J367

You might also like

Download as txt, pdf, or txt
Download as txt, pdf, or txt
You are on page 1of 3

防御特化と八層4。

こうしてそれぞれが探索を行い、パーツを集めたところで一旦ギルドホームに集合することとなった。

近場にいたメイプルとサリーが最初に到着し、次に着いたクロム達と成果を確認しあう。

「結構集まりました!沈んだ建物の中を探索して、家一つにつき一個以上はパーツがある感じでした!」

「なるほどなあ、こっちは砂浜に落ちてる感じだったから見つけるのは簡単だったぞ。競合も激しいのがちょ
っと難点って感じだな」

四層のエリア開放にも似ているため、今回各個人が集めた分だけではさらに深くまで潜れるようにはならない
ようだった。クロムの言うようにコツコツ集めていく必要があるわけである。

と、ここでようやく明らかに場違いなジェットスキーに乗ってイズとカスミがギルドホームの前に到着した。

「あら、私達が一番遅かったのね」

「か、かなり飛ばしていたんだがな」

「……窓の外に見えたあれは?」

「勿論ボートよ」

「また妙なもの作ったな……」

「クロムは、ちょっと DEX が足りないかもしれないわね」

「乗らねえよ、ひっくり返りそうだ」

「えっと、話すのはこれくらいにしておいて……私達はかなり多くパーツを集めてきたわよ!」

「ああ、本当にかなり多くだ」

そうしてイズが見せたパーツの量は、他のメンバーが集めた分全てを上回るものだった。

「おおー!さすがイズさん!」

「すごいですね……この短時間でこれだけ集められるなら……」

「遠出したのもあって私達しかいなかったの。あとは、やっぱり町から離れている方が一回の採取で手に入る
パーツの量も多いみたいよ」
町から離れるほど拠点が遠くなるわけで、それに合わせてモンスターも強くなっていたりする。であれば、得
られる報酬が多いのも当然と言えるだろう。

「遠くの浅瀬か……」

「浅瀬っていうより山だったわ」

「恐らく、普通の地面にあたる部分が遥か底に存在しているのだと思う。私達が今いるのは今まででの層で言
うと山の頂上辺りだ」

「サルベージできるお宝ってのも一番底にあるのが妥当だな」

「あと数回今日くらいの長さ全員で採取に出れば一人分ならより深くまで潜れるようになると思うわ」

潜水服の強化にもいくつか種類がある。能力値に補正をかけたり、活動可能時間を伸ばしたりといったものだ。
その中により深くまで潜れるようになる強化も存在する。その強化一本に絞り、かつ全員のリソースを注ぎ込
めば問題なく潜水服を強化できるだろうとのことである。

「浅瀬で皆で探索していても良いけれど、より先を早めに見ておきたいじゃない?」

「それは……そうだな」

となれば誰にリソースを集中させるかだが、そこで適任となる人物には全員心当たりがあるようで、ちらっと
そちらを向く。

「私……ですか?」

「うん!私はそうするならサリーがいいと思うなあ」

話を切り出したイズを含め、残りの全員がメイプルと同じ考えだったようで、特にこれに異議を唱えるものは
いなかった。

「水中探索能力も高いし、個人戦闘も得意だ。適任と言えるだろう」

「……分かりました。全員分のパーツを一旦貰っていいなら、その分探索してきます」

サリーに問題がないのなら、【楓の木】の方針は決まったと言える。まず先行してより深い場所へサリーを送
り、そこでより多くのパーツを手に入れることができたりすれば、それはまたギルドメンバーの利益になる。
危険な場所にはより良いものが眠っているものだ。

「えへへ、責任重大だよサリー」

「任せて、ちゃんと成果を掴みとってくるよ」
「それにギルドホームの下も早めに見たいしな」

「そうだね。あそこも潜水服を強化していかないと入れないみたいだし」

「ギルドホームの一部が入れないなんて初めてですし!」

「一体何があるんでしょう……?」

八層の攻略はまだまだ始まったばかりであり、分からないことの方が多い。それでも、少しでも早くまだ見ぬ
財宝を発見するためにメイプル達は動き出したのだった。

You might also like