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デジタル・マルチメータ

Digital Multimeters

36
デジタル・

37
マルチメータ
関連の測定
新エネルギー

デジタル・マルチメータ 概説

1.測定対象と測定器 とは測定器の主として入力回路の特性によっ ンピーダンスが 誤 差となるため高入力イン


デジタル・マルチメータは、入力信号を精密 て難しくなります。 ピーダンスで測定できる電圧が何Vであるか
にしかも高速に測定することを目的に開発さ このため、実際の測定にあたっては、何を 考慮する必要があります。
れています。これは、測定器を使用する際に、 測定器に対して要求しているのか、その要求 エーディーシーのデジタル・マルチメータは、製
測定器を完全にブラック・ボックス化して使え 性能を明かにし、それに合った測定器を選 品により2V、3V、10Vまで高入力インピーダン
マルチメータ
デジタル・

ることが重要となりますが、多岐に渡る測定 択する必要があります。 スとなる測定レンジを備えておりダイナミック・


対象の条件に対して、一台で完全に満たすこ 例えば、直流電圧測定の場合、信号源のイ レンジが最適なものを選択可能です。

OHM/DC
変換器
OHM
フロント入力端子
DCV/ACV/OHM/ フロント 1/1
電流発生器
直流電圧/

DIODE/FREQ リア A/Dコントロール
DCV 1/10 ファンクション レンジング・アンプ A/D変換器
DCI/ACI フロント /レンジ AC
1/100 選択
ATT
リア入力端子 リア
1/1000
DCV/ACV/OHM/
DIODE/FREQ
電流/電圧
変換器
ACI

レンジング・アンプ AC/DC
ACV 変換器 アイソレータ
エレクトロメータ
デジタル・

P/Sコンバータ

CPU パネル
CPU

入出力 GPIB 蛍光
ROM RAM パネル・キー
コントロール RS232 表示管
光計測器

COMPLETE TRIGGER

図1 デジタル・マルチメータのブロック図

デジタル・マルチメータ・セレクション・ガイド

測定

表 定


分解 測定


値)
測定


レン
スキャナ

度( 圧測

Tru 圧測

rue 流測
S)
MS
流測

最高 表示

範囲


最高 電流

周波 電圧
は 定

最高 測定

分解
感度

4端

RM
分解
流電

(◎ 測


( 流電
eR

流電
変積

流電


抵抗

交流

交流
抵抗
最高



(T

7352A 199.999mV − ○ 1μV 0.011%/1年間 ○ 10pA ○ 1mΩ ◎ 20Hz~100kHz ◎

7352E 199.999mV − ○ 1μV 0.011%/1年間 ○ 10pA ○ 1mΩ ◎ 20Hz~100kHz ◎

7351A 199.999mV − ○ 1μV 0.011%/1年間 ○ 1μA ○ 1mΩ ◎ 20Hz~100kHz ◎


ケーブル、
アクセサリ

7351E 199.999mV − ○ 1μV 0.011%/1年間 ○ 1μA ○ 1mΩ ◎ 20Hz~100kHz ◎

7351E+03 199.999mV − ○ 1μV 0.011%/1年間 ○ 1μA ○ 1mΩ ◎ 20Hz~100kHz ◎

7451A 319.999mV ○ ○ 1μV 0.01%/1年間 ○ 10nA ◎ 100μΩ ◎ 20Hz~300kHz ◎


品質保証

7461A 119.9999mV ○ ○ 0.1μV 0.0035%/1年間 ○ 1nA ◎ 100μΩ ◎ 20Hz~300kHz ◎

7461P 119.9999mV ○ ○ 0.1μV 0.0035%/1年間 ○ 1nA ◎ 100μΩ ◎ 20Hz~300kHz ◎


価格表

7470 1199.9999mV ○ ○ 0.1μV 20ppm/1年間 − − ◎ 10μΩ − − −

6581 1199.99999mV ○ ○ 10nV 5.0ppm/1年間 ○ 100fA ◎ 1μΩ ◎ 10Hz~2MHz ◎

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関連の測定
新エネルギー
デジタル・マルチメータ 概説

2.デジタル・マルチメータの原理 して、積分方式は一定時間積分した電圧の 3.可変積分による平均値測定


デジタル・マルチメータは直流電圧測定が基 平均値をデジタル化するために交流 雑音成 エーディーシーのデジタル・マルチメータでは
本となっており、AD変換器、入力増幅器、 分を除去するフィルタ効果があるためです。 積分時間をユーザが任意に設定できるように
自動レンジ切換え回路および自動ゼロ点補償 また、雑音成分は主として商用電源周波数に 設計されており、自動試験システムなどで高
回路で構成されています。基本となるAD変 よるものが多く、そのためにデジタル・マルチ 速測定を目的とした10μsから平均電流測定

マルチメータ
デジタル・
換方式は、雑音に強い積分方式を採用して メータの積分時間は、その周波数に対して整 やパルス変調波形などの平均値を測定するた
います。測定時に問題となる雑音の混入に対 数倍の時間を設定できる様になっています。 めに10sまでの長時間積分まで積分時間を

