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Studies On Numerical Estimations of Suspended Solids Load Caused by Dredging and Reclamation Works
Studies On Numerical Estimations of Suspended Solids Load Caused by Dredging and Reclamation Works
1. 序 論
(1) 濃 藻 埋 立 工 事 と海 域 環 境 問 題
昭和40年 前 後 か らの 我 が 国 の 高 度 経 済成 長 に お い て,
大規 模 な 臨海 工 業 地 帯 の 造 成 や, コ ンテ ナ等 海上 輸 送 の
革新 に対 応 した大 型 流 通 港 湾 の 整 備 等, 港 湾 工 事 の規 模
の拡 大 が進 行 した が, 一 方 で は凌 喋 や 埋立 工 事 に よる海
域 の濁 りの 問題 が顕 在 化 す る よ う に もな っ た. これ らの
問題 は折 か らの都 市 へ の 人 口 集 中 や 産業 活 動 の活 発化 に
よ る汚 水 の 流 入, 水 産 に お け る増 養 殖 化 の 進 展 と も相
ま っ て, 内湾 に お け る水 質 汚 濁 の 進行 や赤 潮 の 多発 な ど,
(生息分布 域の変化)
深 刻 な社 会 問 題 の 原 因 の 一 つ に 数 え られ る よ う に な っ
図-1 土砂 の濁 りに よ る海 洋 生 態 系 へ の 影 響
た.
凌 喋 埋 立 工 事 に関 す る海 域 環 境 問 題 は, 40年 代 後 半 と す る. 短 期 的影 響 と して は次 の よ うな こと が考 え られ
に い た り, 47年 の 閣 議 了 解 「各 種 公 共 事 業 に係 る環 境 た.
保 全 対 策 につ い て」 を受 けて, 運 輸 省 に と っ て も本 格 的 (1) 工 事 に よ り発生 す る濁 りの影 響
な取 り組 み が焦 眉 の課 題 と な った. ま た, 一 般 の港 湾 工 (1)-1 濁 りが 魚介 類 等 漁 場 に及 ぼす 直接 的 な影 響
事 の み な らず, 水 俣 港 を始 め とす る工業 港 内 に堆 積 した (1)-2 濁 りに よる水 中光 量 減 少 の 影 響
水 銀 を含 む有 害 汚 泥 や, 東 京 ・大 阪等 の大 都 市 前 面 の 港 (1)-3 濁 り粒 子 の沈 澱 堆 積 に よ る影 響
内 に堆 積 す る栄 養 塩 を多 量 に含 有 す る有 機 質 汚 泥 の除 去 (2) 工 事 に よっ て底 質 に含 ま れ る物 質 が 溶 出 拡 散 す る
事 業 が急 が れ て お り, これ らの 除去 に 当 た っ て も2次 公 影響
害 を 防止 す る こ と は緊 急 の 課 題 で あ っ た. (2)-1 底 質 に含 まれ る有 機 物, 栄 養 塩 の溶 出 に よる
工 事 に よる濁 りが周 辺 の 水 質, 底 質 や海 生 生 物 に及 ぼ 富 栄 養 化 へ の 影響
す影 響 の模 式 図 を 図-11)に 示 す が, そ の 中 に は短 期 的 (2)-2 底 質 に含 ま れ る有 害 物 質 の 溶 出 に よ る影 響
な も の と長 期 的 な もの が あ る. 短 期 的 な も の と して は, (2) 既往 の研 究
工 事 期 間 及 び工 事 箇 所 を中 心 と した比 較 的 短 期 間 に生 じ 著 者 等 が本 研 究 に着 手 した 昭 和48年 頃 は, 土 運 船 か
る影 響 で あ り, 長 期 的 な もの と して は, 生 物 の世 代 の 交 らの投 棄 土 砂 の水 中 で の拡 散 現 象 の 研 究 等, 個 別 の研 究
代 や広 範 囲 に及 ぶ 地 形, 流 況 の 変化 に よ る影 響 を い うが, は な さ れ て い た が2), 本 論 文 に示 す よ う な, 現 地 調 査 に
本 論 文 で は こ の う ち短 期 間 の 影響 に着 目 して 述 べ る こ と も とつ く濁 りそ の も のの 発 生 原 単 位 の 包 括 的 な検 討 は な
さ れ て い な か っ た(本 研 究 成 果 はそ の 後 市 販 の文 献3)に
*正 会員 工修 運輸省第五港湾建設局先任港湾工事検査官 一 部 引 用 され て い る).
