Hitozuma 02

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 私は、昔から恵まれていたと思う。

 優しい両親に、裕福な経済状況。

 小さな頃から私立の女子校に通い、大学も出させて貰えた。

 結婚してからもそうだ。

  そして、父親から勧められ見合いで出会った裕紀さん。

 真面目で優しくて、いつも私のことを気遣ってくれる。

 人としても、夫としても、私にはもったいない位に出来た人だと思う。

     ……

  ……私のことを知っている友人に、前に言われたことがある。

 決められたレールの上でつまらなく無いのかと。

 確かに、私は昔から両親が示してくれた道を歩み続けていた。

 でも、それを嫌だと思ったことは一度も無い。

 私のことを思ってしてくれていることだし、それに文句を言えば罰が当たってしまうま
う。まう。

 緩やかで暖かな生活。

  それに、私は確かな幸せを感じていた。

…  …

  昼――掃除を終えて少し休んでいると、電話が鳴った。
三住 唯織 「あ、もしもし。お父さん?」

父父 「調子はどうだ」

三住 唯織 「はい、元気です。特に何も変わりはありません」

父父 「そうか。それはなによりだ。裕紀くんの方は?」

三住 唯織 「はい、裕紀さんにもすごく良くしてもらっています」

 お父さんは時々心配して、電話をかけて来てくれる。

  特に変わり映えのしない近況を話していると、ふとお父さんが小さく声をあげた。

父父 「そう言えば、裕紀くんは今日から出張だろう?」

三住 唯織 「え、なんで知っているんですか?」

父父 「なんでって……お前、裕紀くんはどこに勤めている?」

三住 唯織 「あ……そ、そうですね」

父父 「お前はどこか抜けている所があるしな。今日は裕紀くんもいない。気を付けろ
よ」

三住 唯織 「ぅ……は、はい……」

父父 「なんなら、今夜は実家に帰ってくるか?」

三住 唯織 「……いえ、やめておきます」

 少しだけ考えた後、そう答えた。

父父「ん? 何故だ。こっちの迷惑とか考えているのなら、そんな必要はないぞ」

三住 唯織 「夫が居ない間に家を護るのも、妻のお仕事だと思っていますから」
父父 「……ずいぶんと立派な妻になったな」

三住 唯織 「り、立派かどうかは分かりませんが……」

父父 「まあいい。何かあったら連絡しなさい」

三住 唯織 「はい。ありがとうございます、お父さん」

  それからもう少しだけ話をした後、電話を切るのだった。

三住 唯織「……ぁ」

 ふと、夕食を作っていて気付く。

 いつもの癖で二人前作ってしまっていたけど、今日は裕紀さんは出張でいないの
だっっだったただった……だった…だった……

  お父さんは私を立派な妻になったと褒めてくれた。

 立派かどうかは分からないが、裕紀さんのいい妻でいられるようにずっと心がけ。。
ていたつもりだ。

  それが少しは板についてきたのかもしれない。

 ……なんて、少しの言い訳を考えつつも、一人分の食事を冷蔵庫にしまう。

 これは私の明日の朝ごはんにでもしよう…

三住 唯織 「ん……」

  一人で夕食を食べていると、スマホが震える。

 箸を置いて確認すると、それは裕紀さんからのメッセージだった。

 『何か変わったことはあった?』
  短い文面からも分かる、裕紀さんの優しさ。

三住 唯織 「ふふっ……」

 それになんだか嬉しくなってしまい、気づけば小さく声を出してしまっていた。

三住 唯織 「…………ふぅ」

  区切りのいい章まで読み終わると、首をほぐすように軽く回す。

  目に留まった掛け時計は、すでに深夜といっていい時間を指していた。

  なんだか眠れなくて本を読んでいたら、かなり遅い時間になってしまったようだ。

  よくよく考えて見たら、結婚してから夜を一人で過ごすことは殆ど無かった。