同じ面積で+と−が 交流電圧
打ち消し合う (商用電源周波数)

電流発生器
直流電圧/
ピーク電流
直流電圧

T’

エレクトロメータ
デジタル・
平均電流
E2 E1 E0
T
(瞬時値) (瞬時値)(直流電圧値) ベース電流
積分時間

0V 時間 時間

直流電圧E0に混入した商用電源周波数による交流雑音の除去 積分時間 平均電流・電圧測定

繰り返し信号の平均値測定

光計測器
図2 積分効果
D)
出力


×(

)以

スキャナ
H)
ータ
/秒 度

測定

機能

入力

kg
(回 定速

×(
2

パレ



23
IB

W)
B

形状
温度

演算

リア

質量

価 

GP
US

RS

コン

約(

7352A ○ ○ 140max − ○ ○ ○ − 212×88×340 3.7 ¥185,000

7352E ○ ○ 140max − ○ − − − 212×88×340 3.7 ¥155,000

7351A − ○ 140max − ○ ○ − − 212×88×340 3.4 ¥103,000


ケーブル、
アクセサリ

7351E − ○ 140max − ○ − − − 212×88×340 3.4 ¥78,000

7351E+03 − ○ 140max − ○ − ○ ○ 212×88×340 3.4 ¥89,800

7451A − ○ 5,000max ○ ○ ○ − ○ 212×88×340 3.4 ¥130,000


品質保証

7461A − ○ 20,000max ○ ○ ○ − ○ 212×88×340 3.4 ¥138,000

7461P ○ ○ 20,000max ○ ○ ○ − △※ 212×88×340 3.4 ¥175,000


価格表

7470 − ○ 212max ○ ○ ○ − − 424×88×340 6.6 ¥430,000

6581 ○ ○ 50,000max ○ − ○ − ○ 424×88×450 9 ¥800,000

※コンパレータ出力またはデジタル出力のどちらか選択

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関連の測定
新エネルギー

デジタル・マルチメータ 概説

任意に設定できます。 イッチによって切換えられるように設計してあ 電源(供給電源)の接地間を流れている大地


また、誘導ノイズ除去のため、電源周波数 り、これは通常の測定及び抵抗測定などの 電流により電源周波数成分となります。この
である20ms(50Hz)、16.666ms(60Hz)を基 ようにガード測定をしない場合に接続を変え 雑音 が測定値に対してどれくらい影 響する
準としてその整数倍となるnPLC (Power Line ず、簡単にスイッチで切換えができます。通 か、その効率をコモン・モード・ノイズ除去比
Cycle)でも設 定可能であり、用途に応じて 常ガード端子は、Lo側に接続しておき高感 (CMRR)といい次式で表されます。
マルチメータ
デジタル・

最適な積分時間が設定できます。特に長時 度、高分 解能測定やノイズの問題がある場 (E cm/ΔE cm)


CMRR=20log
間積分は、アナログ積分による方式のため 合には系全体をガード機構として機能する様 ΔE cmは、デジタル・マルチメータの入力端
離散的なサンプリングによる方式と違い入力 にします。 子に現れる電圧値です。
信号を間隙なく連続で積分することが特長と 測定にあたって考慮しなければならない雑音 以 上2つの効果を合わせたものを実 効コモ
なっています。 源は、大別すると図3の等価回路で表すこと ン・モード・ノイズ除去比 (実効CMRR)として
ができます。 表しています。

4.ノーマル・モード・ノイズ除去比と
E
雑音電圧 nは、ノーマル・モード・ノ イズ電 エーディーシーのデジタル・マルチメータは、
圧といい、信号源に直列に混入してくる雑音 積分方式を採用しているため、NMRが高く
電流発生器
直流電圧/

コモン・モード・ノイズ除去比
で、通常電源周波数成分およびその高調波 とれ、CMRを高くするためガード機構を設け
測定が行われる場合、大なり小なりの雑音
によって占められています。 てあります。
が介在し、これによる誤差 (ばらつき)が必ず
この雑音成分が測定値に対してどのくらい影 特にガード機構は、GPIBの使用、外部制御
伴います。特に10μV以下の微小信号電圧精
響するか、その除去効率をノーマル・モード・ 機能をもったデジタル・マルチメータには特に
密測定にあたっては、接地の問題、ケーブル
ノイズ除去比 (NMRR)といい次式で表され 有効で分解能の高い製品に採用しています。
の不備、大地電流、電源からの誘導ノイズ
ます。 また、このCMRRは、ノイズ電圧の周波数、
などによって測定誤差を招くだけでなく、し
(E n/ΔE n)
NMRR=20log 信号源の回路、シールドのとり方、入力ケー
ばしば測定が不可能となる場合もあります。
ΔE nは、E nが測定におよぼす誤差値になり ブルの種類、入力の接続方法、測定器の構
エレクトロメータ
デジタル・

