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謙譲の意味を持つ動詞

■ 構造図
どうさ かんけい ひと ばあい

(1) 動作に 関 係 する 人 がいる 場合


けんじょうご
謙譲語

あげます さしあげます

言います もうしあげます

聞きます うかがいます

します いたします
しつもん ほうもん
たずねます( 質 問 する/ 訪 問 する) うかがいます
み はいけん
見ます 拝 見 します

もらいます いただきます

V てあげます V てさしあげます

V てもらいます V ていただきます

どうさ かんけい ひと ばあい

(2) 動作に 関 係 する 人 がいない 場合


けんじょうご
謙譲語

言います もうします
い き
行きます/来ます まいります

います おります

します いたします
た の
食べます/飲みます いただきます
い き
V て行きます/V て来ます V てまいります

V ています V ております

■ 基本 例文

(1)
【解説】
はな て どうさ つか どうさ かんけい ひと けいい あらわ けいい あらわ あいて

A.  話 し 手の 動作に 使 い、その 動作に 関 係 する 人 への 敬意を 表 す。  敬意を 表 す 相手


せんせい かいしゃ じょうし めうえ ひと

は、 先 生 や 会 社 の 上 司 など 目上の 人 。
せんせい き

【例文 1】○○さんにもらったおみやげ、 先 生 にもさしあげて 来ましょう。


しゃいん しゃ でんわ ぶちょう

【例文 2】 社 員 A: △△ 社 から 電話があったこと、 部 長 にもうしあげましたか。


しゃいん

社 員 B: はい。
しゃいん ぶちょう こんど じむしょ

【例文 3】 社 員 A:  部 長 からうかがったんですが、 今度ニューヨークに 事務所ができ

るそうですね。
しゃいん

社 員 B: ええ、そうらしいですね。
かちょう あした かいぎ しりょう ようい

【例文 4】 課 長 :  明日の 会議の 資 料 、 用意してくれませんか。


しゃいん

社 員 : はい。すぐいたします。
しゃいん かちょう かいぎ

【例文 5】 社 員 :  課 長 、きのうの 会議のことで、ちょっとうかがいたいことがあるん

ですが。
かちょう なん

課 長 : はい。 何 でしょうか。
せんせい けんきゅうしつ ほん き

【例文 6】 先 生 : ○○さん、あとで 研 究 室 に 本 をとりに 来てください。


がくせい じゅぎょう お

学 生 : はい。 授 業 が 終わったらすぐにうかがいます。
ぶちょう しゃ しりょう

【例文 7】 部 長 : ○△ 社 については 資 料 がありましたよ。ああ、これです。


しゃいん はいけん

社 員 :  拝 見 してもよろしいですか。
ぶちょう

部 長 : ええ、どうぞ。
ぶちょう た

【例文 8】 部 長 にいただいたおかしがありますから、 食べましょう。


としょかん ばしょ たなかせんせい おし

【例文 9】 図書館の 場所は、 田 中 先 生に 教 えていただきました。

【解説】
はな て どうさ つか どうさ かんけい ひと けいい あらわ けいい あらわ

B.  話 し 手の 動作に 使 い、 その 動作に 関 係 する 人 への 敬意を 表 す。  敬意を 表 す


あいて はじ あ ひと し ひと

相手は、 初 めて 会った 人 やよく 知らない 人 。


みち ひと き

【例文 10】( 道 がわからなくなって 人 に 聞く)

すみません。ちょっとうかがいたいんですが…。
こうばん

【例文 11】( 交 番 で)
ぎんこう

A: あのう、このへんに○○ 銀 行 はありますか。
ち ず か

B: ええ。わかりにくいところですから、 地図を 書いてさしあげましょう

か。

A: すみません。ありがとうございます。
し ひと

【例文 12】(エレベーターで 知らない 人 に)


かい

すみません。7 階 、おしていただけますか。

【解説】
はな て どうさ つか どうさ かんけい ひと けいい あらわ はな て てんいん

C.  話 し 手の 動作に 使 い、その 動作に 関 係 する 人 への 敬意を 表 す。  話 し 手は 店 員 な


けいい あらわ あいて きゃく

どで、 敬意を 表 す 相手は 客 。


てんいん か

【例文 13】 店 員 : こちらのおさらを 買っていただいた方には、おはしのセットをさ

しあげます。
きゃく

客 : あら、ありがとう。
でんわ

【例文 14】(ホテルで、フロントに 電話して)