(〒455名 古屋市港 区築地町2番 地) 一 方, 西村 は, 瀬 戸 内 海 の 海 水 の 濁 りに つ い て, 透 明
**正 会員 工博 大 阪産業大学工学部長(大 阪大学名誉教授)
***技術 士(株)岩 田環境技術研究所 度 分 布 とSS(浮 遊 物 質)を 含 む 人 為 的 な微 細 固体 懸 濁
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凌漢埋立工事 における濁 り匹発生原 単位の検討/油 谷 ・室田 ・岩田
濁 度: JISK0101-8.2に よ る(光 電 光 度 法)
た め, 昭 和48∼50年 度 に渡 っ て種 ・
々の 調 査検 討 を実 施
した結 果 の う ち, そ れ ま で不 明確 で あ っ た 濁 りの発 生 量
に 関 し, SSを 指 標 と した 濁 りの 発 生 原 単 位 を著 者 等 が
開 発 した経 緯 を中心 に論 じる と と も に, 現 時 点 で そ の 内
容 を省 み る とき様 々 な課 題 が残 され て お り, 今 後 さ らに
よ りよ い もの に 改善 さ れ る必 要 の あ る こ と を考 察 す る も
ので あ る.
2. 調 査 検 討 の 概 要 と経 緯
工 事 に よる水 質, 底 質, 海 生 生 物 等 へ の 影 響 を把 握 す
ま って い る4). 土運 船 に よる海 中へ の 土 砂 投 入, ガ ッ ト船 に よる 基礎 マ
(3) 海域 に お け る濁 りの 規 制 値 ウ ン ド石 の投 入, 床 掘 し た箇 所 へ の 置換 砂 の投 入, 埋 立
工 事 に よ り発 生 す る 濁 りに対 す る法 的 な 規 制 や参 考 値 に伴 う余 水 吐 か らの 土 砂 の流 出状 況, あ る い は港 湾 の 開
を表-1に 示 す. 発 に伴 う周 辺 海 域 の 環 境 の 変化 調 査 等, 様 々 な要 因 に よ
有 害 物 質 に対 す る 規 制 値 と比 較 して, SSを 中心 と し る水 質, 底 質, 生 物 へ の影 響 を調 査 して い る. ま た, 作
が特 徴 で あ る. 平洋 岸, 日本 海 沿 岸 等外 海 と東 京 湾, 伊 勢 湾, 大 阪湾,
(4) 本論文の主旨 瀬戸 内海 等 の内 湾 等, 海 況 や環 境 の異 な る海 湾 で調 査 し
本 論 文 は, 湊 深 埋 立 工事 に よ っ て生 じる濁 りが, 周 辺 て い る.
の生 物 を含 む海 域 環 境 に及 ぼ す影 響 を定 量 的 に把 握 す る た だ これ らの 数 多 く現 地 調 査 は, 必 ず しも すべ てが 本
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土 木 学 会 論 文 集No. 474/VI-202pp. 67∼74, 1993. 9
--航 跡
航跡 上の各点 が ---上 層
潮流 によ って移 -下 層
動 した後の位置
図-3 ドラ グサ ク シ ョ ン船 の溢 流 濁 水 の拡 散 状 況
(9時22分 時 点)
論 文 の 主 旨で あ るSS発 生 原 単 位 を求 め る た め に実 施 さ CODや 栄 養 塩 との 相 関 が必 ず し も よ くな い 場 合 も見 ら
れ た もの で はな か った. 当 時 は各 海 域 ご とに(東 日本 や れ た.
帯 前 面 とそ れ 以 外, 大 都 市 港 湾 とそ れ 以 外 等)環 境 問題 例6)
の 内 容 が 異 な って お り, それ ぞ れ の 地 域 の 要 請 に応 じて 図-3の よ う に, 舷 側 か らオ ーバ ー フ ロ ー水(温 流 水)
調 査 して い るの が 実 態 で あ った. そ れ ら を大 ま か に 区分 を放 出 させ つ つ, 格子 状 の測 点 問 を航 行 させ て, 溢 流 水
す る と次 の よ う に な る. の 拡 散 状 況 を航 空 写真 で撮 影 した. そ の 際, 溢 流 水 量 と
(1) 濁 りの 把 握 に重 点 を置 い た もの そ れ に 含 ま れ るSS量 を各 測 点 で 採 水 し て調 査 し, SS
(1)-1 発 生 量 の 把 握 に注 目 し た もの の 拡 散, 沈 降状 況 を調 査 した. まず 同 図 に お い て, 航 跡
(1)-2 拡 散 状 況 の 把 握 に注 目 した もの に直 交 して 帯状 に発 生 源 を想 定 し, それ が潮 流 の方 向 に
(1)-3 両 者 を把 握 しよ う と し た もの 航 空 写真 か ら観 察 さ れ る幅 に拡 散 す る と考 え た(こ の 際,
