Download as pdf or txt
Download as pdf or txt
You are on page 1of 7

Paper No.

: 12 源氏物語 (The Tale of Genji)


Module : 03 夕顔巻 (Yugao)

Development Team

Principal Investigator: Prof. Anita Khanna


Jawaharlal Nehru University, New Delhi

Paper Coordinator : Ms. V. Ramalakshmi


University of Delhi , Delhi
Content Writer : Ms. V. Ramalakshmi & Ms. Tokida Masayo
University of Delhi , Delhi Japan

Content Reviewer : Prof. Anita Khanna


Jawaharlal Nehru University, New Delhi

源氏物語 (The Tale of Genji)


Japanese
夕顔巻 (Yugao)
Description of Module

Subject Name Japanese

Paper Name 源氏物語 (The Tale of Genji)

Module Title 夕顔巻 (Yugao)

Module ID JPN-P12-M03

Quadrant 1 E-Text

Development Team

Principal Investigator: Prof. Anita Khanna


Jawaharlal Nehru University, New Delhi

Paper Coordinator : Ms. V. Ramalakshmi


University of Delhi , Delhi
Content Writer : Ms. V. Ramalakshmi & Ms. Tokida Masayo
University of Delhi , Delhi Japan

Content Reviewer : Prof. Anita Khanna


Jawaharlal Nehru University, New Delhi

源氏物語 (The Tale of Genji)


Japanese
夕顔巻 (Yugao)
夕顔巻

第二章【夕顔巻】始まる悲劇

前モジュールの復習
きりつぼ

副題:一輪の花か「桐壺の巻き」というモジュールを書いた目的

 作者、紫式部がなぜ源氏物語を書いたのか、そのテーマに迫り、源氏物語の出発点
を明らかにすること。
 日本文学の傑作である源氏物語のあらすじを覚えながら、日本文化の基礎にある概
念、人間関係などの理解を得ること。
 日本に伝来し受け入れられた日本仏教のことを発見してその知識を得る

目的 「夕顔の巻き」のモジュールを書いた目的

 物語がいかに展開していくかという点を意識して内容を理解すること。
 Development Team
特に前のモジュールで因果応報が現在、過去、未来の働きをとげるといったことを
ははきぎ

理解した上で、元々源氏物語の第二巻は、「帚木の巻」という題であり、光源氏が
Principal Investigator: Prof. Anita Khanna
とのいどころ Jawaharlal Nehru University, New Delhi
宮中の宿直所で、他の男性たちと女性について論じ合った。
ははきぎ しな

 つまり、 「帚木の巻き」の雨夜の品定めで、光源氏は中の品
Paper Coordinator : Ms. V. Ramalakshmi 、中流階級の女性に
University of Delhi , Delhi うつせみ
強く関心をよせる。このあと光源氏は、中流階級の女性である、人妻の空蝉
Content Writer : の屋敷
Ms. V. Ramalakshmi & Ms. Tokida Masayo
University of Delhi , Delhi Japan
を訪れ、無理矢理一夜を過ごしたのでした。
おうせ
Content Reviewer : Prof. Anita Khanna
 三巻の「空蝉の巻」は、空蝉を忘れられない光源氏が再び逢瀬を求めて、彼女に逃
Jawaharlal Nehru University, New Delhi
うつせみ うす せみ ぬ

げられてしまう話です。空蝉は薄い衣だけ残して逃げたことは、蝉の脱けのようで

あった。その後、話が、第四巻の「夕顔の巻き」に移る。

源氏物語 (The Tale of Genji)


