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11.

ステンレス中のクロムの定量

1.要旨
試料を硫酸と硝酸で分解し、硫酸白煙を発生させた後、水で薄め、濾過した後、過硫酸アン
モニウムで酸化した後、塩酸を加えて過マンガン酸を還元した。過剰の硫酸アンモニウム鉄
(I)標準溶液を加え、その過剰を過マンガン酸カリウムで逆滴定し、クロムを定量した。

2.試薬 試薬は次による
B 班(1)硫酸(1+4). 8G329 Matsungen
氷冷(全 150ml)
(2)塩酸(1+3). 9K475 Matsungen
B 班(3)リン酸
(4)硫酸マンガン溶液. J006726 Chameleon
硫酸マンガン(4〜6 水塩)50g を水に溶解して 250ml とする。
(5)硝酸銀溶液(5g/1). CO5216H Chameleon
(6)ペルオキソ二硫酸アンモニウム
溶液(250g/1)使用の都度調製。
(7)0.1mol/l 硫酸アンモニウム鉄(I) B14668M Chameleon
標準溶液
硫酸アンモニウム鉄(I)の調製方法及び標定方法は定量分析法の第 5 章第 3 節による
(8)0.02mol/1 過マンガン酸カリウム DCH6198 Wako
標準溶液

過マンガン酸カリウムの調製方法、標定方法及び保存方法は定量分析
法の第 5 章第 3 節による。

3.試料はかりとり量
試料は下表に従ってはかり取った
クロム含有率 % 試料はかりとり量 g
10 以上 0. 20(*3) M1=0,2018g ,M2=0,2035g ,M3=0,2029g

SUS 304(18-8 ステンレス):Cr18%.Ni8%.鋼「Fe と Cr」0.01〜1%

4.操作
4、1 過硫酸アンモニウム酸化過マンガン酸カリウム滴定法
4.1.1 試料溶液の調製
はかり取った試料をピーカー(500ml)に移して時計皿で覆い、硫酸(1+4)40ml 及びりん酸
5ml を加えて加熱分解した後、硝酸約 3ml を加え、煮沸して鉄を酸化するとともに炭化物
などを分解し、酸化窒素などを除去した。
もし硝酸を添加する前に不溶物があるときは時計皿を取り外し、引き続き硫酸白煙が発生
し始め、溶液がコロイド状になるまで加熱した。これに硝酸 3m1 を加えて酸化し、さらに
加熱して硫酸白煙が発生したまで加熱して酸化窒素などを除去した。放冷後、温水約 100ml
を加え加熱して塩類を溶解し、濾紙(5A)を用いて濾過し、硫酸(2+100)で洗浄し、濾液及び
洗液を三角フラスコ(500ml)に集め、残さは捨てた。全量が 150ml 以下

4.2.2 クロムの酸化、6+に
4.1.1 で得た試料の全量、温水で 150ml に薄めだ後、硝酸銀溶液 10ml を加えて加熱し、煮
沸し始めたら過硫酸アンモニウム溶液 20m1 を徐々に加え、約 3〜5 分間煮沸してクロムを
酸化し、過硫酸アンモニウムを分解した。
次に塩酸(1+3)5m1 を加え、過マンガン酸カリウムを分解した。溶液がなお赤紫色を呈して
いたか、または二酸化マンガンの沈殿が残存しているときは、さらに塩酸(1+3)2〜3 皿 1 を
追加し、過マンガン酸を完全に分解した。これに硫酸マンガン溶液 5m1 を加えて 2〜3 分
間煮沸し、発生した塩素を完全に除去した。水を加えて液量を約 300ml とし、三角フラス
コを流水中で常温まで冷却した。

4・3 識定(試しがありません)
4.1.2 で得た溶液に 0.1mol/1 硫酸アンモニウム鉄(I I)標準溶液を加えてニクロム酸カリウ
ムを還元した後、さらに過剰に 5〜10ml を正確に加え直ちに 0.02mo1/1 過マンガン酸カリ
ウム標準溶液で滴定する溶液がわずかに赤紫色を呈した点を終点とした。

(註)1)試料分解時や酸化時にリン酸を用いていないときは、5ml のリン酸を加えると終点が
みやすかった。

滴定結果
番号一 12.52ml 12.50ml 12.48ml
番号ニ 12.41ml 12.43ml 12.50ml
番号三 時間がなかった。

4.4 計算
試料中のクロムの含有率を、次の式によって算出した。
クロム(%)=(V f -V f ) * 0,001733 *100
M
ここに、
V :0.1mol/1 硫酸アンモニウム鉄(I)標準溶液使用量(ml)
V :0.02mo1/1 過マンガン酸力リウム標準溶液使用量(ml)
f :0.1mol/1 硫酸アンモニウム鉄(I)標準溶液のファクター
f :0.02mo1/1 過マンガン酸カリウム標準溶液のファクター
M:試料はかりとり量(g)

解說
本法は JIS G1217-1992 鉄及び鋼中のクロムの定量方法の主要部分をまとめたものである。
試料がタングステン、ケイ素を含む場合や、バナジウムや多量のニッケルを含む場合、コバ
ルトを含む場合は別操作による分解、分離法を用いている。前処理法は以上のように含有し
ている成分によって色々と操作が異なるが、定量方法はいずれの場合も同じであって、0.1%
以上含有の場合に容量法が採用されている。JIS にはこのほかに過マンガン酸カリウム酸化
過マンガン酸カリウム滴定法が 0. 1%以上、過塩素酸酸化過マンガン酸カリウム滴定法が
1%以上クロムを含有している試料の分析法として記載されている。また、2% 未満の試料
については、ジフェニルカルバジドによる吸光光度法がある。クロムの化学分析による定量
に関しては、過マンガン酸塩滴定法とジフェニルカルバジド法を知っているとほとんど困
らない。

[反応]
試料を硫酸で処理、分解し、過マンガン酸カリウムを加えてクロムを酸化して、クロム酸と
したときは
Cr (SO ) +2KMnO +3H O=K Cr O +2MnO +3H SO
加熱煮沸して大部分の過マンガン酸を二酸化マンガンにするときは
2HMn04=2MnO +H O+3O
硫酸マンガン溶液を加えて残っている過マンガン酸を完全に分解する。

4KMnO +6MnSO +14H O=10MnO ㆍ H O+4KHSO +2H SO

Cr (SO4) +3MnO +H O=H Cr O +3MnSO


過剰の硫酸鉄(II)アンモニウム標準溶液を加えて還元するときは
H Cr O +6FeSO (NH ) SO +6H SO =
Cr (SO ) +3Fe (SO4) + (NH ) SO +7H O
の硫酸鉄(I)アンモニウムを過マンガン酸カリウム標準溶液でるときは
10F eSO4+2KMnO + H SO =5Fe (SO ) +K SO + MnSO + H O

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