接辞 konf批s confRx

屈折 delivasi delivation

屈折接辞 a月ks deIivasional delivasionala用x

形態素 moげ畠m mo叩hem

形態論 mor仙ogi mo叩holoさⅣ

手玉 kata
ロlコ word

語彙的意味

maknaleksikal IexicalmeanIng

拘束基礎形態素 moげem dasarterikat boundbasemorphem

拘束形態素 moげemterikat boundmorphem

拘束語基 dasarterikat bound base

語基 dasar base

語根 akar root

時制 kala tense

自動詞 verbaintransitif intransitive verb

受動態 PaSif PaSSivevoice

畳語 kataulang

数 Jumlah number

接辞 a月ks afRx

接辞結合 kombinasiafiks a用xcombination

接辞付加 a月ksasi afRxation

接中辞 infiks infix

接頭辞 Prefiks Prefix


接尾辞 su月ks sufRx

■ ■

VOISe VOICe

−47−
日本語 インドネシア語 英語

対極性 POlaritas POlarity

他動詞 Verbatransitif transitiveverb

単純語 katatunggal SimpIeword

単純動詞 Verbatunggal Simpleverb

動詞 Verba verb

統語論 Sintaksis Sintax

特異形態素

moげem unik unlquemO叩hem

独立形態素 moげem bebas 什eemorphem

独立基礎形態素 moげem dasarbebas 什eebasemorphem

人称 PerSOna PerSOn

能動態 aktif active voice

派生 derivasi derivation

派生接辞 afiks derivatif derivative


a用x

派生動詞 Verbaturunan derivative verb

品詞 kelas kata PartOfspeech

(語の)複合 komposisi komposition

文法カテゴリー kategorigramatikal grammaticalcategoⅣ


文法的意味 makanagramatikaI grammaticalmeanlng

法 modus mood

名詞 nOmlna nOun

ー48−
インドネシア語の動詞形成における凍頭辞meN−の穣能

2002年3月15日 初版発行

著者 松本圭介

監修 重松淳

発行慶應義塾大学 湘南藤沢学会
〒252−0816 神奈川県藤沢市遠藤5322
TEL:0466−49−3437

PrintedinJapan 印刷・製本 ワキプリントピア

SFC・SWP20011Å・003
■本論文は研究会において優秀と認められ、出版されたものです。

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