1.

12 米中の4-アミノ-n -酪酸（GABA）の分析（1）̶ LC

■解説 ■分析条件
4-アミノ-n-酪酸（γ -アミノ酪酸，GABA）はアミ カラム ：Shim-pack VP-ODS
ノ酸の一種で，動・植物界に広く分布しており，動 (150 mmL.×4.6 mmI.D.)
物の血液の流れを活発にし,代謝機能を促進する働 移動相 ：10 mmol/Lの 1-ヘキサンスルホン酸ナ
きがある物質として知られています。この物質は米， トリウムを含む 20 mmol/Lりん酸（ナ
特に玄米中に多く含まれていることから，機能・健 トリウム）緩衝液（pH 2.5）
康食品としての玄米を語る上で欠かせないものと言 流量 ：0.8 mL/min
えます。 カラム温度 ：45 ℃
HPLCに よ るGABAの 分 析 は， 逆 相 イ オ ン ペ ア 反応液 ：アミノ酸反応液キット溶液 B
モードによる分離とポストカラム誘導体化法による 反応液流量 ：0.4 mL/min
検出との組み合わせで簡便に行うことができます。 反応温度 ：45 ℃
また，島津アミノ酸分析システムにより，GABA以 反応コイル ：SUS, 2 m×0.8 mmI.D.
外のアミノ酸との一斉分析も可能です。 検出 ：蛍光検出器 Ex:350 nm Em:450 nm
ここでは逆相イオンペアモードによるGABAの簡
易分析例と，陽イオン交換モードによるアミノ酸18 ■前処理法
成分との一斉分析例をご紹介します。 炊飯した米 5 g
←80 % エタノール水溶液 25 mL
混合 , 均一化
遠心分離
■逆相イオンペアクロマトグラフィー / 上清 残渣
ポストカラム誘導体化法による分析 ←80 % エタノール水溶液 20 mL
混合 , 均一化
図1.12.1には，玄米と白米から80 %エタノール水 遠心分離
溶液でGABAを抽出し，溶媒置換後に本法にて分析 上清 残渣

した例を示します。 80 % エタノール水溶液で 50 mL にメスアップ→1 mL 採取

分析した玄米および白米（いずれも炊飯器で炊い 蒸発乾固
減圧乾燥
移動相 1 mL→
た も の ）100 g中 のGABAの 含 有 量 は， そ れ ぞ れ
HPLCに注入
2.7 mg，0.30 mgでした。

15
■ピーク成分
1 GABA

10
1
mV

玄米

0
白米

0 5 10 15 20
min

図1.12.1 玄米と白米のクロマトグラム
16

分析集.indb 16 11/08/26 9:57

 C 食品成分
H O

1.12 米中の4-アミノ-n -酪酸（GABA）の分析（2）̶ LC

■島津アミノ酸分析システムによる ■分析条件
GABA とアミノ酸との一斉分析 装置 ：LC-VPアミノ酸分析システム
図1.12.2には，島津アミノ酸分析システムのNa型 カラム ：Shim-pack Amino-Na
条件を用いて玄米，白米中のGABAおよび各種アミ (150 mmL.×6.0 mmI.D.)
ノ酸を測定した例を示します。 アンモニア ：Shim-pack ISC-30/S0504
本システムにより，タンパク加水分解型アミノ酸 トラップカラム (50 mmL.×4.0 mmI.D.)
18成分のとGABAを相互に分離することが可能でし 移動相 ：アミノ酸移動相キット（Na 型）
た。その定量結果を表1.12.1に示します。 グラジエント溶出法
ただし，今回の試料では，スレオニンなど一部の 流量 ：0.4 mL/min
アミノ酸においてピークの重なりが観察されまし カラム温度 ：60 ℃
た。これらも含めて一斉に分離・定量する場合には， 反応液 ：アミノ酸反応液キット（溶液 A, B）
さらに多くのアミノ酸を分離することが可能なLi型 反応液流量 ：0.2 mL/min
の分析条件を適用してください。 反応温度 ：60 ℃
検出 ：蛍光検出器 Ex:350 nm Em:450 nm

表1.12.1 定量結果 (mg/100 g)
玄米 白米
Aspartic acid 3.4 1.7 60

Threonine ■ピーク成分
1.7 1.2 1 Asp 7 Ala
Serine 1.3 0.6 2 Thr 8 Val
10
Glutamic acid 4.5 1.9 3 Ser 9 Phe
4 Glu 10 GABA
Proline 0.8 n.d. 40 5 Pro 11 Arg
Glycine 0.6 0.2 6 Gly

Alanine 2.9 0.8

Valine 0.4 0.1
mV

Phenylalanine 0.3 n.d. 1

20 4 7
4-amino-n -butyric acid 2.8 0.4 23 6
5 8 9 11
Arginine 1.0 n.d.
玄米
n.d. : not detected
0
白米

0 20 40
min

図1.12.2 玄米と白米のクロマトグラム

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