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TheMiningandMaterialsProcessingInstituteofJapan Abst. KATO.2007
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net/publication/286451057
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Scaling problem in geothermal system, and Remove, Recovery and Resource of silica by addition of reagents View project
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ジ オ リ ア ク タ ー に よ る CO 2 地 中 固 定 化 技 術 の 開 発
大規模排出源
地下水面
雄勝
パイプライン
輸送
自然注入 自然上昇
N2+
CO2 排ガス+水 不飽和CO2水
溶解トラップ
(二相流)
図-2 雄勝実験場
鉱物トラップ
雄勝実験場の地下貯留層は花崗閃緑岩のフラクチャー
∼100℃ タイプの貯留層であり,深度 700m と深度 1,000m に水圧
人工キャップロック
形成
(方解石等)
岩石+CO2 破砕により亀裂を形成することにより上下二段の貯留層
→方解石
を造成している。雄勝実験場では過去 20 年以上の循環試
∼200℃
熱 験の実績があり,貯留層の温度は深度 700m で 200℃,深
図-1 ジオリアクター概念図 度 1,000m で 230℃である。また,雄勝実験場には注入井
この概念のもとに,これまでに NEDO 先導研究 1)-3)と の OGC-1,生産井の OGC-2,OGC-3 がある。
して,秋田県雄勝試験場((財)電力中央研究所所有)で CO2 循環試験システムを図-3 に示す。CO2 溶解水循環
の原位置試験(戻り水方式)や,室内での岩石−水反応試 試験は 10 月 4 日より 16 日間実施した。まず,10 月 4 日
験,化学反応予測およびわが国における可能貯留量評価が より pH4.5 の河川水を NaOH で中和し,既存の注入井
実施された。その結果,地中高温地域へ CO2 を固定化す OGC-1 から高圧ポンプにより毎分約 300L で注入し,地
る手法が有効であることが示された 4) -11)。 下深部にある高温岩体のレザバー(亀裂層)中を流動させ
本研究は,CO2 の地中貯留技術の一つとして CO2 を含 た後,生産井 OGC-2 で水を回収した。OGC-2 からは,毎
む排ガスを地下の地熱岩体へ注入し,岩石と反応させ炭酸 分 40L の生産流量が得られた。生産流量が安定した 10 月
10 日より、CO2 溶解水とトレーサを同時に注入した。CO2 OGC-1 の注入流量は毎分 380L,OGC-2 の生産量は毎
溶解水は pH 調整した河川水にドライアイスを添加して 分 40L で坑口での最高到達温度は 127℃であった。注入
濃度 2,100ppm(450kgCO2/18m3)とし、トレーサである 量に対する生産量の割合は約 10%で過去に実施された雄
ウ ラ ニ ン と 混 合 し た 。 ウ ラ ニ ン 濃 度 は 8.3ppm 勝高温岩体試験時と同程度であった。ただし,注入井であ
(150g/18m3)である。同時にヨウ化カリウムもトレーサ る OGC-1 の坑口圧力は 14MPa で,この圧力に対する注
と し て 投 入 し , ヨ ウ 化 カ リ ウ ム は 濃 度 10,000ppm 入量は過去の試験時よりも 30%程度低い値であり,これ
(2kg/200L)をスポット的に注入した。なお,ウラニン は 2002 年以降坑井を使用していなかったため,貯留層内
トレーサはその後 2 回投入した
(10 月 14 日濃度 28ppm, の岩盤中の亀裂が地圧等により閉塞した可能性が考えら
10 月 15 日濃度 4,317ppm)。その後,OGC-2 の坑口で流 れる。
体のサンプリングを行い,岩石からの溶出成分などの連続
モニタリングを行うとともに,CO2濃度とトレーサ濃度の 3.2 ウラニン・ヨウ素トレーサ試験結果
比較測定を行った。 CO2 溶解水と共に投入したトレーサの濃度の経時変化
河川 を図-5 に示す。
P P
ウラニン濃度(ppb)
化学モニタリング
P P高圧ポンプ 連続(pH,EC,ORP) 400 200
