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注 文 の多い料理店 作者…宮沢 賢治
ここは、山の中です。若い男が二人、歩いています。①鉄砲を持って、白い大きな
にひき つ
犬を二匹連れています。
なんじかん
二人は、もう何時間も山の中を歩いています。
一人が言いました。「どうしてこの山には動物がいないんだ?鳥もいないし、うさ
ぎもいない。(Ⅰ)つまらない」
しか う
もう一人も言いました。「この鉄砲で、鹿(注)を(Ⅱ)パパーンと撃ちたいなあ。き
っと楽しいだろうなあ」
二人は東京から来たのです。一時間前まで、②案内の人も一緒に歩いていたのですが、どこかへ行ってしま
いました。
お
木がだんだん多くなってきました。木の葉がたくさん落ちています。
にひき
白い大きな二匹の犬が、③急にバタンと④倒れました。二人はびっくりし
て、犬のそばに行きました。犬は死んでいました。
「(Ⅲ)この犬は三十万円だったんだ」
ぼく
「僕の犬も高かった」
二人は、⑤残念そうに言いました。
ぼく
それから、一人が言いました。「(Ⅳ)おなかがすいた。僕は、もう帰ろうと思う」
つか ぼく
もう一人も言いました。「寒くなったし、足が疲れたから、僕も、もう帰ろうと思う」
しかし、二人は道がわからなくなりました。
「でも、どの道を帰ればいいんだろう?」
ふ
急に強い風が吹いてきました。「どうどうどう」大きな音です。
草が「ざわざわざわ」
木の葉が【 Ⅴ 】
木が「ごとんごとん」
山が大きな音を出しています。
ちゅうもん おお りょうりてん みやざわ けんじ
注 文 の多い料理店 作者…宮沢 賢治
二人は、「⑥お腹がすいた。何か食べたいなあ」「もう歩きたくないなあ」と言いました。
せいようりょうりてん やまねこ
そのとき、二人が⑦後ろを見ると、そこに大きな家がありました。大きな家の入口に、西洋料理店『山猫
けん
軒』と書いてあります。
「あ、レストランだ!」
「山の中にレストラン?おかしいな。でも、何か食べることができるぞ」
「もちろん、できるさ」
二人は、とてもおなかがすいていました。
「何か食べたい。早く入ろう」
「うん、入ろう」
二人は、レストランの前に立ちました。
きんいろ
レストランの⑧戸には、金色の字で、こう書いてありました。
だれでも、入ってください。どうぞ
よろこ いちにち
二人は、 喜 んで言いました。「よかったなあ。今日は、一日大変だったけれど、こんなにいいこともある
んだな」
ろうか
そして、戸を開けて中へ入りました。そこには、長い廊下がありま
ろうか
した。二人は廊下を歩きました。
少し歩くと、(Ⅵ)青いの戸がありました。
「⑨変な家だ。どうしてこんなにたくさん戸があるんだろう?」
「寒いところや山の中の家は、みんな(Ⅶ)そうなのさ」
ちゅうもん おお りょうりてん みやざわ けんじ
注 文 の多い料理店 作者…宮沢 賢治
二人が戸を開けようとすると、戸に黄色い字で、こう書いてあります。
ここは、注文の多い料理店です。
このレストランには、お客さんがたくさん来て、「これをください」「あれをく
ださい」と、料理をたくさん注文するのでしょう。
「こんな山の中だけれど、お客さんが多いんだね」
「いい店はみんな(Ⅷ)そうさ。東京のいいレストランも、にぎやかなところじ
ゃなくて、⑩静かなところにあるよ」
「早くテーブルのある部屋に行きたいなあ」
ろうか
二人は戸を開けて、廊下を歩きました。
しか
(注) 鹿…geyik
ちゅうもん おお りょうりてん みやざわ けんじ
注 文 の多い料理店 作者…宮沢 賢治
問1 下線部①~⑩の漢字の読みがなを、ひらがなで答えなさい。
① 鉄砲…( ) ② 案内…( )
⑤ 残念…( ) ⑥ お腹…(お )
⑦ 後ろ…( ろ) ⑧ 戸…( )
⑨ 変…( ) ⑩ 静か…( か)
問2 二重下線部(Ⅰ)「つまらない」のはどうしてですか。もっともいいものを、一つ選びなさい。
う
ア 動物をかわいがることができないから。 イ 動物を撃つことができないから。
き ふく よご
ウ 山を歩くのが好きじゃないから。 エ 着ている服が汚れてしまうから。
問3 二重下線部(Ⅱ)「パパーン」は何の音をあらわしていますか。もっともいいものを、一つ選びなさ
い。
じゅうせい な
ア 動物の足音 イ 銃声 ウ 山が出す音 エ 風の音 オ 犬の鳴き声
問4 二重下線部(Ⅲ)「この犬は三十万円だったんだ」から、男はどんな人だとわかりますか。もっともい
いものを、一つ選びなさい。
ア 動物の命よりもお金を気にする人。 イ 動物の死をふかく悲しむ人。
ウ お金をはらって動物を助けようとする人。 エ 動物を友達だとみなしている人。
問5 二重下線部(Ⅳ)「おなかがすいた」とはどういうことですか。もっともいいものを、一つ選びなさ
い。
問7 二重下線部(Ⅵ)「青いの戸」は文法的に間違っています。正しい書き方に直しなさい。
( )
ちゅうもん おお りょうりてん みやざわ けんじ
注 文 の多い料理店 作者…宮沢 賢治
問8 二重下線部(Ⅶ)「そう」とはどういうことですか。もっともいいものを、一つ選びなさい。
ろうか
ア 家の廊下が長いということ。 イ 家の中の戸が青いということ。
ウ 家の形が変だということ。 エ 家の中の戸が多いということ。
問9 二重下線部(Ⅷ)「そう」とはどういうことですか。もっともいいものを、一つ選びなさい。
ア 料理の注文が多いということ。 イ 家の廊下が長いということ。
ウ 店員がたくさんいるということ。 エ 静かなところにあるということ。
問10 本文と合っているものには〇を、合っていないものには×をつけなさい。
① 若い男たちは、二人だけで山の中へ入っていった。( )
おおさかしゅっしん
② 若い男たちは、大阪 出 身 である。( )
やまねこけん
③ 二人が見つけたレストランの名前は、「山猫軒」である。( )
④ レストランの中には、お客さんがたくさんいた。( )
すがた
問11 本文を一つ選び、その文をイラストにしなさい。(レストランや男たちの 姿 も、みなさんの好きな
ように描いて ok!ただし、鉄砲などは持たせること。)
<選んだ文>
<イラスト>