  今日も変わり映えがしないなんて思ってしまったが、裕紀さんが居ないことは十分
変わり映えすることだった。

  ……私、もしかしたら結構寂しがり屋なのかもしれない。

 そんなことを考えながら、そろそろ寝ようとソファーから立ち上がる。

三住 唯織 「ひゃっ!?」

  そんな時、玄関の方から大きな音が聞こえてくる。

 慌ててそちらに向かうが、特には何もない。

  どうやら外から聞こえてきたらしい。

  チェーンロックを外し、ゆっくりとドアを開ける。

三住 唯織 「えっ!?」
  そこには、一人のスーツ姿の男性が倒れていた。

三住 唯織 「だ、大丈夫ですか!?」

 慌てて駆け寄るが、その人には見覚えがあった。

  たしか、この間会った裕紀さんの先輩だという桐山さん。

桐山 遼 「ん、お、おぉ……」

桐山 遼 「ああ、三住の奥さんか……うぷっ」

  なんだか顔は真っ赤で、お酒臭い。

  どうやらかなりの量のお酒を飲んでいるようだ。

三住 唯織 「あ、あの、大丈夫ですか? 救急車呼びますか?」

桐山 遼 「あ、ああ、悪い。大丈夫……ちょっと飲み過ぎただけで……っとと」

三住 唯織 「わっ!?」

  立ち上がろうとしてふらりと揺れた身体を慌てて支える。

桐山 遼 「っと、お、おう……わ、悪い」

三住 唯織 「あ、危ないですし……部屋まで送ります」

桐山 遼 「ぁ、あぁ……ありがとう。やっぱり、奥さんはいい女だな……うぷっ」

  ふらふらになった桐山さんの身体を支えながら、部屋を目指す。

桐山 遼 「あ、あー……鍵」

  震える指で鍵を取り出し、扉を開ける。
桐山 遼 「っと……迷惑を掛けた……うく」

三住 唯織 「い、いえ、迷惑なんて……桐山さんには夫もお世話になっていますか
ら」

桐山 遼 「…………」

三住 唯織 「き、桐山さん……?」

桐山 遼と 「いや、何でも……っとと」

桐山 遼 「あー……奥さん、悪い。迷惑ついでに部屋の中まで連れて行ってくれない
か」

三住 唯織 「え……」

 一瞬、知らない男の人の部屋に入ることに戸惑ってしまう。

三住 唯織 「は、はい、わかりました」

 しかしよく考えれば、相手はお父さんの会社の従業員で、夫がお世話になっている
先先る先輩輩る先輩。。る先輩。

 それに、目の前で助けて欲しいと言われて、断ることは私には出来なかった。

桐山 遼 「ああ、助かる……」

…  …

桐山 遼 「……んぐ、んぐはは. 生き返るわ」

三住 唯織 「もう大丈夫そうですか?」

桐山 遼 「あー……迷惑かけた」

三住 唯織「いえ、これぐらい全然です。では私は――」
桐山 遼 「君、名前なんていうの? 下の名前」

唯織 三住 「唯織です」

桐山 遼 「じゃあ唯織ちゃん、もう少し話付き合ってよ」

唯織 三住 「い、唯織ちゃん……?」

 男の人にそんな風に呼ばれたのは、初めてで戸惑ってしまう。

桐山 遼 「ほらほら、座って座って」

三住 唯織 「え、あ、あの……っ」

 ぐいぐいと手を引かれて、強引に座らされてしまう。

桐山 遼「どうせ、三住は今日はいないんだろ」

桐山 遼 「……あいつ、出張だもんな」

三住 唯織 「そう、ですね……」

三住 唯織 「えと……夫から聞きましたが、桐山さんは急遽行かないことになったの
ですよね」

桐山 遼 「……まあな」

桐山 遼 「それも三住のせいだけど。ってか、唯織ちゃんのせいでもあんな」

三住 唯織 「えっ……」

三住 唯織 「あ、あの……それはどうい 「あ、あの……それはどういう意味ですか
……?」

  予想外の言葉に、思わず聞き返してしまう。
 私と裕紀さんのせいとはどういう意味だろうか。

桐山 遼 「はっ……」

桐山 遼 「まあ、そんなのもうでうでもいいわな」

三住 唯織 「え、あ、あの……?」

  しかし、私のそんな疑問を桐山さんどこか乱暴に流してしまう。

