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JP 2022-529644 A 2022.6.

23

(57)【 要 約 】
 本開示は、絹毛髪ケア組成物、並びにその使用及び製造方法を記載する。
【選択図】なし
(2) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【特許請求の範囲】
【請求項1】
 毛髪ケア組成物であって、
 約1kDa∼約5kDa、約5kDa∼約10kDa、約6kDa∼約17kDa、約
10kDa∼約15kDa、約15kDa∼約20kDa、約17kDa∼約39kDa
、約20kDa∼約25kDa、約25kDa∼約30kDa、約30kDa∼約35k
Da、約35kDa∼約40kDa、約39kDa∼約80kDa、約40kDa∼約4
5kDa、約45kDa∼約50kDa、約60kDa∼約100kDa、及び約80k
Da∼約144kDaから選択される平均重量平均分子量と、1∼約5の多分散性とを有
する絹フィブロイン断片と、 10
 0∼500ppmの臭化リチウムと、
 0∼500ppmの炭酸ナトリウムと、
 皮膚科学的に許容される担体と、
を含むことを特徴とする毛髪ケア組成物。
【請求項2】
 前記絹フィブロイン断片が、1∼約1.5の多分散性を有する、請求項1に記載の毛髪
ケア組成物。
【請求項3】
 前記絹フィブロイン断片が、約1.5∼約2.0の多分散性を有する、請求項1に記載
の毛髪ケア組成物。 20
【請求項4】
 前記絹フィブロイン断片が、約1.5∼約3.0の多分散性を有する、請求項1に記載
の毛髪ケア組成物。
【請求項5】
 前記絹フィブロイン断片が、約2.0∼約2.5の多分散性を有する、請求項1に記載
の毛髪ケア組成物。
【請求項6】
 前記絹フィブロイン断片が、約2.5∼約3.0の多分散性を有する、請求項1に記載
の毛髪ケア組成物。
【請求項7】 30
 前記絹フィブロイン断片が、前記毛髪ケア組成物中に、前記毛髪ケア組成物の総重量に
対して約0.01重量%∼約10.0重量%で存在する、請求項1に記載の毛髪ケア組成
物。
【請求項8】
 前記絹フィブロイン断片が、前記毛髪ケア組成物中に、前記毛髪ケア組成物の総重量に
対して約0.01重量%∼約1.0重量%で存在する、請求項1に記載の毛髪ケア組成物

【請求項9】
 前記絹フィブロイン断片が、前記毛髪ケア組成物中に、前記毛髪ケア組成物の総重量に
対して約1.0重量%∼約2.0重量%で存在する、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。 40
【請求項10】
 前記絹フィブロイン断片が、前記毛髪ケア組成物中に、前記毛髪ケア組成物の総重量に
対して約2.0重量%∼約3.0重量%で存在する、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項11】
 前記絹フィブロイン断片が、前記毛髪ケア組成物中に、前記毛髪ケア組成物の総重量に
対して約3.0重量%∼約4.0重量%で存在する、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項12】
 前記絹フィブロイン断片が、前記毛髪ケア組成物中に、前記毛髪ケア組成物の総重量に
対して約4.0重量%∼約5.0重量%で存在する、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項13】 50
(3) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 前記絹フィブロイン断片が、前記毛髪ケア組成物中に、前記毛髪ケア組成物の総重量に
対して約5.0重量%∼約6.0重量%で存在する、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項14】
 前記毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.01%(w/w)∼約10%(w/w)の
セリシンを更に含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項15】
 前記絹フィブロイン断片に対して約0.01%(w/w)∼約10%(w/w)のセリ
シンを更に含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項16】
 前記絹フィブロイン断片が、前記毛髪ケア組成物に製する前の少なくとも10日間の期 10
間、自然発生的に又は徐々にゲル化せず、水溶液中において、色又は濁度が視覚的に変化
しない、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項17】
 前記皮膚科学的に許容される担体が、油相を含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項18】
 前記皮膚科学的に許容される担体が、水相を含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項19】
 更に、乳化剤を含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項20】
 前記皮膚科学的に許容される担体が、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョン 20
を含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項21】
 炭化水素油、脂肪酸、脂肪酸油、脂肪酸エステル、カチオン性四級アンモニウム塩、又
はそれらの任意の組合せを更に含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項22】
 洗浄剤(detersive)、界面活性剤(detergent)、又はそれらの組
合せを更に含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項23】
 ヘアスタイリングポリマーを更に含む、請求項1に記載の毛髪ケア組成物。
【請求項24】 30
 前記毛髪ケア組成物が、透明、半透明、又は不透明である、請求項1から23のいずれ
かに記載の毛髪ケア組成物。
【請求項25】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアプレ
シャンプー製品。
【請求項26】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアシャ
ンプー製品。
【請求項27】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアリン 40
ス製品。
【請求項28】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアコン
ディショナー製品。
【請求項29】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアトリ
ートメント製品。
【請求項30】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアセッ
ティングローション製品。 50
(4) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【請求項31】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするブロース
タイリングローション製品。
【請求項32】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアスプ
レー製品。
【請求項33】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアスタ
イリングフォーム製品。
【請求項34】 10
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアスタ
イリングジェル製品。
【請求項35】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアオイ
ル製品。
【請求項36】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアリキ
ッド製品。
【請求項37】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアトニ 20
ック製品。
【請求項38】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアクリ
ーム製品。
【請求項39】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアコス
メティック製品。
【請求項40】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするパーマネ
ントウェービング剤製品。 30
【請求項41】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアムー
ス製品。
【請求項42】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアジェ
ル製品。
【請求項43】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアトニ
ック製品。
【請求項44】 40
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアフォ
ーム製品。
【請求項45】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアペー
スト製品。
【請求項46】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とするヘアロー
ション製品。
【請求項47】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物と、本明細書に記載の皮膚科学的 50
(5) JP 2022-529644 A 2022.6.23

に許容される担体とを含むことを特徴とするヘアワックス製品。
【請求項48】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物と、
 (a)硫酸塩ベースの界面活性剤、(b)シリコンベースの界面活性剤、及び(c)合
成界面活性剤のうちの1以上を含む界面活性剤系を、前記毛髪ケア組成物の総重量に対し
て20.0重量%未満とを含むことを特徴とする発泡可能な毛髪ケア組成物。
【請求項49】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含み、毛髪のキューティクルを
コーティングし、毛髪の縮れを管理することができることを特徴とする染毛組成物。
【請求項50】 10
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とする、毛髪の
光沢を高めることができる毛髪ケア組成物。
【請求項51】
 請求項1から24のいずれかに記載の毛髪ケア組成物を含むことを特徴とする、毛髪の
色を高めることができる毛髪ケア組成物。
【請求項52】
 式(1)∼(8)から選択される化合物を含むことを特徴とする官能化絹フィブロイン
ベースの断片。
(6) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【化1】

(式中、Low−MW絹は、約5kDa∼約25kDaの重量平均分子量と、1.0∼約
5.0の多分散性とを有し、
 Mid−MW絹は、約25kDa∼約60kDaの重量平均分子量と、1.0∼約5. 40
0の多分散性とを有する。)
【請求項53】
 前記Low−MW絹が、約5kDa∼約25kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有する、請求項52に記載の官能化絹。
【請求項54】
 前記Low−MW絹が、約5kDa∼約17kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有する、請求項52に記載の官能化絹。
【請求項55】
 前記Mid−MW絹が、約25kDa∼約60kDaの重量平均分子量と、約1.5∼
約3.0の多分散性とを有する、請求項52に記載の官能化絹。 50
(7) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【請求項56】
 前記Mid−MW絹が、約39kDa∼約54kDaの重量平均分子量と、約1.5∼
約3.0の多分散性とを有する、請求項52に記載の官能化絹。
【請求項57】
 式(1):
【化2】

の化合物を含むことを特徴とする、請求項52に記載の官能化絹。
【請求項58】
 前記Low−MW絹が、約5kDa∼約25kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有する、請求項57に記載の官能化絹。
【請求項59】
 前記Low−MW絹が、約5kDa∼約17kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有する、請求項57に記載の官能化絹。
【請求項60】
 式(2):
【化3】

の化合物を含むことを特徴とする、請求項52に記載の官能化絹。
【請求項61】
 前記Mid−MW絹が、約25kDa∼約60kDaの重量平均分子量と、約1.5∼
約3.0の多分散性とを有する、請求項60に記載の官能化絹。 30
【請求項62】
 前記Mid−MW絹が、約39kDa∼約54kDaの重量平均分子量と、約1.5∼
約3.0の多分散性とを有する、請求項60に記載の官能化絹。
【請求項63】
 式(3):
【化4】

の化合物を含むことを特徴とする、請求項52に記載の官能化絹。
【請求項64】
 前記Low−MW絹が、約5kDa∼約25kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有する、請求項63に記載の官能化絹。
【請求項65】
 前記Low−MW絹が、約5kDa∼約17kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有する、請求項63に記載の官能化絹。
【請求項66】
 式(4):
(8) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【化5】

の化合物を含むことを特徴とする、請求項52に記載の官能化絹。
【請求項67】
 前記Low−MW絹が、約5kDa∼約25kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有する、請求項66に記載の官能化絹。 10
【請求項68】
 前記Low−MW絹が、約5kDa∼約17kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有する、請求項66に記載の官能化絹。
【請求項69】
 式(5):
【化6】

の化合物を含むことを特徴とする、請求項52に記載の官能化絹。
【請求項70】
 前記Low−MW絹が、約5kDa∼約25kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有する、請求項69に記載の官能化絹。
【請求項71】
 前記Low−MW絹が、約5kDa∼約17kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有する、請求項69に記載の官能化絹。
【請求項72】
 式(6):
【化7】

の化合物を含むことを特徴とする、請求項52に記載の官能化絹。
【請求項73】
 前記Mid−MW絹が、約25kDa∼約60kDaの重量平均分子量と、約1.5∼
約3.0の多分散性とを有する、請求項72に記載の官能化絹。 40
【請求項74】
 前記Mid−MW絹が、約39kDa∼約54kDaの重量平均分子量と、約1.5∼
約3.0の多分散性とを有する、請求項72に記載の官能化絹。
【請求項75】
 式(7):
(9) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【化8】

の化合物を含むことを特徴とする、請求項52に記載の官能化絹。
【請求項76】
 前記Mid−MW絹が、約25kDa∼約60kDaの重量平均分子量と、約1.5∼
約3.0の多分散性とを有する、請求項75に記載の官能化絹。 10
【請求項77】
 前記Mid−MW絹は、約39kDa∼約54kDaの重量平均分子量と、約1.5∼
約3.0の多分散性とを有する、請求項75に記載の官能化絹。
【請求項78】
 式(8):
【化9】

の化合物を含むことを特徴とする、請求項52に記載の官能化絹。
【請求項79】
 前記Mid−MW絹が、約25kDa∼約60kDaの重量平均分子量と、約1.5∼
約3.0の多分散性とを有する、請求項78に記載の官能化絹。
【請求項80】
 前記Mid−MW絹が、約39kDa∼約54kDaの重量平均分子量と、約1.5∼
約3.0の多分散性とを有する、請求項78に記載の官能化絹。
【請求項81】
 請求項52から80のいずれかに記載の官能化絹を含むことを特徴とする毛髪ケア組成 30
物。
【請求項82】
 前記毛髪ケア組成物が、プレシャンプー製品、シャンプー製品、ヘアリンス、ヘアコン
ディショナー、ヘアトリートメント、セッティングローション、ブロースタイリングロー
ション、ヘアスプレー、ヘアスタイリングフォーム、ヘアスタイリングジェル、ヘアオイ
ル、ヘアリキッド、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアコスメティック、又はパーマネン
トウェーブ剤から選択されるヘアケア製品として処方される、請求項81に記載の毛髪ケ
ア組成物。

【発明の詳細な説明】 40
【技術分野】
【0001】
 本開示は、SPF、例えば、限定されるものではないが、絹フィブロインタンパク質断
片を含有する新たな毛髪ケア組成物の分野に関する。絹毛髪ケア組成物は、ヘアコンディ
ショニング、栄養補給、使用感の改善、洗浄、ヘアスタイリング、毛髪修復、毛髪強化、
熱からの保護、染色した毛髪の脱色防止、色の送達の向上、UV保護などを提供すること
ができる。
【背景技術】
【0002】
 絹(シルク、silk、Silk)は、様々な昆虫及びクモから生み出される天然高分 50
(10) JP 2022-529644 A 2022.6.23

子である。絹は、フィラメントコアタンパク質、絹フィブロイン、及び非フィラメント状
タンパク質、セリシンからなる膠状コーティングを含む。
【0003】
 ダメージを受けていないバージンヘアは滑らかで光沢がある。毛髪の表面のキューティ
クルがスムーズに横になり、櫛で梳かすことが容易になる。また、毛髪表面は、本来、疎
水性であり、洗浄時の過度の吸水を防止する。毛髪が、漂白、太陽光、又はその他のUV
照射露光源、パーマ、カラーリング、又は過酷な界面活性剤による洗浄によって機械的又
は化学的にダメージを受けると、毛髪表面が荒れて縮れるので、もつれを解き、櫛で梳か
すことが困難になる。毛髪表面がより親水性になると、結果として、毛髪繊維が洗浄中に
膨潤し、毛髪を梳かすことがますます困難になる。 10
【0004】
 ヘアケア製品に好適な安定した絹フィブロインペプチド溶液の必要性が存在する。更に
、絹フィブロインペプチドの自己組織化及びコーティング特性の有益な効果を高める新た
なヘアケア製品の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
 本開示は、約1kDa∼約5kDa、約5kDa∼約10kDa、約6kDa∼約17
kDa、約10kDa∼約15kDa、約15kDa∼約20kDa、約17kDa∼約
39kDa、約20kDa∼約25kDa、約25kDa∼約30kDa、約30kDa
∼約35kDa、約35kDa∼約40kDa、約39kDa∼約80kDa、約40k 20
Da∼約45kDa、約45kDa∼約50kDa、約60kDa∼約100kDa、及
び約80kDa∼約144kDaから選択される平均重量平均分子量と、1∼約5の多分
散性とを有する絹フィブロイン断片と;0∼500ppmの臭化リチウムと;0∼500
ppmの炭酸ナトリウムと;皮膚科学的許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を提供す
る。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、1∼約1.5の多分散性を有する
。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、約1.5∼約2.0の多分散性を有
する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、約1.5∼約3.0の多分散性
を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、約2.0∼約2.5の多分
散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、約2.5∼約3.0の
多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、毛髪ケア組成物中 30
に、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.01重量%∼約10.0重量%で存在する。
いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、毛髪ケア組成物中に、毛髪ケア組成物
の総重量に対して約0.01重量%∼約1.0重量%で存在する。いくつかの実施形態で
は、絹フィブロイン断片は、毛髪ケア組成物中に、毛髪ケア組成物の総重量に対して約1
.0重量%∼約2.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片
は、毛髪ケア組成物中に、毛髪ケア組成物の総重量に対して約2.0重量%∼約3.0重
量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、毛髪ケア組成物中に
、毛髪ケア組成物の総重量に対して約3.0重量%∼約4.0重量%で存在する。いくつ
かの実施形態では、絹フィブロイン断片は、毛髪ケア組成物中に、毛髪ケア組成物の総重
量に対して約4.0重量%∼約5.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フ 40
ィブロイン断片は、毛髪ケア組成物中に、毛髪ケア組成物の総重量に対して約5.0重量
%∼約6.0重量%で存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、親水
性ドメインを含む。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、疎水性ドメインを
含む。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、親水性ドメインと疎水性ドメイ
ンの両方を含む。
【0006】
 本開示はまた、本明細書に記載の絹フィブロイン断片を含み、更に、毛髪ケア組成物の
総重量に対して約0.01%(w/w)∼約10%(w/w)のセリシンを含む毛髪ケア
組成物を提供する。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、更に、絹フィブロイン
断片に対して約0.01%(w/w)∼約10%(w/w)のセリシンを含む。 50
(11) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0007】
 本開示はまた、本明細書に記載される絹フィブロイン断片を含み、前記絹フィブロイン
断片が、毛髪ケア組成物に製する前の少なくとも10日間の期間、自然発生的に又は徐々
にゲル化せず、水溶液中において、色又は濁度が視覚的に変化しない毛髪ケア組成物を提
供する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、毛髪ケア組成物に製する前の
少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくと
も5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間
、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも2週間、
少なくとも3週間、少なくとも4週間、又は少なくとも1ヶ月間の期間、自然発生的に又
は徐々にゲル化せず、水溶液中において、色又は濁度が視覚的に変化しない。 10
【0008】
 本開示はまた、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、皮膚科学的に許容される担体
とを含む毛髪ケア組成物を提供する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される
担体は、油相を含む。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、水相を
含む。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、懸濁された固体を含む
。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、乳化剤を更に含む。いくつかの実施形態
では、皮膚科学的に許容される担体は、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョン
を含む。
【0009】
 本開示はまた、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に記載の皮膚科学的 20
に許容される担体とを含み、更に炭化水素油、脂肪酸、脂肪酸、脂肪酸エステル、カチオ
ン性四級アンモニウム塩、又はそれらの任意の組合せを含む毛髪ケア組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、洗浄剤(detersive)、界面活性
剤(detergent)、又はそれらの組合せを更に含む。いくつかの実施形態では、
毛髪ケア組成物は、ヘアスタイリングポリマーを更に含む。いくつかの実施形態では、毛
髪ケア組成物は、着色剤、顔料、染料分子、色保護剤、UVフィルタ、頭皮保護剤、及び
それらの組合せを更に含む。
【0010】
 本開示はまた、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に記載の皮膚科学的
に許容される担体とを含み、透明、半透明、又は不透明である毛髪ケア組成物を提供する 30

【0011】
 本開示はまた、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に記載の皮膚科学的
に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘアプレシャンプー製品を提供する。い
くつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に
記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘアシャンプー製品を
提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と
、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘアリン
ス製品を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイ
ン断片と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含む 40
ヘアコンディショナー製品を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に
記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛
髪ケア組成物を含むヘアトリートメント製品を提供する。いくつかの実施形態では、本開
示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容され
る担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘアセットローション製品を提供する。いくつかの
実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に記載の皮
膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むブロースタイリングローション
製品を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン
断片と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘ
アスプレー製品を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フ 50
(12) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ィブロイン断片と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成
物を含むヘアスタイリングフォーム製品を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は
、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担
体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘアスタイリングジェル製品を提供する。いくつかの実
施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に記載の皮膚
科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘアオイル製品を提供する。いく
つかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に記
載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘアリキッド製品を提供
する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本
明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘアトニック 10
製品を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン
断片と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘ
アクリーム製品を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フ
ィブロイン断片と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成
物を含むヘアコスメティック製品を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明
細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを
含む毛髪ケア組成物を含むパーマネントウェービング剤製品を提供する。いくつかの実施
形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に記載の皮膚科
学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘアムース製品を提供する。いくつ
かの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に記載 20
の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘアジェル製品を提供する
。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細
書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘアトニック製品
を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片
と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘアフ
ォーム製品を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブ
ロイン断片と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を
含むヘアペースト製品を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載
の絹フィブロイン断片と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケ
ア組成物を含むヘアローション製品を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本 30
明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体と
を含む毛髪ケア組成物を含むヘアワックス製品を提供する。
【0012】
 SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片溶液及びそ
れから製造されたヘアケア製品が、本明細書に開示される。実施形態では、本開示は、毛
髪ケア組成物を提供し、(i)前記毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.0001重量
%∼約10.0重量%で、実質的にセリシンを欠く絹フィブロインベースのタンパク質断
片と、(ii)少なくとも1つのヘアケア活性剤と、(iii)皮膚科学的に許容される
担体とを含み、前記絹フィブロインベースのタンパク質断片が、約5kDa∼約80kD
aの重量平均分子量を有し、前記絹フィブロインベースのタンパク質断片が、約1.5∼ 40
約3.0の多分散性を有する毛髪ケア組成物を提供する。
【0013】
 実施形態では、本開示は、毛髪ケア組成物を提供し、(i)前記毛髪ケア組成物の総重
量に対して約0.0001重量%∼約10.0重量%で、実質的にセリシンを欠く絹フィ
ブロインベースのタンパク質断片と、(ii)少なくとも1つのヘアケア活性剤と、(i
ii)皮膚科学的に許容される担体とを含み、前記絹フィブロインベースのタンパク質断
片が、約1kDa∼約5kDa、約5kDa∼約10kDa、約6kDa∼約17kDa
、約10kDa∼約15kDa、約15kDa∼約20kDa、約17kDa∼約39k
Da、約20kDa∼約25kDa、約25kDa∼約30kDa、約30kDa∼約3
5kDa、約35kDa∼約40kDa、約39kDa∼約80kDa、約40kDa∼ 50
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約45kDa、約45kDa∼約50kDa、約60kDa∼約100kDa、及び約8
0kDa∼約144kDaの重量平均分子量を有し、前記絹フィブロインベースのタンパ
ク質断片が、1∼約5.0の多分散性を有する毛髪ケア組成物を提供する。
【0014】
 実施形態では、本開示は、調節可能な(tunable)毛髪ケア組成物を提供し、(
i)前記毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.0001重量%∼約10.0重量%で、
実質的にセリシンを欠く絹フィブロインベースのタンパク質断片と、(ii)少なくとも
1つのヘアケア活性剤と、(iii)皮膚科学的に許容される担体とを含み、前記絹フィ
ブロインベースのタンパク質断片が、約1kDa∼約5kDa、約5kDa∼約10kD
a、約6kDa∼約17kDa、約10kDa∼約15kDa、約15kDa∼約20k 10
Da、約17kDa∼約39kDa、約20kDa∼約25kDa、約25kDa∼約3
0kDa、約30kDa∼約35kDa、約35kDa∼約40kDa、約39kDa∼
約80kDa、約40kDa∼約45kDa、約45kDa∼約50kDa、約60kD
a∼約100kDa、及び約80kDa∼約144kDaの重量平均分子量を有し、前記
絹フィブロインベースのタンパク質断片が、1∼約5.0の多分散性を有する調節可能な
毛髪ケア組成物を提供する。
【0015】
 実施形態では、本開示は、熱応答性の毛髪ケア組成物を提供し、(i)前記毛髪ケア組
成物の総重量に対して約0.0001重量%∼約10.0重量%で、実質的にセリシンを
欠く絹フィブロインベースのタンパク質断片と、(ii)少なくとも1つのヘアケア活性 20
剤と、(iii)皮膚科学的に許容される担体とを含み、前記絹フィブロインベースのタ
ンパク質断片が、約1kDa∼約5kDa、約5kDa∼約10kDa、約6kDa∼約
17kDa、約10kDa∼約15kDa、約15kDa∼約20kDa、約17kDa
∼約39kDa、約20kDa∼約25kDa、約25kDa∼約30kDa、約30k
Da∼約35kDa、約35kDa∼約40kDa、約39kDa∼約80kDa、約4
0kDa∼約45kDa、約45kDa∼約50kDa、約60kDa∼約100kDa
、及び約80kDa∼約144kDaの重量平均分子量を有し、前記絹フィブロインベー
スのタンパク質断片が、1∼約5.0の多分散性を有する熱応答性の毛髪ケア組成物を提
供する。
【0016】 30
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、前記毛髪ケア組成物の総重量に対して約
0.01重量%∼約6.0重量%で、絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。い
くつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、前記毛髪ケア組成物の総重量に対して約3.
0重量%∼約6.0重量%で、絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。いくつか
の実施形態では、毛髪ケア組成物は、前記毛髪ケア組成物の総重量に対して約1.0重量
%∼約3.0重量%で、絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。いくつかの実施
形態では、毛髪ケア組成物は、前記毛髪ケア組成物の総重量に対して約5.0重量%で、
絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。
【0017】
 いくつかの実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約5kDa∼約 40
18kDaの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロインベース
のタンパク質断片は、約17kDa∼約39kDaの重量平均分子量を有する。いくつか
の実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約39kDa∼約80kD
aの重量平均分子量を有する(ヘアスタイリング製品)。
【0018】
 いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、水中油型エマルジョン又は
油中水型エマルジョンを含む。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は
、油相及び水相を含む。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、乳化
系を含む。
【0019】 50
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 いくつかの実施形態では、ヘアケア活性剤は、炭化水素油、脂肪酸エステル、カチオン
性四級アンモニウム塩、及びそれらの組合せから選択されるヘアコンディショニング剤か
らなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ヘアケア活性剤は、洗浄性界面活性
剤(detersive detergent)である。いくつかの実施形態では、ヘア
ケア活性剤は、ヘアスタイリングポリマーを含む。
【0020】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、水溶液、エタノール溶液、オイル、ジェ
ル、エマルジョン、懸濁液、ムース、液晶、固体、ジェル類、ローション、クリーム、エ
アロゾルスプレー、ペースト、フォーム、及びトニックからなる群から選択される形態で
ある。 10
【0021】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、プレシャンプー製品、シャンプー製品、
ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、セッティングローション、ブ
ロースタイリングローション、ヘアスプレー、ヘアスタイリングフォーム、ヘアスタイリ
ングジェル、ヘアオイル、ヘアリキッド、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアコスメティ
ック、パーマネントウェービング剤からなる群から選択されるヘアケア製品である。
【0022】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、透明又は半透明である。
【0023】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、リンスオフ用、用途、又は製品用である 20
。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、リーブオン用、用途、又は製品用である

【0024】
 いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片と、本明細
書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含むヘアワックス製品
を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、発泡可能な毛髪ケア組成物を提供し、
SPF、例えば、限定するものではないが、本明細書に開示される絹フィブロインタンパ
ク質断片と、(a)硫酸塩ベースの界面活性剤、(b)シリコンベースの界面活性剤、(
c)合成界面活性剤を含む界面活性剤系を前記毛髪ケア組成物の20.0重量%未満含む
発泡可能な毛髪ケア組成物を提供する。 30
【0025】
 いくつかの実施形態では、本開示は、絹断片を含む、毛髪のキューティクルをコーティ
ングし、毛髪の縮れを管理することができる毛髪ケア組成物を提供する。
【0026】
 いくつかの実施形態では、本開示は、SPF、例えば、限定するものではないが、本明
細書に開示される絹フィブロインタンパク質断片を含む、毛髪の光沢を高めることができ
る毛髪ケア組成物を提供する。
【0027】
 いくつかの実施形態では、本開示は、SPF、例えば、限定するものではないが、本明
細書に開示される絹フィブロインタンパク質断片を含む、ヘアカラーを向上させることが 40
できる毛髪ケア組成物を提供する。
【0028】
 いくつかの実施形態では、本開示は、式(1)∼(8)から選択される化合物からなる
官能化絹フィブロインベースの断片を提供する。
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【化1】

 式中、Low−MW絹は、約5kDa∼約30kDaの重量平均分子量と、1.0∼約
5.0の多分散性とを有し、
 Mid−MW絹は、約25kDa∼約60kDaの重量平均分子量と、1.0∼約5. 40
0の多分散性とを有する。
【0029】
 いくつかの実施形態では、官能化絹は、式(1):
【化2】

の化合物を含む。いくつかの実施形態では、Low−MW絹は、約5kDa∼約30kD 50
(16) JP 2022-529644 A 2022.6.23

aの重量平均分子量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形態
では、Low−MW絹は、約5kDa∼約17kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有する。
【0030】
 いくつかの実施形態では、官能化絹は、以下の式(2):
【化3】

の化合物を含む。いくつかの実施形態では、Mid−MW絹は、約25kDa∼約60k
Daの重量平均分子量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形
態では、Mid−MW絹は、約39kDa∼約54kDaの重量平均分子量と、約1.5
∼約3.0の多分散性とを有する。
【0031】
 いくつかの実施形態では、官能化絹は、以下の式(3):
【化4】

の化合物を含む。いくつかの実施形態では、Low−MW絹は、約5kDa∼約30kD
aの重量平均分子量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形態
では、Low−MW絹は、約5kDa∼約17kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有する。
【0032】
 いくつかの実施形態では、官能化絹は、以下の式(4):
【化5】 30

の化合物を含む。いくつかの実施形態では、Low−MW絹は、約5kDa∼約30kD
aの重量平均分子量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形態
では、Low−MW絹は、約5kDa∼約17kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有する。
【0033】 40
 いくつかの実施形態では、官能化絹は、以下の式(5):
【化6】

の化合物を含む。いくつかの実施形態では、Low−MW絹は、約5kDa∼約30kD
aの重量平均分子量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形態
では、Low−MW絹は、約5kDa∼約17kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約 50
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3.0の多分散性とを有する。
【0034】
 いくつかの実施形態では、官能化絹は、以下の式(6):
【化7】

の化合物を含む。いくつかの実施形態では、Mid−MW絹は、約25kDa∼約60k 10
Daの重量平均分子量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形
態では、Mid−MW絹は、約39kDa∼約54kDaの重量平均分子量と、約1.5
∼約3.0の多分散性とを有する。
【0035】
 いくつかの実施形態では、官能化絹は、以下の式(7):
【化8】

の化合物を含む。いくつかの実施形態では、Mid−MW絹は、約25kDa∼約60k
Daの重量平均分子量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形
態では、Mid−MW絹は、約39kDa∼約54kDaの重量平均分子量と、約1.5
∼約3.0の多分散性とを有する。
【0036】
 いくつかの実施形態では、官能化絹は、以下の式(8):
【化9】

の化合物を含む。いくつかの実施形態では、Mid−MW絹は、約25kDa∼約60k
Daの重量平均分子量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形
態では、Mid−MW絹は、約39kDa∼約54kDaの重量平均分子量と、約1.5
∼約3.0の多分散性とを有する。
【0037】
 いくつかの実施形態では、本開示は、式(1)∼(8)から選択される官能化絹を含む
毛髪ケア組成物を提供する。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、プレシャンプ 40
ー製品、シャンプー製品、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、セ
ッティングローション、ブロースタイリングローション、ヘアスプレー、ヘアスタイリン
グフォーム、ヘアスタイリングジェル、ヘアオイル、ヘアリキッド、ヘアトニック、ヘア
クリーム、ヘアコスメティック、又はパーマネントウェーブ剤から選択されるヘアケア製
品として処方される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】図1A∼図1Cは、毛髪をストレートにし、カールさせるためのヘアスタイリ
ング樹脂としての絹溶液を示し、スタイルとカールの保持を提供する。図1A:未処理の
茶色の毛髪の房。図1B:中分子量の絹フィブロイン溶液(6重量%、0.8mL)を未 50
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処理の茶色の毛髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高熱で120
秒間ブロー乾燥した。ストレートなスタイルが実現されている。図1C:中分子量の絹フ
ィブロイン溶液(6重量%、0.8mL)を茶色の毛髪の房に塗布し、毛髪の房を細かい
歯の櫛で10回梳き、コニカルチューブ(直径30mm)の周りに巻きながら高熱で12
0秒間ブロー乾燥した。カールしたスタイルが実現されている。高保持スタイリング製品
中の典型的な樹脂濃度:3∼6重量%;緩い保持スタイリング製品中の典型的な樹脂濃度
:1∼3重量%。
【図1B】図1A∼図1Cは、毛髪をストレートにし、カールさせるためのヘアスタイリ
ング樹脂としての絹溶液を示し、スタイルとカールの保持を提供する。図1A:未処理の
茶色の毛髪の房。図1B:中分子量の絹フィブロイン溶液(6重量%、0.8mL)を未 10
処理の茶色の毛髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高熱で120
秒間ブロー乾燥した。ストレートなスタイルが実現されている。図1C:中分子量の絹フ
ィブロイン溶液(6重量%、0.8mL)を茶色の毛髪の房に塗布し、毛髪の房を細かい
歯の櫛で10回梳き、コニカルチューブ(直径30mm)の周りに巻きながら高熱で12
0秒間ブロー乾燥した。カールしたスタイルが実現されている。高保持スタイリング製品
中の典型的な樹脂濃度:3∼6重量%;緩い保持スタイリング製品中の典型的な樹脂濃度
:1∼3重量%。
【図1C】図1A∼図1Cは、毛髪をストレートにし、カールさせるためのヘアスタイリ
ング樹脂としての絹溶液を示し、スタイルとカールの保持を提供する。図1A:未処理の
茶色の毛髪の房。図1B:中分子量の絹フィブロイン溶液(6重量%、0.8mL)を未 20
処理の茶色の毛髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高熱で120
秒間ブロー乾燥した。ストレートなスタイルが実現されている。図1C:中分子量の絹フ
ィブロイン溶液(6重量%、0.8mL)を茶色の毛髪の房に塗布し、毛髪の房を細かい
歯の櫛で10回梳き、コニカルチューブ(直径30mm)の周りに巻きながら高熱で12
0秒間ブロー乾燥した。カールしたスタイルが実現されている。高保持スタイリング製品
中の典型的な樹脂濃度:3∼6重量%;緩い保持スタイリング製品中の典型的な樹脂濃度
:1∼3重量%。
【図2A】図2A∼図2Dは、界面活性剤/シャンプー活性剤としての絹溶液を示し;絹
を髪にマッサージすると泡立ち、これをよく洗い流すと、塗布時に清潔で透明感のある感
触を与える。図2A:未処理の茶色の毛髪の房。図2B:水(0.3mL)を茶色の毛髪 30
の房に塗布し湿らせ、次いで、Tween 20(5重量%、0.6mL)を毛髪の房に
塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥した。図
2C:水(0.3mL)を茶色の毛髪の房に塗布し湿らせ、次いで、中分子量の絹フィブ
ロイン溶液(5%固形分、0.6mL)を毛髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛
で10回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥した。図2D:水(0.3mL)を茶色の毛
髪の房に塗布し湿らせ、低分子量の絹フィブロイン溶液(5%固形分、0.6mL)を毛
髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥
した。試験した界面活性剤はいずれも、洗浄中に泡を生じさせた。低分子量の絹フィブロ
イン溶液は、マッサージ中に特に透明感があり、界面活性剤の性能が良好であることを示
す。いずれのサンプルも十分にブロー乾燥し、識別可能な残留物は残っていない。 40
【図2B】図2A∼図2Dは、界面活性剤/シャンプー活性剤としての絹溶液を示し;絹
を髪にマッサージすると泡立ち、これをよく洗い流すと、塗布時に清潔で透明感のある感
触を与える。図2A:未処理の茶色の毛髪の房。図2B:水(0.3mL)を茶色の毛髪
の房に塗布し湿らせ、次いで、Tween 20(5重量%、0.6mL)を毛髪の房に
塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥した。図
2C:水(0.3mL)を茶色の毛髪の房に塗布し湿らせ、次いで、中分子量の絹フィブ
ロイン溶液(5%固形分、0.6mL)を毛髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛
で10回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥した。図2D:水(0.3mL)を茶色の毛
髪の房に塗布し湿らせ、低分子量の絹フィブロイン溶液(5%固形分、0.6mL)を毛
髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥 50
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した。試験した界面活性剤はいずれも、洗浄中に泡を生じさせた。低分子量の絹フィブロ
イン溶液は、マッサージ中に特に透明感があり、界面活性剤の性能が良好であることを示
す。いずれのサンプルも十分にブロー乾燥し、識別可能な残留物は残っていない。
【図2C】図2A∼図2Dは、界面活性剤/シャンプー活性剤としての絹溶液を示し;絹
を髪にマッサージすると泡立ち、これをよく洗い流すと、塗布時に清潔で透明感のある感
触を与える。図2A:未処理の茶色の毛髪の房。図2B:水(0.3mL)を茶色の毛髪
の房に塗布し湿らせ、次いで、Tween 20(5重量%、0.6mL)を毛髪の房に
塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥した。図
2C:水(0.3mL)を茶色の毛髪の房に塗布し湿らせ、次いで、中分子量の絹フィブ
ロイン溶液(5%固形分、0.6mL)を毛髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛 10
で10回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥した。図2D:水(0.3mL)を茶色の毛
髪の房に塗布し湿らせ、低分子量の絹フィブロイン溶液(5%固形分、0.6mL)を毛
髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥
した。試験した界面活性剤はいずれも、洗浄中に泡を生じさせた。低分子量の絹フィブロ
イン溶液は、マッサージ中に特に透明感があり、界面活性剤の性能が良好であることを示
す。いずれのサンプルも十分にブロー乾燥し、識別可能な残留物は残っていない。
【図2D】図2A∼図2Dは、界面活性剤/シャンプー活性剤としての絹溶液を示し;絹
を髪にマッサージすると泡立ち、これをよく洗い流すと、塗布時に清潔で透明感のある感
触を与える。図2A:未処理の茶色の毛髪の房。図2B:水(0.3mL)を茶色の毛髪
の房に塗布し湿らせ、次いで、Tween 20(5重量%、0.6mL)を毛髪の房に 20
塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥した。図
2C:水(0.3mL)を茶色の毛髪の房に塗布し湿らせ、次いで、中分子量の絹フィブ
ロイン溶液(5%固形分、0.6mL)を毛髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛
で10回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥した。図2D:水(0.3mL)を茶色の毛
髪の房に塗布し湿らせ、低分子量の絹フィブロイン溶液(5%固形分、0.6mL)を毛
髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥
した。試験した界面活性剤はいずれも、洗浄中に泡を生じさせた。低分子量の絹フィブロ
イン溶液は、マッサージ中に特に透明感があり、界面活性剤の性能が良好であることを示
す。いずれのサンプルも十分にブロー乾燥し、識別可能な残留物は残っていない。
【図3A】図3A及び図3Bは、絹で処理された毛髪(図3B)と比較した、ダメージを 30
受けた毛髪(図3A、絹で処理されていない)を示す。
【図3B】図3A及び図3Bは、絹で処理された毛髪(図3B)と比較した、ダメージを
受けた毛髪(図3A、絹で処理されていない)を示す。
【図4A】図4A∼図4Jは、栄養パラメータの視覚的評価に使用される毛髪の房の写真
を示す。図4Aは、未処理の巻き髪の房を示す。図4B∼図4Jは、溶液T001∼T0
09で処理された2対の巻き髪の房に対するカール具合(curl definitio
n)、縮れ、及び滑らかさの影響を示す。図4Bの毛髪の房は、T001溶液(水)で処
理した。図4Cの毛髪の房は、T002溶液(加水分解小麦タンパク質(2%))で処理
した。図4Dの毛髪の房は、T003溶液(Low−MW絹(2%))で処理した。図4
Eの毛髪の房は、T004溶液(Mid−MW絹(2%))で処理した。図4Fの毛髪の 40
房は、T005溶液(Low Permacharge(2%))で処理した。図4Gの
毛髪の房は、T006溶液(Mid−098−02−02(2%))で処理した。図4H
の毛髪の房は、T007溶液(Mid 098−08−02(2%))で処理した。図4
Iの毛髪の房は、T008溶液(Hexamine(2%))で処理した。図4Jの毛髪
の房は、T009溶液(New Silicone(2%))で処理した。
【図4B】図4A∼図4Jは、栄養パラメータの視覚的評価に使用される毛髪の房の写真
を示す。図4Aは、未処理の巻き髪の房を示す。図4B∼図4Jは、溶液T001∼T0
09で処理された2対の巻き髪の房に対するカール具合、縮れ、及び滑らかさの影響を示
す。図4Bの毛髪の房は、T001溶液(水)で処理した。図4Cの毛髪の房は、T00
2溶液(加水分解小麦タンパク質(2%))で処理した。図4Dの毛髪の房は、T003 50
(20) JP 2022-529644 A 2022.6.23

溶液(Low−MW絹(2%))で処理した。図4Eの毛髪の房は、T004溶液(Mi
d−MW絹(2%))で処理した。図4Fの毛髪の房は、T005溶液(Low Per
macharge(2%))で処理した。図4Gの毛髪の房は、T006溶液(Mid−
098−02−02(2%))で処理した。図4Hの毛髪の房は、T007溶液(Mid
 098−08−02(2%))で処理した。図4Iの毛髪の房は、T008溶液(He
xamine(2%))で処理した。図4Jの毛髪の房は、T009溶液(New Si
licone(2%))で処理した。
【図4C】図4A∼図4Jは、栄養パラメータの視覚的評価に使用される毛髪の房の写真
を示す。図4Aは、未処理の巻き髪の房を示す。図4B∼図4Jは、溶液T001∼T0
09で処理された2対の巻き髪の房に対するカール具合、縮れ、及び滑らかさの影響を示 10
す。図4Bの毛髪の房は、T001溶液(水)で処理した。図4Cの毛髪の房は、T00
2溶液(加水分解小麦タンパク質(2%))で処理した。図4Dの毛髪の房は、T003
溶液(Low−MW絹(2%))で処理した。図4Eの毛髪の房は、T004溶液(Mi
d−MW絹(2%))で処理した。図4Fの毛髪の房は、T005溶液(Low Per
macharge(2%))で処理した。図4Gの毛髪の房は、T006溶液(Mid−
098−02−02(2%))で処理した。図4Hの毛髪の房は、T007溶液(Mid
 098−08−02(2%))で処理した。図4Iの毛髪の房は、T008溶液(He
xamine(2%))で処理した。図4Jの毛髪の房は、T009溶液(New Si
licone(2%))で処理した。
【図4D】図4A∼図4Jは、栄養パラメータの視覚的評価に使用される毛髪の房の写真 20
を示す。図4Aは、未処理の巻き髪の房を示す。図4B∼図4Jは、溶液T001∼T0
09で処理された2対の巻き髪の房に対するカール具合、縮れ、及び滑らかさの影響を示
す。図4Bの毛髪の房は、T001溶液(水)で処理した。図4Cの毛髪の房は、T00
2溶液(加水分解小麦タンパク質(2%))で処理した。図4Dの毛髪の房は、T003
溶液(Low−MW絹(2%))で処理した。図4Eの毛髪の房は、T004溶液(Mi
d−MW絹(2%))で処理した。図4Fの毛髪の房は、T005溶液(Low Per
macharge(2%))で処理した。図4Gの毛髪の房は、T006溶液(Mid−
098−02−02(2%))で処理した。図4Hの毛髪の房は、T007溶液(Mid
 098−08−02(2%))で処理した。図4Iの毛髪の房は、T008溶液(He
xamine(2%))で処理した。図4Jの毛髪の房は、T009溶液(New Si 30
licone(2%))で処理した。
【図4E】図4A∼図4Jは、栄養パラメータの視覚的評価に使用される毛髪の房の写真
を示す。図4Aは、未処理の巻き髪の房を示す。図4B∼図4Jは、溶液T001∼T0
09で処理された2対の巻き髪の房に対するカール具合、縮れ、及び滑らかさの影響を示
す。図4Bの毛髪の房は、T001溶液(水)で処理した。図4Cの毛髪の房は、T00
2溶液(加水分解小麦タンパク質(2%))で処理した。図4Dの毛髪の房は、T003
溶液(Low−MW絹(2%))で処理した。図4Eの毛髪の房は、T004溶液(Mi
d−MW絹(2%))で処理した。図4Fの毛髪の房は、T005溶液(Low Per
macharge(2%))で処理した。図4Gの毛髪の房は、T006溶液(Mid−
098−02−02(2%))で処理した。図4Hの毛髪の房は、T007溶液(Mid 40
 098−08−02(2%))で処理した。図4Iの毛髪の房は、T008溶液(He
xamine(2%))で処理した。図4Jの毛髪の房は、T009溶液(New Si
licone(2%))で処理した。
【図4F】図4A∼図4Jは、栄養パラメータの視覚的評価に使用される毛髪の房の写真
を示す。図4Aは、未処理の巻き髪の房を示す。図4B∼図4Jは、溶液T001∼T0
09で処理された2対の巻き髪の房に対するカール具合、縮れ、及び滑らかさの影響を示
す。図4Bの毛髪の房は、T001溶液(水)で処理した。図4Cの毛髪の房は、T00
2溶液(加水分解小麦タンパク質(2%))で処理した。図4Dの毛髪の房は、T003
溶液(Low−MW絹(2%))で処理した。図4Eの毛髪の房は、T004溶液(Mi
d−MW絹(2%))で処理した。図4Fの毛髪の房は、T005溶液(Low Per 50
(21) JP 2022-529644 A 2022.6.23

macharge(2%))で処理した。図4Gの毛髪の房は、T006溶液(Mid−
098−02−02(2%))で処理した。図4Hの毛髪の房は、T007溶液(Mid
 098−08−02(2%))で処理した。図4Iの毛髪の房は、T008溶液(He
xamine(2%))で処理した。図4Jの毛髪の房は、T009溶液(New Si
licone(2%))で処理した。
【図4G】図4A∼図4Jは、栄養パラメータの視覚的評価に使用される毛髪の房の写真
を示す。図4Aは、未処理の巻き髪の房を示す。図4B∼図4Jは、溶液T001∼T0
09で処理された2対の巻き髪の房に対するカール具合、縮れ、及び滑らかさの影響を示
す。図4Bの毛髪の房は、T001溶液(水)で処理した。図4Cの毛髪の房は、T00
2溶液(加水分解小麦タンパク質(2%))で処理した。図4Dの毛髪の房は、T003 10
溶液(Low−MW絹(2%))で処理した。図4Eの毛髪の房は、T004溶液(Mi
d−MW絹(2%))で処理した。図4Fの毛髪の房は、T005溶液(Low Per
macharge(2%))で処理した。図4Gの毛髪の房は、T006溶液(Mid−
098−02−02(2%))で処理した。図4Hの毛髪の房は、T007溶液(Mid
 098−08−02(2%))で処理した。図4Iの毛髪の房は、T008溶液(He
xamine(2%))で処理した。図4Jの毛髪の房は、T009溶液(New Si
licone(2%))で処理した。
【図4H】図4A∼図4Jは、栄養パラメータの視覚的評価に使用される毛髪の房の写真
を示す。図4Aは、未処理の巻き髪の房を示す。図4B∼図4Jは、溶液T001∼T0
09で処理された2対の巻き髪の房に対するカール具合、縮れ、及び滑らかさの影響を示 20
す。図4Bの毛髪の房は、T001溶液(水)で処理した。図4Cの毛髪の房は、T00
2溶液(加水分解小麦タンパク質(2%))で処理した。図4Dの毛髪の房は、T003
溶液(Low−MW絹(2%))で処理した。図4Eの毛髪の房は、T004溶液(Mi
d−MW絹(2%))で処理した。図4Fの毛髪の房は、T005溶液(Low Per
macharge(2%))で処理した。図4Gの毛髪の房は、T006溶液(Mid−
098−02−02(2%))で処理した。図4Hの毛髪の房は、T007溶液(Mid
 098−08−02(2%))で処理した。図4Iの毛髪の房は、T008溶液(He
xamine(2%))で処理した。図4Jの毛髪の房は、T009溶液(New Si
licone(2%))で処理した。
【図4I】図4A∼図4Jは、栄養パラメータの視覚的評価に使用される毛髪の房の写真 30
を示す。図4Aは、未処理の巻き髪の房を示す。図4B∼図4Jは、溶液T001∼T0
09で処理された2対の巻き髪の房に対するカール具合、縮れ、及び滑らかさの影響を示
す。図4Bの毛髪の房は、T001溶液(水)で処理した。図4Cの毛髪の房は、T00
2溶液(加水分解小麦タンパク質(2%))で処理した。図4Dの毛髪の房は、T003
溶液(Low−MW絹(2%))で処理した。図4Eの毛髪の房は、T004溶液(Mi
d−MW絹(2%))で処理した。図4Fの毛髪の房は、T005溶液(Low Per
macharge(2%))で処理した。図4Gの毛髪の房は、T006溶液(Mid−
098−02−02(2%))で処理した。図4Hの毛髪の房は、T007溶液(Mid
 098−08−02(2%))で処理した。図4Iの毛髪の房は、T008溶液(He
xamine(2%))で処理した。図4Jの毛髪の房は、T009溶液(New Si 40
licone(2%))で処理した。
【図4J】図4A∼図4Jは、栄養パラメータの視覚的評価に使用される毛髪の房の写真
を示す。図4Aは、未処理の巻き髪の房を示す。図4B∼図4Jは、溶液T001∼T0
09で処理された2対の巻き髪の房に対するカール具合、縮れ、及び滑らかさの影響を示
す。図4Bの毛髪の房は、T001溶液(水)で処理した。図4Cの毛髪の房は、T00
2溶液(加水分解小麦タンパク質(2%))で処理した。図4Dの毛髪の房は、T003
溶液(Low−MW絹(2%))で処理した。図4Eの毛髪の房は、T004溶液(Mi
d−MW絹(2%))で処理した。図4Fの毛髪の房は、T005溶液(Low Per
macharge(2%))で処理した。図4Gの毛髪の房は、T006溶液(Mid−
098−02−02(2%))で処理した。図4Hの毛髪の房は、T007溶液(Mid 50
(22) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 098−08−02(2%))で処理した。図4Iの毛髪の房は、T008溶液(He
xamine(2%))で処理した。図4Jの毛髪の房は、T009溶液(New Si
licone(2%))で処理した。
【図5】図5は、各栄養パラメータの視覚的評価をまとめたグラフを示す。分析した絹(
Low、Mid、Low−098−02−01、Mid−098−02−02、Mid 
098−08−02、ヘキサミン(Hexamine)、及びNew Silicone
)全ての性能を、業界標準(加水分解小麦タンパク質)の性能と比較する。
【図6A】図6A∼図6Dは、絹のカール保持力を実証するマネキン頭部の処理された毛
髪を示す。図6Aは、水(Water)で処理された毛髪のカールを示し、図6Cは、指
で梳いた後、カールが落ちたことを示す。図6Bは、Low Silkで処理した毛髪の 10
タイトで高程度のカールを示し、図6Dは、指で梳いた後も、カールが保持されたことを
示す。
【図6B】図6A∼図6Dは、絹のカール保持力を実証するマネキン頭部の処理された毛
髪を示す。図6Aは、水(Water)で処理された毛髪のカールを示し、図6Cは、指
で梳いた後、カールが落ちたことを示す。図6Bは、Low Silkで処理した毛髪の
タイトで高程度のカールを示し、図6Dは、指で梳いた後も、カールが保持されたことを
示す。
【図6C】図6A∼図6Dは、絹のカール保持力を実証するマネキン頭部の処理された毛
髪を示す。図6Aは、水(Water)で処理された毛髪のカールを示し、図6Cは、指
で梳いた後、カールが落ちたことを示す。図6Bは、Low Silkで処理した毛髪の 20
タイトで高程度のカールを示し、図6Dは、指で梳いた後も、カールが保持されたことを
示す。
【図6D】図6A∼図6Dは、絹のカール保持力を実証するマネキン頭部の処理された毛
髪を示す。図6Aは、水(Water)で処理された毛髪のカールを示し、図6Cは、指
で梳いた後、カールが落ちたことを示す。図6Bは、Low Silkで処理した毛髪の
タイトで高程度のカールを示し、図6Dは、指で梳いた後も、カールが保持されたことを
示す。
【図7A】図7A及び図7Bは、絹のボリューム保持能力を実証するマネキン頭部の処理
された毛髪を示す。図7Aは、毛髪ボリュームの初期の目視検査を示し、図7Bは、その
24時間後を示す。シルクコートされた側はそのボリュームを保持し、水処理された側( 30
Water)は、ボリュームが大幅に低下した。
【図7B】図7A及び図7Bは、絹のボリューム保持能力を実証するマネキン頭部の処理
された毛髪を示す。図7Aは、毛髪ボリュームの初期の目視検査を示し、図7Bは、その
24時間後を示す。シルクコートされた側はそのボリュームを保持し、水処理された側(
Water)は、ボリュームが大幅に低下した。
【図8A】図8A∼図8Dは、溶液002−A(図8A)、溶液002−B(図8B)、
溶液002−C(図8C)、及び溶液002−D(図8D)で処理された毛髪サンプルを
示す。図8Cの毛髪サンプルは、低分子量絹を含む溶液で処理され、試験された4サンプ
ルのうち最もタイトなカールを保持した。
【図8B】図8A∼図8Dは、溶液002−A(図8A)、溶液002−B(図8B)、 40
溶液002−C(図8C)、及び溶液002−D(図8D)で処理された毛髪サンプルを
示す。図8Cの毛髪サンプルは、低分子量絹を含む溶液で処理され、試験された4サンプ
ルのうち最もタイトなカールを保持した。
【図8C】図8A∼図8Dは、溶液002−A(図8A)、溶液002−B(図8B)、
溶液002−C(図8C)、及び溶液002−D(図8D)で処理された毛髪サンプルを
示す。図8Cの毛髪サンプルは、低分子量絹を含む溶液で処理され、試験された4サンプ
ルのうち最もタイトなカールを保持した。
【図8D】図8A∼図8Dは、溶液002−A(図8A)、溶液002−B(図8B)、
溶液002−C(図8C)、及び溶液002−D(図8D)で処理された毛髪サンプルを
示す。図8Cの毛髪サンプルは、低分子量絹を含む溶液で処理され、試験された4サンプ 50
(23) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ルのうち最もタイトなカールを保持した。
【図9A】図9A∼図9Dは、官能化絹サンプル:077−027−1(図9A)、07
7−024−2(図9B)、077−028−2(図9C)、及び077−030−1(
図9D)について得られた質量スペクトルのPEAKSソフトウェアによるデータ分析を
示す。
【図9B】図9A∼図9Dは、官能化絹サンプル:077−027−1(図9A)、07
7−024−2(図9B)、077−028−2(図9C)、及び077−030−1(
図9D)について得られた質量スペクトルのPEAKSソフトウェアによるデータ分析を
示す。
【図9C】図9A∼図9Dは、官能化絹サンプル:077−027−1(図9A)、07 10
7−024−2(図9B)、077−028−2(図9C)、及び077−030−1(
図9D)について得られた質量スペクトルのPEAKSソフトウェアによるデータ分析を
示す。
【図9D】図9A∼図9Dは、官能化絹サンプル:077−027−1(図9A)、07
7−024−2(図9B)、077−028−2(図9C)、及び077−030−1(
図9D)について得られた質量スペクトルのPEAKSソフトウェアによるデータ分析を
示す。
【図10A】図10A及び図10Bは、絹フィブロインベースのタンパク質断片(図10
A)及び官能化された絹フィブロインベースのタンパク質断片サンプル077−024−
2(レーン3)、077−027−1(レーン4)、077−027−2(レーン5)、 20
077−028−2(レーン6)、及び077−030−1(レーン7)(図10B)の
電気泳動ゲルを示す。図10Bのレーン1は、分子量バンドのBioRad IEF標準
(Std)を示す。図10Bのレーン2は、IEFサンプルバッファ(Buffer)を
示す。図10Bのレーン8は、MC−1を示す。図10Bのレーン9は、S700−SP
を示す。図10Bのレーン10は、DBr−7を示す。図10Bのレーン11は、Ser
TM
−1を示す。図10Aは、いくつかのActivated Silks の電気泳動ゲ
TM
ルを示し、図10Bは、化学的に修飾されたActivated Silks の電気
泳動ゲルを示す。
【図10B】図10A及び図10Bは、絹フィブロインベースのタンパク質断片(図10
A)及び官能化された絹フィブロインベースのタンパク質断片サンプル077−024− 30
2(レーン3)、077−027−1(レーン4)、077−027−2(レーン5)、
077−028−2(レーン6)、及び077−030−1(レーン7)(図10B)の
電気泳動ゲルを示す。図10Bのレーン1は、分子量バンドのBioRad IEF標準
(Std)を示す。図10Bのレーン2は、IEFサンプルバッファを示す。図10Bの
レーン8は、MC−1を示す。図10Bのレーン9は、S700−SPを示す。図10B
のレーン10は、DBr−7を示す。図10Bのレーン11は、Ser−1を示す。図1
TM
0Aは、いくつかのActivated Silks の電気泳動ゲルを示し、図10
TM
Bは、化学的に修飾されたActivated Silks の電気泳動ゲルを示す。
【図11】図11は、2種類の修飾されたMid−MW絹(098−29−02及び09
8−30−02)と未修飾のMid−MW重量絹のSEC−RIクロマトグラムを示す。 40
【図12A】図12A及び図12Bは、修飾Low−MW絹(077−027−1)の質
量スペクトルにおける、2つのサブユニット:重鎖(図12A)、軽鎖(図12B)のm
/z及びms2断片化パターンを示す。
【図12B】図12A及び図12Bは、修飾Low−MW絹(077−027−1)の質
量スペクトルにおける、2つのサブユニット:重鎖(図12A)、軽鎖(図12B)のm
/z及びms2断片化パターンを示す。
【図13A】図13A∼図13Cは、修飾Low−MW絹(077−024−2)の質量
スペクトルにおける、3つのサブユニット:重鎖(図13A)、軽鎖(図13B)、及び
フィブロヘキサメリン(図13C)のm/z及びms2断片化パターンを示す。
【図13B】図13A∼図13Cは、修飾Low−MW絹(077−024−2)の質量 50
(24) JP 2022-529644 A 2022.6.23

スペクトルにおける、3つのサブユニット:重鎖(図13A)、軽鎖(図13B)、及び
フィブロヘキサメリン(図13C)のm/z及びms2断片化パターンを示す。
【図13C】図13A∼図13Cは、修飾Low−MW絹(077−024−2)の質量
スペクトルにおける、3つのサブユニット:重鎖(図13A)、軽鎖(図13B)、及び
フィブロヘキサメリン(図13C)のm/z及びms2断片化パターンを示す。
【図14】図14は、修飾Low−MW絹(077−028−2)の質量スペクトルにお
けるm/z及びms2断片化パターンを示す。
【図15】図15は、修飾Low−MW絹(077−030−1)の質量スペクトルにお
けるm/z及びms2断片化パターンを示す。
【図16】図16は、本開示の純粋な絹フィブロインタンパク質断片(SPF)を生成す 10
るための様々な実施形態を示すフローチャートである。
【図17】図17は、抽出及び溶解の各工程中に、本開示の絹タンパク質断片溶液を生成
するプロセスにおいて変更することができる様々なパラメータを示すフローチャートであ
る。
【0039】
詳細な説明
 ヘアケア製品中の大部分のコンディショニング剤は、毛髪の感触を改善するために使用
される合成ポリマーである。一般的な成分として、ポリエチレングリコール(PEG)、
プロピレングリコール、シロキサン、及びポリクオタニウムが挙げられる。PEGとプロ
ピレングリコールは、毛髪用の皮膚軟化剤と潤滑剤として使用されるが、エチレンオキシ 20
ド及び1,4−ジオキサンなどの有害な不純物を含み得る石油に由来する。シクロメチコ
ン及びジメチコンなどのシリオキサン(Silioxane)は、配合物及び毛髪の感触
を改善するために使用される。しかし、シリオキサン(Silioxane)は石油に由
来し、体内蓄積することが知られており、生分解性が限られている。ポリクオタニウムは
、様々なヘアケア製品で使用されるカチオン性ポリマーであり、毛髪の感触、撥水性、ヘ
アホールド(hair hold)、質感の改善など、様々な使用効果をもたらす。しか
し、ポリクオタニウムは、石油に由来し得る。
【0040】
 従来の半永久的及び永久的な毛髪シェーピング技術は、通常、毛髪にダメージを与え、
消費者及びヘアケア従事者の健康に脅威を与える過酷な化学反応に基づいている。ヘアカ 30
ーリング(「パーマ」)は、大部分の場合、毒性があり発癌性のチオグリコレートによる
、毛髪のケラチンのジスルフィド結合の還元を伴う。カーラーと熱でリシェーピングした
後、過酸化水素などの刺激性であることが多い試薬で酸化することにより、ジスルフィド
結合が再形成される。リラクサー(Relaxers)は、多くの場合、同一の化学反応
を使用する、及び/又は高濃度の水酸化ナトリウムなどの苛性化学物質を使用する。Br
azilian Blowoutなどの縮毛矯正及び/又は平滑化処理は、過酷な化学反
応によるジスルフィド結合の還元も含む。Brazilian Blowoutのリシェ
ーピング工程では、ケラチンは、発癌性物質及び呼吸器刺激物として知られるホルムアル
デヒドとの架橋メカニズムによって毛髪に結合する。「ホルムアルデヒド不含」バリエー
ションは、組成物中にメチレングリコールを含み、これは、加熱すると脱水状態となり、 40
活性成分としてホルムアルデヒドを生成する。これらの化学反応に代わる安全で効果的な
代替品が業界で必要とされている。
【0041】
 絹タンパク質は、ヘアケア製品に応用されている。絹は、従来のヘアコンディショニン
グ成分を、毛髪の見た目と感触を更に改善する、持続可能で安全な生分解性の代替品に置
き換えるために使用することができる。以下の開示においては、未処理のSPF、例えば
、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質の溶解度が低いため、絹溶液が使
用された。絹タンパク質ペプチドは、有益なコーティング効果をもたらす一方で、インタ
クトなタンパク質ほど効果的ではない。コロイダル絹フィブロインタンパク質が、ヘアケ
ア製品の添加剤として報告された(独国特許第3139438号)。しかし、コロイド状 50
(25) JP 2022-529644 A 2022.6.23

の絹フィブロインタンパク質は、可溶性絹タンパク質ほど、ヘアトリートメントのための
膜形成及びコーティングに効果的ではない。天然又は組換えのクモシルクタンパク質は、
ヘアケア、スキンケア、メイクアップ、及び日焼け止め製品などの化粧品及び皮膚科学的
組成物に含有させるための有効成分として報告された(米国特許第6,280,747号
明細書)。しかし、クモシルクは、水溶性ではない。したがって、クモシルクタンパク質
の自己組織化及びコーティング特性の有益な効果は実現されていない。
【0042】
 絹フィブロイン又は絹フィブロイン断片を作製する方法は知られており、例えば、それ
らの全体を本明細書に援用する米国特許第9,187,538号明細書、同第9,511
,012号明細書、第9,517,191号明細書、同第9,522,107号明細書、 10
同第9,522,108号明細書、同第9,545,369号明細書、及び同第10,1
66,177号明細書に記載されている。動物の毛髪のコーティング用途を含むコーティ
ング用途において、絹フィブロイン又は絹フィブロイン断片を使用する方法は知られてお
り、例えば、米国特許出願公開第20160222579号明細書及び同第201602
81294号明細書に記載されている。
【0043】
 SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片は、様々な
ヘアケア製品において有用な用途を有する。実施形態では、本開示は、毛髪ケア組成物を
提供し、(i)前記毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.0001重量%∼約10.0
重量%で、実質的にセリシンを欠く絹フィブロインベースのタンパク質断片と、(ii) 20
少なくとも1つのヘアケア活性剤と、(iii)皮膚科学的に許容される担体とを含み、
前記絹フィブロインベースのタンパク質断片が、約5kDa∼約80kDaの重量平均分
子量を有し、前記絹フィブロインベースのタンパク質断片が、約1.5∼約3.0の多分
散性を有する毛髪ケア組成物を提供する。
【0044】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、水溶液、エタノール溶液、オイル、ジェ
ル、エマルジョン、懸濁液、ムース、液晶、固体、ローション、クリーム、エアロゾルス
プレー、ペースト、フォーム、及びトニックからなる群から選択される形態である。
【0045】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、プレシャンプー製品、シャンプー製品、 30
ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、セッティングローション、ブ
ロースタイリングローション、ヘアスプレー、ヘアスタイリングフォーム、ヘアスタイリ
ングジェル、ヘアオイル、ヘアリキッド、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアコスメティ
ック、パーマネントウェービング剤からなる群から選択されるヘアケア製品である。いく
つかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、透明又は半透明である。いくつかの実施形態で
は、毛髪ケア組成物は、使用時放置用(for a leave in use)である