I濃度(ppb)
定期(トレーサ,CO2)
高圧集合管
300 150
CO2注入ライン
約40L/分 200 2回目 3回目 100
ウラニン ウラニン
約300L/分 OGC-2
OGC-1 100
投入 投入
50
結晶成長試験 坑口圧力
坑口圧力
坑口温度 0 0
メイン 坑口温度
バルブ -24 0 24 48 72 96 120 144 168 192 216
トレーサー投入後経過時間(hour)
図-5 トレーサ試験結果
ヨウ素は注入後 34 時間で検出され、67 時間後に最大濃
図-3 CO2 溶解水循環試験システム 度に達した。ウラニンは濃度は低いものの、ヨウ素と同様
の結果となった。なお、ウラニンについては、その後の追
3.結果と考察 加のトレーサ試験により複雑な挙動を示している。
3.1 注入・生産流量および坑口温度・圧力 ヨウ素については、注入した濃度に対する最大検出濃度
OGC-1 への注入流量と OGC-2 の生産流量および坑口 の割合は、6/100,000 であり、ウラニンは、1/1,000 であ
温度を図-4 に示す。 った。この違いは、ヨウ素溶液はスポット的に 200L を1
500
分間で注入したのに対して、ウラニンは CO2 溶解水と同
400 OGC-1
注入流量(L/min)
300
様に 18t を 1 時間近くかけて注入したためと考えられる。
200 いずれにせよ、雄勝の貯留層の希釈率が高いことが分かっ
100
a た。
500
10/4 10/9 10/14 10/19
OGC-2
生産流量(L/min)
40
3.3 生産流体の化学成分
30
20 生産井の OGC-2 の坑口で回収した生産流体の化学成分
10
0
b pH は 6 付近で弱酸性を示した。
の経時変化を図-6 に示す。
15010/4 10/9 10/14 10/19 Na,K はほぼ一定の値を示した。Ca は 10ppm 程度で一
OGC-2
定であった。Cl については 20∼40ppm と低い値を示し時
温度(℃)
100
間と共に減少した。Mg,SO4 もほぼ一定の値を示した。
50
c 微量成分の Al,Mn,Fe についてはやや変化を示したが,
0
10/4 10/9 10/14 10/19 SiO2 はほぼ一定で 330ppm であった。
図-4 流量・坑口温度測定結果(a:OGC-1 注入流量,b:OGC-2
生産流量,c:OGC-2 坑口温度)
7.0 300
3.5 地化学温度計による検討
6.5 pH 200 ORP 生産井
注入井 生産流体の化学分析結果から、地化学解析結果について
mV(Pt)
100
pH
6.0
5.5 生産井
0 述べる。図-8 は化学分析結果を用いてシリカおよびアル
注入井 -100
5.0
300 -200
16
カリ地化学温度計から計算された貯留層の温度と実測さ
250 14
200 12
K れた坑口温度との比較を示す。
(mg/L)
10
(mg/L)
150 8
100
Na
生産井
注入井
6 300
a
4 生産井
50 2 注入井
0 0
12 2.5
10 2.0 生産井
計算値(℃)
8 注入井
200
(mg/L)
(mg/L)
1.5
6
1.0
4
2 Ca 生産井
注入井
0.5 Mg 孔井内試料
0 0.0
50 300
40 生産井 250 100
注入井
200
(mg/L)
30
(mg/L)
150 生産井
20
10 Cl 100
50
SO4 注入井
0.350 0
0.12
0
300
0.30 生産井
Mn
b
0.10
0.25 注入井
0.08
(mg/L)
(mg/L)
0.20
0.06
0.15
計算値(℃)
0.04
0.10
0.05
Al 生産井
注入井 0.02 200
0.00 0.00
3.0 400
生産井 350
2.0 注入井 300 孔井内試料
(mg/L)
250
(mg/L)
1.0
200
150
100
Fe 100
50
SiO2 生産井
注入井 06年予備試験
0.0 0
10/5 10/7 10/9 10/11 10/13 10/15 10/17 10/19 10/5 10/7 10/9 10/11 10/13 10/15 10/17 10/19 06年本試験
0
図-6 生産流体の化学成分
0 100 200 300
坑口温度、検層温度(℃)
3.4 CO2 濃度の変化
生産井の OGC-2 の坑口で回収した熱水中の CO2 濃度の 図-8 地化学温度計解析結果
経時変化を図-7 に示す。同図には合わせてトレーサのヨ (a:シリカ温度計,b:アルカリ温度計)