桐山 遼 「はぁ、やっぱり唯織ちゃん美人だわな。しかもすげー優しいし」

三住 唯織 「い、いえ、そんなことは……」

桐山 遼 「いやいや、こんなの男だったほっておけねーだろ」

三住 唯織 「ひゃっ!?」

 桐山さんの指が、私の太ももにふれる。

桐山 遼 「それは俺もなんだけさ」

三住 唯織 「あ、あの……っ、ゆ、指触って……んぅ……」

桐山 遼い 「ひくっ……はぁ、ホントいいわぁ」

  当たり前のように足を撫でられてどうしたらいいのか分からなくる。

  最初に会った時もそうだったけど、スキンシップをよくとる方なのだろうか。

三住 唯織 「桐山さん、かなり酔っていらっしゃるようですし、ゆ、ゆっくり休んでくださ
い…」

  何となく居づらくなり、逃げるように立ち上がる。
桐山 遼ま 「まぁまぁ、いいじゃねーか」

三住 唯織 「ひゃんっ!?」

三住 唯織 「え、なっ……!?」

  後ろから抱きしめられ、思わず声を上げる。

桐山 遼 「あー、伊織ちゃんやわらけーな。おちつくわ」

三住 唯織 「き、桐山さん……!?」

  それだけではない。

  私の服を捲り上げ、肌に手を這わせてくる。

三住 唯織 「あ、あの……桐山さん、少し酔い過ぎだと思います。や、休んだほうが
……っっ??!?」

桐山 遼 「いいじゃん。もう少し付き合ってよ」

三住 唯織 「っ、んんぅ……だ、ダメです、手を離してください……っ!」

桐山 遼 「どうして?」

三住 唯織 「え……ど、どうしてって……」

 逆に尋ねられて、思わず狼狽えてしまう。

三住 唯織 「いえ、こ、こういうことは、夫婦とか恋人とするもので……」

桐山 遼 「ぷっ……」

桐山 遼 「あははっ、唯織ちゃん。面白いな、こんな状況で」

三住 唯織 「え、え……?」
桐山 遼 「どういう状況か分かってない?」

三住 唯織 「は、え……?」

桐山 遼 「まじ可愛いな唯織ちゃん」

三住 唯織 「ひうっ!? やっ、ん「ひうっ!? やっ、んんっ!?」

  耳元に息を吹きかけ、指を動かしてくる。

三住 唯織 「え、あっ……な、や、あっ……んっ、んんぅ……っ!」

三住 唯織 「やっ、あ……手、離してくださ……あっ、やぁ……!」

 裕紀さんのものではない男の人の指が、私の身体を撫でまわす。

  何とか離れようとするが、すごく力強くて、身体を捩ることしか出来なかった。

桐山 遼 「だったら、俺の彼女になってくれよ。そうすれば、こういうことしてもおかし
ろろないだろ」

三住 唯織 「え、な、何を言ってるんですか……あっ、わ、私は裕紀さんの妻ですか
ら……っ」

桐山 遼 「……そうだな」

桐山 遼 「色んな意味で、夫を支えてるんだろうな。君はさ」

三住 唯織 「っ……」

  細められた目に、背筋にゾクっとした悪寒が走り抜けた。

桐山 遼 「いいじゃんか。俺ならもっと幸せにしてやれるよ」

三住 唯織 「な、何を……んんんっ!?」
  桐山さんの指が私のスカートの中に入ってくる。

三住 唯織 「やっ、んんっ……だ、ダメっ、は、離してくださ……あっ、んんっ!」

桐山 遼 「ダメなん?」

三住 唯織 「はぁあっ、あっ……だ、だから、私は裕紀さんの妻で、あっ……
んっ、っっあっ、やぁっ……」

三住 唯織 「んっ……はぁつ、あ!」

 何とか抜け出そうとしても、力の差があり、まったく離れることが出来ない。

三住 唯織 「ひゃっ、あっ……やっ、そ、そこっ……ん、んぅ……っ!」

 それに素肌を触られ続け、恥ずかしさで上手く力が入りきらなかった。

桐山 遼 「いいじゃん、気持ちよくするからさ」

三住 唯織 「んっ、んぅ……そ、そういうことじゃ……あっ、んんっ……っ!」

  そんな私の身体を、桐山さんは無遠慮に……当たり前のように触ってくる。

三住 唯織 「はぁあっ、あっ……んっ、ふぁあっ、あっ……っや、あっ、んっ、んんぅ…
…っ」

三住 唯織 「はぁっ、あっ……やっ、あ……んっ、はぁっ、あっ……や、んぅ…!」