Japanese
夕顔巻 (Yugao)
 始まる悲劇

〈夕顔の巻きの原文〉

「心あてに それかとぞ見る 白露の光そえたる 夕顔の花」

〈現代語訳〉

ふと目に留まった輝く君は、光源氏様だろうか。白露の光に映える夕顔が、美しく花開
いている。

〈本文〉
ひい き こ う し げんぷく

光源氏は、あらゆる学芸に秀でた美しい貴公子に成長する。十二歳で元服(成人)し、
さだいじん あおい うえ せいさい

左大臣の娘・ 葵 の上を正妻とした。

ろくじょうみやすんどころ もと さいしょくけんび

十七歳になった今は、 六 条 御 息 所 の元へも通っている。六条御息所とは、才色兼備
Developmentく Team
ど お しっとぶか

の誇り高き年上の未亡人である。ただ、彼女を口説き落としてからは、その嫉妬深さに
いきぐる
Principal Investigator:
息苦しさを覚えるようになっていた。 Prof. Anita Khanna
Jawaharlal Nehru University, New Delhi
まわ くる
ある日、重病の乳母を見舞った時のこと。辺りはむさ苦しいところであったが、ふと
りんか さ かれん ゆうがお はな こころひ ほど となり しろ おうぎ の
Paper
隣家に咲 く可憐 Coordinator
な夕顔の花:に心引かれる。程
Ms. V. Ramalakshmi
なくして 隣 から、白い 扇 に載せて花が差
University of Delhi , Delhi
Content Writer : Ms. V. Ramalakshmi & Ms. Tokida Masayo
し出された。扇には、たおやかな文字が流れている。「心あてに……」と、女主人の
University of Delhi , Delhi Japan
ひっせき

筆跡のようであった。源氏は胸をときめかせる。
Content Reviewer : Prof. Anita Khanna
Jawaharlal Nehru University, New Delhi

源氏物語 (The Tale of Genji)


Japanese
夕顔巻 (Yugao)
源氏鑑色紙 東聖観作 22 夕顔/心あてに images.search.yahoo.com
ゆうがお にょにん もと かよ はじ すなお よ そ かのじょ とりこ

やがて、この夕顔の女人の元に通い始め、素直に寄り添う彼女の 虜 になっていった。
ふたり す めいげつ よる あ ころ

「二人きりでゆったり過ごしたい」と思った源氏は、名月の夜も明ける頃、人けのない
ぼう いん みぶる
Development
ゆうがお
Team ひ

「某 の院 」に、不安で身震 いする夕顔 をなだめて連れ出した。ここで二人は日 がな


いちにちたわむ Principal Investigator: Prof. Anita Khanna
一 日 戯 れるのであった。 Jawaharlal Nehru University, New Delhi

ね い け だ か うら
その夜、うとうと寝入った源氏がふと気づけば、美しく気高い女人が、怨めしそうに枕
Paper Coordinator :
元にいるではなかろうか。 Ms. V. Ramalakshmi
University of Delhi , Delhi
Content Writer : Ms. V. Ramalakshmi & Ms. Tokida Masayo
「かくことなることなき人を率ておわして、時めかしたまうこそ、いとめざましくつら
University of Delhi , Delhi Japan
けれ」(句)
Content Reviewer : Prof. Anita Khanna
〈現代語訳〉 Jawaharlal Nehru University, New Delhi

(こんなつまらない女をかわいがるなんて、あまりにも心外でつらいことでござる)

源氏物語 (The Tale of Genji)


Japanese
夕顔巻 (Yugao)
ゆうがお かか げんじ た ち ぬ ひ と よ み

と夕顔を抱えてうめいているのである。源氏はすぐさま太刀を抜き、灯を取り寄せ見れ
れいじん あらわ き ゆうがお ことき

ば、やはり麗人が 現 れ消える。すでに、夕顔は事切れ、冷たくなっていた……。

ろくじょうみやすんどころ おそ
し っ と ぶ か もの け ゆうがお
ここで読者は、嫉妬深い六条御息所の物の怪が夕顔を襲ったのか、とおびえただろう。

ま も の
ふ こ う さいなん い りょう しりょう
当時、不幸や災難は生き 霊 、死霊、魔物 の類によると深く信じられ、これらをまとめ
もの け もの け げき れ き し し ょ きじゅつ ものがたり
て「物の怪」と呼んでいた。物の怪は、劇や歴史書などに記述されても、物語 にはほと
とうじょう じ ぶ ん と つ しんじょう
んど登場しないであった。自分まで取り憑かれたくない、という心情からだろう。
もの け すがた こえ だいたん か めずら さくひん
ところが『源氏物語』は、物の怪の 姿 や声が大胆に描かれる 珍 しい作品なのである。
むらさきしきぶ い と さ いこ うけん りょくしゃ ふじわらのみ ちなが もの け
作者・紫式部にはどんな意図があったのだろう。時の最高権力者・藤原道長が、物の怪
か じ き と う たいしょうてく
を恐れて加持祈祷にすがっていくのとは対照的である。
け つ ひと しんしん すいじゃく さま ていねい か ゆうがお
作中で物の怪に憑かれる人は、心身ともに衰弱していく様が丁寧に描かれる。夕顔もそ
Development Team
むらさきしきぶ もの け しょうたい きょくど
うである。紫式部は物の怪の正体を、極度のストレスと考えていたのかもしれない。だ
ちみもう りょう
Principal Investigator: Prof. Anita Khanna
もの け と つ
とすれば、ストレスの多い現代こそ、魑魅魍魎 の物
Jawaharlal の怪University,
Nehru に取り憑New かれている人が多い。
Delhi
こんぽんぼんのう
はたら きょくたん たと ゆうがお ま
それに 働 きかけているのは ある根本煩悩の極端 ともいえる。例えば、夕顔の巻 きに


