C 食品成分

H O

1.38 黒豆中シアニジン-3-グルコシドの分析 ̶ LC

■解説 ■分析条件
花や果実が持つ色の因子のひとつであるアントシ カラム ：Shim-pack VP-ODS (150 mmL.×4.6 mmI.D.)
アニン類は，フラボノイドの一種であるアントシア ガードカラム：Shim-pack GVP-ODS (10 mmL.×4.6 mmI.D.)
ニジンをアグリコンとする配糖体の総称で，pHに 移動相 ：A：10 mmol/L りん酸（ナトリウム）緩衝液 (pH2.6)
より多彩に色調が変化するという性質を持っていま B：アセトニトリル
す。高等植物には，数多くのアントシアニン類が広 グラジエント溶出法
く存在していることが確認されていますが，最近で Initial B.Conc = 5 %
はその抗酸化作用が注目されています。その中で， Time (min)  B.Conc (%)
シアニジン-3-グルコシドは，シアニジンのグルコー 10.00 30
ス配糖体で，黒豆に含まれるアントシアニン類の 15.00 100
90 ％以上を占めると言われています。ここではフォ 20.00 100
トダイオードアレイ検出器を用いて，シアニジン-3- 20.01 5
グルコシドを分析した例をご紹介します。 35.00 STOP
OH 流量 ：1.0 mL/min.
OH
カラム温度 ：40 ℃
+
HO O 検出 ：フォトダイオードアレイ
O
UV-VIS 検出器
OH
CH2OH
O ■ピーク成分
OH 35 1 Cyanidin-3-Glucoside
HO
OH 30

25
図1.38.1 シアニジン-3-グルコシドの構造式
20
mAU

15
■黒豆の分析
10
280 nm
図1.38.2に，市販黒豆抽出液の2波長クロマトグラ 5
1
ムを示します。黒豆は粉砕後，その1 gに1 ％塩酸含 0
520 nm

有メタノール5 mLを加えて超音波抽出，遠心・ろ 0.0 2.5 5.0 7.5 10.0 12.5 15.0 17.5 20.0
min
過し，移動相Aを用いて10倍希釈しました。図1.38.3
図1.38.2 黒豆抽出液のクロマトグラム（10 μL注入）
は，黒豆抽出液中シアニジン-3-グルコシドのピーク
と標準物質のスペクトルを重ね描きした結果です。
また，黒豆抽出液の三次元プロットを図1.38.4に示
します。

mAU
50

Standard
40
Sample
30

20

Cyanidin-3-Glucoside
10
図1.38.4 黒豆抽出液の三次元表示
0

200 300 400 500 600 nm

55
図1.38.3 黒豆抽出液中シアニジン-3-グルコシドと標準物質のスペクトル

分析集.indb 55 11/08/26 9:58