桐山 遼 「どう、気持ちよくなってこない? 俺、上手いでしょ」

三住 唯織 「んっ……はぁ、はぁ……あっ、やぁ、そんなこと……んっ、ふぁっ、あ、…
…っ」

桐山 遼 「まぁ、めちゃくちゃ濡れてるから分かるけどな」
三住 唯織 「え……!?」

桐山 遼 「唯織ちゃん、敏感なんだな」

 指を引き抜くと、わざとらしく見せつけてくる。

  桐山さんの指は、誤魔化せない程に塗れ、ぽたぽたと液が垂れ落ちていた。

三住 唯織 「え、な、 「え、な、なんで……?」

桐山 遼 「なんでって、そんなの唯織ちゃんが気持ちよくなってるからでしょ」

三住 唯織 「え、ぁ……わ、私……気持ちよくなってなんか……」

桐山 遼 「唯織ちゃん、初心っていうか……三住以外に経験ないでしょ」

三住 唯織 「っ!?」

三住 唯織 「だ、だって、そういうのは……好きな人同士で……っ」

桐山 遼 「だから俺、唯織ちゃんのこと好きだって」

三住 唯織 「はぁっ、あっ……やっ、あぁ……やっ、ほ、ほとんどあったことも、話した
こと…もないのに、そんなこと……っ」

  自分でも何を言っているのかわからない。

  言うべきことはそこではない気がしても、羞恥心と困惑で、上手く考えられなくっっ
なっててなってくくなってくるるなってくる。。なってくる。

桐山 遼 「いやいや、好きって気持ちはそういうもんじゃねーでしょ」

三住 唯織 「え……」

桐山 遼「人を好きなるのに、時間とか関係ないでしょ? 一目惚れとかいうのもある
ぐらだだいだししいだし」
三住 唯織 「……んっ、あっ、そ、それは……あっ、んぅ…」

桐山 遼 「好きってのは、身体が熱くなって……ぶっちゃけヤりたいって思うことだ
ろ」

三住 唯織 「な……はぁっ、あっ……んんぅ……っ」

三住 唯織 「っ……はあっ、あっ……あっっ、あぁ……っ!」

  思考か何故かぼやけてきた頭に、桐山さんの言葉が入ってくる。

 好きとは、そういう気持ちをいうのだろうか…

桐山 遼 「ぷ……唯織ちゃん、ホント面白いってか、可愛すぎ」

三住 唯織 「ひゃんっ!?」

 身体を床に押し倒される。

桐山 遼 「さて……っと」

三住 唯織「ぁ……」

 ズボンを下し、男性器が露出される。

 その瞬間、思考に掛かっていた靄が少しだけ消えていく。

三住 唯織 「あ、あの……だ、ダメっ、それは……本当に、ダメですから……っ!」

  好きがどうこうの話ではない。

 私は、裕紀さんの妻だ。

  だから、他の男の人とはしてはいけない。
桐山 遼 「ほら、入っちまうぞ」

三住 唯織 「やっ、あ……だ、ダメ、あっ……んんぅ!」

  桐山さんの胸に手をやり、なんとか押し返そうと力を込める。

  しかし、それは全く意味はなく、ゆっくりと私の大切な場所が押し広げられていっ
た。。た。

三住 唯織 「や、あ……あぁ……う、うそ……なんで……っ」

三住 唯織 「あっ……あ、あぁぁ……」

  怖いとか痛いとか、気持ち悪いとか……そんな感情は無かった。

  ただたいい  ただただ、裕紀さんに申し訳ないと。。  ただただ、裕紀さんに申し
訳ないという気持ちが、胸の奥から押し寄せてくる。

三住 唯織 「っ、んっ……な、なんで、こんなこと……っうう……っ」

桐山 遼 「あー……くそっ」

三住 唯織 「あっ、んんぅっ!?」

  どこか吐き捨てるように言うと、桐山さんは腰を動かし始めてくる。

三住 唯織 「やっ、あっ……ぬ、抜いて……抜いてください……っ、あ、んぅ…
…っ!」

桐山 遼 「あー、抜くよ。射精したらな」

三住 唯織 「やっ、あぁあっ、っ……んっ、そ、そんな!」

三住 唯織 「はぁっ、あっ……んっ、んんぅ……っ、あっ、やっ、んぅ……んっ、んぅ…
…っ!」
三住 唯織 「あっ、あぁっ……お、お願い、っ、お願いします……や、やめて、やめて
くださっ……あっ、ぁあっ……っ!」

