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Gypsum & Lime No. 193 (1984) (367) : * Slurry-Solidifying Method ** Riichi HIRAI (株 式 会 社 熊 谷 組 技 術 研 究 所 第5部)
Gypsum & Lime No. 193 (1984) (367) : * Slurry-Solidifying Method ** Riichi HIRAI (株 式 会 社 熊 谷 組 技 術 研 究 所 第5部)
資 料
ベ ン トナ イ ト泥 水 固 化 工 法*
平 井 利 一**
べ騒 音 や 振 動 が は るか に小 さい 。 また,壁 体 の 剛 性 が 高
1 泥 水 固 化 工 法 の背 景
く,止 水 性 も よい た め 機 能 的 に も す ぐれ て お り,周 辺 地
げ ら れ る よ うに な っ た 。 こ の た め種 々 の対 策 が 研 究 さ く,構 造 物 本 体 の 地 下 壁 と して設 計 す る こ と も可 能 で あ
され て い た 。 地 中 連 続壁 工 法 もそ の 一 つ で あ る。 もベ ン トナ イ ト泥 水 の 充 た され た 状 態 で コ ン ク リー トを
き,掘 削 面 が崩 壊 しな い よ うに 支 え る山 止 め 壁 工 法 の 一 品 質 な どが,一 般 の地 上 構 造 物 に くら べ る と低 い 。 そ の
種 で あ る。 山 止 壁 は,従 来 鋼 製 の シ ー トパ イル が 代 表 的 た め地 中 連 続 壁 の 設 計 に あ た って は 設 計 強 度 を 低 く 押
中 深 く打 ち 込 む た め に,騒 音 や 地 盤 振 動 が 大 きい 。 これ の も とに 実 施 され て い る。 また,こ の 工 法 で は 深 溝 を型
な 掘 削 機 に よ っ て 巾40∼100cm程 度の深い 溝 を 掘 削 地 中 壁 の 精 度 に 直 接 影 響 す る。 こ のた め溝 掘 削 に あ た っ
リー ト打 設 用 の鋼 製 パ イ プ)を 用 い て コ ン ク リー トを打 した が っ て地 中壁 の壁 面 に 凹凸 がで き る こ とは 避 け られ
設 す る方 法 に よ っ て鉄 筋 コ ン ク リー ト構 造 の地 中壁 を構 ない 。
築 するものである。 こ れ ら の地 中連 続 壁 の宿 命 ともい え る問 題 点 の 改 善 策
図1 地中連続壁工法
* Slurry-Solidifying Method
** Riichi HIRAI (株 式 会 社 熊 谷 組 技 術 研 究 所 第5部)
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図2 プ レキ ャ ス トコ ン ク リー ト板 を用 い た 地 中 連 続 壁工 法
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図3 プ レフ ァ シ フ工 法
3・3 泥 水 固 化 物 の 強度 と 強度 制 御
3 泥 水 固 化工 法 の 技術
3・3・1 強 度 に影 響 を及 ぼ す 因子
3・1 ベ ン トナ イ ト泥 水 る 。強 度 に影 響 を与 え る 因子 と しては,図5に 示 すよ う
泥 膜 を介 して 泥 水 圧 が 地 盤 に 伝 達 され て溝 壁 の 安 定 を保 類 に大 き く左 右 され る 。 ベ ン トナ イ トは,産 地 に よ って
着 力 が 付加 され る。 ベ ン トナ イ ト泥 水 の 性 能 は,ベ ント
ナ イ トの 鉱床 や 粒 度,調 合,添 加 剤等 に左 右 され る。
3・2 固 化 材 と投 入 手 順
固 化 材 に は 水 ガ ラス と セ メ ン トを 使用 す る。 セ メ ン ト
は,泥 水 中 で の 分 散 性 を よ くす る す るた め,W/C 50%
程 度 の ペ ー ス トと して 使 用 す る。 水 ガ ラス は,現 場 で の
取 り扱 い や す さや 経 済 性 を考 え,JIS 3号 品 を使 用 して