【0046】
定義
 前のセクション及び本明細書の残りの記載において、特段の断りがない限り、本明細書 40
に使用される技術用語及び科学用語はいずれも、本開示が属する技術分野の当業者によっ
て通常理解される意味と同一の意味を有する。本明細書中で言及される特許及び刊行物は
いずれも、参照によりその全体を援用する。
【0047】
 パーセンテージ、部、及び比はいずれも、特段の断りがない限り、本開示の毛髪ケア組
成物の総重量に基づく。記載される成分に関連する係る重量はいずれも、活性レベルに基
づくので、特段の断りがない限り、市販材料に含まれ得る溶媒や副生成物は含まない。用
語「重量パーセント」は、本明細書中、「wt.%」又は%w/wとして示すことができ
る。
【0048】 50
(26) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 本明細書においては、用語「a」、「an」、又は「the」は、通常、単数形及び複
数形の両方を包含すると解釈される。
【0049】
 本明細書においては、用語「約」は、通常、当業者によって決定される、ばらつき及び
許容可能な誤差範囲を含む特定の数値を意味し、これは、数値がどのように測定又は決定
されるか、即ち、測定系の制約に一部依存する。例えば、「約」は、ばらつき無し、及び
所定の数値の±20%、±10%、又は±5%の範囲を意味する。
【0050】
 本明細書においては、「平均重量平均分子量」は、同一組成物の絹フィブロイン又はそ
の断片の重量平均分子量の、2以上の別々の実験の読み取り値によって決定される2以上 10
の値の平均を意味する。
【0051】
 本明細書においては、用語「毛髪」は、ヒトの頭部及び頭皮上の毛髪を意味する。「毛
幹」は、個々の毛髪を意味し、「毛髪」という用語と同一の意味で使用されることがある

【0052】
 本明細書においては、用語「ヘアケア製品」は、毛髪に適用されるあらゆるトイレタリ
ー製品を含む。その例としては、プレシャンプー製品、シャンプー製品、ヘアリンス、ヘ
アコンディショナー、ヘアトリートメント、セッティングローション、ブロースタイリン
グローション、ヘアスプレー、ヘアスタイリングフォーム、ヘアスタイリングジェル、ヘ 20
アリキッド、ヘアトニック、ヘアクリーム、パーマネントウェービング剤などが挙げられ
る。更に、本開示のヘアケア製品は、使用目的に応じて様々な形態(水溶液、エタノール
溶液、エマルジョン、懸濁液、ゲル、液晶、固体、エアロゾルなど)に加工することがで
きる。
【0053】
 本明細書においては、用語「皮膚科学的に許容される担体」は、例えば、過度の毒性、
非相溶性、不安定性、アレルギー反応などの悪影響を引き起こすことなく、哺乳動物のケ
ラチン組織と接触させて使用するのに好適な担体を意味する。皮膚科学的に許容される担
体としては、限定するものではないが、水、液体又は固体の皮膚軟化剤、保湿剤、溶媒な
どが挙げられる。 30
【0054】
 本明細書においては、界面活性剤の用語「親水性−親油性バランス」(HLB)は、分
子の異なる領域の値を計算することによって決定される、親水性又は疎水性の程度の尺度

であり、Griffinの方法:HLB=20 Mh/M(式中、Mhは、界面活性剤の
親水性部分の分子質量、Mは、界面活性剤分子全体の分子質量である)によって記述され
、0∼20のスケールで結果を与える。HLB値が0の場合、完全に親油性の分子に対応
し、値が20の場合は、完全に親水性の分子に対応する。HLB値は、分子の界面活性剤
特性を予測するために使用することができ、HLB<10:脂溶性(水不溶性)、HLB
>10:水溶性(不脂溶性)、HLB=1∼3:消泡剤、3∼6:W/O(油中水型)乳
化剤、7∼9:湿潤及び展着剤、8∼16:O/W(水中油型)乳化剤、13∼16:界 40
面活性剤、16∼18:可溶化剤又はハイドロトロープである。
【0055】
 本明細書においては、用語「ペプチド」又は「タンパク質」は、ペプチド結合(アミド
結合とも呼ばれる)によって互いに保持されるアミノ酸の鎖を意味する。タンパク質とペ
プチドの基本的な識別要素は、サイズと構造である。ペプチドはタンパク質よりも小さい
。従来、ペプチドは、2∼50個のアミノ酸からなる分子として定義されるが、タンパク
質は、50個以上のアミノ酸から構成される。更に、ペプチドは、タンパク質よりも構造
が明確に定義されていない傾向があり、二次、三次、及び四次構造として知られる複雑な
コンフォメーションをとることができる。
【0056】 50
(27) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 本明細書においては、ポリマーの「多分散性(PD)」という用語は、通常、ポリマー
の分子量分布の広さの尺度として使用され、多分散性PD=Mw/Mnの式で定義される

【0057】
 本明細書においては、用語「実質的に均質」は、同定された分子量の周りに正規分布で
分布する絹フィブロインベースのタンパク質断片を意味し得る。本明細書においては、用
語「実質的に均質」は、本開示の組成物全体に亘って、成分又は添加剤、例えば、絹フィ
ブロイン断片、皮膚科学的に許容される担体などの均一な分布を意味し得る。
【0058】
SPFの定義及び性質 10
 本明細書において、「絹タンパク質断片」(SPF)は、本明細書に定義される「絹フ
ィブロイン断片」、本明細書に定義される「組換え絹断片」、本明細書に定義される「ク
モシルク断片」、本明細書に定義される「絹フィブロイン様タンパク質断片」、及び/又
は本明細書に定義される「化学的に修飾された絹断片」のうちの1以上を含む。SPFは
、本明細書に記載の任意の分子量の値又は範囲、及び本明細書に記載の任意の多分散性の
値又は範囲を有することができる。本明細書において、いくつかの実施形態では、用語「
絹タンパク質断片」は、また、天然に存在する絹ポリペプチド又はその変異体、天然に存
在するシルクポリペプチドのアミノ酸配列、又はそれらの組合せから、それぞれ独立して
選択される少なくとも2つの同一繰り返し単位を含む又はからなる絹タンパク質を意味す
る。 20
【0059】
SPFの分子量及び多分散性
 実施形態では、本開示の組成物は、6kDa∼17kDaの平均重量平均分子量を有す
るSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、17kDa∼39kDaの平均重量
平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、39kDa∼80
kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、
約1∼約5kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の
組成物は、約5∼約10kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態で
は、本開示の組成物は、約10∼約15kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含
む。実施形態では、本開示の組成物は、約15∼約20kDaの平均重量平均分子量を有 30
するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約20∼約25kDaの平均重量
平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約25∼約30k
Daの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約
30∼約35kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示
の組成物は、約35∼約40kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形
態では、本開示の組成物は、約40∼約45kDaの平均重量平均分子量を有するSPF
を含む。実施形態では、本開示の組成物は、約45∼約50kDaの平均重量平均分子量
を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約50∼約55kDaの平均
重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約55∼約6
0kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は 40
、約60∼約65kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本
開示の組成物は、約65∼約70kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実
施形態では、本開示の組成物は、約70∼約75kDaの平均重量平均分子量を有するS
PFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約75∼約80kDaの平均重量平均分
子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約80∼約85kDaの
平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約85∼
約90kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成
物は、約90∼約95kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では
、本開示の組成物は、約95∼約100kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含
む。実施形態では、本開示の組成物は、約100∼約105kDaの平均重量平均分子量 50
(28) JP 2022-529644 A 2022.6.23

を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約105∼約110kDaの
平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約110
∼約115kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の
組成物は、約115∼約120kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施
形態では、本開示の組成物は、約120∼約125kDaの平均重量平均分子量を有する
SPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約125∼約130kDaの平均重量
平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約130∼約13
5kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は
、約135∼約140kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では
、本開示の組成物は、約140∼約145kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを 10
含む。実施形態では、本開示の組成物は、約145∼約150kDaの平均重量平均分子
量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約150∼約155kDa
の平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約15
5∼約160kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示
の組成物は、約160∼約165kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実
施形態では、本開示の組成物は、約165∼約170kDaの平均重量平均分子量を有す
るSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約170∼約175kDaの平均重
量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約175∼約1
80kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物
は、約180∼約185kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態で 20
は、本開示の組成物は、約185∼約190kDaの平均重量平均分子量を有するSPF
を含む。実施形態では、本開示の組成物は、約190∼約195kDaの平均重量平均分
子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約195∼約200kD
aの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約2
00∼約205kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開
示の組成物は、約205∼約210kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。
実施形態では、本開示の組成物は、約210∼約215kDaの平均重量平均分子量を有
するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約215∼約220kDaの平均
重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約220∼約
225kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成 30
物は、約225∼約230kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態
では、本開示の組成物は、約230∼約235kDaの平均重量平均分子量を有するSP
Fを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約235∼約240kDaの平均重量平均
分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約240∼約245k
Daの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約
245∼約250kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本
開示の組成物は、約250∼約255kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む
。実施形態では、本開示の組成物は、約255∼約260kDaの平均重量平均分子量を
有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約260∼約265kDaの平
均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約265∼ 40
約270kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組
成物は、約270∼約275kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形
態では、本開示の組成物は、約275∼約280kDaの平均重量平均分子量を有するS
PFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約280∼約285kDaの平均重量平
均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約285∼約290
kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、
約290∼約295kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、
本開示の組成物は、約295∼約300kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含
む。実施形態では、本開示の組成物は、約300∼約305kDaの平均重量平均分子量
を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約305∼約310kDaの 50
(29) JP 2022-529644 A 2022.6.23

平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約310
∼約315kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の
組成物は、約315∼約320kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施
形態では、本開示の組成物は、約320∼約325kDaの平均重量平均分子量を有する
SPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約325∼約330kDaの平均重量
平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は、約330∼約33
5kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では、本開示の組成物は
、約335∼約340kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを含む。実施形態では
、本開示の組成物は、約340∼約345kDaの平均重量平均分子量を有するSPFを
含む。実施形態では、本開示の組成物は、約345∼約350kDaの平均重量平均分子 10
量を有するSPFを含む。
【0060】
 いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、約1kDa∼約145kDaから選択さ
れる重量平均分子量と、1∼約5(多分散性1を含むがこれに限定されない)、1∼約1
.5(多分散性1を含むがこれに限定されない)、約1.5∼約2、約1.5∼約3、約
2∼約2.5、約2.5∼約3、約3∼約3.5、約3.5∼約4、約4∼約4.5、及
び約4.5∼約5から選択される多分散性範囲とを有する組成物#1001∼#2450
から選択されるSPF組成物を含む。
(30) JP 2022-529644 A 2022.6.23
(31) JP 2022-529644 A 2022.6.23
(32) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0061】
 本明細書において、「低分子量」、「低MW」、又は「low−MW」SPFは、約5 40
kDa∼約30kDa、約14kDa∼約30kDa、又は約6kDa∼約17kDaの
重量平均分子量又は平均重量平均分子量を有するSPFを含むことができる。いくつかの
実施形態では、あるSPFの目的低分子量は、約5kDa、約6kDa、約7kDa、約
8kDa、約9kDa、約10kDa、約11kDa、約12kDa、約13kDa、約
14kDa、約15kDa、約16kDa、約17kDa、約18kDa、約19kDa
、約20kDa、約21kDa、約22kDa、約23kDa、約24kDa、約25k
Da、約26kDa、約27kDa、約28kDa、約29kDa、又は約30kDaの
重量平均分子量であることができる。
【0062】
 本明細書において、「中分子量」、「中MW」、又は「mid−MW」SPFは、約2 50
(33) JP 2022-529644 A 2022.6.23

0kDa∼約55kDa、約39kDa∼約54kDa、又は約17kDa∼約39kD
aの重量平均分子量又は平均重量平均分子量を有するSPFを含むことができる。いくつ
かの実施形態では、あるSPFの目的中分子量は、約17kDa、約18kDa、約19
kDa、約20kDa、約21kDa、約22kDa、約23kDa、約24kDa、約
25kDa、約26kDa、約27kDa、約28kDa、約29kDa、約30kDa
、約31kDa、約32kDa、約33kDa、約34kDa、約35kDa、約36k
Da、約37kDa、約38kDa、約39kDa、約40kDa、約41kDa、約4
2kDa、約43kDa、約44kDa、約45kDa、約46kDa、約47kDa、
約48kDa、約49kDa、約50kDa、約51kDa、約52kDa、約53kD
a、約54kDa、又は約55kDaであることができる。 10
【0063】
 本明細書において、「高分子量」、「高MW」、又は「high−MW」SPFは、約
55kDa∼約150kDa又は約39kDa∼約80kDaの重量平均分子量又は平均
重量平均分子量を有するSPFを含むことができる。いくつかの実施形態では、あるSP
Fの目的高分子量は、約39kDa、約40kDa、約41kDa、約42kDa、約4
3kDa、約44kDa、約45kDa、約46kDa、約47kDa、約48kDa、
約49kDa、約50kDa、約51kDa、約52kDa、約53kDa、約54kD
a、約55kDa、約56kDa、約57kDa、約58kDa、約59kDa、約60
kDa、約61kDa、約62kDa、約63kDa、約64kDa、約65kDa、約
66kDa、約67kDa、約68kDa、約69kDa、約70kDa、約71kDa 20
、約72kDa、約73kDa、約74kDa、約75kDa、約76kDa、約77k
Da、約78kDa、約79kDa、又は約80kDaであることができる。
【0064】
 いくつかの実施形態では、本明細書に記載の分子量(例えば、低分子量シルク、中分子
量シルク、高分子量シルク)は、当業者によって理解されるように、それぞれのSPFに
含有されるアミノ酸の概数に変換することができる。当業者である。例えば、アミノ酸の
平均重量は、約110ダルトン(即ち、110g/mol)であり得る。したがって、い
くつかの実施形態では、線状タンパク質の分子量を110ダルトンで除すことで、それに
含有されるアミノ酸残基数を概算することができる。
【0065】 30
 実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、1∼約5.0の多分散性を有する(
多分散性1を含むがこれに限定されない)。実施形態では、本開示の組成物におけるSP
Fは、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物における
SPFは、1∼約1.5の多分散性を有する(多分散性1を含むがこれに限定されない)
。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.5∼約2.0の多分散性を有
する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.0∼約2.5の多分散性
を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.5∼約3.0の多分
散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.0∼約3.5の
多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.5∼約4.
0の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.0∼約 40
4.5の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.5
∼約5.0の多分散性を有する。
【0066】
 実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、1の多分散性を有する。実施形態で
は、本開示の組成物におけるSPFは、約1.1の多分散性を有する。実施形態では、本
開示の組成物におけるSPFは、約1.2の多分散性を有する。実施形態では、本開示の
組成物におけるSPFは、約1.3の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物
におけるSPFは、約1.4の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけ
るSPFは、約1.5の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSP
Fは、約1.6の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、 50
(34) JP 2022-529644 A 2022.6.23

約1.7の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.
8の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約1.9の多
分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.0の多分散性
を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.1の多分散性を有す
る。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.2の多分散性を有する。実
施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.3の多分散性を有する。実施形態
では、本開示の組成物におけるSPFは、約2.4の多分散性を有する。実施形態では、
本開示の組成物におけるSPFは、約2.5の多分散性を有する。実施形態では、本開示
の組成物におけるSPFは、約2.6の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成
物におけるSPFは、約2.7の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物にお 10
けるSPFは、約2.8の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるS
PFは、約2.9の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは
、約3.0の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3
.1の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.2の
多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.3の多分散
性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.4の多分散性を有
する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.5の多分散性を有する。
実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.6の多分散性を有する。実施形
態では、本開示の組成物におけるSPFは、約3.7の多分散性を有する。実施形態では
、本開示の組成物におけるSPFは、約3.8の多分散性を有する。実施形態では、本開 20
示の組成物におけるSPFは、約3.9の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組
成物におけるSPFは、約4.0の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物に
おけるSPFは、約4.1の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物における
SPFは、約4.2の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPF
は、約4.3の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約
4.4の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.5
の多分散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.6の多分
散性を有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.7の多分散性を
有する。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.8の多分散性を有する
。実施形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約4.9の多分散性を有する。実施 30
形態では、本開示の組成物におけるSPFは、約5.0の多分散性を有する。
【0067】
 いくつかの実施形態では、低、中、及び/又は高分子量のSPFの組合せを有する本明
細書に記載の組成物において、係る低、中、及び/又は高分子量のSPFは、同一又は異
なる多分散性を有することができる。
【0068】
絹フィブロイン断片
 絹フィブロイン又は絹フィブロインタンパク質断片の製造方法、及びそれらの様々な分
野における用途は知られており、例えば、それらの全体を参照により本明細書に援用する
米国特許第9,187,538号明細書、同第9,511,012号明細書、同第9,5 40
17,191号明細書、同第9,522,107号明細書、同第9,522,108号明
細書、同第9,545,369号明細書、同第10,166,177号明細書、同第10
,287,728号明細書、及び同第10,301,768号明細書に記載されている。
カイコBombyxmoriの生絹は、絹フィブロイン(約75%)とセリシン(約25
%)の2種類の主要タンパク質で構成される。絹フィブロインは、剛性と強度を提供する
半結晶構造を有する繊維状タンパク質である。本明細書においては、用語「絹フィブロイ
ン」は、約37万Daの重量平均分子量を有するBombyxmoriの繭の繊維を意味
する。カイコの粗繊維は、フィブロインの二重の糸からなる。これらの二重繊維を互いに
保持する接着物質がセリシンである。絹フィブロインは、重量平均分子量が約35万Da
の重鎖(H鎖)と、重量平均分子量が約25,000Daの軽鎖(L鎖)から構成される 50
(35) JP 2022-529644 A 2022.6.23

。絹フィブロインは、高分子量のポリマーの主成分を占める大きな疎水性ドメインを有す
る両親媒性ポリマーである。疎水性領域は、小さな親水性スペーサによって中断されてお
り、鎖のN末端とC末端も親水性が高い。H鎖の疎水性ドメインは、Gly−Ala−G
ly−Ala−Gly−Serの繰り返しヘキサペプチド配列とGly−Ala/Ser
/Tyrジペプチドの繰り返しを含み、これにより、安定した逆平行シート結晶子を形成
することができる。L鎖のアミノ酸配列は非繰り返し的であるので、L鎖は、より親水性
が高く、比較的弾性がある。絹フィブロイン分子の親水性(Tyr,Ser)及び疎水性
(Gly,Ala)鎖セグメントは、絹フィブロイン分子の自己組織化を可能にするよう
に交互に配列される。
【0069】 10
 本明細書では、様々な用途のために複数の産業に亘って使用することができる純粋且つ
高度にスケーラブルな絹フィブロイン−タンパク質断片混合溶液を生成するための方法が
提供される。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、これらの方法は、本明
細書に記載の任意のSPF(組換え絹タンパク質を含むがこれに限定されない)の断片化
、及び絹様又はフィブロイン様タンパク質の断片化に等しく適用可能であると考えられる

【0070】
 本明細書においては、用語「フィブロイン」は、カイコフィブロイン及び昆虫又はクモ
のシルクタンパク質を含む。実施形態では、フィブロインは、Bombyxmoriから
得られる。Bombyxmoriの生絹は、絹フィブロイン(約75%)とセリシン(約 20
25%)の2種類の主要タンパク質で構成される。絹フィブロインは、剛性と強度を提供
する半結晶構造を有する繊維状タンパク質である。本明細書においては、用語「絹フィブ
ロイン」は、約37万Daの重量平均分子量を有するBombyxmoriの繭の繊維を
意味する。これらの不溶性絹フィブロインフィブリルの、水溶性絹フィブロインタンパク
質断片への変換は、濃縮中性塩(例えば、8∼10Mの臭化リチウム)の添加を必要とし
、これが、フィブロインタンパク質を水に対して不溶性にする、分子間及び分子内のイオ
ン結合及び水素結合に干渉する。絹フィブロインタンパク質断片の製造方法、及び/又は
その組成物は知られており、例えば、米国特許第9,187,538号明細書、同第9,
511,012号明細書、同第9,517,191号明細書、同第9,522,107号
明細書、同第9,522,108号明細書、同第9,545,369号明細書、及び同第 30
10,166,177号明細書に記載されている。
【0071】
 カイコBombyxmoriの生絹繭を細断した。細断した絹の繭をNa2CO3の水
溶液中で、約100℃で約60分間処理して、セリシンを除去した(脱ガム)。水の使用
量は、生絹の重量の約0.4倍に相当し、Na2CO3の量は、生絹繭片の重量の約0.
848倍である。得られた脱ガム後の絹繭片を、約60℃にて3回脱イオン水で濯いだ(
濯ぎごとに20分間)。各サイクルの濯ぎ水の量は、0.2L×生絹繭片の重量とした。
脱ガム後の絹繭片から余分な水分を除去した。DI水洗浄工程の後、湿った脱ガム後絹繭
片を室温で乾燥した。脱ガム後絹繭片をLiBr溶液と混合し、混合物を約100℃に加
熱した。加温混合物をドライオーブンに入れ、約100℃で約60分間加熱して、天然の 40
絹タンパク質を完全に溶解させた。得られた絹フィブロイン溶液を濾過し、接線流濾過(
TFF)及び10kDaメンブレンを使用して脱イオン水に対して72時間透析した。得
られた絹フィブロイン水溶液の濃度は、約8.5重量%である。次いで、8.5%の絹溶
液を水で希釈して、1.0%w/vの絹溶液を得た。次いで、TFFを使用して、純粋な
絹溶液を、水に対して20.0%w/w絹の濃度に更に濃縮することができる。
【0072】
 一連の水の交換による絹の透析は、手動で時間のかかるプロセスであるが、透析に先立
ち、絹溶液を希釈するなど、特定のパラメータを変更することにより加速することができ
る。透析プロセスは、半自動装置、例えば接線流濾過システムを使用することにより、製
造のためにスケールアップすることができる。 50
(36) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0073】
 いくつかの実施形態では、絹溶液は、90℃で30分間、90℃で60分間、100℃
で30分間、及び100℃で60分間などの様々な調製条件パラメータの下で調製される
。簡単に説明すると、9.3MのLiBrを調製し、室温で少なくとも30分間放置した
。5mLのLiBr溶液を1.25gの絹に添加し、60℃のオーブンに入れた。各セッ
トのサンプルは、4、6、8、12、24、168、及び192時間で取り出した。
【0074】
 いくつかの実施形態では、絹溶液は、90℃で30分間、90℃で60分間、100℃
で30分間、及び100℃で60分間などの様々な調製条件パラメータの下で調製される
。簡単に説明すると、9.3MのLiBr溶液を、60℃、80℃、100℃、又は沸騰 10
の4つの温度のいずれかまで加熱した。5mLの温LiBr溶液を1.25gの絹に添加
し、60℃のオーブンに入れた。各セットのサンプルは、1、4、及び6時間で取り出し
た。
【0075】
 いくつかの実施形態では、絹溶液は、例えば、以下のような様々な調製条件パラメータ
の下で調製される。次の4種類の異なる絹抽出条件を用いた:90℃で30分間、90℃
で60分間、100℃で30分間、及び100℃で60分間。簡単に説明すると、9.3
MのLiBr溶液を、60℃、80℃、100℃、又は沸騰の4つの温度のいずれかまで
加熱した。5mLの温LiBr溶液を1.25gの絹に添加し、LiBrと同温のオーブ
ンに入れた。各セットのサンプルは、1、4、及び6時間で取り出した。各サンプル1m 20
Lを、7.5mLの9.3MのLiBrに添加し、粘度試験のために冷蔵した。
【0076】
 いくつかの実施形態では、SPFは、未加工で未洗浄の、部分的に洗浄された、又は洗
浄済みのカイコ繊維を、中性の臭化リチウム塩で溶解することによって得られる。未加工
のカイコシルクは、セリシンを除去し、断片混合物の所望の重量平均分子量(MW)及び
多分散性(PD)を達成するために、選択された温度及び他の条件下で処理される。プロ
セスパラメータの選択は、使用目的に応じて、明確な最終絹タンパク質断片特性を達成す
るために変更することができる。結果として得られる最終断片溶液は、100万分の1(
ppm)から検出不能なレベルのプロセス汚染物質を含む絹フィブロインタンパク質断片
と水であり、医薬品、医療及び消費者のアイケア市場で許容されるレベルである。SPF 30
の濃度、サイズ、及び多分散性は、使用目的と性能要件に応じて更に変更することができ
る。
【0077】
 図16は、本開示の純粋な絹フィブロインタンパク質断片(SPF)を生成するための
様々な実施形態を示すフローチャートである。図示した工程の全てが、本開示の全ての絹
溶液を製造するために必ずしも必要とされる訳ではないことを理解すべきである。図16
に示されるように、工程A、繭(熱処理後又は熱処理前)、絹繊維、絹粉末、クモシルク
、又は組換えクモシルクを絹源として使用することができる。Bombyxmoriの生
絹繭を開始物質として用いる場合、繭を小片、例えばほぼ同一サイズの断片に切断するこ
とができる(工程B1)。次いで、生絹を抽出し、濯いでセリシンを除去する(工程C1 40
a)。これにより、実質的にセリシンを含まない生絹が得られる。実施形態では、水を8
4℃∼100℃(理想的には沸騰)の温度に加熱し、次いで、Na2CO3(炭酸ナトリ
ウム)を、Na2CO3が完全に溶解するまで沸騰水に添加する。生絹を沸騰水/Na2
CO3(100℃)に添加し、約15∼90分間浸漬する。より長い時間煮沸すると、絹
タンパク質の断片がより小さくなる。実施形態では、水の体積は、約0.4×生絹重量に
等しく、Na2CO3量は、約0.848×生絹重量に等しい。実施形態では、水の体積
は、生糸重量の0.1×生絹重量に等しく、Na2CO3量は、2.12g/Lに維持さ
れる。
【0078】
 続いて、水に溶解したNa2CO3溶液を排出し、過剰な水/Na2CO3を絹フィブ 50
(37) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ロイン繊維から除去する(例えば、手、機械を使用するスピンサイクルなどによりフィブ
ロイン抽出物を濯ぎ除去する(ring out))。得られた絹フィブロイン抽出物を
温水から熱水で濯いで、残存している吸着セリシン又は汚染物質を、典型的には、約40
℃∼約80℃の温度範囲で除去し、水の体積を少なくとも1回変更する(必要に応じて多
数回繰り返す)。得られた絹フィブロイン抽出物は、実質的にセリシンが低減された絹フ
ィブロインである。実施形態では、得られた絹フィブロイン抽出物を、約60℃の温度に
て水で濯ぐ。実施形態では、各サイクルの濯ぎ水の体積は、0.1L∼0.2L×生絹重
量に等しい。濯ぎ効果を最大にするために、濯ぎ水を攪拌、回転、又は循環させることが
有利なことがある。濯ぎ後、抽出された絹フィブロイン繊維から余分な水が除去される(
例えば、手又は機械を使用してフィブロイン抽出物をリングアウトする)。或いは、圧力 10
、温度、若しくは他の試薬、又はそれらの組合せなどの当業者に知られた方法を、セリシ
ン抽出の目的で使用することができる。或いは、絹糸腺(100%セリシンフリーの絹タ
ンパク質)を、ワーム(worm)から直接取り除くこともできる。これにより、タンパ
ク質構造の変化を伴わずに、セリシンを含まない液体絹タンパク質が得られる。
【0079】
 次いで、抽出されたフィブロイン繊維を完全に乾燥させる。乾燥したら、抽出した絹フ
ィブロインを、周囲温度と沸騰温度との間の温度で絹フィブロインに添加される溶媒を使
用して溶解する(工程C1b)。実施形態では、溶媒は、臭化リチウム(LiBr)の溶
液である(LiBrの沸騰は、140℃で生じる)。或いは、抽出したフィブロイン繊維
を乾燥せずに湿らせて溶媒に入れる。次いで、溶媒濃度を変化させて、乾燥させた絹を溶 20
媒に添加するときと同様の濃度を達成することができる。LiBr溶媒の最終濃度は、0
.1M∼9.3Mであり得る。抽出されたフィブロイン繊維の完全な溶解は、溶解溶媒の
濃度と共に処理時間及び温度を変えることによって達成することができる。他の溶媒をも
ちいてもよく、例えば、リン酸塩、リン酸、硝酸カルシウム、塩化カルシウム溶液又は無
機塩の他の濃縮水溶液が挙げられるが、これらに限定されない。完全に溶解させるには、
絹繊維を予め加熱した溶媒溶液に完全に浸漬し、約60℃∼約140℃の温度で1∼16
8時間維持する必要がある。実施形態では、絹繊維は、溶媒溶液内に完全に浸漬され、次
いで、約100℃の温度で約1時間、乾燥オーブンに入れる必要がある。
【0080】
 絹フィブロイン抽出物がLiBr溶液に添加される(又はその逆)の際の温度は、フィ 30
ブロインを完全に溶解するのに必要な時間、及び最終的なSPF混合溶液の分子量と多分
散性に影響を与える。実施形態では、絹溶媒溶液濃度は、20%w/v以下である。更に
、導入又は溶解中の攪拌を使用して、様々な温度及び濃度での溶解を促進することができ
る。LiBr溶液の温度は、作製される絹タンパク質断片混合物の分子量と多分散性を制
御する。実施形態では、温度がより高いと、絹をより迅速に溶解し、プロセスのスケーラ
ビィティを高め、絹溶液の大量生産を提供する。実施形態では、80℃∼140℃の温度
に加熱されたLiBr溶液を使用することにより、完全な溶解を達成するためのオーブン
中で必要とされる時間が短縮される。溶解溶媒の60℃以上で時間と温度を変化させると
、ネイティブな絹フィブロインタンパク質の元の分子量から形成されたSPF混合溶液の
MWと多分散性を変化させ且つ制御する。 40
【0081】
 或いは、繭全体を、抽出を行わずに、LiBrなどの溶媒に直接入れることもできる(
工程B2)。これは、後に、カラム分離及び/又はクロマトグラフィー、イオン交換、塩
及び/又はpHによる化学沈殿、及び又は酵素消化及び濾過又は抽出などの疎水性及び親
水性タンパク質を分離するための当技術分野で知られている方法を使用して、絹及び溶媒
溶液からのシルクワーム粒子の濾過及びセリシン除去を必要とする(工程C2)。これら
の方法はいずれも、標準的なタンパク質分離方法の一般的な例であるが、限定されるもの
ではない。或いは、カイコを除去した熱処理されていない繭を、抽出を行わずに、LiB
rなどの溶媒に入れることもできる。前記方法は、セリシンの分離に使用することができ
、熱処理されていない繭に含まれるワームの破片が著しく少ないという利点を有する。 50
(38) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0082】
 透析は、その溶液を、ある体積の水に対して透析させることによって、得られる溶解し
たフィブロインタンパク質断片溶液から、溶解溶媒を除去する(工程E1)ために使用す
ることができる。透析の前の予備濾過は、絹及びLiBr溶液から、残骸(即ち、カイコ
の残り)を除去する(工程D)助けとなる。一例では、透析及び望むなら可能性のある濃
縮の前に、0.1%∼1.0%絹−LiBr溶液を濾過するために、3μm又は5μmの
フィルタを200∼300mL/minの流量で使用する。上述したような、本明細書で
開示する方法は、特に、スケールアップ可能なプロセス法をもたらすことを考慮した場合
、濾過及び下流での透析が容易になるように、濃度を、9.3MのLiBrから、0.1
M∼9.3Mの範囲に低下させるために時間及び/又は温度を使用することである。或い 10
は、追加的な時間又は温度を用いることなく、9.3MのLiBr−絹タンパク質断片溶
液を、水で希釈して残骸濾過及び透析を容易にすることができる。所望の時間及び温度の
濾過での溶解の結果は、公知のMW及び多分散性の半透明粒子フリーの室温での保管安定
性のある(shelf−stable)絹タンパク質断片LiBr溶液である。溶媒が除
去されるまで、透析水を定期的に変える(例えば、1時間、4時間後に水を変え、次いで
12時間毎に合計6回水を変える)ことが有利である。水体積変更の総数は、絹タンパク
質溶解及び断片化のために使用される溶媒の得られる濃度をもとにして、変動させること
ができる。透析後、最終絹溶液を更に濾過して、残留する残骸(即ち、カイコの残り)を
除去することができる。
【0083】 20
 或いは、生体分子の分離及び精製のための迅速で効率的な方法である接線流濾過(TF
F)を、得られる溶解フィブロイン溶液から溶媒を除去する(工程E2)のに使用するこ
とができる。TFFは、非常に純粋な絹タンパク質断片水溶液を提供し、制御された繰り
返し可能な仕方で、大容積の溶液をもたらすためのプロセスのスケールアップ可能性を可
能にする。TFFの前に、絹及びLiBrの溶液を希釈することができる(水か又はLi
Brの中で20%∼0.1%絹へ)。TFF処理の前での上述したような予備濾過は、フ
ィルタ効率を維持することができ、残骸粒子の存在の結果としての、フィルタの表面上で
の絹ゲル境界層の発生を潜在的に回避させる。TFFの前の予備濾過はまた、得られる水
だけの溶液の自然発生的又は長期的なゲル化を引き起こす可能性のある、絹及びLiBr
溶液から残留する残骸(即ち、カイコの残り)を除去する(工程D)助けにもなる。再循 30
環させるか又はワンパス(single pass)のTFFは、0.1%絹∼30.0
%絹(より好ましくは0.1%∼6.0%絹)の範囲の水−絹タンパク質断片溶液を作製
するために使用することができる。溶液中での絹タンパク質断片混合物の所望の濃度、分
子量及び多分散性に基づいて、異なるカットオフサイズのTFF膜を必要とする可能性が
ある。1∼100kDaの範囲の膜は、例えば、抽出煮沸時間の長さ、又は溶解溶媒(例
えば、LiBr)中での時間及び温度を変動させることによって作製される分子量絹溶液
を変動させるのに必要である可能性がある。一実施形態では、TFF5又は10kDaの
膜は、絹タンパク質断片混合溶液を精製し、最終的な所望の絹と水の比をもたらすために
使用される。その上に、TFFワンパス、TFF、及び流下膜式蒸発器などの当業界で公
知の他の方法を、溶解溶媒(例えば、LiBr)の除去に続いて、溶液を濃縮するために 40
使用することができる(0.1%∼30%絹の範囲の所望濃度が得られる)。これは、水
ベースの溶液を作製するために当業界で公知の標準的なHFIP濃度法の代替法として使
用することができる。より大きい細孔膜を、小さい絹タンパク質断片を濾別し、よりタイ
トな多分散性の値を有する及び/又は有しないより高分子量の絹の溶液を作製するために
利用することもできる。
【0084】
 LiBr及びNa2CO3検出のためのアッセイは、蒸発光散乱検出器(ELSD)を
備えたHPLCシステムを使用して実施することができる。計算は、濃度に対してプロッ
トされた被分析物についての得られたピーク面積の線形回帰によって実施した。本開示の
いくつかの処方物のうちの2つ以上のサンプルを、サンプル調製及び分析のために使用し 50
(39) JP 2022-529644 A 2022.6.23

た。一般に、異なる処方物の4つのサンプルを、10mL容量フラスコ中に直接量り込ん
だ。サンプルを5mLの20mMギ酸アンモニウム(pH3.0)に懸濁し、時々振とう
しながら2∼8℃で2時間維持して、フィルムから検体を抽出した。2時間後、溶液を2
0mMギ酸アンモニウム(pH3.0)で希釈した。メスフラスコのサンプル溶液をHP
LCバイアルに移し、炭酸ナトリウムと臭化リチウムの推定のためHPLC−ELSDシ
ステムに注入した。
【0085】
 絹タンパク質処方物中のNa2CO3及びLiBrを定量化するために開発された分析
手法は、10∼165μg/mLの範囲で線形であることが分かった。注入精度のRSD
は、それぞれ炭酸ナトリウム及び臭化リチウムについて、面積では2%及び1%であり、 10
保持時間では0.38%及び0.19%であった。この分析手法は、絹タンパク質処方物
中の炭酸ナトリウム及び臭化リチウムの定量的決定に適用することができる。
【0086】
 図17は、抽出及び溶解工程の際に、本開示の絹タンパク質断片溶液を作製するプロセ
スの間に改変することができる種々のパラメータを示すフローチャートである。選択方法
のパラメータは、目的とする用途、例えば分子量及び多分散性に応じて明確な最終溶液の
特徴を達成するように変更することができる。例示した工程の全てが、必ずしも、本開示
の全ての絹溶液を加工するために必要とされる訳ではないことを理解すべきである。
【0087】
 実施形態では、以下の工程にしたがって、広範な用途に有用な絹タンパク質断片が調製 20
される。即ち、カイコBombyxmoriから絹繭の断片を形成する工程、Na2CO
3水溶液中、約100℃で約60分間、その断片を抽出する工程(ここで、水の体積は約

0.4×未加工の絹重量と等しく、Na2CO3の量は約0.848×絹フィブロイン抽
出物を形成させるための断片重量である);濯ぎ水の体積で、1濯ぎ当たり約60℃で約
20分間、絹フィブロイン抽出物を3回濯ぐ工程と(各サイクルについての濯ぎ水は約0
.2L×断片重量に等しい);過剰の水を、絹フィブロイン抽出物から除去する工程と、
絹フィブロイン抽出物を乾燥する工程と、乾燥絹フィブロイン抽出物をLiBr溶液に溶
解する工程と(LiBr溶液を最初に約100℃に加熱して絹及びLiBr溶液を作製し
、これを維持する);絹及びLiBr溶液を、乾燥オーブン中に約100℃で約60分間
置いて完全な溶解、並びに所望の分子量及び多分散性を有する混合物への天然の絹タンパ 30
ク質構造の更なる断片化を達成する工程と、その溶液を濾過してカイコから残留する残骸
を除去する工程と、その溶液を水で希釈して1.0重量%絹溶液を得る工程と、接線流濾
過(TFF)を使用してその溶液から溶媒を除去する工程とを含む。一実施形態では、絹
溶液を精製するために10kDaの膜を利用し、最終的な所望の絹と水の比をもたらす。
次いで、TFFを使用して、絹溶液を、水中2.0重量%の濃度の絹に更に濃縮すること
ができる。
【0088】
 何ら特定の理論に拘束されることを望むものではないが、抽出(即ち、時間及び温度)
、LiBr(即ち、絹フィブロイン抽出物に添加する又はその逆の場合のLiBr溶液の
温度)及び溶解(即ち、時間及び温度)パラメータを変動させると、異なる粘度、均一性 40
及び色を有する溶媒及び絹溶液がもたらされる。また、何ら特定の理論に拘束されること
を望むものではないが、抽出のための温度を上昇させること、抽出時間を延長すること、
絹を溶解させる場合、出現時及び長期に亘って、より高い温度のLiBr溶液を使用する
こと(例えば、ここで示すようなオーブン中、又は代替の熱源)の温度での時間を延ばす
ことは、いずれも、粘性がより低く、より均一な溶媒及び絹溶液をもたらす。
【0089】
 抽出工程は、そこで60℃∼100℃の温度が維持される、より大きな容器、例えば工
業用洗浄機械中で遂行することができる。濯ぎ工程を、マニュアルでの濯ぎサイクルを排
除する工業用洗浄機械において遂行することもできる。LiBr溶液中への絹の溶解は、
対流式オーブン以外の容器、例えば撹拌槽型反応器中で行うことができる。一連の水の変 50
(40) JP 2022-529644 A 2022.6.23

更によって絹を透析する工程はマニュアルであり、時間集中的なプロセスである。これは
、特定のパラメータを変更すること、例えば透析前に絹溶液を希釈することによって加速
することができる。透析プロセスは、半自動装置、例えば接線流濾過システムを使用する
ことによって、製造のためにスケールアップすることができる。
【0090】
 抽出(即ち、時間及び温度)、LiBr(即ち、絹フィブロイン抽出物に添加する又は
その逆の場合のLiBr溶液の温度)及び溶解(即ち、時間及び温度)パラメータを変動
させると、異なる粘度、均一性及び色を有する溶媒及び絹溶液がもたらされる。抽出のた
めの温度を上昇させること、抽出時間を延長すること、絹を溶解させる場合、出現時及び
長期に亘って、より高い温度のLiBr溶液を使用すること(例えば、ここで示すような 10
オーブン中、又は代替の熱源)の温度での時間を延ばすことは、いずれも、粘性がより低
く、より均一な溶媒及び絹溶液をもたらす。殆ど全てのパラメータは実行可能な絹溶液を
もたらすが、4∼6時間より短い時間で完全な溶解を達成させるような方法が、プロセス
スケールアップ可能性のために好ましい。
【0091】
 実施形態では、約6kDa∼約17kDaの重量平均を有する絹フィブロインタンパク
質断片の溶液は、以下の工程にしたがって調製される:絹源を沸騰(100℃)炭酸ナト
リウム水溶液に、約30分間∼約60分間の処理時間添加することによって絹源を脱ガム
する;溶液からセリシンを除去して、検出不能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン
抽出物を生成する;絹フィブロイン抽出物から溶液を排出させる;臭化リチウム溶液に絹 20
フィブロイン抽出物を入れるときの開始温度約60℃∼約140℃を有する臭化リチウム
の溶液に絹フィブロイン抽出物を溶解する;絹フィブロイン−臭化リチウムの溶液を約1
40℃のオーブンで最大1時間維持する;絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去
する;絹タンパク質断片の水溶液を生成する。ここで、前記水溶液は、約6kDa∼約1
7kDaの重量平均分子量と、1∼約5又は約1.5∼約3.0の多分散性とを有する断
片を含む。前記方法は、溶解工程の前に絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを更に含
むことができる。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィ
ー臭化リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残留
物を含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー
炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残 30
留物を含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は凍結乾燥することができる。
いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片溶液は、ゲル、粉末、及びナノ
ファイバーを含む様々な形態に更に加工することができる。
【0092】
 実施形態では、約17kDa∼約39kDaの重量平均分子量を有する絹フィブロイン
タンパク質断片の溶液は、以下の工程にしたがって調製される:絹源を沸騰(100℃)
炭酸ナトリウム水溶液に、約30分間∼約60分間の処理時間添加することによって脱ガ
ムする;溶液からセリシンを除去して、検出不能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイ
ン抽出物を生成する;絹フィブロイン抽出物から溶液を排出させる;臭化リチウム溶液に
絹フィブロイン抽出物を入れるときの開始温度約80℃∼約140℃を有する臭化リチウ 40
ムの溶液に絹フィブロイン抽出物を溶解する;絹フィブロイン−臭化リチウムの溶液を約
60℃∼約100℃のオーブンで最大1時間維持する;絹フィブロイン抽出物から臭化リ
チウムを除去する;絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を生成する。ここで、絹フィ
ブロインタンパク質断片の水溶液は、約10ppm∼約300ppmの臭化リチウム残留
物を含み、絹タンパク質断片の水溶液は、約10ppm∼約100ppmの炭酸ナトリウ
ム残留物を含み、絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、約17kDa∼約39kD
aの重量平均分子量と、1∼約5又は約1.5∼約3.0の多分散性とを有する断片を含
む。前記方法は、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを更に含むこ
とができる。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭
化リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残留物を 50
(41) JP 2022-529644 A 2022.6.23

含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸
ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残留物
を含み得る。
【0093】
 いくつかの実施形態では、約6kDa∼約17kDaの平均重量分子量を有する絹フィ
ブロインタンパク質断片の水溶液を調製するための方法は、以下の工程を含む:絹源を沸
騰(100℃)炭酸ナトリウム水溶液に、約30分間∼約60分間の処理時間添加するこ
とによって脱ガムする;溶液からセリシンを除去して、検出不能なレベルのセリシンを含
む絹フィブロイン抽出物を生成する;絹フィブロイン抽出物から溶液を排出させる;臭化
リチウム溶液に絹フィブロイン抽出物を入れるときの開始温度約60℃∼約140℃を有 10
する臭化リチウムの溶液に絹フィブロイン抽出物を溶解する;絹フィブロイン−臭化リチ
ウムの溶液を約140℃のオーブンで少なくとも1時間維持する;絹フィブロイン抽出物
から臭化リチウムを除去する;絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を生成する。前記
方法は、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを更に含むことができ
る。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化
リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残留物を含
み得る。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー
炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残
留物を含み得る。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に治療薬を
添加することを更に含むことができる。前記方法は、抗酸化剤又は酵素のうちの1つから 20
選択される分子を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを更に
含むことができる。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液にビタミ
ンを添加することを更に含むことができる。ビタミンは、ビタミンC又はその誘導体であ
り得る。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、凍結乾燥することができる。
前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に、アルファヒドロキシ酸を
添加することを更に含むことができる。アルファヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、
酒石酸、及びクエン酸からなる群から選択することができる。前記方法は、純粋な絹フィ
ブロインタンパク質断片の水溶液に、約0.5%∼約10.0%の濃度で、ヒアルロン酸
又はその塩形態を添加することを更に含むことができる。前記方法は、酸化亜鉛又は二酸
化チタンのうちの少なくとも1つを添加することを更に含むことができる。前記方法で製 30
造された純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液からフィルムを製造することがで
きる。前記フィルムは、約1.0重量%∼約50,0重量%のビタミンC又はその誘導体
を含み得る。前記フィルムは、約2.0重量%∼約20.0重量%の含水量を有し得る。
前記フィルムは、約30.0重量%∼約99.5重量%の純粋な絹フィブロインタンパク
質断片を含む得る。ゲルは、前記方法で生成された純粋な絹フィブロインタンパク質断片
の水溶液から製造することができる。前記ゲルは、約0.5重量%∼約20.0重量%の
ビタミンC又はその誘導体を含み得る。前記ゲルは、少なくとも2%の絹含量と、少なく
とも20%のビタミン含量とを有し得る。
【0094】
 いくつかの実施形態では、約17kDa∼約39kDaの平均重量平均分子量を有する 40
絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を調製するための方法は、以下の工程を含む:絹
源を沸騰(100℃)炭酸ナトリウム水溶液に、約30分間∼約60分間の処理時間添加
することによって脱ガムする;溶液からセリシンを除去して、検出不能なレベルのセリシ
ンを含む絹フィブロイン抽出物を生成する;絹フィブロイン抽出物から溶液を排出させる
;臭化リチウム溶液に絹フィブロイン抽出物を入れるときの開始温度約80℃∼約140
℃を有する臭化リチウムの溶液に絹フィブロイン抽出物を溶解する;絹フィブロイン−臭
化リチウムの溶液を約60℃∼約100℃のオーブンで少なくとも1時間維持する;絹フ
ィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する;絹フィブロインタンパク質断片の水溶液
を生成する。ここで、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、約10ppm∼
約300ppmの臭化リチウム残留物を含み、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水 50
(42) JP 2022-529644 A 2022.6.23

溶液は、約10ppm∼約100ppmの炭酸ナトリウム残留物を含み、純粋な絹フィブ
ロインタンパク質断片の水溶液は、約17kDa∼約39kDaの重量平均分子量と、1
∼約5又は約1.5∼約3.0の多分散性とを有する断片を含む。前記方法は、溶解工程
の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを更に含むことができる。純粋な絹フィ
ブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイ
を使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残留物を含み得る。純粋な絹
フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムア
ッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残留物を含み得る。
前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に治療薬を添加することを更
に含むことができる。前記方法は、抗酸化剤又は酵素のうちの1つから選択される分子を 10
、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを更に含むことができる
。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液にビタミンを添加すること
を更に含むことができる。ビタミンは、ビタミンC又はその誘導体であり得る。純粋な絹
フィブロインタンパク質断片の水溶液は、凍結乾燥することができる。前記方法は、純粋
な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に、アルファヒドロキシ酸を添加することを更
に含むことができる。アルファヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、酒石酸、及びクエ
ン酸からなる群から選択することができる。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク
質断片の水溶液に、約0.5%∼約10.0%の濃度で、ヒアルロン酸又はその塩形態を
添加することを更に含むことができる。前記方法は、酸化亜鉛又は二酸化チタンのうちの
少なくとも1つを添加することを更に含むことができる。前記方法で製造された純粋な絹 20
フィブロインタンパク質断片の水溶液からフィルムを製造することができる。前記フィル
ムは、約1.0重量%∼約50.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。前記
フィルムは、約2.0重量%∼約20.0重量%の含水量を有し得る。前記フィルムは、
約30.0重量%∼約99.5重量%の純粋な絹フィブロインタンパク質断片を含む得る
。ゲルは、前記方法で生成された純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液から製造
することができる。前記ゲルは、約0.5重量%∼約20.0重量%のビタミンC又はそ
の誘導体を含み得る。前記ゲルは、少なくとも2%の絹含量と、少なくとも20%のビタ
ミン含量とを有し得る。
【0095】
 いくつかの実施形態では、約39kDa∼約80kDaの重量平均分子量を有する絹フ 30
ィブロインタンパク質断片の溶液は、以下の工程にしたがって調製される:絹源を沸騰(
100℃)炭酸ナトリウム水溶液に、約30分間の処理時間添加することによって脱ガム
する;溶液からセリシンを除去して、検出不能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン
抽出物を生成する;絹フィブロイン抽出物から溶液を排出させる;臭化リチウム溶液に絹
フィブロイン抽出物を入れるときの開始温度約80℃∼約140℃を有する臭化リチウム
の溶液に絹フィブロイン抽出物を溶解する;絹フィブロイン−臭化リチウムの溶液を約6
0℃∼約100℃のオーブンで最大1時間維持する;絹フィブロイン抽出物から臭化リチ
ウムを除去する;絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を生成する。ここで、絹フィブ
ロインタンパク質断片の水溶液は、約10ppm∼約300ppmの臭化リチウム残留物
、約10ppm∼約100ppmの炭酸ナトリウム残留物、約39kDa∼約80kDa 40
の重量平均分子量と、1∼約5又は約1.5∼約3.0の多分散性とを有する断片を含む
。前記方法は、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを更に含むこと
ができる。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化
リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残留物を含
み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナ
トリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残留物を
含み得る。いくつかの実施形態では、前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片
の水溶液に活性剤(例えば、治療薬)を添加することを更に含むことができる。前記方法
は、抗酸化剤又は酵素のうちの1つから選択される分子を、純粋な絹フィブロインタンパ
ク質断片の水溶液に添加することを更に含むことができる。前記方法は、純粋な絹フィブ 50
(43) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ロインタンパク質断片の水溶液にビタミンを添加することを更に含むことができる。ビタ
ミンは、ビタミンC又はその誘導体であり得る。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の
水溶液は、凍結乾燥することができる。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断
片の水溶液に、アルファヒドロキシ酸を添加することを更に含むことができる。アルファ
ヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、酒石酸、及びクエン酸からなる群から選択するこ
とができる。前記方法は、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に、約0.5%
∼約10.0%の濃度で、ヒアルロン酸又はその塩形態を添加することを更に含むことが
できる。前記方法は、酸化亜鉛又は二酸化チタンのうちの少なくとも1つを添加すること
を更に含むことができる。前記方法で製造された純粋な絹フィブロインタンパク質断片の
水溶液からフィルムを製造することができる。前記フィルムは、約1.0重量%∼約50 10
.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。前記フィルムは、約2.0重量%∼
約20.0重量%の含水量を有し得る。前記フィルムは、約30.0重量%∼約99.5
重量%の純粋な絹フィブロインタンパク質断片を含む得る。ゲルは、前記方法で生成され
た純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液から製造することができる。前記ゲルは
、約0.5重量%∼約20.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。前記ゲル
は、少なくとも2重量%の絹含量と、少なくとも20重量%のビタミン含量とを有し得る

【0096】
 絹タンパク質断片の分子量は、抽出時間及び温度を含む抽出工程の際に使用される特定
のパラメータ;臭化リチウム中への絹の浸漬時のLiBr温度、及びその溶液を特定の温 20
度で維持する時間を含む溶解工程の際に使用される特定のパラメータ;並びに濾過工程の
際に使用される特定のパラメータに基づいて制御することができる。開示する方法を用い
てプロセスパラメータを制御することによって、5kDa∼200kDa又は10kDa
∼80kDaの様々な異なる分子量で2.5以下の多分散性を有する絹フィブロインタン
パク質溶液を作製することができる。異なる分子量を有する絹溶液を達成するためにプロ
セスパラメータを変更することによって、2.5以下の所望の多分散性を有するある範囲
の断片混合物最終製品を、所望の性能要件に基づいて、目的とすることができる。例えば
、眼薬を含む高分子量の絹フィルムは、低分子量のフィルムよりも遅い放出速度に制御で
き、アイケア製品における送達ビヒクルとして理想のものとすることができる。更に、2
.5超の多分散性を有する絹フィブロインタンパク質溶液を達成することができる。更に 30
、平均分子量及び多分散性が異なる2種類の溶液を混合して、組合せ溶液を作製すること
ができる。或いは、ワームから直接取り出された液体絹糸腺(100%セリシンフリーの
絹タンパク質)を、本開示の絹フィブロインタンパク質断片溶液のいずれかと併用するこ
とができる。純粋な絹フィブロインベースのタンパク質断片組成物の分子量は、屈折率検
出器(RID)を備えた高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して決定した。
多分散性は、Cirrus GPCオンラインGPC/SECソフトウェアバージョン3
.3(Agilent)を使用して計算した。
【0097】
 処理パラメータが異なると、分子量が様々な再生絹フィブロイン、及びペプチド鎖サイ
ズ分布(多分散性、PD)を生じることがある。これは、続いて、機械的強度、水溶性な 40
どの、再生絹フィブロインの性能に影響を及ぼす。
【0098】
 未加工の絹繭を処理して絹溶液にする際にパラメータを変動させた。これらのパラメー
タの変動は、得られる絹溶液のMWに影響を及ぼした。操作したパラメータには、(i)
抽出の時間及び温度、(ii)LiBrの温度、(iii)溶解オーブンの温度、及び(
iv)溶解時間が含まれた。抽出時間を変動させた効果を判定するために実験を実施した
。表1∼表7に結果をまとめる。以下がそのまとめである。
 − 30分間のセリシン抽出時間は、60分間のセリシン抽出時間より大きい分子量を
もたらした
 − 分子量は、オーブン中での時間と共に減少する 50
(44) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 − 140℃ LiBr及びオーブンは、9500Daの分子量より低い信頼区間のロ
ーエンドをもたらした
 − 1時間及び4時間の時点での30min抽出は、絹を消化しなかった
 − 1時間時点での30min抽出は、35,000Daという信頼区間のローエンド
を有する有意に高い分子量をもたらした
 − 信頼区間のハイエンドに達した分子量の範囲は、18000∼216000Da(
特定の上限値を有する溶液を提供するために重要である)であった
【表1】

【表2】

【表3】
(45) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【表4】

【表5】

【表6】

【0099】 40
 抽出温度を変動させた効果を判定するために実験を実施した。表7にその結果をまとめ
る。以下がそのまとめである。
 − 90℃でのセリシン抽出は、100℃でのセリシン抽出より高いMWをもたらした
 − 90℃と100℃はいずれも、オーブン中で経時的にMWを低下させることを示す
(46) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【表7】

【0100】
 絹に添加する場合の臭化リチウム(LiBr)温度を変動させた効果を判定するために
実験を実施した。表8∼表9にその結果をまとめる。以下がそのまとめである:
 − 分子量又は信頼区間に対する影響はなし(全て、CI∼10500∼6500Da

 − 試験は、LiBrが添加され、溶解し始めると、室温でその質量の大部分が絹であ
るため、LiBr−絹溶解の温度は元のLiBr温度を下回って急激に低下することを示 20

【表8】
(47) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【表9】

【0101】
 オーブン/溶解温度の効果を判定するために実験を実施した。表10∼表14にその結
果をまとめる。以下がそのまとめである:
 − オーブン温度は、30min抽出した絹より、60min抽出した絹について、よ
り効果が小さい。理論に拘束されることを望むものではないが、30min絹は、抽出の
際の分解がより小さく、したがってオーブン温度は、より大きいMWに対してより大きい
効果を示しており、絹の分解部分がより少ないと考えられる。 20
 − 60℃対140℃オーブンについて、30min抽出した絹は、より高いオーブン
温度で、より低いMWの非常に有意な効果を示し、60min抽出した絹は、効果はあっ
たがそれは遥かに小さいものであった
 − 140℃オーブンは、∼6000Daで信頼区間におけるローエンドをもたらした
【表10】
(48) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【表11】

【表12】

【表13】
(49) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【表14】

【0102】
 カイコBombyxmoriの生絹繭を細断した。生絹繭をNa2CO3水溶液(約1
00℃)で約30分間∼約60分間煮沸し、セリシンを除去(脱ガム)した。使用した水
の体積は、約0.4×生絹重量に相当し、Na2CO3の量は、約0.848×生絹繭断
片の重量である。得られた脱ガム後の絹繭片を、約60℃にて3回脱イオン水で濯いだ( 20
濯ぎごとに20分間)。各サイクルの濯ぎ水の体積は、0.2L×生絹繭片の重量とした
。脱ガム後の絹繭片から余分な水を除去した。DI水洗浄工程の後、湿った脱ガム後の絹
繭片を室温で乾燥させた。脱ガム後の絹繭片をLiBr溶液と混合し、混合物を約100
℃に加熱した。温めた混合物を乾燥オーブンに入れ、約60℃∼約140℃の温度で約6
0分間加熱して、ネイティブな絹タンパク質の完全溶解を達成した。得られた溶液を室温
まで冷却した後、透析して、3,500DaのMWCO膜を使用してLiBr塩を除去し

た。臭化オークトン(Br )二重接合イオン選択性電極(Oakton Bromid

e (Br ) double−junction ion−selective el

ectrode)で読み取った加水分解フィブロイン溶液で測定したBr イオンが1p
pm未満になるまで、Di水中で複数回の交換を行った。 30
【0103】
 得られた絹フィブロイン水溶液は、約6kDa∼約16kDa、約17kDa∼約39
kDa、及び約39kDa∼約80kDaの平均重量平均分子量と、約1.5∼約3.0
の多分散性とを有する純粋な絹フィブロインタンパク質断片を含む、約8.0%w/vの
濃度を有する。8.0%w/vをDI水で希釈して、コーティング溶液で、1.0%w/
v、2.0%w/v、3.0%w/v、4.0%w/v、5.0%w/vを得た。
【0104】
 接線流濾過(TFF)を使用することにより、さまざまな%絹濃度が生成される。いず
れの場合も、1%絹溶液を供給フィード(input feed)として使用した。開始
体積として、750∼18,000mLの1%絹溶液を使用した。溶液をTFFで透析濾 40
過して、臭化リチウムを除去する。残留LiBrの所定レベルを下回ると、溶液を限外濾
過し、水を除去して濃度を上昇させる。以下の例を参照。
【0105】
 6種類の絹溶液を、標準的な絹構造にて使用し、以下の結果を得た:
 溶液#1は、絹濃度5.9重量%、平均MW19.8kDa、及び2.2PDIである
(60分間の煮沸抽出、100℃のLiBr溶解1時間で作製)。
 溶液#2は、絹濃度6.4重量%である(30分間の煮沸抽出、60℃のLiBr溶解
4時間で作製)
 溶液#3は、絹濃度6.17重量%である(30分間の煮沸抽出、100℃のLiBr
溶解1時間で作製) 50
(50) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 溶液#4は、絹濃度7.30重量%である。7.30%の絹溶液を、バッチ当たり10
0gの絹繭の30分間抽出バッチから生成した。次いで、抽出した絹繊維を、100℃の
オーブン中、100℃の9.3MのLiBrを使用して1時間溶解させた。バッチ当たり
100gの絹繊維を溶解して、LiBrに20%の絹を作製した。次いで、LiBrに溶
解した絹を1%絹に希釈し、5μmフィルタで濾過して大きな破片を除去した。TFFの
開始体積/透析濾過体積として、15,500mLの1%濾過絹溶液を使用した。LiB
rを除去したら、溶液を約1300mLの体積に限外濾過した。次いで、1262mLの
7.30%絹を回収した。残りの溶液の除を助けるために水をフィードに添加し、次いで
、547mLの3.91%絹を回収した。
 溶液#5は、絹濃度6.44重量%である。6.44重量%の絹溶液を、バッチ当たり 10
25、33、50、75、及び100gの絹繭の60分間抽出バッチから生成した。次い
で、抽出した絹繊維を、100℃のオーブン中、100℃の9.3MのLiBrを使用し
て1時間溶解させた。バッチ当たり35、42、50、及び71gの絹繊維を溶解して、
LiBrに20%の絹を作製した。次いで、LiBrに溶解した絹を1%絹に希釈し、5
μmフィルタで濾過して大きな破片を除去した。TFFの開始体積/透析濾過体積として
、17,000mLの1%濾過絹溶液を使用した。LiBrを除去したら、溶液を約30
00mLの体積に限外濾過した。次いで、1490mLの6.44%絹を回収した。残り
の溶液の除去を助けるために水をフィードに添加し、次いで、1454mLの4.88%
絹を回収した。
 溶液#6は、絹濃度2.70重量%である。2.70%の絹溶液を、バッチ当たり25 20
gの絹繭の60分間抽出バッチから生成した。次いで、抽出した絹繊維を、100℃のオ
ーブン中、100℃の9.3MのLiBrを使用して1時間溶解させた。バッチ当たり3
5.48gの絹繊維を溶解して、LiBrに20%の絹を作製した。次いで、LiBrに
溶解した絹を1%絹に希釈し、5μmフィルタで濾過して大きな破片を除去した。TFF
の開始体積/透析濾過体積として、1000mLの1%濾過絹溶液を使用した。LiBr
を除去したら、溶液を約300mLの体積に限外濾過した。次いで、312mLの2.7
%絹を回収した。
【0106】
 高分子量の絹フィブロイン溶液の調製を、表15に示す。
表15.絹フィブロイン溶液の調製及び性質 30
【表15】