桐山 遼 「悪いな、もう止まれねぇわ」

三住 唯織 「あっ、あぁっ、やっ、あ……っ、んっ、ふぁあっ、 「あっ、あぁっ、やっ、あ
……!」

桐山 遼 「まあ、せめて気持ちよくしてやるから」

三住 唯織 「やっ、あぁっ、い、いいですっ、そんなの、いいですから……んっ、ふぁ
あっっ、あぁっ!」

  私の言うことは全く意に介さず、桐山さんは自分勝手に身体を動かす。

三住 唯織 「はぁっ、あっ……やぁあっ、あっ、っ、んっんっ……はぁっ、はぁ、あっ…
…んぅ……っ!」

三住 唯織 「や、あぁっ、あっ……やっ、んんぅっ、あっ、っ……はぁ」

桐山 遼 「どうだ、気持ちよくなってきただろ?」

三住 唯織 「はあっ、あっ……な、なってない、です……そんなの、んっ、はあっ、あ、
あぁ」

桐山 遼 「そうなの? ここはすげー濡れてるけどっ」

三住 唯織 「ふあっ、あっ、あぁあっ!?」

  強く奥を打ち込まれた瞬間、頭で小さく火花が散った。

桐山 遼 「ほら、すごい音、聞こえるでしょ」

三住 唯織 「はぁっ、あっ……え、な、なんで……んっ、はぁっ、あ、あぁあっ…
…っ!」
  打ち付けられる度に、生々しい水音が部屋中に響き渡る。

  その音は、私の耳にも聞こえてしまっていた。

三住 唯織 「わ、私、んっ、ふぁっ、あっ…わ!」

桐山 遼 「ほら、お腹に集中してみて、気持ちいいでだろ?」

三住 唯織 「ふあっ、あっ……やぁあっ、あっ、あっ、あぁあっ……っ、んっ、んんぅ…
…っ!」

三住 唯織 「やぁ、あっ……こんなの……っ!」

  言われて、意識をしてしまう。

  無理矢 無理矢理されている筈なのに、痛くないと…

 むしろ、この感覚は―

三住 唯織 「っ!? ち、違うっ、んっ、ふぁっ、ち、違いますっ、あっ、あぁっ…
…っ!」

桐山 遼 「ははっ、や、まじで唯織ちゃん可愛いわ」

三住 唯織 「やぁっ、あっ、あぁっ、んっ…!」

三住 唯織 「やっ、あっ、んんっ……はぁつ!」

桐山 遼 「唯織ちゃん、かなり敏感だよな。こっちも感じさせがいがあるわ」

三住 唯織 「ふぁやぁっ、あっ、あぁっ!」

三住 唯織 「やっ、あぁっ、あっ……ふぁあっあっ……っ」

  身体が、何故か燃える様に熱くなる。
 頭にも、靄が掛かってしまったかのように、何も考えられなくなってくる。

三住 唯織 「あっ、あぁあっ、はぁ!」

三住 唯織 「やぁあっ、あっ……はぁっ、あっ、あぁ、んぅ!」

桐山 遼 「な、気持ちいいだろ?」

三住 唯織 「あっ、あぁっ、あっ……は……あっ、あぁぁ……っ!」

  分からない……これが気持ちいいということなのだろうか。

 こんなことは……こんな感覚は初めてで、もうよくわからない。

三住 唯織 「はんっ、ふぁっ、あ、あ、はぁ……っ!」

    ただ――

三住 唯織 「あっ、あぁっ、ゆ、ゆうき、あっ……ごめん、なさい……っ」

 押し寄せる罪悪感で、ここにはいない夫の名前を呼んでしまっていた。

桐山 遼  「っ!」

三住 唯織 「あっ、んんんっ!?」

桐山 遼 「くそが!」

三住 唯織 「ひゃっ、あぁっ!」

三住 唯織 「やあっ、あぁっ」

桐山 遼 「ぐっ……っ!」

三住 唯織 「あっ、あ、あぁあっ、あっ、あぁあっ、あぁぁっ!」
桐山 遼 「射精すぞっ……っ!」

三住 唯織 「ふあっ、あ、あぁぁぁ……っっ!!」

 強く打ち込まれた瞬間、頭の中が真っ白になり、火花が散ったような感覚が襲い掛
かか掛かるる掛かる。。掛かる。

三住 唯織 「やぁあっ、あっ、あっ、あちゅっ、んっ……あっ、!!やぁぁぁ……っ!」

桐山 遼 「んくぅっ!」

三住 唯織 「やっ、あ、あぁ……な、なに、これっ、んんっ?! っ、やぁっ!」

  お腹にびちゃびちゃと何かが降りか。。  お腹にびちゃびちゃと何かが降りかかっ
てきた。

  その熱さに思わず腰を捻り、逃げようとする。

三住 唯織 「はっ、あぁ……っ!」

 しかし、それすらも許されず、何度も何度も、私の身体に熱い物が降り注いできた。。
た。

三住 唯織 「あ……あ、あぁ……」

  やっとほんの少しだけ、冷静さが戻ってくる。

三住 唯織 「あ、な、なんで……こんな……っ、う、あ、ぁぁ……っ」

 お腹に掛かった精液が、今まで私が何をしていたのかを強く訴えかけてくる。

三住 唯織 「ごめ、なさい……ごめん、なさい……ゆうき」

三住 唯織 「ごめん……な、さ……ぁ……」

