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対照言語学

I. 対照言語学

対照言語学とは、二つ以上の言語の音、語彙、文法等の言語体系、さら には、それらを用いる
行動である言語行動のさまざまな部分をつきあわせ、どの部分とどの部分とが相対応 するか、
あるいはしないかを明らかにしようとする言語研究の一分野である。

対照言語学によって、ある言語の特徴をより明確に示し、ある言語を外国語として教えるため
のより有効な 方法を開発したり、異言語間での翻訳をよりスムーズに行うことができるような
ルールを提供したりするこ とが可能になります。

II. 隣接分野

1.比較言語学はそれぞれの言語のあいだの音韻対応の法則を求め、それらの言語の歴史的な
類縁関係を明らかにしようとする研究である。

比較言語学と対照言語学の相違点

比較言語学が歴史言語学であり、その対象とする言語は歴史的に同系関係にある、あるいは、
同系関係が予想されるものに限られるのに対して、対照言語学は、歴史的な関係を考えないで
言語体系どうしを突き合わせるわけだから、どのような言語のあいだででも対照的な研究は成
り立つことになる。

2.言語地理学

言語の地理的分布を調査し,その結果を地図に記入して言語地図を作成,この分布図を分析し
て言語変化の法則や歴史を明らかにする学問である。

3.類型論

さまざまな言語のあいだの類似や相似を類型的な見方で見ようとするものである。
類型論が類型の普遍性を求めようとするのに対して、対照研究は、言語の個別性を求め個々の
異同の具体的な事実を重視するという点で、やや方向を異にするということになろう

III. 等価

対照分析は、二つの言語の間の相対応する部分について行われるわけであるから、分析を始め
るに当たっては、まず、何と何とが相対応する要素であるかということを明確にしなければな
らない。すなわち、何と何、どの部分とどの部分とが「等価」(equivalent)であるかというこ
とを明らかにしなければならない。

それぞれ異なった二つの言語の言語記号を S1 と S2 としたとき、S1 の「形式 1」と S2 の「形式


2」とは見かけ上まったく異なっていても、それぞれの「形式」が担う S2「内容 1」と「内容
2」とが互いに等しければ、S1 と S2 とは相対応する言語記号であるということになり、「形式
1」と「形式 2」とは同じ内容を表す形の異なった二つの「等価」な形式であると考えることが
できる。

直接には比較できない二つの形式が「内容 1 =内容 2」という第 3 の項を介して互いの等価が示


されるということである。

S1:内容① S2:内容②

形式 1 形式 2

日本語 ベトナム語 等価
こんにちは Xin chào

おはよう

こんばんは

IV. 分析の方法

1. 分析の原則

 原則1:対照する際に、研究対象の特徴が全面的・正確的に記述される。

 原則 2:研究対象は個別的に研究されるわけではなく、体系的に研究されることであ
る。

 原則 3:研究対象は言語単位として研究されるだけではなく、コミュニケーション活動
において、研究されるべきである。

 原則 4:概念及び分析方法を一貫すべきである。

 原則 5:対照言語の類型の近さを考慮すべきである。

2. 対照の手順

 ステップ1: 研究対象に関する記述

他の研究者の研究成果(先行研究)を用いることができる。あるいは自分の記述研究を行うこ
ともできる。正し、他の研究者の研究成果を利用する際に、正確さを確認すべきである。

例:ベトナム語の指示詞と日本語の指示詞の対照研究

 先行研究の探し方

 ベトナム語の指示詞の研究

 日本語の指示詞の研究

 ベトナム語・日本語の指示詞の対照研究
 先行研究の講読・まとめ

 ステップ 2: 等価を探す(研究範囲を限る、研究テーマを決める)

例:ベトナム語の親族名詞と日本語の親族名詞の対照研究

 語彙の研究:言葉の構成、言葉の形成過程

 文法の研究:主語としての名詞、述語としての名詞

 語用論の研究:場面に応じる言葉の使い方(例:「わたし」の使い方)

 ステップ3: 分析

分析結果は二つの方法で表される

①S は言語 A と言語 B において、共通点及び相違点がある。(双方的分析)

②言語 A における S は言語 B の L1,L2,L3...と類似である。(一方的分析)

双方的分析

等価で二つあるいは二つ以上の言語を比較する。

 等価を探す

 等価を表す言語形式のカテゴリーを限る

 対照する言語形式の共通点・相違点を記述する。

 分析結果では両言語の共通点・相違点を明らかにする。

一方的分析

 出発言語 A と目的言語 B を決める。

 言語 A における対照する言語形式の特徴を記述する。

 言語 B における該当するものと対照する。

 分析結果では、言語 B が言語 A とどのように異なるか記述する

V. 論文の構成

研究テーマ
 研究の背景・目的

 先行研究

 研究方法

 分析結果

 結論

研究テーマ

 関心を持っている課題を探す

 等価を探す

 研究範囲を決める:焦点を絞る

研究の背景・目的

 研究の価値を示す。この研究はどのように貢献するのか。

 何のために研究をするのか。何を明らかにするのか。

先行研究

 先行研究を読書、まとめ

 先行研究の評価(妥当な部分、問題点)

 先行研究をどのように踏まえるのか示す。

研究方法

 データの収集方法を示す。

書き言葉のデータなのか、話し言葉のデータなのか

出現:小説、新聞記事、漫画、記録など

 どのようなデータの部分を利用するのか決める。

分析結果

 両言語の共通点・相違点を示す
 根拠を示す。

 理由・原因を説明する。

結論

 分析結果のまとめ

 自分の研究の評価(できたこと、まだ解決できていない問題)

 今後の研究の展開を述べる

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