【0107】
 生地に適用するための絹の水性コーティング組成物を、以下の表16及び表17に示す
。 50
(51) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【表16】
(52) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【表17】

【0108】
 3種類の絹溶液をフィルム作製に用い、以下の結果を得た。
 溶液#1は、絹濃度5.9%、平均MW19.8kDa、及び2.2PDである(60
分間の煮沸抽出、100℃のLiBr溶解1時間で作製)。 30
 溶液#2は、絹濃度6.4%である(30分間の煮沸抽出、60℃のLiBr溶解4時
間で作製)
 溶液#3は、絹濃度6.17%である(30分間の煮沸抽出、100℃のLiBr溶解
1時間で作製)
【0109】
 フィルムは、Rockwoodら(Nature Protocols; Vol. 
6; No. 10; published on−line Sep. 22, 20
11; doi:10.1038/nprot.2011.379)にしたがって作製し
た。4mLの1%又は2%(wt/vol)絹水溶液を100mmペトリ皿に添加し(絹
の体積は、フィルムの厚みや薄さによって異なるが、重要ではない)、カバーを外して一 40
晩乾燥させた。真空デシケーターの底を水で満たした。乾燥フィルムをデシケーターに入
れ、真空にして、皿から取り出す前にフィルムを4時間水アニーリングした。溶液#1か
らキャストされたフィルムは、構造的に連続したフィルムにはならなかった。フィルムは
、ひびが入り、いくつかの部分になった。フィルムのこれらの部分は、水アニーリング処
理にもかかわらず、水に溶解した。
【0110】
 様々な分子量及び/又は分子量の組合せの絹溶液は、ゲル用途向けに最適化することが
できる。以下は、このプロセスの例を示すが、用途又は配合を制限することを意図するも
のではない。3種類の絹溶液をゲル作製に用い、以下の結果を得た。
 溶液#1は、絹濃度5.9%、平均MW19.8kDa、及び2.2PDである(60
(53) JP 2022-529644 A 2022.6.23

分間の煮沸抽出、100℃のLiBr溶解1時間で作製)。
 溶液#2は、絹濃度6.4%である(30分間の煮沸抽出、60℃のLiBr溶解4時
間で作製)
 溶液#3は、絹濃度6.17%である(30分間の煮沸抽出、100℃のLiBr溶解
1時間で作製)
【0111】
 「Egel」は、Rockwoodらに記載される電気ゲル化プロセスである。簡単に
説明すると、10mlの絹水溶液を50mlのコニカルチューブに添加し、1対の白金線
電極を絹溶液に浸漬する。白金電極に20ボルトの電位を5分間印加し、電源をオフにし
てゲルを回収した。溶液#1は、5分間に亘る印加電流でEGELを生成しなかった。 10
【0112】
 溶液#2及び#3は、公開されている西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)プロトコ
ルにしたがってゲル化した。挙動は、公開された溶液の典型的なものであった。
【0113】
 材料及び方法:絹の分子量の測定には、以下の機器及び材料を使用する:ケムステーシ
ョンソフトウェアver.10.01を備えたAgilent1100;屈折率検出器(
RID);分析バランス;メスフラスコ(1000mL、10mL、及び5mL);HP
LCグレードの水;ACSグレードの塩化ナトリウム;ACSグレードのリン酸水素二ナ
トリウム二塩基性七水和物;リン酸;デキストランMW標準−公称分子量5kDa、11
.6kDa、23.8kDa、48.6kDa、及び148kDa;50mLのPET又 20
はポリプロピレンディスポーザブル遠心分離管;目盛り付きピペット;テフロン(登録商
標)製キャップ付きの琥珀色のガラスHPLCバイアル;Phenomenex Pol
ySep GFC P−4000カラム(サイズ:7.8mm×300mm)。
【0114】
手続工程:
A)1Lの移動相(0.0125Mリン酸ナトリウム緩衝液中の0.1M塩化ナトリウム
溶液)の調製
 250mLの清潔で乾燥したビーカーを取り、バランスに置き、重量を風袋引きする。
ビーカーにリン酸水素二ナトリウム七水和物約3.3509gを添加する。秤量したリン
酸水素二ナトリウムの正確な重量を書き留める。ビーカーに100mLのHPLC水を添 30
加することにより、秤量したリン酸ナトリウムを溶解する。ビーカーの内容物をこぼさな
いように注意する。溶液を注意深く清潔で乾燥した1000mLメスフラスコに移す。ビ
ーカーを濯ぎ、濯ぎ液をメスフラスコに移す。濯ぎを4∼5回繰り返す。別の清潔で乾燥
した250mLビーカーに、正確に約5.8440gの塩化ナトリウムを秤量する。秤量
した塩化ナトリウムを50mLの水に溶解し、メスフラスコ内のリン酸ナトリウム溶液に
移す。ビーカーを濯ぎ、濯ぎ液をメスフラスコに移す。リン酸で溶液のpHを7.0±0
.2に調整する。メスフラスコ内の量をHPLC水で1000mLにし、激しく振とうし
て溶液を均一に混合する。0.45μmのポリアミドメンブレンフィルタで溶液を濾過す
る。溶液を清潔で乾燥した溶媒ボトルに移し、ボトルにラベル付けする。溶液の量は、リ
ン酸水素二ナトリウム七水和物及び塩化ナトリウムの量を対応して変更することにより、 40
必要に応じて変えることができる。
【0115】
B)デキストラン分子量標準溶液の調製
 試験サンプルの期待値が使用される標準の値の範囲内に収まるように、実行するサンプ
ルの各バッチに少なくとも5種類の異なる分子量標準を使用する。分子量標準に対応する
6つの20mLシンチレーションガラスバイアルにラベル付けする。デキストラン分子量
標準をそれぞれ約5mg正確に秤量し、その重量を記録する。デキストラン分子量標準を
5mLの移動相に溶解して、1mg/mL標準溶液を作製する。
【0116】
C)サンプル溶液の調製 50
(54) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 サンプル溶液を調製する際に、利用できるサンプル量に制限がある場合には、比率が維
持されている限り、調製物をスケールアップすることができる。サンプルのタイプとサン
プル中の絹タンパク質含量に応じて、分析用バランスで50mLディスポーザブル遠心分
離管に十分量のサンプルを秤量し、分析用の1mg/mLサンプル溶液を作製する。
サンプルを等量の移動相に溶解し、1mg/mL溶液を作製する。チューブにしっかりと
蓋をして、サンプルを(溶液中で)混合する。サンプル溶液を室温で30分間放置する。
サンプル溶液を再度1分間穏やかに混合し、4000RPMで10分間遠心分離する。
【0117】
D)サンプルのHPLC分析
 全ての標準とサンプル溶液1.0mLを個々のHPLCバイアルに移す。分子量標準( 10
各1回注入)と各サンプルとを2連で注入する。以下のHPLC条件を使用して、全ての
標準とサンプル溶液を分析する。

【0118】
E)データ分析と計算−Cirrusソフトウェアを使用した平均分子量の計算
 標準及び分析サンプルのクロマトグラフィーデータファイルをCirrusSECデー
タ収集及び分子量分析ソフトウェアにアップロードする。サンプルの各注入について、重
量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、ピーク平均分子量(Mp)、及び多分散 30
性を計算する。
【0119】
クモシルク断片
 クモシルクは、タンパク質鎖の主成分である繰り返しミドルコアドメインと、非繰り返
しのN末端及びC末端の各ドメインの3つのドメインで構成される天然ポリマーである。
大きなコアドメインは、ブロックコポリマー様配置で構成されており、結晶性の[ポリ(
A)又はポリ(GA)]と結晶性の低い(GGX又はGPGXX)ポリペプチドの2つの
基本配列が交互に存在する。ドラグラインシルクは、大瓶状ドラグラインシルクタンパク
質1(MaSp1)と大瓶状ドラグラインシルクタンパク質2(MaSp2)で構成され
るタンパク質複合体である。いずれのシルクも、約3500アミノ酸長である。MaSp 40
1は、繊維コアとその周辺に見られますが、MaSp2は、特定のコア領域でクラスター
を形成する。MaSp1とMaSp2の大きな中央ドメインは、ブロックコポリマー様配
置で構成されており、結晶性の[poly(A)又はpoly(GA)]と結晶性の低い
(GGX又はGPGXX)ポリペプチドの2つの基本配列がコアドメインで交互に存在す
る。具体的な二次構造は、それぞれ、β−シート、α−ヘリックス、及びβ−スパイラル
を含むポリ(A)/(GA)、GGX、及びGPGXXモチーフに割り当てられる。繰り
返しコアドメインの一次配列、組成、及び二次構造要素は、クモシルクの機械的特性を司
り、一方で、非繰り返しN末端ドメイン及びC末端ドメインは、液体シルクドープを内腔
に貯蔵し、紡糸ダクトで繊維を生成するために不可欠である。
【0120】 50
(55) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 MaSp1とMaSp2の主な違いは、MaSp1がプロリン(P)を含まないのに対
して、MaSp2の総アミノ酸含量の15%を占めるプロリン残基の存在である。N.c
lavipesドラグラインシルクのプロリン残基の数を計算することにより、繊維中の
2つのタンパク質の存在を推定することができ、81%のMaSp1及び19%のMaS
p2である。クモが異なれば、MaSp1とMaSp2の比も異なる。例えば、コガネグ
モArgiope aurantiaのドラグラインシルク繊維は、41%のMaSp1
と59%のMaSp2を含む。大瓶状シルクの比の係る変化は、シルク繊維の性能を記述
し得る。
【0121】
 1つのコガネグモ種のクモについて、少なくとも7種類の絹タンパク質が知られている 10
。絹は、一次配列、物理的性質、及び機能が異なる。例えば、フレーム、半径、ライフラ
インの構築に使用されるドラグラインシルクは、強度、靭性、及び弾性を含む優れた機械
的特性で知られている。等重量ベースで、クモシルクは、スチール及びKevlarより
も高い靭性を有する。キャプチャスパイラル(capture spirals)に見ら
れる鞭毛上シルクは、最大500%の伸長性を有する。コガネグモの補助スパイラル(a
uxiliary spirals)及び獲物のラッピング(prey wrappin
g)に見られる小瓶状シルクは、大瓶状シルクとほぼ同程度の高い靭性と強度を有するが
、水中では超収縮(supercontract)しない。
【0122】
 クモシルクは、高い引張強度と靭性で知られている。組換え絹タンパク質はまた、化粧 20
品又は皮膚科学的組成物に有利な性質を付与し、特に、水和又は軟化作用、良好な膜形成
性、及び低表面密度を改善することができる。多様でユニークな生体力学的性質と生体適
合性及び緩慢な分解速度により、クモシルクは、組織工学、ガイド付き組織修復及び薬物
送達用、化粧品(例えば、ネイル及び毛髪強化剤、スキンケア製品)用生体材料、及び工
業材料(例えば、ナノワイヤー、ナノファイバー、表面コーティング)用として優れた候
補になる。
【0123】
 実施形態では、絹タンパク質は、天然のクモシルクタンパク質に由来するポリペプチド
を含み得る。ポリペプチドは、天然のクモシルクタンパク質に由来する限り、特に限定さ
れず、ポリペプチドの例としては、天然のクモシルクタンパク質、及び天然のクモシルク 30
タンパク質のバリアント、アナログ、誘導体などの組換えクモシルクタンパク質が挙げら
れる。優れたテナシティ(tenacity)の観点から、ポリペプチドは、クモの大瓶
状腺で生成される主要なドラグラインシルクタンパク質に由来することができる。主要な
ドラグラインシルクタンパク質の例としては、Nephilaclavipes由来の大
瓶状スピドロインMaSp1及びMaSp2、並びにAraneusdiadematu
s由来のADF3及びADF4などが挙げられる。主要なドラグラインシルクタンパク質
に由来するポリペプチドの例としては、主要なドラグラインシルクタンパク質のバリアン
ト、アナログ、誘導体などが挙げられる。更に、ポリペプチドは、クモの鞭毛状腺で生成
される鞭毛状絹タンパク質に由来し得る。鞭毛状絹タンパク質の例としては、Nephi
laclavipesなどに由来する鞭毛状絹タンパク質が挙げられる。 40
【0124】
 主要なドラグラインシルクタンパク質に由来するポリペプチドの例としては、式1:R
EP1−REP2(1)で表されるアミノ酸配列を2ユニット以上含むポリペプチド、好
ましくは、その5ユニット以上を含むポリペプチド、より好ましくは、その10ユニット
以上を含むポリペプチドが挙げられる。或いは、主要なドラグラインシルクタンパク質に
由来するポリペプチドは、式1:REP1−REP2(1)で表されるアミノ酸配列のユ
ニットを含み、且つC末端に、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号1∼3
のいずれかで表されるアミノ酸配列又は米国特許第9,051,453号明細書の配列番
号1∼3のいずれかで表されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列
を有するポリペプチドであり得る。主要なドラグラインシルクタンパク質に由来するポリ 50
(56) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ペプチドにおいて、式1:REP1−REP2(1)で表されるアミノ酸配列のユニット
は、同一であっても互いに異なっていてもよい。Escherichiacoliなどの
微生物を宿主として組換えタンパク質を生産する場合、主要なドラグラインシルクタンパ
ク質に由来するポリペプチドの分子量は、生産性の観点から、500kDa以下、又は3
00kDa以下、又は200kDa以下である。
【0125】
 式(1)において、REP1は、ポリアラニンを示す。REP1において、連続して配
置されるアラニン残基の数は、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、更に好ま
しくは4個以上、特に好ましくは5個以上である。更に、REP1において、連続して配
置されるアラニン残基の数は、好ましくは20個以下、より好ましくは16個以下、更に 10
好ましくは12個以下、特に好ましくは10個以下である。式(1)において、REP2
は、10∼200個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列である。アミノ酸配列に
含まれるグリシン、セリン、グルタミン、及びアラニン残基の総数は、それに含まれるア
ミノ酸残基の総数に対して、40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%
以上である。
【0126】
 主要なドラグラインシルクでは、REP1は、結晶βシートが形成される繊維の結晶領
域に対応し、REP2は、大部分が規則的な構成を欠き、より柔軟性のある繊維のアモル
ファス領域に対応する。更に、[REP1−REP2]は、ドラグラインシルクタンパク
質の特徴的な配列である結晶領域とアモルファス領域からなる繰り返し領域(繰り返し配 20
列)に対応する。
【0127】
組換え絹断片
 いくつかの実施形態では、組換え絹タンパク質は、組換えクモシルクポリペプチド、組
換え昆虫シルクポリペプチド、又は組換えムール貝シルクポリペプチドを意味する。いく
つかの実施形態では、本明細書に開示される組換え絹タンパク質断片は、Araneid
ae又はAraneoidsの組換えクモシルクポリペプチド、又はBombyxmor
iの組換え昆虫シルクポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示さ
れる組換え絹タンパク質断片は、Araneidae又はAraneoidsの組換えク
モシルクポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組換え絹 30
タンパク質断片は、Araneidae又はAraneoidsの天然のクモシルクポリ
ペプチドに由来する繰り返し単位を有するブロックコポリマーを含む。いくつかの実施形
態では、本明細書に開示される組換え絹タンパク質断片は、Araneidae又はAr
aneoidsのクモシルクポリペプチドに由来する合成の繰り返し単位と、Arane
idae又はAraneoidsのクモシルクポリペプチドの天然の繰り返し単位に由来
する非繰り返し単位とを有するブロックコポリマーを含む。
【0128】
 遺伝子工学の最近の進歩は、さまざまな種類の組換え絹タンパク質を生産するための方
法を提供している。組換えDNA技術は、絹タンパク質のより実用的な供給源を提供する
ために使用されている。本明細書においては、「組換え絹タンパク質」は、遺伝子工学的 40
方法を使用して原核生物又は真核生物の発現系において異種的に産生される合成タンパク
質を意味する。
【0129】
 組換え絹ペプチドを合成するための様々な方法が知られており、参照により本明細書に
援用するAusubel et al., Current Protocols in
 Molecular Biology § 8 (John Wiley & Son
s 1987,(1990))に記載されている。グラム陰性の桿菌であるE.coli
は、タンパク質の工業規模での生産のための十分に確立された宿主である。したがって、
組換え絹の大部分はE.coliで生産されている。E.coliは、マニピュレーショ
ンが簡単で、発生時間が短く、比較的低コストで、大量のタンパク質生産のためにスケー 50
(57) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ルアップすることができる。
【0130】
 組換え絹タンパク質は、絹タンパク質、前記タンパク質の断片、又は係るタンパク質の
アナログをコードするcDNAを含む形質転換された原核生物又は真核生物系によって産
生することができる。組換えDNAアプローチにより、プログラムされた配列、二次構造
、アーキテクチャ、及び正確な分子量を有する組換え絹の生産が可能となる。このプロセ
スには4つの主要な工程がある:(i)合成シルク様遺伝子の遺伝子「カセット」への設
計とアセンブリ、(ii)前記セグメントのDNA組換えベクターへの挿入、(iii)
前記組換えDNA分子の宿主細胞への形質転換、及び(iv)選択されたクローンの発現
及び精製。 10
【0131】
 本明細書においては、用語「組換えベクター」は、プラスミドベクター、コスミドベク
ター、ラムダファージなどのファージベクター、アデノウイルス又はバキュロウイルスベ
クターなどのウイルスベクター、又は細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YA
C)、又はP1人工染色体(PAC)などの人工染色体ベクターなど、当業者に知られた
任意のベクターを含む。前記ベクターは、発現ベクター及びクローニングベクターを含む
。発現ベクターは、プラスミド及びウイルスベクターを含み、一般に、特定の宿主生物(
例えば、細菌、酵母、又は植物)又はインビトロ発現系における動作可能に結合されたコ
ード配列の発現に必要な所望のコード配列及び適切なDNA配列を含む。クローニングベ
クターは、一般に、特定の所望のDNA断片を操作及び増幅するために使用され、所望の 20
DNA断片の発現に必要な機能的配列を欠いていることがある。
【0132】
 原核生物系は、グラム陰性菌又はグラム陽性菌を含む。原核生物の発現ベクターは、宿
主生物によって認識され得る複製起点、前記宿主において機能的である同種又は異種プロ
モーター、クモシルクタンパク質、前記タンパク質の断片、又は類似のタンパク質をコー
ドするDNA配列を含むことができる。原核生物発現生物の非限定的な例としては、Es
cherichiacoli、Bacillussubtilis、Bacillusm
egaterium、Corynebacteriumglutamicum、Anab
aena、Caulobacter、Gluconobacter、Rhodobact
er、Pseudomonas、Paracoccus、Bacillus(例えば、B 30
acillussubtilis)、Brevibacterium、Coryneba
cterium、Rhizobium(Sinorhizobium)、Flavoba
cterium、Klebsiella、Enterobacter、Lactobac
illus、Lactococcus、Methylobacterium、Propi
onibacterium、Staphylococcus又はStreptomyce
s細胞が挙げられる。
【0133】
 真核生物系は、酵母及び昆虫、哺乳動物又は植物の細胞を含む。この場合、発現ベクタ
ーは、酵母プラスミド複製起点又は自律複製配列、プロモーター、クモシルクタンパク質
、断片、又は類似タンパク質をコードするDNA配列、ポリアデニル化配列、転写終結を 40
部位、最後に、選択遺伝子を含むことができる。真核生物発現生物の非限定的な例として
は、Saccharomycescerevisiae、Pichiapastoris
、basidiosporogenous、ascosporogenousなどの酵母
、Aspergillus niger、Aspergillusoryzae、Asp
ergillusnidulans、Trichodermareesei、Acrem
oniumchrysogenum、Candida、Hansenula、Kluyv
eromyces、Saccharomyces(例えば、Saccharomyces
cerevisiae)、Schizosaccharomyces、Pichia(例
えば、Pichiapastoris)又はYarrowia細胞などの糸状菌、HeL
a細胞、COS細胞、CHO細胞などの哺乳動物細胞、Sf9細胞、MEL細胞などの昆 50
(58) JP 2022-529644 A 2022.6.23

虫細胞、Spodopterafrugiperda又はTrichoplusiani
細胞などの「昆虫宿主細胞」、SF9細胞、SF−21細胞、又はHigh−Five細
胞(SF−9及びSF−21は、Spodopterafrugiperda由来の卵巣
細胞であり、High−Five細胞は、Trichoplusiani由来の卵細胞で
ある)、タバコ、ポテト、又はエンドウマメ細胞などの「植物宿主細胞」が挙げられる。
【0134】
 様々な種類の組換え絹を生産するために、様々な異種宿主系が検討されている。組換え
部分スピドロイン及びエンジニアードされた絹は、細菌(Escherichiacol
i)、酵母(Pichiapastoris)、昆虫(silkwormlarvae)
、植物(タバコ、大豆、ポテト、シロイヌナズナ)、哺乳動物細胞株(BHT/ハムスタ 10
ー)、及びトランスジェニック動物(マウス、ヤギ)でクローン化及び発現されている。
絹タンパク質の大部分は、精製を容易にし、十分量のタンパク質を生成するために、N末
端又はC末端のHisタグを使用して生成される。
【0135】
 いくつかの実施形態では、異種系を使用して組換えクモシルクタンパク質を発現するの
に適した宿主は、トランスジェニック動物及び植物を含み得る。いくつかの実施形態では
、異種系を使用して組換えクモシルクタンパク質を発現するのに適した宿主は、細菌、酵
母、哺乳動物細胞株を含む。いくつかの実施形態では、異種系を使用して組換えクモシル
クタンパク質を発現するのに適した宿主は、E.coliを含む。いくつかの実施形態で
は、異種系を使用して組換えクモシルクタンパク質を発現するのに適した宿主は、ゲノム 20
編集技術(例えば、CRISPR)を使用して生成されたトランスジェニックB.mor
iカイコを含む。
【0136】
 本開示における組換え絹タンパク質は、天然絹タンパク質の繰り返し単位に基づく合成
タンパク質を含む。合成繰り返し絹タンパク質配列に加えて、これらは更に、1以上の天
然の非繰り返し絹タンパク質配列を含むことができる。
【0137】
 いくつかの実施形態では、「組換え絹タンパク質」は、組換えカイコ絹タンパク質又は
その断片を意味する。絹フィブロインと絹セリシンとの組換え生産が報告されている。各
種宿主が生産に用いられ、例えば、E.coli、Sacchromycescerev 30
isiae、Pseudomonas sp.、Rhodopseudomonas s
p.、Bacillus sp.、及びStrepomycesが挙げられる。参照によ
り本明細書に援用する欧州特許第0230702号を参照。
【0138】
 本明細書においては、B.mori絹重鎖(H鎖)の繰り返しドメインに由来するGA
GAGXヘキサペプチド(Xは、A、Y、V、又はSである)を含む絹フィブロインタン
パク質様マルチブロックポリマーの設計及び生合成も提供される。
【0139】
 いくつかの実施形態では、本開示は、GAGAGSヘキサペプチド繰り返し単位を含む
B.mori絹重鎖(H鎖)の繰り返しドメインに由来する絹タンパク質様マルチブロッ 40
クポリマーを提供する。GAGAGSヘキサペプチドはH鎖のコアユニットであり、結晶
性ドメインの形成に重要な役割を果たす。GAGAGSヘキサペプチド繰り返し単位を含
む絹タンパク質様マルチブロックポリマーは、天然の絹フィブロインタンパク質と同様に
、自発的にβシート構造に凝集する。前記絹タンパク質様マルチブロックポリマーは、本
明細書に記載の任意の重量平均分子量を有する。
【0140】
 いくつかの実施形態では、本開示は、B.mori絹重鎖のH鎖に由来するGAGAG
Sヘキサペプチド繰り返し断片と、E.coliによって産生される哺乳動物エラスチン
VPGVGモチーフとから構成される絹ペプチド様マルチブロックコポリマーを提供する
。いくつかの実施形態では、本開示はB.mori絹重鎖のH鎖に由来するGAGAGS 50
(59) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ヘキサペプチド繰り返し断片と、E.coliによって産生されるGVGVPとから構成
される融合絹フィブロインタンパク質を提供する。前記絹タンパク質様マルチブロックポ
リマーは、本明細書に記載の任意の重量平均分子量を有する。
【0141】
 いくつかの実施形態では、本開示は、(GAGAGS)16繰り返し断片から構成され
るB.moriカイコ組換えタンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は
、(GAGAGS)16繰り返し断片と、E.coliによって産生される非繰り返し(
GAGAGS)16−F−COOH、(GAGAGS)16−F−F−COOH、(GA
GAGS)16−F−F−F−COOH、(GAGAGS)16−F−F−F−F−CO
OH、(GAGAGS)16−F−F−F−F−F−F−F−F−COOH、(GAGA 10
GS)16−F−F−F−F−F−F−F−F−F−F−F−F−COOHとから構成さ
れる組換えタンパク質を提供する。ここで、Fは、アミノ酸配列SGFGPVANGGS
GEASSESDFGSSGFGPVANASSGEASSESDFAGであり、前記絹
タンパク質様マルチブロックポリマーは、本明細書に記載の任意の重量平均分子量を有す
る。
【0142】
 いくつかの実施形態では、「組換え絹タンパク質」は、組換えクモシルクタンパク質又
はその断片を意味する。部分的なcDNAクローンに基づく組換えクモシルクタンパク質
の生産が報告されている。そのように生産された組換えクモシルクタンパク質は、クモN
ephilaclavipesに由来するドラグラインクモシルクタンパク質、スピドロ 20
イン1に由来する繰り返し配列の一部を含む(Xuら(Proc.Natl.Acad.
Sci.U.S.A.,87:7120−7124(1990))参照)。Nephil
aclavipesのドラグラインシルクに由来する第2のフィブロインタンパク質、ス
ピドロイン2の繰り返し配列の一部をコードするcDNAクローン及びその組換え合成物
は、J.Biol.Chem.,1992,volume 267,pp.19320−
19324に記載されている。形質転換したE.coliに由来するNephilacl
avipesのタンパク質断片及びバリアントを含むクモシルクタンパク質の組換え合成
物は、米国特許第5,728,810号明細書及び同第5,989,894号明細書に記
載されている。小瓶状腺(minor ampullate)クモシルクタンパク質をコ
ードするcDNAクローン及びその発現は、米国特許第5,733,771号明細書及び 30
同第5,756,677号明細書に記載されている。コガネグモ(orb−web sp
inning spider)由来の鞭毛状絹タンパク質をコードするcDNAクローン
は、米国特許第5,994,099号明細書に記載されている。米国特許第6,268,
169号明細書は、E.coli、Bacillussubtilis、及びPichi
apastoris組換え発現系によるNephilaclavipesの天然のクモド
ラグラインに見られる繰り返しペプチド配列に由来するクモシルク様タンパク質の組換え
合成を記載している。国際公開第03/020916号は、Nephilamadaga
scariensis、Nephilasenegalensis、Tetragnat
hakauaiensis、Tetragnathaversicolor、Argio
peaurantia、Argiopetrifasciata、Gasteracan 40
thamammosa、及びLatrodectusgeometricusの大瓶状腺
(major ampullate glands)、Argiopetrifasci
ataの鞭毛状腺、Dolomedestenebrosusの瓶状腺、Plectre
urystristisの2組の絹糸腺、及びmygalomorphEuagrusc
hisoseusの絹糸腺に由来する繰り返し配列を有するクモのクモ絹タンパク質をコ
ードするcDNAクローン及び組換え生産について記載している。前記文献はいずれも、
参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0143】
 いくつかの実施形態では、組換えクモシルクタンパク質は、クモシルクタンパク質と昆
虫シルクタンパク質、クモシルクタンパク質とコラーゲン、クモシルクタンパク質とレシ 50
(60) JP 2022-529644 A 2022.6.23

リン、又はクモシルクタンパク質とケラチンのハイブリッドタンパク質である。クモシル
ク繰り返し単位は、ドラグラインクモシルクポリペプチド、小瓶状腺ポリペプチド、鞭毛
状ポリペプチド、凝集クモシルクポリペプチド、房状クモシルクポリペプチド、又は洋ナ
シ状クモシルクポリペプチドなどの、天然に存在する大瓶状腺ポリペプチド中で繰り返し
生じる少なくとも1つのペプチドモチーフを含む又はからなる領域のアミノ酸配列を含む
又はからなる。
【0144】
 いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、天然のクモ
シルクタンパク質の繰り返し単位、コンセンサス配列、及び任意に、1以上の天然の非繰
り返しクモシルクタンパク質配列に由来する合成クモシルクタンパク質を含む。天然のク 10
モ絹ポリペプチドの繰り返し単位は、Araneidae又はAraneoidsのドラ
グラインのクモシルクポリペプチド又は鞭毛状のクモシルクポリペプチドを含み得る。
【0145】
 本明細書においては、、クモシルクの「繰り返し単位」は、ドラグラインクモシルクポ
リペプチド、小瓶状腺ポリペプチド、鞭毛状ポリペプチド、凝集クモシルクポリペプチド
、房状クモシルクポリペプチド、又は洋ナシ状クモシルクポリペプチドなどの、天然に存
在する大瓶状腺ポリペプチド中に繰り返し生じる少なくとも1つのペプチドモチーフを含
む又はからなる。「繰り返し単位」は、天然に存在するシルクポリペプチド(例えば、M
aSpI、ADF−3、ADF−4、又はFlag)中に繰り返し生じる少なくとも1つ
のペプチドモチーフ(例えば、AAAAAA又はGPGQQ)(即ち、同一のアミノ酸配 20
列)又はそれに実質的に類似するアミノ酸配列(即ち、変異アミノ酸配列)を含む又はか
らなる領域にアミノ酸配列が対応する領域を意味する。天然に存在する絹ポリペプチド内
の対応するアミノ酸配列に「実質的に類似する」アミノ酸配列を有する「繰り返し単位」
(即ち、野生型繰り返し単位)もまた、その性質に関して類似しており、例えば、「実質
的に類似した繰り返し単位」を含む絹タンパク質は、依然として不溶性であり、その不溶
性を維持する。例えば、天然に存在する絹ポリペプチドのアミノ酸配列と「同一」である
アミノ酸配列を有する「繰り返し単位」は、MaSpI、MaSpII、ADF−3、及
び/又はADF−4のうちの1以上のペプチドモチーフに対応する絹ポリペプチドの一部
であり得る。例えば、天然に存在する絹ポリペプチドのアミノ酸配列に「実質的に類似す
る」アミノ酸配列を有する「繰り返し単位」は、特定のアミノ酸位置に1以上のアミノ酸 30
置換を有することを除き、MaSpI、MaSpII、ADF−3、及び/又はADF−
4のうちの1以上のペプチドモチーフに対応する絹ポリペプチドの一部であり得る。
【0146】
 本明細書においては、用語「コンセンサスペプチド配列」は、特定の位置に高頻度で存
在するアミノ酸(例えば、「G」)を含み、特定されない他のアミノ酸が、プレースホル
ダ「X」によって置換されるアミノ酸配列を意味する。いくつかの実施形態では、コンセ
ンサス配列は、(i)GPGXX(Xは、A、S、G、Y、P、及びQから選択されるア
ミノ酸である)、(ii)GGX(Xは、Y、P、R、S、A、T、N、及びQ、好まし
くは、Y、P、及びQから選択されるアミノ酸である)、(iii)Ax(xは、5∼1
0の整数である)の少なくとも1つである。 40
【0147】
 コンセンサスペプチド配列GPGXX及びGGX(即ち、グリシンに富むモチーフ)は
、絹ポリペプチドに柔軟性を与え、したがって、前記モチーフを含む絹タンパク質から形
成された糸に柔軟性を与える。詳細には、繰り返されたGPGXXモチーフは、絹ポリペ
プチドに弾力性を与えるターンスパイラル構造を形成する。大瓶状腺シルクと鞭毛上シル
クはいずれも、GPGXXモチーフを有する。繰り返しGGXモチーフは、1ターン当た
り3個のアミノ酸を有する螺旋構造に関連しおり、大部分のクモシルクに見られる。GG
Xモチーフは、シルクに更なる弾性特性を与えることがある。繰り返しポリアラニンAx
(ペプチド)モチーフは、例えば国際公開第03/057727号に記載されるように、
絹ポリペプチドに強度を与える結晶性βシート構造を形成する。 50
(61) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0148】
 いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、レシリンに
由来するGGRPSDTYG及びGGRPSSSYGからなる群から選択される少なくと
も1つ、好ましくは1つのアミノ酸配列をそれぞれが含む2つの同一の繰り返し単位を含
む。レシリンは、大部分の節足動物に見られるエラストマータンパク質であり、低剛性と
高強度を提供する。
【0149】
 本明細書においては、「非繰り返し単位」は、天然に存在するドラグラインポリペプチ
ド(即ち、野生型非繰り返し(カルボキシ末端)単位)中、好ましくはADF−3(配列
番号1)、ADF−4(配列番号2)、NR3(配列番号41)、NR4(配列番号42 10
)、米国特許第8,367,803号明細書に記載されるクモAraneusdiade
matusのADF−4、A.diadematus由来のADF4の天然配列に由来す
る適合されたアミノ酸配列である配列GSSAAAAAAAASGPGGYGPENQG
PSGPGGYGPGGPを16リピート含むC16ペプチド(クモシルクタンパク質e
ADF4、分子量47.7kDa、AMSilk)中の対応する非繰り返し(カルボキシ
末端)アミノ酸配列に「実質的に類似」するアミノ酸配列を意味する。非繰り返しADF
−4及びそのバリアントは、効率的なアセンブリ挙動を示す。
【0150】
 合成クモシルクタンパク質の中で、本開示における組換え絹タンパク質は、いくつかの
実施形態では、米国特許第8288512号明細書に記載される配列番号1のポリペプチ 20
ド配列を有するC16タンパク質を含む。配列番号1に示されるポリペプチド配列に加え
て、特に、前記配列の機能的等価物、機能的誘導体、及び塩も含まれる。
【0151】
 本明細書において、「機能的等価物」は、前記アミノ酸配列の少なくとも1つの配列位
置において、具体的に記載されたもの以外のアミノ酸を有する変異体を意味する。
【0152】
 いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、有効量にお
いて、クモシルクタンパク質を含む少なくとも1つの天然又は組換え絹タンパク質を含み
、これは、Xuら,PNAS,USA,87,7120,(1990)によって記載され
るスピドロインメジャー1、Hinman及びLewis,J.Biol.Chem., 30
267,19320,(1922)によって記載されるスピドロインメジャー2、米国特
許出願第2016/0222174号明細書及び米国特許第9,051,453号明細書
、同第9,617,315号明細書、同第9,689,089号明細書、同第8,173
,772号明細書、同第8,642,734号明細書、同第8,367,803号明細書
、同第8,097,583号明細書、同第8,030,024号明細書、同第7,754
,851号明細書、同第7,148,039号明細書、同第7,060,260号明細書
に記載される組換えクモシルクタンパク質、又は国際公開第95/25165号に記載さ
れマイナースピドロインに対応する。前記引用文献はいずれも、参照によりその全体を本
明細書に援用する。本開示の組換えRSPFに適した更なる組換えクモシルクタンパク質
は、Araneusdiadematusの「大瓶状(Major Ampullate 40
)」腺由来のADF3及びADF4を含む。
【0153】
 組換え絹は、参照により本明細書に援用する、以下の他の特許及び特許出願にも記載さ
れている:米国特許出願第2004590196号明細書、米国特許第7,754,85
1号明細書、米国特許出願第2007654470号明細書、米国特許第7,951,9
08号明細書、米国特許出願第2010785960号明細書、米国特許第8,034,
897号明細書、米国特許出願第20090263430号明細書、米国特許出願第20
08226854号明細書、米国特許出願第20090123967号明細書、米国特許
出願第2005712095号明細書、米国特許出願第2007991037号明細書、
米国特許出願第20090162896号明細書、米国特許出願第200885266号 50
(62) JP 2022-529644 A 2022.6.23

明細書、米国特許第8,372,436号明細書、米国特許出願第2007989907
号明細書、米国特許出願第2009267596号明細書、米国特許出願第201031
9542号明細書、米国特許出願第2009265344号明細書、米国特許出願第20
12684607号明細書、米国特許出願第2004583227号明細書、米国特許第
8,030,024号明細書、米国特許出願第2006643569号明細書、米国特許
第7,868,146号明細書、米国特許出願第2007991916号明細書、米国特
許第8,097,583号明細書、米国特許出願第2006643200号明細書、米国
特許第8,729,238号明細書、米国特許第8,877,903号明細書、米国特許
出願第20190062557号明細書、米国特許出願第20160280960号明細
書、米国特許出願第20110201783号明細書、米国特許出願第20089919 10
16号明細書、米国特許出願第2011986662号明細書、米国特許出願第2012
697729号明細書、米国特許出願第20150328363号明細書、米国特許第9
,034,816号明細書、米国特許出願第20130172478号明細書、米国特許
第9,217,017号明細書、米国特許出願第20170202995号明細書、米国
特許第8,721,991号明細書、米国特許出願第2008227498号明細書、米
国特許第9,233,067号明細書、米国特許第8,288,512号明細書、米国特
許出願第2008161364号明細書、米国特許第7,148,039号明細書、米国
特許第1999247806号明細書、米国特許出願第2001861597号明細書、
米国特許出願第2004887100号明細書、米国特許第9,481,719号明細書
、米国特許第8,765,688号明細書、米国特許出願第200880705号明細書 20
、米国特許出願第2010809102号明細書、米国特許第8,367,803号明細
書、米国特許出願第2010664902号明細書、米国特許第7,569,660号明
細書、米国特許第1999138833号明細書、米国特許出願第2000591632
号明細書、米国特許出願第20120065126号明細書、米国特許出願第20100
278882号明細書、米国特許出願第2008161352号明細書、米国特許出願第
20100015070号明細書、米国特許出願第2009513709号明細書、米国
特許出願第20090194317号明細書、米国特許出願第2004559286号明
細書、米国特許出願第200589551号明細書、米国特許出願第200818782
4号明細書、米国特許出願第20050266242号明細書、米国特許出願第2005
0227322号明細書、及び米国特許出願第20044418号明細書。 30
【0154】
 また、組換え絹は、参照により本明細書に援用する、以下の他の特許及び特許出願にも
記載されている:米国特許出願第20190062557号明細書、米国特許出願第20
150284565号明細書、米国特許出願第20130225476号明細書、米国特
許出願第20130172478号明細書、米国特許出願第20130136779号明
細書、米国特許出願第20130109762号明細書、米国特許出願第2012025
2294号明細書、米国特許出願第20110230911号明細書、米国特許出願第2
0110201783号明細書、米国特許出願第20100298877号明細書、米国
特許第10,478,520号明細書、米国特許第10,253,213号明細書、米国
特許第10,072,152号明細書、米国特許第9,233,067号明細書、米国特 40
許第9,217,017号明細書、米国特許第9,034,816号明細書、米国特許第
8,877,903号明細書、米国特許第8,729,238号明細書、米国特許第8,
721,991号明細書、米国特許第8,097,583号明細書、米国特許第8,03
4,897号明細書、米国特許第8,030,024号明細書、米国特許第7,951,
908号明細書、米国特許第7,868,146号明細書、及び米国特許第7,754,
851号明細書。
【0155】
 いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、本明細書で
定義されるGPGXX、GGX、及びAxからそれぞれ独立して選択される2∼80個の
繰り返し単位を含む又はからなる。 50
(63) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0156】
 いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、以下からな
る群からそれぞれ独立して選択される繰り返し単位を含む又はからなる:GPGAS、G
PGSG、GPGGY、GPGGP、GPGGA、GPGQQ、GPGGG、GPGQG
、GPGGS、GGY、GGP、GGA、GGR、GGS、GGT、GGN、GGQ、A
AAAA、AAAAAA、AAAAAAA、AAAAAAAA、AAAAAAAAA、A
AAAAAAAAA、GGRPSDTYG、及びGGRPSSSYG、(i)GPYGP
GASAAAAAAGGYGPGSGQQ、(ii)GSSAAAAAAAASGPGG
YGPENQGPSGPGGYGPGGP、(iii)GPGQQGPGQQGPGQQ
GPGQQ:(iv)GPGGAGGPYGPGGAGGPYGPGGAGGPY、(v 10
)GGTTIIEDLDITIDGADGPITISEELTI、(vi)PGSSAA
AAAAAASGPGQGQGQGQGQGGRPSDTYG、(vii)SAAAAA
AAAGPGGGNGGRPSDTYGAPGGGNGGRPSSSYG、(viii)
GGAGGAGGAGGSGGAGGS(配列番号27)、(ix)GPGGAGPGG
YGPGGSGPGGYGPGGSGPGGY、(x)GPYGPGASAAAAAAG
GYGPGCGQQ、(xi)GPYGPGASAAAAAAGGYGPGKGQQ、(
xii)GSSAAAAAAAASGPGGYGPENQGPCGPGGYGPGGP、
(xiii)GSSAAAAAAAASGPGGYGPKNQGPSGPGGYGPGG
P、(xiv)GSSAAAAAAAASGPGGYGPKNQGPSGPGGYGPG
GP、又は米国特許第8,877,903号明細書に記載されるそれらのバリアント、例 20
えば、ペプチド鎖中にGPGAS、GGY、GPGSGの順序、又はペプチド鎖中にAA
AAAAAA、GPGGY、GPGGPの順序、ペプチド鎖中にAAAAAAAA、GP
GQG、GGRの順序を有する合成クモペプチド。
【0157】
 いくつかの実施形態では、本開示は、Spidroin major 1ドメイン、S
pidroin major 2ドメイン、又はSpidroin minor 1ドメ
インなどの天然クモシルクタンパク質に由来するアミノ酸の繰り返し単位を模倣するシル
クタンパク質様マルチブロックペプチド、及びそれらの三次元構造を変えない繰り返し単
位間の変動のプロファイルを提供する。これらの絹タンパク質様マルチブロックペプチド
は、以下の配列(I)、(II)、(III)、及び/又は(IV)のうちの1つに対応 30
するアミノ酸の繰り返し単位を含む。
 [(XGG)w(XGA)(GXG)x(AGA)y(G)zAG]p 式(I)(式
中、Xは、チロシン又はグルタミンに対応し、wは、2又は3に等しい整数であり、xは
、1∼3の整数であり、yは、5∼7の整数であり、zは、1又は2に等しい整数であり
、pは整数であり、本明細書に記載される任意の重量平均分子量を有する。)及び/又は
 [(GPG2YGPGQ2)a(X')2S(A)b]p 式(II)(式中、X'は
、アミノ酸配列GPS又はGPGに対応し、aは、2又は3に等しく、bは、7から10
の整数であり、pは整数であり、本明細書に記載される任意の重量平均分子量を有する。
)及び/又は
 [(GR)(GA)l(A)m(GGX)n(GA)l(A)m]p 式(III)及 40
び/又は[(GGX)n(GA)m(A)l]p 式(IV)(式中、X''は、チロシ
ン、グルタミン、又はアラニンに対応し、lは、1∼6の整数であり、mは、0∼4の整
数であり、nは、1∼4の整数であり、pは、整数である。)
【0158】
 いくつかの実施形態において、組換えクモシルクタンパク質又はクモシルクタンパク質
のアナログは、配列(V)のアミノ酸繰り返し単位を含む。
 [(Xaa Gly Gly)w(Xaa Gly Ala)(Gly Xaa Gl
y)x(Ala Gly Ala)y(Gly)zAla Gly]p 式(V)(式中
、Xaaは、チロシン又はグルタミンであり、wは、2又は3に等しい整数であり、xは
、1∼3の整数であり、yは、5∼7の整数であり、zは、1又は2に等しい整数であり 50
(64) JP 2022-529644 A 2022.6.23

、pは整数である。)
【0159】
 いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、米国特許第
8,367,803号明細書に記載される、ADF−3又はそのバリアント、ADF−4
又はそのバリアント、MaSpI(配列番号43)又はそのバリアント、MaSpII(
配列番号44)又はそのバリアントからなる群から選択される。
【0160】
 いくつかの実施形態では、本開示は、哺乳動物細胞において産生される水溶性組換えク
モシルクタンパク質を提供する。哺乳動物細胞で産生されたクモシルクタンパク質の可溶
性は、これらのタンパク質中の、より親水性を高くするCOOH末端の存在に起因してい 10
た。これらのCOOH末端アミノ酸は、微生物宿主で発現するクモシルクタンパク質に存
在しない。
【0161】
 いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、GCGGG
GGG、GKGGGGGG、GCGGSGGGGSGGGG、GKGGGGGGSGGG
G、及びGCGGGGGGSGGGGからなる群から選択されるアミノ又はカルボキシル
末端で修飾された水溶性組換えクモシルクタンパク質C16を含む。いくつかの実施形態
では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、タンパク質の分子量が本明細書に
記載される範囲となるように、C16NR4、C32NR4、C16、C32、NR4C
16NR4、NR4C32NR4、NR3C16NR3、又はNR3C32NR3を含む 20

【0162】
 いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモシルクタンパク質は、合成繰り返
しペプチドセグメントと、米国特許第8,877,903号明細書に記載されるA.di
adematus由来のADF4の天然配列から適合されたアミノ酸配列とを有する組換
えクモシルクタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、本開示におけるRSPFは、
Spidroin major 1ドメイン、Spidroin major 2ドメイ
ン、又はSpidroin minor 1ドメインなどの天然クモシルクタンパク質に
由来する繰り返しペプチド単位を有し、繰り返しペプチド配列は、米国特許第8,367
,803号明細書に記載されるGSSAAAAAAAASGPGQGQGQGQGQGG 30
RPSDTYG又はSAAAAAAAAGPGGGNGGRPSDTYGAPGGGNG
GRPSSSYGである組換えクモシルクタンパクを含む。
【0163】
 いくつかの実施形態では、本開示は、GPGGAGPGGYGPGGSGPGGYGP
GGSGPGGY繰り返し断片で構成され、本明細書に記載される分子量を有する組換え
クモタンパク質を提供する。
【0164】
 本明細書においては、用語「組換え絹」は、組換えクモ及び/又はカイコ絹タンパク質
又はその断片を意味する。実施形態では、クモシルクタンパク質は、捕帯絹((swat
hing silk)房状腺絹(Achniform gland silk))、卵嚢 40
絹((egg sac silk)円筒状腺絹(Cylindriform gland
 silk))、卵鞘絹((egg case silk)(管状絹(Tubulifo
rm silk))、非粘着性ドラグライン絹((non−sticky dragli
ne silk)瓶状絹(Ampullate gland silk))、付着する絹
糸((attaching thread silk)洋ナシ状腺絹(Pyriform
 gland silk))、粘着性絹コア繊維((sticky silk core
 fibers)鞭毛状腺絹(Flagelliform gland silk))、
及び粘着性絹外繊維((sticky silk outer fibers)凝集腺絹
(Aggregate gland silk))からなる群から選択される。例えば、
本明細書に記載される組換えクモシルクタンパク質は、米国特許出願第2016/022 50
(65) JP 2022-529644 A 2022.6.23

2174号明細書及び米国特許第9,051,453号明細書、同第9,617,315
号明細書、同第9,689,089号明細書、同第8,173,772号明細書、及び同
第8,642,734号明細書に記載されているタンパク質を含む。
【0165】
 いくつかの生物は、ユニークな配列、構造要素、及び機械的特性を有する複数の絹繊維
を作る。例えば、コガネグモは、環境又は生活環のニッチに適合するように調整された繊
維に重合されるさまざまな絹ポリペプチド配列を生成する6種類のユニークなタイプの腺
を有する。これらの繊維は、それらが由来する腺に因んで命名され、ポリペプチドは、腺
の略語(例えば「Ma」)及びスピドロイン(スパイダーフィブロインの略)は「Sp」
で標識される。コガネグモにおいては、これらのタイプは、大瓶状(MaSp、ドラグラ 10
インとも称される)、小瓶状(MiSp)、鞭毛状(Flag)、房状(AcSp)、管
状(TuSp)、及び洋ナシ状(PySp)を含む。繊維の種類、ドメイン、及び生物の
異なる属及び種間の変化に亘るポリペプチド配列の前記組合せは、組換え繊維の商業的生
産によって利用することができる膨大な数の潜在的特性をもたらす。今日まで、組換え絹
を使った研究の大部分は、大瓶状スピドロイン(MaSp)に着目している。
【0166】
 房状(AcSp)シルクは、適度に高い強度と適度に高い伸展性の結果として、高い靭
性を有する傾向がある。AcSpシルクは、ポリセリンとGPXのモチーフを含むことが
多い大きなブロック(「アンサンブルリピート」)サイズを特徴とする。管状(TuSp
又は円筒状)シルクは、直径が大きく、適度な強度と高い伸展性を有する傾向がある。T 20
uSpシルクは、ポリセリンとポリスレオニン含量及びポリアラニンの短い領域を特徴と
する。大瓶状(MaSp)シルクは、強度が高く、適度な伸展性を有する傾向がある。M
aSpシルクは、MaSp1とMaSp2の2つのサブタイプのいずれかになり得る。M
aSp1シルクは、一般に、MaSp2シルクよりも伸びが少なく、ポリアラニン、GX
、及びGGXモチーフを特徴とする。MaSp2シルクは、ポリアラニン、GGX、及び
GPXモチーフを特徴とする。小瓶状(MiSp)シルクは、適度な強度と適度な伸展性
を有する傾向がある。MiSpシルクは、GGX、GA、及びポリAモチーフを特徴とし
、多くの場合、約100個のアミノ酸のスペーサ要素を含む。鞭毛状(Flag)シルク
は、非常に高い伸展性と適度な強度を有する傾向がある。Flagシルクは、通常、GP
G、GGX、及び短いスペーサモチーフを特徴とする。 30
【0167】
 絹ポリペプチドは、非繰り返し領域(例えば、C末端及びN末端ドメイン)に隣接する
非繰り返しドメイン(REP)から構成されることを特徴とする。実施形態では、C末端
ドメイン及びN末端ドメインの両方が、75∼350アミノ酸長である。リピートドメイ
ンは、階層アーキテクチャを示す。リピートドメインは、一連のブロック(繰り返し単位
とも称される)を含む。ブロックは、絹リピートドメイン全体に亘って、時には完全に、
時には不完全に(準リピートドメインを構成して)繰り返される。ブロックの長さと組成
は、絹のタイプ及び種によって異なる。その全体を本明細書に援用する米国特許出願公開
第2016/0222174号明細書の表1は、選択された種及び絹タイプに由来するブ
ロック配列の例を示しており、更なる例が、Rising, A. et al., S 40
pider silk proteins: recent advances in 
recombinant production, structure−functi
on relationships and biomedical applicat
ions, Cell Mol. Life Sci., 68:2, pg 169−
184 (2011);及びGatesy, J. et al., Extreme 
diversity, conservation, and convergence
 of spider silk fibroin sequences, Scien
ce, 291:5513, pg. 2603−2605 (2001)に示されてい
る。いくつかの場合では、ブロックは、規則的なパターンで配置され、絹配列のリピート
ドメインに複数回(通常、2∼8回)表われる、より大きなマクロリピートを形成するこ 50
(66) JP 2022-529644 A 2022.6.23

とがある。リピートドメイン又はマクロリピート内で繰り返されるブロック、及びリピー
トドメイン内で繰り返されるマクロリピートは、スペーシング要素によって分離されるこ
とがある。
【0168】
 本開示の特定の実施形態によれば、ブロック及び/又はマクロリピートドメインからの
特定のクモシルクブロックコポリマーポリペプチドの構築は、米国特許出願公開第201
6/0222174号明細書に示されている。
【0169】
 組換え原核又は真核生物系における遺伝子発現によって生成されたクモシルク配列に基
づく組換えブロックコポリマーポリペプチドは、当技術分野で知られた方法にしたがって 10
精製することができる。好ましい実施形態では、市販の発現/分泌系を使用することがで
き、それにより、組換えポリペプチドが発現され、その後、宿主細胞から分泌されて、周
囲の培地から容易に精製される。発現/分泌ベクターを使用しない場合、代替アプローチ
は、ポリペプチドが発現された原核細胞又は真核細胞に由来する細胞溶解物(細胞完全性
の破壊後の細胞の残骸)から組換えブロックコポリマーポリペプチドを精製することを含
む。係る細胞溶解物を生成するための方法は、当業者に知られている。いくつかの実施形
態では、組換えブロックコポリマーポリペプチドは、細胞培養上清から単離される。
【0170】
 組換えブロックコポリマーポリペプチドは、組換えポリペプチドに特異的に結合する抗
体との免疫学的相互作用又はN末端又はC末端で6∼8個のヒスチジン残基のタグが付さ 20
れた組換えポリペプチドを単離するためのニッケルカラムなどによる、親和性分離によっ
て精製することができる。別のタグとしては、FLAGエピトープ又はヘマグルチニンエ
ピトープを含み得る。係る方法は、熟練者によって一般に使用されている。
【0171】
 次いで、係るポリペプチド(即ち、組換え絹タンパク質)の溶液を、本明細書に記載さ
れるように調製、使用することができる。
【0172】
 別の実施形態では、組換え絹タンパク質は、その全体を本明細書に援用する米国特許第
8,642,734号明細書に記載の方法にしたがって調製することができ、本明細書に
記載されるように使用される。 30
【0173】
 実施形態では、組換えクモシルクタンパク質が提供される。クモシルクタンパク質は、
典型的には、170∼760アミノ酸残基、例えば170∼600アミノ酸残基、好まし
くは280∼600アミノ酸残基、例えば300∼400アミノ酸残基、より好ましくは
340∼380アミノ酸残基からなる。より長いクモシルクタンパク質はアモルファス凝
集体を形成する傾向があり、可溶化及び重合のために過酷な溶媒の使用を必要とするため
、小サイズが有利である。組換えクモシルクタンパク質は、特にクモシルクタンパク質が
クモシルクタンパク質のN末端部分に由来する2個超の断片を含む場合、760個を超え
る残基を含み得る。クモシルクタンパク質は、クモシルクタンパク質の対応する部分に由
来する少なくとも1つの断片(NT)と、クモシルクタンパク質の対応する内部断片に由 40
来する繰り返し断片(REP)とからなるN末端断片を含む。任意に、クモシルクタンパ
ク質は、クモシルクタンパク質の対応する断片に由来するC末端断片(CT)を含む。ク
モシルクタンパク質は、典型的には、クモシルクタンパク質のN末端部分に由来する単一
断片(NT)を含むが、好ましい実施形態では、N末端断片は、少なくとも2つ、例えば
、クモシルクタンパク質のN末端部分に由来する2つの断片(NT)を含む。したがって
、スピドロインは、式NTm−REP又はNTm−REP−CTによって概略的に表すこ
とができ、式中、mは、1以上、例えば2以上、好ましくは1∼2、1∼4、1∼6、2
∼4、又は2∼6の整数である。好ましいスピドロインは、式NT2−REP若しくはN
T−REP又はNT2−REP−CT若しくはNT−REP−CTによって概略的に表す
ことができる。タンパク質断片は、通常、ペプチド結合を介して共有結合する。一実施形 50
(67) JP 2022-529644 A 2022.6.23

態では、クモシルクタンパク質は、REP断片に結合されたNT断片からなり、このRE
P断片は、任意に、CT断片に結合される。
【0174】
 一実施形態では、単離されたクモシルクタンパク質のポリマーを製造する方法の第1の
工程は、Escherichiacoliなどの好適な宿主において、クモシルクタンパ
ク質をコードするポリ核酸分子を発現させることを含む。このようにして得られたタンパ
ク質は、標準的な手順を使用して単離される。任意に、リポ多糖及び他のパイロジェンが
、この段階で積極的に除去される。
【0175】
 単離されたクモシルクタンパク質のポリマーを製造する方法の第2の工程において、液 10
体媒体中のクモシルクタンパク質の溶液が提供される。「可溶性」及び「溶液中」という
用語は、タンパク質が視覚的に凝集せず、60,000×gでも溶媒から沈殿しないこと
を意味する。液体媒体は、水性媒体、好ましくは生理学的媒体、典型的には、10∼50
mMのTris−HCl緩衝液又はリン酸緩衝液などの緩衝水性媒体などの任意の好適な
媒体であることができる。液体培地は、6.4以上のpH及び/又はクモシルクタンパク
質の重合を防止するイオン組成を有する。即ち、液体媒体は、6.4以上のpH又はクモ
シルクタンパク質の重合を防止するイオン組成のいずれか、又はその両方を有する。
【0176】
 クモシルクタンパク質の重合を防止するイオン組成は、本明細書に開示される方法を利
用して当業者によって容易に調製することができる。クモシルクタンパク質の重合を防止 20
する好ましいイオン組成は、300mM超のイオン強度を有する。クモシルクタンパク質
の重合を防止するイオン組成の具体的な例としては、300mM超のNaCl、100m
Mのリン酸塩、及びクモシルクタンパク質の重合に対して所望の防止効果を有するこれら
のイオンの組合せ(例えば、10mMのリン酸塩と300mMのNaClとの組合せ)を
含む。
【0177】
 NT断片の存在により、溶液の安定性を改善し、これらの条件下でのポリマー生成を防
止する。これは、即時の重合が望ましくないことがある場合、例えば、タンパク質の精製
中、大量バッチの準備中、又は他の条件を最適化する必要がある場合などに有利であるこ
とがある。クモシルクタンパク質の高い溶解度を達成するために、液体培地のpHを6. 30
7以上、例えば7.0以上、又は8.0以上、例えば最大10.5に調整することが好ま
しい。液体培地のpHが6.4∼6.8に調整されることも有利であることがあり、これ
は、クモシルクタンパク質の十分な溶解性を提供するが、その後の6.3以下へのpH調
整を容易にする。
【0178】
 第3の工程では、液体媒体の性質が、pH6.3以下、重合を可能とするイオン組成に
調整される。即ち、クモ絹タンパク質が溶解している液体培地のpHが6.4以上の場合
、pHを6.3以下に低下させる。熟練者は、これを達成するための様々な方法を熟知し
ており、典型的には、強酸又は弱酸の添加を含む。クモシルクタンパク質が溶解している
液体媒体が、重合を防止するイオン組成を有する場合、イオン組成は、重合を可能にする 40
ように変更される。熟練者は、これを達成するための様々な方法を熟知しており、例えば
、希釈、透析、又はゲル濾過などがある。必要に応じて、この工程は、液体媒体のpHを
6.3以下に低下させることと、重合を可能にするためにイオン組成を変更することの両
方を含む。液体媒体のpHは、6.0以下などの6.2以下に調整することが好ましい。
特に、実用的な観点から、前の工程における6.4又は6.4∼6.8から本工程におい
て6.3又は6.0∼6.3(例えば、6.2)へのpH低下を制限することが有利であ
ることがある。好ましい実施形態では、本工程の液体媒体のpHは、3以上、例えば4.
2以上である。結果として生じるpH範囲、例えば4.2∼6.3は、急速な重合を促進
する。
【0179】 50
(68) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 第4の工程では、クモシルクタンパク質は、6.3以下のpHと、クモシルクタンパク
質の重合を可能にするイオン組成とを有する液体媒体中で重合される。NT断片の存在に
より、6.4以上のpHでのクモシルクタンパク質の溶解性及び/又はクモシルクタンパ
ク質の重合を防止するイオン組成が改善されるが、イオン組成がクモシルクタンパク質の
重合を可能にする場合、pH6.3以下でのポリマー形成が加速される。得られたポリマ
ーは、好ましくは固体で巨視的であり、6.3以下のpHと、クモシルクタンパク質の重
合を可能にするイオン組成とを有する液体媒体中で生成される。好ましい実施形態では、
この工程の液体媒体のpHは、3以上、例えば4.2以上である。結果として生じるpH
範囲、例えば4.2∼6.3は、急速な重合を促進する。得られたポリマーは、本明細書
に記載の分子量で提供でき、物品のコーティングに必要に応じて使用できる溶液形態とし 10
て調製することができる。
【0180】
 クモシルクタンパク質の重合を可能にするイオン組成は、本明細書に開示される方法を
利用して当業者によって容易に調製することができる。クモシルクタンパク質の重合を可
能にする好ましいイオン組成物は、300mM未満のイオン強度を有する。クモシルクタ
ンパク質の重合を可能にするイオン組成の具体的な例は、150mMのNaCl、10m
Mのリン酸塩、20mMのリン酸塩、及びクモシルクタンパク質の重合に対する防止作用
がないこれらのイオンの組合せ(例えば、10mMのリン酸塩又は20mMのリン酸塩と
150mMのNaClとの組合せ)が挙げられる。この液体媒体のイオン強度は、1∼2
50mMに調整されることが好ましい。 20
【0181】
 特定の理論に拘束されることを望むものではないが、NT断片は反対に帯電した極を有
し、pHの環境変化はタンパク質の表面の電荷バランスに影響を及ぼした後、重合する一
方で、塩は、この事象を阻害すると考えられる。
【0182】
 中性pHでは、酸性極の過剰な負電荷を埋める(burying)エネルギーコストが
、重合を妨げると予想され得る。しかし、二量体がより低いpHで等電点に近づくにつれ
て、引き付ける静電力が最終的に優勢となり、観察される塩、並びにNT及びNT含有ミ
ニスピドロインのpH依存的重合挙動を説明する。いくつかの実施形態では、pH誘導性
NT重合、及びNT−ミニスピドロインの繊維組織化の効率の上昇は、表面静電ポテンシ 30
ャル変化によるものであり、NTの1つの極での酸性残基のクラスター化は、重合転移が
6.3以下のpH値で生じるように、その電荷バランスをシフトすることが提案されてい
る。
【0183】
 第5の工程では、得られた、好ましくは固体のクモシルクタンパク質ポリマーが、前記
液体媒体から単離される。任意に、この工程は、スピドロインポリマーからリポ多糖及び
他のパイロジェンを積極的に除去することを含む。
【0184】
 特定の理論に拘束されることを望むものではないが、スピドロインポリマーの生成は、
水溶性スピドロイン二量体の生成を介して進行することが観察されている。したがって、 40
本開示はまた、単離されたクモシルクタンパク質の二量体を生成する方法を提供し、最初
の2つの方法工程は前記した通りである。クモシルクタンパク質は、pH6.4以上及び
/又は前記クモシルクタンパク質の重合を防止するイオン組成の液体媒体中、二量体とし
て存在する。第3の工程は、第2の工程で得られた二量体を単離し、任意に、リポ多糖や
その他のパイロジェンを除去することを含む。好ましい実施形態では、本開示のクモシル
クタンパク質ポリマーは、重合されたタンパク質二量体からなる。したがって、本開示は
、クモシルクタンパク質の二量体を生成するための、クモシルクタンパク質、好ましくは
本明細書に開示されるものの新たな使用を提供する。
【0185】
 別の態様によれば、本開示は、本明細書に開示されるクモシルクタンパク質のポリマー 50
(69) JP 2022-529644 A 2022.6.23