ウ素の経時変化も示した。 シリカ温度計(図-8a)では貯留層の温度が 220℃とな
800 600 り,下部貯留層の深度である深度 1,100m での実測値に近
CO2濃度
I 500 いことが分かった。このことは,熱水の大部分は下部貯留
600
400
層の亀裂中を移動し,生産井の OGC-2 を上昇中に冷却さ
CO2(mg/L)
れたと考えられる。
I (ppb)
400 300
一方,アルカリ温度計(図-8b)では計算された温度が
200 180℃付近となり,まだ岩石と熱水中のアルカリ成分が化
200
100 学平衡になっていないと推測された。
0 0
10/5 10/7 10/9 10/11 10/13 10/15 10/17 10/19 3.6 生産流体の主成分解析
図-7 生産流体中の CO2 濃度 生産流体の化学分析値を用いて実施した主成分解析結
CO2 については,ヨウ素やウラニン等のトレーサと同時 果を図-9 に示す。同図には雄勝高温岩体試験で実施され
に注入していることから,当初はヨウ素と同じような傾向 た過去の循環試験の結果もプロットした。
を示すと予想して,このトレーサ濃度と CO2 濃度のパタ この図の下表から主成分 1 としては,Na,K,HCO3
ーンの違いから,CO2 がどの程度地下貯留層で固定化され が,主成分 2 は Ca,SiO2,SO4 が支配していることがわ
るかを評価する予定であった。 かる。この主成分解析図では,図に示したように得られた
結果は,最初 600ppm 程度の CO2 濃度であったのが時 データを囲むことによりエンドメンバーを推測すること
間と共に 300ppm 程度まで減少した。このことは,熱水 ができる。雄勝では 3 つのエンドメンバーが想定される。
中の CO2 濃度の変動が大きいことを示しており,地下貯 1 つは河川水であり,あとの 2 つは水質が異なる熱水であ
留層での CO2 の希釈率が高かいことと合わせると,今回 る。図-9 にはプロットされたデータを囲む三角形の各頂点
の試験では CO2 投入濃度が低かったため,CO2 の固定化 のイオン濃度を示しているが,これはそれぞれ 3 つのエン
を評価することができなかったと考えられる。 ドメンバーの組成を示している。
イオン濃度(meq/L) イオン濃度(meq/L)
3) NEDO. 2005. 平成 16 年度地球環境産業技術に係る先
-20 -10 0 10 20 -20 -10 0 10 20
Na+K Cl Na+K Cl
導研究「地中高温環境利用 CO2 固定化技術に関する先
Ca HCO3 Ca HCO3
導研究」成果報告書.
Mg SO4 Mg SO4
3
93年循環試験 注入水
4) A.Ueda, K.Kato, T.Ohsumi, T.Yajima, H.Ito, H.
流体B
Kaieda, R.Metcalfe and H.Takase, 2005.
2 93年循環試験 生産水
94年循環試験 注入水
1
94年循環試験 生産水
95年循環試験 注入水
Experimental studies of CO2-rock interaction at
0
主成分2
-1
95年循環試験 生産水
06年予備試験 OGC-2 -700m
elevated temperatures in hydrothermal areas.,
-2
06年予備試験 OGC-2 -1010m
Geochemical Journal, vol.39, 417-425.
06年予備試験 OGC-1 -700m
流体A
-3
河川水
06年予備試験 河川水 5) A.Ueda, A.Goto, K.Kato, Y.Odashima, M.Mizukami,
06年本試験 生産水
T.Ohsumi, T.Yajima and M.Sorai, 2003.
-4
-6 -4 -2 0 2 4 6
イオン濃度(meq/L) 主成分1
-20 -10 0 10 20
Experimental studies of CO2/Water/Rock
Na+K Cl Na K Ca Mg SiO2 Cl SO4 HCO3
Ca HCO3
主成分1
主成分2
0.50
-0.03
0.47
0.20
-0.14
0.42
-0.43
-0.13
0.16
0.50
0.35
-0.25
0.04
0.63
0.41
-0.23
Interaction at hydrothermal conditions for CO2
Sequestration into geothermal fields., Proceedings
Mg SO4