い る。
水 中 の 自由 水 量 が 増 加 す る。 これ に 対 して,水 ガ ラス を
最 初 に 投 入 す る場 合は,膨 潤 ベ ン トナ イ トの 周 辺 に 拡 散
して い る水 ガ ラ スが 自由 な塩 基 置 換 を妨 げ るた め,放 出
す る吸着 水 量 が 少 く,し た が って セ メ ン ト→ 水 ガ ラス 方
式 に よ る もの に 比 較 して 相 対 的 に 自由 水 量 が 少 な く な
る。 した が って,水 ガ ラス を先 に 投 入 した ほ うが 固 化 材
濃 度 が大 き く固 化物 の 強度 が 高 くな り,ま た ブ リー ジ ン
グ も発 生 しが た い 。 図5 泥 水 固 化 物 の強 度 に影 響 を あ た え る因 子
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合 に は 泥 水 中 の 自由 水 が 少 な くな るた め 固化 材 濃 度 が高 f) 活 性 が高 い シ リカ質 微 粉 の添 加
くな り,強 度 が 大 き くな る。 しか し膨 潤 度 が大 き く,吸 活 性 が高 い シ リカ質 微 粉 末 を泥 水 に 添 加 してお く と,
着Naイ オ ンの 量 が 多 い場 合,セ メ ン トとの水 和 反 応 に そ の ポ ゾ ラ ン反 応 を 利用 して,固 化 物 の 圧縮 強 度 を高 く
よ っ て生 じるCaイ オ ン との塩 基 置換 が行 わ れ や す くな す る こ とが で き る。
り,こ れ に よ っ て生 じる 自由 水 量 が 多 くな る。 こ の た め g) 泥水 中 の懸 濁 物
例 外 的 に 膨 潤 度 が 大 きい に もか か わ らず 固 化 物 強度 が 低 溝 掘 削 中 に 粘土 粒子 の よ うな比 表 面 積 の大 きな土 粒子
くな るベ ン トナ イ トが あ る。 を多 量 に 懸 濁 した 場 合,そ の 表 面 に 泥 水 中 の 水分 が 吸着
b) ベ ン トナ イ トの 濃度 され るの で 自由 水 量 が 少 くな り固 化物 強 度 が 高 くな る。
同 一 固 化 材 量 に 対 してベ ン トナ イ トの 濃 度 が 大 きい も 比 表 面 積 が 少 な い 砂 粒子 等 の 場 合 は,懸 濁 して もほ とん
の の ほ うが 小 さい もの に 比 較 して 固 化 物 強 度 が 高 い 。 こ ど強 度 に影 響 しな い 。
れ は,前 者 の ほ うが 後 者 に 比 べ て泥 水 中 の 自由 水 量 が 少 h) か くは ん,混 合 の 強 弱
な い た め で あ る。 水 ガ ラス混 和 泥水 とセ メ ン トペ ー ス トをか くは ん,混
c) 水 ガ ラス の 量 合 す る と き,塩 基 置 換 の た め に膨 潤 ベ ン トナ イ トが 吸着
本 工 法 で の水 ガ ラ スの 機 能 は,(1)セ メ ン トの 水 和反 応 水 を 放 出 す るが,実 験 で は この か くは ん が弱 い と塩 基 置
を促 進 す る,(2)膨 潤 ベ ン トナ イ トとCaイ オ ンの塩 基 置 換 度 が 少 な い た め 自 由水 の増 量 が少 く,固 化 物強 度 が 高
換 を妨 げ る,(3)Ca(OH)2と 反 応 して ケ イ酸 カ ル シウ ム くな る こ とが あ る 。 しか し,実 際 の施 工 現 場 で は,溝 全
の ゲ ル状 沈 殿 物 を生 成 し,か くは ん 停止 後 セ メ ン ト粒子 体 に わ た っ て セ メ ン ト粒 子 を で き る だ け均 等 に分 散 す る
を分 散 した状 態 で 保 持 して 均 一 な 固 化 物 を作 る,の3点 よ う長 時 間 か くは ん を行 うの で,塩 基 置 換 は 完全 に 行 わ
で あ る。 これ ら の効 果 は,い ずれ も水 ガ ラス 量 が 多 い ほ れ,か くは ん,混 合 の 強 弱 に よ って 固 化 物 強 度 が 高 くな
ど大 きい の で,固 化 物 強 度 も水 ガ ラ ス量 が 多 い ほ ど 高 る こ とは な い 。