を提供する。実施形態では、このタンパク質のポリマーは、本開示に係るそのための方法
のいずれか1つによって得ることができる。したがって、本開示は、組換えシルクベース
コーティングとしてクモシルクタンパク質のポリマーを製造するための、組換えクモシル
クタンパク質、好ましくは本明細書に開示されるものの様々な使用を提供する。一実施形
態によれば、本開示は、組換えシルクベースコーティングとして単離されたクモシルクタ
ンパク質のポリマーを生成するための、クモシルクタンパク質の二量体、好ましくは本明
細書に開示されるものの新たな使用を提供する。これらの使用では、ポリマーは、6.3
以下のpH及び前記クモシルクタンパク質の重合を可能にするイオン組成を有する液体媒
体中で製造されることが好ましい。一実施形態では、液体媒体のpHは、3以上、例えば
4.2以上である。得られるpH範囲(例えば4.2∼6.3)は、急速な重合を促進す 10
る。
【0186】
 本開示の方法を使用して、重合プロセスを制御することが可能であり、これにより、望
ましい性質及び形状を有する絹ポリマーを得るためのパラメータの最適化が可能になる。
【0187】
 実施形態では、本明細書に記載の組換え絹タンパク質は、参照によりその全体を援用す
る米国特許第8,642,734号明細書に記載されているものを含む。
【0188】
 別の実施形態では、本明細書に記載の組換え絹タンパク質は、参照によりその全体を援
用する米国特許第9,051,453号明細書に記載される方法にしたがって調製するこ 20
とができる。
【0189】
 米国特許第9,051,453号明細書の配列番号1で表されるアミノ酸配列は、C末
端のADF3のアミノ酸配列の50アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列と同一であ
る(NCBI Accession No.:AAC47010,GI:1263287
)。米国特許第9,051,453号明細書の配列番号2で表されるアミノ酸配列は、C
末端から20残基を除去した米国特許第9,051,453号明細書の配列番号1で表さ
れるアミノ酸配列と同一である。米国特許第9,051,453号明細書の配列番号3で
表されるアミノ酸配列は、C末端から29残基を除去した配列番号1で表されるアミノ酸
配列と同一である。 30
【0190】
 式1:REP1−REP2(1)で表されるアミノ酸配列のユニットを含み、且つC末
端に、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号1∼3のいずれかで表されるア
ミノ酸配列又は配列番号1∼3のいずれかで表されるアミノ酸配列と90%以上の相同性
を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの例は、米国特許第9,051,453号明
細書の配列番号8で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。米国特許第9,
051,453号明細書の配列番号8によって表されるアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドは、以下の変異によって得られる:そのN末端に、開始コドン、His10タグ、及び
HRV3Cプロテアーゼ(ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ)認識部位から構成され
るアミノ酸配列(米国特許第9,051,453号の配列番号5)が付加されたADF3 40
(NCBI Accession No.:AAC47010,GI:1263287)
のアミノ酸配列において、1番目から13番目の繰り返し領域が約2倍であり、翻訳が第
1154番目のアミノ酸残基で終了する。米国特許第9,051,453号明細書の配列
番号8で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドにおいて、C末端配列は、配列番号
3で表されるアミノ酸配列と同一である。
【0191】
 更に、式1:REP1−REP2(1)で表されるアミノ酸配列のユニットを含み、且
つC末端に、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号1∼3のいずれかで表さ
れるアミノ酸配列又は米国特許第9,051,453号明細書の配列番号1∼3のいずれ
かで表されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプ 50
(70) JP 2022-529644 A 2022.6.23

チドは、1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加され、且つ結晶領
域とアモルファス領域とから構成される繰り返し領域を有する米国特許第9,051,4
53号明細書の配列番号8によって表されるアミノ酸配列を有するタンパク質であり得る

【0192】
 更に、式1:REP1−REP2(1)で表されるアミノ酸配列を2ユニット以上含む
ポリペプチドの例は、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号15で表される
アミノ酸配列を有するADF4に由来する組換えタンパク質である。米国特許第9,05
1,453号明細書の配列番号15で表されるアミノ酸配列は、開始コドン、His10
タグ、及びHRV3Cプロテアーゼ(ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ)認識部位か 10
ら構成されるアミノ酸配列(米国特許第9,051,453号の配列番号5)を、NCB
Iデータベースから取得されるADF4(NCBI Accession No.:AA
C47011,GI:1263289)の部分アミノ酸配列のN末端に付加することによ
って得られるアミノ酸配列である。更に、式1:REP1−REP2(1)で表されるア
ミノ酸配列を2ユニット以上含むポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失
、挿入、及び/又は付加され、且つ結晶領域とアモルファス領域とから構成される繰り返
し領域を有する米国特許第9,051,453号明細書の配列番号15によって表される
アミノ酸配列を有するポリペプチドであり得る。更に、式1:REP1−REP2(1)
で表されるアミノ酸配列を2ユニット以上含むポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸
が置換、欠失、挿入、及び/又は付加され、且つ結晶領域とアモルファス領域とから構成 20
される繰り返し領域を有する米国特許第9,051,453号明細書の配列番号15によ
って表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドであり得る。更に、式1:REP1−R
EP2(1)で表されるアミノ酸配列を2ユニット以上含むポリペプチドの例は、米国特
許第9,051,453号明細書の配列番号17で表されるアミノ酸配列を有するMaS
p2に由来する組換えタンパク質である。米国特許第9,051,453号明細書の配列
番号17で表されるアミノ酸配列は、開始コドン、His10タグ、及びHRV3Cプロ
テアーゼ(ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ)認識部位から構成されるアミノ酸配列
(米国特許第9,051,453号の配列番号5)を、NCBIウェブデータベースから
取得されるMaSp2(NCBI Accession No.:AAT75313,G
I:50363147)の部分配列のN末端に付加することによって得られるアミノ酸配 30
列である。更に、式1:REP1−REP2(1)で表されるアミノ酸配列を2ユニット
以上含むポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加
され、且つ結晶領域とアモルファス領域とから構成される繰り返し領域を有する米国特許
第9,051,453号明細書の配列番号17によって表されるアミノ酸配列を有するポ
リペプチドであり得る。
【0193】
 鞭毛状絹タンパク質に由来するポリペプチドの例としては、式2:REP3(2)で表
されるアミノ酸配列を10単位以上含むポリペプチド、好ましくはその20単位以上を含
むポリペプチド、より好ましくは30単位以上を含むポリペプチドが挙げられる。Esc
herichiacoliなどの微生物を宿主として組換えタンパク質を作製する場合、 40
鞭毛状絹タンパク質由来のポリペプチドの分子量は、生産性の観点から、好ましくは50
0kDa以下、より好ましくは300kDa以下、更に好ましくは200kDa以下であ
る。
【0194】
 式(2)において、REP3は、Gly−Pro−Gly−Gly−Xから構成される
アミノ酸配列を示し、ここで、Xは、Ala、Ser、Tyr、及びValからなる群か
ら選択されるアミノ酸を示す。
【0195】
 クモシルクの大きな特徴は、鞭毛状の絹が結晶領域を有さず、アモルファス領域からな
る繰り返し領域を有することである。主要なドラグラインシルクなどは、結晶領域とアモ 50
(71) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ルファス領域からなる繰り返し領域を有するので、高い応力と伸縮性の両方を有すること
が予想される。一方、鞭毛状シルクは、主要なドラグラインシルクに比べて応力は劣るも
のの、伸縮性は高い。この理由は、鞭毛状のシルクの殆どが、アモルファス領域で構成さ
れると考えられるからである。
【0196】
 式2:REP3(2)で表されるアミノ酸配列を10単位以上含むポリペプチドの例は
、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号19で表されるアミノ酸配列を有す
る鞭毛状の絹タンパク質に由来する組換えタンパク質である。米国特許第9,051,4
53号明細書の配列番号19で表されるアミノ酸配列は、NCBIデータベースから得ら
れるNephilaclavipesの鞭毛状の絹タンパク質の部分配列(NCBI A 10
ccession No.:AAF36090,GI:7106224)、具体的には、
繰返し部分及びモチーフに対応するN末端から第1220番目の残基∼第1659番目の
残基のアミノ酸配列(PR1配列と称する)を、NCBIデータベースから得られるNe
philaclavipesの鞭毛状の絹タンパク質の部分配列(NCBI Acces
sion No.:AAC38847,GI:2833649)、具体的には、C末端か
ら第816番目の残基∼第907番目の残基のC末端アミノ酸配列と組み合わせ、その後
、開始コドン、His10タグ、及びHRV3Cプロテアーゼ認識部位で構成されるアミ
ノ酸配列(米国特許第9,051,453号明細書の配列番号5)を、前記組み合わせた
配列のN末端に付加することによって得られる。更に、式2:REP3(2)で表される
アミノ酸配列の10単位以上含むポリペプチドは、1個又は複数のアミノ酸が置換、削除 20
、挿入、及び/又は付加されており、アモルファス領域から構成される繰り返し領域を有
する、米国特許第9,051,453号明細書の配列番号19で表されるアミノ酸配列を
有するポリペプチドであり得る。
【0197】
 ポリペプチドは、ポリペプチドをコードする遺伝子を含む発現ベクターによって形質転
換された宿主を使用して産生することができる。遺伝子の作製方法は特に限定されず、ク
モ由来の細胞から天然のクモ絹タンパク質をコードする遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(
PCR)などにより増幅し、クローニングすることにより作製することができる、又は化
学的に合成することもできる。また、遺伝子を化学的に合成する方法は、特に限定されず
、例えば、NCBIウェブデータベースなどから得られる天然のクモ絹タンパク質のアミ 30
ノ酸配列の情報に基づき、AKTAオリゴパイロットプラス10/100(GEヘルスケ
アジャパン株式会社)を用いて自動合成されたオリゴヌクレオチドを、PCRなどで結合
させることにより合成することができる。このとき、タンパク質の精製及び観察を容易に
するために、アミノ酸配列のN末端に開始コドンとHis10タグからなるアミノ酸配列
が付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子を合成することができ
る。
【0198】
 発現ベクターの例としては、DNA配列に基づいてタンパク質を発現することができる
プラスミド、ファージ、ウイルスが挙げられる。プラスミド型発現ベクターは、標的遺伝
子を宿主細胞で発現させ、それ自体を増幅することができる限り、特に限定されない。例 40
えば、Escherichiacoli Rosetta(DE3)を宿主として使用す
る場合、pET22b(+)プラスミドベクター、pColdプラスミドベクターなどを
使用することができる。これらの中でも、タンパク質の生産性の観点から、pET22b
(+)プラスミドベクターを使用することが好ましい。宿主の例としては、動物細胞、植
物細胞、微生物などが挙げられる。
【0199】
 本開示で使用されるポリペプチドは、好ましくは、Araneus diademat
usの2種類の主要なドラグラインシルクタンパク質の1つであるADF3に由来するポ
リペプチドである。このポリペプチドは、基本的に、高強度の伸長性と靭性を有し、合成
が容易であるという利点を有する。 50
(72) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0200】
 したがって、本明細書に記載の実施形態、物品、及び/又は方法にしたがって使用され
る組換え絹タンパク質(例えば、組換えクモシルクベースのタンパク質)は、前記した1
以上の組換え絹タンパク質、又はその全体を参照により本明細書に援用する米国特許第8
,173,772号明細書、同第8,278,416号明細書、同第8,618,255
号明細書、同第8,642,734号明細書、同第8,691,581号明細書、同第8
,729,235号明細書、同第9,115,204号明細書、同第9,157,070
号明細書、同第9,309,299号明細書、同第9,644,012号明細書、同第9
,708,376号明細書、同第9,051,453号明細書、同第9,617,315
号明細書、同第9,968,682号明細書、同第9,689,089号明細書、同第9 10
,732,125号明細書、同第9,856,308号明細書、同第9,926,348
号明細書、同第10,065,997号明細書、同第10,316,069号明細書、及
び同第10,329,332号明細書;米国特許公開第2009/0226969号明細
書、同第2011/0281273号明細書、同第2012/0041177号明細書、
同第2013/0065278号明細書、同第2013/0115698号明細書、同第
2013/0316376号明細書、同第2014/0058066号明細書、同第20
14/0079674号明細書、同第2014/0245923号明細書、同第2015
/0087046号明細書、同第2015/0119554号明細書、同第2015/0
141618号明細書、同第2015/0291673号明細書、同第2015/029
1674号明細書、同第2015/0239587号明細書、同第2015/03445 20
42号明細書、同第2015/0361144号明細書、同第2015/0374833
号明細書、同第2015/0376247号明細書、同第2016/0024464号明
細書、同第2017/0066804号明細書、同第2017/0066805号明細書
、同第2015/0293076号明細書、同第2016/0222174号明細書、同
第2017/0283474号明細書、同第2017/0088675号明細書、同第2
019/0135880号明細書、同第2015/0329587号明細書、同第201
9/0040109号明細書、同第2019/0135881号明細書、同第2019/
0177363号明細書、同第2019/0225646号明細書、同第2019/02
33481号明細書、同第2019/0031842号明細書、同第2018/0355
120号明細書、同第2019/0186050号明細書、同第2019/000264 30
4号明細書、同第2020/0031887号明細書、同第2018/0273590号
明細書、同第20191/094403号明細書、同第2019/0031843号明細
書、同第2018/0251501号明細書、同第2017/0066805号明細書、
同第2018/0127553号明細書、同第2019/0329526号明細書、同第
2020/0031886号明細書、同第2018/0080147号明細書、同第20
19/0352349号明細書、同第2020/0043085号明細書、同第2019
/0144819号明細書、同第2019/0228449号明細書、同第2019/0
340666号明細書、同第2020/0000091号明細書、同第2019/019
4710号明細書、同第2019/0151505号明細書、同第2018/02655
55号明細書、同第2019/0352330号明細書、同第2019/0248847 40
号明細書、及び同第2019/0378191号明細書に記載された1以上の組換え絹タ
ンパク質を含むことができる。
【0201】
絹フィブロイン様タンパク質断片
 本開示における組換え絹タンパク質は、天然の絹タンパク質の繰り返し単位に基づく合
成タンパク質を含む。合成繰り返し絹タンパク質配列に加えて、これらは更に、1以上の
天然の非繰り返し絹タンパク質配列を含むことができる。本明細書においては、「絹フィ
ブロイン様タンパク質断片」は、本明細書で定義される分子量及び多分散性、並びにネイ
ティブな絹タンパク質、フィブロイン重鎖、フィブロイン軽鎖、又は1以上のGAGAG
Sヘキサアミノ酸繰り返しユニットを含む任意のタンパク質から選択されるタンパク質と 50
(73) JP 2022-529644 A 2022.6.23

一定程度の相同性を有するタンパク質断片を意味する。いくつかの実施形態では、相同性
の程度は、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、
約92%、約91%、約90%、約89%、約88%、約87%、約86%、約85%、
約84%、約83%、約82%、約81%、約80%、約79%、約78%、約77%、
約76%、約75%、又は75%未満から選択される。
【0202】
 本明細書に記載されるように、ネイティブの絹タンパク質、フィブロイン重鎖、フィブ
ロイン軽鎖、又は1以上のGAGAGSヘキサアミノ酸繰り返し単位を含む任意のタンパ
ク質などのタンパク質は、約9%∼約45%のグリシン、又は約9%のグリシン、又は、
約10%のグリシン、約43%のグリシン、約44%のグリシン、約45%のグリシン、 10
又は約46%のグリシンを含む。本明細書に記載されるように、ネイティブの絹タンパク
質、フィブロイン重鎖、フィブロイン軽鎖、又は1以上のGAGAGSヘキサアミノ酸繰
り返し単位を含む任意のタンパク質などのタンパク質は、約13%∼約30%のアラニン
、又は約13%のアラニン、又は約28%のアラニン、又は約29%のアラニン、又は約
30%のアラニン、又は約31%のアラニンを含む。本明細書に記載されるように、ネイ
ティブの絹タンパク質、フィブロイン重鎖、フィブロイン軽鎖、又は1以上のGAGAG
Sヘキサアミノ酸繰り返し単位を含む任意のタンパク質などのタンパク質は、9%∼約1
2%のセリン、又は約9%のセリン、又は約10%のセリン、又は約11%のセリン、又
は約12%のセリンを含む。
【0203】 20
 いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロイン様タンパク質は、約5
%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約1
4%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約2
2%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約3
0%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約3
8%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約4
6%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約5
4%、又は約55%のグリセリンを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載され
る絹フィブロイン様タンパク質は、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%
、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25% 30
、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%
、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、又は約39%のアラニンを含む
。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロイン様タンパク質は、約2
%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、
約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、
約20%、約21%、又は約22%のセリンを含む。いくつかの実施形態では、本明細書
に記載される絹フィブロイン様タンパク質は、天然のフィブロインに含まれることが知ら
れている任意のアミノ酸を独立して含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細
書に記載の絹フィブロイン様タンパク質は、天然のフィブロインに含まれることが知られ
ている任意のアミノ酸を独立して含まないことができる。いくつかの実施形態では、本明 40
細書に記載の絹フィブロイン様タンパク質中、平均して、6アミノ酸のうち2個、6アミ
ノ酸のうち3個、又は6アミノ酸のうち4個がグリシンである。いくつかの実施形態では
、本明細書に記載の絹フィブロイン様タンパク質中、平均して、6アミノ酸のうち1個、
6アミノ酸のうち2個、又は6アミノ酸のうち3個がアラニンである。いくつかの実施形
態では、本明細書に記載の絹フィブロイン様タンパク質中、平均して、6アミノ酸のうち
0個、6アミノ酸のうち1個、又は6アミノ酸のうち2個がセリンである。
【0204】
SPFの他の性質
 本開示の組成物は、「生体適合性」である、又は組成物が、毒性を示さず、有害でなく
、生理学的に反応性でもなく且つ免疫学的拒絶も炎症反応も引き起こさないことによって 50
(74) JP 2022-529644 A 2022.6.23

、生体組織又は生体系と適合性であることを意味する「生体適合性」を示す。係る生体適
合性は、参加者が、本開示の組成物を長期間に亘って、皮膚に局所的に適用することによ
って証明することができる。実施形態では、前記長期間は、約3日間である。実施形態で
は、前記長期間は、約7日間である。実施形態では、前記長期間は、約14日間である。
実施形態では、前記長期間は、約21日間である。実施形態では、前記長期間は、約30
日間である。実施形態では、前記長期間は、約3日間である。実施形態では、前記長期間
は、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7
ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、及び無
期限からなる群から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコ
ーティングは、生体適合性コーティングである。 10
【0205】
 いくつかの実施形態では、生体適合性組成物(例えば、絹を含む生体適合性コーティン
グ)であり得る本明細書に記載の組成物を評価し、「Biological evalu
ation of medical devices − Part 1: Evalu
ation and testing within a risk manageme
nt process」と題する国際規格ISO 10993−1を遵守することができ
る。いくつかの実施形態では、生体適合性組成物であり得る本明細書に記載の組成物は、
細胞毒性、感作、血液適合性、発熱性、着床、遺伝子毒性、発癌性、生殖及び発生毒性、
並びに分解のうちの1以上について、ISO 106993−1の下で評価することがで
きる。 20
【0206】
 本開示の組成物は、「低アレルギー性」であり、これは、それらがアレルギー反応を比
較的、引き起こしにくいことを意味する。係る低アレルギー性は、参加者が、本開示の組
成物を長期間に亘って、皮膚に局所的に適用することによって証明することができる。実
施形態では、前記長期間は、約3日間である。実施形態では、前記長期間は、約7日間で
ある。実施形態では、前記長期間は、約14日間である。実施形態では、前記長期間は、
約21日間である。実施形態では、前記長期間は、約30日間である。実施形態では、前
記長期間は、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月
間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間
、及び無期限からなる群から選択される。 30
【0207】
 実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約1日間である。実施形態では、本開示の
組成物の安定性は、約2日間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約3日
間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約4日間である。実施形態では、
本開示の組成物の安定性は、約5日間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は
、約6日間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約7日間である。実施形
態では、本開示の組成物の安定性は、約8日間である。実施形態では、本開示の組成物の
安定性は、約9日間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約10日間であ
る。
【0208】 40
 実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約11日間、約12日間、約13日間、約
14日間、約15日間、約16日間、約17日間、約18日間、約19日間、約20日間
、約21日間、約22日間、約23日間、約24日間、約25日間、約26日間、約27
日間、約28日間、約29日間、又は約30日間である。
【0209】
 実施形態では、本開示の組成物の安定性は、10日間∼6ヶ月間である。実施形態では
、本開示の組成物の安定性は、6ヶ月間∼12ヶ月間である。実施形態では、本開示の組
成物の安定性は、12ヶ月間∼18ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定
性は、18ヶ月間∼24ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、24
ヶ月間∼30ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、30ヶ月間∼3 50
(75) JP 2022-529644 A 2022.6.23

6ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、36ヶ月間∼48ヶ月間で
ある。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、48ヶ月間∼60ヶ月間である。
【0210】
 実施形態では、本開示のSPF組成物は、タンパク質の結晶性のために水溶液に可溶で
はない。実施形態では、本開示のSPF組成物は、水溶液に可溶である。実施形態では、
本開示の組成物のSPFは、約3分の2の結晶部分と、約3分の1のアモルファス領域と
を含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、約2分の1の結晶部分と、約2分の
1のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、99%の結
晶部分と、1%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは
、95%の結晶部分と、5%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成 10
物のSPFは、90%の結晶部分と、10%のアモルファス領域とを含む。実施形態では
、本開示の組成物のSPFは、85%の結晶部分と、15%のアモルファス領域とを含む
。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、80%の結晶部分と、20%のアモルファ
ス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、75%の結晶部分と、25
%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、70%の結
晶部分と、30%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPF
は、65%の結晶部分と、35%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の
組成物のSPFは、60%の結晶部分と、40%のアモルファス領域とを含む。実施形態
では、本開示の組成物のSPFは、50%の結晶部分と、50%のアモルファス領域とを
含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、40%の結晶部分と、60%のアモル 20
ファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、35%の結晶部分と、
65%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、30%
の結晶部分と、70%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のS
PFは、25%の結晶部分と、75%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開
示の組成物のSPFは、20%の結晶部分と、80%のアモルファス領域とを含む。実施
形態では、本開示の組成物のSPFは、15%の結晶部分と、85%のアモルファス領域
とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、10%の結晶部分と、90%のア
モルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、5%の結晶部分と
、90%のアモルファス領域とを含む。実施形態では、本開示の組成物のSPFは、1%
の結晶部分と、99%のアモルファス領域とを含む。 30
【0211】
 本明細書においては、用語「無機残留物を実質的に含まない」は、組成物が、0.1%
(w/w)以下の残留物を示すことを意味する。実施形態では、無機残留物を実質的に含
まないことは、0.05%(w/w)以下の残留物を示す組成物を意味する。実施形態で
は、無機残留物を実質的に含まないことは、0.01%(w/w)以下の残留物を示す組
成物を意味する。実施形態では、無機残留物の量は、0ppm(「検出不能」又は「ND
」)∼1000ppmである。実施形態では、無機残留物の量は、ND∼約500ppm
である。実施形態では、無機残留物の量は、ND∼約400ppmである。実施形態では
、無機残留物の量は、ND∼約300ppmである。実施形態では、無機残留物の量は、
ND∼約200ppmである。実施形態では、無機残留物の量は、ND∼約100ppm 40
である。実施形態では、無機残留物の量は、10ppm∼1000ppmである。
【0212】
 本明細書においては、用語「有機残留物を実質的に含まない」は、組成物が、0.1%
(w/w)以下の残留物を示すことを意味する。実施形態では、有機残留物を実質的に含
まないことは、0.05%(w/w)以下の残留物を示す組成物を意味する。実施形態で
は、有機残留物を実質的に含まないことは、0.01%(w/w)以下の残留物を示す組
成物を意味する。実施形態では、有機残留物の量は、0ppm(「検出不能」又は「ND
」)∼1000ppmである。実施形態では、有機残留物の量は、ND∼約500ppm
である。実施形態では、有機残留物の量は、ND∼約400ppmである。実施形態では
、有機残留物の量は、ND∼約300ppmである。実施形態では、有機残留物の量は、 50
(76) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ND∼約200ppmである。実施形態では、有機残留物の量は、ND∼約100ppm
である。実施形態では、有機残留物の量は、10ppm∼1000ppmである。
【0213】
 本開示の組成物は、「生体適合性」を示し、これは、組成物が、毒性を示さず、有害で
なく、生理学的に反応性でもなく且つ免疫学的拒絶も炎症反応も引き起こさないことによ
って、生体組織又は生体系と適合性であることを意味する。係る生体適合性は、参加者が
、本開示の組成物を長期間に亘って、皮膚に局所的に適用することによって証明すること
ができる。実施形態では、前記長期間は、約3日間である。実施形態では、前記長期間は
、約7日間である。実施形態では、前記長期間は、約14日間である。実施形態では、前
記長期間は、約21日間である。実施形態では、前記長期間は、約30日間である。実施 10
形態では、前記長期間は、約3日間である。実施形態では、前記長期間は、約1ヶ月間、
約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月
間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、及び無期限からなる群か
ら選択される。
【0214】
 本開示の組成物は、「低アレルギー性」であり、これは、それらがアレルギー反応を比
較的、引き起こしにくいことを意味する。係る低アレルギー性は、参加者が、本開示の組
成物を長期間に亘って、皮膚に局所的に適用することによって証明することができる。実
施形態では、前記長期間は、約3日間である。実施形態では、前記長期間は、約7日間で
ある。実施形態では、前記長期間は、約14日間である。実施形態では、前記長期間は、 20
約21日間である。実施形態では、前記長期間は、約30日間である。実施形態では、前
記長期間は、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月
間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間
、及び無期限からなる群から選択される。
【0215】
 以下は、本開示の絹溶液中及びその調製のための様々なパラメータに適した範囲の非限
定的な例である。本開示の絹溶液は、これらのパラメータの必ずしも全てではなく1以上
を含むことができ、係るパラメータの範囲の様々な組合せを使用して調製することができ
る。
【0216】 30
 実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、30.0重量%未満である。実施形態で
は、溶液中のSPFパーセントは、25.0重量%未満である。実施形態では、溶液中の
SPFパーセントは、20.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセ
ントは、19.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、18
.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、17.0重量%未
満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、16.0重量%未満である。実
施形態では、溶液中のSPFパーセントは、15.0重量%未満である。実施形態では、
溶液中のSPFパーセントは、14.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSP
Fパーセントは、13.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセント
は、12.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、11.0 40
重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、10.0重量%未満で
ある。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、9.0重量%未満である。実施形態
では、溶液中のSPFパーセントは、8.0重量%未満である。実施形態では、溶液中の
SPFパーセントは、7.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセン
トは、6.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、5.0重
量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、4.0重量%未満である
。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、3.0重量%未満である。実施形態では
、溶液中のSPFパーセントは、2.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSP
Fパーセントは、1.0重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは
、0.9重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.8重量% 50
(77) JP 2022-529644 A 2022.6.23

未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.7重量%未満である。実
施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.6重量%未満である。実施形態では、溶
液中のSPFパーセントは、0.5重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパ
ーセントは、0.4重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0
.3重量%未満である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.2重量%未満
である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.1重量%未満である。
【0217】
 実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.1重量%超である。実施形態では、
溶液中のSPFパーセントは、0.2重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパ
ーセントは、0.3重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0. 10
4重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.5重量%超である
。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.6重量%超である。実施形態では、
溶液中のSPFパーセントは、0.7重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパ
ーセントは、0.8重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、0.
9重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、1.0重量%超である
。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、2.0重量%超である。実施形態では、
溶液中のSPFパーセントは、3.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパ
ーセントは、4.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、5.
0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、6.0重量%超である
。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、7.0重量%超である。実施形態では、 20
溶液中のSPFパーセントは、8.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパ
ーセントは、9.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、10
.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、11.0重量%超で
ある。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、12.0重量%超である。実施形態
では、溶液中のSPFパーセントは、13.0重量%超である。実施形態では、溶液中の
SPFパーセントは、14.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセン
トは、15.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、16.0
重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、17.0重量%超である
。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、18.0重量%超である。実施形態では
、溶液中のSPFパーセントは、19.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSP 30
Fパーセントは、20.0重量%超である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは
、25.0重量%超である。
【0218】
 実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約30.0重量%であ
る。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約25.0重量%で
ある。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約20.0重量%
である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約15.0重量
%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約10.0重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約9.0重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約8.0重 40
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約7.0重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約6.5重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約6.0重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約5.5重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約5.0重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約4.5重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約4.0重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約3.5重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約3.0重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約2.5重 50
(78) JP 2022-529644 A 2022.6.23

量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約2.0重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約2.4重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.5重量%∼約5.0重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.5重量%∼約4.5重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.5重量%∼約4.0重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.5重量%∼約3.5重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.5重量%∼約3.0重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.5重量%∼約2.5重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%∼約4.0重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%∼約3.5重 10
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%∼約3.0重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%∼約2.5重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%∼約2.4重
量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%∼約2.0重
量%である。
【0219】
 実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約20.0重量%∼約30.0重量%で
ある。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約10.0重量%
である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0重量%∼約10.0重量
%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約2重量%∼約10.0重量% 20
である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約0.1重量%∼約6.0重量%
である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約6.0重量%∼約10.0重量
%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約6.0重量%∼約8.0重量
%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約6.0重量%∼約9.0重量
%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約10.0重量%∼約20.0
重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約11.0重量%∼約19
.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約12.0重量%∼約
18.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約13.0重量%
∼約17.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約14.0重
量%∼約16.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.0 30
重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約1.5重量%である。実
施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約2.0重量%である。実施形態では、溶液
中のSPFパーセントは、約2.4重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセ
ントは、約3.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約3.5
重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約4.0重量%である。実
施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約4.5重量%である。実施形態では、溶液
中のSPFパーセントは、約5.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセ
ントは、約5.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約6.0
重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約6.5重量%である。実
施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約7.0重量%である。実施形態では、溶液 40
中のSPFパーセントは、約7.5重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセ
ントは、約8.0重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約8.5
重量%である。実施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約9.0重量%である。実
施形態では、溶液中のSPFパーセントは、約9.5重量%である。実施形態では、溶液
中のSPFパーセントは、約10.0重量%である。
【0220】
 実施形態では、溶液中のセリシンパーセントは、検出不能∼25.0重量%である。実
施形態では、溶液中のセリシンパーセントは、検出不能∼5.0重量%である。実施形態
では、溶液中のセリシンパーセントは、1.0重量%である。実施形態では、溶液中のセ
リシンパーセントは、2.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシンパーセント 50
(79) JP 2022-529644 A 2022.6.23

は、3.0重量%である。実施形態では、溶液中のセリシンパーセントは、4.0重量%
である。実施形態では、溶液中のセリシンパーセントは、5.0重量%である。実施形態
では、溶液中のセリシンパーセントは、10.0重量%である。実施形態では、溶液中の
セリシンパーセントは、25.0重量%である。
【0221】
 いくつかの実施形態では、本開示の絹フィブロインタンパク質断片は、貯蔵条件、絹の
パーセント並びに出荷の数及び出荷条件に応じて10日間∼3年間の保管安定性を有する
(即ち、水溶液中で貯蔵した場合、それらは、徐々に又は自然発生的にゲル化することは
なく、断片の凝集及び経時的な分子量の上昇がない)。更に、pHを変化させて、絹の未
成熟な折り畳み(folding)及び凝集を防止することによって、保管寿命を延長さ 10
せることができる及び/又はシッピング条件を支援することができる。実施形態では、L
iBr−絹断片溶液の安定性は、0∼1年間である。実施形態では、LiBr−絹断片溶
液の安定性は、0∼2年間である。実施形態では、LiBr−絹断片溶液の安定性は、0
∼3年間である。実施形態では、LiBr−絹断片溶液の安定性は、0∼4年間である。
実施形態では、LiBr−絹断片溶液の安定性は、0∼5年間である。実施形態では、L
iBr−絹断片溶液の安定性は、1∼2年間である。実施形態では、LiBr−絹断片溶
液の安定性は、1∼3年間である。実施形態では、LiBr−絹断片溶液の安定性は、1
∼4年間である。実施形態では、LiBr−絹断片溶液の安定性は、1∼5年間である。
実施形態では、LiBr−絹断片溶液の安定性は、2∼3年間である。実施形態では、L
iBr−絹断片溶液の安定性は、2∼4年間である。実施形態では、LiBr−絹断片溶 20
液の安定性は、2∼5年間である。実施形態では、LiBr−絹断片溶液の安定性は、3
∼4年間である。実施形態では、LiBr−絹断片溶液の安定性は、3∼5年間である。
実施形態では、LiBr−絹断片溶液の安定性は、4∼5年間である。
【0222】
 実施形態では、本開示の組成物の安定性は、10日間∼6ヶ月間である。実施形態では
、本開示の組成物の安定性は、6ヶ月間∼12ヶ月間である。実施形態では、本開示の組
成物の安定性は、12ヶ月間∼18ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定
性は、18ヶ月間∼24ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、24
ヶ月間∼30ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、30ヶ月間∼3
6ヶ月間である。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、36ヶ月間∼48ヶ月間で 30
ある。実施形態では、本開示の組成物の安定性は、48ヶ月間∼60ヶ月間である。
【0223】
 実施形態では、SPFを有する本開示の組成物は、検出不能なレベルのLiBr残留物
を有する。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、10ppm∼10
00ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、10pp
m∼300ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、2
5ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、50p
pm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、75ppm
未満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、100ppm未
満である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、200ppm未満 40
である。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、300ppm未満で
ある。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、400ppm未満であ
る。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、500ppm未満である
。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、600ppm未満である。
実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、700ppm未満である。実
施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、800ppm未満である。実施
形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、900ppm未満である。実施形
態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、1000ppm未満である。実施形
態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能∼500ppmである。実
施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能∼450ppmである 50
(80) JP 2022-529644 A 2022.6.23

。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能∼400ppmで
ある。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能∼350pp
mである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能∼300
ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能∼2
50ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出不能
∼200ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、検出
不能∼150ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量は、
検出不能∼100ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物の量
は、検出不能∼500ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残留物
の量は、100ppm∼200ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のLiB 10
r残留物の量は、200ppm∼300ppmである。実施形態では、本開示の組成物中
のLiBr残留物の量は、300ppm∼400ppmである。実施形態では、本開示の
組成物中のLiBr残留物の量は、400ppm∼500ppmである。
【0224】
 実施形態では、SPFを有する本開示の組成物は、検出不能なレベルのNa2CO3残
留物を有する。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の量は、100p
pm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の量は、200
ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の量は、30
0ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の量は、4
00ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の量は、 20
500ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の量は
、600ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の量
は、700ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の
量は、800ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物
の量は、900ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留
物の量は、1000ppm未満である。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3
残留物の量は、検出不能∼500ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNa
2CO3残留物の量は、検出不能∼450ppmである。実施形態では、本開示の組成物

中のNa2CO3残留物の量は、検出不能∼400ppmである。実施形態では、本開示
の組成物中のNa2CO3残留物の量は、検出不能∼350ppmである。実施形態では 30
、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の量は、検出不能∼300ppmである。実施
形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の量は、検出不能∼250ppmであ
る。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の量は、検出不能∼200p
pmである。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の量は、検出不能∼
150ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の量は、検
出不能∼100ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNa2CO3残留物の
量は、100ppm∼200ppmである。実施形態では、本開示の組成物中のNa2C
O3残留物の量は、200ppm∼300ppmである。実施形態では、本開示の組成物
中のNa2CO3残留物の量は、300ppm∼400ppmである。実施形態では、本
開示の組成物中のNa2CO3残留物の量は、400ppm∼500ppmである。 40
【0225】
 本開示のSPF組成物のユニークな特徴は、貯蔵条件、絹のパーセント並びに出荷の数
及び出荷条件に応じて10日間∼3年間の保管安定性を有する(即ち、水溶液中で貯蔵し
た場合、それらは、徐々に又は自然発生的にゲル化することはなく、断片の凝集及び経時
的な分子量の上昇がない)。更に、pHを変化させて、絹の未成熟な折り畳み(fold
ing)及び凝集を防止することによって、保管寿命を延長させることができる及び/又
はシッピング条件を支援することができる。実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は
、室温(RT)で、最大2週間の保管安定性を有する。実施形態では、本開示のSPF溶
液組成物は、RTで、最大4週間の保管安定性を有する。実施形態では、本開示のSPF
溶液組成物は、RTで、最大6週間の保管安定性を有する。実施形態では、本開示のSP 50
(81) JP 2022-529644 A 2022.6.23

F溶液組成物は、RTで、最大8週間の保管安定性を有する。実施形態では、本開示のS
PF溶液組成物は、RTで、最大10週間の保管安定性を有する。実施形態では、本開示
のSPF溶液組成物は、RTで、最大12週間の保管安定性を有する。実施形態では、本
開示のSPF溶液組成物は、RTで、約4週間∼約52週間の保管安定性を有する。
 以下の表18は、本開示のSPF組成物の実施形態についての保管安定性試験結果を示
す。
【表18】

【0226】
 いくつかの実施形態では、本明細書に記載の絹フィブロインタンパク質断片に由来する
絹フィルムの水溶性は、溶媒アニーリング(水アニーリング又はメタノールアニーリング
)、化学架橋、酵素架橋、及び熱処理によって変化させることができる。
【0227】
 いくつかの実施形態では、アニーリングのプロセスは、コーティング材料として使用さ
れる絹フィブロインタンパク質断片溶液においてベータシート形成を誘導することを伴い
得る。アニーリング(例えば、結晶化度の上昇)又は絹フィブロインタンパク質ベースの 30
断片の「分子パッキング」を促進する技術が記載されている。いくつかの実施形態では、
アモルファスシルクフィルムは、水又は有機溶媒の群から選択される溶媒の存在下でベー
タシートを導入するためにアニールされる。いくつかの実施形態では、アモルファスシル
クフィルムは、水の存在下でベータシートを導入するためにアニーリングされる(水アニ
ーリングプロセス)。いくつかの実施形態では、アモルファス絹フィブロインタンパク質
断片フィルムは、メタノールの存在下でベータシートを導入するためにアニーリングされ
る。いくつかの実施形態では、アニーリング(例えば、ベータシート形成)は、有機溶媒
の添加によって誘導される。好適な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセト
ン、イソプロパノール、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0228】 40
 いくつかの実施形態では、アニーリングは、いわゆる「水アニーリング」又は「水蒸気
アニーリング」によって実施され、水蒸気は、ベータシートのパッキングを促進するため
の中間可塑剤又は触媒として使用される。いくつかの実施形態では、水アニーリングのプ
ロセスは、真空下で実施することができる。好適な係る方法は、Jin H−J et 
al. (2005), Water−stable Silk Films with
 Reduced Beta−Sheet Content, Advanced Fu
nctional Materials, 15: 1241−1247; Xiao 
H. et al. (2011), Regulation of Silk Mat
erial Structure by Temperature−Controlle
d Water Vapor Annealing, Biomacromolecul 50
(82) JP 2022-529644 A 2022.6.23

es, 12(5): 1686−1696に記載されている。
【0229】
 水アニーリングプロセスの重要な特徴は、絹フィブロインタンパク質断片ペプチド鎖に
おける結晶性ベータシートの形成を促進して、絹フィブロインが連続膜に自己組織化する
ことを可能にすることである。いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片
フィルムの結晶化度は、水蒸気の温度及びアニーリングの持続時間を制御することによっ
て制御される。いくつかの実施形態では、アニーリングは、約65℃∼約110℃で行わ
れる。いくつかの実施形態では、水の温度は、約80℃に維持される。いくつかの実施形
態では、アニーリングは、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90
℃、約95℃、約100℃、約105℃、及び約110℃の群から選択される温度で実施 10
される。
【0230】
 いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスは、約1分間∼約40分間、約1分間
∼約50分間、約1分間∼約60分間、約1分間∼約70分間、約1分間∼約80分間、
約1分間∼約90分間、約1分間∼約100分間、約1分間∼約110分間、約1分間∼
約120分間、約1分間∼約130分間、約5分間∼約40分間、約5分間∼約50分間
、約5分間∼約60分間、約5分間∼約70分間、約5分間∼約80分間、約5分間∼約
90分間、約5分間∼約100分間、約5分間∼約110分間、約5分間∼約120分間
、約5分間∼約130分間、約10分間∼約40分間、約10分間∼約50分間、約10
分間∼約60分間、約10分間∼約70分間、約10分間∼約80分間、約10分間∼約 20
90分間、約10分間∼約100分間、約10分間∼約110分間、約10分間∼約12
0分間、約10分間∼約130分間、約15分間∼約40分間、約15分間∼約50分間
、約15分間∼約60分間、約15分間∼約70分間、約15分間∼約80分間、約15
分間∼約90分間、約15分間∼約100分間、約15分間∼約110分間、約15分間
∼約120分間、約15分間∼約130分間、約20分間∼約40分間、約20分間∼約
50分間、約20分間∼約60分間、約20分間∼約70分間、約20分間∼約80分間
、約20分間∼約90分間、約20分間∼約100分間、約20分間∼約110分間、約
20分間∼約120分間、約20分間∼約130分間、約25分間∼約40分間、約25
分間∼約50分間、約25分間∼約60分間、約25分間∼約70分間、約25分間∼約
80分間、約25分間∼約90分間、約25分間∼約100分間、約25分間∼約110 30
分間、約25分間∼約120分間、約25分間∼約130分間、約30分間∼約40分間
、約30分間∼約50分間、約30分間∼約60分間、約30分間∼約70分間、約30
分間∼約80分間、約30分間∼約90分間、約30分間∼約100分間、約30分間∼
約110分間、約30分間∼約120分間、約30分間∼約130分間、約35分間∼約
40分間、約35分間∼約50分間、約35分間∼約60分間、約35分間∼約70分間
、約35分間∼約80分間、約35分間∼約90分間、約35分間∼約100分間、約3
5分間∼約110分間、約35分間∼約120分間、約35分間∼約130分間、約40
分間∼約50分間、約40分間∼約60分間、約40分間∼約70分間、約40分間∼約
80分間、約40分間∼約90分間、約40分間∼約100分間、約40分間∼約110
分間、約40分間∼約120分間、約40分間∼約130分間、約45分間∼約50分間 40
、約45分間∼約60分間、約45分間∼約70分間、約45分間∼約80分間、約45
分間∼約90分間、約45分間∼約100分間、約45分間∼約110分間、約45分間
∼約120分間、及び約45分間∼約130分間からなる群から選択される期間継続する
。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスは、約1分間∼約60分間の期間継続
する。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスは、約45分間∼約60分間の期
間継続する。より長い水アニーリングポストプロセスにより、絹フィブロインタンパク質
断片の結晶化度の上昇がもたらされた。
【0231】
 いくつかの実施形態では、アニーリングされた絹フィブロインタンパク質断片フィルム
は、湿った絹フィブロインタンパク質断片フィルムを100%メタノールに60分間室温 50
(83) JP 2022-529644 A 2022.6.23

で浸漬している。メタノールアニーリングは、絹フィブロインタンパク質断片フィルムの
組成を、主にアモルファスのランダムコイルから結晶性の逆平行ベータシート構造に変化
させた。
【0232】
 いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSPFを使用して、メタノールで沈殿させ
ることによりSPF微粒子を調製することができる。代替のフラッシュ乾燥、流動床乾燥
、噴霧乾燥、又は真空乾燥を適用して、絹溶液から水を除去することができる。次いで、
SPF粉末を、冷蔵又はその他の特別な取扱い手順なしに、保管及び取り扱うことができ
る。いくつかの実施形態では、SPF粉末は、低分子量の絹フィブロインタンパク質断片
を含む。いくつかの実施形態では、SPF粉末は、中分子量の絹フィブロインタンパク質 10
断片を含む。いくつかの実施形態では、SPF粉末は、低分子量の絹フィブロインタンパ
ク質断片と中分子量の絹フィブロインタンパク質断片との混合物を含む。
【0233】
 実施形態では、本開示の純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶性は、50∼10
0%である。実施形態では、本開示の純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶性は、
60∼100%である。実施形態では、本開示の純粋な絹フィブロインタンパク質断片の
水溶性は、70∼100%である。実施形態では、本開示の純粋な絹フィブロインタンパ
ク質断片の水溶性は、80∼100%である。実施形態では、水溶性は、90∼100%
である。実施形態では、本開示の絹フィブロイン断片は、水溶液に不溶である。
【0234】 20
 実施形態では、本開示の純粋な絹フィブロインタンパク質断片の有機溶液への溶解性は
、50∼100%である。実施形態では、本開示の純粋な絹フィブロインタンパク質断片
の有機溶液への溶解性は、60∼100%である。実施形態では、本開示の純粋な絹フィ
ブロインタンパク質断片の有機溶液への溶解性は、70∼100%である。実施形態では
、本開示の純粋な絹フィブロインタンパク質断片の有機溶液への溶解性は、80∼100
%である。実施形態では、本開示の純粋な絹フィブロインタンパク質断片の有機溶液への
溶解性は、90∼100%である。実施形態では、本開示の絹フィブロイン断片は、有機
溶液に不溶である。
【0235】
 いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片は、脂肪アルキル基を有する 30
カチオン性四級化アミノ酸残基(カチオン性四級化絹フィブロイン)を含み、絹フィブロ
インタンパク質断片は、本明細書に記載の任意の重量平均分子量と多分散性とを有する。
いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片のアミン基の四級化のための脂
肪アルキル基は、ココジモニウムヒドロキシプロピル、ヒドロキシプロピルトリモニウム
、ラウリジモニウムヒドロキシプロピル、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル、クオ
タニウム−79、及びそれらの組合せの群から選択される。
【0236】
 いくつかの実施形態では、凍結乾燥絹粉末は、貯蔵後に水、ヘキサフルオロイソプロパ
ノール(HFIP)、又は有機溶液に再懸濁して、最初に生成されたものよりも高濃度の
溶液を含む様々な濃度の絹溶液を調製することができる。別の実施形態では、絹フィブロ 40
インベースのタンパク質断片は、回転熱蒸発器、又は10質量%未満の水を含む乾燥タン
パク質形態を調製するための当技術分野で知られた他の方法を使用して乾燥される。実施
形態では、有機溶液における本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶解性は
、約50.0%∼約100%である。実施形態では、有機溶液における本開示の絹フィブ
ロインベースのタンパク質断片の溶解性は、約60.0%∼約100%である。実施形態
では、有機溶液における本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶解性は、約
70.0%∼約100%である。実施形態では、有機溶液における本開示の絹フィブロイ
ンベースのタンパク質断片の溶解性は、約80.0%∼約100%である。実施形態では
、有機溶液における本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶解性は、約90
.0%∼約100%である。実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのタンパク質 50
(84) JP 2022-529644 A 2022.6.23

断片は、有機溶液における不溶である。
【0237】
 いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、ヘアケア製品に
おける適用に有用な絹フィブロインタンパク質断片はまた、SPF、例えば、限定するも
のではないが、絹フィブロインタンパク質断片の水性ゲルを含む。絹溶液のゲル化は、ソ
ニケーション、ボルテックス、加熱、溶媒処理(例えば、メタノール、エタノール)、電
気ゲル化、超音波処理、化学物質(例えば、ビタミンC)などによって引き起こすことが
できる。
【0238】
 絹ペプチドは、天然の絹フィブロイン加水分解物から得た抽出物である。絹ペプチドは 10
、パーソナルケア製品に含有させると、真珠の光沢と絹のような感触を示す。絹ペプチド
の構造は、ヒトの毛髪及び皮膚組織に類似している。絹ペプチドは、10個以上のアミノ
酸残基及び本明細書に記載される重量平均分子量を有するセリンに富むポリペプチドであ
る。いくつかの実施形態では、絹ペプチド抽出物は、毛髪、例えば、ヒトの毛髪によって
容易に吸収されることができ、毛髪に栄養素を与えて、毛髪の代謝を促進することができ
る。
【0239】
 いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、ヘアケア製品に
おける適用に有用な絹フィブロインタンパク質断片溶液はまた、低分子量絹フィブロイン
ペプチド(約200Da∼5kDaの重量平均分子量)を含む。絹フィブロインタンパク 20
質加水分解物に由来する低分子量絹フィブロインペプチドは、遊離アミノ酸の天然の保湿
因子を補完して、頭皮の水分含量を改善することができる。いくつかの実施形態では、低
分子量の絹フィブロインペプチドは、毛包の奥深くに浸透して、修復し、水を補充し、毛
髪に栄養を与え、水分バランスを改善し、ふけの発生を防ぐことができる。いくつかの実
施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、ヘアケア製品における適用に有
用な絹フィブロインタンパク質断片溶液はまた、加水分解された絹フィブロインに由来す
る絹フィブロインタンパク質アミノ酸を含む。
【0240】
 いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、本明細書に記載
の絹フィブロインタンパク質断片は、クレンジング用界面活性剤、より良好な展延性のた 30
めの湿潤剤、油と水の安定な混合物を生成するための乳化剤、毛髪の外観を改善するため
のコンディショニング剤として作用することができる。いくつかの実施形態では、SPF
、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片溶液は、コロイド状
絹フィブロインタンパク質と比較して、向上した乳化力を示す。いくつかの実施形態では
、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片溶液を含有
させた毛髪ケア組成物は、機能的な折り畳み構造を有する全長絹フィブロインタンパク質
と比較して、絹フィブロインペプチドの自己組織化及びコーティング性の増強された有益
な効果を示す。
【0241】
 実施形態では、本開示は、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロイン 40
タンパク質断片の、縮毛矯正、特に、好ましくは天然のウェイビーヘアを矯正するための
使用を提供する(図1B)。実施形態では、本開示は、SPF、例えば、限定するもので
はないが、絹フィブロインタンパク質断片の、毛髪をカールさせるための使用を提供する
(図1C)。実施形態では、本開示は、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フ
ィブロインタンパク質断片の、毛髪の縮れをコントロールするため使用を提供する。実施
形態では、本開示は、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパ
ク質断片の、ヘアコンディショニングのための使用を提供する。実施形態では、本開示は
、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片の、シャン
プー組成物の起泡剤としての使用を提供する。
【0242】 50
(85) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 ケラチンは、SPF、例えば、絹フィブロインタンパク質断片と相互作用し、滑らかで
柔らかい毛髪と縮毛矯正の質を向上させ、毛髪を滑らかで絹のように保つ。
【0243】
化学的修飾剤又は物理的修飾剤
 いくつかの実施形態では、化学的修飾剤が、絹フィブロイン側部基及び絹フィブロイン
末端基のうちの1以上に化学的に結合される。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン
側部基及び絹フィブロイン末端基は、アミン基、アミド基、カルボキシル基、ヒドロキシ
ル基、チオール基、及びスルフヒドリル基から独立して選択される。いくつかの実施形態
では、化学的修飾剤は、基質上の1以上の官能基に化学的に結合される。いくつかの実施
形態では、基質上の官能基は、アミン基、アミド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、 10
チオール基、及びスルフヒドリル基から選択される。いくつかの実施形態では、化学的修
飾剤は、化学的に結合された官能基又は官能基残基、及びリンカーのうちの1以上を含む
a a a
。いくつかの実施形態では、化学的修飾剤は、−CR 2−、−CR =CR −、−C
(三重結合)C−、−アルキル−、−アケニル−、−アルキニル−、−アリール−、−ヘ

テロアリール−、−O−、−S−、−OC(O)−、−N(R )−、−N=N−、=N
a a
−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)N(R )−、−C(O)N(R )
a a a
−、−N(R )C(O)O−、−N(R )C(O)−、−N(R )C(O)N(R
a a a a a
)−、−N(R )C(NR )N(R )−、−N(R )S(O)t−、−S(O
a a
)tO−、−S(O)tN(R )−、−S(O)tN(R )C(O)−、−OP(O
a a
)(OR )O−(式中、tは、1又は2であり、R は、それぞれ独立して、水素、ア 20
ルキル、アルケニル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ア
リール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロア
リール、又はヘテロアリールアルキルから選択される)のうちの1以上を含む。
(86) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【化10】
(87) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【化11】

【0244】
 いくつかの実施形態では、化学的修飾剤が、絹フィブロイン側部基及び絹フィブロイン
末端基のうちの1以上に化学的に結合される。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン
側部基及び絹フィブロイン末端基は、アミン基、アミド基、カルボキシル基、ヒドロキシ
ル基、チオール基、及びスルフヒドリル基から独立して選択される。いくつかの実施形態
では、化学的修飾剤は、基質上の1以上の官能基に化学的に結合される。いくつかの実施
形態では、基質上の官能基は、アミン基、アミド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、
チオール基、及びスルフヒドリル基から選択される。いくつかの実施形態では、化学的修
飾剤は、化学的に結合された官能基又は官能基残基、及びリンカーのうちの1以上を含む 40
a a a
。いくつかの実施形態では、化学的修飾剤は、−CR 2−、−CR =CR −、−C
(三重結合)C−、−アルキル−、−アケニル−、−アルキニル−、−アリール−、−ヘ

テロアリール−、−O−、−S−、−OC(O)−、−N(R )−、−N=N−、=N
a a
−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)N(R )−、−C(O)N(R )
a a a
−、−N(R )C(O)O−、−N(R )C(O)−、−N(R )C(O)N(R
a a a a a
)−、−N(R )C(NR )N(R )−、−N(R )S(O)t−、−S(O
a a
)tO−、−S(O)tN(R )−、−S(O)tN(R )C(O)−、−OP(O
a a
)(OR )O−(式中、tは、1又は2であり、R は、それぞれ独立して、水素、ア
ルキル、アルケニル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ア
リール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロア
(88) JP 2022-529644 A 2022.6.23

リール、又はヘテロアリールアルキルから選択される)のうちの1以上を含む。
【0245】
 「アルキル」は、炭素原子及び水素原子のみからなり、不飽和を含まず、1∼10個の
炭素原子(例えば、(C1−10)アルキル又はC1−10アルキル)を有する直鎖又は
分岐の炭化水素鎖ラジカルを意味する。本明細書に記載される場合は常に、「1∼10」
などの数値範囲は、所定の範囲内の各整数を意味し、例えば、「1∼10個の炭素原子」
は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などからなり、最
大10個の炭素原子を含み得ることを意味する。ただし、この定義は、数値範囲が具体的
に指定されていない用語「アルキル」の使用も包含することが意図される。典型的なアル
キル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、 10
sec−ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペン
チル、ヘキシル、セプチル、オクチル、ノニル、及びデシルが挙げられるが、これらに限
定されない。アルキル部分は、例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル
(Pr)、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジ
メチルエチル(t−ブチル)、及び3−メチルヘキシルなど、単結合によって分子の残り
の部分に結合することができる。本明細書において特段の断りがない限り、アルキル基は
、独立してヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロア
ルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒド
ロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチ
a a a a
ルシラニル、−OR 、−SR 、−OC(O)−R 、−N(R )2、−C(O)R 20
a a a a
、−C(O)OR 、−OC(O)N(R )2、−C(O)N(R )2、−N(R
a a a a a a
)C(O)OR 、−N(R )C(O)R 、−N(R )C(O)N(R )2、
a a a a a
N(R )C(NR )N(R )2、−N(R )S(O)tR (式中、tは、1又

は2である)、−S(O)tOR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)tN(
a a a
R )2(式中、tは、1又は2である)、又はPO3(R )2(式中、各R は、独
立して、水素、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール
、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール
、又はヘテロアリールアルキルである)である置換基のうちの1以上によって置換されて
いてもよい。
【0246】 30
 「アルキルアリール」は、アリール及びアルキルが本明細書に開示される通りであり、
それぞれアリール及びアルキルの好適な置換基として記載される置換基のうちの1以上に
よって置換されていてもよい−(アルキル)アリールラジカルを意味する。
【0247】
 「アルキルヘタリール」は、ヘタリール及びアルキルが本明細書に開示される通りであ
り、それぞれアリール及びアルキルの好適な置換基として記載される置換基のうちの1以
上によって置換されていてもよい−(アルキル)ヘタリールラジカルを意味する。
【0248】
 「アルキルヘテロシクロアルキル」は、アルキル及びヘテロシクロアルキルが本明細書
に開示される通りであり、それぞれヘテロシクロアルキル及びアルキルの好適な置換基と 40
して記載される置換基のうちの1以上によって置換されていてもよい−(アルキル)ヘテ
ロシクリルラジカルを意味する。
【0249】
 「アルケン」部分は、少なくとも2つの炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素二重
結合からなる基を意味し、「アルキン」部分は、少なくとも2つの炭素原子及び少なくと
も1つの炭素−炭素三重結合からなる基を意味する。アルキル部分は、飽和であるか不飽
和であるかにかかわらず、分岐、直鎖、又は環状であり得る。
【0250】
 「アルケニル」は、炭素原子及び水素原子のみからなり、少なくとも1つの二重結合を
含み、2∼10個の炭素原子(即ち、(C2−10)アルケニル又はC2−10アルケニ 50
(89) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ル)を有する直鎖又は分岐炭化水素鎖ラジカルを意味する。本明細書に記載される場合は
常に、「2∼10」などの数値範囲は、所定の範囲内の各整数を意味し、例えば、「2∼
10個の炭素原子」は、アルケニル基が、2個の炭素原子、3個の炭素原子などからなり
、最大10個の炭素原子を含み得ることを意味する。アルケニル部分は、例えば、エテニ
ル(即ち、ビニル)、プロプ−1−エニル(即ち、アリル)、ブト−1−エニル、ペント
−1−エニル、及びペンタ−1,4−ジエニルなど、単結合によって分子の残りの部分に
結合することができる。本明細書において特段の断りがない限り、アルケニル基は、独立
してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシク
ロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、
ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリ 10
a a a a
メチルシラニル、−OR 、−SR 、−OC(O)−R 、−N(R )2、−C(O
a a a a
)R 、−C(O)OR 、−OC(O)N(R )2、−C(O)N(R )2、−N
a a a a a a
(R )C(O)OR 、−N(R )C(O)R 、−N(R )C(O)N(R )
a a a a a
2、N(R )C(NR )N(R )2、−N(R )S(O)tR (式中、tは、

1又は2である)、−S(O)tOR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)t
a a a
N(R )2(式中、tは、1又は2である)、又はPO3(R )2(式中、各R は
、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアル
キル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、
ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである)である1以上の置換基によって置
換されていてもよい。 20
【0251】
 「アルキル−シクロアルキル」は、アルケニル及びシクロアルキルが本明細書に開示さ
れる通りであり、それぞれアルケニル及びシクロアルキルの好適な置換基として記載され
る置換基のうちの1以上によって置換されていてもよい−(アルケニル)シクロアルキル
ラジカルを意味する。
【0252】
 「アルキニル」は、炭素原子及び水素原子のみからなり、少なくとも1つの三重結合を
含み、2∼10個の炭素原子(即ち、(C2−10)アルキニル又はC2−10アルキニ
ル)を有する直鎖又は分岐炭化水素鎖ラジカルを意味する。本明細書に記載される場合は
常に、「2∼10」などの数値範囲は、所定の範囲内の各整数を意味し、例えば、「2∼ 30
10個の炭素原子」は、アルキニル基が、2個の炭素原子、3個の炭素原子などからなり
、最大10個の炭素原子を含み得ることを意味する。アルキニルは、例えば、エチニル、
プロピニル、ブチニル、ペンチニル、及びヘキシニルなど、単結合によって分子の残りの
部分に結合することができる。本明細書において特段の断りがない限り、アルキニル基は
、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテ
ロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアル
キル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ
a a a a
、トリメチルシラニル、−OR 、−SR 、−OC(O)−R 、−N(R )2、−
a a a a
C(O)R 、−C(O)OR 、−OC(O)N(R )2、−C(O)N(R )2
a a a a a
、−N(R )C(O)OR 、−N(R )C(O)R 、−N(R )C(O)N( 40
a a a a a a
R )2、N(R )C(NR )N(R )2、−N(R )S(O)tR (式中、

tは、1又は2である)、−S(O)tOR (式中、tは、1又は2である)、−S(
a a
O)tN(R )2(式中、tは、1又は2である)、又はPO3(R )2(式中、各

R は、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリ
ルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアル
キル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである)である1以上の置換基によ
って置換されていてもよい。
【0253】
 「アルキニル−シクロアルキル」は、アルキニル及びシクロアルキルが本明細書に開示
される通りであり、それぞれアルキニル及びシクロアルキルの好適な置換基として記載さ 50
(90) JP 2022-529644 A 2022.6.23