Paper Coordinator
ろくじょうみやすんどころ
いきりょう : げんいん
Ms. V. Ramalakshmi
し っ と しつ
ずいぼんのう
ひと
出る六条御息所の 生 霊 の原因にあるのが嫉妬 であるともいえる。この嫉
University of Delhi , Delhi は隋煩悩 の一
Content Writer : Ms. V. Ramalakshmi & Ms. Tokida Masayo
きょくたん せいれい しょう い
つであり、その極端が生霊を 生 じたと言University
える。 of Delhi , Delhi Japan

 因果応報:原因によって
Content Reviewer : Prof. Anita Khanna
生 じた結果や報いのこと(Karmic Retributions) である.
Jawaharlal Nehru University, New Delhi
特に、仏教語として日本語に入った言葉である。その意味合いは、ここにおける善
悪の行いに現在における幸福の果報、つまり結果を生じる。現在における善悪の行
いに応じて未来における幸福の結果を生ずるということである。

源氏物語 (The Tale of Genji)


Japanese
夕顔巻 (Yugao)
とのいどころ

 宿直所 :大臣、納言、大納言などが宿泊するところ。
とのいどころ

 宿直所 におては:長雨の降り続く頃、源氏の君は頭中将と他友人たちと、次の女こ

とを 話し合っている場面がある。「女性とは、上流でなくむしろ中流階級にこそ素
晴らしい人がいるものだ。」
 作家はころえお(雨夜の品定め)という題を作って記述しているのである。梅雨の
晴れ間、紀伊の守の家に方違えのため泊まることになり、その妻である空蝉との契
りを結ぶのである。
くほん おうじょう あまよ しなさだ

 九品—九品は九段階の 往 生 のことを指す。つまり、人々が「雨夜の品定め」という
み と お うえ しな なか しな した しな
題の巻きに女性を大きく三通り(上の品、中の品、下の品)に分け、それぞれをさら
じょうぼんじょうしょう じょうぼんちゅうしょう

に細 かく 三つ ず つの段階 、つ まり『 上 品 上 生 ・・ 上 品 中 生 ・ ・~ ~ ~
じょうぼんげしょう
きゅうとお
上 品 下 生 ・・』のように、九通りに分けて論じている。
Development Team
くほん じょうぼんじょうしょう

仏教用語の九品は、勝劣を決めるために表現する。仏教用語の九品( 上 品 上 生 ・・
Principal Investigator:
じょうぼんちゅうしょう じょうぼんげしょう
Prof. Anita Khanna
Jawaharlal Nehru University, New Delhi
上 品 中 生 ・・~~~上 品 下 生 ・・)は、善をどれだけ実行できるかによって、人間
きゅうとお
の前行・悪行を九通りに分けたものである。仏教の知識のある作者が、それをもとにし

ているだろう。
Paper Coordinator : Ms. V. Ramalakshmi
University of Delhi , Delhi
 Content Writer :
サンスクリット語で「グナ」(guna)という言葉があって、日本語ではそれを善行
Ms. V. Ramalakshmi & Ms. Tokida Masayo
University of Delhi , Delhi Japan
と言っているのである。善行というのは、道徳にかなった良い行いのことである。
Content Reviewer : Prof. Anita Khanna
 人間が善行を積む、つまり良い行いをたくさんすることによってすぐれた結果を招
Jawaharlal Nehru University, New Delhi
く 力が徳としてそなわっていることをいう。

*******

源氏物語 (The Tale of Genji)


Japanese
夕顔巻 (Yugao)

You might also like