い 。 また,水 ガ ラ スが 強 度 に お よぼ す効 果 は,早 期 材 令 3・3・2 強 度 の 制 御
に 大 き く現 わ れ,長 期 材 令 に な るに した が って薄 れ る。 泥 水 固 化工 法 は,PC板 を用 い た地 中連 続 壁工 法 以 外
d) セ メ ン ト量 に も地 盤 改 良,止 水 壁,そ の ほ か 多 くの 山止 め工 法 等 に
セ メ ン ト量 が 多 い ほ ど泥 水 固 化 物 の 強 度 は 高 くな り, 応 用 で き る。 これ ら使 用 目的 や 計 画 条 件 に よ り,固 化 物
そ の 影 響 は 水 ガ ラ ス と逆 に 材 令 が 長 くな るに した が って の強 度 を制 御 す る必 要 が あ り,そ の 方法 は,ベ ン トナ イ
顕 著 に な る。 ト種 類 の選 定,セ メ ン ト種類 の 選 定,高 シ リカ 質 微 紛 末
e) セ メ ン トの 種 類 の添 加 の三 つ の 手 段 に よ って 行 う。 固 化 物 強 度 は,実 用
固 化 材 の配 合 が 同 一 の 場 合,高 炉 セ メ ン トを 使用 した 上5kg/cm2以 下,5kg/cm2∼10kg/cm2, 10kg/cm2
固 化 物 の 強 度 は,普 通 ボル トラ ン ドセ メ ン トを使 用 した ∼20kg/cm2, 20kg/cm2以 上 の4段 階 に分 け,そ の配
もの よ り顕 著 に 高 い 。 これ は,泥 水 固化 物 の場 合,セ メ 合 基 準 は 表2の 通 りで あ る 。
ン ト量 に対 して 泥水 中 の水 分 が多 い た め,水 に溶 解 す る
実 際 の現 場 では,ま ず こ の基 準 に よる試 験 を行 っ て 泥
Ca(OH)2の 量 が 多 く,し た が っ て 高 炉 セ メン トに含 ま 水 と固化 材 の配 合 を決 め る 。 つ ぎ に掘 削 中 の溝 か ら泥 水
れ て い るス ラグ に よる ポ ゾラ ン反 応 が活 発 とな る た め で を採 取 し,試 し練 りに よる 固化 物 の 一軸 圧 縮 強 度 試 験 を
ある。 行 っ て そ の結 果 に よ っ て基 準配 合 の調 整 を行 う。
表2 泥水の配合基準
注) 普 ポ:普 通 ボ ル ト ラ ン ドセ メ ン ト
高 炉:高 炉セ メン ト
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程 度 の高 い止 水 性 を要 求 され る場 合 に は,高 炉 セ メ ン ト
を使 用 す る こ とに してい る。
4 お わ りに
以 上,筆 者 ら が開 発 した泥 水 固 化 工 法 に つ い て の べ
た 。 この こ の工 法 は プ レキ ャス トコン ク リー ト板 を用 い
た地 中連 続 壁 工 法 を実 用 化 す る こ と を 目的 と して 開 発 し
た も の だ が,応 用 性 が広 く,現 在,土 木 建 築 の 地 下工 事
関 係11種 類 の応 用 工 法 が実 用 化 され てお り,壁 タ イ プの
もの約20万m2,地 盤 改 良や 泥 水 処 理 な ど約 万2m3を
施 工 して い る 。
本 文 で は,本 工 法 の開 発 に 至 る背 景 と固 化 物 強 度 に 関
す る研 究 結果 の概 要 の み を の べ た。 工 法 の詳 細 に つ い て
は,後 掲 の文 献 を ご らん い た だ きた い。 諸 兄 の ご研 究 に
な ん らか の参 考 に で も なれ ば幸 い で あ る。
図6 泥 水 固 化 物 の 一 軸 圧縮 強度 と変形 係 数 文 献
(注) E50:破 壊応 力 の56%の 応 力 時 に お け る応 力 と
ひ ず み の比 率,一 軸 圧 縮 強 度 試 験 で 測 定 1) 増 沢鯱 男,「 プ レキ ャス トコン ク リー ト板 を 用 い
す る。 た 地 中連 続 壁 工 法 」,土 と基 礎,24, No. 9 (土質
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