れる置換基のうちの1以上によって置換される−(アルキニル)シクロアルキルラジカル
を意味する。
【0254】
 「カルボキシアルデヒド」は、−(C=O)Hラジカルを意味する。
【0255】
 「カルボキシル」は、−(C=O)OHラジカルを意味する。
【0256】
 「シアノ」は、−CNラジカルを意味する。
【0257】
 「シクロアルキル」は、炭素及び水素のみを含み、飽和又は部分不飽和であり得る単環 10
式又は多環式ラジカルを意味する。シクロアルキル基は、3∼10個の環原子を有する基
(即ち、(C3−10)シクロアルキル又はC3−10シクロアルキル)を含む。本明細
書に記載される場合は常に、「3∼10」などの数値範囲は、所定の範囲内の各整数を意
味し、例えば、「3∼10個の炭素原子」は、シクロアルキル基が、3個の炭素原子など
からなり、最大10個の炭素原子を含み得ることを意味する。シクロアルキル基の例示的
な例としては、以下の部分が挙げられるが、これらに限定されない:シクロプロピル、シ
クロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、
シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルニルなど。本
明細書において特段の断りがない限り、シクロアルキル基は、独立してアルキル、ヘテロ
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール 20
、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シ
アノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−O
a a a a a
R 、−SR 、−OC(O)−R 、−N(R )2、−C(O)R 、−C(O)O
a a a a
R 、−OC(O)N(R )2、−C(O)N(R )2、−N(R )C(O)OR
a a a a a a
、−N(R )C(O)R 、−N(R )C(O)N(R )2、N(R )C(N
a a a a
R )N(R )2、−N(R )S(O)tR (式中、tは、1又は2である)、−
a a
S(O)tOR (tは、1又は2である)、−S(O)tN(R )2(tは、1又は
a a
2である)、又はPO3(R )2(式中、各R は、独立して、水素、アルキル、フル
オロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテ
ロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリー 30
ルアルキルである)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0258】
 「シクロアルキル−アルケニル」は、シクロアルキル及びアルケニルが本明細書に開示
される通りであり、それぞれシクロアルキル及びアルケニルの好適な置換基として記載さ
れる置換基のうちの1以上によって置換されていてもよい−(シクロアルキル)アルケニ
ルラジカルを意味する。
【0259】
 「シクロアルキル−ヘテロシクロアルキル」は、シクロアルキル及びヘテロシクロアル
キルが本明細書に開示される通りであり、それぞれシクロアルキル及びヘテロシクロアル
キルの好適な置換基として記載される置換基のうちの1以上によって置換されるていても 40
よい−(シクロアルキル)ヘテロシクロアルキルラジカルを意味する。
【0260】
 「シクロアルキル−ヘテロアリール」は、シクロアルキル及びヘテロアリールが本明細
書に開示される通りであり、それぞれシクロアルキル及びヘテロアリールの好適な置換基
として記載される置換基のうちの1以上によって置換されていてもよい−(シクロアルキ
ル)ヘテロアリールラジカルを意味する。
【0261】
 用語「アルコキシ」は、酸素を介して親構造に結合した、直線状、分岐状、環状の配置
、及びそれらの組合せを含む1∼8個の炭素原子を含む基、−O−アルキルを意味する。
例としては、限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポ 50
(91) JP 2022-529644 A 2022.6.23

キシ、シクロプロピルオキシ、及びシクロヘキシルオキシが挙げられる。「低級アルコキ
シ」は、1∼6個の炭素を含むアルコキシ基を意味する。
【0262】
 用語「置換アルコキシ」は、アルキル成分が置換されているアルコキシ(即ち、−O−
(置換アルキル))を意味する。本明細書において特段の断りがない限り、アルコキシ基
のアルキル部分は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シク
ロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘ
テロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロ
a a a
メトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR 、−SR 、−OC(O)−R 、−
a a a a
N(R )2、−C(O)R 、−C(O)OR 、−OC(O)N(R )2、−C( 10
a a a a a
O)N(R )2、−N(R )C(O)OR 、−N(R )C(O)R 、−N(R
a a a a a a
)C(O)N(R )2、N(R )C(NR )N(R )2、−N(R )S(O
a a
)tR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)tOR (式中、tは、1又は2

である)、−S(O)tN(R )2(式中、tは、1又は2である)、又はPO3(R
a a
)2(式中、各R は、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリ
ル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシ
クロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである)である1
以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0263】
 用語「アルコキシカルボニル」は、カルボニル炭素を介して結合した式(アルコキシ) 20
(C=O)−の基を意味し、式中、アルコキシ基は、示された数の炭素原子を有する。し
たがって、(C1∼6)アルコキシカルボニル基は、その酸素を介してカルボニルリンカ
ーに結合した1∼6個の炭素原子を有するアルコキシ基である。「低級アルコキシカルボ
ニル」は、アルコキシ基が低級アルコキシ基であるアルコキシカルボニル基を意味する。
【0264】
 用語「置換アルコキシカルボニル」は、カルボニル官能性を介して親構造に結合してい
る基(置換アルキル)−O−C(O)−を意味する。本明細書において特段の断りがない
限り、アルコキシカルボニル基のアルキル部分は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、
アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリール
アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリ 30

フルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR 、−S
a a a a a
R 、−OC(O)−R 、−N(R )2、−C(O)R 、−C(O)OR 、−O
a a a a
C(O)N(R )2、−C(O)N(R )2、−N(R )C(O)OR 、−N(
a a a a a a
R )C(O)R 、−N(R )C(O)N(R )2、N(R )C(NR )N(
a a a
R )2、−N(R )S(O)tR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)t
a a
OR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)tN(R )2(式中、tは、1又
a a
は2である)、又はPO3(R )2(式中、各R は、独立して、水素、アルキル、フ
ルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘ
テロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリ
ールアルキルである)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。 40
【0265】
 「アシル」は、カルボニル官能性を介して親構造に結合している基(アルキル)−C(
O)−、(アリール)−C(O)−、(ヘテロアリール)−C(O)−、(ヘテロアルキ
ル)−C(O)−、及び(ヘテロシクロアルキル)−C(O)−を意味する。Rラジカル
がヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルである場合、ヘテロ環又は鎖原子は、鎖又は
環原子の総数に寄与する。本明細書において特段の断りがない限り、アシル基のアルキル
、アリール、又はヘテロアリール部分は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニ
ル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル
、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロ
a a
メチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR 、−SR 、− 50
(92) JP 2022-529644 A 2022.6.23

a a a a
OC(O)−R 、−N(R )2、−C(O)R 、−C(O)OR 、−OC(O)
a a a a a
N(R )2、−C(O)N(R )2、−N(R )C(O)OR 、−N(R )C
a a a a a a
(O)R 、−N(R )C(O)N(R )2、N(R )C(NR )N(R )2
a a a
、−N(R )S(O)tR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)tOR (

式中、tは、1又は2である)、−S(O)tN(R )2(式中、tは、1又は2であ
a a
る)、又はPO3(R )2(式中、各R は、独立して、水素、アルキル、フルオロア
ルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシク
ロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアル
キルである)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0266】 10
 「アシルオキシ」は、Rが、本明細書に記載されるアルキル、アリール、ヘテロアリー
ル、ヘテロアルキル、又はヘテロシクロアルキルであるR(C=O)O−ラジカルを意味
する。Rラジカルが、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルである場合、ヘテロ環又
は鎖原子は、鎖又は環原子の総数に寄与する。本明細書において特段の断りがない限り、
アシルオキシ基のRは、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、
シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール
、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフル
a a a
オロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR 、−SR 、−OC(O)−R
a a a a
、−N(R )2、−C(O)R 、−C(O)OR 、−OC(O)N(R )2、−
a a a a a
C(O)N(R )2、−N(R )C(O)OR 、−N(R )C(O)R 、−N 20
a a a a a a
(R )C(O)N(R )2、N(R )C(NR )N(R )2、−N(R )S
a a
(O)tR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)tOR (式中、tは、1又

は2である)、−S(O)tN(R )2(式中、tは、1又は2である)、又はPO3
a a
(R )2(式中、各R は、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシ
クリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテ
ロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである)であ
る1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0267】
 「アシルスルホンアミド」は、Raが、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシ
クリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテ 30
ロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである−S(

O)2−N(R )−C(=O)−ラジカルを意味する。本明細書において特段の断りが
ない限り、アシルスルホンアミド基は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル
、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、
ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメ
a a
チル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR 、−SR 、−O
a a a a
C(O)−R 、−N(R )2、−C(O)R 、−C(O)OR 、−OC(O)N
a a a a a
(R )2、−C(O)N(R )2、−N(R )C(O)OR 、−N(R )C(
a a a a a a
O)R 、−N(R )C(O)N(R )2、N(R )C(NR )N(R )2、
a a a
−N(R )S(O)tR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)tOR (式 40

中、tは、1又は2である)、−S(O)tN(R )2(式中、tは、1又は2である
a a
)、又はPO3(R )2(式中、各R は、独立して、水素、アルキル、フルオロアル
キル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロ
アルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキ
ルである)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0268】
 「アミノ」又は「アミン」は、本明細書において特段の断りがない限り、各Raが、独
立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル
、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテ

ロアリール、又はヘテロアリールアルキルである−N(R )2基を意味する。−N(R 50
(93) JP 2022-529644 A 2022.6.23

a a
)2ラジカルが水素以外の2つのR 置換基を有する場合、それらを窒素原子と組み合

わせて、4、5、6、又は7員環を形成することができる。例えば、−N(R )2は、
限定されるものではないが、1−ピロリジニル及び4−モルホリニルを含むことが意図さ
れる。本明細書において特段の断りがない限り、アミノ基は、独立してアルキル、ヘテロ
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール
、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シ
アノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−O
a a a a a
R 、−SR 、−OC(O)−R 、−N(R )2、−C(O)R 、−C(O)O
a a a a
R 、−OC(O)N(R )2、−C(O)N(R )2、−N(R )C(O)OR
a a a a a a
、−N(R )C(O)R 、−N(R )C(O)N(R )2、N(R )C(N 10
a a a a
R )N(R )2、−N(R )S(O)tR (式中、tは、1又は2である)、−
a a
S(O)tOR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)tN(R )2(式中、
a a
tは、1又は2である)、又はPO3(R )2(式中、各R は、独立して、水素、ア
ルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラ
ルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又は
ヘテロアリールアルキルである)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0269】
a a a
 用語「置換アミノ」はまた、それぞれ前記した基−NHR 及びNR R のN−オキ
シドを意味する。N−オキシドは、対応するアミノ基を、例えば、過酸化水素又はm−ク
ロロペルオキシ安息香酸で処理することによって調製することができる。 20
【0270】
 「アミド(Amide)」又は「アミド(amido)」は、式−C(O)N(R)2
又は−NHC(O)Rを有する化学部分を意味し、式中、Rは、水素、アルキル、シクロ
アルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)、及びヘテロ脂環(環炭素
を介して結合)からなる群から選択され、これらの各部分は、それ自体が置換されていて
もよい。アミド(amide)の−N(R)2のR2は、それが結合している窒素と共に
、4、5、6、又は7員環を形成してもよい。本明細書において特段の断りがない限り、
アミド(amido)基は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又
はヘテロシクロアルキルについて本明細書に記載される置換基のうちの1以上によって独
立して置換されていてもよい。アミド(amide)は、本明細書に開示される化合物に 30
結合して、プロドラッグを形成するアミノ酸又はペプチド分子であり得る。係るアミド(
amide)を作製するための手順及び具体的な基は、当業者に知られており、著名な情
報源、例えば、参照によりその全体を本明細書に援用するGreene and Wut
s,Protective Groups in Organic Synthesis
rd
,3  Ed.,John Wiley & Sons,New York,N.Y.
,1999などに容易に見出すことができる。
【0271】
 「芳香族」又は「アリール」又は「Ar」は、炭素環である共役パイ電子系を有する少
なくとも1つの環を有する、6∼10個の環原子を有する芳香族ラジカル(例えば、C6
−C10芳香族又はC6−C10アリール)(例えば、フェニル、フルオレニル、及びナ 40
フチル)を意味する。置換ベンゼン誘導体から形成され、環原子に自由原子価を有する二
価のラジカルは、置換フェニレンラジカルと称される。自由原子価を有する炭素原子から
1つの水素原子を除くことによって名称が「−イル」で終わる一価の多環式炭化水素ラジ
カルに由来する二価のラジカルは、対応する一価のラジカルの名称に「−イデン」を加え
ることによって命名され、例えば、2つの結合点を有するナフチル基は、ナフチリデンと
称される。本明細書に記載される場合は常に、「6∼10」などの数値範囲は、指定され
た範囲内の各整数を意味し、例えば、「6∼10個の環原子」は、アリール基が、6個の
環原子、7個の環原子などからなり、最大10個の環原子を含み得ることを意味する。こ
の用語は、単環式又は縮合環多環式(即ち、環原子の隣接する対を共有する環)の基を含
む。本明細書において特段の断りがない限り、アリール部分は、独立してアルキル、ヘテ 50
(94) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリー
ル、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、
シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−
a a a a a
OR 、−SR 、−OC(O)−R 、−N(R )2、−C(O)R 、−C(O)
a a a a
OR 、−OC(O)N(R )2、−C(O)N(R )2、−N(R )C(O)O
a a a a a a
R 、−N(R )C(O)R 、−N(R )C(O)N(R )2、N(R )C(
a a a a
NR )N(R )2、−N(R )S(O)tR (式中、tは、1又は2である)、
a a
−S(O)tOR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)tN(R )2(式中
a a
、tは、1又は2である)、又はPO3(R )2(式中、各R は、独立して、水素、
アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、ア 10
ラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又
はヘテロアリールアルキルである)である1以上の置換基によって置換されていてもよい

【0272】
 用語「アリールオキシ」は、−O−アリール基を意味する。
【0273】
 用語「置換アリールオキシ」は、アリール置換基が置換されているアリールオキシ(即
ち、−O−(置換アリール))を意味する。本明細書において特段の断りがない限り、ア
リールオキシ基のアリール部分は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ア
ルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテ 20
ロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル
a a
、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR 、−SR 、−OC(
a a a a
O)−R 、−N(R )2、−C(O)R 、−C(O)OR 、−OC(O)N(R
a a a a a
)2、−C(O)N(R )2、−N(R )C(O)OR 、−N(R )C(O)
a a a a a a
R 、−N(R )C(O)N(R )2、N(R )C(NR )N(R )2、−N
a a a
(R )S(O)tR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)tOR (式中、

tは、1又は2である)、−S(O)tN(R )2(式中、tは、1又は2である)、
a a
又はPO3(R )2(式中、各R は、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル
、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアル
キル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルで 30
ある)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0274】
 「アラルキル」又は「アリールアルキル」は、アリール及びアルキルが本明細書に開示
される通りであり、それぞれアリール及びアルキルの好適な置換基として記載される置換
基のうちの1以上によって置換されていてもよい(アリール)アルキルラジカルを意味す
る。
【0275】
 「エステル」は、式−COORの化学ラジカルを意味し、式中、Rは、アルキル、シク
ロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)、及びヘテロ脂環(環炭
素を介して結合)からなる群から選択される。エステルを作製するための手順及び具体的 40
な基は、当業者に知られており、著名な情報源、例えば、参照によりその全体を本明細書
に援用するGreene and Wuts,Protective Groups i
rd
n Organic Synthesis,3  Ed.,John Wiley &
 Sons,New York,N.Y.,1999などに容易に見出すことができる。
本明細書において特段の断りがない限り、エステル基は、独立してアルキル、ヘテロアル
キル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ア
リールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ

、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、−OR
a a a a a
、−SR 、−OC(O)−R 、−N(R )2、−C(O)R 、−C(O)OR
a a a a
、−OC(O)N(R )2、−C(O)N(R )2、−N(R )C(O)OR 、 50
(95) JP 2022-529644 A 2022.6.23

a a a a a a
−N(R )C(O)R 、−N(R )C(O)N(R )2、N(R )C(NR
a a a
)N(R )2、−N(R )S(O)tR (式中、tは、1又は2である)、−S(
a a
O)tOR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)tN(R )2(式中、tは
a a
、1又は2である)、又はPO3(R )2(式中、各R は、独立して、水素、アルキ
ル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキ
ル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテ
ロアリールアルキルである)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0276】
 「フルオロアルキル」は、前記定義された1以上のフルオロラジカル、例えば、トリフ
ルオロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−フルオロメチ 10
ル−2−フルオロエチルなどによって置換された、前記定義されたアルキルラジカルを意
味する。フルオロアルキルラジカルのアルキル部分は、アルキル基について前記定義され
た通り置換されていてもよい。
【0277】
 「ハロ」、「ハライド」、又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨー
ドを意味することを意図している。用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロ
アルキニル」、及び「ハロアルコキシ」は、1以上のハロ基又はそれらの組合せで置換さ
れたアルキル、アルケニル、アルキニル、及びアルコキシ構造を含む。例えば、用語「フ
ルオロアルキル」及び「フルオロアルコキシ」は、それぞれ、ハロがフッ素であるハロア
ルキル基及びハロアルコキシ基を含む。 20
【0278】
 「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、及び「ヘテロアルキニル」は、炭素以外
の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リン、又はそれらの組合せから選択される1以上の
骨格鎖原子を有する、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、及びアルキニルラジ
カルを意味する。C1−C4ヘテロアルキルなど、合計鎖長(この例では4原子長)を意
味する数値範囲を付すことができる。ヘテロアルキル基は、独立してアルキル、ヘテロア
ルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、
アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シア
a a
ノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、−OR 、−SR 、−OC(O
a a a a a
)−R 、−N(R )2、−C(O)R 、−C(O)OR 、−OC(O)N(R 30
a a a a
)2、−C(O)N(R )2、−N(R )C(O)OR 、−N(R )C(O)R
a a a a a a
、−N(R )C(O)N(R )2、N(R )C(NR )N(R )2、−N(
a a a
R )S(O)tR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)tOR (式中、t

は、1又は2である)、−S(O)tN(R )2(式中、tは、1又は2である)、又
a a
はPO3(R )2(式中、各R は、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、
カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキ
ル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルであ
る)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0279】
 「ヘテロアルキルアリール」は、ヘテロアルキル及びアリールが本明細書に開示される 40
通りであり、それぞれヘテロアルキル及びアリールの好適な置換基として記載される置換
基のうちの1以上によって置換されていてもよい−(ヘテロアルキル)アリールラジカル
を意味する。
【0280】
 「ヘテロアルキルヘテロアリール」は、ヘテロアルキル及びヘテロアリールが本明細書
に開示される通りであり、それぞれヘテロアルキル及びヘテロアリールの好適な置換基と
して記載される置換基のうちの1以上によって置換されていてもよい−(ヘテロアルキル
)ヘテロアリールラジカルを意味する。
【0281】
 「ヘテロアルキルヘテロシクロアルキル」は、ヘテロアルキル及びヘテロシクロアルキ 50
(96) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ルが本明細書に開示される通りであり、それぞれヘテロアルキル及びヘテロシクロアルキ
ルの好適な置換基として記載される置換基のうちの1以上によって置換されていてもよい
−(ヘテロアルキル)ヘテロシクロアルキルラジカルを意味する。
【0282】
 「ヘテロアルキルシクロアルキル」は、ヘテロアルキル及びシクロアルキルが本明細書
に開示される通りであり、それぞれヘテロアルキル及びシクロアルキルの好適な置換基と
して記載される置換基のうちの1以上によって置換されていてもよい−(ヘテロアルキル
)シクロアルキルラジカルを意味する。
【0283】
 「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」又は「HetAr」は、窒素、酸素、及び硫 10
黄から選択される1以上の環ヘテロ原子を含み、単環式、二環式、三環式、又は四環式の
環系であり得る5∼18員環の芳香族ラジカル(例えば、C5−C13ヘテロアリール)
を意味する。本明細書に記載される場合は常に、「5∼18」などの数値範囲は、所定の
範囲内の各整数を意味し、例えば、「5∼18個の環原子」は、ヘテロアリール基が、5
個の環原子、6個の環原子などからなり、最大18個の環原子を含み得ることを意味する
。自由原子価を有する原子から1つの水素原子を除くことによって名称が「−イル」で終
わる一価のヘテロアリールラジカルに由来する二価のラジカルは、対応する一価のラジカ
ルの名称に「−イデン」を加えることによって命名され、例えば、2つの結合点を有する
ピリジル基は、ピリジリデンと称される。N含有「ヘテロ芳香族」又は「ヘテロアリール
」部分は、環の骨格原子のうちの少なくとも1つが窒素原子である芳香族基を意味する。 20
多環式ヘテロアリール基は、縮合されていても縮合されていなくてもよい。ヘテロアリー
ルラジカル中のヘテロ原子は、酸化されていてもよい。1以上の窒素原子は、存在する場
合、四級化されていてもよい。ヘテロアリールは、環の任意の原子を介して分子の残りの
部分に結合することができる。ヘテロアリールの例としては、限定されるものではないが
、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、1,3−ベンゾ
ジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾ
チアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、ベンゾ[b][1,4]オキ
サジニル、1,4−ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、
ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベン
ゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアゾリ 30
ル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2−d]ピリミジニル
、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、カルバゾ
リル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7−ジヒドロ−5H−シク
ロペンタ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジニル、5,6−ジヒドロベンゾ[h]
キナゾリニル、5,6−ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7−ジヒドロ−5H−
ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2−c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベン
ゾチオフェニル、フラニル、フラザニル、フラノニル、フロ[3,2−c]ピリジニル、
5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7
,8,9,10−ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,
10−ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、イ 40
ンダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリ
ニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、5,8−メタノ−5,6,7,
8−テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル、1,6−ナフチリジノニル、オキサジ
アゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a、7,8
,9,10,10a−オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1−フェニル−1H−ピ
ロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジ
ニル、プリニル、ピラニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジニ
ル、ピリジニル、ピリド[3,2−d]ピリミジニル、ピリド[3,4−d]ピリミジニ
ル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニ
ル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8−テトラヒ 50
(97) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ドロキナゾリニル、5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3−d
]ピリミジニル、6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[4,5]チエノ
[2,3−d]ピリミジニル、5,6,7,8−テトラヒドロピリド[4,5−c]ピリ
ダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアピラニル、トリアゾリル、テトラゾリル、
トリアジニル、チエノ[2,3−d]ピリミジニル、チエノ[3,2−d]ピリミジニル
、チエノ[2,3−c]ピリジニル、及びチオフェニル(即ち、チエニル)が挙げられる
。本明細書において特段の断りがない限り、ヘテロアリール基は、独立してアルキル、ヘ
テロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリ
ール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ
a a
、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、−OR 、−SR 、−O 10
a a a a
C(O)−R 、−N(R )2、−C(O)R 、−C(O)OR 、−OC(O)N
a a a a a
(R )2、−C(O)N(R )2、−N(R )C(O)OR 、−N(R )C(
a a a a a a
O)R 、−N(R )C(O)N(R )2、N(R )C(NR )N(R )2、
a a a
−N(R )S(O)tR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)tOR (式

中、tは、1又は2である)、−S(O)tN(R )2(式中、tは、1又は2である
a a
)、又はPO3(R )2(式中、各R は、独立して、水素、アルキル、フルオロアル
キル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロ
アルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキ
ルである)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0284】 20
 置換ヘテロアリールはまた、例えば、ピリジニルN−オキシドなどの1以上のオキシド
(−O−)置換基で置換された環系を含む。
【0285】
 「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書に記載のアルキレン部分に結合された本明細
書に記載のアリール部分を有する部分を意味し、分子の残りの部分への結合は、アルキレ
ン基を介する。
【0286】
 「ヘテロシクロアルキル」は、2∼12個の炭素原子と、窒素、酸素、及び硫黄から選
択される1∼6個のヘテロ原子とを含む安定な3∼18員環の非芳香族環ラジカルを意味
する。本明細書に記載される場合は常に、「3∼18」などの数値範囲は、所定の範囲内 30
の各整数を意味し、例えば、「3∼18個の環原子」は、ヘテロシクロアリールラジカル
が、3個の環原子、4個の環原子などからなり、最大18個の環原子を含み得ることを意
味する。本明細書において特段の断りがない限り、ヘテロシクロアルキルラジカルは、単
環式、二環式、三環式、又は四環式の環系であり、縮合又は架橋環系を含み得る。ヘテロ
シクロアルキル基中のヘテロ原子は、酸化されていてもよい。1以上の窒素原子は、存在
する場合、四級化されていてもよい。ヘテロシクロアルキルラジカルは、部分的又は完全
に飽和されている。ヘテロシクロアルキルは、環の任意の原子を介して分子の残りの部分
に結合することができる。係るヘテロシクロアルキルラジカルの例としては、限定するも
のではないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリ
ル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モ 40
ルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラ
ジニル、2−オキソピペリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4
−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テ
トラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモル
ホリニル、1−オキソ−チオモルホリニル、及び1,1−ジオキソ−チオモルホリニルが
挙げられる。本明細書において特段の断りがない限り、ヘテロシクロアルキル部分は、独
立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシ
クロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル
、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、−OR
a a a a a
、−SR 、−OC(O)−R 、−N(R )2、−C(O)R 、−C(O)OR 50
(98) JP 2022-529644 A 2022.6.23

a a a a a
、−OC(O)N(R )2、−C(O)N(R )2、−N(R )C(O)OR
a a a a a
、−N(R )C(O)R 、−N(R )C(O)N(R )2、N(R )C(NR
a a a a
)N(R )2、−N(R )S(O)tR (式中、tは、1又は2である)、−S
a a
(O)tOR (式中、tは、1又は2である)、−S(O)tN(R )2(式中、t
a a
は、1又は2である)、又はPO3(R )2(式中、各R は、独立して、水素、アル
キル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラル
キル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘ
テロアリールアルキルである)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0287】
 「ヘテロシクロアルキル」はまた、通常3∼7個の環原子を有する1つの非芳香族環が 10
、酸素、硫黄、及び窒素、並びに前記ヘテロ原子のうちの少なくとも1つを含む組合せか
ら独立して選択される1∼3個のヘテロ原子に加えて、少なくとも2個の炭素原子を含み
、通常3∼7個の環原子を有する他方の環が、酸素、硫黄、及び窒素から独立して選択さ
れる1∼3個のヘテロ原子を含んでいてもよく、芳香族ではない二環式環系を含む。
【0288】
 「ニトロ」は、−NO2ラジカルを意味する。
【0289】
 「オキサ」は、−O−ラジカルを意味する。
【0290】
 「オキソ」は、=Oラジカルを意味する。 20
【0291】
 「異性体」は、同一の分子式を有する異なる化合物である。「立体異性体」は、原子の
空間での配置のされ方のみが異なる、即ち、異なる立体化学的構造を有する異性体である
。「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である一対の立体異性
体である。一対のエナンチオマーの1:1混合物は、「ラセミ」混合物である。記号「(
±)」は、必要に応じて、ラセミ混合物を示すために使用される。「ジアステレオマー」
は、少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いの鏡像ではない立体異性体である。絶対
立体化学は、Cahn−Ingold−PrelogのR−Sシステムにしたがって特定
される。化合物が純粋なエナンチオマーである場合、各キラル炭素での立体化学は、(R
)又は(S)のいずれかで特定することができる。絶対配置が不明な分割化合物は、ナト 30
リウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性又は左旋性)に応じて(+)又は
(−)で特定することができる。本明細書に記載の特定の化合物は、1以上の不斉中心を
含み、したがって、絶対立体化学の観点から、(R)又は(S)として定義できるエナン
チオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性体を生じ得る。本化学実体、医薬組成物
、及び方法は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態、及び中間体混合物を含む、係る全て
の可能な異性体を含むことを意図している。光学活性(R)−及び(S)−異性体は、キ
ラルシントン又はキラル試薬を使用して調製する、又は従来の技術を使用して分割するこ
とができる。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合又は他の幾何学的非対称の中
心を含む場合、特段の断りがない限り、化合物は、E及びZの両方の幾何異性体を含むこ
とが意図される。「置換された」は、言及される基が、例えば、アシル、アルキル、アル 40
キルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、炭水化物、カーボネート、ヘテ
ロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカ
プト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、エステル、チオカルボ
ニル、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、オキソ、ペルハロアル
キル、パーフルオロアルキル、ホスフェート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スル
ホンアミドイル、スルホキシル、スルホネート、尿素、及びアミノ(一置換及び二置換ア
ミノ基を含む)、及びそれらの保護された誘導体から個別かつ独立に選択される1以上の
更なるの基、ラジカル、又は部分が結合し得ることを意味する。置換基自体を置換するこ
とができ、例えば、シクロアルキル置換基自体が、その環炭素の1以上でハライド置換基
を有することができる。用語「置換されていてもよい」は、特定の基、ラジカル、又は部 50
(99) JP 2022-529644 A 2022.6.23

分による任意の置換を意味する。
【0292】
 「スルファニル」は、−S−(置換されていてもよいアルキル)、−S−(置換されて
いてもよいアリール)、−S−(置換されていてもよいヘテロアリール)、及び−S−(
置換されていてもよいヘテロシクロアルキル)を含む基を意味する。
【0293】
 「スルフィニル」は、−S(O)−H、−S(O)−(置換されていてもよいアルキル
)、S(O)−(置換されていてもよいアミノ)、−S(O)−(置換されていてもよい
アリール)、−S(O)−(置換されていてもよいヘテロアリール)、及び−S(O)−
(置換されていてもよいヘテロシクロアルキル)を含む基を意味する。 10
【0294】
 「スルホニル」は、−S(O2)−H、−S(O2)−(置換されていてもよいアルキ
ル)、−S(O2)−(置換されていてもよいアミノ)、−S(O2)−(置換されてい
てもよいアリール)、−S(O2)−(置換されていてもよいヘテロアリール)、及び−
S(O2)−(置換されていてもよいヘテロシクロアルキル)を含む基を意味する。
【0295】
 「スルホナミジル」又は「スルホンアミド」は、−S(=O)2−NRRラジカルを意
味し、式中、各Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環
炭素を介して結合)、及びヘテロ脂環(環炭素を介して結合)からなる群から独立して選
択される。−S(=O)2−NRRラジカルの−NRRのR基は、それが結合している窒 20
素と共に、4、5、6、又は7員環を形成する。スルホンアミド基は、それぞれアルキル
、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールについて記載された置換基のうちの1以上
によって置換されていてもよい。
【0296】
 「スルホキシル」は、−S(=O)2OHラジカルを意味する。
【0297】
 「スルホネート」は、−S(=O)2−ORラジカルを意味し、式中、Rは、アルキル
、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)、及びヘテロ脂環
(環炭素を介して結合)からなる群から選択される。スルホネート基は、アルキル、シク
ロアルキル、アリール、ヘテロアリールについてそれぞれ記載された置換基のうちの1以 30
上によってR上で置換されていてもよい。
【0298】
毛髪コンディショニング剤
 従来のシャンプー組成物で毛髪を洗浄するとき、天然油は、汚れや不要な油分と共に除
去される。特に頻繁に洗浄することなどによって、天然油が過剰に除去されると、毛髪を
梳かす又はスタイリングすることが容易ではなくなり、「フライアウェイ(flyawa
y)」を引き起こす静電気の蓄積する傾向がある。毛髪コンディショニング剤は、毛髪状
態を回復するために毛髪ケア組成物に含有される。コンディショニング剤は、毛髪に改善
されたコンディショニング効果、特に清潔な毛髪の感触及びウェットリンス感を与えるす
ると考えられる。 40
【0299】
A.絹コンディショニング剤
 いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロイン
タンパク質ベースの断片、絹フィブロインアミノ酸、及び絹ペプチドのうちの1以上が、
機能的添加剤として毛髪ケア組成物に含有され、毛髪コンディショニングの利益を与える
。例えば、水溶性SPF、例えば、限定するものではないが、シャンプー用洗浄性界面活
性剤に対して2∼50アミノ酸単位を有する絹フィブロインタンパク質由来ペプチド、保
湿剤としての絹フィブロイン加水分解物、シャンプー組成物用ヘアコンディショニング剤
としての平均分子量1000Daの絹フィブロインタンパク質加水分解物、毛髪の栄養素
としての絹フィブロインタンパク質加水分解物に由来するアミノ酸を添加する。 50
(100) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0300】
 いくつかの実施形態では、絹フィブロインアミノ酸は、市販の加水分解絹(CAS番号
:96690−41−4)から得られるものである。Bombyxmoriの絹フィブロ
インタンパク質に由来するアミノ酸組成は、主に、Gly(43%)、Ala(30%)
、及びSer(12%)からなる。
【0301】
 いくつかの実施形態では、絹コンディショニング剤は、約200Da∼約4kDaの重
量平均分子量を有する低分子量絹ペプチドである。いくつかの実施形態では、絹コンディ
ショニング剤は、いくつかの実施形態では、絹コンディショニング剤は、約200Da∼
約1kDaの重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片である。い 10
くつかの実施形態では、絹コンディショニング剤は、約1kDaの重量平均分子量を有す
る絹フィブロインベースのタンパク質断片である。
【0302】
 いくつかの実施形態では、絹コンディショニング剤は、約5kDa∼約17kDaの重
量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片であり、絹フィブロインベ
ースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。
【0303】
 いくつかの実施形態では、絹コンディショニング剤は、少なくとも1つの官能基で共有
結合を介して修飾された絹フィブロインタンパク質ベースの断片を含む。いくつかの実施
形態では、官能基は、カチオン性官能基、アニオン性官能基、ヘキサミン、2−ヒドロキ 20
シ−γ−アミノ酸、コハク酸、C6−C36脂肪酸を含み、官能化絹フィブロインベース
のタンパク質断片を提供する。いくつかの実施形態では、官能化絹フィブロインタンパク
質ベースの断片は、Low−MW絹を含む。いくつかの実施形態では、官能化絹フィブロ
インタンパク質ベースの断片は、Mid−MW絹を含む。
【0304】
 いくつかの実施形態では、少なくとも1つの官能基が、スペーサを介して絹フィブロイ
ンタンパク質ベースの断片に結合されている。いくつかの実施形態では、スペーサは、N
−ヒドロキシスクシンイミド/カルボジイミド(NHS/EDC)カップリング化学によ
って形成されたアミド結合を介して、絹フィブロインベースのタンパク質断片と官能基を
結合させる。 30
【0305】
 いくつかの実施形態では、スペーサは、2∼50の繰り返し単位を有するポリエチレン
グリコール、ε−マレイミドカプロン酸、パラ−アミノベンジルオキシカルバメート、及
びそれらの組合せの群から選択される。いくつかの実施形態では、スペーサは、2∼30
個のアミノ酸残基を有するポリアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、スペーサは、
線状ポリリジン又はポリグルタミンを含む。いくつかの実施形態では、スペーサは、コハ
ク酸、ヘキサミンを含み得る。
【0306】
 いくつかの実施形態では、官能化絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、式(1)
: 40
【化12】

を有し、式中、Low−MW絹は、約5kDa∼約30kDaの重量平均分子量と、1.
0∼約5.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形態では、官能化絹フィブロインタ
ンパク質ベースの断片は、約5kDa∼約30kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約 50
(101) JP 2022-529644 A 2022.6.23

3.0の多分散性とを有するLow−MW絹を含む。いくつかの実施形態では、官能化絹
フィブロインタンパク質ベースの断片は、約5kDa∼約17kDa重量平均分子量と、
約1.5∼約3.0の多分散性とを有するLow−MW絹を含む。
【0307】
 いくつかの実施形態では、官能化絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、式(2)

【化13】

を有し、式中、Mid−MW絹は、約25kDa∼約60kDaの重量平均分子量と、1
.0∼約5.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形態では、官能化絹フィブロイン
タンパク質ベースの断片は、約25kDa∼約60kDaの重量平均分子量と、約1.5
∼約3.0の多分散性とを有するMid−MW絹を含む。いくつかの実施形態では、官能
化絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、約39kDa∼約54kDa重量平均分子
量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有するMid−MW絹を含む。
【0308】 20
 いくつかの実施形態では、官能化絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、式(3)
、(4)、又は(5):
【化14】

から選択される化合物であり、式中、Low−MW絹は、約5kDa∼約25kDaの重
量平均分子量と、1.0∼約5.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形態では、官 40
能化絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、約5kDa∼約30kDaの重量平均分
子量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有するLow−MW絹を含む。いくつかの実
施形態では、官能化絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、約5kDa∼約17kD
a重量平均分子量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有するLow−MW絹を含む。
【0309】
 いくつかの実施形態では、官能化絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、式(6)
、(7)、又は(8):
(102) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【化15】

から選択される化合物であり、式中、Mid−MW絹は、約25kDa∼約60kDaの
重量平均分子量と、1.0∼約5.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形態では、
官能化絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、約25kDa∼約60kDaの重量平
均分子量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有するMid−MW絹を含む。いくつか 20
の実施形態では、官能化絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、約39kDa∼約5
4kDa重量平均分子量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有するMid−MW絹を
含む。
【0310】
 いくつかの実施形態では、官能化絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、式(9)

【化16】

を有し、式中、Low−MW絹は、約5kDa∼約30kDaの重量平均分子量と、1.
0∼約5.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形態では、官能化絹フィブロインタ
ンパク質ベースの断片は、約5kDa∼約25kDaの重量平均分子量と、約1.5∼約
3.0の多分散性とを有するLow−MW絹を含む。いくつかの実施形態では、官能化絹
フィブロインタンパク質ベースの断片は、約5kDa∼約17kDa重量平均分子量と、
約1.5∼約3.0の多分散性とを有するLow−MW絹を含む。
【0311】
 いくつかの実施形態では、官能化絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、式(10 40
):
【化17】

を有し、式中、Mid−MW絹は、約25kDa∼約60kDaの重量平均分子量と、1
.0∼約5.0の多分散性とを有する。いくつかの実施形態では、官能化絹フィブロイン
タンパク質ベースの断片は、約25kDa∼約60kDaの重量平均分子量と、約1.5 50
(103) JP 2022-529644 A 2022.6.23

∼約3.0の多分散性とを有するMid−MW絹を含む。いくつかの実施形態では、官能
化絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、約39kDa∼約54kDa重量平均分子
量と、約1.5∼約3.0の多分散性とを有するMid−MW絹を含む。
【0312】
 いくつかの実施形態では、官能化絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、従来の有
毒化学物質に代えて用いる天然の毛髪成分として、例えば、ケラチン処理製品(Braz
ilian Blowout、Cezanne、Goldwell Kerasilkと
して知られる)中のチオグリコレート又はホルムアルデヒドの代替品としての使用を見出
すことができる。
【0313】 10
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物に含有されるシルクコンディショニング剤の
量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.2重量%∼約0.6重量%である。いくつ
かの実施形態では、毛髪ケア組成物に含有されるシルクコンディショニング剤の使用量は
、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.2重量%、約0.21重量%、約0.22重量
%、約0.23重量%、約0.24重量%、約0.25重量%、約0.26重量%、約0
.27重量%、約0.28重量%、約0.29重量%、約0.3重量%、約0.31重量
%、約0.32重量%、約0.33重量%、約0.34重量%、約0.35重量%、約0
.36重量%、約0.37重量%、約0.38重量%、約0.39重量%、約0.4重量
%、約0.41重量%、約0.42重量%、約0.43重量%、約0.44重量%、約0
.45重量%、約0.46重量%、約0.47重量%、約0.48重量%、約0.49重 20
量%、約0.5重量%、約0.51重量%、約0.52重量%、約0.53重量%、約0
.54重量%、約0.55重量%、約0.56重量%、約0.57重量%、約0.58重
量%、約0.59重量%、約0.6重量%から選択される。
【0314】
B.有機コンディショニングオイル
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、シルクコンディショニング剤に加えて、
少なくとも1つの有機コンディショニングオイルを含む。特定の理論に拘束されることを
望むものではないが、これらの有機コンディショニングオイルは、シルクコンディショニ
ング剤と組み合わせて使用されたときに、毛髪ケア組成物に改善されたコンディショニン
グ性能を与えると考えられる。コンディショニングオイルは、毛髪に輝きと光沢を与え得 30
る。更に、それらは、乾いたコーミング(dry combing)と乾いた毛髪感触(
dry hair feel)を高め得る。
【0315】
 本明細書のコンディショニング剤としての使用に好適な有機コンディショニングオイル
は、好ましくは、炭化水素油、ポリオレフィン、脂肪酸エステル、及びそれらの混合物か
らなる群から選択される低粘度の水不溶性液体である。いくつかの実施形態では、有機コ
ンディショニングオイルは、炭化水素油及び脂肪酸エステル、並びにそれらの組合せから
選択される。
【0316】
 いくつかの実施形態では、ヘアコンディショニング剤は、ポリマー及びそれらの混合物 40
を含む、環状炭化水素、直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)、及び分岐鎖脂肪族炭化
水素(飽和又は不飽和)などの少なくとも約10個の炭素原子を有する炭化水素油を含む
。直鎖炭化水素油は、好ましくは約C12∼約C19である。炭化水素ポリマーを含む分
岐鎖炭化水素油は、通常、19個を超える炭素原子を含む。
【0317】
 いくつかの実施形態では、炭化水素油は、液体パラフィン、液体イソパラフィン、スク
アレン、鉱油、飽和及び不飽和ドデカン、飽和及び不飽和トリデカン、飽和及び不飽和テ
トラデカン、飽和及び不飽和ペンタデカン、飽和及び不飽和ヘキサデカン、ポリブテン、
ポリデセン、ペルメチル置換異性体、例えば、ヘキサデカン及びエイコサンのペルメチル
置換異性体(例えば、2,2,4,4,6,6,8,8−ジメチル−10−メチルウンデ 50
(104) JP 2022-529644 A 2022.6.23

カン及び2,2,4,4,6,6−ジメチル−8−メチルノナン)、イソブチレンとブタ
ンとのコポリマー、ポリ−α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン
、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデカン、1−テトラ
デセンのポリマー)、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0318】
 いくつかの実施形態では、有機オイルコンディショニング剤は、イソプロピルイソステ
アレート、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソヘキシルパルミテート、
イソプロピルパルミテート、デシルオレエート、イソデシルオレエート、ヘキサデシルス
テアレート、デシルステアレート、イソプロピルイソステアレート、ジヘキシルデシルア
ジペート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、セチルラクテート、オレイルス 10
テアレート、オレイルオレエート、オレイルミリステート、ラウリルアセテート、セチル
プロピオネート、オレイルアジペート、イソプロピルミリステート、グリコールステアレ
ート、及びイソプロピルラウレート、イソセチルステアロイルステアレート、ジイソプロ
ピルアジペート、トリステアリルシトレート、トリオレフィン、トリステアリングリセリ
ルジラウレート、トリメチロールプロパンのC8−C10トリエステル、3,3ジエタノ
ール−1,5ペンタジオールのテトラエステル、アジピン酸のC8−C10ジエステル、
エチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸
エステル、ポリエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモ
ノ及びジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリプロピレング
リコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレー 20
ト、グリセリルモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エト
キシル化グリセリルモノステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、
1,3−ブチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン
モノオレエート、ポリソルベート80、Tween80(登録商標))、及びそれらの組
合せからなる群から選択される脂肪酸エステル油を含む。
【0319】
 いくつかの実施形態では、有機コンディショニングオイルは、40℃で測定したとき、
約1センチポアズ∼約200センチポアズの粘度を有する。いくつかの実施形態では、有
機コンディショニングオイルは、40℃で測定したとき、約1センチポアズ∼約100セ 30
ンチポアズの粘度を有する。いくつかの実施形態では、有機コンディショニングオイルは
、40℃で測定したとき、約2センチポアズ∼約50センチポアズの粘度を有する。
【0320】
 いくつかの実施形態では、有機コンディショニングオイルは、毛髪ケア組成物中に、毛
髪ケア組成物の総重量に対して約0.05重量%∼約10.0重量%の重量パーセントで
存在する。いくつかの実施形態では、有機コンディショニングオイルは、毛髪ケア組成物
中に、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.2重量%∼約5.0重量%の重量パーセン
トで存在する。いくつかの実施形態では、有機コンディショニングオイルは、毛髪ケア組
成物中に、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.5重量%∼約3.0重量%の重量パー
セントで存在する。 40
【0321】
C.シリコーンコンディショニング剤
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、1以上のシリコーンコンディショニング
剤を更に含む。いくつかの実施形態では、シリコーンコンディショニング剤は疎水性であ
り、約8以下、好ましくは5以下のHLBを有する。いくつかの実施形態では、シリコー
ンコンディショニング剤は不揮発性であり、25℃で液体である。いくつかの実施形態で
は、シリコーンコンディショニング剤は、コンディショニングの利点をもたらすという観
2 −1 2 −1
点から、25℃で、約200mm ・s 、約200mm ・s ∼約300,00
2 −1 2 −1 2 −1
0mm ・s 、約200mm ・s ∼約50,000mm ・s から選択さ
れる粘度を有する。 50
(105) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0322】
 ヘアコンディショニングシリコーンオイルの2つの最も一般的なタイプは、Inter
national Cosmetic Ingredient Dictionary(
CTFA)で「ジメチコン」及び「ジメチコノール」と称されている。ジメチコンは、ト
リメチルシロキシ単位で末端がブロックされた完全にメチル化された線状シロキサンポリ
マーの混合物として定義される。ジメチコノールは、ヒドロキシル基を末端に有するジメ
チルシリコーンポリマーである。係るヘアコンディショニングシリコーンオイルは、比較
的、不揮発性の液体である。
【0323】
 いくつかの実施形態では、シリコーンヘアコンディショニング剤は、環状又は線状ポリ 10
ジメチルシロキサン、フェニル及びアルキルフェニルシリコーン、ジメチルポリシロキサ
ン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン
、脂肪族アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコ
ーン、フッ素変性シリコーン、及び環状シリコーン又はアルキル変性シリコーンからなる
群から選択される。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、ジメチルポリシロキサ
ン(重合度:500以上)、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、環状
シリコーン、及びそれらの組合せを含む。シリコーンヘアコンディショニング剤は、毛髪
に良好な質感を与えることができる。
【0324】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、末端トリメチルシリル基又は末端ジメチ 20
ルシラノール基(ジメチコノール)を有するポリジメチルシロキサン、及びポリアルキル
(C1−C25)シロキサンからなる群から選択されるポリアルキルシロキサンを含む。
いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、線状又は分枝状ポリジメチルメチルフェニ
ルシロキサン、線状又は分枝状ポリジメチルジフェニルシロキサン、及びそれらの組合せ
からなる群から選択されるポリアルキルアリールシロキサンを含む。
【0325】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、単独又は溶媒と混合されて使用される、
約200,000Da∼1,000,000Daの数平均分子量を有するポリジオルガノ
シロキサンガムを含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、ポリメチルシロキ
サン、ポリジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサンガム、ポリジメチルシロキサン 30
/ジフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサン/フェニルメチルシロキサン、及びポ
リジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン、並びにそれら
の組合せからなる群から選択されるシリコーンガムを含む。
【0326】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、ジメチル/トリメチルシロキサン構造を
有するシリコーン、及びトリメチルシロキシシリケートタイプの樹脂から選択されるシリ
コーン樹脂を含む。
【0327】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、ヘアコンディショニング剤としての揮発
性シリコーンの総重量に対して約0.1重量%∼10.0重量%の揮発性シリコーンを含 40
む。揮発性シリコーンは、当技術分野でよく知られており、市販され、例えば、線状及び
環状シリコーン化合物が挙げられる。揮発性シリコーン油は、好ましくは、約3∼約9個
のケイ素原子を含む線状又は環状ポリジメチルシロキサンである。いくつかの実施形態で
は、揮発性シリコーン油は、オクタメチルシドテトラシロキサン(octamethyl
cydotetrasiloxane)(D4)又はデカメチルシドペンタシロキサン(
decamethylcydopentasiloxane)(D5)である。
【0328】
 いくつかの実施形態では、シリコーンヘアコンディショニング剤は、アミノシリコーン
を含む。いくつかの実施形態では、アミノシリコーンは、式(I):
(106) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【化18】

を有し、式(I)中、Xは、水素、フェニル、ヒドロキシ、又はC1−C8アルキル、好
ましくはメチルであり;aは、1∼3の値を有する整数、好ましくは1であり;bは、0
、1、又は2、好ましくは1であり;nは、1∼2,000、好ましくは100∼1,8
00、より好ましくは300∼800、更により好ましくは500∼600の数であり;

mは、0であり;R は、一般式CqH2qLで表される一価のラジカルである(式中、 10

qは、2∼8の数値を有する整数であり、Lは、次の基:−N(R )CH2−CH2−
2 2 2 2
N(R )2;−N(R )2;−N(R )3A−;−N(R )CH2−CH2−N
2 2
R H2A−(式中、R は、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカル、
好ましくは約C1∼約C20のアルキルラジカルであり;A−は、ハライドイオンである
)から選択され;Lは、−N(CH3)2又は−NH2である)。いくつかの実施形態で
は、Lは、−NH2である。
【0329】
 1つの非常に好ましいアミノシリコーンは、式(I)に対応するものであり、m=0、
a=1、q=3、X=メチル、nは、好ましくは約1400∼約1700、より好ましく
は約1600であり;Lは、−N(CH3)2又は−NH2、より好ましくは−NH2で 20
ある式(I)に対応するものである。別の更に非常に好ましいアミノシリコーンは、m=
0、a=1、q=3、X=メチル、nは、好ましくは約400∼約800、より好ましく
は約500∼約600であり;−N(CH3)2又は−NH2、より好ましくは−NH2
である式(I)に対応するものである。
【0330】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、窒素含有基を末端に有するシリコーン鎖
の一端又は両端を有するアミノシリコーンを含む。係る末端アミノシリコーンは、グラフ
トアミノシリコーンと比較して改善された摩擦低減をもたらす。
【0331】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、約0.12mmol/g未満のアミン含 30
量を有するアミノシリコーンを含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、約0
.1mmol/g未満のアミン含量を有するアミノシリコーンを含む。いくつかの実施形
態では、毛髪ケア組成物は、約0.08mmol/g未満のアミン含量を有するアミノシ
リコーンを含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、摩擦低減の利点の観点か
ら、約0.06mmol/g未満のアミン含量を有するアミノシリコーンを含む。
【0332】
 いくつかの実施形態では、シリコーンヘアコンディショニング剤は、ジメチコン/PG
−プロピルジメチコンチオ硫酸ナトリウムコポリマー(GoldschmidtのAbi
l(登録商標)S 201);トリメチルシリルアモジメチコン(Dow Cornin
gのDC Q2−8220);アモジメチコン、塩化セトリモニウム、及びTridec 40
eth−12(DC 949Dow Corning);シクロメチコン及びトリメチル
シロキシシリケート(Dow CorningのDC 749);セチルジメチコン(D
ow CorningのDC2502);アミノ官能化シリコーンマイクロエマルジョン
(Basildon ChemicalsのBC97/004及びBC99/088);
アミノ官能化シリコーンマイクロエマルジョン(GE SME253及びSM2115−
D2及びSM2658及びSF1708 General Electric);シリコ
ン処理されたメドウフォームシードオイル、及びそれらの組合せからなる群から選択され
る。
【0333】
 いくつかの実施形態では、シリコーンヘアコンディショニング剤は、シクロメチコン、 50
(107) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ジメチコン、フェニルジメチコン、ジメチコンコポリオール、アモジメチコン、及びトリ
メチルシリルアモジメチコンからなる群から選択される。
【0334】
 いくつかの実施形態では、シリコーンヘアコンディショニング剤は、シクロメチコン、
ジメチコン、及びアモジメチコンからなる群から選択される。
【0335】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物中のシリコーンヘアコンディショニング剤の
総量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.01重量%∼20.0重量%である。い
くつかの実施形態では、毛髪ケア組成物中のシリコーンヘアコンディショニング剤の総量
は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.01重量%∼10.0重量%である。いくつ 10
かの実施形態では、毛髪ケア組成物中のシリコーンヘアコンディショニング剤の総量は、
毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.05重量%∼10.0重量%である。いくつかの
実施形態では、毛髪ケア組成物中のシリコーンヘアコンディショニング剤の総量は、毛髪
ケア組成物の総重量に対して約0.1重量%∼5.0重量%である。いくつかの実施形態
では、毛髪ケア組成物中のシリコーンヘアコンディショニング剤の総量は、毛髪ケア組成
物の総重量に対して約0.5重量%∼3.0重量%である。いくつかの実施形態では、コ
ンディショニングの利点及び/又はプロダクトクラリティ(product clari
ty)の観点から、毛髪ケア組成物中のシリコーンヘアコンディショニング剤の総量は、
毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.01重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、
約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、 20
約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.25重量%、約1.50重量
%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.7
5重量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約
4.0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5.0重量%
、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重量%、約6.25
重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.25重量%、約8
.5重量%、約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、
約9.75重量%、約10.0重量%から選択される。
【0336】
D.カチオン性ヘアコンディショニング剤 30
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、ヘアグルーミング(hair groo
ming)を与えるためにカチオン性コンディショニング剤を更に含み得る。カチオン性
コンディショニング剤、特にカチオン性界面活性剤は、単独で又は混合して使用される。
カチオン性ヘアコンディショニング剤は、1以上のカチオン性四級窒素基、及び1以上の
疎水性長鎖脂肪族又はシリコーンポリマーを含み得る。長鎖脂肪酸に由来する又はシリコ
ーンポリマーである長鎖疎水性基は、ヘアコンディショニング機能を与えることができる

【0337】
 本開示の毛髪ケア組成物において有用なカチオン性界面活性剤は、水性組成物に溶解さ
れると正に帯電するアミノ又は四級アンモニウム親水性部分を含む。 40
【0338】
 いくつかの実施形態では、カチオン性ヘアコンディショニング剤は、カチオン性シリコ
ーンポリマーを含み得る。シリコーンカチオン性ポリマーは、約5∼約50個のジメチル
シロキシ繰り返し単位、好ましくは25∼35個のジメチルシロキシ繰り返し単位、及び
約1kDa∼約4kDaの重量平均分子量を有するジ四級ポリアンモニウムポリジメチル
シロキサンを含み得る。ジ四級ジメチルポリシロキサンには、CTFAの一般名「Qua
ternium 80」が割り当てられている。本明細書において有用な特定グレードの
「Quaternium 80」ヘアコンディショニング剤は、Goldschmidt
 AG(エッセン、ドイツ)のABIL−Quat(登録商標)3272である。ABI
L−Quat(登録商標)3272シリコーン化合物は、約3000の平均分子量を有し 50
(108) JP 2022-529644 A 2022.6.23

、平均30個のジメチルシロキシ単位を含むシロキサン鎖、及び5個の炭素を含む短鎖ア
ルキル基を有する。別の好適「Quaternium80」ヘアコンディショニング剤は
、約1500の平均分子量を有し、平均10個のジメチルシロキシ単位を含むシロキサン
鎖、及び5炭素長の短鎖アルキル基を有するABIL−Quat(登録商標)3270で
ある。
【0339】
 いくつかの実施形態では、カチオン性シリコーンヘアコンディショニング剤は、ポリジ
メチルシロキサン鎖にグラフトされたアミドアミン基と共にジ四級アンモニウムを有する

【0340】 10
 いくつかの実施形態では、カチオン性シリコーンヘアコンディショニング剤の重量は、
毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.1重量%∼約1.5重量%である。いくつかの実
施形態では、カチオン性シリコーンヘアコンディショニング剤の重量は、毛髪ケア組成物
の総重量に対して約0.2重量%∼約1.0重量%である。いくつかの実施形態では、カ
チオン性シリコーンヘアコンディショニング剤の重量は、毛髪ケア組成物の総重量に対し
て約0.1重量%、約0.15重量%、約0.25重量%、約0.3重量%、約0.35
重量%、約0.40重量%、約0.45重量%、約0.50重量%、約0.55重量%、
約0.6重量%、約0.65重量%、約0.70重量%、約0.75重量%、約1.0重
量%、約1.05重量%、約1.10重量%、約1.15重量%、約1.20重量%、約
1.25重量%、約1.30重量%、約1.25重量%、約1.30重量%、約1.35 20
重量%、約1.40重量%、約1.45重量%、及び約1.50重量%から選択される。
いくつかの実施形態では、カチオン性シリコーンヘアコンディショニング剤の重量は、毛
髪ケア組成物の総重量に対して約0.25重量%である。いくつかの実施形態では、カチ
オン性シリコーンヘアコンディショニング剤の重量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して
約1.0重量%である。
【0341】
 本明細書において有用なカチオン性ヘアコンディショニング剤は、セチルアンモニウム
クロリドなどの四級アンモニウム塩又は脂肪酸アミンの塩を含み得る。いくつかの実施形
1 2 3 4 + −
態では、カチオン性四級アンモニウム塩は、式(I)[NR R R R ) X を有
1 2 3 4
し、式中、R 、R 、R 、及びR は、独立して、(a)1∼22個の炭素原子の脂 30
肪族基、又は(b)最大22個の炭素原子を有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアル
キレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール、又はアルキルアリール基から
選択され;Xは、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸
塩、グリコール酸塩、硝酸リン酸塩、硫酸塩、又は硫酸アルキルから選択される負に帯電
した対イオンである。本開示のコンディショナー組成物に最も好ましいカチオン性界面活
性剤は、アルキル鎖長がC8∼C14であるモノアルキル四級アンモニウム化合物である

【0342】
 いくつかの実施形態では、モノアルキルカチオン性四級アンモニウム塩界面活性剤コン
ディショニング剤は、(i)ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド(Arquad( 40
登録商標)C35 ex−Akzoとして市販);ココジメチルベンジルアンモニウムク
ロリド(Arquad(登録商標)DMCB−80 ex−Akzoとして市販)を含み
得る。
【0343】
 いくつかの実施形態では、カチオン性コンディショニング剤は、オクチルトリメチルア
ンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチ
ルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベ
ンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリ
ルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、
ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、タロウトリメチルアンモニウムクロリド 50
(109) JP 2022-529644 A 2022.6.23

、ココトリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムブロミド、ココト
リメチルアンモニウムヒドロキシド、セチルピリジニウムクロリド、ジアリル四級アンモ
ニウム塩/アクリルアミドコポリマー、クオタニウム−5、ポリクオタニウム−1、ポリ
クオタニウム−2、ポリクオタニウム−5、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−
7、ポリクオタニウム−8、ポリクオタニウム−9、ポリクオタニウム−11、ポリクオ
タニウム−12、ポリクオタニウム−13、ポリクオタニウム−14、ポリクオタニウム
−15、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−17、クオタニウム−18、ポリ
クオタニウム−19、ポリクオタニウム−20、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニ
ウム−27、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−29、ポリクオタニウム−3
0、ポリクオタニウム−31、及びそれらの組合せからなる群から選択することができる 10

【0344】
 いくつかの実施形態では、カチオン性界面活性剤コンディショニング剤は、0.01重
量%∼約10.0重量%、好ましくは約0.05重量%∼約5.0重量%、最も好ましく
は約0.1重量%∼約2.0重量%の重量パーセントで存在する。
【0345】
 いくつかの実施形態では、ヘアコンディショニング剤は、毛髪ケア組成物中、シルク毛
髪ケア組成物の総重量に対して約0.01重量%∼約10.0重量%の重量パーセントで
存在する。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショニング剤は、毛髪ケア組成物中、
シルク毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.05重量%∼約5.0重量%の重量パーセ 20
ントで存在する。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショニング剤は、毛髪ケア組成
物中、シルク毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.1重量%∼約2.0重量%の重量パ
ーセントで存在する。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショニング剤は、毛髪ケア
組成物中、シルク毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.01重量%、約0.1重量%、
約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、
約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.25重量%
、約1.50重量%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5
重量%、約2.75重量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3
.75重量%、約4.0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%
、約5.0重量%、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重 30
量%、約6.25重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.
25重量%、約8.5重量%、約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、
約9.5重量%、約9.75重量%、約10.0重量%から選択される重量パーセントで
存在する。
【0346】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、SPF、例えば、限定するものではない
が、絹フィブロインタンパク質ベースの断片、絹ペプチド、絹アミノ酸、シリコーン(例
えば、シリコーンオイル、カチオン性シリコーン、シリコーンガム、高屈折率シリコーン
、及びシリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素油、ポリオ
レフィン、及び脂肪酸エステル)、及びそれらの組合せからなる群から選択されるコンデ 40
ィショニング剤を含む。SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタン
パク質ベースの断片、絹ペプチド、絹アミノ酸単独又はそれらの組合せは、それぞれ、絹
コンディショニング剤と考えられる。
【0347】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、グリセロール、プロピレングリコール、
エリスリトール、ナトリウムPC A、ヒアルロン酸、ソルビトール、フルクトース、脂
肪酸(例えば、ステアリン酸及びオレイン酸)、脂肪族アルコール、ソルビトール、フル
クトース、ポリクオタニウムポリマー、カチオン性界面活性剤、タンパク質、アミノ酸(
例えば、絹フィブロインアミノ酸)、絹溶液、オイル、鉱油、シリコーン、脂肪酸エステ
ル、グリセリン、塩化セトリモニウム、脂肪族アルコール、ジメチコン、及びそれらの組 50
(110) JP 2022-529644 A 2022.6.23