  何かの糸が切れたのか、視界が暗転する。
 そして、そのまま私の意識は闇に飲まれていった。

 ……
  …

三住 唯織 「……ん、んぅ……」

三住 唯織 「……あ、れ……」

桐山 遼 「起きたか」

三住 唯織   「っ!?」

 裸の私。

  そして桐山さんの顔を見た瞬間、頭の中に昨日のことがフラッシュバックする。

三住 唯織 「ぁ……あっ……ぁ、あぁ……」

桐山 遼 「あー……その」

桐山 遼 「悪かった」

三住 唯織   「え……」

桐山 遼 「酒を飲み過ぎてて、歯止めがきかなかった。申し訳ない」

三住 唯織 「えっ、え、えぇ……」

  大の大人の男の人に、深く頭を下げられて混乱してしまう。

桐山 遼 「……君の好きなようにしてくれ。俺はそれに従うから」

三住 唯織 「そ、そんなこと、言われても……」
 悲しさ、恐怖、裕紀さんへの申し訳なさ…

  それらを上塗りするように、困惑が頭を支配する。

三住 唯織 「……あ、あの……では、一つ聞いて、いいですか……?」

桐山 遼 「なんだろうか?」

三住 唯織 「昨日言っていた、出張に行かなかった理由……何故、なのですか…
…?」

 裕紀さんと私が関わっていると漏らしていた。

 それが、ずっと頭の中に引っ掛かっていた。

桐山 遼 「あ、あー……」

桐山 遼 「会社にな、俺は案件を降りるように命令されたんだよ」

桐山 遼 「……三住にやらせるために」

桐山 遼 「経験を積ませて、実績に箔をつけて上に行かせるために、とな」

桐山 遼 「会社のどこから指示が来たんか知らねーが……部長にそう圧力をかけら
れた」

三住 唯織 「そ、れは……」

桐山 遼 「……三住本人が言ったとも思えねーし、君が父親に頼んだとも思っていな
い」

桐山 遼 「ただまあ、三住のために、俺が降ろされたのは事実だ」

桐山 遼 「……結構、仕事頑張っていたんだがな。俺のこの数年はなんだったんだ
ろうな」
三住 唯織 「…………」

三住 唯織 「だから……こんなこと、したんですか……」

桐山 遼 「あー……それは違う」

桐山 遼 「それは、単純に唯織ちゃんがいい女で抱きたくなって歯止めがきかなかっ
ただけ」

三住 唯織 「な……え、えぇ……!?」

桐山 遼 「そこだけは、勘違いしないで欲しいかな。別に恨んでるから、ヤりたくなっ
たとじじかじゃゃかじゃななかじゃないいかじゃない」

桐山 遼 「まあ、ぶっちゃけすげー納得いってねーし、かなりイラついてから酒を飲
み過ぎ」」たんだけど……」

桐山 遼 「こんなことをしたのは単純に、唯織ちゃんがいい女だからだ」

三住 唯織 「……え、ぁ……い、いえ……そんなこと、言われても……あ、あの……」

桐山 遼 「ま、確かにな。俺にこんなこと言われても嬉しくねーだろうけど」

桐山 遼 「行為に言い訳はしない。全て君に任せるし従う」

桐山 遼 「会社に言っても、三住に言っても、警察に突き出して貰ってもいいから」

三住 唯織 「……帰り、ます……」

 何も手に付かない。

  テーブルの上に置いたスマホに、手を伸ばし―

三住 唯織 「……っ……」
 ぴたりと止まってしまう。

  常識では分かっている。

 されたことを、裕紀さんやお父さんに言うべきだと…

 でも、私は何故か、そこで止まってしまった。

三住 唯織  「………………」

  裕紀さんに対する申し訳なさ。

 桐山さんに対する怒りと恐怖。

  ……

  桐山さんが荒れていた原因…

  それが裕紀さんと私にあると言っていた。

  私はそんなことを頼んだ覚えはないし、裕紀さんもそうだろう。

  ただ、私たちのせいで頑張って仕事をしていた人の邪魔になってしまったのは確
かだだかだ。。かだ。

  ……それに、桐山さんはこんなことをしたことを謝ってくれた。

   もし――

  もし、私が黙っていれば、全てが丸く収まるのかもしれない―

 そんな考えがよぎってしまう。

三住 唯織 「……そ、れは……」
  良くない。

  それは分かっている。

 分かっているのに…

  私は何も出来ず、スマホを見つめたままだった。

  ……時間だけが、速足で過ぎていく。

三住 裕紀 「ただいま」

三住 唯織 「……っ」

三住 唯織 「お、お帰りなさい、裕紀さん」

三住 裕紀 「ああ、うん。ただいま」

三住 唯織 「ご、ご飯にします? それともお風呂を先にしますか?」

