日本酒造史研究会

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巻 頭 随 想

日本 酒 造 史 研 究 会

日本酒造史研究会理事

加 藤 百 一


誰 か が す るだ ろ う” で な く って,“ 誰 か が しな け れ ば な らな い ”,そ ん な気 持 を持 った 人 々が 集 ま
って 発 足 し たの が,「 日本 酒造 史研 究 会」(会 長 ・東 大 蓑 田泰 治 教授,副 会 長 ・東 京 農 大 野 白 喜 久雄 教
授 ・関 西 学 院 大 柚 木 学 教授)で あ る 。 した が って,本 会 が どん な 心 構 え で,ど ん な仕 事 を推 進 して い
こ う とす るの か は,昭 和58年11月17日,本 会 が設 立 され た さ い の 「趣 意 書 」 か ら理 解 して い た
だ け る で あ ろ う。
日本 酒 造 史 研 究会 設 立 趣 意 書
酒 の歴 史 は,人 間 の 歴 史 で あ り,世 界 各地 で様 々のす ぐれ た 銘 酒 が 生 み 出 さ れ て お り,日 本 酒 もそ の
一 つ と して位 置 づけ られ る もの で あ る

酒 は 人間 社会 に欠 か せ ない もの で あ る 。 従 って,こ の 酒 を対 象 に した学 問 は,自 然 ・人 文 ・社 会 の諸
科 学 を 総 合 した学 際 的 な 「日本 酒 学 」 と よべ る 。 しか も この 「日本 酒 学 」 は,世 界 の 中 の 日本 酒 を対
象 にす る こ とで,優 れ た 国 際 的 な 学 問 で もあ る 。
な か で も最 先端 技 術 と して の バ イ オ テ ク ノ ロ ジ ーの 領 域 に お け る世 界 に誇 るべ き数 多 くの成 果 は,長
い 優 れ た伝 統 を もつ 日本 酒 造 技 術 か ら醸 成 され た もの で,こ れ の歴 史 的 研 究 は 将 来 の 技 術 に 関 す る明
確 な 展 望 を得 る た め には 絶 対 に 欠 か せ な い。 と同 時 に 国 際 的 に 高 い 関 心 を もた れ て い る 日本 酒 に対 す
る正 しい理 解 を深 め させ,豊 か な もの とす る こ とは言 うま で もな い。
この よ うな事 情 に もか か わ らず,貴 重 な 史 料 が 急 速 に 散 逸 し,さ らに は 消 滅 しつ つ あ る と き,日 本 に
酒 造 史 の 研 究 を 関 係者 が協 力 し,精 力 的 に しか も体 系 的 に 実 施 す る こ とは,い まや 緊急 な 社 会 的 要請
に な って きて い る ばか りか,今 日直 ち に 調 査 研 究 を 開 始 しな い な らば,そ の 時 機 を 失 う恐 れ す らあ る。
わ れ われ は,こ れ らの諸 点 に十 二 分 に 配 慮 しな が ら,な か で も 日本 酒 造 史 に 特 別 の 関 心 を も って,こ
の 分 野 の 調 査 研 究 を推 進 し,そ の成 果 を 社 会 に 還 元 し,貢 献 した い と念 頭 し,こ こに 日本 酒 造 史 研 究
会 を設 立 す る。
こ う した 趣 旨 に そ っ て,本 会 の 設 立 総 会 並 び に 公 開 講 演 会 が,日 本 酒 造 組 合 中 央 会 会 議 室 で 催 行 さ
れ た の は,昭 和59年6月13日 で あ った 。 同 時 に 会 誌 『酒 史 研 究I』(A6判 ・120p)が 発 刊 され た 。
なお 調 査 研 究 の 作 業 の一 環 と して,関 西 学 院 大 学 な らび に 坂 品謹 一 郎 先 生 の ご協 力 を 得 て 所 蔵 文 書 の
コ ピーの 一 部 を 作成 し,ま た 日本 酒 造 技 術 に 関 す る文 書 ・器 具 ・習 俗 な どの 現 存 状 況 を 把 握 す る ため

に,全 国 的 規模 の ア ンケ ー ト調 査 を 実 施 した 。 明60年 度 は 公 開 講 演 会2回(4月 関 西,10月 東 京),


会 誌2,3号 の 刊 行が 予 定 され て い る。
本 会 は,東 大 名 誉 教授 坂 品謹 一 郎 ・京 大 名 誉 教 授 片 桐 英 郎 両 先 生 の直 接 的 ご指 導 に よ り,ま た 日本
酒 造 組 合 中 央 会,日 本 酒 セ ンタ ー,そ れ に賛 成 会 員 の 方 々の 並 々 な らぬ ご援 助 に よ っ て発 足 した もの
の,設 立 の 日 も浅 く,会 員数 も些 少 で,そ の 運 営 が 円滑 と い うまで に は 程 遠 い もの が あ る。 日本 の 酒
に関 心 を 寄 せ られ る方 々 の ご支 援 に よ り,日 本 の 酒 類 業 界 の 発 展 に 伴 い,本 会 の 隆 昌 に な る 日を 夢 み
て い るの は 独 り筆 者 だ け では あ る ま い。
(本 会 の連 絡 先)〒102東 京 都 千 代 田区 富 士 見2-3-8長 柄 ビル5F・(株)フ ェム テ ッ ク気 付 「日
本 酒 造 史 研究 会 」TEL.03(238)0598

第79巻 第12号 839

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