これを防ぐためデジタル・マルチメータは、
ます。 造などによって大きく異なりますので、測定
積分方式とガード機構さらに電源部に対する
E cmは、コモン・モード・ノイズ電圧として知 器のカタログ上にCMRR:120dBと書かれて
ノイズ・リジェクタを組込んであります。 E
られている雑音で、信号源と測定器の接地 あれば、どのような場合にも cmの1/10 6

6581と7470ではガード機構を活かした測定と
間に発生するもので、この距離が長い場合と か測定に影響しないと考えると失敗すること
通常のフローティング測定をパネル面からス
くに問題となります。この主要成分は、AC があります。
光計測器

デジタル・マルチメータ
シールド線
内部シールド
Rs1 E n r1 Hi
A-D変換部

表示
Es Z1
計数部
スキャナ

Rs2 r2 Lo
Z2
ノイズ・リジェクタ

r3 Guard ACライン

ガード
Z3
筐体
ケーブル、
アクセサリ

Rcm E cm
品質保証

図3 ノイズ源を考慮した測定回路とガード機構説明図
価格表

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関連の測定
新エネルギー
デジタル・マルチメータ 概説

ガード機構のモデル図を図3に示します。デジ 計測器の標準バスとしてGPIB (General Pur- 社ホームページ上で入手できますのでご利用


タル・マルチメータへの入力は誘導を防ぐため pose Interface Bus)が多用されています。こ ください。
にシールド線を用い、そのシールドの一端は のGPIBは各種計測器やコントローラなどを
デジタル・マルチメータの内ケース(ガード) に 組合わせて自動化計測システムを簡単に構 6.ドリフトの低減とシステム・タイミング
つなぎます。デジタル・マルチメータの外ケー 築できるインタフェース・バス・システムで、国 測定器の入力増幅器のオフセット・ドリフト

マルチメータ
デジタル・
ス(多くの場合筐体) は大地接地に接続します。 際規格のIEEE488に準拠しています。 は、測定確度のdigit項の中に含まれていま
このような構成ではデジタル・マルチメータの また、近年多くのパーソナル・コンピュータ (以 すが、これを低減する方式として自動ゼロ補
内外ケース間は容量と高抵抗 (絶縁物)
の並列 下PC)に標 準で搭 載されているUSBインタ 償(オート・ゼロ)
があります。
回路Z3で結ばれた形となり、コモン・モード フェースを搭載した製品もあります。 オート・ゼロは定期的または測定ごとに測定
電圧は最初、r3とZ3で分圧され、そのうちr3 エーディーシーのデジタル・マルチメータは 器内部のオフセット電圧を測定し入力信号と
にかかったものをr1、r2とZ1、Z2とで分圧しま USBインタフェースに機器固有のIDを設定す キャンセルすることで測定器自身のドリフト
すのでデジタル・マルチメータの入力端子では、 ることで複数のデジタル・マルチメータから を低減するものです。
E in≒r3/Z3(r1/Z1-r2/Z2) cm
E データ取得およびリモート・コントロールが可 オート・ゼロをONにすると入力増幅器のドリ

電流発生器
直流電圧/
となり、ガード機構を用いないときに比べて 能となっています。 フトを低減し安定な測定ができますが、測定
大幅に軽減されます。また、デジタル表示部 USBインタフェースを使用すると簡単かつ安 速度は遅くなります。
とAD変換部もシールドされています。 価にPCと接続し自動計測システムを構築する システムで使用する場合や測定速度を重視す
このようにガード機構は、測定回路をアースに ことができます。 る場合などは、システムのタイミングに合わ
対して2重に静電シールドすることにより、高 この他、RS232、トリガ入力端子、コンプリー せてオート・ゼロを実行する機能をもった製
いコモン・モード・ノイズ除去比が得られます。 ト出力端子、コンパレータ出力端子等を装備 品も用意しています。
した製品を用意しています。
5.自動化システムへの応用 高速サンプリングやデータ・ロギング等では

エレクトロメータ
デジタル・
データ出力およびリモート・コントロール機能 内部にデータ・メモリを持ち測定データをバッ
を利用することによってコンピュータやシーケ ファリングできる製品も用意しています。
ンサなどによる自動計測システムの構成も可 GPIBやUSBインタフェースを使用するための
能になります。 ドライバ・ソフトウェアやリモート・コントロー
ル及びデータ取得するサンプル・ソフトは、弊

自動化システムへの応用

光計測器
高速サンプリング測定例 高速サンプリング条件
サンプリング周期:50μs
積分時間:10μs サンプリング周期設定
0.12
積分時間設定
0.1
電流〔A〕

0.08

0.06

スキャナ
0.04

0.02
デジタル・マルチメータ1
0
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500
測定回数
データ・
GPIB
ADC I/F USB
メモリ
RS232

DUT
デジタル・マルチメータ2
ケーブル、
アクセサリ

データ・
ADC I/F
メモリ
品質保証

図4 データ・メモリを用いた高速サンプリングのブロック図
価格表

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