きゃく こしょう

客 : あのう、シャワーが 故 障 しているみたいなんですが。
ひと へ や

ホテルの 人 : もうしわけございません。すぐお 部屋にうかがいます。


とけいや

【例文 15】( 時計屋で)


きゃく とけい うご

客 :あのう、この 時計、 動 かなくなってしまったんです。


てんいん はいけん

店 員 :ちょっと 拝 見 します。

【解説】
あんない おおやけ ばめん あら ばめん つか はな て か て どうさ

D. スピーチや 案 内 など 公 の 場面や 改 まった 場面で 使 う。  話 し 手( 書き 手)の 動作


き て よ て かんけい はな て か て どうさ つか き て よ

が 聞き 手( 読み 手)に 関 係 するときに、  話 し 手( 書き 手)の 動作に 使 う。 聞き 手( 読


て けいい あらわ

み 手)への 敬意を 表 す。
かいぎ

【例文 16】( 会議で)


いちど かいぎ よてい らいしゅう ご ご じ

もう 一度もうしあげますが、つぎの 会議の 予定は、 来 週 の 午後3 時からです。


たいかい け っ かは っ ぴ ょ う

【例文 17】(スピーチ 大 会 の 結果 発 表 で)
はっぴょう ことし だい い

それでは、 発 表 いたします。 今年の 第 1 位は○○さんです。


かみ

【例文 18】(アパートのはり 紙 )
だ ひ いがい す まんえん

ごみを 出す 日以外にごみを 捨てた方は、1 万 円 はらっていただきます。


ばんぐみ

【例文 19】(テレビの 番 組 で)
せ ん げ つお こ な はいけん

A:  先 月 行 われたコンサートを 拝 見 しました。

B: ありがとうございます。
かた おお

A: B さんのファンは、わかい 方 がとても 多 いですね。

(2)