合せからなる群から選択されるコンディショニング剤を含む。
【0348】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、コンディショニング剤として、絹フィブ
ロインアミノ酸、絹溶液、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケ
ア組成物は、コンディショニング剤として、炭化水素油コンディショニング剤、絹フィブ
ロインアミノ酸、絹溶液、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケ
ア組成物は、コンディショニング剤として、シリコーンコンディショニング剤、絹フィブ
ロインアミノ酸、絹溶液、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケ
ア組成物は、コンディショニング剤として、カチオン性四級アンモニウム塩界面活性剤、
絹フィブロインアミノ酸、絹溶液、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では 10
、毛髪ケア組成物は、コンディショニング剤として、ポリクオタニウム界面活性剤、絹フ
ィブロインアミノ酸、絹溶液、又はそれらの組合せを含む。
【0349】
ヘアスタイリング材料
A.感圧接着剤
 いくつかの実施形態では、シルク毛髪ケア組成物は、スタイリングポリマーとして感圧
接着剤(PSA)を含む。「感圧接着剤」の材料は、室温で恒久的に粘着性があり、接触
するだけで、又は軽く圧力を加えるだけで、表面に測定可能な接着力を発揮することがで
きる。一般に、PSAは熱を必要としない。接着剤と被着材との間で化学反応は生じず、
接着剤の硬化は必要なく、接着プロセス中に溶剤が失われる必要もない。 20
【0350】
 いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、アクリルPSA、シリコーンPSAから選択
される。アクリル感圧接着剤は、好ましくはエマルジョンの形態である。好適な水性アク
リル感圧接着剤としては、Roderm(登録商標)MD−5800が挙げられる。本質
的にTgを調整し、散逸特性(dissipative properties)を最適
化するために、粘着付与剤などの低分子添加剤を含有させることができる。いくつかの実
施形態では、感圧接着剤は、毛髪ケア組成物の総重量に対して0.01重量%∼10.0
重量%の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、毛髪ケア
組成物の総重量に対して0.1重量%∼5.0重量%の重量パーセントで存在する。いく
つかの実施形態では、感圧接着剤は、毛髪ケア組成物の総重量に対して0.5重量%∼3 30
.5重量%の重量パーセントで存在する。
【0351】
B.膜形成剤
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、グルーミング及びスタイリング、シャン
プー、紫外光、並びにパーマネントウェーブ剤、ヘアカラー製品、ブリーチ、及び縮毛矯
正に一般に使用される反応性化学物質を含む様々な環境要因によって引き起こされるダメ
ージから毛髪を保護する保護膜を毛髪に形成する膜形成物質を含む。更に、これらの膜形
成物質は、毛髪の弾力性を改善する。いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定す
るものではないが、絹フィブロインタンパク質断片は、毛髪ケア組成物用の膜形成剤とし
て機能し得る。SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断 40
片は、毛髪に類似したタンパク質構造を有する。SPF、例えば、限定するものではない
が、約1,000Da∼約390,000Daの重量平均分子量を有する絹フィブロイン
タンパク質断片は、毛髪に弾力性のある透明な膜を容易に形成する。SPF、例えば、限
定するものではないが、絹フィブロインタンパク質は、溶液中で自己組織化する能力があ
るため、膜形成及びコーティング用途に理想的で好適である。絹タンパク質の自己組織化
特性は、水素結合と静電相互作用を介した逆平行ベータプリーツシートの形成による。
【0352】
 いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロイン
タンパク質断片は、1kDa∼18kDaの重量平均分子量を有し、中程度の保持強度(
soft−holding strength)を有する膜コーティングを毛髪に形成す 50
(111) JP 2022-529644 A 2022.6.23

る。いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロイ
ンタンパク質断片は、1kDa∼10kDaの重量平均分子量を有し、中程度の保持強度
を有する膜コーティングを毛髪に形成する。いくつかの実施形態では、SPF、例えば、
限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片は、1kDa∼5kDaの重量
平均分子量を有し、中程度の保持強度を有する膜コーティングを毛髪に形成する。いくつ
かの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク
質断片は、5kDa∼10kDaの重量平均分子量を有し、中程度の保持強度を有する膜
コーティングを毛髪に形成する。いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するも
のではないが、絹フィブロインタンパク質断片は、5kDa∼18kDaの重量平均分子
量を有し、中程度の保持強度を有する膜コーティングを毛髪に形成する。 10
【0353】
 いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロイン
タンパク質断片は、10kDa∼18kDaの重量平均分子量を有し、中程度の保持強度
を有する膜コーティングを毛髪に形成する。いくつかの実施形態では、中程度の保持強度
を示すヘアケア製品中のSPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタン
パク質膜形成剤の重量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約1.0重量%∼約3.0重
量%である。いくつかの実施形態では、ヘアケア製品中のSPF、例えば、限定するもの
ではないが、絹フィブロインタンパク質膜形成剤の重量は、毛髪ケア組成物の総重量に対
して約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1
.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2.0%、約2.1%、約2.2%、 20
約2.3%、約2.4%、約2.5%、約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9
%、及び約3.0%(w/v)から選択される。
【0354】
 いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロイン
タンパク質断片は、19kDa∼300kDaの重量平均分子量を有し、高保持強度を有
する膜コーティングを毛髪に形成する。いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定
するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片は、19kDa∼90kDaの重量
平均分子量を有し、高保持強度を有する膜コーティングを毛髪に形成する。いくつかの実
施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片
は、20kDa∼39kDaの重量平均分子量を有し、高保持強度を有する膜コーティン 30
グを毛髪に形成する。いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではない
が、絹フィブロインタンパク質断片は、40kDa∼90kDaの重量平均分子量を有し
、高保持強度を有する膜コーティングを毛髪に形成する。SPF、例えば、限定するもの
ではないが、絹フィブロインタンパク質膜形成剤は、優れたカール保持を示した(図1C
を参照)。いくつかの実施形態では、高保持強度を示すヘアケア製品中のSPF、例えば
、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質膜形成剤の重量は、毛髪ケア組成
物の総重量に対して約3.0重量%∼約6.0重量%である。いくつかの実施形態では、
高保持性ヘアケア製品中のSPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタ
ンパク質膜形成剤の重量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約3.0重量%、約3.1
重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6 40
重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4.0重量%、約4.1
重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約4.4重量%、約4.5重量%、約4.6
重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%、約5.0重量%、約5.1
重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、約5.4重量%、約5.5重量%、約5.6
重量%、約5.7重量%、約5.8重量%、約5.9重量%、及び約6.0重量%から選
択される。いくつかの実施形態では、高保持強度を示すヘアケア製品中のSPF、例えば
、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質膜形成剤の重量は、約6.0重量
%である。
【0355】
 いくつかの実施形態では、更なる膜形成剤が毛髪ケア組成物に添加される。いくつかの 50
(112) JP 2022-529644 A 2022.6.23

実施形態では、更なる膜形成剤は、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリアシルアミ
ド、シリコーン、ポリクオタリウム化合物、エラストマー材料、ラテックス、ポリウレタ
ン、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン、多糖類、タンパク質、ポリシロキサン(例
えば、ポリエーテル変性シリコーン)、長鎖アルキル四級アンモニウム、ポリビニルピロ
リドン(PVP)、PVPK30、セルロースエーテルの四級アンモニウム誘導体、ヒド
ロキシエチルセルロースとジメチルジアリルアンモニウムハライドとのコポリマー、ビニ
ルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマーの四級アンモニウム
誘導体、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムハライドのコポリマー、アクリ
ルアミドとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマーの四級アンモニウム誘導
体、シェラック、ポリビニルピロリドン−エチルメタクリレート−メタクリル酸ターポリ 10
マー、酢酸ビニル−クロトン酸コポリマー、酢酸ビニル−クロトン酸−ネオデコン酸ビニ
ルターポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)−エチルメタクリレートメタクリル酸エチル
コポリマー、ビニルメチルエーテル−マレイン酸無水物コポリマー、オクチルアクリルア
ミド−アクリレート−ブチルアミノエチル−メタクリレートコポリマー、及びポリ(ビニ
ルピロリドン−ジメチルアミノエチルメタクリレート)コポリマー及び誘導体、ポリクオ
タニウム−46、キトサン、微結晶キトサン、キトサンの四級アンモニウム誘導体、四級
セルロース誘導体;ビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン−
メタクリル酸エチル−メタクリル酸ターポリマー、酢酸ビニル−クロトン酸コポリマー、
酢酸ビニル−クロトン酸−ネオデコン酸ビニルターポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)
−メタクリル酸エチルメタクリル酸コポリマー、ビニルメチルエーテル−マレイン酸無水 20
物コポリマー、オクチルアクリルアミド−アクリレート−ブチルアミノエチル−メタクリ
レートコポリマー、及びポリ(ビニルピロリドン−ジメチルアミノエチル−メタクリレー
ト)コポリマー、シェラック、コラーゲン、ケラチン、及びエラスチンからなる群から選
択される。
【0356】
 いくつかの実施形態では、膜形成剤は、SPF、例えば、限定するものではないが、絹
フィブロインタンパク質断片、PVP−PVP−VA、ポリクオタニウム−46、及びそ
れらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、膜形成剤は、SPF
、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片及びポリクオタニウ
ム−46を含む。いくつかの実施形態では、更なる膜形成剤は、アクリルアミドとジメチ 30
ルジアリルアンモニウムハライドとのコポリマー、ヒドロキシエチルセルロースとジメチ
ルジアリルアンモニウムハライドとのコポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選
択される。四級アンモニウム基を有する膜形成ポリマーを含む毛髪ケア組成物は、毛髪に
塗布したときに、より効果的でより耐久性のある膜を与える。
【0357】
 いくつかの実施形態では、更なる膜形成剤は、アミノエチルアミノプロピル、N−(ア
ミノエチルアミノメチル)フェニル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、
及びビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピル基)、DC 929グレードの
シリコーン液(Dow Corning)、及びそれらの組合せを含むポリジメチルシロ
キサンからなる群から選択されるアミノ変性シリコーン樹脂を含む。 40
【0358】
 特定の理論に拘束されることを望むものではないが、シリコーンは、毛髪保持用途にお
いて特に有利な少なくとも2つの性質を有すると考えられる。特定のシリコーン材料は、
疎水性膜を形成し、低粘度溶液を生成する。アミノ変性シリコン樹脂は、より少ない使用
量で有機膜形成材料よりも高い耐湿性をもたらすことが分かっている。有機樹脂と異なり
、使用量が多い場合でもシリコーン溶液の粘度は低い。有機膜形成剤と異なり、シリコー
ン膜形成剤は、水相溶性をもたらすために、中和を必要としない。更に、シリコーン樹脂
は、膜形成成分の構造変化を通して、毛髪の保持強度を高い保持から中程度の保持まで変
化させることができる。これは、中和されていないときに高保持力を有し、中程度の保持
を達成するのに必要な中和によって初めて中程度保持をもたらすことができる有機ポリマ 50
(113) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ーとは異なる。更に、シリコーン樹脂は、エタノール及び炭化水素噴射剤との相溶性、良
好な光沢、低蓄積、粘着性の欠如、非刺激性、及び剥離の低減を含む更なる配合上の利点
を与える。
【0359】
 いくつかの実施形態では、更なる膜形成剤は、200,000Da∼10,0000,
000Daの重量平均分子量を有するポリジオルガノシロキサンである「シリコーンガム
」を含む。いくつかの実施形態では、ポリジオルガノシロキサンは、ポリジメチルシロキ
サンコポリマー、ポリジメチルシロキサン/ジフェニル/メチルビニルシロキサンコポリ
マー、ポリジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサンコポリマー、及びそれらの混合
物からなる群から選択される。 10
【0360】
 いくつかの実施形態では、更なる膜形成剤は、溶媒と共に毛髪ケア組成物に含有される
。いくつかの実施形態では、溶媒は、炭化水素、アルコール、又はアルコールと水とのブ
レンドであり得る。使用できる他の溶媒としては、線状及び環状シロキサンを含む揮発性
シリコーン、炭化水素、及び水性エマルジョン系が挙げられる。いくつかの実施形態では
、シリコーンガムの溶媒は、液化石油ガス、プロパン、イソブタン、及びそれらの組合せ
からなる群から選択される炭化水素油である。いくつかの実施形態では、シリコーンガム
の溶媒は、ジメチルエーテルである。
【0361】
更なるヘアケア活性剤 20
A.植物抽出物
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、SPF、例えば、限定するもの
ではないが、絹フィブロインタンパク質断片の有益な効果を向上させる植物抽出物を含む
。いくつかの実施形態では、植物抽出物は、米、オート、アーモンド、Camellia
Sinensis(緑茶)エキス、ButyrospermumParkii(シアバタ
ー)、ココナッツ、パパイヤ、マンゴー、ピーチ、レモン、小麦、ローズマリー、アプリ
コット、藻類、グレープフルーツ、サンダルウッド、ライム、オレンジ、アカシア、Ac
aciaconcinn、Buteaparviflora、Buteasuperb、
Buteafrondosa、Campanulata(ファイヤーチューリップ)、A
dansoniaDigitata(バオバブ)、PhoenixDactylifer 30
a(デーツ)、HibiscusSabdariffa(ハイビスカス)、Aframo
mumMelegueta(アフリカンペッパー)、KhayaSenegalensi
s(マホガニーウッド)、TamarindusIndica(タマリンド、即ち、クル
クミン)、CyperusPapyrus(パピルス)、Ageratum spp.、
バーチ、ごぼう、ホーステイル、ラベンダー、マジョラム、イラクサ、テールキャット、
タイム、オークバーク、エキナセア、セイヨウイラクサ、マンサク、ホップ、ヘンナ、カ
モミール、セイヨウサンザシ、ライムツリーブロッサム、アーモンド、松葉、ホースチェ
スナット、ジュニパー、キウイ、メロン、マロウ、ハナタネツケバナ、ワイルドタイム、
ヤロウ、メリッサ、レストハロー、コルツフット、マシュマロ、ライスメリステム、モリ
ンガ、ジンセン及びジンジャー根、アロエベラ、aloebarbadensis葉エキ 40
ス、lavandulaangustifolia(ラベンダー)花エキス、sambu
cusnigra(エルダーベリー)果実エキス、phoenixdactylifer
a(デーツ)種子エキス、avandulastoechas(スパニッシュラベンダー
)エキス、spiraeaulmaria(メドウスイート)葉エキス、chamomi
llarecutita(カモミール)葉エキス、及びSymphytumoffici
nale(コンフリー)葉エキス、及びそれらの組合せから得られる抽出物からなる群か
ら選択される。これらの植物の抽出物は、種子、根、茎、葉、花、樹皮、果実、及び/又
は植物全体から得られる。
【0362】
 いくつかの実施形態では、植物抽出物は、毛髪組成物中、毛髪ケア組成物の総重量に対 50
(114) JP 2022-529644 A 2022.6.23

して約0.001重量%∼約10.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつ
かの実施形態では、植物抽出物は、毛髪組成物中、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0
.005重量%∼約5.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形
態では、植物抽出物は、毛髪組成物中、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.01重量
%∼約2.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、植物
抽出物は、毛髪組成物中、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.0045重量%∼約0
.0055重量%の範囲の重量パーセントで存在する。
【0363】
B.UVフィルタ
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、290∼329nmの波長の紫 10
外線を吸収するUVフィルタを含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、パラ
アミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安
息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オク
チル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、シン
ナミン酸ベンジル、パラメトキシシンナミン酸2−エトキシエチル、パラメトキシシンナ
ミン酸オクチル、モノ(2−エチルヘキサノエート)ジパラ−メトキシシンナミン酸グリ
セリル、パラ−メトキシシンナミン酸イソプロピル、ジイソプロピル−ジイソプロピルシ
ンナミン酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベ
ンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシ
メトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム 20
、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−tert−ブチ
ル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2
'−エチルヘキシル−1'−オキシ)−1,3,5−トリアジン、及び2−(2−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールからなる群から選択される毛髪ケア組成
物水UVフィルタである。いくつかの実施形態では、2−エチルヘキシル−p−メトキシ
シンナメート、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリ
レン、2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェ
ニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、メチレンビス−ベン
ゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、2,4,6−トリス−[4−(2−エチ
ルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、ジエチルアミノヒ 30
ドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オキシベンゾン、2,2'−ジヒドロキシ−4,
4'−ジメトキシベンゾフェノン、及びそれらの組合せからなる群から選択される水溶性
紫外線吸収剤である。
【0364】
 いくつかの実施形態では、UVフィルタは、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチ
ルヘキシルメトキシシンナメート、エチルヘキシルサリシレート、オクトクリレン、エチ
ルヘキシルメトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、エチルヘキ
シルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、メチレンビス−ベンゾトリアゾ
リルテトラメチルブチルフェノール、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二
ナトリウム、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ベン 40
ゾフェノン−3、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0365】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、TiO2、SiO2、Fe2O3、Zr
O2、MnO、Al2O3、及びそれらの組合せから選択されるUVフィルタとしての無
機顔料を含む。
【0366】
 いくつかの実施形態では、UVフィルタは、毛髪組成物中、毛髪ケア組成物の総重量に
対して約0.001重量%∼約20.0重量%の重量パーセントで存在する。いくつかの
実施形態では、UVフィルタは、毛髪組成物中、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.
01重量%∼約10.0重量%の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、 50
(115) JP 2022-529644 A 2022.6.23

UVフィルタは、毛髪組成物中、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.05重量%∼約
8.0重量%の重量パーセントで存在する。
【0367】
C.皮膚軟化剤
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、炭化水素油、炭化水素ワックス
、シリコーン油、アセトグリセリドエステル、エトキシル化グリセリド、脂肪酸のアルキ
ルエステル、脂肪酸のアルケニルエステル、脂肪族アルコール、脂肪族アルコールエーテ
ル、エーテルエステル、ラノリン、ラノリン誘導体、多価アルコール、ポリエーテル誘導
体、多価エステル、ワックスエステル、ミツロウ誘導体、植物ワックス、天然又はエッセ
ンシャルオイル、リン脂質、ステロール、アミド、及びそれらの組合せからなる群から選 10
択される皮膚軟化剤を含む。
【0368】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物に含有される皮膚軟化剤は、(1)炭化水素
油及びワックス、例えば、鉱油、ペトロラタム、パラフィン、オゾケライト、マイクロク
リスタリンワックス、ポリエチレン、スクアレン、及びペルヒドロスクアレン;(2)シ
リコーンオイル、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、水
溶性及びアルコール可溶性シリコーングリコールコポリマー;(3)アセトグリセリドエ
ステル、例えば、アセチル化モノグリセリド;(4)エトキシル化グリセリド、例えば、
エトキシル化グリセリルモノステアレート;(5)10∼20個の炭素原子を有する脂肪
酸のアルキルエステル、例えば、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソヘ 20
キシルパルミテート、イソプロピルパルミテート、デシルオレエート、イソデシルオレエ
ート、ヘキサデシルステアレート、デシルステアレート、イソプロピルイソステアレート
、ジイソプロピルアジペート、ジイソヘキシルアジペート、ジヘキシルデシルアジペート
、ジイソプロピルセバケート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、脂肪酸のメ
チル、イソプロピル、ブチルエステル;(6)10∼20個の炭素原子を有する脂肪酸の
アルケニルエステル、例えば、オレイルミリステート、オレイルステアレート、及びオレ
イルオレエート;(7)10∼20個の炭素原子を有する脂肪酸、例えば、ペラルゴン酸
、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロ
キシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、
及びエルカ酸;(8)10∼20個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、例えば、ラウ 30
リル、ミリスチル、セチル、ヘキサデシル、ステアリル、イソステアリル、ヒドロキシス
テアリル、オレイル、リシノレイル、ベヘニル、エルシルアルコール、及び2−オクチル
ドデカノール;(9)脂肪族アルコールエーテル、例えば、10∼20個の炭素原子のエ
トキシル化脂肪族アルコール、ラウリル、セチル、ステアリル、イソステアリル、オレイ
ル、及び1∼50個のエチレンオキシド基又は1∼50個のプロピレンオキシド基が結合
したコレステロールアルコール;(10)エーテル−エステル、例えば、エトキシル化脂
肪族アルコールの脂肪酸エステル;(11)ラノリン及びその誘導体、例えば、ラノリン
油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、イソプロピルラノレート
、エトキシル化ラノリン、エトキシル化ラノリンアルコール、エトキシル化コレステロー
ル、プロポキシル化ラノリンアルコール、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアル 40
コール、ラノリンアルコールリノレート、ラノリンアルコールリシノレート、ラノリンア
ルコールリシノレートのアセテート、エトキシル化アルコールエステルのアセテート、ラ
ノリンの水素化分解、エトキシル化水素化ラノリン、エトキシル化ソルビトールラノリン
、及び液体及び半固体ラノリン吸収塩基;(12)多価アルコール及びポリエーテル誘導
体、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール
2000及び4000、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキ
シエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、エトキシル化ソルビトール、ヒド
ロキシプロピルソルビトール、ポリエチレングリコール200∼6000、メトキシポリ
エチレングリコール350、550、750、2000、及び5000、ポリ[エチレン
オキシド]ホモポリマー(重量平均分子量:100,000∼5,000,000Da) 50
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、ポリアルキレングリコール及び誘導体、ヘキシレングリコール(2−メチル−2,4−
ペンタンジオール)、1、3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、
エトヘキサジオールUSP(2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)、C15−C18
ビシナルグリコール、及びトリメチロールプロパンのポリオキシプロピレン誘導体;(1
3)多価アルコールエステル、例えば、エチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、
ジエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200∼6
000)モノ及びジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−及びジ脂肪酸エステル
、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール200
0モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリル
モノ及びジ脂肪酸エステル、ポリグリセリンポリ脂肪酸エステル、エトキシル化グリセリ 10
ルモノステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレン
グリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン
脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、スクロースココエ
ート、スクロースジラウレート、スクロースジステアレート、スクロースヘキサエルケー
ト、スクロースラウレート、スクロースミリステート、スクロースオレエート、スクロー
スパルミテート、スクロースペンタエルケート、スクロースポリベヘネート、スクロース
ポリコットンシーデート、スクロースポリラウレート、スクロースポリリノレート、スク
ロースポリオレエート、スクロースポリパルメート、スクロースポリソイエート、スクロ
ースポリステアレート、スクロースリシノレート、スクロースステアレート、スクロース
テトライソステアレート、スクローストリベヘネート、スクローストリステアラット;( 20
14)ワックスエステル、例えば、ミツロウ、鯨ろう、ミリスチルミリステート、及びス
テアリルステアレート;(15)ミツロウ誘導体、例えば、ミツロウと様々なエチレンオ
キシド含量のエトキシル化ソルビトールとの反応生成物であるポリオキシエチレンソルビ
トールミツロウ;(16)植物性ワックス、例えば、カルナウバ及びキャンデリラワック
ス;(17)天然又はエッセンシャルオイル、例えば、柑橘系オイル、非柑橘系フルーツ
オイル、ナッツオイル、フレーバー、芳香、又は香りを有するオイル、カノーラオイル、
コーンオイル、ニームオイル、オリーブオイル、綿実油、ココナッツオイル、ヤシ油(f
ractionated coconut oil)、パームオイル、ナッツオイル、サ
フラワーオイル、ゴマオイル、大豆オイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、カシ
ューオイル、ヘーゼルナッツオイル、マカデミアオイル、ピーカンオイル、パインナッツ 30
オイル、ピスタチオオイル、クルミオイル、グレープフルーツシードオイル、レモンオイ
ル、オレンジオイル、スイートオレンジオイル、タンジェリンオイル、ライムオイル、マ
ンダリンオイル、オメガ3オイル、亜麻仁オイル(リンシードオイル)、アプリコットオ
イル、アボカドオイル、キャロットオイル、ココアバターオイル、ココナッツオイル、ヤ
シ油、ヘンプオイル、パパイヤシードオイル、ライスブランオイル、シアバターオイル、
ティーツリーシードオイル、及び小麦胚芽オイル、ラベンダーオイル、ローズマリーオイ
ル、桐油、ホホバオイル、ポピーシードオイル、シアバター、キャスターオイル、マンゴ
ーオイル、ローズヒップオイル、トールオイルカモミールオイル、シナモンオイル、シト
ロネラオイル、ユーカリオイル、フェンネルシードオイル、ジャスミンオイル、ジュニパ
ーベリーオイル、ラズベリーシードオイル、ラベンダーオイル、プリムローズオイル、レ 40
モングラスオイル、ナツメグオイル、パチョリオイル、ペパーミントオイル、パインオイ
ル、ローズオイル、ローズヒップオイル、ローズマリーオイル、ユーカリオイル、ティー
ツリーオイル、ローズウッドオイル、サンダルウッドオイル、サッサフラスオイル、スペ
アミントオイル、ricinuscommunis(キャスター)シードオイル、ウィン
ターグリーンオイル;(18)リン脂質、例えば、レシチン及び誘導体;(19)ステロ
ール、例えば、コレステロール及びコレステロール脂肪酸エステル;(20)脂肪酸アミ
ド、エトキシル化脂肪酸アミド、及び固体脂肪酸アルカノールアミド、(21)ラノリン
、テオブロマカカオ(ココア)シードバター、ペトロラタム、ユーフォルビアセリフェラ
(キャンデリラ)ワックス、ハチミツ、ゲラニオール、メントール、カンファー、セチル
エステル、鉱油、サリチル酸、フェノール、パルミトイルイソロイシンのうちの1以上を 50
(117) JP 2022-529644 A 2022.6.23

含む。
【0369】
D.保湿剤
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、水溶性低分子量保湿剤、脂溶性
低分子量保湿剤、水溶性高分子量保湿剤、及び脂溶性高分子量保湿剤、ヒューメクタント
、及びそれらの組合せからなる群から選択される保湿剤を含む。
【0370】
 いくつかの実施形態では、保湿剤は、ヒューメクタントを含む。本明細書においては、
用語「ヒューメクタント」は、ものの湿った状態を維持するために使用される吸湿性物質
を意味する。ヒューメクタントは、近傍の空気中の水分を引き付け、吸収により保持し、 10
水蒸気を生物又は物体の表面の内部又は下部に引き込む。
【0371】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、ヒューメクタントとして、水溶
性絹フィブロインペプチドを含む。SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブ
ロインタンパク質断片に由来するアミノペプチドは、毛髪繊維によって容易に吸収され得
る。いくつかの実施形態では、水溶性絹フィブロインペプチドを毛髪ケア組成物に添加し
て、使用後の感触を高めることができる。いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限
定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片に由来するアミノ酸は、コンディ
ショニング剤として毛髪ケア組成物に添加され得る(例えば、湿った感触、柔らかさ、滑
らかさ、光沢などの優れた状態効果を発揮する目的で)。 20
【0372】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、ハチミツ、アロエベラ、アロエベラリー
フジュース、アロエベラ液汁、ソルビトール、尿素、乳酸、乳酸ナトリウム、ピロリドン
カルボン酸、トレハロース、マルチトール、アルファ−ヒドロキシ酸、ナトリウムピログ
ルタメート、ピロリドンカルボキシレート、N−アセチル−エタノールアミン、乳酸ナト
リウム、イソプロパノール、ポリアルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、トリエチレングリコール)、1,3−プロパンジオール、ジエチレング
リコールモノエチルエーテル、グリセリルココネート、ヒドロキシステアレート、ミリス
テート、オレエート、ナトリウムヒアルロネート、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、 30
リン脂質、コラーゲン、エラスチン、セラミド、レシチンソルビトール、PEG−4、及
びそれらの組合せからなる群から選択される1以上の更なるヒューメクタントを含み得る

【0373】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレング
リコール、グルタミン、マンニトール、ピロリドン−ナトリウムカルボキシレート(重合
度n=2以上)、ポリプロピレングリコール(重合度n=2以上)、ポリグリセリン(重
合度n=2以上)、乳酸、ラクテート、及びそれらの組合せからなる群から選択される多
価アルコールを、保湿剤として含む。 40
【0374】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、コレステロール及びコレステロ
ールエステルからなる群から選択される脂溶性低分子量保湿剤を含む。いくつかの実施形
態では、毛髪ケア組成物は、任意に、カルボキシビニルポリマー、ポリアスパルテート、
トラガカント、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース
、水溶性キチン、キトサン、及びデキストリンからなる群から選択される水溶性高分子量
保湿剤を含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、ポリビニルピロリ
ドン−エイコセンコポリマー、ポリビニルピロリドン−ヘキサデセンコポリマー、ニトロ
セルロース、デキストリン脂肪酸エステル、及び高分子シリコーンからなる群から選択さ 50
(118) JP 2022-529644 A 2022.6.23

れる脂溶性高分子量保湿剤を含む。
【0375】
 更なる好適な保湿剤としては、本質的に水溶性及び/又は水膨潤性であるポリマー保湿
剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸又はキトサンを保湿剤と組み合
わせて、それらの性質を向上させる。
【0376】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.
1重量%∼約30.0重量%で保湿剤を含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物
は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.5重量%∼約25.0重量%で保湿剤を含む
。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約1. 10
0重量%∼約20.0重量%で保湿剤を含む。
【0377】
E.着色剤
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、天然顔料及び染料、合成顔料及
び染料、レーキ、及びそれらの組合せから選択される染毛剤を含む。
【0378】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、グレープスキン顔料(grap
e skin pigment)、カーマイン色素、顔料オレンジルージュ、アントシア
ニン、カルミン酸、ベタシアニン、アマランチン、フラボノイド、バーベナハイブリダヘ
マトクロム、ベルベリン系顔料、ヒノキチオール、ビンロウ顔料、ケルセチン、ルチン、 20
ログウッド顔料、ヘンナタンニン、及びカテキン、クルクミン、カクタスフラビン、ロー
ズウッド顔料、ビキシン又はディクリーシングアナト(decreasing anna
tto)、サフランエキス、ソバエキス、クロシン、ゲニピン、ヘンナ(Lawsoni
a alba)、カモミール(Matricaria chamomila又はAnth
emis nobilis)、インジゴ、ガーデニア顔料、ガーデニアレッド、顔料、ガ
ーデニア酵素処理顔料、レーキ顔料、コチニール顔料、ブラジリン顔料、アナト顔料、タ
ーメリック顔料、ログウッド顔料、クルミ殻エキス、及びそれらの組合せから選択される
顔料及び色素を含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、D&C顔料
、FD&C顔料、HC Blue 2、HC Yellow 4、HC Red 3、D
isperse Violet 4、Disperse Black 9、HC Blu 30
e 7、HC Yellow 2、Disperse Blue 3、Disperse
バイオレット1、Citrus Red No.2(CAS No.6358−53−8
)、FD&C Yellow No.6(CAS No.2783−94−0)、FD&
C Yellow No.6 Lakes(CAS No.15790−07−5)、F
D&C Red No.40(CAS No.25956−17−6)、FD&C Re
d No.40 Lakes(CAS No.68583−95−9)、FD&C Ye
llow No.5(CAS No.1934−21−0)、FD&C Yellow 
No.5 Lakes(CAS No.12225−21−7)、Acid Red 1
8(CAS No.2611−82−7)、Orange B(CAS No.1513
9−76−1)、FD&C Green No.3(CAS No.2352−45−9 40
)、FD&C Blue No.1(CAS No.3844−45−9)、FD&C 
Blue No.1 Lakes(CAS No.68921−42−6)、FD&C 
Red No.3(CAS No.16423−68−0)、FD&C Red No.
3 Lakes(CAS No.12227−78−0)、FD&C Blue No.
2(CAS No.860−22−0)、FD&C Blue No.2 Alumin
um Lake(CAS No.16521−38−3)、Arianorダイベーシッ
クブラウン17、C.I.(カラーインデックス)−No.12,251;ベーシックレ
ッド76、CI.−12,245;ベーシックブラウン16、CI.−12,250;ベ
ーシックイエロー57、CI.−12,719及びベーシックブルー99、CI.−56
,059及び更なるダイレクトアクション染料、例えば、アシッドイエロー1、C.I. 50
(119) JP 2022-529644 A 2022.6.23

−10,316(D&Cイエローno.7);アシッドイエロー9、C.I.−13,0
15;ベーシックバイオレットC.I.−45,170;ディスパースイエロー3、C.
I.−11,855;ベーシックイエロー57、CI.−12,719;ディスパースイ
エロー1、CI.−10,345;ベーシックバイオレット1、CI.−42,535、
ベーシックバイオレット3、C.I.−42,555;グリーニッシュブルー、C.I.
−42090(FD&C Blue No.l);イエローイッシュレッド、C.I.−
14700(FD&Cレッドno.4);イエロー、CI.19140(FD&Cイエロ
ーno5);イエローイッシュオレンジ、CI.15985(FD&Cイエローno.6
);ブルーイッシュグリーン、C.I.42053(FD&Cグリーンno.3);イエ
ローイッシュレッド、CI.16035(FD&Cレッドno.40);ブルーイッシュ 10
グリーン、CI.61570(D&Cグリーンno.3);オレンジ、C.I.4537
0(D&Cオレンジno.5);レッド、CI.15850(D&Cレッドno.6);
ブルーイッシュレッド、CI.15850(D&Cレッドno.7);スライトリーブル
ーイッシュレッド、CI.45380(D&Cレッドno.22);ブルーイッシュレッ
ド、CI.45410(D&Cレッドno.28);ブルーイッシュレッド、CI.73
360(D&Cレッドno.30);レディッシュパープル、CI.17200(D&C
レッドno.33);ダーティブルーレッド、CI.15880(D&Cレッドno.3
4);ブライトイエローred、CI.12085(D&Cレッドno.36);ブライ
トオレンジ、CI.15510(D&Cオレンジno.4);グリーニッシュイエロー、
CI.47005(D&Cイエローno.10);ブルーイッシュグリーン、CI.59 20
040(D&Cグリーンno.8);ブルーイッシュバイオレット、CI.60730(
Ext.D&Cバイオレットno.2);グリーニッシュイエロー、CI.10316(
Ext.D&Cイエローno.7)、Acridine Orange C.I.460
05、金属酸化物、カーボンブラック、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、アゾ顔
料、及びキサンテン顔料、ニトロアリールアミン、アミノアントラキノン、アントラキノ
ン染料、ナフトキノン染料、金属酸化物被覆雲母、及びそれらの組合せから選択される合
成顔料及び染料を含む。
【0379】
 いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示されるように、絹フィブロイン断
片と、着色剤と、皮膚科学的に許容される担体とを含むヘアカラーリング組成物を提供す 30
る。いくつかの実施形態では、本開示は、対象の毛髪を本明細書に記載のヘアカラーリン
グ組成物と接触させることを含む、染色された対象の毛髪繊維の脱色を防止する方法を提
供する。
【0380】
 ヘアカラーリング組成物は、毛髪に長続きする、豊かな色合いの色を与えるように処方
されているものの、機械的及び環境的要因が、着色剤の喪失による色変化及び退色を加速
させ得る。ヘアカラーリングプロセスでは、毛髪の皮質とキューティクル領域への着色剤
の沈着によって毛髪繊維が染色される。時間が経つにつれて、毛幹の内側に付着した着色
剤が毛髪繊維の表面に向かって拡散し始め、洗浄時に水とより直接的に接触する。したが
って、退色の主な原因は、着色剤の拡散と毛髪の水との接触である。両方を洗うことは、 40
色分子の拡散速度を上昇させるだけでなく、最終的に毛髪から色分子を洗い流す。
【0381】
 本明細書に開示されるシルクヘアカラーリング組成物は、染色された髪の脱色の防止、
及び絹フィブロイン断片の膜形成性による向上した色送達効率という利点をもたらす。絹
フィブロイン断片は、毛髪繊維上に膜コーティングを形成し、以下に起因する着色剤の喪
失を遅らせると考えられる:(a)毛髪キューティクルのチャネルを満たして、着色剤の
毛髪表面への拡散経路を遮断する、及びii)着色剤に安定して付着することにより、繊
維表面への拡散又は着色分子の速度を遅くする。
【0382】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0. 50
(120) JP 2022-529644 A 2022.6.23

001重量%∼約6.0重量%で単一の着色剤を含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケ
ア組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.01重量%∼約2.0重量%で各着
色剤を含む。
【0383】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.
01重量%∼約15.0重量%の合計量で複数の着色剤を含む。いくつかの実施形態では
、毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.1重量%∼約10.0重量
%の合計量で複数の着色剤を含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、毛髪ケ
ア組成物の総重量に対して約0.5重量%∼約5.0重量%の合計量で複数の着色剤を含
む。 10
【0384】
F.フケ防止剤
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、フケ防止剤を含む。いくつかの
実施形態では、フケ防止剤は、粒子状金属ピリチオンの重金属塩、二硫化セレン、クロト
リマゾール、D−キシロース、粒子状硫黄、又はそれらの混合物を含む。いくつかの実施
形態では、粒子状金属ピリチオン塩の金属イオンは、亜鉛、スズ、カドミウム、マグネシ
ウム、アルミニウム、及びジルコニウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態
では、粒子状金属ピリチオンは、亜鉛ピリチオン、又は1−ヒドロキシ−2−ピリジンチ
オンの亜鉛塩である。いくつかの実施形態では、フケ防止剤は、D−キシロースである。
【0385】 20
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物中に存在するフケ防止剤の量は、毛髪ケア組
成物の総重量に対して約0.1重量%∼約4.0重量%である。いくつかの実施形態では
、毛髪ケア組成物中に存在するフケ防止剤の量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0
.1重量%∼約3.0重量%である。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物中に存在
するフケ防止剤の量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.3重量%∼約2.0重量
%である。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物中に存在するフケ防止剤の量は、毛
髪ケア組成物の総重量に対して約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0
.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0
.9重量%、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1
.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1 30
.9重量%、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2
.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2
.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3
.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3
.9重量%、約4.0重量%から選択される。
【0386】
G.粒子
 いくつかの実施形態では、シルク毛髪ケア組成物は、任意に、粒子を含み、前記粒子は
、高分子粒子、雲母、シリカ、泥、及び粘土を含み得る。シルク毛髪ケア組成物中の粒子
は、滑らかさ、摩擦の低減、滑りやすい感触の利点をもたらす一方で、毛髪を清潔で軽く 40
、風通しの良い状態に保ち、手及び/又は髪に広げたときに改善された感触を与える。
【0387】
 いくつかの実施形態では、シルクヘア組成物は、アニオン性及び/又は非イオン性及び
/又は双性イオン性ポリマーからなる群から選択されるポリマーから形成されるポリマー
粒子を含む。いくつかの実施形態では、シルクヘア組成物は、ポリスチレン、ポリビニル
アセテート、ポリジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルアク
リレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリ−2−エチルヘキシルメタクリレート
、6,12−ナイロン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、スチレン/酢酸ビニルコポリマー
、スチレン/トリメチルアミノエチルメタクリレートクロリコポリマー、及びそれらの組
合せからなる群から選択されるポリマーから形成されるポリマー粒子を含む。 50
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【0388】
 いくつかの実施形態では、シルクヘア組成物は、ポリエチレンホモポリマー、エチレン
−アクリル酸コポリマー、約6,000Da∼約12,000Daの範囲の分子量を有す
るポリアミドポリマー、ポリエチレン−酢酸ビニルコポリマー、シリコーン−合成ワック
スコポリマー、シリコーン−天然ワックスコポリマー、カンデリラ−シリコーンコポリマ
ー、オゾケライト−シリコーンコポリマー、合成パラフィンワックス−シリコーンコポリ
マー、及びそれらの組合せからなる群から選択される疎水性ポリマーから形成されるカチ
オン性ポリマー粒子を含む。
【0389】
 いくつかの実施形態では、シルクヘア組成物は、毛髪それ自体(hair body) 10
を強くし、ヘアスタイリングを助ける、毛髪表面に別個の粒子を沈着させるための膨潤し
たポリマー粒子を含む。いくつかの実施形態では、膨潤したポリマー粒子は、粒子状シリ
コーンポリマー及び表面アルキル化球状シリコン粒子からなる群から選択される。いくつ
かの実施形態では、膨潤したポリマー粒子を形成するシリコーンポリマーは、ポリジオル
ガノシロキサン、ポリモノオルガノシロキサン、及び架橋ポリジメチルシロキサン、ヒド
ロキシル又はメチルなどの末端基を有していてもよい架橋ポリモノメチルシロキサン、及
び架橋ポリジメチルシロキサン(DC2−9040シリコーン液(Dow Cornin
g))からなる群から選択される。ポリジソルガノシロキサン(polydisorga
nosiloxanes)は、好ましくは、R3SiO0.5繰り返し単位とR2SiO
繰り返し単位の好適な組合せから誘導される。ポリモノオルガノシロキサンはR1SiO 20
1.5から誘導される。各Rは、独立して、アルキル、アルケニル(例えば、ビニル)、

アルカリル、アラルキル、又はアリール(例えば、フェニル)基を表す。いくつかの実施
形態では、Rはメチル基である。
【0390】
 いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、1000nm未満のメジアン粒子サイズを
有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、約5nm∼約600
nmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、約10
nm∼約500nmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー
粒子は、約10nm∼約400nmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態
では、ポリマー粒子は、約20nm∼約300nmのメジアン粒子サイズを有する。いく 30
つかの実施形態では、ポリマー粒子は、約50nm∼約600nmのメジアン粒子サイズ
を有する。
【0391】
 いくつかの実施形態では、シルクヘア組成物は、本明細書に開示されるように、皮膚科
学的に許容される担体中に分散液又は懸濁液を形成する粘土粒子を含む。本明細書全体を
通して、用語「粘土」は、水と混合すると塑性になる細粒の土の材料を意味することが意
図される。粘土は、天然、合成、又は化学的に修飾された粘土であり得る。粘土は、不純
物(例えば、少量のカリウム、ナトリウム、マグネシウム、又は鉄)を含む含水ケイ酸ア
ルミニウムを含む。
【0392】 40
 一実施形態では、粘土は、38.8%∼98.2%のSiO2及び0.3%∼38.0
%のAl2O3を含む材料であり、更に、Fe2O3、CaO、MgO、TiO2、Zr
O2、Na2O、及びK2Oから選択される金属酸化物の1以上を含む。いくつかの実施
形態では、粘土は、八面体配位のアルミニウム、マグネシウム、若しくは鉄、又は四面体
配位のシリコンの含水シートを含む層状構造を有する。
【0393】
 一実施形態では、粘土は、カオリン、タルク、2:1フィロケイ酸塩、1:1フィロケ
イ酸塩、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト(ベントナイトとしても知られ
る)、ヘクトライト、ボルコンコイト、ノントロナイト、サポナイト、バイデライト、ソ
ーコナイト、及びそれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、粘土は、 50
(122) JP 2022-529644 A 2022.6.23

カオリン又はベントナイトである。いくつかの実施形態では、粘土は、合成ヘクトライト
である。別の実施形態では、粘土は、ベントナイトである。
【0394】
 いくつかの実施形態では、粘土は、約0.7meq/100g∼約150meq/10
0gのカチオン交換容量を有する。いくつかの実施形態では、粘土は、約30meq/1
00g∼約100meq/100gのカチオン交換容量を有する。
【0395】
 いくつかの実施形態では、シルク毛髪ケア組成物は、任意に、本明細書に開示される、
カチオン性に帯電したヘアコンディショニング剤と静電的に複合体を形成したアニオン性
に帯電した粘土を有する複合粒子を含む。 10
【0396】
 市販の合成ヘクトライトとしては、商品名Laponite(登録商標)RD、Lap
onite(登録商標)RDS、Laponite(登録商標)XLG、Laponit
e(登録商標)XLS、Laponite(登録商標)D、Laponite(登録商標
)DF、Laponite(登録商標)DS、Laponite(登録商標)S、及びL
aponite(登録商標)JS(Southern Clay products,T
exas,USA)で販売されているものが挙げられる。市販のベントナイトとしては、
商品名Gelwhite(登録商標)GP、Gelwhite(登録商標)H、Gelw
hite(登録商標)L、Mineral Colloid(登録商標)BP、Mine
ral Colloid(登録商標)MO、Gelwhite(登録商標)MAS 10 20
0 (sc)、Gelwhite(登録商標)MAS 101、Gelwhite(登録
商標)MAS 102、Gelwhite(登録商標)MAS 103、Bentoli
te(登録商標)WH、Bentolite(登録商標)L10、Bentolite(
登録商標)H、Bentolite(登録商標)L、Permont(登録商標)SX1
0A、Permont(登録商標)SC20、及びPermont(登録商標)HN24
(Southern Clay Products,Texas,USA);Bento
ne(登録商標)EW及びBentone(登録商標)MA(Dow Corning)
;並びにBentonite(登録商標)USP BL 670及びBentolite
(登録商標)H4430(Whitaker、Clarke & Daniels)で販
売されているものが挙げられる。 30
【0397】
 毛髪への良好な沈着及び安定した配合物を達成するためには、粒子は、約1μm∼約1
00μmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約2μm∼
約50μmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約2μm
∼約20μmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約4μ
m∼約10μmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約1
μm、約1.1μm、約1.2μm、約1.3μm、約1.4μm、約1.5μm、約1
.6μm、約1.7μm、約1.8μm、約1.9μm、約2.0μm、約2.1μm、
約2.2μm、約2.3μm、約2.4μm、約2.5μm、約2.6μm、約2.7μ
m、約2.8μm、約2.9μm、約3.0μm、約3.1μm、約3.2μm、約3. 40
3μm、約3.4μm、約3.5μm、約3.6μm、約3.7μm、約3.8μm、約
3.9μm、約4.0μm、約4.1μm、約4.2μm、約4.3μm、約4.4μm
、約4.5μm、約4.6μm、約4.7μm、約4.8μm、約4.9μm、約5.0
μm、約5.1μm、約5.2μm、約5.3μm、約5.4μm、約5.5μm、約5
.6μm、約5.7μm、約5.8μm、約5.9μm、約6.0μm、約6.1μm、
約6.2μm、約6.3μm、約6.4μm、約6.5μm、約6.6μm、約6.7μ
m、約6.8μm、約6.9μm、約7.0μm、約7.1μm、約7.2μm、約7.
3μm、約7.4μm、約7.5μm、約7.6μm、約7.7μm、約7.8μm、約
7.9μm、約8.0μm、約8.1μm、約8.2μm、約8.3μm、約8.4μm
、約8.5μm、約8.6μm、約8.7μm、約8.8μm、約8.9μm、約9.0 50
(123) JP 2022-529644 A 2022.6.23

μm、約9.1μm、約9.2μm、約9.3μm、約9.4μm、約9.5μm、約9
.6μm、約9.7μm、約9.8μm、約9.9μm、及び約10.0μmから選択さ
れるメジアン粒子サイズを有する。
【0398】
 いくつかの実施形態では、カチオン性に帯電したヘアコンディショニング剤の、粘土に
対する重量比は、0.05:1∼20:1である。いくつかの実施形態では、カチオン性
に帯電したヘアコンディショニング剤の、粘土に対する重量比は、0.1:1∼10:1
である。いくつかの実施形態では、カチオン性に帯電したヘアコンディショニング剤の、
粘土に対する重量比は、0.2:1∼5:1である。いくつかの実施形態では、カチオン
性に帯電したヘアコンディショニング剤の、粘土に対する重量比は、0.05:1、0. 10
1:1、0.2:1、0.5:1、0.75:1、1:1、1.5:1、2:1、2.5
:1、3:1、3.5:1、4.0:1、4.5:1、5.0:1、5.5:1、6.0
:1、6.5:1、7.0:1、7.5:1、8.0:1、8.5:1、9.0:1、9
.5:1、10.0:1、10.5:1、11.0:1、11.5:1、12.0:1、
12.5:1、13.0:1、13.5:1、14.0:1、14.5:1、15.0:
1、15.5:1、16.0:1、16.5:1、17.0:1、17.5:1、18.
0:1、18.5:1、19.0:1、19.5:1、及び20.0:1から選択される

【0399】
 いくつかの実施形態では、粒子は、シルク毛髪ケア組成物中、シルク毛髪ケア組成物の 20
総重量に対して約0.01重量%∼約10.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する
。いくつかの実施形態では、粒子は、シルク毛髪ケア組成物中、シルク毛髪ケア組成物の
総重量に対して約0.1重量%∼約10.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。
いくつかの実施形態では、粒子は、シルク毛髪ケア組成物中、シルク毛髪ケア組成物の総
重量に対して約0.1重量%∼約2.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いく
つかの実施形態では、粒子は、シルク毛髪ケア組成物中、シルク毛髪ケア組成物の総重量
に対して約1.0重量%∼約9.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつか
の実施形態では、粒子は、シルク毛髪ケア組成物中、シルク毛髪ケア組成物の総重量に対
して約1.0重量%∼約5.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実
施形態では、粒子は、シルク毛髪ケア組成物中、シルク毛髪ケア組成物の総重量に対して 30
約0.01重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%
、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%
、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%
、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%
、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%
、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%
、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%
、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%
、約4.0重量%、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約4.4重量%
、約4.5重量%、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量% 40
、約5.0重量%、約5.1重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、約5.4重量%
、約5.5重量%、約5.6重量%、約5.7重量%、約5.8重量%、約5.9重量%
、約6.0重量%、約6.1重量%、約6.2重量%、約6.3重量%、約6.4重量%
、約6.5重量%、約6.6重量%、約6.7重量%、約6.8重量%、約6.9重量%
、約7.0重量%、約7.1重量%、約7.2重量%、約7.3重量%、約7.4重量%
、約7.5重量%、約7.6重量%、約7.7重量%、約7.8重量%、約7.9重量%
、約8.0重量%、約8.1重量%、約8.2重量%、約8.3重量%、約8.4重量%
、約8.5重量%、約8.6重量%、約8.7重量%、約8.8重量%、約8.9重量%
、約9.0重量%、約9.1重量%、約9.2重量%、約9.3重量%、約9.4重量%
、約9.5重量%、約9.6重量%、約9.7重量%、約9.8重量%、約9.9重量% 50
(124) JP 2022-529644 A 2022.6.23

、及び約10.0重量%から選択される重量パーセントで存在する。
【0400】
 いくつかの実施形態では、シルク毛髪ケア組成物は、特により大きなサイズの粒子の粒
子分散安定性を維持するために、コロイド安定剤を任意に含む。好適なコロイド安定剤は
、プロピレンオキシド−エチレンオキシドコポリマー又はエチレンオキシド−プロピレン
オキシドグラフト化ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレン(20∼80ユニットPO
E)イソオクチルフェニルエーテル、脂肪族アルコールエトキシレート、ポリビニルピロ
リドンを含むポリエトキシル化ポリテレフタレートブロックコポリマー、ビニルピロリド
ン繰り返し単位を含むコポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0401】 10
3)皮膚科学的に許容される担体
I.エマルジョン担体
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、皮膚科学的に許容される担体としてエマ
ルジョンを含む。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、従来のエマ
ルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、マ
イクロエマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される
担体は、油中水型エマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に
許容される担体は、水中油型エマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮
膚科学的に許容される担体は、ナノエマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態で
は、皮膚科学的に許容される担体は、シリコーン油中水型エマルジョンとして存在する。 20
いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容される担体は、水中シリコーン油型エマルジ
ョンとして存在する。
【0402】
 本明細書においては、従来のエマルジョンは、1つの連続相及び1つの分散相を有し、
これは、界面活性剤によるコーティングにより安定化された非常に小さな球体として存在
する。連続相の性質に応じて、エマルジョンは、水中油型又は油中水型として記述される
。これらのエマルジョンは、理想的な場合には速度論的に安定している。即ち、無限には
ないが、長期間保持される。特に温度変動時には、沈降、クリーミング、増粘、又は凝集
の結果として相分離する傾向がある。
【0403】 30
 本明細書においては、マイクロエマルジョンは、熱力学的に安定であり、等方性であり
、流体であり、油性成分、水性成分、及び界面活性剤の3成分を有する三元系を含む光学
的に透明な単一液相である。マイクロエマルジョンは、界面活性剤、又はより多くの場合
、界面活性剤と共界面活性剤の混合物が、油/水界面張力を非常に低い値、多くの場合、
3 9 4 6
10 ∼10 、好ましくは10 ∼10 N/mの範囲に低下させ、2つの不溶性相は
、熱攪拌の結果として、それ自体が均一に分散された状態になる。マイクロエマルジョン
は、平衡領域(いわゆる、サブフェーズ)を有する双連続構造(bicontinuou
s structures)が、100∼1000オングストロームのオーダーであるこ
とが多い。マイクロエマルジョンは、油がミセルによって可溶化されるO/W(水中油)
型のマイクロエマルジョンの1つの状態、又は水相と油相の両方が連続構造を有するよう 40
に界面活性剤分子の会合の数が無限になる双連続マイクロエマルジョンのいずれかを意味
する。
【0404】
 性質については、マイクロエマルジョンは透明又は半透明に見え、全ての配合成分及び
コンポーネントが、その中に均一に溶解している単相状態の溶液として存在し得る。
【0405】
 製造プロセスに関わらず、マイクロエマルジョンは、同一の配合成分を有し、同一温度
で調製されると、同一の状態になることがある。したがって、前記の3成分(油、水、及
び界面活性剤)及び残りの成分は、必要に応じて任意の順序で添加及び混合することがで
き、任意の力で機械力を使用して攪拌し、結果として実質的に同一の状態(外観、粘度、 50
(125) JP 2022-529644 A 2022.6.23

使用感など)を有するマイクロエマルジョンを生成することができる。
【0406】
 双連続マイクロエマルジョンは、水相と油相の2つの相を、広がり隣接し絡み合ったド
メインの形態で含み、その界面で、安定化界面活性界面活性剤(stabilizing
 interface−active surfactants)が単分子層として濃縮
されている。個々の成分、水、油、及び好適な乳化剤系が混合されると、通常、非常に低
い界面張力のために、双連続マイクロエマルジョンが非常に容易に形成される。ドメイン
は、少なくとも一次元でナノメートルオーダーの非常に小さな広がりしか有しないため、
マイクロエマルジョンは視覚的に透明に見え、使用される乳化剤系に応じて、熱力学的、
即ち、無限に、特定温度範囲で安定である。 10
【0407】
 本明細書においては、用語ナノエマルジョンは、それらのナノ粒子サイズ、1000n
m未満のために透明又は半透明の外観を示すエマルジョンを意味する。
【0408】
A.乳化剤系
 乳化剤(例えば、界面活性剤)は、互いに混和しない液相、多くの場合、水と非極性の
有機相との間の界面張力を低下させて、それらの相互溶解度を高める物質である。界面活
性剤は、少なくとも1つの親水性及び1つの疎水性構造単位の特徴的な構造上の特徴を有
する。この構造上の特徴は、両親媒性とも称される。
【0409】 20
 アニオン性、カチオン性、両親媒性、及び非イオン性の各界面活性剤は、水及び油性物
質の乳化による乳化化粧品材料の製造用の乳化剤として従来から使用されている。しかし
、合成界面活性剤は皮膚表面組織の破壊に関わり、体内に入ると、肝臓損傷の原因となる
ため、その高い安全性から、天然タンパク質ベースの乳化剤を含む多くの天然由来のタン
パク質ベースの乳化剤が使用されている。
【0410】
 タンパク質ベースの乳化剤を使用して得られる乳化化粧品材料は、一般に、使用時に柔
らかくしっとりとした感触を有するが、完成品は、崩れ感があり、広がりがないことが多
い。化粧品に使用される乳化剤の重要な要素としては、安全性及び乳化力だけでなく、使
用時の感触も含む。本開示は、本明細書に開示される毛髪ケア組成物用の乳化担体を安定 30
化するための乳化剤(以下、シルク乳化剤)としてのSPF、例えば、限定するものでは
ないが、絹フィブロインタンパク質断片の使用を提供する。
【0411】
(i)シルク乳化剤
 実施形態では、毛髪ケア組成物は、乳化剤系内にシルク乳化剤を有する担体として、エ
マルジョンを含む。
【0412】
 絹フィブロインは、高分子量のポリマーの主成分を占める大きな疎水性ドメインを有す
る両親媒性ポリマーである。疎水性領域は、小さい親水性スペーサによって中断されてお
り、鎖のN末端とC末端も非常に親水性である。H鎖の疎水性ドメインは、Gly−Al 40
a−Gly−Ala−Gly−Serの繰り返しヘキサペプチド配列と、Gly−Ala
/Ser/Tyrジペプチドの繰り返しを含み、これにより、安定な逆平行シート結晶体
を形成することができる。L鎖のアミノ酸配列は非反復性であるため、L鎖はより親水性
で比較的弾力性がある。絹フィブロイン分子の親水性(Tyr,Ser)及び疎水性(G
ly,Ala)鎖セグメントは、絹フィブロイン分子の自己組織化が可能となるように交
互に配される。
【0413】
 いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、高HLB値を有する低分子とを含
む。疎水性反復基の組成は、親水性−Ser−ごとに1つのペンタペプチド−Gly−A
la−Gly−Ala−Gly−であり、絹フィブロインタンパク質の親水性−疎水性バ 50
(126) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ランス(HLB)は、高HLB値(即ち、>10)を有する親水性分子の添加により作製
された親水性環境において、7.95∼16.74の範囲に変更することができる。SP
F、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片のHLB値の前記
範囲は、O/W型エマルジョンからW/O型エマルジョンまでの広範囲のエマルジョンの
調製を可能にする。いくつかの実施形態では、高HLB値を有する親水性分子は、グリセ
ロール(HLB11.28)、ブタンテトラオール(HLB12.7)、キシリトール(
HLB14.13)、D−ソルビトール(HLB15.55)、イノシトール(HLB1
6.74)、ヒアルロン酸、ヒアルロネート、カラギーナン、プルラン、アルギン酸、ア
ルギネート、微生物エキソポリサッカライド、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、グリ
コサミノグリカン、グルコマンナン、及びそれらの組合せを含む多糖からなる群から選択 10
される。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤及びグリセロールを含む。
【0414】
 いくつかの実施形態では、シルク乳化剤及び高HLB値を有する親水性分子は、1:1
∼1:10のシルク乳化剤対親水性分子の重量比でエマルジョン担体に含有される。いく
つかの実施形態では、シルク乳化剤及び高HLB値を有する親水性分子は、1:1、1:
1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、
1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、
1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、1:3.0、1:3.
1、1:3.2、1:3.3、1:3.4、1:3.5、1:3.6、1:3.7、1:
3.8、1:3.9、1:4、1:4.1、1:4.2、1:4.3、1:4.4、1: 20
4.5、1:4.6、1:4.7、1:4.8、1:4.9、1:5.0、1:5.1、
1:5.2、1:5.3、1:5.4、1:5.5、1:5.6、1:5.7、1:5.
8、1:5.9、1:6、1:6.1、1:6.2、1:6.3、1:6.4、1:6.
5、1:6.6、1:6.7、1:6.8、1:6.9、1:7、1:8、1:9、及び
1:10から選択されるシルク乳化剤対親水性分子の重量比でエマルジョン担体に含有さ
れる。いくつかの実施形態では、シルク乳化剤及び高HLB値を有する親水性分子は、1
:1のシルク乳化剤対親水性分子の重量比でエマルジョン担体に含有される。いくつかの
実施形態では、乳化剤系は、シルク乳化剤及びグリセロールを、1:1∼1:3のシルク
乳化剤対グリセロールの重量比で含む。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、シルク乳
化剤及びグリセロールを、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、 30
1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、
1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.
8、1:2.9、1:3.0から選択されるシルク乳化剤対グリセロールの重量比で含む

【0415】
 実施形態では、本開示は、前記したように、SPF、例えば、限定するものではないが
、絹フィブロインタンパク質ベースの断片の水溶液又はエマルジョン担体用の乳化剤(以
下、シルク乳化剤)としての、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロイ
ンタンパク質ベースの断片の水性ゲルを提供する。SPF、例えば、限定するものではな
いが、絹フィブロインタンパク質ベースの断片の水溶液又はSPF、例えば、限定するも 40
のではないが、絹フィブロインタンパク質ベースの断片の水性ゲルを油性成分と混合し、
SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質ベースの断片の水
溶液又は水性ゲル中の水と、油性成分との間の均一な乳化を達成することができる。
【0416】
 いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、乳化剤として使
用される絹フィブロインタンパク質断片は、約5kDa超の重量平均分子量を有する。い
くつかの実施形態では、乳化剤として使用される絹フィブロインタンパク質は、約5kD
a∼約350kDaの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤として
使用される絹フィブロインタンパク質は、約20kDa∼約80kDaの重量平均分子量
を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤として使用される絹フィブロインタンパク質 50
(127) JP 2022-529644 A 2022.6.23

は、約40kDa∼約60kDaの重量平均分子量を有する。他の実施形態では、本明細
書に記載の任意の絹フィブロイン断片を、乳化剤として使用することができる。
【0417】
 いくつかの実施形態では、エマルジョン担体中に存在するシルク乳化剤の量は、エマル
ジョン担体の総重量に対して約0.1重量%∼約15.0重量%である。いくつかの実施
形態では、エマルジョン担体中に存在するシルク乳化剤の量は、エマルジョン担体の総重
量に対して約0.75重量%∼約10.0重量%である。いくつかの実施形態では、エマ
ルジョン担体中に存在するシルク乳化剤の量は、約0.1重量%、約0.2重量%、約0
.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0
.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.25重量%、約1.50重量%、 10
約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重
量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4.
0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5.0重量%、約
5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重量%、約6.25重量
%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.25重量%、約8.5
重量%、約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9
.75重量%、約10.0重量%、約10.25重量%、約10.5重量%、約10.7
5重量%、約11.0重量%、約11.25重量%、約11.5重量%、約11.75重
量%、約12.0重量%、約12.25重量%、約12.50重量%、約12.75重量
%、約13.0重量%、約13.25重量%、約13.50重量%、約13.75重量% 20
、約14.0重量%、約14.25重量%、約14.50重量%、約14.75重量%、
及び約15.0重量%からなる群から選択される。
【0418】
 水溶液中の絹タンパク質は、高分子量であると、振動又は攪拌のせん断によってより容
易にフィブリル化する傾向がある。フィブリル化タンパク質は、水不溶性の塊からなり、
化粧品材料の使用時の心地よさ低下させる。
【0419】
 いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロイン
タンパク質断片は、より親水性の環境とするために高HLB値を有する親水性物質とブレ
ンドされ、係る親水性物質としては、絹フィブロイン溶液のゲル化を防ぐグリセロール、 30
ブタンテトラオール、キシリトール、D−ソルビトール、イノシトールポリエチレングリ
コール、ポリエチレンオキシド、ポリ乳酸、セルロース、キチン、及びポリビニルアルコ
ールが挙げられる。ランダムコイルからβシート構造(フィブリレート)へのフィブロイ
ンの形状変化を防ぐことが重要である。
【0420】
 いくつかの実施形態では、HLB値>10を有するスクロース脂肪エステルベースの乳
化剤が、絹フィブロインタンパク質の乳化効率を高めるために、乳化安定剤として絹フィ
ブロインタンパク質に添加される。
【0421】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物の乳化系は、スクロース脂肪酸エステルベー 40
スの乳化剤、及び絹フィブロインタンパク質の水溶液又は絹フィブロインタンパク質の水
性ゲルを含み得る。
【0422】
 いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロイン
タンパク質断片を含む水溶液又は水性ゲルは、毛髪ケア組成物の共乳化剤として使用する
ことができ、絹タンパク質の水溶液又はゲルは、未洗浄(unscoured)、部分洗
浄(partially scoured)、又は洗浄済み(scoured)の紡績カ
イコ繊維(繭フィラメント)を中性塩(例えば、臭化リチウム)で
溶解することによって得られる。
【0423】 50
(128) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 いくつかの実施形態では、スクロース脂肪酸エステルは、スクロースパルミテート及び
スクロースラウレートエステルである。
【0424】
 いくつかの実施形態では、絹タンパク質は、向上した乳化効率を有する毛髪ケア組成物
のための界面活性剤として使用することができる。いくつかの実施形態では、リン脂質(
例えば、レシチン)を使用して、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロ
インタンパク質断片に由来する共乳化剤と複合体を形成させ、その乳化力(界面活性剤の
効率)を高めることができる。
【0425】
 いくつかの実施形態では、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロイン 10
タンパク質断片ベースの乳化剤を使用して得られたマイクロエマルジョンを含む毛髪ケア
組成物は、一般に、使用時に、良好な展延性、滑らかで湿った感触を有する。
【0426】
(ii)乳化剤としての更なる界面活性剤
 いくつかの実施形態では、シルク毛髪ケア組成物用のエマルジョン担体は、共乳化剤と
して1以上のイオン性界面活性剤を更に含むことができる。
【0427】
 イオン性界面活性剤は、水溶液中で電荷を有するようにイオン化される界面活性剤であ
り、電荷の種類に応じて、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又はアニオン性界面
活性剤に分類される。アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤、又はアニオン性界面活性 20
剤とカチオン性界面活性剤を水溶液中で混合すると、油に対する界面張力が低下する。
【0428】
 両性界面活性剤は、少なくとも1つのカチオン性官能基及び1つのアニオン性官能基を
有し、溶液が酸性の場合はカチオン性であり、溶液がアルカリ性の場合はアニオン性であ
り、等電点付近で非イオン性界面活性剤と同様の特性を呈する。
【0429】
 両性界面活性剤は、アニオン性基の種類により、カルボン酸型、硫酸エステル型、スル
ホン酸型、リン酸型に分類される。本開示の場合、カルボン酸型、硫酸エステル型、及び
スルホン酸型が好ましい。カルボン酸型は、更にアミノ酸型とベタイン型に分類される。
特に好ましいのは、ベタイン型である。 30
【0430】
 具体的な例としては、イミダゾリン型両性界面活性剤(例えば、2−ウンデシル−1−
ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチル−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾリウムナト
リウム塩及び1−[2−(カルボキシメトキシ)エチル]−1−(カルボキシメチル)−
4,5−ジヒドロ−2−ノルココアルキルイミダゾリウムヒドロキシド二ナトリウム塩)
;及びベタイン型界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ア
ルキルベタイン、アミドベタイン、及びスルホベタイン)が挙げられる。
【0431】
 カチオン性界面活性剤の例としては、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステア 40
リルトリメチルアンモニウムクロリド、ベネニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘ
ニルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアン
モニウムクロリド、及びセチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートなどの四級ア
ンモニウム塩が挙げられる。他の例としては、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド
、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド
、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド
、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベ
ヘン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステ
アリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、
パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミ 50
(129) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミ
ド、及びベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミドなどのアミドアミン化合物が挙げられる

