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SNS 依存と SNS 利用実態とその影響 Actual use of Social Networking Service and its Effects with Social Networking Service Addiction
SNS 依存と SNS 利用実態とその影響 Actual use of Social Networking Service and its Effects with Social Networking Service Addiction
SNS 依存と SNS 利用実態とその影響 Actual use of Social Networking Service and its Effects with Social Networking Service Addiction
1
東京大学大学院学際情報学府博士課程 The University of Tokyo
2
関西大学社会学部 Kansai University
3
東京大学大学院情報学環 The University of Tokyo
4
東京国際大学国際関係学部 Tokyo International University
5
東京大学大学院学際情報学府修士課程 The University of Tokyo
Abstract This paper shows actual use of Social Networking Service(SNS) and its effects with SNS addiction.
SNS user is over 70 million, and we can see a topic about internet or SNS addiction on mass media and
internet homepage. However there are few paper about SNS addiction. Thus we present this paper about how
long, how often, what kind of service, and what kind of scene SNS addicted user use SNS, and what kind of
burden and sacrifice SNS addicted felt by using SNS, and change and effects by SNS use.
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、 利用が人びとにどのような影響を及ぼしているのか明
2009)、日本人の半数以上が利用していることになる。 2.調査の方法
一方、SNS に対して依存や中毒があるのではないかとい 本研究では、日本で最大級の SNS「SNS X」2の運営会
うことがマスメディアやネット上で話題に上っている。 社協力のもとインターネット調査を行った。調査対象
かといった統計的なデータはほとんど見当たらない。 た全ユーザーからランダムに調査協力依頼のリンクを
依存者は非依存者に比べて PC、
携帯それぞれからの SNS 「つぶやき機能」を利用する人の割合が高く、
「ニュー
上位 5 項目は基本的に空き時間や自由時間といった
PC/依存 22% 21% 7% 21% 11% 18% 通常の利用だと言えるが、
「トイレの中」や「食事中」
、
「仕事・授業中」などあまり一般的でない利用におい
PC/非依存 17% 21% 13% 24% 12% 14% ても、依存者の 3 分の 1 以上が SNS を利用している。
機能」という回答が多く、
「ニュース」という回答が少 者:244.2 円、t(6852.9)= -8.25、p<0.0001、N=56,029)
、
よく利用しているが非依存者の携帯からの最もよく利 多い(依存者:87.2%、非依存者:32.9%、χ自乗検
「日記」の割合も高い。また、PC では依存者の「ニュ
ース」の割合が極端に低い。
7
PC からの利用時間、利用頻度。 10
どのような場所で SNS を利用しているかを複数選択で質問
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最もよく利用する機能を 1 つ選択させた。またそれぞれにお した。
いて 10%を切るものは「その他」としてまとめた。 11
橋元良明編『ネット依存の現状―2010 年調査』より。また、
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携帯、PC ともに、依存者・非依存者と最もよく利用する機 それぞれの項目と依存・非依存でχ自乗検定を行った結果、
能でχ自乗検定を行った結果、0.1%水準で有意。 全ての項目において 0.1%水準で有意。
5.SNS 依存と SNS 利用の負担感・犠牲時間 間」、「趣味に使う時間」を犠牲にしていると感じてい
る人の割合が高く、非依存者は「負担に感じることは
負担に感じる人の割合が他の項目に比べて多く、SNS 自 どのような影響を受けているのかを明らかにする。
12 15
どのようなものに負担を感じているか複数選択で質問した。 橋元良明編『ネット依存の現状―2010 年調査』より。また、
13
橋元良明編『ネット依存の現状―2010 年調査』より。また、 それぞれと依存・非依存でχ自乗検定を行った結果、全て
それぞれと依存・非依存でχ自乗検定を行った結果、全て 0.1%水準で有意。
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0.1%水準で有意 SNS 利用による変化は、それぞれの質問項目に対して、 「増
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どのような時間を犠牲にしていると感じているかを複数選 えた」、 「減った」、
「かわらない」の 3 件法で質問した。本稿
択で質問した。 では、便宜的に「増えた」と「減った」を分けて分析した。
関係にかかわるもの、そして「生活の満足度」である。 (2) SNS 依存と SNS 利用による影響
きる。また、
「社会的知識」に関しては、依存者は非依 図表 9 依存・非依存と SNS 利用による影響20
クのα係数:0.57)
、ネガティブ影響得点(クロバック のニュース機能による可能性がある。一方で自信や対
のα係数:0.82)とした。 人信頼感が減少したという回答が見られた点にも注意
次に、ポジティブ影響得点、ネガティブ影響得点の する必要がある。
ンバックのα係数:0.71)とし、依存得点を被説明変 者に比べてより当てはまると回答する傾向が見られた。
数に、ポジティブ影響得点、ネガティブ影響得点を説 しかし、重回帰分析の結果、依存とはネガティブな要
明変数に、性別と年齢を統制変数とした重回帰分析を 因がポジティブな要因に比べて関係が深いようである。
行った(図表 11)
。 また今後の課題としては、大野ら(2010)のインタ
ネガティブ影響の寄与 の非同期型コミュニケーションにおける依存状態から
響得点に比べて高い値を示しており、ネガティブな影 介(2010):ネット依存の若者たち、21人インタビュー調
いといえる。 究偏、No.27,101-139.
2) 橋元良明編(2011):『ネット依存の現状―2010 年調査』
(総
6.まとめ 務省・安心ネットづくり促進協議会共同研究報告書).
以上のように、
SNS 利用実態から SNS 依存を見た場合、 3) 総務省情報通信政策研究所調査研究部(2009):ブログ・
関係が強く、依存者は「つぶやき機能」を多く使い、
「ニ content/000030547.pdf, last access 2011/06/ 12
ると感じている人が依存者に多い。 Behavior,1,237-244.
さらに、SNS 利用による影響という側面では、対人関