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学生番号 1 7 4 0 2 1 0 3 5 6 氏名 奥山泰斗
Department Faculty     Department Subject/Teacher
所属 学部   経営    学科 科目/教員名 文化人類学/石 川 浩 之
Class Grade      Class      Number Date Year      Month       Day
年・組・番号 1年    3 組    10 番 日付 2021 年    7 月    21 日

岡正雄氏の伝播論に基づくに日本人の系統論
 はじめに
 世界的に有名な文化人類学者である岡正雄氏は、日本の文化要素は複数の種族文化から伝播して作られたとして
いる(1)。それが、いわゆる「伝播論」である。本稿では、そんな伝播論に基づき伝播したとされる五つの種族文化
から日本人の系統論をみていく。

1. 五つの種族文化
 (1) 母系的・秘密結社的・芋栽培‐狩猟民文化
 この文化は主に、東南アジア・ポリネシア・メラネシア・インドネシアを中心に広がっていたとされており、日本には縄文式文
化中期以降に流入してきたとされる。この文化の農業は比較的低い土地で行われており、主にタロ芋(現在食べられている
里芋が一種として含まれる)やヤム芋が栽培されていた。それにより、名前に芋栽培という文字が含まれている。そしてこの文
化の特徴として、村の男のみが集まりその中の数人が仮面仮装をし、祖先崇拝を目的とする祭りが行われる男性秘密結社と
呼ばれる特質がある。この中で神がいるとされる方向は水平方向とされており、仮面仮装をする男性秘密結社のメンバーた
ちは、その水平方向の彼方からくる来訪神として祭りのときのみ現れ終わると帰っていく存在という考えのもと、仮装を行う。
 (2) 母系的・陸稲栽培‐狩猟民文化
 主に東南アジア大陸部を中心に広がっていたとされているこの文化は、縄文式文化末期に日本に入ってきた。農業形態と
しては、水稲栽培に先行して、山地丘陵の斜面の焼畑で陸稲栽培を行っていたとされている。この文化の中では、神の方向は
おそらく水平方向なのではないかとされているが、明確な答えは定まっていない。また、この文化には、太陽神とされるアマテ
ラスの神話と洪水神話が深く関わっていることが分かっている。
 (3) 父系的・「ハラ」氏族的・畑作‐狩猟・飼畜民文化
 この文化は北東アジア・満州・朝鮮半島を主として広がっていったとされ、弥生式文化初期に日本に伝わってきた。アワや
キビなどの穀物の焼畑栽培と同時に、狩猟や家畜を飼っていた点は他の文化とは異なる部分である。この文化に特質的なの
は、祖先と子孫とを男性血縁で結び付け親族集団を緩やかに作り上げていく、氏族と呼ばれる文化がみられることだ。ここで
は、そのまとまりの緩さから「ハラ」氏族という言葉が用いられている。神がいる方向は垂直だとされている。
 (4) 男性的・年齢階梯制的・水稲栽培‐漁撈民文化
 東南アジア島嶼部、中国江南地方から日本へと渡ってきたこの文化は、紀元前 4~5 世紀頃に日本に伝播してきたものであ
る。経済形態として、水稲栽培に加え沿岸での漁労にも従事していたとされている。この文化の特徴として、社会組織において
年齢階級制と呼ばれる制度がある。この制度は、年齢を重ねていくごとにその年代の支配力が強くなっていくというものだ。そ
して、現代の日本においても、年齢が上の人を下の人が敬うことは当たり前の文化として根付いている。神のいる方向は、一
番目や三番目の文化のように決まった方向はなく、どちらかというと水平寄りではあるとされている。
 (5) 父権的・「ウジ」氏族的‐支配者文化
この文化は、満州・朝鮮半島を中心として広がり、3~4 世紀頃に日本に流入してきたとされる。この文化におい
て特質的なのは、三番目の文化のように氏族的な同族組織があるがその内容がより厳格に決められていることだ。内容とし
ては、その家の祖先が誰かによって権力が異なる、氏族階級制と呼ばれる制度に基づき組織が形成されているというものだ。
それにより「ウジ」氏族という言葉がここでは用いられている。その人の生まれによって社会における地位が決められるという
仕組みは、現代の日本ではほぼないが江戸時代などの日本においては顕著に見られるものであり、その影響力の強さは大き
なものであったことがわかる。この文化において神の方向は垂直とされ、宗教的な面で天孫降臨神話に深く関わっており、後
の天皇制に大きな影響を与えたとされている。

 おわりに
 本稿では、日本に伝播してきたとされる五つの種族文化をみてきたが、その中には今や少し前の日本に共通するような文
化の特徴を持っている点がいくつもあった。今、自分たちが当たり前だと認識している文化も、大昔には他の大陸から日本に
入ってきたものだと考えると、日々の生活において違う視点で物を見ることができるかもしれない。

 注
(1)岡正雄『異人その他』

 参考文献
岡正雄『異人その他』言叢社 1979 年

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