【0432】
 いくつかの実施形態では、シルク毛髪ケア組成物用の乳化剤系は、1以上のアニオン性
界面活性剤を更に含み得る。アニオン性界面活性剤は、脂肪酸石鹸、N−アシルグルタメ
ート、及びアルキルエーテルアセテートなどのカルボキシレート型、α−オレフィンスル
ホネート、アルカンスルホネート、及びアルキルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸
型、高級アルコール硫酸エステル塩及びリン酸エステル塩などの硫酸エステル型に分類さ
れる。カルボン酸塩型、スルホン酸型、及び硫酸エステル塩型が好ましく、特に好ましく 10
は、硫酸エステル塩型である。
【0433】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物用のアニオン性界面活性剤は、高級アルキル
硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びラウリル硫酸カリウム);アルキ
ルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE−トリエタノールアミンラウリルサルフェー
ト及びナトリウムPOE−ラウリルサルフェート);N−アシルサルコシン酸(例えば、
ナトリウムラウロイルサルコシネート);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、ナト
リウムN−ミリストイルN−メチルタウレート、ナトリウムN−ココイル−N−メチルタ
ウレート、及びナトリウムジャウロイルメチルタウレート(Sodium jauroy
lmethyl taurate);リン酸エステル塩(例えば、ナトリウムPOE−オ 20
レイルエーテルホスフェート及びPOEステアリルエーテルリン酸);スルホスクシネー
ト(例えば、ナトリウムジ−2−エチルヘキシルスルホスクシネート、ナトリウムモノラ
ウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホスクシネート、及びナトリウム
ラウリルポリプロピレングリコールスルホスクシネート);アルキルベンゼンスルホネー
ト(例えば、ナトリウム線状ドデシルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミン線状
ドデシルベンゼンスルホネート、線状ドデシルベンゼンスルホネート、及び線状ドデシル
ベンゼンスルホン酸);高級脂肪酸エステルサルフェート(例えば、水素化ココナッツオ
イル脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム);N−アシルグルタメート(例えば、モノナトリ
ウムN−ラウロイルグルタメート、二ナトリウムN−ステアロイルグルタメート、及びナ
トリウムN−ミリストイル−L−グルタメート);硫酸化油(例えば、ターキーレッドオ 30
イル);POE−アルキルエーテルカルボン酸;POE−アルキルアリールエーテルカル
ボキシレート;α−オレフィンスルホネート;高級脂肪酸エステルスルホネート;sec
−アルコールサルフェート;高級脂肪酸アルキルアミドサルフェート;ナトリウムラウロ
イルモノエタノールアミンスクシネート;ジトリエタノールアミンN−パルミトイルアス
パルテート;及びカゼインナトリウムからなる群から選択される。
【0434】
 いくつかの実施形態では、シルク毛髪ケア組成物用の乳化剤系は、共乳化剤として1以
上の非イオン性界面活性剤を更に含み得る。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、8.
9∼14のHLB値を有する。HLBが7のときの、水への溶解度及び油への溶解度のバ
ランスが一般に知られている。即ち、本開示に好ましい界面活性剤は、油/水中で中程度 40
の溶解度を有する。
【0435】
 非イオン性界面活性剤は、以下を含み得る:(1)ポリエチレンオキシドエクステンデ
ィッド(extended)ソルビタンモノアルキレート(例えば、ポリソルベート);
(2)ポリアルコキシル化アルカノール;(3)ポリアルコキシル化アルキルフェノール
(少なくとも約14のHLB値を有するポリエトキシル化オクチル又はノニルフェノール
を含み、これらは、ICONOL(登録商標)及びTRITON(登録商標)の商品名で
市販されている);(4)ポロキサマー(polaxamers)。エチレンオキシド(
EO)とプロピレンオキシド(PO)のブロックコポリマーに基づく界面活性剤も効果的
であり得る。EO−PO−EOブロック及びPO−EO−POブロックの両方が、HLB 50
(130) JP 2022-529644 A 2022.6.23

が少なくとも約14、好ましくは少なくとも約16である限り、十分に機能すると予想さ
れる。そのような界面活性剤は、PLURONIC(登録商標)及びTETRONIC(
登録商標)(BASF)の商品名で市販されている;(5)ポリアルコキシル化エステル
:エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどのポリアルコキシル化
グリコールは、部分的又は完全にエステル化され得る、即ち、1以上のアルコールが、(
C8∼C22)アルキルカルボン酸でエステル化され得る。少なくとも約14、好ましく
は少なくとも約16のHLBを有する係るポリエトキシル化エステルは、本開示の組成物
における使用に好適であり得る;(6)アルキルポリグルコシド。これは、(C8∼C1
6)アルキル鎖長を有するグルコポン425を含む;(7)高HLB値を有するスクロー
ス脂肪酸エステル(8∼18):スクロースココエート、スクロースジラウレート、スク 10
ロースジステアレート、スクロースヘキサエルケート、スクロースヘキサオレエート/ヘ
キサパルミテート/ヘキサステアレート、スクロースヘキサパルミテート、スクロースラ
ウレート、スクロースミリステート、スクロースペンタエルケート、スクロースポリベヘ
ネート、スクロースポリコットンシーデート、スクロースポリラウレート、スクロースポ
リリノレエート、スクロースポリオレエート、スクロースポリパルメート、スクロースポ
リソイエート、スクロースポリステアレート、スクロースリノオレエート、スクロースス
テアレート、スクローステトライソステアレート、スクローストリラウレート。
【0436】
 いくつかの実施形態では、乳化剤系は、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタ
ンモノオレエートモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレートモノイソステアレー 20
ト、ソルビタンモノラウレートモノラウレート、ソルビタンモノパルミテートモノパルミ
テート、ソルビタンモノステアレートモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、
ソルビタントリオレエート、ジグリセリルソルビタンペンタ−2−エチルヘキシレート、
ジグリセリルソルビタンテトラ−2−エチルヘキシレート);グリセリル及びポリグリセ
リル脂肪酸(例えば、モノコットンシードオイル脂肪酸グリセリン、グリセリルモノエル
ケート、グリセリルセスキオレエート、グリセリルモノステアレート、α,α'−グリセ
リルオレエートピログルタメート、モノステアレートグリセリルリンゴ酸);プロピレン
グリコール脂肪酸エステル(例えば、プロピレングリコールモノステアレート);硬化ヒ
マシ油誘導体;グリセリルアルキルエーテル、及びそれらの組合せからなる群から選択さ
れる親油性非イオン性界面活性剤を含む。 30
【0437】
 いくつかの実施形態では、乳化剤系は、POE−ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、
POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソ
ルビタンモノオレエート、及びPOE−ソルビタンテトラオレエート);POEソルビト
ール脂肪酸エステル(例えば、POEソルビトールモノラウレート、POE−ソルビトー
ルモノオレエート、POE−ソルビトールペンタオレエート、及びPOE−ソルビトール
モノステアレート);POE−グリセリル脂肪酸エステル(例えば、POE−グリセリル
モノステアレート、POE−グリセリルモノイソステアレート、及びPOEグリセリング
リセリルトリイソステアレートなどのPOE−モノオレエート);POE−脂肪酸エステ
ル(例えば、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、及びエチレングリコ 40
ールジステアレート);POE−アルキルエーテル(例えば、POE−ラウリルエーテル
、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル
、POE2−オクチルドデシルエーテル、及びPOE−コレスタノールエーテル);プル
アロニクス(pluaronics)(例えば、プルアロニック(pluaronic)
);POE−POP−アルキルエーテル(例えば、POE−POP−セチルエーテル、P
OE−POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE−POP−モノブチルエーテル、
POE−POP−ラノリン水和物、及びPOE−POPグリセリングリセリルエーテル)
;テトラPOE−テトラPOP−エチレンジアミノ濃縮物(例えば、テトロニック);P
OE−ヒマシ油水素化ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−水素化ヒマ
シ油、POE−水素化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−水素化ヒマシ油トリイソ 50
(131) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ステアレート、POE−水素化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエ
ステル、及びPOE−水素化ヒマシ油マレイン酸);POE−ミツロウラノリン誘導体(
例えば、POE−ソルビトールミツロウ);アルカノールアミド(例えば、パーム油脂肪
酸ジエタノールアミド、ラウレートモノエタノールアミド、及び脂肪酸イソプロパノール
アミド);POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE−アルキルアミン;P
OE−脂肪酸アミド;スクロース脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキ
シド;及びトリオレイルリン酸からなる群から選択される親水性非イオン性界面活性剤を
含む。
【0438】
 いくつかの実施形態では、乳化剤系は、モノグリセロール誘導体及び/又はジグリセロ 10
ール誘導体を含む。具体例としては、モノグリセロールモノオクタノエート、モノオクチ
ルモノグリセリルエーテル、モノグリセロールモノノナノエート、モノノニルモノグリセ
リルエーテル、モノグリセロールモノデカノエート、モノデシルモノグリセリルエーテル
、モノグリセロールモノウンデシレネート、モノウンデシレニルグリセリルエーテル、モ
ノグリセロールモノドデカノエート、モノドデシルモノグリセリルエーテル、モノグリセ
ロールモノテトラデカノエート、モノグリセロールモノヘキサデカノエート、モノグリセ
ロールモノオレエート、及びモノグリセロールモノイソステアレート、並びにジグリセロ
ールモノオクタノエート、モノオクチルジグリセリルエーテル、ジグリセロールモノノナ
ノエート、モノノニルジグリセリルエーテル、ジグリセロールモノデカノエート、モノデ
シルジグリセリルエーテル、ジグリセロールモノウンデシレネート、モノウンデシレニル 20
グリセリルエーテル、ジグリセロールモノドデカノエート、モノドデシルジグリセリルエ
ーテル、ジグリセロールモノテトラデカノエート、ジグリセロールモノヘキサデカノエー
ト、ジグリセロールモノオレエート、及びジグリセロールモノイソステアレートなどのジ
グリセロール誘導体が挙げられる。
【0439】
 いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、ラウリン酸スクロース及びパルミ
チン酸スクロースのうちの1以上とを含む。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳
化剤と、ラウリン酸スクロースとを含む。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化
剤と、パルミチン酸スクロースとを含む。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化
剤と、ラウリン酸スクロースと、パルミチン酸スクロースとを含み、エマルジョン担体中 30
のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1∼1:3のラウリン酸ス
クロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤
系は、絹乳化剤と、ラウリン酸スクロースと、パルミチン酸スクロースとを含み、エマル
ジョン担体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1、1:1.
1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:
1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:
2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、及び1:3.0から選択さ
れるラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有する。いくつかの実施
形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、ラウリン酸スクロースと、パルミチン酸スクロース
とを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、 40
1:1、1:1.1、1:1.2、及び1:1.3から選択されるラウリン酸スクロース
対パルミチン酸スクロースの重量比を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹
乳化剤と、ラウリン酸スクロースと、パルミチン酸スクロースとを含み、エマルジョン担
体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1のラウリン酸スクロ
ース対パルミチン酸スクロースの重量比を有する。
【0440】
 いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、グリセロールと、ラウリン酸スク
ロースと、パルミチン酸スクロースとを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロー
ス及びパルミチン酸スクロースは、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:
1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1: 50
(132) JP 2022-529644 A 2022.6.23

2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、
1:2.8、1:2.9、及び1:3.0から選択されるラウリン酸スクロース対パルミ
チン酸スクロースの重量比を有し、エマルジョン担体中の絹乳化剤及びグリセロールは、
1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、
1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、
1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、及び1:
3.0から選択される絹乳化剤対グリセロールの重量比を有する。
【0441】
 いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、グリセロールと、ラウリン酸スク
ロースと、パルミチン酸スクロースとを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロー 10
ス及びパルミチン酸スクロースは、1:1、1:1.1、1:1.2、及び1:1.3か
ら選択されるラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有し、エマルジ
ョン担体中の絹乳化剤及びグリセロールは、1:1、1:2、及び1:3.0から選択さ
れる絹乳化剤対グリセロールの重量比を有する。
【0442】
 いくつかの実施形態では、乳化剤系は、毛髪ケア組成物の総重量に対して0.1重量%
∼5.0重量%の範囲の重量パーセントでエマルジョン担体に含有される。いくつかの実
施形態では、乳化剤系は、毛髪ケア組成物の総重量に対して0.1重量%∼3.0重量%
の範囲の重量パーセントでエマルジョン担体に含有される。いくつかの実施形態では、乳
化剤系は、毛髪ケア組成物の総重量に対して0.1重量%∼2.0重量%の範囲の重量パ 20
ーセントでエマルジョン担体に含有される。
【0443】
B.油相
 いくつかの実施形態では、エマルジョン担体は、前記シルク乳化剤を含む乳化剤系で乳
化された油相を含む。脂肪性材料は、油相を形成するのに有用であり得る。脂肪性材料は
、炭化水素油、シリコン油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン
油、液体油脂、固体油脂、ワックス、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0444】
 実施形態では、脂肪性材料は、任意に、ワックスを含む。ワックスは、ポリエチレンワ
ックス、ポリプロピレンワックス、ミツロウ、カンデリラワックス、パラフィンワックス 30
、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、コットンワック
ス、エスパルトワックス、カルナウバワックス、ベイベリーワックス、ツリーワックス、
鯨ワックス、モンタンワックス、ライスワックス、ラノリン、カポック(kapok)ワ
ックス、酢酸ラノリン、液体ラノリン、サトウキビワックス、ラノリン脂肪酸イソプロピ
ルエステル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバワックス、硬質ラノリン、シェ
ラックワックス、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテ
ート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE
水素化ラノリンアルコールエーテル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0445】
 実施形態では、脂肪性材料は、任意に、エステル油を含む。エステル油は、コレステリ 40
ルイソステアレート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ネオペン
チルグリコールジカプレート、イソプロピルイソステアレート、オクタデシルミリステー
ト、セチル2−エチルヘキサノエート、セテアリルイソノナノエート、セテアリルオクタ
ネート、イソノニルトリイソナノエート、イソトリデシルイソナノエート、グリセリルト
リ−2−エチルヘキサノエート、グリセリルトリ(カプリレートカプレート)、ジエチレ
ングリコールモノエチルエーテルオレエート、ジカプリリルエーテル、カプリル酸/カプ
リン酸プロピレングリコールジエステル、及びそれらの組合せからなる群から選択される

【0446】
 実施形態では、脂肪性材料は、任意に、グリセリド脂肪エステルを含む。本明細書にお 50
(133) JP 2022-529644 A 2022.6.23

いては、用語「グリセリド脂肪酸エステル」は、グリセロールとC6−C30カルボン酸
などの長鎖カルボン酸との間に形成されるモノ−、ジ−、及びトリ−エステルを意味する
。カルボン酸は、飽和又は不飽和であることができ、又はヒドロキシルなどの親水性基を
含むことができる。好ましいグリセリド脂肪酸エステルは、C10∼C24、好ましくは
C10∼C22、最も好ましくはC12∼C20の範囲の炭素鎖長のカルボン酸に由来す
る。
【0447】
 実施形態では、脂肪性材料は、任意に、合成エステル油を含む。いくつかの実施形態で
は、合成エステル油は、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オ
クチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル 10
、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳
酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸
イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、エチレングリコールジ−2−
エチルヘキシレート、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、N−アルキルグリコール
モノイソステアレート、ネオペンチルグリコールジカプレート、ジイソステアリルマレー
ト、グリセリルジ−2−ヘプチルウンデカノエート、トリメチロールプロパントリ−2−
エチルヘキシレート、トリメチロールプロパントリイソステアレート、ペンタンエリスリ
トールテトラ−2−エチルヘキシレート、グリセリルトリ−2−エチルヘキシレート、ト
リメチロールプロパントリイソステアレート、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エ
チルヘキシルパルミテート、グリセリルトリミリステート、トリ−2−ヘプチルウンデカ 20
ン酸グリセリド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイルオレエート、セトステアリル
アルコール、アセトグリセリド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイ
ソプロピル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジ
ピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、ラウリン酸エチル、ジ−2−エチルヘキシルセバケ
ート(cebatate)、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシ
ルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、ジイソプロピルセバケート(cebatat
e)、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸ト
リエチル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0448】
 実施形態では、脂肪性材料は、任意に、エーテル油を含む。いくつかの実施形態では、 30
エーテル油は、アルキル−1,3−ジメチルエチルエーテル、ノニルフェニルエーテル、
及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0449】
 実施形態では、脂肪性材料は、任意に、高級脂肪酸を含む。本明細書においては、高級
脂肪酸は、8∼22の炭素数を有する。いくつかの実施形態では、高級脂肪酸は、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12−ヒド
ロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トールオイル、イソステアリン酸、リノール酸、
リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、及びそ
れらの組合せからなる群から選択される。
【0450】 40
 一実施形態では、脂肪性材料は、任意に、高級脂肪アルコールを含む。本明細書におい
ては、高級脂肪族アルコールは、8∼22の炭素数を有する。いくつかの実施形態では、
高級脂肪酸は、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステ
アリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、
及びセトステアリルアルコール)及び分岐鎖エチルアルコール(例えば、モノステアリル
グリセリルエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアル
コール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルア
ルコール、及びオクチルドデカノール)、及びそれらの組合せからなる群から選択される

【0451】 50
(134) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 実施形態では、脂肪性材料は、任意に、1以上のシリコーン油を含む。本明細書におい
ては、用語「シリコーン油」(シリコーン流体とも称する)は、毛髪に塗布されてその感
触又は外観を改善する水不溶性のシリコーンポリマーを示すために使用される。シリコー
ンオイルは、毛髪に絹のような滑らかな感触を与えることができる。それらはまた、光沢
効果をもたらすことができる。これらの結果は、毛髪をシリコーンオイルの薄膜でコーテ
ィングすることによって得られる。シリコーンオイルは実質的に水不溶性であるので、毛
髪塗布後、水による濯ぎによらず、毛髪上に残存する傾向がある。したがって、シリコー
ンオイルは、シャンプー中、又はシャンプー後に水で濯いだ後に塗布されるヘアコンディ
ショナー中に適用される。
【0452】 10
 いくつかの実施形態では、油相は、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシ
ロキサン、又はそれらの混合物であり得る不揮発性シリコーンを含む。好適なポリアルキ
ルシロキサンとしては、25℃で5∼100,000センチストークスの粘度を有するポ
リジメチルシロキサンが挙げられる。これらのシロキサンは、General Elec
tric CompanyからVISCASIL(登録商標)シリーズとして、Dow 
CorningからDC200シリーズとして市販されている。
【0453】
 いくつかの実施形態では、シリコーンオイルは、線状ポリジメチルシロキサン、ポリ(
メチルフェニルシロキサン)、環状シロキサン、及びそれらの混合物からなる群から選択
される。ポリジメチルシロキサン及びポリ(メチルフェニルシロキサン)の数平均分子量 20
は、好ましくは、約1000∼150000g/molである。ポリメチルフェニルポリ
シロキサンは、25℃で15∼65センチストークスの粘度を有する。これらのシロキサ
ンは、DC−556グレードのシリコーン流体としてDow Corningから市販さ
れている。
【0454】
 いくつかの実施形態では、シリコーン油は、メチルポリシロキサン、デカメチルシドペ
ンタシロキサン、オクタメチルシドテトラシロキサン、及びそれらの組合せからなる群か
ら選択される。
【0455】
 いくつかの実施形態では、シリコーンオイルは、4∼8員環を有する環状シロキサンか 30
らなる群から選択される揮発性シリコンオイルを含む。いくつかの実施形態では、揮発性
シリコーンは、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、デカメチルシドペンタシロキサン
(D5)、オクタメチルシドテトラシロキサン(D4)、及びそれらの組合せからなる群
から選択されるシクロメチコンを含む。
【0456】
 いくつかの実施形態では、脂肪相は、液体油脂を含む。いくつかの実施形態では、液体
油脂肪は、アボカド油、椿油、カメ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油
、オリーブ油、菜種油、卵黄油、ゴマ種子油、杏仁油、小麦胚芽油、ササンクア油、ヒマ
シ油、亜麻仁油、サフラワー油、綿実油、ペリラ油、大豆油、ピーナッツ油、茶種子油、
カヤ油、ライスブラン油、中国木油、日本木油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセロール、 40
トリオクタン酸グリセリル、及びトリイソパルミチン酸グリセリル、並びにそれらの組合
せからなる群から選択される。
【0457】
 いくつかの実施形態では、脂肪相は、固形油脂を含む。いくつかの実施形態では、固形
油脂は、カカオバター、ココナッツ油、ウマ獣脂、パーム脂、硬化ココナッツ油、パーム
油、牛獣脂、羊獣脂、硬化牛獣脂、パーム核油、豚獣脂、牛骨獣脂、ジャパニーズコアワ
ックス(Japanese core wax)、硬化油、ニートフット(neetfo
ot)獣脂、ジャパニーズワックス、及び水素化ヒマシ油、並びにそれらの組合せからな
る群から選択される。
【0458】 50
(135) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 いくつかの実施形態では、脂肪相は、植物油を含む。いくつかの実施形態では、植物油
は、ブリチ油(buriti oil)、大豆油、オリーブ油、茶樹油、ローズマリー油
、ホホバ油、ココナッツ油、ゴマ種子油、ゴマ油、パーム油、アボカド油、ババス油、米
油、アーモンド油、アルゴン油、ヒマワリ油、及びそれらの組合せからなる群から選択さ
れる。いくつかの実施形態では、植物油は、ココナッツ油、ヒマワリ油、及びゴマ油から
なる群から選択される。いくつかの実施形態では、油性成分は、カカオバター、パームス
テアリン、ヒマワリ油、大豆油、及びココナッツ油から選択される。
【0459】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物用の油相は、脂質材料を含む。いくつかの実
施形態では、脂質材料は、セラミド、リン脂質(例えば、大豆レシチン、卵レシチン)、 10
糖脂質、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0460】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物用の油相は、炭化水素油を含む。本明細書に
おいては、炭化水素油は、20個未満の炭素原子の平均炭素鎖長を有する。好適な炭化水
素油としては、環状炭化水素、直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)、及び分枝鎖脂肪
族炭化水素(飽和又は不飽和)が挙げられる。直鎖炭化水素油は、典型的には、約6個∼
約16個の炭素原子、好ましくは約8個∼約14個の炭素原子を含む。分枝鎖炭化水素油
は、通常、より多くの炭素原子を含むことができ、例えば、約6個∼約20個の炭素原子
、好ましくは約8個∼約18個の炭素原子を含む。本開示の好適な炭化水素油は、一般に
、周囲温度(25から30℃)で、0.0001∼0.5Pa・s、好ましくは0.00 20
1∼0.05Pa・s、より好ましくは0.001∼0.02Pa・sの粘度を有する。
【0461】
 いくつかの実施形態では、水素炭素油は、液状ペトロラタム、スクアラン、プリスタン
、パラフィン、イソパラフィン、セレシン、スクアレン、鉱油、軽質鉱油、軽質鉱油と重
質鉱油の混合物、ポリイソブテン、水素化ポリイソブテン、テルペンオイル、及びそれら
の組合せからなる群から選択される。
【0462】
 いくつかの実施形態では、水素炭素油は、軽質鉱油である。本明細書においては、鉱油
は、石油から得られる透明な油性液体であり、そこからワックスが除去され、より揮発性
の高い留分が蒸留によって除去される。250℃∼300℃で蒸留される留分は鉱油と呼 30
ばれ、炭化水素の混合物からなり、炭化水素分子当たりの炭素原子の数は、通常、C10
∼C40である。鉱油は、その粘度により特徴付けることができ、軽質鉱油は、重質鉱油
よりも比較的粘度が粘度が低く、これらの用語は、U.S. Pharmacopoei
a, 22nd revision, p. 899 (1990)により具体的に定義
されている。本開示における使用のための好適な軽質鉱油の市販品の例としては、Sil
koleneから入手可能なSirius(登録商標)M40(炭素鎖長C0∼C28、
主にC12∼C20、粘度4.3×10Pa・s)である。本開示において使用できる他
の炭化水素油としては、テトラデカン、ヘキサデカン、及びオクタデカンなどの線状飽和
炭化水素、ジオクチルシクロヘキサン(例えば、HenkelのCETIOL(登録商標
)S)などの環状炭化水素、分岐鎖炭化水素(例えば、Exxon CorpのISOP 40
AR(登録商標)及びISOPAR(登録商標)V)を含む比較的低分子量の炭化水素が
挙げられる。
【0463】
 いくつかの実施形態では、油相用の脂肪性材料は、ネオペンチルグリコールジヘプタノ
エート、プロピレングリコールジカプリレート、ジオクチルアジペート、ココカプリレー
ト/カプレート、ジエチルヘキシルアジペート、ジイソプロピルダイマージリノレエート
、ジイソステアリルダイマージリノレエート、butyrospermumparkii
(シア)バター、C12−C13アルキルラクテート、ジ−C12−C13アルキルター
トレート、トリ−C12−C13アルキルシトレート、C12−C15アルキルラクテー
ト、ppgジオクタノエート、ジエチレングリコールジオクタノエート、メドウフォーム 50
(136) JP 2022-529644 A 2022.6.23

オイル、C12−15アルキルオレエート、トリデシルネオペンタノエート、セテアリル
アルコール及びポリソルベート60、C18−C26トリグリセリド、セテアリルアルコ
ール&セテアリルグルコシド、アセチル化ラノリン、vp/エイコセンコポリマー、グリ
セリルヒドロキシステアレート、C18−36酸性グリコールエステル、C18−36ト
リグリセリド、グリセリルヒドロキシステアレート、及びそれらの混合物からなる群から
選択される。また、セチルアルコール&グリセリルステアレート&PEG−75、ステア
レート&セテス−20&ステアレス−20、ラウリルグルコシド&ポリグリセリル−2ジ
ポリヒドロキシステアレート、ベヘネス−25、ポリアミド−3&ペンタエリスリチルテ
トラ−ジ−t−ブチルヒドロキシシンナメート、ポリアミド−4及びPEG−100ステ
アレート、セチルホスフェートカリウム、ステアリン酸、及びヘクトライトも適切で好ま 10
しい。
【0464】
 いくつかの実施形態では、油相用の脂肪性材料は、液体パラフィン、液体イソパラフィ
ン、ネオペンチルグリコールジカプレート、イソプロピルイソステアレート、セチル2−
エチルヘサノエート、イソノニルイソノナノエート、グリセリルトリ(カプリレートカプ
レート)、アルキ−1,3−ジメチルブチルエーテル、分子量100∼500のメチルポ
リシロキサン、デカメチルシドペンタシロキサン、オクタメチルシドテトラシロキサン、
炭素数12∼22の高級脂肪酸、炭素数12∼22の高級アルコール、セラミド、糖脂質
、及びテルペン油からなる群から選択される。
【0465】 20
 いくつかの実施形態では、油相の脂肪性材料は、パラフィン油、ステアリン酸グリセリ
ル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セチルステアリル2−エチ
ルヘキサノエート、水素化ポリイソブテン、ワセリン、カプリル酸/カプリン酸トリグリ
セリド、マイクロクリスタリンワックス、ラノリン及びステアリン酸、シリコーンオイル
、並びにそれらの組合せからなる群から選択される。
【0466】
 実施形態では、油相用の脂肪性材料は、ホホバ油、オリーブ油、カメリア油、アボカド
油、カカオ油、ヒマワリ油、杏仁油、パーム油、ヒマシ油、ブリチ油、中鎖トリグリセリ
ドを含む植物油からなる群から選択される。
【0467】 30
 実施形態では、絹乳化剤によって乳化可能な油性材料は、植物油、イソドデカン、及び
イソヘキサデカン、並びに脂肪酸の1以上の油性エステルからなる群から選択され、植物
油は、ホホバ油及び/又はカメリア油から選択され、前記油性エステルは、イソノニルイ
ソノナノエート及びココカプリレートから選択される。
【0468】
 いくつかの実施形態では、油相は、毛髪ケア組成物の総重量に対して1.0重量%∼約
95重量%の重量パーセントで毛髪ケア組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、
油相は、毛髪ケア組成物の総重量に対して45.0重量%∼約95重量%の重量パーセン
トで毛髪ケア組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、油相は、毛髪ケア組成物の
総重量に対して45.0重量%∼約65.0重量%の重量パーセントで毛髪ケア組成物中 40
に存在する。いくつかの実施形態では、油相は、毛髪ケア組成物の総重量に対して5.0
重量%∼約45重量%の重量パーセントで毛髪ケア組成物中に存在する。いくつかの実施
形態では、油相は、毛髪ケア組成物の総重量に対して5.0重量%∼約35重量%の重量
パーセントで毛髪ケア組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、油相は、毛髪ケア
組成物の総重量に対して10.0重量%∼約25重量%の重量パーセントで毛髪ケア組成
物中に存在する。
【0469】
 いくつかの実施形態では、油相は、エマルジョン担体の総重量に対して50.0重量%
∼約95.0重量%の重量パーセントで毛髪ケア組成物中に存在する。いくつかの実施形
態では、油相は、エマルジョン担体の総重量に対して約5重量%∼45重量%の重量パー 50
(137) JP 2022-529644 A 2022.6.23

セントで毛髪ケア組成物中に存在する。その理由は、係る含有量により、エマルジョン担
体は、室温付近のより広い温度範囲に亘って安定性を有し、良好な感触を有することがで
きるからである。
【0470】
C.水相
 いくつかの実施形態では、エマルジョン担体用の水相は、水、水溶液、アルコールと水
のブレンド、又は水性担体としてのリオトロピック液晶相を含む。本開示の毛髪ケア組成
物に含まれる水の選択は、特に限定されない。具体的な例としては、精製水、イオン交換
水、水道水が挙げられる。いくつかの実施形態では、水性は、エタンジオール、プロパン
ジオール、グリセロール、ブタンジオール、ブタンテトラオール、キシリトール、ソルビ 10
トール、イノシトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールからなる群から選
択される1以上の低分子多価アルコールを更に含む。いくつかの実施形態では、水相は、
メタノール、エタノール、及びイソプロパノールを含む1以上の低アルコール溶媒を更に
含む。
【0471】
 水と多価アルコールのブレンド比は、エマルジョンの配合の種類に基づいて適切に決定
される。
【0472】
 いくつかの実施形態では、エマルジョンは、毛髪ケア組成物の総重量に対して約50重
量%∼約98重量%の水相を含む。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、毛髪ケア 20
組成物の総重量に対して約60重量%∼約90重量%の水相を含む。いくつかの実施形態
では、エマルジョン中の水相の量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約50.0重量%
、約51.0重量%、約52.0重量%、約53.0重量%、約54.0重量%、約55
.0重量%、約56.0重量%、約57.0重量%、約58.0重量%、約59.0重量
%、約60.0重量%、約61.0重量%、約62.0重量%、約63.0重量%、約6
4.0重量%、約65.0重量%、約66.0重量%、約67.0重量%、約68.0重
量%、約69.0重量%、約70.0重量%、約71.0重量%、約72.0重量%、約
73.0重量%、約74.0重量%、約75.0重量%、約76.0重量%、約77.0
重量%、約78.0重量%、約79.0重量%、約80.0重量%、約81.0重量%、
約82.0重量%、約83.0重量%、約84.0重量%、約85.0重量%、約86. 30
0重量%、約87.0重量%、約88.0重量%、約89.0重量%、約90.0重量%
、約91.0重量%、約92.0重量%、約93.0重量%、約94.0重量%、約95
.0重量%、約96.0重量%、約97.0重量%、約98.0重量%から選択される。
【0473】
 いくつかの実施形態では、シルク含有乳化剤系は、水相に存在する。
【0474】
II.シャンプーベース担体
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物用の担体は、シャンプーベースを含み、シャ
ンプーベース担体は、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパ
ク質断片、粘度調整剤/増粘剤、及び水性担体を含む洗浄性界面活性剤成分を含む。シャ 40
ンプーベースは泡立ちに役立つ。シャンプーベースのpH値は、約5である。
【0475】
A.クレンジング界面活性剤
(i)シルク泡立て界面活性剤
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、洗浄性能を与えるための洗浄性界面活性
剤成分を含む。洗浄性界面活性剤は、アニオン性洗浄性界面活性剤、双性イオン又は両性
洗浄性界面活性剤、又はそれらの組合せから選択することができる。係る界面活性剤は、
本明細書に記載される必須成分と物理的及び化学的に適合性がある必要があり、そうでな
ければ、製品の安定性、美観、又は性能を過度に損なうべきではない。アニオン性洗浄性
界面活性剤は、シャンプーに洗浄及び泡立ち性能を与えると考えられる。 50
(138) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0476】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、泡立ち界面活性剤としてSPF、例え
ば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片を含む。その結果得られた
シャンプーは、毛髪をマッサージしたときに泡立ち、よく洗い流され、使用時に「きしむ
(squeaky)」感触を与える。
【0477】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、約2.0重量%∼約5.0重量%の、
実質的にセリシンを欠く絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロイン
ベースのタンパク質断片は、約5kDa∼約80kDaの重量平均分子量を有し、絹フィ
ブロインベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。いくつか 10
の実施形態では、シャンプーベースは、約2.0重量%∼約5.0重量%の、本明細書に
記載の絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。
【0478】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、約2.0重量%∼約5.0重量%の、
実質的にセリシンを欠く絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロイン
ベースのタンパク質断片は、約5kDa∼約17kDaの重量平均分子量を有し、絹フィ
ブロインベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。
【0479】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、約2.0重量%∼約5.0重量%の、
実質的にセリシンを欠く絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロイン 20
ベースのタンパク質断片は、約17kDa∼約39kDaの重量平均分子量を有し、絹フ
ィブロインベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。
【0480】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、約2.0重量%∼約5.0重量%の、
実質的にセリシンを欠く絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロイン
ベースのタンパク質断片は、約39kDa∼約80kDaの重量平均分子量を有し、絹フ
ィブロインベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。
【0481】
(ii)更なる洗浄性界面活性剤
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、任意に、石鹸、アニオン性界面活性剤 30
、及び両親媒性界面活性剤から選択される1以上の更なる洗浄性界面活性剤を含む。
【0482】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、任意に、洗浄剤として脂肪酸石鹸を含
む。本明細書において、石鹸は、脂肪炭素鎖が12∼32個の炭素原子を有する脂肪酸の
塩を意味する。いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、C12−C14脂肪酸石
鹸、C16−C18脂肪酸石鹸、又は80のC16−C18/20のC12−C14脂肪
酸石鹸の80/20ブレンドを含む。C16−C18脂肪酸石鹸は獣脂から得ることがで
き、C12−C14脂肪酸石鹸は、ラウリン酸(lauric)、パーム核、又はココナ
ッツオイルから得ることができる。いくつかの実施形態では、脂肪酸石鹸は、ラウリン酸
ナトリウム及びパルミチン酸ナトリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態 40
では、泡の質を改善するために、少量の脂肪酸が脂肪酸石鹸洗浄剤に添加される。
【0483】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、任意に、洗浄剤として、スルホネート
及びサルフェートを含む。好適なスルホネート及びサルフェートは、アルキルサルフェー
ト、アルキルエーテルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルエーテルスルホネ
ート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルベンゼンエーテルサルフェート、アルキ
ルスルホアセテート、二級アルカンスルホネート、二級アルキルサルフェート、アルキル
スルホスクシネート、及びそれらの組合せからなる群から選択される。アルキル基及びア
シル基は、通常、8∼18個、好ましくは10∼16個の炭素原子を含み、不飽和であっ
てもよい。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アル 50
(139) JP 2022-529644 A 2022.6.23

キルエーテルホスフェート、及びアルキルエーテルカルボン酸、並びにそれらの塩は、一
分子当たり1∼20個のエチレンオキシド又はプロピレンオキシドユニットを含み得る。
【0484】
 いくつかの実施形態では、アニオン性洗浄性界面活性剤は、ナトリウムオレイルスクシ
ネート、アンモニウムラウリルスルホスクシネート、ナトリウムラウリルサルフェート、
ナトリウムラウリルエーテルサルフェート、ナトリウムラウリルエーテルスルホスクシネ
ート、アンモニウムラウリルサルフェート、アンモニウムラウリルエーテルサルフェート
、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンス
ルホネート、ナトリウムココイルイセチオネート、ナトリウムラウリルイセチオネート、
ラウリルエーテルカルボン酸、ナトリウムラウリルサルフェート、及びナトリウムラウリ 10
ルエーテルサルフェート(EO)1−3、ナトリウムラウリルエーテルサルフェート(E
O)1−3、ナトリウムラウリルエーテルサルフェート(EO)、及びナトリウムN−ラ
ウリルサルコシネートからなる群から選択される。
【0485】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベース用の任意の洗浄性界面活性剤は、水素化コ
コナッツ油脂肪酸の一硫酸化モノグリセリドのナトリウム塩の高級脂肪酸モノグリセリド
モノ硫酸塩の水溶性塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどの高級アルキル硫酸塩、ナトリウム
ドデシルベンゼンスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート、高級アルキルスル
ホアセテート、1,2−ジヒドロキシプロパンスルホネートの高級脂肪酸エステル、及び
脂肪酸中12∼16個の炭素原子、アルキル又はアシルラジカルなどを有するものなどの 20
低級脂肪族アミノカルボン酸化合物の実質的に飽和した高級脂肪族アシルアミドを含み得
る。
【0486】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、任意に、洗浄性界面活性剤として、ホ
スフェート及びホスホネートを含む。好適なホスフェート及びホスホネートは、アルキル
ホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アラルキルホスフェート、アラルキルエ
ーテルホスフェート、トリラウレス−4−ホスフェート(モノ−、ジ−、及びトリ−(ア
ルキルテトラグリコールエーテル)−o−リン酸エステルの混合物、Clariant 
Corp.のHOSTAPHAT(登録商標)340KL)、PPG−5セテス10ホス
フェート(Croda Inc.、パーシッパニー、NJのCRODAPHOS(登録商 30
標)SG)からなる群から選択される。
【0487】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、任意に、洗浄剤として、アミンオキシ
ドを含む。好適なアミンオキシド界面活性剤は、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウ
リアミドプロピルジメチルアミンオキシド、及び/又はセチルアミンオキシドからなる群
から選択される。典型的なアニオン性界面活性剤としては、ラウレル(laurel)ス
ルホコハク酸アンモニウム、ラウレル硫酸アンモニウム、トリエタノールアミンドデカル
ベンゼンスルホネート、及びラウレス硫酸アンモニウムが挙げられる。最も好ましいアニ
オン性界面活性剤は、ラウレルサルフェート、特にモノエタノールアミン、トリエタノー
ルアミン、及びラウレル硫酸アンモニウム、並びに対応するラウレス硫酸塩である。 40
【0488】
 いくつかの実施形態では、少量の遊離脂肪酸、例えば、約0.01重量%∼約1.0重
量%をシャンプーベースに添加し、よりクリーミーで厚い泡立ちを実現する。迅速な泡立
ちと泡の長さの組合せを提供するために、ラウレル硫酸アンモニウムとラウレス硫酸アン
モニウムとの組合せが特に好ましい。シャンプーベースのラウレル硫酸アンモニウムにコ
コモノエタノールアミドを添加すると、泡立ちが増す。ベヘニルアルコールをクレンジン
グ界面活性剤と組み合わせて、少量の遊離脂肪酸を添加した場合と同様に、泡の質を改善
することができる。
【0489】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、任意に、洗浄性界面活性剤として、サ 50
(140) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ルコシネート及びサルコシン誘導体を含む。本明細書においては、サルコシネートは、脂
肪酸クロリドでアシル化されたサルコシン及びN−メチルグリシンの誘導体である。いく
つかの実施形態では、サルコシネートは、ナトリウムラウリルサルコシネート、ラウリル
サルコシン、ココイルサルコシン、及びそれらの組合せから選択される。いくつかの実施
形態では、サルコシネートは、ナトリウムラウリルサルコシネートである。
【0490】
 毛髪ケア組成物中のアニオン性界面活性剤成分の量は、所望の洗浄及び泡立ち性能を与
えるのに十分である必要があり、一般に、毛髪ケア組成物の総重量に対して約5.0重量
%∼約50.0重量%である。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物中のアニオン性
界面活性剤成分の量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約8.0重量%∼約30.0重 10
量%である。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物中のアニオン性界面活性剤成分の
量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約10.0重量%∼約25.0重量%である。い
くつかの実施形態では、毛髪ケア組成物中のアニオン性界面活性剤成分の量は、毛髪ケア
組成物の総重量に対して約12.0重量%∼約22.0重量%である。
【0491】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、洗浄性界面活性剤として、双性イオン
又は両性の洗浄性界面活性剤を含む。毛髪組成物における使用に好適な両性洗浄性界面活
性剤としては、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であることができる脂肪族第二級及び第
三級アミンの誘導体として広く記述されている界面活性剤が挙げられる、脂肪族置換基の
1つが約8個∼約18個の炭素原子を含み、1つが、カルボキシル、スルホネート、サル 20
フェート、ホスフェート、又はホスホネートなどのアニオン性基を含む。
【0492】
 いくつかの実施形態では、両性洗浄性界面活性剤は、ココアンフォアセテート、ココア
ンフォジアセテート、ラウロアンフォアセテート、ラウロアンフォジアセテート、ココベ
タイン及びコカミドプロピルベタイン、モノアセテート(例えば、ナトリウムラウロアン
フォアセテート)、ジアセテート(例えば、二ナトリウムラウロアンフォアセテート)、
アミノ−及びアルキルアミノ−プロピオネート(例えば、ラウラミノプロピオン酸)、ス
ルタイン(スルホベタインとも称する)、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、及び
それらの組合せからなる群から選択される。
【0493】 30
 いくつかの実施形態では、両性洗浄性界面活性剤は、毛髪ケア組成物中に、毛髪ケア組
成物の総重量に対して約0.5重量%∼約20重量%の範囲の重量パーセントで存在する
。いくつかの実施形態では、両性洗浄性界面活性剤は、毛髪ケア組成物中に、毛髪ケア組
成物の総重量に対して約1.0重量%∼約10.0重量%の範囲の重量パーセントで存在
する。好適な双性イオン又は両性界面活性剤の更なる例としては、米国特許第5,104
,646号明細書及び同第5,106,609号明細書にみることができる。
【0494】
 いくつかの実施形態では、クレンジング界面活性剤は、単一の界面活性剤、通常、ナト
リウムラウリルエーテルサルフェートなどのアニオン性界面活性剤(泡を生じさせるため
)、又はより一般的には、マイルドさをもたらすために、ナトリウムラウリルエーテルサ 40
ルフェートと共界面活性剤との混合物からなり得る。最も好ましい共界面活性剤は、ココ
アミドプロピルベタインである。
【0495】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベース用の好適な洗浄性界面活性剤は、ナトリウ
ムラウリルサルフェート、ナトリウムラウレスサルフェート、二ナトリウムラウリルスル
ホスクシネート、ココイルサルコシネート、ココアンフォカルボキシグリシネート、及び
ココベタイン、並びにそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態で
は、シャンプーベース用に好適なクレンジング界面活性剤は、カンナビスサティバシード
オイルPEG−8エステル、ナトリウムラウリルオートアミノ酸、ココイルグルタメート
、加水分解されたココイルナトリウム(sodium cocoyl hydrolyz 50
(141) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ed)、アマランスタンパク質、二ナトリウムスルホスクシネートラウリルグルコシドク
ロスポリマー(disodium sulfosuccinate laurylglu
coside cross−polymer)、カリウムオリボイル(olivoyl)
加水分解オートタンパク質、ナトリウムココイルリンゴアミノ酸、ナトリウム、スイート
アーモンドアンフォアセテート、サポニン、ベタイン、及びそれらの組合せからなる群か
ら選択される非サルフェート界面活性剤である。
【0496】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベース中の洗浄性界面活性剤及び共界面活性剤の
総重量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約1.0重量%∼約50.0重量%である。
いくつかの実施形態では、シャンプーベース中の洗浄性界面活性剤及び共界面活性剤の総 10
重量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約2.0重量%∼約40.0重量%である。い
くつかの実施形態では、シャンプーベース中の洗浄性界面活性剤及び共界面活性剤の総重
量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約10.0重量%∼約25.0重量%である。い
くつかの実施形態では、シャンプーベース中の洗浄性界面活性剤及び共界面活性剤の総重
量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約1.0重量%、約2.0重量%、約3.0重量
%、約4.0重量%、約5.0重量%、約6.0重量%、約7.0重量%、約8.0重量
%、約9.0重量%、約10.0重量%、約11.0重量%、約12.0重量%、約13
.0重量%、約14.0重量%、約15.0重量%、約16.0重量%、約17.0重量
%、約18.0重量%、約19.0重量%、約20.0重量%、約21.0重量%、約2
2.0重量%、約23.0重量%、約24.0重量%、約25.0重量%、約26.0重 20
量%、約27.0重量%、約28.0重量%、約29.0重量%、約30.0重量%、約
31.0重量%、約32.0重量%、約33.0重量%、約34.0重量%、約35.0
重量%、約36.0重量%、約37.0重量%、約38.0重量%、約39.0重量%、
約40.0重量%、約41.0重量%、約42.0重量%、約43.0重量%、約44.
0重量%、約45.0重量%、約46.0重量%、約47.0重量%、約48.0重量%
、約49.0重量%、約50.0重量%から選択される。
【0497】
B.増粘剤及び粘度調整剤
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、粘度調整剤及び/又は増粘剤を含む。
【0498】 30
 いくつかの実施形態では、増粘剤は、エチレングリコールモノステアレート、カルボマ
ーポリマー、カルボキシビニルポリマー、アクリルコポリマー、メチルセルロース、ラク
チド及びグリコリドモノマーのコポリマー、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、カラギーナン、疎水性変性ヒドロキシエチルセル
ロース、ラポナイト、セルロースエーテル(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロ
ース及びナトリウムカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース)の水溶性塩、カラヤ
ガム、アラビアゴム、グアーガム(Guars)、HPグアーガムなどの天然ガム、ヘテ
ロ多糖ガム(例えば、キサンタンガム)、及びトラガカントガムからなる群から選択され
る。
【0499】 40
 いくつかの実施形態では、増粘剤は、タルク、ヒュームドシリカ、ポリマーポリエーテ
ル化合物(例えば、1個∼約18個の炭素原子を含むアルキル又はアシル基でキャップさ
れたポリエチレン又はポリプロピレンオキシド(MW300∼1,000,000))、
エチレングリコールステアレート、16個∼22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノ
ールアミド、ポリエチレングリコール3ジステアリン酸、ポリアクリル酸(例えば、Ca
rbopol(登録商標)420、Carbopol(登録商標)488、又はCarb
opol(登録商標)493)、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマ
ーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリルエステルとのコポリマー(例えば
、Carbopol(登録商標)1342)、アクリル酸とアクリレートエステルとの架
橋コポリマー、及び多官能剤で架橋されたポリアクリル酸(例えば、Carbopol( 50
(142) JP 2022-529644 A 2022.6.23

登録商標)910、Carbopol(登録商標)934、Carbopol(登録商標
)940、Carbopol(登録商標)941、及びCarbopol(登録商標)9
80、Ultrez(登録商標)10)、及び結晶性長鎖アシル誘導体からなる群から選
択される。
【0500】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0
.1重量%∼約15.0重量%の増粘剤/粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、
シャンプーベースは、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.1重量%∼約10.0重量
%の増粘剤/粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、毛髪ケ
ア組成物の総重量に対して約0.5重量%∼約6.0重量%の増粘剤/粘度調整剤を含む 10
。いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0
.9重量%∼約4.0重量%の増粘剤/粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、シ
ャンプーベースは、毛髪ケア組成物の総重量に対して約2.0重量%の増粘剤/粘度調整
剤を含む。いくつかの実施形態では、シャンプーベースに存在する増粘剤/粘度調整剤の
量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量
%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量
%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.25重量%、約1.50重量%、約1.7
5重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約
3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4.0重量%
、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5.0重量%、約5.25 20
重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重量%、約6.25重量%、約7
.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.25重量%、約8.5重量%、
約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9.75重
量%、約10.0重量%、約10.1重量%、約10.2重量%、約10.3重量%、約
10.4重量%、約10.5重量%、約10.6重量%、約10.7重量%、約10.8
重量%、約10.9重量%、約11.0重量%、約11.1重量%、約11.2重量%、
約11.3重量%、約11.4重量%、約11.5重量%、約11.6重量%、約11.
7重量%、約11.8重量%、約11.9重量%、約12.0重量%、約12.1重量%
、約12.2重量%、約12.3重量%、約12.4重量%、約12.5重量%、約12
.6重量%、約12.7重量%、約12.8重量%、約12.9重量%、約13.0重量 30
%、約13.1重量%、約13.2重量%、約13.3重量%、約13.4重量%、約1
3.5重量%、約13.6重量%、約13.7重量%、約13.8重量%、約13.9重
量%、約14.0重量%、約14.1重量%、約14.2重量%、約14.3重量%、約
14.4重量%、約14.5重量%、約14.6重量%、約14.7重量%、約14.8
重量%、約14.9重量%、約15.0重量%からなる群から選択される。
【0501】
C.水性担体
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、水性担体として、水、水溶液、アルコ
ール、アルコールと水とのブレンド物、又はリオトロピック液晶相を含む。本開示の毛髪
ケア組成物に含まれる水の選択は、特に限定されない。具体的な例としては、精製水、イ 40
オン交換水、水道水などが挙げられる。いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、
エタンジオール、プロパンジオール、グリセロール、ブタンジオール、ブタンテトラオー
ル、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、エチレングリコール、ポリエチレング
リコールからなる群から選択される1以上の低分子多価アルコールを更に含む。いくつか
の実施形態では、シャンプーベースは、メタノール、エタノール、及びイソプロパノール
を含む1以上の低アルコール溶媒を更に含む。
【0502】
 いくつかの実施形態では、シャンプーベースは、毛髪ケア組成物の総重量に対して約5
0重量%∼約98重量%の水性担体を含む。いくつかの実施形態では、シャンプーベース
は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約60重量%∼約90重量%の水性担体を含む。い 50
(143) JP 2022-529644 A 2022.6.23

くつかの実施形態では、シャンプーベース中の水性担体の量は、毛髪ケア組成物の総重量
に対して約50.0重量%、約51.0重量%、約52.0重量%、約53.0重量%、
約54.0重量%、約55.0重量%、約56.0重量%、約57.0重量%、約58.
0重量%、約59.0重量%、約60.0重量%、約61.0重量%、約62.0重量%
、約63.0重量%、約64.0重量%、約65.0重量%、約66.0重量%、約67
.0重量%、約68.0重量%、約69.0重量%、約70.0重量%、約71.0重量
%、約72.0重量%、約73.0重量%、約74.0重量%、約75.0重量%、約7
6.0重量%、約77.0重量%、約78.0重量%、約79.0重量%、約80.0重
量%、約81.0重量%、約82.0重量%、約83.0重量%、約84.0重量%、約
85.0重量%、約86.0重量%、約87.0重量%、約88.0重量%、約89.0 10
重量%、約90.0重量%、約91.0重量%、約92.0重量%、約93.0重量%、
約94.0重量%、約95.0重量%、約96.0重量%、約97.0重量%、約98.
0重量%から選択される。
【0503】
III.非水性液体担体
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、非水性液体担体を含む。本明細書におい
ては、非水性液体担体は、液体担体が実質的に水を含まないことを意味する。本開示にお
いて、「液体担体は実質的に水を含まない」とは、液体担体が水を含まない、又は、液体
担体が水を含む場合でも、水の量は非常に少ないことを意味する。本開示において、含ま
れる場合の水の量は、毛髪ケア組成物の重量に対して1重量%以下、好ましくは0.5重 20
量%以下、より好ましくは0.3重量%以下、更により好ましくは0.1重量%以下、更
により好ましくは0重量%である。
【0504】
 いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、鉱油、炭化水素油、水素化ポリデセン、
ポリイソブテン、イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、揮発性シリコーン
油、不揮発性シリコーン油、イソヘキサデカン、スクアレン、スクアレン、エステル油、
及びそれらの組合せからなる群から選択される油性材料を含む。いくつかの実施形態では
、非水性液体担体は、白色鉱油、スクアラン、水素化ポリイソブテン、イソヘキサデカン
、及びイソドデカンからなる群から選択される油性材料を含む。いくつかの実施形態では
、非水性液体担体は、スクアラン及び水素化ポリイソブテンを含む。いくつかの実施形態 30
では、非水性液体担体は、白色鉱油、イソヘキサデカン、及びイソドデカンを含む。
【0505】
 いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、約8個∼約20個の炭素原子を有する揮
発性イソパラフィンを含む。いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、約8個∼約1
6個の炭素原子を有する揮発性イソパラフィンを含む。いくつかの実施形態では、非水性
液体担体は、約10個∼約16個の炭素原子を有する揮発性イソパラフィンを含む。いく
つかの実施形態では、揮発性イソパラフィンは、イソブテンの三量体、四量体、及び五量
体、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。市販のイソパラフィン炭化水素は
、その重合度の分布を有することができ、例えば、三量体、四量体、及び五量体の混合物
であることができる。本明細書においては、四量体とは、四量体が最も高い含量である市 40
販のイソパラフィン炭化水素、即ち、四量体が、好ましくは70%以上、より好ましくは
80%以上、更により好ましくは85%以上の量で含有されることを意味する。
【0506】
 いくつかの実施形態では、揮発性イソパラフィンは、いくつかのグレードのイソパラフ
ィンの混合物である。いくつかの実施形態では、揮発性イソパラフィンは、37.8℃で
2 −1 2 −1 2 −1
、約0.5mm ・s ∼約50mm ・s 、約0.8mm ・s ∼約40m
2 −1 2 −1 2 −1 2 −1
m ・s 、約1mm ・s ∼約30mm ・s 、約1mm ・s ∼約2
2 −1 2 −1 2 −1
0mm ・s 、及び約1mm ・s ∼約10mm ・s から選択される粘度
範囲を有する。2以上のイソパラフィン炭化水素溶媒を使用する場合、イソパラフィン炭
化水素溶媒の混合物が前記粘度を有することが好ましい。 50
(144) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0507】
 いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、エステル油を含む。いくつかの実施形態
では、エステル油は、3以下のHLBを有し、室温で液体である。いくつかの実施形態で
は、エステル油は、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、リノ
ール酸メチル、及びラウリン酸メチルからなる群から選択される。実施形態では、エステ
ル油は、ステアリン酸メチルである。
【0508】
 いくつかの実施形態では、エステル油は、コンディショニングされた感触と製品の安定
性との間のバランスに鑑みて、及び/又は発泡の防止に鑑みて、毛髪ケア組成物の総重量
に対して約0.1重量%∼約25重量%、約0.5重量%∼約15重量%、約1.0重量 10
%∼約10重量%、約1.0重量%∼約5.0重量%から選択される重量パーセントで非
水性液体担体に含まれる。
【0509】
 いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、トリメチロイルプロパントリカプリレー
ト/トリカプリレート、C12−C15アルキルベンゾエート、エチルヘキシルステアレ
ート、エチルヘキシルココエート、デシルオレエート、デシルココエート、エチルオレエ
ート、イソプロピルミリステート、エチルヘキシルパーラゴネート(ethylhexy
l perlagonate)、ペンタエリスリチルテトラカプリレート/テトラカプレ
ート、PPG−3ベンジルエーテルミリステート、プロピレングリコールジカプリレート
/ジカプレート、エチルヘキシルイソステアレート、エチルヘキシルパルミテート、及び 20
glycine soja、helianthus annuus、simmondsi
a chinensis、carthamus tinctorius、oenothe
ra biennis、及びrapae oleumなどの天然油からなる群から選択さ
れる脂肪酸エステルを含む。
【0510】
 いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、グリセリド脂肪酸エステルを含む。いく
つかの実施形態では、本開示におけるヘアオイルにおける使用に好適なグリセリド脂肪酸
エステルは、周囲温度(25∼30℃)で0.01∼0.8Pa・s、好ましくは0.0
15∼0.6Pa・s、より好ましくは0.02∼0.065Pa・sの粘度を有する。
【0511】 30
 実施形態では、脂肪性材料は、グリセリド脂肪酸エステルを含む。本明細書においては
、用語「グリセリド脂肪酸エステル」は、グリセロールと、C6−C30カルボン酸など
の長鎖カルボン酸との間に形成されるモノ−、ジ−、及びトリ−エステルを意味する。カ
ルボン酸は、飽和又は不飽和であることができ、又はヒドロキシルなどの親水性基を含む
ことができる。好ましいグリセリド脂肪酸エステルは、C10∼C24、好ましくはC1
0∼C22、最も好ましくはC12∼C20、最も好ましくはC12∼C18の範囲の炭
素鎖長のカルボン酸に由来する。いくつかの実施形態では、グリセリド脂肪酸エステルは
、C6−C12脂肪酸鎖を有する中鎖トリグリセリドである。
【0512】
 いくつかの実施形態では、グリセリド脂肪エステルは、カメリア油、ココナッツ油、ヒ 40
マシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、タ
ラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、ラノリン、及び大豆油などの様
々な植物性及び動物性油脂から供給される。合成油としては、トリミリスチン、トリオレ
イン、及びトリステアリングリセリルジラウレートが挙げられる。植物由来のグリセリド
脂肪エステルとしては、アーモンド油、ヒマシ油、ココナッツ油、パーム核油、ゴマ油、
ヒマワリ油、及び大豆油が挙げられる。
【0513】
 いくつかの実施形態では、グリセリド脂肪酸エステルは、ココナッツ油、ヒマワリ油、
アーモンド油、及びそれらの混合物から選択される。
【0514】 50
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 非水性液体担体は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約50%∼約99.9%、約60
%∼約99.8%、より好ましくは約65%∼約98%の、毛髪ケア組成物の重量ベース
の量で含まれる。
【0515】
IV.非絹界面活性剤を実質的に含まない水性液体担体
 いくつかの実施形態では、ヘアケア製品は、非シルク界面活性剤を実質的に含まない水
性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、水、水溶液、アルコール
、アルコールと水との混合物、又はリオトロピック液晶相から選択される。本開示の毛髪
ケア組成物に含まれる水の選択は、特に限定されない。具体的な例としては、精製水、イ
オン交換水、水道水が挙げられる。 10
【0516】
 いくつかの実施形態では、水性液体担体は、エタンジオール、プロパンジオール、グリ
セロール、ブタンジオール、ブタンテトラオール、キシリトール、ソルビトール、イノシ
トール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールからなる群から選択される1以上
の低分子多価アルコールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、水及びグリ
セロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、水対グリセロールの重量比
1:10で水とグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、1:1
0、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、及び1:1か
ら選択される水対グリセロールの重量比で水とグリセロールを含む。いくつかの実施形態
では、水性液体担体は、水対グリセロールの重量比1:1で水とグリセロールを含む。い 20
くつかの実施形態では、水性液体担体は、水対グリセロールの重量比1:10で水とグリ
セロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、1:10、1:1、9、1
:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、及び1:1から選択される、
SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片対グリセロー
ルの重量比で、SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断
片及びグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、SPF、例えば
、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片及びグリセロールを、絹フィ
ブロインタンパク質断片対グリセロールの重量比1:1で含む。
【0517】
 いくつかの実施形態では、水性液相のpHは、約4.0∼約9.0の範囲で調整される 30
。いくつかの実施形態では、水性液相のpHは、約4.5∼約8.5の範囲で調整される
。いくつかの実施形態では、水性液相のpHは、約5.0∼約7.0の範囲で調整される
。pH調整剤は、緩衝液(例えば、PBS緩衝液)、アルカリ金属塩、酸、クエン酸、コ
ハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、エタノールアミン、炭酸ナト
リウム、及びそれらの組合せを含み得る。
【0518】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約1.
0重量%∼約99.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア
組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約5.0重量%∼約45.0重量%の水性液
体担体を含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に 40
対して約5.0重量%∼約35.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態で
は、毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約10.0重量%∼約30.0
重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組
成物の総重量に対して約45.0重量%∼約95.0重量%の水性液体担体を含む。いく
つかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約60.0重
量%∼約90.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成
物は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約45.0重量%∼約75.0重量%の水性液体
担体を含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に対
して約60.0重量%∼約75.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態で
は、毛髪ケア組成物中の水性液体担体の量は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約1.0 50
(146) JP 2022-529644 A 2022.6.23