【解説】
はな て どうさ つか き て けいい あらわ どうさ かんけい ひと

E.  話 し 手の 動作に 使 い、 聞き 手への 敬意を 表 す。 動作に 関 係 する 人 はいない。


おおさか

【例文 20】はじめまして。○○ともうします。 大 阪 からまいりました。


かぞく つま こ ふたり

【例文 21】 家族は、 妻 と、 子どもが 2 人おります。


にゅういん き しんぱい しゅうかん たんいん

【例文 22】○○さんが 入 院 したと 聞いて 心 配 しましたが、1 週 間 ほどで 退 院 で


き あんしん

きると 聞いて、 安 心 いたしました。


からだ まいにち

【例文 23】 体 のために、 毎 日 くだものをいただくようにしています。


たなか こんど ひ

【例文 24】 田中ともうします。 今度となりに 引っこしてまいりました。


り ょ う りき ょ う し つ かよ

【例文 25】しゅみで、 料 理 教 室 に 通 っております。

■ 先生へ
けいご

● 敬語について
にほんご はな て わだい じんぶつ はなし なか で ひと かんけい はな て

・  日本語では、 話 し 手と 話題の 人 物 ( 話 の 中 に 出てくる 人 )との 関 係 、  話 し 手と


き て かんけい ばめん か けいご

聞き 手との 関 係 、 場面などによって、 ことばづかいを 変えることがある。 敬語はその


ひと

ようなことばづかいの 一 つである。
けいご はな て き て わだい じんぶつ はつわ ばめん たい はいりょ

・  敬語は、 話 し 手が、 聞き 手や 話題の 人 物 、  発話の 場面に 対 して 配 慮 していること


あらわ つか はいりょ けいい よ けいい あらわ

を 表 すために 使 う。この 配 慮 のことを「 敬意」と 呼ぶ。 「 敬意」を 表 すことは、


しゃかいてき もと こじん かんじょう き も つか き

社 会 的 なルールとして 求 められるもので、 個人の 感 情 や 気持ちで 使 うかどうかが 決

まるものではない。
にほんご けいご そんけいご そんけいひょうげん けんじょうご けんじょうひょうげん

・  日本語の 敬語には、「 尊敬語/ 尊 敬 表 現 」と「 謙 譲 語 / 謙 譲 表 現 」がある。


しゅご けいい あらわ あいて どうさ あら どうし そんけいご そんけいひょうげん

主語が 敬意を 表 す 相手のときに、 その 動作を 表 す 動詞を「 尊敬語/ 尊 敬 表 現 」にす


はな て はな て がわ ひと どうさ の どうし けんじょうご

る。 話 し 手(または 話 し 手 側 の 人 )の 動作を 述べるとき、 その 動詞を「 謙 譲 語 /


けんじょうひょうげん

謙 譲 表 現 」にする。
けんじょう い み も どうし どうさ かんけい ひと ばあい ばあい

● 謙 譲 の 意味を 持つ 動詞には、 動作に 関 係 する 人 がいる 場合(1)と、いない 場合(2)

がある。
わだい じんぶつ ば けいご つか

●【例文 3】のように 話題の 人 物 がその 場にいないときには、 敬語を 使 わなくてもよ

い。
れい しゃいん ぶちょう き こんど じむしょ

例   社 員 A:  部 長 から 聞いた んですが、 今度ニューヨークに 事務所ができるそうで

すね。
しゃいん

社 員 B: ええ、そうらしいですね。
としうえ めうえ けいご つか はな て じぶん かぞく おや あに

● 年 上 も 目上として 敬語を 使 うことがある。ただし、 話 し 手が 自分の 家族( 親 、 兄 、


あね ひと はな つか

姉 など)について、 ほかの 人 に 話 すときは 使 えない。


れい はなし

例 1 ○○さんのおばあさんに、むかしの 話 をうかがいました。
そ ぼ はなし

2 (わたしの) 祖母に、むかしの 話 をうかがいました 。(×)


そ ぼ はなし き

(わたしの) 祖母に、むかしの 話 を 聞きました 。(○)


つか かた おおやけ ばめん あらた ばめん ぐたいてき つぎ ばめん

●D の 使 い 方 の「 公 の 場面や 改 まった 場面」とは、 具体的には 次 のような 場面の

ことである。
かいぎ はっぴょう めんせつ ほうそう あんない ちゅうい

スピーチ、 会議、 発 表 、 面 接 、インタビュー、 放 送 、アナウンス、 案 内 や 注 意 な


けいじぶつ

どの 掲示物、など。
でんわ う かんようてき ひょうげん けいご つか

● 電話をかけたり 受けたりするときの 慣 用 的 な 表 現 に、 敬語が 使 われる。


れい ともだち いえ でんわ

例 1 ( 友 達 の 家 に 電話をかける)
やまなか やまなか

山 中 : はい、 山 中 です。
たかはし たかはし

高 橋 :  高 橋 ともうします が、まさるさん、おねがいします。
やまなか ま

山 中 : はい。ちょっとお 待ちください。
かいしゃ でんわ

2 (ほかの 会 社 に 電話をかける)
むらた しゃ

村田: はい、○○ 社 です。


こばやし ぎんこう こばやし きむら

小 林 : △△ 銀 行 の 小 林 ともうします が、 木村さんはいらっしゃいますか。
むらた ごぜんちゅう そと で じ よてい

村田:  午 前 中 は、 外 に 出ております 。1 時ごろにはもどる 予定ですが。


けんじょう い み もつ どうし め あ ぞん

● 謙 譲 の 意味を 持 つ 動詞は、ほかに「お 目にかかります( 会います)」「 存 じます


おも ぞん あ し

( 思 います)」 「 存 じ 上げます( 知っています)」などがある。(『


にほんごのうりょくしけん きゅう こうもく

日 本語 能力 試験』2 級 の 項 目 )
じっさい にんげんかんけい ばめん く あ

● 実 際 のコミュニケーションは、さまざまな 人 間 関 係 や 場面などが、 組み 合わされ


じょうきょう おこな けいご つか か たい が い はなし ないよう ひと

た 状 況 で 行 われている。 また、 敬語は、A~D の 使 い 方 以外に、 話 の 内 容 ( 人


ふこう さいなん もくてき しゃざい ひにく ことわ つか

の 不幸や 災 難 など) や 目 的 ( 謝 罪 、 皮肉、 断 りなど)によっても 使 われることが


した れい はなし ないよう ひと ふこう れい はなし もくてき しゃざい

ある。 ( 下 の 例 1 では 話 の 内 容 が 人 の 不幸、 例 2 では 話 の 目 的 が 謝 罪 。)
れい ちちおや な やす かいしゃ どうりょう