三住 裕紀 「ん……?」

三住 裕紀 「ああ、えっと、それじゃあ先にお風呂入らせてもらおうかな」

三住 唯織 「……はい、わかりました。その間に、ご飯用意しておきます……」

…  …

三住 裕紀 「いただきます」

三住 唯織 「……いただきます」

三住 裕紀 「はむ……」

三住 裕紀 「ねえ、唯織」
三住 唯織 「は、はい。なんでしょうか?」

三住 裕紀 「もしかして、体調が悪い?」

三住 唯織 「っ、い、いえ……そんなことは、無いです……」

三住 裕紀 「……そっか」

三住 唯織 「……はい……」

三住 裕紀 「…………」

 そう言いながらも、唯織の箸は殆ど進んでいなかった。

  風呂に入り、布団の中へと潜り込む。

  いつもなら、そろそろ唯織も寝室に来る時間。

  しかし、一向に来る気配がなかった。

  帰ってきた時から、唯織の様子がおかしいように感じた。

  いつも物静かな方な唯織だが、それにもまして元気が無いように見えた。

  ……いや、唯織が何でも言った以上、しつこく聞くのも良くないだろう。

 たまたま、俺にはそう見えただけかもしれない。

三住 裕紀 「……ふぅ……」

  むしろ、疲れているのは俺の方かもしれない。

 肉体的にもそうだが、流石に気疲れをしてしまった。

  とりあえず寝よう。
 出張の疲れもあってか、目を閉じるとすぐに睡魔が襲ってくるのだった。

   ……

三住 裕紀 「…………」

  いつものように目覚ましがなり、目が覚める。

 今日も唯織は先に起きているようだった。

三住 裕紀 「おはよう」

三住 唯織   「っ!?」

三住 唯織 「お、おはようございます、裕紀さん」

三住 裕紀 「……う、うん」

  ……唯織の様子は昨日とは変わっていなかった。

  むしろ今日の方が、どこか様子がおかしいように感じる。

三住 唯織 「裕紀さん、お弁当です」

三住 裕紀 「あ、うん。ありがとう」

三住 唯織 「い、いえ……」

三住 裕紀 「えっと、それじゃあ行ってきます」

三住 唯織 「は、はい、いってらっしゃい」

三住 裕紀 「はぁ……」

 会社に到着して自分の椅子に座った瞬間、ため息をついてしまう。
  唯織は昨日から少し様子が違うように感じていた。

しかし、本人が何でもないと言っていた以上、あまりしつこく聞くのも良くないだろろだ
ろううだろう。。だろう。

  ……だが、気になってしまう。心配してしまう。

三住 裕紀 「はぁぁぁ……」

  自分のコミュケーション能力の低さが嫌になる。

 唯織のことをあまり男慣れしていないと感じていたが、俺は俺であまり女性慣してい
ないのだろう。

 妻のことが心配で仕方がないのに、どう聞いていいのか分からなくなる。

 こういう時、桐山さんのような人だったら、上手く相手に聞けたり、気を遣えた―りす
るのだろうか―

桐山 遼 「よ、デカいため息だな」

三住 裕紀 「わっ!?」

三住 裕紀 「き、桐山さん、びっくりさせないでくださいよ」

桐山 遼 「はは、すまんすまん」

桐山 遼 「……それで、何かあったか?」

三住 裕紀 「あ、いえ、特には問題はありません。無事契約は結べました」

桐山 遼 「…………」

三住 裕紀 「……あ、あの……?」

桐山 遼 「あ、いや、すまん。おめでとう、よかったよかった」
三住 裕紀 「いえ、これも桐山さんのおかげです」

桐山 遼 「ははっ、なに言ってやがる。おまえが結んだ契約だろ」

三住 裕紀 「いえ、それも殆ど、桐山さんが下準備や交渉をしていたお陰ですから」

桐山 遼 「……ま、お前の手柄だ。誇っときな」

三住 裕紀 「は、はい。ありがとうございます」

桐山 遼 「……じゃ、俺はちょっと外行ってくるわ」

三住 裕紀 「あ、はい、わかりました」

 桐山さんは軽く手をあげて答えると、そのまま鞄を持ってオフィスを出ていった。

 あれが大人の余裕というやつなのだろうか。

…  いや、俺もそこまで桐山さんと年齢が変わらないが…

三住 裕紀 「……がんばろう」

 唯織のことは心配だが、まずは仕事だろう。

 一つ大きく息を吐くと、気持ちを入れ直すのだった。

三住 裕紀 「ただいま」

三住 唯織 「…………」

 いつもならすぐに返事を返してくれる伊織だったが、同じ体勢のままコップを見つめ
めつめててつめていいつめていたたつめていた。。つめていた。
三住 裕紀 「……唯織?」