重量%、約2.0重量%、約3.0重量%、約4.0重量%、約5.0重量%、約6.0
重量%、約7.0重量%、約8.0重量%、約9.0重量%、約10.0重量%、約11
.0重量%、約12.0重量%、約13.0重量%、約14.0重量%、約15.0重量
%、約16.0重量%、約17.0重量%、約18.0重量%、約19.0重量%、約2
0.0重量%、約21.0重量%、約22.0重量%、約23.0重量%、約24.0重
量%、約25.0重量%、約26.0重量%、約27.0重量%、約28.0重量%、約
29.0重量%、約30.0重量%、約31.0重量%、約32.0重量%、約33.0
重量%、約34.0重量%、約35.0重量%、約36.0重量%、約37.0重量%、
約38.0重量%、約39.0重量%、約40.0重量%、約41.0重量%、約42.
0重量%、約43.0重量%、約44.0重量%、約45.0重量%、約46.0重量% 10
、約47.0重量%、約48.0重量%、約49.0重量%、約50.0重量%、約51
.0重量%、約52.0重量%、約53.0重量%、約54.0重量%、約55.0重量
%、約56.0重量%、約57.0重量%、約58.0重量%、約59.0重量%、約6
0.0重量%、約61.0重量%、約62.0重量%、約63.0重量%、約64.0重
量%、約65.0重量%、約66.0重量%、約67.0重量%、約68.0重量%、約
69.0重量%、約70.0重量%、約71.0重量%、約72.0重量%、約73.0
重量%、約74.0重量%、約75.0重量%、約76.0重量%、約77.0重量%、
約78.0重量%、約79.0重量%、約80.0重量%、約81.0重量%、約82.
0重量%、約83.0重量%、約84.0重量%、約85.0重量%、約86.0重量%
、約87.0重量%、約88.0重量%、約89.0重量%、約90.0重量%、約91 20
.0重量%、約92.0重量%、約93.0重量%、約94.0重量%、約95.0重量
%、約96.0重量%、約97.0重量%、約98.0重量%から選択される。
【0519】
4)配合添加剤
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、帯電防止剤(例えば、トリセチ
ルメチルアンモニウムクロリド)、天然又は合成の芳香性エッセンシャルオイル、ゲル化
剤、発泡促進剤、キレート剤(例えば、EDTA)、抗酸化剤(例えば、ブチルヒドロキ
シトルエン、BHT)、没食子酸のプロピル、オクチル、及びドデシルエステル、ブチル
化ヒドロキシアニソール(BHA)、pH調整剤(例えば、クエン酸ナトリウム、クエン
酸、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、及び炭酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、D 30
MDMヒダントイン、エチルパラベン、及びブチルパラベン)、抗菌剤(例えば、トリク
ロサン又はトリクロカーボンなど)、有機溶媒又は希釈剤、真珠光沢補助剤、ビタミン、
香料、紫外線散乱剤、熱保護剤、頭皮保護剤、タンパク質、又は大豆タンパク質、ゼラチ
ン、コラーゲン、絹フィブロイン、及びエラスチンなどの分解タンパク質、絹フィブロイ
ン繊維の加水分解に由来するシルクアミノ酸などの各種アミノ酸、発毛促進剤、ビオチン
、パントテン酸、血流促進剤、τ−オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウム、ニコチ
ン誘導体、抗脂漏剤、硫黄、チアントール、及びそれらの組合せからなる群から選択され
る1以上の配合添加剤を含む。
【0520】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、頭皮保護剤として、トランス− 40
4−tert−ブチル−シクロヘキサノールを含む。
【0521】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、SPF、例えば、限定するもの
ではないが、本明細書に開示される絹フィブロインタンパク質断片、グリセリン、プロピ
レングリコール、加水分解小麦タンパク質PG−プロピルシラントリオール、ポリスチレ
TM
ンスルホン酸ナトリウム、Quaternium−70(Ceraphyl 70)、
TM
polyquaternium−11(Gafquat 755N)、カチオン性ポリ
TM
マーPVP/DMAPAアクリレートコポリマー(Styleze CC−IO、IS
P)、ナトリウムPEG−40マレエート/スチレンスルホネートコポリマー、トリ四級
TM
(triquaternary)ポリジメチルシロキサン(Abil T Quat  50
(147) JP 2022-529644 A 2022.6.23

60、Evonik)、及びそれらの組合せからなる群から選択される熱保護剤を含む。
【0522】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、天然又は合成の芳香性エッセン
シャルオイルを含む。いくつかの実施形態では、芳香性エッセンシャルオイルは、ユーカ
リオイル、ラバンディンオイル、ラベンダーオイル、ベチバーオイル、リトシークベバオ
イル、レモンオイル、サンダルウッドオイル、ローズマリーオイル、カモミールオイル、
セイバリーオイル、ナッツメグオイル、シナモンオイル、ヒソップオイル、キャラウェイ
オイル、オレンジオイル、ゲラニオールオイル、ケイドオイル、アーモンドオイル、アル
ガンオイル、アボカドオイル、スギオイル、小麦胚芽オイル、ベルガモットオイル、及び
それらの組合せからなる群から選択される。 10
【0523】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、ビタミンA、ビタミンB、ビタ
ミンE、ビタミンD、ビタミンK、リボフラビン、ピリドキシン、補酵素チアミンピロホ
スフェート、フラビンアデニンジヌクレオチド、葉酸、ピリドキサールホスフェート、テ
トラヒドロ葉酸(tetradrofolic acid)、及びそれらの組合せからな
る群から選択されるビタミンを含む。
【0524】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.
01重量%∼約8.0重量%でビタミン及び/又は補酵素を含む。いくつかの実施形態で
は、毛髪ケア組成物は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.001重量%∼約10. 20
0重量%でビタミン及び/又は補酵素を含む。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物
は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約0.05重量%∼約5.0重量%でビタミン及び
/又は補酵素を含む。
【0525】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、トリアゾール、イミダゾール、
ナフタレン誘導体、ベンズイミダゾール、モルホリン(morphline)誘導体、ジ
チオカルバメート、ベンズイソチアゾール、ベンズアミド、ホウ素化合物、ホルムアルデ
ヒド供与体、イソチアゾロン、チオシアネート、四級アンモニウム化合物、ヨウ素誘導体
、フェノール誘導体、殺菌剤、ピリジン、ジアルキルチオカルバメート、ニトリル、パラ
ベン、アルキルパラベン、及びそれらの塩からなる群から選択される防腐剤を含む。 30
【0526】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、任意に、使用時に発泡をもたらすための
発泡増強剤又は噴射剤として、揮発性有機液体を含む。揮発性有機液体は、一次界面活性
剤によって生成される泡を増加させるために使用され、空気と温度に曝されると瞬時に大
量の泡を生成するガス生成剤である。揮発性有機液体泡増強剤は、好ましくは、大気圧下
にて25℃∼50℃で沸騰する。いくつかの実施形態では、揮発性有機液体発泡促進剤は
、飽和炭化水素(例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ブタン、イソブテン)、C
1−C6アルキルエーテル(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテル)、及びそれらの組合せからなる群から選択される
。毛髪ケア組成物中の揮発性有機液体の使用量は、配合されるヘアケア製品のタイプ及び 40
揮発性有機液体によってもたらされる機能に依存する。いくつかの実施形態では、揮発性
有機液体は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約1重量%∼約7重量%の量で存在する。
いくつかの実施形態では、揮発性有機液体は、毛髪ケア組成物の総重量に対して約3重量
%∼4重量%の量で存在する。
【0527】
2.製品形態
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、水溶液、エタノール溶液、オイル、ジェ
ル、エマルジョン、懸濁液、ムース、液晶、固体、ジェル類、ローション、クリーム、エ
アゾルスプレー、ペースト、フォーム、及びトニックからなる群から選択される形態で処
方される。いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、クリーム、スプレー、エアロゾ 50
(148) JP 2022-529644 A 2022.6.23

ルムース、又はジェルからなる群から選択される形態である。
【0528】
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、プレシャンプー製品、シャンプー製品、
ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、セッティングローション、ブ
ロースタイリングローション、ヘアスプレー、ヘアスタイリングフォーム、ヘアスタイリ
ングジェル、スタイリングジェル、スタイリングクリーム、スタイリングムース、スタイ
リングフォーム、スタイリングスプレー、スタイリングスプリッツ、スタイリングミスト
、スタイリンググレーズ、スタイリングフィックス、スカルプティングローション、スカ
ルプティングジェル、スカルプティンググレーズ、スカルプティングスプレー、グロスジ
ェル、グロススプリッツ;シェーピングジェル、フォーミングムース、モデリングスプリ 10
ッツ、フィニッシングスプリッツ、フィクシングジェル、セッティングローション、パー
マネントウェービング剤、ヘアオイル、ヘアリキッド、ヘアトニック、ヘアクリーム、及
びヘア化粧品からなる群から選択されるヘアケア製品である。
【0529】
 いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片を含む毛髪
ケア組成物と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含むヘアワックス製品
を提供する。
【0530】
 いくつかの実施形態では、本開示は、SPF、例えば、限定するものではないが、本明
細書に開示される絹フィブロインタンパク質断片と、毛髪ケア組成物の総重量に対して2 20
0.0重量%未満の、(a)サルフェートベースの界面活性剤、(b)シリコンベースの
界面活性剤、(c)合成界面活性剤を含む界面活性剤系とを含む発泡可能な毛髪ケア組成
物を提供する。
【0531】
 いくつかの実施形態では、本開示は、毛髪のキューティクルをコーティングし、毛髪の
縮れを管理することができる、絹の断片を含む毛髪ケア組成物を提供する。
【0532】
 いくつかの実施形態では、本開示は、SPF、例えば、限定するものではないが、本明
細書に開示される絹フィブロインタンパク質断片を含む、毛髪光沢を上昇させることがで
きる毛髪ケア組成物を提供する。 30
【0533】
 いくつかの実施形態では、本開示は、SPF、例えば、限定するものではないが、本明
細書に開示される絹フィブロインタンパク質断片を含む、ヘアカラーを増強することがで
きる毛髪ケア組成物を提供する。
【0534】
I.ヘアスプレー
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、絹フィブロインタンパク質断片溶液と、
10を超えるHLB値を有する多価材料(多価アルコール及び/又は多糖類)と、植物抽
出物と、前記水性液体担体とを含むヘアスタイリング製品であり、多価アルコールはグリ
セロールを含み、絹フィブロインタンパク質断片は、膜形成剤として含有される。 40
【0535】
 いくつかの実施形態では、ヘアスタイリング製品は、ヘアスプレー又は特殊タイプの固
定剤である。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の絹フィブロイン断片
と、本明細書に記載の皮膚科学的に許容される担体とを含む毛髪ケア組成物を含む熱保護
スプレーを提供する。いくつかの実施形態では、シルク毛髪ケア組成物は、矯正アイロン
、ヘアドライヤー、カーリングトングなどの加熱されたスタイリング器具によって引き起
こされるダメージを防止するのに有用である。開示された熱保護スプレーは、毛髪を60
℃∼300℃の温度、好ましくは170℃∼230℃の温度に加熱することによって引き
起こされるダメージに対する保護を提供する。
【0536】 50
(149) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 膜形成剤は、毛髪を保持する性質及びカール保持、櫛で梳かす際の剥離又は粉末が殆ど
なく、毛髪の急速な硬化又は乾燥、非粘着性を提供し、シャンプーによって容易に除去可
能である。膜形成剤は、通常、10超のHLB値を有するアルコール又はアルコールと水
との混合物である溶媒によって送達される。
【0537】
 いくつかの実施形態では、ヘアスタイリング製品は、ヘアスプレーの形態であり得る。
ヘアスプレーは、通常、ヘアスタイリング剤と、化粧品として許容される担体とを含む。
いくつかの実施形態では、担体は、水又は水とアルコールとの混合物である。スプレー配
合物は、任意に、抗酸化剤、日焼け止め剤、ビタミン、タンパク質、ペプチド、植物抽出
物、ヒューメクタント、オイル、皮膚軟化剤、潤滑剤、増粘剤、ヘアコンディショニング 10
剤、ポリマー、及び/又は界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、ヘアスプレーは
、防腐剤を含む。いくつかの実施形態では、ヘアスプレーは、芳香剤を含む。いくつかの
実施形態では、ヘアスプレーは、界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、ヘアスプ
レーは、水、芳香剤、防腐剤、及び絹フィブロインタンパク質断片溶液を含む。いくつか
の実施形態では、ヘアスプレーは、水、芳香剤、防腐剤、及び絹フィブロインタンパク質
断片溶液を含む。いくつかの実施形態では、ヘアスプレーは、水、防腐剤、芳香剤、架橋
剤、及び帯電防止剤を含む。いくつかの実施形態では、ヘアスプレーは、水、防腐剤、芳
香剤、絹フィブロインタンパク質断片溶液、及びヘアコンディショニング剤を含む。いく
つかの実施形態では、ヘアスプレーは、水、防腐剤、芳香剤、絹フィブロインタンパク質
断片溶液、及び界面活性剤を含む。 20
【0538】
 いくつかの実施形態では、ヘアスプレーは、ヘアスプレーの総重量に対して約1.0重
量%∼約6.0重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロインベースのタンパ
ク質断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約5kDa∼約300kD
aの重量平均分子量を有し、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3
.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、ヘアスプレーは、ヘアスプレーの総
重量に対して約1.0重量%∼約3.0重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィ
ブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約
5kDa∼約300kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロインベースのタンパク質
断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、ヘアスプレ 30
ーは、ヘアスプレーの総重量に対して約3.0重量%∼約6.0重量%の、実質的にセリ
シンを欠いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベース
のタンパク質断片は、約5kDa∼約300kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロ
インベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。
【0539】
 いくつかの実施形態では、ヘアスプレーは、ヘアスプレーの総重量に対して約1.0重
量%∼約3.0重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロインベースのタンパ
ク質断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約6kDa∼約17kDa
の重量平均分子量を有し、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.
0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、ヘアスプレーは、ヘアスプレーの総重 40
量に対して約1.0重量%∼約3.0重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブ
ロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約1
7kDa∼約39kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロインベースのタンパク質断
片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、ヘアスプレー
は、ヘアスプレーの総重量に対して約3.0重量%∼約6.0重量%の、実質的にセリシ
ンを欠いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベースの
タンパク質断片は、約39kDa∼約80kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロイ
ンベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。
【0540】
 いくつかの実施形態では、ヘアスプレーは、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロ 50
(150) JP 2022-529644 A 2022.6.23

インベースのタンパク質断片を含み、前記絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約
6kDa∼約17kDa、約17kDa∼約39kDa、及び/又は約39kDa∼約8
0kDaの重量平均分子量を有し、前記絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約1
.5の多分散性を有し、前記絹フィブロインベースのタンパク質断片は、ヘアスプレーの
総重量に対して約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約
1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約
1.9重量%、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約
2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約
2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約
3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約 10
3.9重量%、約4.0重量%、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約
4.4重量%、約4.5重量%、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約
4.9重量%、約5.0重量%、約5.1重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、約
5.4重量%、約5.5重量%、約5.6重量%、約5.7重量%、約5.8重量%、約
5.9重量%、約6.0重量%から選択される量で存在する。
【0541】
 ヘアスプレーのエアロゾル形態組成物は、容器から他の材料を排出し、ムース組成物に
おいてムース特性を形成するエアロゾル噴射剤を含む。本開示のスタイリング組成物に含
まれるエアロゾル噴射剤は、エアロゾル容器に従来使用されている任意の液化可能ガスで
あり得る。好適な噴射剤の例としては、ジメチルエーテル、並びにプロパン、n−ブタン 20
、及びイソブタンなどの炭化水素噴射剤が挙げられる。噴射剤は、単独で使用することも
、混合して使用することもできる。水不溶性噴射剤、特に炭化水素は、攪拌時にエマルジ
ョン液滴を形成し、必要に応じて好適なムース泡密度を生成することができるので、好ま
しい。
【0542】
 使用される噴射剤の量は、エアロゾル技術でよく知られた通常の要因によって決まる。
ムースの場合、噴射剤の量、通常、組成物の総重量に基づいて、最大35重量%、好まし
くは2重量%∼30重量%、最も好ましくは3重量%∼15重量%である。ジメチルエー
テルなどの噴射剤が、蒸気圧抑制剤(例えば、トリクロロエタン又はジクロロメタン)を
含む場合、重量パーセントの計算において、抑制剤の量は、噴射剤の一部として含まれる 30
。エアロゾルスプレーの場合、通常、噴射剤の量は高くなり、全組成物の好ましくは30
∼98重量%、より好ましくは50∼95重量%である。
【0543】
 好ましい噴射剤は、プロパン、n−ブタン、イソブテン、ジメチルエーテル、及びそれ
らの混合物から選択される。好ましくは、噴射剤は、ジメチルエーテルと、プロパン、n
−ブタン、及びイソブテンのうちの少なくとも1つとを含む。本開示に係るエアロゾルヘ
アスタイリングムース組成物を調製する方法は、従来のエアロゾル充填手順にしたがう。
組成物の各成分(噴射剤は含まない)は、好適な加圧可能な容器に充填され、密封され、
次いで、従来の技術にしたがって噴射剤が充填される。
【0544】 40
II.ヘアスタイリングクリーム、ヘアスタイリングジェル
 いくつかの実施形態では、ヘアスタイリング製品はまた、ヘアスタイリングクリーム又
はジェルなどの非発泡性製品形態であることができる。いくつかの実施形態では、ヘアス
タイリング製品は、クリームの形態であることができる。いくつかの実施形態では、ヘア
スタイリング製品は、ジェルの形態であることができる。いくつかの実施形態では、ヘア
クリーム/ジェルは、放置使用用(for leave in use)である。いくつ
かの実施形態では、ヘアクリーム/ジェルは、透明又は半透明である。
【0545】
 いくつかの実施形態では、ヘアスタイリングクリーム/ジェルは、絹フィブロインタン
パク質断片溶液、10超のHLB値を有する多価材料(多価アルコール及び/又は多糖類 50
(151) JP 2022-529644 A 2022.6.23

)、及び前記水性液体担体を含み、多価アルコールは、グリセロールを含み、絹フィブロ
インタンパク質断片は、膜形成剤として含有される。
【0546】
 いくつかの実施形態では、ヘアスタイリングクリーム/ジェルは、ヘアスタイリング製
品の総重量に対して約1.0重量%∼約6.0重量%の、実質的にセリシンを欠いている
絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片
は、約5kDa∼約300kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロインベースのタン
パク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、ヘア
スタイリングクリーム/ジェルは、ヘアスタイリング製品の総重量に対して約1.0重量
%∼約3.0重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロインベースのタンパク 10
質断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約5kDa∼約300kDa
の重量平均分子量を有し、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.
0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、ヘアスタイリングクリーム/ジェルは
、ヘアスタイリング製品の総重量に対して約3.0重量%∼約6.0重量%の、実質的に
セリシンを欠いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベ
ースのタンパク質断片は、約5kDa∼約300kDaの重量平均分子量を有し、絹フィ
ブロインベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。
【0547】
 いくつかの実施形態では、ヘアスタイリングクリーム/ジェルは、ヘアスタイリングク
リーム/ジェルの総重量に対して約1.0重量%∼約3.0重量%の、実質的にセリシン 20
を欠いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベースのタ
ンパク質断片は、約17kDa∼約39kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロイン
ベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。いくつかの実施形
態では、ヘアスタイリングクリーム/ジェルは、ヘアスタイリングクリーム/ジェルの総
重量に対して約3.0重量%∼約6.0重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィ
ブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約
39kDa∼約80kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロインベースのタンパク質
断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。
【0548】
 いくつかの実施形態では、ヘアスタイリングクリーム/ジェルは、実質的にセリシンを 30
欠いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベースのタン
パク質断片は、約6kDa∼約17kDa、約17kDa∼約39kDa、及び/又は約
39kDa∼約80kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロインベースのタンパク質
断片は、約1.5の多分散性を有し、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、ヘアス
タイリングクリーム/ジェルの総重量に対して約1.0重量%、約1.1重量%、約1.
2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.
7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.
2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.
7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.
2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3. 40
7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4.0重量%、約4.1重量%、約4.
2重量%、約4.3重量%、約4.4重量%、約4.5重量%、約4.6重量%、約4.
7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%、約5.0重量%、約5.1重量%、約5.
2重量%、約5.3重量%、約5.4重量%、約5.5重量%、約5.6重量%、約5.
7重量%、約5.8重量%、約5.9重量%、約6.0重量%から選択される量で存在す
る。
【0549】
 いくつかの実施形態では、ヘアスタイリングクリーム/ジェルは、実質的にセリシンを
欠いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベースのタン
パク質断片は、39kDa∼80kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロインベース 50
(152) JP 2022-529644 A 2022.6.23

のタンパク質断片は、約1.5の多分散性を有し、絹フィブロインベースのタンパク質断
片は、ヘアスタイリングクリーム/ジェルの総重量に対して約1.0重量%、約1.1重
量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重
量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.0重量%、約2.1重
量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重
量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重
量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重
量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4.0重量%、約4.1重
量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約4.4重量%、約4.5重量%、約4.6重
量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%、約5.0重量%、約5.1重 10
量%、約5.2重量%、約5.3重量%、約5.4重量%、約5.5重量%、約5.6重
量%、約5.7重量%、約5.8重量%、約5.9重量%、約6.0重量%の量で存在す
る。
【0550】
 更に、クリームは、オイル、ヘアコンディショニング剤、及び/又は増粘剤を含むこと
ができる。クリームはまた、芳香剤、植物抽出物、及び/又は界面活性剤を含むことがで
きる。クリームは、チューブ、タブ、ボトル、又は他の好適な容器に包装することができ
る。
【0551】
 更に、クリームは、液体の揮発性有機炭化水素に実質的に不溶であり、空気への曝露に 20
対して寸法安定性を有するポリマーを含むことができる。好適には、カルボキシビニルポ
リマーの分子量は、少なくとも750,000、好ましくは少なくとも1,250,00
0、最も好ましくは少なくとも3,000,000である。好ましいカルボキシビニルポ
リマーは、アリルスクロース又はアリルペンタエリスリトールで架橋されたアクリル酸の
コポリマー(例えば、CARBOPOL(登録商標)934、940、941、及び98
0)である。構造化剤(structurants)又は増粘剤としても使用できる他の
材料としては、組成物にゲル状の粘度を与えることができるもの、例えば、メチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びカルボキ
シメチルセルロース、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、キサンタンガ
ム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルグアーガム、デ 30
ンプン、及びデンプン誘導体が挙げられる。また、タルク、ヒュームドシリカ、ベントナ
イト、又はラポナイト粘土などの無機増粘剤を使用することもできる。
【0552】
 係るクリーム又はジェルは、ヘアスタイリングクリーム又はジェルの総重量に基づいて
、通常、0.1重量%∼10重量%、好ましくは0.5重量%∼3重量%の量で構造化剤
又は増粘剤を含む。好適な構造化剤又は増粘剤の例としては、ポリマー増粘剤、例えば、
カルボキシビニルポリマーが挙げられる。カルボキシビニルポリマーは、モノマーである
オレフィン性不飽和カルボン酸を含むモノマー混合物のインターポリマーであり、多価ア
ルコールのポリエーテルの全モノマーの約0.01重量%∼約10重量%を構成する。カ
ルボキシビニル 40
【0553】
III.シャンプー
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、絹フィブロインタンパク質断片溶液と、
HLB値>10を有する多価材料(多価アルコール及び/又は多糖類)と、前記シャンプ
ーベースとを含むシャンプー製品であり、水溶性SPF、例えば、限定するものではない
が、絹フィブロインタンパク質断片は、シャンプーの洗浄性界面活性剤として機能する。
SPF、例えば、限定するものではないが、絹フィブロインタンパク質断片をシャンプー
は、毛髪にマッサージしたときに泡立ち、よく洗い流され、使用時に「きしむ」感触を与
える。
【0554】 50
(153) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 いくつかの実施形態では、シャンプーは、約2.0重量%∼約5.0重量%の、実質的
にセリシンを欠いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロイン
ベースのタンパク質断片は、約5kDa∼約80kDaの重量平均分子量を有し、絹フィ
ブロインベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。
【0555】
 いくつかの実施形態では、シャンプーは、約3.5重量%∼約5.0重量%の、実質的
にセリシンを欠いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロイン
ベースのタンパク質断片は、約5kDa∼約80kDaの重量平均分子量を有し、絹フィ
ブロインベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。
【0556】 10
 いくつかの実施形態では、シャンプーは、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロイ
ンベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、5kDa
∼80kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約1
.5の多分散性を有し、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、シャンプー組成物の
総重量に対して約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約
2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約
2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約
3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約
3.9重量%、約4.0重量%、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約
4.4重量%、約4.5重量%、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約 20
4.9重量%、及び約5.0重量%から選択される量で存在する。
【0557】
 いくつかの実施形態では、シャンプーは、約5.0重量%の、実質的にセリシンを欠い
ている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク
質断片は、5kDa∼80kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロインベースのタン
パク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。
【0558】
 いくつかの実施形態では、シャンプーは、約2.0重量%∼約5.0重量%の、実質的
にセリシンを欠いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロイン
ベースのタンパク質断片は、6kDa∼17kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロ 30
インベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。いくつかの実
施形態では、シャンプーは、約3.5重量%∼約5.0重量%の、実質的にセリシンを欠
いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベースのタンパ
ク質断片は、6kDa∼17kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロインベースのタ
ンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、シ
ャンプーは、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含
み、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、6kDa∼17kDaの重量平均分子量
を有し、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約1.5の多分散性を有し、絹フィ
ブロインベースのタンパク質断片は、シャンプー組成物の総重量に対して約2.0重量%
、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量% 40
、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3.0重量%
、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%
、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4.0重量%
、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約4.4重量%、約4.5重量%
、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%、及び約5.0重
量%から選択される量で存在する。いくつかの実施形態では、シャンプーは、約5.0重
量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、
絹フィブロインベースのタンパク質断片は、5kDa∼15kDaの重量平均分子量を有
し、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する
。 50
(154) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0559】
 いくつかの実施形態では、シャンプーは、約2.0重量%∼約5.0重量%の、実質的
にセリシンを欠いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロイン
ベースのタンパク質断片は、17kDa∼39kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブ
ロインベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。
【0560】
 いくつかの実施形態では、シャンプーは、約3.5重量%∼約5.0重量%の、実質的
にセリシンを欠いている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロイン
ベースのタンパク質断片は、17kDa∼39kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブ
ロインベースのタンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。 10
【0561】
 いくつかの実施形態では、シャンプーは、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロイ
ンベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、17kD
a∼39kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、約
1.5の多分散性を有し、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、シャンプー組成物
に対して約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4
重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9
重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4
重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9
重量%、約4.0重量%、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約4.4 20
重量%、約4.5重量%、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9
重量%、及び約5.0重量%から選択される量で存在する。
【0562】
 いくつかの実施形態では、シャンプーは、約5.0重量%の、実質的にセリシンを欠い
ている絹フィブロインベースのタンパク質断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク
質断片は、17kDa∼39kDaの重量平均分子量を有し、絹フィブロインベースのタ
ンパク質断片は、約1.5∼約3.0の多分散性を有する。
【0563】
 いくつかの実施形態では、シャンプーは、毛髪に栄養を与え、コンディショニングする
ためのコンディショニング剤として、シャンプーの総重量に対して約0.01重量%∼約 30
3.0重量%の、前記絹フィブロインアミノ酸(Gly+Ala+Ser)及び/又は低
分子量絹フィブロインペプチド(200Da∼5kDa)を更に含む。
【0564】
IV ヘアコンディショナー
 いくつかの実施形態では、毛髪ケア組成物は、SPF、例えば、限定するものではない
が、HLB値>10を有する多価材料(多価アルコール及び/又は多糖類)と、エマルジ
ョンベースと、前記ヘアコンディショニング活性剤とを含むヘアコンディショナーの形態
であり、絹乳化剤によって乳化可能な油性材料を含むエマルジョン担体の油相は、植物油
、イソドデカン、及びイソヘキサデカン、並びに脂肪酸の1以上の油性エステルからなる
群から選択され、植物油は、ホホバ油及び/又はカメリア油から選択され、前記油性エス 40
テルは、イソノニルイソノナノエート及びココカプリレートから選択される。
【0565】
 いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、リーブイン又はリーブオン用であ
る。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、透明又は半透明である。いくつ
かの実施形態では、ヘアコンディショナーは、べたつきや油っぽさを与えることなく、毛
髪に良好な感触を付与する。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、リンス
オフ用である。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、使用時に向上した感
触を付与するためのヘアコンディショニング剤として、前記絹フィブロインペプチドを含
む。
【0566】 50
(155) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、本明細書に記載の任意の絹フィブ
ロインペプチド又は任意の絹フィブロイン断片を含む。いくつかの実施形態では、ヘアコ
ンディショナーは、ヘアコンディショナーの総重量に対して約0.01重量%∼約3.0
重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロインペプチドを含み、絹フィブロイ
ンペプチドは、約200Da∼約5kDaの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形
態では、ヘアコンディショナーは、ヘアコンディショナーの総重量に対して約0.01重
量%∼約0.06重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロインペプチドを含
み、絹フィブロインペプチドは、約200Da∼約5kDaの重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、ヘアコンディショナーの総重量に対
して約0.1重量%∼約2.0重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロイン 10
ペプチドを含み、絹フィブロインペプチドは、約200Da∼約5kDaの重量平均分子
量を有する。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、ヘアコンディショナー
の総重量に対して約0.5重量%∼約2.0重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹
フィブロインペプチドを含み、絹フィブロインペプチドは、約200Da∼約5kDaの
重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、ヘアコン
ディショナーの総重量に対して約0.6重量%∼約1.5重量%の、実質的にセリシンを
欠いている絹フィブロインペプチドを含み、絹フィブロインペプチドは、約200Da∼
約5kDaの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナー
は、ヘアコンディショナーの総重量に対して約0.6重量%∼約0.75重量%の、実質
的にセリシンを欠いている絹フィブロインペプチドを含み、絹フィブロインペプチドは、 20
約200Da∼約5kDaの重量平均分子量を有する。
【0567】
 いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、ヘアコンディショナーの総重量に
対して約0.01重量%∼約3.0重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロ
インペプチドを含み、絹フィブロインペプチドは、約200Da∼約1000Daの重量
平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、ヘアコンディ
ショナーの総重量に対して約0.01重量%∼約0.6重量%の、実質的にセリシンを欠
いている絹フィブロインペプチドを含み、絹フィブロインペプチドは、約200Da∼約
1000Daの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナ
ーは、ヘアコンディショナーの総重量に対して約0.1重量%∼約2.0重量%の、実質 30
的にセリシンを欠いている絹フィブロインペプチドを含み、絹フィブロインペプチドは、
約200Da∼約1000Daの重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、ヘ
アコンディショナーは、ヘアコンディショナーの総重量に対して約0.6重量%∼約1.
5重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロインペプチドを含み、絹フィブロ
インペプチドは、約200Da∼約1000Daの重量平均分子量を有する。
【0568】
 いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、ヘアコンディショナーの総重量に
対して約0.01重量%∼約3.0重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロ
インペプチドを含み、絹フィブロインペプチドは、約1000Daの重量平均分子量を有
する。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、ヘアコンディショナーの総重 40
量に対して約0.1重量%∼約2.0重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブ
ロインペプチドを含み、絹フィブロインペプチドは、約1000Daの重量平均分子量を
有する。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、ヘアコンディショナーの総
重量に対して約0.6重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロインペプチド
を含み、絹フィブロインペプチドは、約1000Daの重量平均分子量を有する。いくつ
かの実施形態では、ヘアコンディショナーは、ヘアコンディショナーの総重量に対して約
0.6重量%∼約1.6重量%の、実質的にセリシンを欠いている絹フィブロインペプチ
ドを含み、絹フィブロインペプチドは、約1000Daの重量平均分子量を有する。
【0569】
 いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、ヒューメクタントとして送達し、 50
(156) JP 2022-529644 A 2022.6.23

毛髪に栄養を与えるためのヘアコンディショニング剤として、前記絹フィブロインアミノ
酸を含む。いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質アミノ酸は、加水分解さ
れた絹フィブロインに由来する。いくつかの実施形態では、絹フィブロインアミノ酸は、
市販の加水分解絹(CAS番号:96690−41−4)から得られる。Bombyxm
oriの絹フィブロインタンパク質のアミノ酸組成は、主に、Gly(43%)、Ala
(30%)、及びSer(12%)からなる。
【0570】
 いくつかの実施形態では、絹フィブロインアミノ酸は、ヘアコンディショナー中、ヘア
コンディショナーの総重量に対して約0.001重量%∼約1.5重量%の範囲の重量パ
ーセントで存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロインアミノ酸は、ヘアコンデ 10
ィショナー中、ヘアコンディショナーの総重量に対して約0.1重量%∼約1.0重量%
の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロインアミノ酸
は、ヘアコンディショナー中、ヘアコンディショナーの総重量に対して約0.2重量%∼
約0.6重量%の範囲の重量パーセントで存在する。
【0571】
 いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、絹フィブロインタンパク質断片(
5kDa∼80kDa)、及び/又は絹アミノ酸(Gly+Ala+Ser)、及び/又
は低分子量絹フィブロインペプチド(200Da∼5kDa)の混合物を含み、絹フィブ
ロインタンパク質断片、絹フィブロインペプチド、及び絹フィブロインアミノ酸は、それ
ぞれ独立して、ヘアコンディショナー中、ヘアコンディショナーの総重量に対して約0. 20
1重量%∼約1.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。
【0572】
 いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、多糖類に由来するカチオン性ポリ
マー、例えば、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体、カチオン性グ
アーガム誘導体、及びカチオン性ローカストビーンガム誘導体、合成カチオン性ポリマー
、これらの剤の混合物又は組合せを含むことができる。配合物は、他の合成又は天然ポリ
マー、又は生物学的調製プロセスに由来するポリマーを含むことができ、これらは、必要
に応じて、例えばカチオン性又は中性基で官能化される。これらのポリマーは、組成物に
対して安定化作用又は強化作用、及び/又はコンディショニング作用(皮膚又は毛髪の表
面への沈着)を有し得る。 30
【0573】
 いくつかの実施形態では、エマルジョン担体は、油中水型エマルジョン、油中水型エマ
ルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、又は双連続性マイクロエマルジョ
ンである。ヘアコンディショナーは、任意に、抗酸化剤、日焼け止め剤、ビタミン、タン
パク質、ペプチド、植物抽出物、ヒューメクタント、オイル、皮膚軟化剤、潤滑剤、増粘
剤、ヘアコンディショニング剤、ポリマー、及び/又は界面活性剤を含む。いくつかの実
施形態では、ヘアコンディショナーは、防腐剤を含む。いくつかの実施形態では、ヘアコ
ンディショナーは、芳香剤を含む。いくつかの実施形態では、ヘアスプレーは、界面活性
剤を含む。いくつかの実施形態では、ヘアコンディショナーは、水、芳香剤、防腐剤を含
む。 40
【0574】
 ヘアコンディショニング剤は、任意の好適な濃度で含まれ得る。いくつかの実施形態で
は、コンディショナーに存在するヘアコンディショニング剤の量は、ヘアコンディショナ
ー組成物の総重量に対して約0.01重量%∼約50重量%である。いくつかの実施形態
では、コンディショナーに存在するヘアコンディショニング剤の量は、ヘアコンディショ
ナー組成物の総重量に対して約0.1重量%∼約25.0重量%である。いくつかの実施
形態では、コンディショナーに存在するヘアコンディショニング剤の量は、ヘアコンディ
ショナー組成物の総重量に対して約1.0重量%∼約15.0重量%である。
【実施例】
【0575】 50
(157) JP 2022-529644 A 2022.6.23

 本明細書に含まれる実施形態は、以下の実施例を参照して説明される。これらの実施例
は、例示のみを目的としており、本明細書に含まれる開示は、これらの実施例に何ら限定
されると解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に与えられる教示の結果として明ら
かになるあらゆる変形を包含すると解釈されるべきである。
【0576】
一般的手順
 本開示の組成物は、当技術分野で知られた様々な方法によって調製することができる。
係る方法としては、以下の実施例の方法、及び以下に具体的に例示される方法が挙げられ
る。本明細書の実施例においては、「低分子量」、「低MW」、又は「low−MW」の
絹フィブロイン断片は、約14∼約30kDaの分子量を有する断片を含む。本明細書の 10
実施例においては、「中分子量」、「中MW」、又は「mid−MW」の絹フィブロイン
断片は、約39∼約54kDaの分子量を有する断片を含む。
【0577】
実施例1:ストレートスタイルのシルク毛髪ケア組成物
 図1A∼図1Cは、毛髪をストレートにし、カールさせるためのヘアスタイリング樹脂
としての絹フィブロインタンパク質断片水溶液を示し、スタイルとカールの保持を提供す
る。図1A:未処理の茶色の毛髪の房。図1B:中分子量の絹フィブロイン溶液(6重量
%、0.8mL)を未処理の茶色の毛髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10
回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥した。ストレートなスタイルが実現されている。図
1C:中分子量の絹フィブロイン溶液(6重量%、0.8mL)を茶色の毛髪の房に塗布 20
し、毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、コニカルチューブ(直径30mm)の周りに
巻きながら高熱で120秒間ブロー乾燥した。カールしたスタイルが実現されている。高
保持スタイリング製品中の典型的な樹脂濃度:3∼6重量%;緩い保持スタイリング製品
中の典型的な樹脂濃度:1∼3重量%。
【0578】
実施例2:界面活性剤/シャンプーアクティブシルク毛髪ケア組成物
 図2A∼図2Dは、界面活性剤/シャンプー活性剤としての絹フィブロインタンパク質
断片水溶液を示し;絹を髪にマッサージすると泡立ち、これをよく洗い流すと、塗布時に
清潔で透明感のある感触を与える。図2A:未処理の茶色の毛髪の房。図2B:水(0.
3mL)を茶色の毛髪の房に塗布し湿らせ、次いで、Tween 20(5重量%、0. 30
6mL)を毛髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高熱で120秒
間ブロー乾燥した。図2C:水(0.3mL)を茶色の毛髪の房に塗布し湿らせ、次いで
、中分子量の絹フィブロイン溶液(5%固形分、0.6mL)を毛髪の房に塗布した。毛
髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高熱で120秒間ブロー乾燥した。図2D:水(0
.3mL)を茶色の毛髪の房に塗布し湿らせ、Low−MWの絹フィブロイン溶液(5%
固形分、0.6mL)を毛髪の房に塗布した。毛髪の房を細かい歯の櫛で10回梳き、高
熱で120秒間ブロー乾燥した。試験した界面活性剤はいずれも、洗浄中に泡を生じさせ
た。低分子量の絹フィブロイン溶液は、マッサージ中に特に透明感があり、界面活性剤の
性能が良好であることを示す。いずれのサンプルも十分にブロー乾燥し、識別可能な残留
物は残っていない。 40
【0579】
実施例3:絹フィブロイン溶液の界面活性剤洗浄力
 表19は、絹フィブロイン溶液A及び絹フィブロイン溶液Bを含むさまざまな界面活性
剤の油分除去効果を示す。フィブロイン溶液を、一般に使用されているパーソナルケア界
面活性剤であるラウレス−3と比較した。データを取得するために、房にラベルを付け、
質量を記録した。N=2の房を、処理ごとに準備した。対象となる各界面活性剤について
、水道水中の界面活性剤の1%溶液を調製した(1L)。試験するために、房に0.45
mLのオリーブオイルを均一にコーティングした。次いで、房を試験溶液に20回浸した
。次いで、房を水道水(1L)に10回浸した。これらの工程を、対象の界面活性剤ごと
に繰り返した。房を3日間風乾させ、乾燥したら再度、塊にして油分除去を計算した。 50
(158) JP 2022-529644 A 2022.6.23

表19.界面活性剤の相対的洗浄力
【表19】

【0580】
実施例4.毛髪への絹フィブロインベースのヘアスムージングセラピーの沈着
 ブリーチした毛髪サンプルを水道水で濯ぎ、低MW絹の3%溶液で処理し、再度濯ぎ、
一晩風乾した。処理後の毛髪及びブリーチした未処理の毛髪の少量サンプルを、10nm
(80:20)Pt:Pdコーティングでスパッタコーティングし、JEOL 7900
F SEMを使用して分析した。ブリーチした未処理の毛髪のSEM画像(図3A)と絹
で処理後の毛髪のSEM画像(図3B)を並べて比較すると、絹フィブロインコーティン
グによるケラチン繊維のスムージング作用が示された。
【0581】 20
実施例5.絹フィブロインベースのヘアトリートメントと、毛髪の梳かし易さ及び光沢に
与えるそれらの影響
 ブリーチしたストレートな毛髪の房を15%ラウリル硫酸ナトリウムと70%イソプロ
ピルアルコールで均一に洗浄し、乾燥させた。房を水道水で10秒間濯いだ後、2mLの
溶液(表20に記載)を毛髪の房に塗布した。房を5回梳かしながら、溶液を再度、水道
水で10秒間濯いだ。梳かし易さは、櫛の広い側で評価した。梳かし易さは、1(非常に
梳かしにくい)から5(非常に梳かし易い)のスケールで評価した。房を一晩乾燥させ、
同一評価尺度で、櫛の狭い側にて、乾燥時の櫛の梳かし易さを再度評価した。各房の光沢
は、ETB−0833セルフキャリブレーション20°60°85°グロスメーターを使
用して、溶液処理の前後に60°の設定で測定した。試験に適用した官能化絹の化学構造 30
を、表20に示す。官能化絹によって付与される梳かし易さ及び光沢の試験結果を、以下
の表21及び表22にまとめる。
表20.試験で使用した官能化絹
(159) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【表20】

表21.ウェット時及びドライ時の梳かし易さに対する絹溶液の影響の評価
(1=最低、5=最高)
(160) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【表21】

表22.絹溶液の塗布による光沢の変化
【表22】

【0582】 50
(161) JP 2022-529644 A 2022.6.23

実施例6.絹フィブロインベースのヘアトリートメントと、髪の滑らかさ、縮れ、カール
具合に対するそれらの影響
 巻き髪の房を15%ラウリル硫酸ナトリウムで均一に洗浄し、乾燥させた。房を水道水
で20秒間濯いだ後、1mLのヘアトリートメント溶液(表23に記載)を毛髪に塗布し
た。溶液を30秒間穏やかにマッサージした。塗布後、房を、再度水道水で20秒間濯い
だ。房を一晩乾燥させ、5名の観察に基づいて、1(最も望ましくない結果)∼5(最も
望ましい結果)のスケールでカール具合、縮れ、及び滑らかさについて評価した。図5は
、各栄養パラメータの視覚的評価をまとめたグラフである。分析したシルクタイプはいず
れも、業界標準の加水分解小麦タンパク質と同等以上の性能を示した。
表23.カール具合、縮れ、及び滑らかさに対する絹溶液の影響の評価 10
(1=最低、5=最高)
【表23】

【0583】
実施例7.絹フィブロインベースのヘアトリートメントと、毛髪への撥水性に対するそれ
らの影響
 ブリーチした毛髪の房を15%ラウリル硫酸ナトリウムで均一に洗浄し、乾燥させた。 40
房を5mLの溶液(表4に記載)で処理し、高熱でブロー乾燥した。ディスポーザブルの
3mLピペットを使用して、乾燥した房に水道水を1滴垂らし、その滴の濡れ時間をスト
ップウォッチで記録した。各房について3滴分記録し、それらの平均湿潤時間を表24に
記録した。
表24.毛髪への絹溶液の平均潤れ時間のまとめ
(162) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【表24】

【0584】
実施例8.絹フィブロインベースのヘアトリートメントと、ヘアスタイリング及び感触に
対するそれらの影響 20
実施例8a.カール保持
 ヒトの毛髪を有するマネキンの頭部を、左右の部分に均等に分けた。マネキンの右側を
22.6gの3%低シルクで処理し、櫛で梳かした。濡れた毛髪を指で梳かしてブロー乾
燥した。毛髪は、頭部全体で9つのセクションに分けた。各セクションを、直径1"のカ
ーリングアイロンで350°Fで10秒間カールさせた。左側を22.6gの水道水で処
理し、同様にブロー乾燥してカールさせた。カールを指で梳かした後のカール保持につい
て、頭部の前記2つの側を定性的に比較した(図6に写真を撮った結果)。
【0585】
実施例8b.ボリューム保持
 ヒトの毛髪を有するマネキンの頭部を、左右の部分に均等に分けた。マネキンの右側を 30
17.5gの3%低シルクで処理し、櫛で梳かした。濡れた毛髪を、根元を引き上げなが
ら、櫛でブロー乾燥してボリュームを出した。左側を17.5gの水で処理し、根元を引
き上げながら、同様に櫛でブロー乾燥してボリュームを出した。図7A及び図7Bに見ら
れるように、前記2つの側を、初期段階で定性的に比較し、次いで、24時間後に比較し
た。
【0586】
実施例9.絹フィブロインベースのヘアトリートメントと、半永久的及び永久的なヘアシ
ェーピングに対するそれらの影響
 表25にしたがって溶液を調製した。毛髪サンプル(幅1.25cm)を4つの計量ボ
ート(A∼Dとラベルした)のそれぞれに配置した。4mLの適切な溶液を各ボートに添 40
加した。毛髪が飽和するまで、手袋をした指で溶液をサンプルに加工した。次に、各サン
プルをローラに巻き付けて固定した。ローラをアルミホイルで包み、フード付きヘアドラ
イヤの下に「高」設定で60分間置いた。次いで、サンプルの包装を解き、ぬるま湯で洗
い流し、吊るして乾燥させた。結果を図8A∼図8Dに示す。
表25.ヘアシェーピング用の溶液の調製に使用される試薬量
(163) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【表25】

【0587】
 シルクは、単独で使用した場合にさまざまな毛髪改善品質を示したが、他の配合成分と
組み合わせたシルクは、依然としてこれらの品質を示しつつ、高確率で向上させることが
合理的に予想される。櫛通り性を改善するために使用できる成分の例としては、カチオン
性界面活性剤及びヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(hydroxypropy
ltrimonium chloride)などの四級アンモニウムが挙げられるが、こ
れらに限定されない。カール具合を改善するために使用できる成分の例としては、ココナ
ッツオイル、ホホバオイル、及びシアバターなどの脂肪油が挙げられるが、これらに限定 20
されない。縮れ及び滑らかさを改善するために使用できる成分の例としては、加水分解小
麦タンパク質、ステアリン酸、及びパントテン酸が挙げられるが、これらに限定されない
。光沢と輝きを改善するために使用できる成分の例としては、グリセリンとアーモンドオ
イルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0588】
 表25に記載される配合のバリエーションが、半永久的から永久的なヘアシェーピング
にも効果的であると予想することも合理的である。良性還元剤(benign redu
cing agent)としてシステインを使用するという概念は、N−アセチルシステ
イン、システインメチル、及びエチルエステル、並びにそれらの塩など(ただし、これら
に限定されない)の更なるスルフヒドリル含有化合物を含むように合理的に拡張すること 30
ができる。使用される架橋剤は、コハク酸を超えて、グルタル酸、アジピン酸、クエン酸
、リンゴ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、マロン酸、及び酒石酸などの他のビス−又
はトリ−酸を含むように合理的に拡張することができる。更なる製剤試薬(安定化、乳化
、コンディショニングなど)の存在下で、これらの有効成分を使用することも、この実施
の合理的な延長である。
【0589】
実施例10.官能化絹の合成
 本明細書においては、これらのプロセス、スキーム、及び実施例で使用される記号及び
規則は、例えば、Journal of the American Chemical
 Society又はJournal of Biological Chemistr 40
yなどの現代の科学文献で使用されるものと一致する。
【0590】
 特段の断りがない限り、温度はいずれも℃(摂氏)で表される。特段の断りがない限り
、反応はいずれも、室温で不活性雰囲気下にて行われた。合成における詳細情報なしに使
用される試薬は、市販されている、又は文献の手順にしたがって製造される。
【0591】
TM
 HPLC/質量スペクトルは、Q Exactive  Hybrid Quadr
TM
upole−Orbitrap 質量分析計と組み合わせたDyonexシリーズ30
00HPLCで得た。検出は、大気圧化学イオン化(APCI)、又はエレクトロスプレ
ーイオン化(ESI)及び蒸発光散乱検出器(ELSD)のいずれかを使用して、MS、 50
(164) JP 2022-529644 A 2022.6.23

TM
214nMのUVで行われる。データは、ThermoScientific  Xc
TM
alibur  ソフトウェアを使用して取得した。データ分析は、PEAKSソフト
ウェアを使用して行った。
【0592】
 絹フィブロインは、6セットの重鎖−軽鎖ヘテロダイマーと1分子のフィブロヘキサメ
リン(P25)とからなる2.3MDaのタンパク質複合体の形態で分泌される。絹フィ
ブロインの共有結合修飾は、m/z及びms2のフラグメンテーションパターンに基づい
て、様々サブユニット(重鎖、軽鎖、及び/又はフィブロヘキサメリン)で確認した。
【0593】
 HPLC/MSの前に、合成した官能化絹を、以下の手順にしたがってプロテアーゼ消 10
化に付した。一般に、各サンプル中の官能化絹は6MグアニジンHClで変性し、DTT
で60℃にて30分間還元した後、室温にて暗所でヨードアセトアミドによってアルキル
化した。過剰のDTTを添加することによりアルキル化反応をクエンチし、反応を室温で
更に30分間進行させた。キモトリプシン消化は、タンパク質対プロテアーゼ比1:50
で、37℃にて一晩行った。
【0594】
 減衰全反射を、Nicolet iS50 FTIR分光計を使用して、凍結乾燥され
た官能化絹サンプルについて行った。
【0595】
 以下に説明する実験手順にしたがって調製された官能化絹を、表26にまとめる。 20
表26.官能化絹
(165) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【表26】

a.IEFは、等電点電気泳動の略である。
【0596】
実施例10a.サンプル077−027−1
【化19】

 Low−MW絹を氷浴に置き、300rpmで攪拌した。溶液のpHを9.5に調整し
、次いで、グリシジルメタクリレートを3回に分け3時間に亘り添加した。添加後、氷浴
を取り除き、混合物を室温(RT)まで加温した。混合物をRTで30分間反応させた。
反応混合物を、10kDaのMWCO透析チューブを使用して、水に対して透析すること
によって精製した。
【0597】
 Low−MW絹フィブロインの共有結合変性を、HPLC/MS分析で得られた質量ス
ペクトルからのm/z及びms2フラグメンテーションパターンに基づいて、3つのサブ
ユニット(重鎖、軽鎖、及びフィブロヘキサメリン)の全てについて確認した(図9A並
びに図12A及び図12Bを参照)。 50
(166) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0598】
実施例10b.サンプル077−024−2
【化20】

 Low−MW絹を氷浴に置き、300rpmで攪拌した。無水酢酸を3回に分け1時間
に亘り添加した。各部分の添加の後に、水酸化ナトリウムでpHを8.5∼9.5に調整 10
した。最後のコハク酸添加後、氷浴を取り除き、反応物を室温まで加温した。混合物をR
Tで30分間反応させた。反応混合物を、10kDaのMWCO透析チューブを使用して
、水に対して透析することによって精製した。
【0599】
 Low−MW絹フィブロインの共有結合変性を、HPLC/MS分析で得られた質量ス
ペクトルからのm/z及びms2フラグメンテーションパターンに基づいて、3つのサブ
ユニット(重鎖、軽鎖、及びフィブロヘキサメリン)の全てについて確認した(図9B並
びに図13A∼図13Cを参照)。
【0600】
実施例10c.サンプル077−028−2 20
【化21】

 Low−MW絹を氷浴に置き、300rpmで攪拌した。コハク酸無水物を3回に分け
1時間に亘り添加した。各部分の添加の後に、水酸化ナトリウムでpHを8.5∼9.5
に調整した。最後のコハク酸添加後、氷浴を取り除き、反応物を室温まで加温した。混合
物をRTで30分間反応させた。反応混合物を、10kDaのMWCO透析チューブを使 30
用して、水に対して透析することによって精製した。
【0601】
 Low−MW絹フィブロインの共有結合変性を、HPLC/MS分析で得られた質量ス
ペクトルからのm/z及びms2フラグメンテーションパターンに基づいて、3つのサブ
ユニット(重鎖、軽鎖、及びフィブロヘキサメリン)の全てについて確認した(図9C及
び図14を参照)。
【0602】
実施例10d.サンプル077−30−1
【化22】

 Low−MW絹フィブロインの共有結合変性を、HPLC/MS分析で得られた質量ス
ペクトルからのm/z及びms2フラグメンテーションパターンに基づいて、3つのサブ
ユニット(重鎖、軽鎖、及びフィブロヘキサメリン)の全てについて確認した(図9D及
び図15を参照)。
【0603】
実施例10e.サンプル098−08−02 50
(167) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【化23】

 Mid−MW絹をリン酸緩衝液でpH7.2に調整し、37℃に加熱した。次いで、ヘ
キサナールを添加し、続いて過酸化水素を添加し、溶液を24時間撹拌しながら反応させ
た。次いで、溶液を室温まで冷却し、10kDaのMWCO透析チューブを使用して、水
に対して透析することによって精製した。 10
【0604】
実施例10f.サンプル098−29−02
【化24】

 Mid−MW絹をリン酸緩衝液でpH6.5に調整し、35℃に加熱した。マッシュル
ームチロシナーゼを添加し、溶液を2時間撹拌した。次いで、溶液を85℃に10分間加
熱してチロシナーゼ酵素を失活させ、次いで、温度を60℃に下げ、N,N−ジメチルエ
チレンジアミンを添加した。反応混合物を2時間反応させた。次いで、溶液を室温まで冷
却し、10kDaのMWCOの膜を使用して、水に対して透析することによって精製した

【0605】
実施例10g.サンプル098−30−02
【化25】

 Mid−MW絹をリン酸緩衝液でpH6.5に調整し、35℃に加熱した。マッシュル
ームチロシナーゼを添加し、溶液を2時間撹拌した。次いで、溶液を85℃に10分間加
熱してチロシナーゼ酵素を失活させ、次いで、温度を60℃に下げ、1−アミノペンタン
を添加した。反応混合物を2時間反応させた。次いで、溶液を室温まで冷却し、10kD 40
aのMWCOの膜を使用して、水に対して透析することによって精製した。
【0606】
実施例11.電気泳動ゲル
 官能化絹サンプルの分子量バンドは、Novexプレキャスト3−10IEFゲルを使
用したゲル電気泳動によって得た。ゲル電気泳動実験は、ThermoFisherNo
vex「Pre−Cast Gel Electrophoresis Guide」バ
ージョンB、2003年1月27日 IM−1002にしたがって行った。一般に、官能
化絹サンプルを、ロード前に3−10IEFサンプルバッファで14.7mg/mlのタ
ンパク質濃度に希釈し、BioRad 4.45−9.6IEF電気泳動標準を用いた。
一定の100ボルトで1時間、一定の200ボルトで1時間、一定の500ボルトで30
(168) JP 2022-529644 A 2022.6.23

分間、ゲルをフォーカスした。ゲルを12%TCAで30分間、固定し、Coomass
ie Brilliant Blue R−250で染色し、10%酢酸で染色し、セロ
ハンシート間で乾燥させた。
【0607】
 図10A及び図10Bは、前記実施例10で合成された官能化絹及び対照で実施した電
気泳動ゲル実験の結果を示す。図10Aは、いくつかの典型的なActivated S
TM
ilks の電気泳動ゲルを示し、図10Bは、化学修飾したActivated S
TM
ilks の電気泳動ゲルを示す。表27は、図10Bのレーン1∼12のそれぞれの
サンプルの説明を記載する。
【0608】 10
TM
 中分子量のActivated Silks は、2つの等電点範囲を有し、1つは
、pH4∼5の間、もう1つは、pH7∼8の間である。対照的に、低分子量のActi
TM
vated Silks は、pH4∼5の範囲に、1つの等電点しか有しない。化学
修飾しても、アセチル化(サンプル077−024−2)及びメタクリレート化(サンプ
ル077−027−1)シルクの等電点は変化しない。しかし、スクシニル化(サンプル
077−028−2)は、等電点をより低い値(pH<4.65)に移動させ、一方で、
アミノ化(サンプル077−030−1)は、等電点をより高い値(pH5.1∼6)に
移動させ、更なる等電点(pH7∼8)を生じた。
表27.図10Bに示されるゲル電気泳動サンプルのサンプル説明
【表27】 20

【0609】
 官能化絹サンプルの分子量分布は、サイズ排除クロマトグラフィー分析によって得た。
一般に、官能化絹のサンプル溶液を、PolySep GFC P−4000(7.8×
300mm)サイズ排除カラムと屈折率検出器を備えたAgilent 1100 HP
LCで分析した。機器は、100mM塩化ナトリウム+12.5mMリン酸ナトリウム緩
衝液(pH7)を含む移動相を使用して、1mL/minの流速で、20分のサンプル分
析時間で操作した。分子量分布は、Cirrusソフトウェアパッケージを使用してデキ
ストラン標準と比較して計算した。 50
(169) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【0610】
 図11は、典型的な中分子量シルクと比較した、2種類の修飾された中分子量シルクの
クロマトグラムを示す。2種類の修飾シルクは、標準と比較して分子量が大きくなってい
る(早い溶出時間にシフトしたことから証明されている)。

【図1A】 【図2C】

【図2D】

【図1B】

【図3A】

【図1C】

【図2A】

【図2B】
(170) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【図3B】 【図4B】

【図4C】

【図4D】

【図4A】

【図4E】

【図4F】 【図4J】

【図4G】 【図5】

【図4H】

【図4I】
(171) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【図6A】 【図6C】

【図6B】 【図6D】

【図7A】 【図8A】

【図8B】

【図8C】

【図7B】

【図8D】
(172) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【図9A】 【図9B】

【図9C】 【図9D】
(173) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【図10A】 【図10B】

【図11】 【図12A】
(174) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【図12B】 【図13A】

【図13B】 【図13C】
(175) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【図14】 【図15】

【図16】 【図17】
(176) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【配列表】
2022529644000001.app
(177) JP 2022-529644 A 2022.6.23

【国際調査報告】
(178) JP 2022-529644 A 2022.6.23
(179) JP 2022-529644 A 2022.6.23
(180) JP 2022-529644 A 2022.6.23

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フロントページの続き

(51)Int.Cl.               FI                  テーマコード(参考)
 A61Q  5/06   (2006.01)     A61Q  5/06             
 C07K 14/435  (2006.01)     C07K 14/435            

(81)指定国・地域  AP(BW,BW,GH,GH,GM,GM,KE,KE,LR,LR,LS,LS,MW,MW,MZ,MZ,NA,NA,RW,RW,SD,SD,SL,SL,ST,ST,SZ,
TZ,TZ,UG,UG,ZM,ZM,ZW,ZW),EA(AM,AM,AZ,AZ,BY,BY,KG,KG,KZ,KZ,RU,RU,TJ,TJ,TM,TM),EP(AL,AL,AT,AT,BE,BG,BG,CH,
CH,CY,CZ,CZ,DE,DE,DK,DK,EE,EE,ES,ES,FI,FI,FR,GB,GB,GR,HR,HR,HU,HU,IE,IS,IS,IT,LT,LU,LU,LV,MC,MK,MK,MT,NL
,NO,NO,PL,PL,PT,PT,RO,RO,RS,RS,SE,SE,SI,SK,SK,SM,TR,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AE,AG,AO,AU,BA,BB,BH,BN,BR,BZ,CA,CL,CN,CO,CR,CU,DJ,DM,DO,DZ,EC,EG,GD,GE,GT,HN,ID,IL,IN,IR,JO,JP,K
H,KN,KP,KR,KW,LA,LC,LK,LY,MA,MD,ME,MG,MN,MX,MY,NG,NI,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,QA,SA,SC,SG,SV,SY,TH,TN,TT,UA,US,
UZ,VC,VN,WS,ZA

(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.KEVLAR                        

(74)代理人 100115347
      弁理士 松田 奈緒子
(72)発明者 サラ・エー・ジョンソン
      アメリカ合衆国 02155 マサチューセッツ州 メドフォード ロバーツ ロード 107
(72)発明者 カルロス・ジェイ・ボスケス
      アメリカ合衆国 02474 マサチューセッツ州 アーリントン オーバールック ロード 1
      98
(72)発明者 グレゴリー・エイチ・アルトマン
      アメリカ合衆国 02906 ロードアイランド州 プロヴィデンス グロット アヴェニュー 
      145
(72)発明者 アビゲイル・ギアロッソ
      アメリカ合衆国 01844 マサチューセッツ州 マスーアン エコー レーン 9
(72)発明者 ローラ・アール・ミュオロ
      アメリカ合衆国 01828 マサチューセッツ州 ドラカット トラウト ブルック ロード 
      34
(72)発明者 イラン・ゴールドバーグ
      アメリカ合衆国 02145 マサチューセッツ州 サマービル 3 アパート マウント ヴァ
      ーノン ストリート 24
(72)発明者 マリウス・コスタッシュ
      アメリカ合衆国 02421 マサチューセッツ州 レキシントン マレット ロード 161
Fターム(参考) 4C083 AB311 AB312 AB331 AB332 AC781 AC852 AD151 AD152 AD412 AD451 AD452 BB01 BB53 CC32
           CC33 CC38 CC39 DD01 DD08 DD27 DD30 DD31 DD41
        4H045 AA10 AA30 BA50 CA51 EA15 FA71

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