例 1 ( 父 親 が 亡くなってしばらく 休 んでいた 会 社 の 同 僚 に)


とう な たいへん

お 父 さまが 亡くなったとうかがいました が、 大 変 でしたね。


きゅう びょうき たいせつ かいぎ けっせき しゃいん どうりょう

2 ( 急 な 病 気 で、 大 切 な 会議を 欠 席 した 社 員 が 同 僚 に)
た い へ んし つ れ い

きのうは 大 変 失 礼 いたしました 。
しょきゅう けいご きほんてき つか かた ひょうげん りかい おぼ じゅうよう

○ 初 級 では、 敬語の 基本的な 使 い 方 や 表 現 を 理解し 覚 えることが 重 要 なので、


にんげんかんけい ばめん ぐたいてき せってい どうにゅう れんしゅう

A~D のようなわかりやすい 人 間 関 係 と 場面を 具体的に 設 定 して、 導 入 、 練 習 す

るとよい。
けいご つか ぶんぽう つか かた ただ はな かた たいど き

○ 敬語を 使 うときは、 文 法 や 使 い 方 の 正 しさだけでなく、 話 し 方 や 態度にも 気をつ

ける。
れい おな かいしゃ ひと かぞく かんけい ひと どうさ つか

○ 例 のように、 同 じ 会 社 の 人 や 家族など(ウチの 関 係 の 人 )の 動作に 使 うこともで


はじ はな て かぎ れんしゅう こんらん しりょう じゅじゅ

きるが、  初 めは 話 し 手に 限 って 練 習 したほうが 混 乱 しない。( 資 料 「 授 受


ひょうげん さんしょう

表 現」参 照)
れい ことし こ しょうがっこう にゅうがく

例 1  今年、 子どもが 小 学 校 に 入 学 いたしました。


あに ぎんこう

2  兄 は 銀 行 につとめております。
かかり もの でんわ

3  係 の 者 から、お 電話いたします。
尊敬の意味を持つ動詞
■ 構造図
そんけいご
尊敬語

言います おっしゃいます
い き
行きます/います/来ます いらっしゃいます/おいでになります
くれます くださいます

知っています ごぞんじです

します なさいます
た の
食べます/飲みます めしあがります

見ます ごらんになります
い き
V て行きます/V ています/V て来ます V ていらっしゃいます

V てくれます V てくださいます

■ 基本 例文

【解説】
せんせい かいしゃ じょうし めうえ ひと どうさ あらわ つか ひと けいい

A.  先 生 や 会 社 の 上 司 など、 目上の 人 の 動作を 表 すときに 使 い、その 人 への 敬意を


あらわ

表 す。
しゃいん かちょう かいぎ

【例文 1】 社 員 : あのう、きのう 課 長 が 会議でおっしゃったことですが…。


しゃいん かちょう

【例文 2】( 社 員 が 課 長 に)
なつやす よてい

夏 休 みはどちらへいらっしゃる 予定ですか。
しゃいん しゃちょう きょう かいぎ じ じかん かいぎしつ

【例文 3】 社 員 :  社 長 、 今日の 会議は 13 時からです。 時間になりましたら、 会議室

へおいでになってください。
しゃちょう

社 長 : はい。わかりました。
がくせい せんせい ほん べんきょう

【例文 4】 学 生 :  先 生 がくださった 本 、たいへん 勉 強 になりました。


せんせい

先 生 : そうですか。それはよかったです。
がくせい こんど みせ ばしょ

【例文 5】 学 生 :  今度のパーティー、○○というお 店 でするんですが、 場所はごぞん

じですか。
せんせい

先 生 : はい。
しゃいん ぶちょう きょう

【例文 6】 社 員 A:  部 長 、 今日はおそいですね。


しゃいん でんわ きょう やす かいだん お

社 員 B: さっき 電話がありましたが、 今日はお 休 みだそうです。 階 段 から 落ちてけが

をなさったそうですよ。
せんせい なが あ い だけ ん き ゅ う ほん

【例文 7】○○ 先 生 が 長 い 間 研 究 なさったことが、とうとう 本 になるそうです。


かちょう りょうり はこ

【例文 8】(レストランで、 課 長 の 料 理 がさきに 運 ばれてきた)