三住 唯織 「っ!?」

三住 唯織 「あっ、あぁぁ……っ!?」

 話しかけた瞬間、唯織の身体がビクンと跳ね上がり、手に持っていた皿を落ままて
しまううてしまう。。てしまう。

三住 唯織 「ご、ごめんなさい、……っ」

三住 裕紀 「ちょ、待って!」

 素手で割れた皿を拾おうとした、唯織の手を慌てて掴む。

三住 裕紀 「……大丈夫だから、落ち着いて。素手で拾ったら、危ないよ」

三住 唯織   「ぁ……」

三住 裕紀 「箒とちりとり、取ってくるね。唯織は座ってて」

  掃除道具入れから、室内用の箒とちりとりを取ってくる。

  そして、それを片付ける。

  普段なら、私がやるからと言うであろう唯織は、怒られたと思ったのか身体を小。。
さくして、椅子に座っていた。

三住 唯織 「……ごめんなさい、裕紀さん」

三住 裕紀 「いやいや、そんな深刻に捉えないで。誰だってミスはあるんだから」

三住 裕紀 「いつも唯織に家事をして貰って、本当に感謝してるんだから。とにかく、
唯織に怪我がなくてよかった」

三住 唯織 「…………っ」
 俺がそう言っても、唯織はどこか辛そうに唇を結ぶ。

三住 裕紀 「やっぱり体調が悪いの? それだったら、もう休んだ方がいいよ。俺の
ほうは大丈夫夫丈夫だだ丈夫だかか丈夫だからら丈夫だから」

三住 唯織 「……大丈夫、です」

三住 裕紀 「…………」

三住 唯織 「あの、本当に体調が悪いわけじゃないです。その、少しぼーっとしてい
て、驚いまった拍子に落として

」」てしまった拍子に落としてしまっただけ、ですから」

三住 裕紀 「そっか。驚かせごめん」

三住 唯織 「い、いえっ、裕紀さんが謝るようなことは、何もありません」

三住 唯織 「……悪いのは、私ですから……」

三住 裕紀 「唯織、まだ寝ないの?」

三住 唯織 「……あ、えと……私は、もう少し起きています。裕紀さんは先に休んで
いてくだ」」さい」

三住 裕紀 「あの、唯織」

三住 唯織 「は、はい……」

三住 裕紀 「……もしかして、何か悩みとかある?」

三住 唯織  「っ!?」

三住 唯織 「……い、いえ……その……」
 何か言いかけて、結局唯織は口を閉ざしてしまった。

三住 裕紀 「……そっか。変なこと聞いてごめん」

三住 唯織 「い、いえ……私の方こそ、心配をかけてごめんなさい」

三住 裕紀 「ううん。それじゃあ悪いけど先に休ませて貰うね」

三住 唯織 「はい、おやすみなさい。裕紀さん」

 小さく頭を下げて、唯織は寝室から出ていった。

……

翌日――

三住 唯織 「行ってらっしゃい、裕紀さん」

三住 裕紀 「うん、行ってきます」

三住 裕紀 「……はぁ……」

 結局、今朝も唯織の様子は変わらなかった。

  どこか怯えているような、悩んでいるようなそんな様子。

 しかし、聞いても何でもないという。

桐山 遼 「今日も浮かない顔してんな」

三住 裕紀 「桐山さん……」

桐山 遼 「どうした、俺で良ければ話を聞くぞ」

三住 裕紀 「…………」
  仕事のことではないことを聞いていいのか少し迷ってしまう。

  しかし、聞く体制を取ってくれた桐山さんに促され、俺は口を開いていた。

三住 裕紀 「あの、仕事とは関係ないことなのですが……」

桐山 遼 「……ああ」

三住 裕紀 「妻が少し体調が悪そうなんですが、それについて大丈夫と言っていて
……」

三住 裕紀 「でも、やっぱり心配なんですけど、こういう時ってどうするのが正解なん
でしょかかうか」」うか」

桐山 遼 「んー……」

桐山 遼 「嫁さんは話そうとしないんだろ」

三住 裕紀 「はい」

桐山 遼 「だったら無理に聞かずに、待っているしかないんじゃないか」

桐山 遼 「本当にやばいことだったら言うだろ。夫ならそれを信じてさ」

三住 裕紀 「……はい」

桐山 遼 「ま、女の子の体調に関しては詮索しない方がいいぞ」

桐山 遼」」 「……男には分からないこともあるからな」

三住 裕紀 「っ、あ、そ、そうですね……っ」

  ニヤリと笑った桐山さんに、何を指しているのか察する。

  確かに桐山さんの言うとおり、暫くは様子を見るのが正解なのだろう。
三住 裕紀 「ありがとうございます、桐山さん」

桐山 遼 「おう、こちらこそな」

  そう言いながら笑うと、桐山さんはオフィスから出て行った。

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