しゃいん かちょう

社 員 : 課 長 、どうぞおさきにめしあがってください。
がくせい せんせい け さ しんぶん

【例文 9】 学 生 :  先 生 、 今朝の 新 聞 、もうごらんになりましたか。


せんせい

先 生 : いいえ、まだですが。
しゃいん ぶちょう

【例文 10】( 社 員 が 部 長 に)
あめ も

雨 がふりそうですので、かさを 持っていらっしゃったらいかがですか。
ぶちょう か た

【例文 11】 部 長 が 買ってきてくださったおかしがありますから、 食べましょう。

【解説】
はじ あ ひと し ひと どうさ つか ひと けいい あらわ

B.  初 めて 会った 人 やよく 知らない 人 の 動作に 使 い、その 人 への 敬意を 表 す。


みち こま ひと

【例文 12】( 道 がわからなくて 困 っている 人 に)

どちらまでいらっしゃるんですか。
りょこう い し ひと

【例文 13】( 旅 行 に 行ったところで、 知らない 人 に)


りょうり ゆうめい き みせ

このへんは○○ 料 理 が 有 名 だと 聞いたんですが、おいしいお 店 をごぞんじですか。


し あ りゅうがくせい

【例文 14】( 知り 合ったばかりの 留 学 生 に)


にほんご じょうず なんねん べんきょう

日本語、お 上 手 ですね。 何 年 くらい 勉 強 なさっているんですか。


えき まえ し ひと

【例文 15】( 駅 の 前 で、 知らない 人 に)


A: あのう、バスを 待っていらっしゃるんですか。

B: はい。
せんしゅう の ばしょ

A:  先 週 から 乗る 場所がかわって、あちらになりましたよ。

B: そうですか。ありがとうございます。

【解説】
てんいん きゃく どうさ つか きゃく たい けいい あらわ

C.  店 員 などが 客 の 動作に 使 い、 客 に 対 する 敬意を 表 す。


きっさてん

【例文 16】( 喫茶店で)


きゃく

客 : コーヒー、おねがいします。
てんいん

店 員 : ホットとアイス、どちらになさいますか。
きゃく

客 : ホット、おねがいします。

【例文 17】(レストランで)
てんいん りょうり

店 員 : この 料 理 は、こちらのソースをかけて、めしあがってください。

【例文 18】ツアーガイド: みなさま、こちらをごらんになってください。


【解説】
あんない おおやけ ばめん あらた ばめん つか き て よ て

D. スピーチや 案 内 など、 公 の 場面や 改 まった 場面で 使 う。  聞き 手( 読み 手)の


どうさ つか き て よ て けいい あらわ

動作に 使 い、 聞き 手( 読み 手)への 敬意を 表 す。


かいぎ

【例文 19】( 会議で)


いま しつもん

今 、○○さんがおっしゃったことについて、 質 問 したいのですが…。
えき

【例文 20】( 駅 のアナウンス)


きゃく とっきゅう の

○○へいらっしゃるお 客 さまは、つぎの 特 急 にお 乗りください。


けっこんしき

【例文 21】( 結 婚 式 のスピーチで)


けっこん ふたり おな

ご 結 婚 おめでとうございます。みなさんもよくごぞんじでしょうが、お 二人は 同 じ
こうこう そつぎょう

高 校 を 卒 業 されました。
はじ まえ

【例文 22】(コンサートが 始 まる 前 のアナウンス)


た もの の もの かた かいじょう そと

食べ 物 や 飲み 物 をめしあがる 方 は、 会 場 の 外 でおねがいします。
としょかん りようあんない

【例文 23】( 図書館の 利 用 案 内)


かい

ビデオは 2 階 でごらんになれます。
くに かえ りゅうがくせい

【例文 24】( 国 へ 帰 る 留 学 生 が、スピーチで)


しんせつ たの べんきょう

みなさんが 親 切 にしてくださったおかげで、 楽 しく 勉 強 することができました。ほ

んとうにありがとうございました。

■ 先生へ
けいご

● 敬語について
にほんご はな て わだい じんぶつ はなし なか で ひと かんけい はな て

・  日本語では、 話 し 手と 話題の 人 物 ( 話 の 中 に 出てくる 人 )との 関 係 、  話 し 手と


き て かんけい ばめん か けいご

聞き 手との 関 係 、 場面などによって、ことばづかいを 変えることがある。 敬語はその


ひと

ようなことばづかいの 一 つである。
けいご はな て き て わだい じんぶつ わだい ばめん たい はいりょ

・  敬語は、 話 し 手が、 聞き 手や 話題の 人 物 、 発話の 場面に 対 して 配 慮 していること


あらわ つか はいりょ けいい よ けいい あら

を 表 すために 使 う。この 配 慮 のことを「 敬意」と 呼ぶ。 「 敬意」を 表 すことは、


しゃかいてき もと こじん かんじょう き も つか

社 会 的 なルールとして 求 められるもので、  個人の 感 情 や 気持ちで 使 うかどうかが


決まるものではない。
にほんご けいご そんけいご そんけいひょうげん けんじょうご けんじょうひょうげん

・  日本語の 敬語には、「 尊敬語/ 尊 敬 表 現 」と「 謙 譲 語 / 謙 譲 表 現 」がある。


しゅご けいい あらわ あいて どうさ あらわ どうし そんけいご そんけいひょうげん

主語が 敬意を 表 す 相手のときに、その 動作を 表 す 動詞を「 尊敬語/ 尊 敬 表 現 」に


はな て はな て がわ ひと どうさ の どうさ けんじょうご

する。  話 し 手(または 話 し 手 側 の 人 )の 動作を 述べるとき、その 動詞を「 謙 譲 語 /


けんじょうひょうげん

謙 譲 表 現 」にする。
わだい じんぶつ ば けいご つか

●【例文 6】のように 話題の 人 物 がその 場にいないときには、 敬語を 使 わなくてもよ

い。
れい しゃいん ぶちょう きょう

例   社 員 A:  部 長 、 今日はおそいですね。
しゃいん でんわ きょう やす だんかい お

社 員 B: さっき 電話がありましたが、 今日はお 休 みだそうです。 階 段 から 落ちてけが

をしたそうですよ。
としうえ めうえ けいご つか はな て じぶん かぞく おや あに

● 年 上 も 目上として 敬語を 使 うことがある。ただし、 話 し 手が 自分の 家族( 親 、 兄 、


あね ひと はな つか

姉 など)について、ほかの 人 に 話 すときは 使 えない。


れい す まいしゅう

例 1 ○○さんのおじいさんは、スポーツが 好きで、 毎 週 テニスをなさいます。


そ ふ す まいしゅう

2 (わたしの) 祖父は、スポーツが 好きで、 毎 週 テニスをなさいます。(×)


そ ふ す まいしゅう

(わたしの) 祖父は、スポーツが 好きで、 毎 週 テニスをします。(○)


つか かた はな て じぶん かいしゃ じょうし かいしゃ ひと はな

●A の 使 い 方 では、 話 し 手が 自分の 会 社 の 上 司 についてほかの 会 社 の 人 に 話 すと


そんけいご そんけいひょうげん つか した れい やまだ じぶん かいしゃ きむらぶちょう

き、 尊敬語/ 尊 敬 表 現 は 使 えない。 ( 下 の 例 では、 山田が 自分の 会 社 の 木 村 部 長


かいしゃ たなか はな

のことについて、ほかの 会 社 の 田中に 話 している。)


れい たなか きむらぶちょう なんじ

例   田中:  木 村 部 長は 何時でしたらいらっしゃいますか。
やまだ じ

山田: 2 時でしたら、いらっしゃいます。(×)

2 時でしたら、おります。(○)
つか かた おおやけ ばめん あらた ばめん ぐたいてき つぎ ばめん

●D の 使 い 方 の「 公 の 場面や 改 まった 場面」とは、 具体的には 次 のような 場面の

ことである。
かいぎ はっぴょう めんせつ ほうそう あんない ちゅうい

スピーチ、 会議、 発 表 、 面 接 、インタビュー、 放 送 、アナウンス、 案 内 や 注 意 な


けいじぶつ

どの 掲示物、など。
でんわ う かんようてき ひょうげん けいご つか

● 電話をかけたり 受けたりするときの 慣 用 的 な 表 現 に、 敬語が 使 われる。


れい ともだち いえ でんわ

例 1 ( 友 達 の 家 に 電話をかける)
やまなか やまなか

山 中 : はい、 山 中 です。
たかはし たかはし

高 橋 :  高 橋 ですが、まさるさん、いらっしゃいますか。
やまなか ま

山 中 : はい。ちょっとお 待ちください。
かいしゃ でんわ

2 (ほかの 会 社 に 電話をかける)
むらた しゃ

村田: はい、○○ 社 です。


こばやし ぎんこう こばやし きむらかちょう

小 林 : △△ 銀 行 の 小 林 ともうしますが、 木 村 課 長はおいでになりますか。
むらた ごぜんちゅう そと で じ よてい

村田:  午 前 中 は、 外 に 出ております。1 時ごろにはもどる 予定ですが。


こばやし でんわ つた

小 林 : それでは、もどられましたら、お 電話をくださるよう、お 伝 えください。


かたち ちゅうい

●「おっしゃる、いらっしゃる、くださる、なさる」の「V ます」の 形 に 注 意 す

る。

おっしゃる→おっしゃいます(×おっしゃります)

いらっしゃる→いらっしゃいます(×いらっしゃります)

くださる→くださいます(×くださります)

なさる→なさいます(×なさります)
かたち

●「なさいます」は、「お V なさいます(V は V ます)」「ご N なさいます」の 形


つか にほんごのうりょくしけん きゅう こうもく

で 使 うこともある。(『 日本 語能 力試 験』2 級 の 項 目 )
れい やまだせんせい じゅぎょう はな

例 1  山 田 先 生の 授 業 は、むずかしいことをやさしくお 話 しなさるので、とても
にんき

人気があります。
せんせい なが あいだ けんきゅう ほん

2 ○○ 先 生 が 長 い 間 ご 研 究 なさったことが、とうとう 本 になるそうです。


そんけい い み も どうし た の

● 尊 敬 の 意味を 持つ 動詞は、ほかに「あがります( 食べます/ 飲みます)」「おこしに


き い き

なります( 来ます)」「V ておいでになります(V て 行きます/V ています/V て 来ま


き にほんごのうりょくしけん きゅう こうもく

す)」「めします( 着ます)」などがある。(『 日本 語能 力試 験』1・2 級 の 項 目 )


じっさい にんげんかんけい ばめん く あ

● 実 際 のコミュニケーションは、さまざまな 人 間 関 係 や 場面などが、 組み 合わされ


じょうきょう おこな けいご つか か たい が い はなし ないよう ひと

た 状 況 で 行 われている。また、 敬語は、A~D の 使 い 方 以外に、  話 の 内 容 ( 人


ふこう さいなん もくてき しゃざい ひにく ことわ つか

の 不幸や 災 難 など)や 目 的 ( 謝 罪 、 皮肉、 断 りなど)によっても 使 われることがあ


した れい はなし ないよう ひと ふこう れい はなし もくてき ひにく

る。 ( 下 の 例 1 では 話 の 内 容 が 人 の 不幸、 例 2 では 話 の 目 的 が 皮肉。)
れい こうつうじこ み

例 1 ( 交通事故のニュースを 見て)


おお かた な ほんとう

こんなに 多 くの 方 が 亡くなったりけがをなさったりするなんて、 本 当 にひどい


じ こ

事故ですね。
つま にちようび はや じかん

2  妻 : あら、 日曜日なのに、こんな 早 い 時間にどちらへいらっしゃるんですか。


おっと やくそく おこ

夫 :  約 束 しちゃったんだからしかたがないだろう。まだ 怒 っているのか。
しょきゅう けいご きほんてき つか かた ひょうげん りかい おぼ じゅうよう

○ 初 級 では、 敬語の 基本的な 使 い 方 や 表 現 を 理解し 覚 えることが 重 要 なので、A


にんげんかんけい ばめん ぐたいてき せってい どうにゅう れんしゅう

~D のようなわかりやすい 人 間 関 係 と 場面を 具体的に 設 定 して、 導 入 、 練 習 す

るとよい。
けいご つか ぶんぽう つか かた ただ はな かた たいど き

○ 敬語を 使 うときは、 文 法 や 使 い 方 の 正 しさだけでなく、 話 し 方 や 態度にも 気をつ

ける。

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