(2)-1 短 期 的 な 濁 りの 影 響 に注 目 した も の は等 しい もの と想 定 す れ ば, 帯 の 幅 だ け を考 えれ ば よい
(2)-2 長 期 的 な 濁 りの 影 響 に注 目 した も の こ とに な る. 図-4に 拡 散 面 積 の 推 移 を示 す. ). 次 に,
この 中 で ほ とん ど の調 査 は短 期 的 な濁 りの把 握 と短 期 溢 流 水 中 の 土 粒 子 が, St0kes式 に よ り海 底 に 徐 々 に沈
的 な 生物 影 響 に着 目 した もの で あ っ た. 澱 す る こ と を想 定 して 水 深 方 向 の拡 散 厚 の 時 間 変 化 を考
これ らの 現地 調 査 を総 合 的 に分 析 して濁 りの発 生 拡 散 慮 し, 各 幅 の 中 で のSS濃 度 を計 算 し て, そ れ と 各測 点
を定 量 的 に把 握 し, 海 生 生 物 へ の影 響 予 測 を行 い, 適正 で のSS濃 度(バ ック グ ラ ン ド値 を差 し引 い た値)を 対
な 評 価方 法 と影 響 の 防止 対 策 の確 立 も含 め た工 事 に係 る 比 し た も の を 図 一5に 示 す. (な お, ドラ グサ ク シ ョン
度 の 分 析 調 査1),5)の
狙 い で あ っ た. そ こで は次 の よ うな 水 質 の改 善 を図 って い る. )
手順 で 開 発 に 取 り組 ん だ. 以 上 の よ うな 分析 の結 果, 工 事 に よ る濁 りに関 し, 粒
(1) 各 現地 調 査 結 果 を も と に, 水 質 項 目相 互 の 相 関 を 径 に よ る沈 降 挙 動, 拡 散 係 数 の扱 い等 に関 す る様 々な 知
分 析 す る. 見 が 得 られ, 次 節 に述 べ る よ う な濁 りの 定 量 的 な 取 り扱
(2) 濁 りの指 標 を確 立 し, 発 生 量 と拡 散 堆積 した量 と いが 可 能 で あ る と い う知 見 を得 た.
の収 支 の算 定 方 法 を確 立 す る.
3. 濁 りの発 生 原 単 位 の 検 討
(3)(1), (2)をも と に濁 りの発 生 原 単 位 手 法 を確 立 す る.
(4)凌 深 埋 立 工 事 が生 物 に及 ぼす 影 響 を現地 調 査, 文 (1) 基 本 的 考 え方
献 調 査 を もと に分 析 す る. a) 濁 りの指 標
(5)以 上 の知 見 を も と に, 工 事 に係 る環 境 ア セ ス メ ン 濁 りを 表 す 代表 的 な 指標 と して は濁 度 とSSが あ り,
トの手 法 を 開発 す る. 原 単位 の 作 成 に 当 たっ て はSSを 採 用 した. そ の理 由 と
本 節 で は, こ の う ち(1)と(2)につ い て, 検 討 した も のの して は, 濁度 の測 定 値 は溶 解 性 物 質 も含 め て よ り広 範 囲
一 部 を次 に示 す. の 濁 りを表 す も の で あ るが, 定量 的 な扱 い に な じま な い
現 地 調 査 に基 づ き, 濁 度 とSSの 関係 を図-2に 示 す. 濁 物質 を表 す も の で あ り, フ ィル タ ー で残 留 す る もの を
一 般 に濁 度 とSSの 相 関 は よ いが, 濁 度 あ る い はSSと 測定 す る こ とか ら1μ 程 度 以 下 の 粒 子 や 溶 解 性 物 質 は抜
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凌深 埋 立 工 事 に お け る濁 りの 発 生 原 単 位 の検 討/油 谷 ・室 田 ・岩 田
a) 連続 発 生源 b) 一時 的 発生 源
平面図 平面図
断面図
断面図
・計算 値
・実 測 値
図-7 濁 りの流 下 拡 散 モ デ ル
で あ る. これ はc)で 述 べ る.
ま ず こ こで は, 現 象 を図-7の よ う に 単純 な モ デ ル に
置 き換 え て考 え る.
濁 りの発 生 は, ポ ン プ船 や グ ラブ 船 の 掘 削 に伴 う濁 り
で連 続 発 生 源 と見 なせ る場 合 と, 沖 捨 の よ う に土 運 船 か
ら短 時 間 で土 砂 を排 出す る一 時 的 発 生 源 と見 な せ る場 合
と に分 類 で き る. 発 生 した濁 り は潮 流 に よ って 拡 散 し,
図-7に 示 す 測 定 ラ イ ン に 到 達 す る. 各 測 点 に お け る
SS濃 度 は 測 点 位 置 に よ っ て異 な る が, バ ック グ ラ ン ド
値 を差 し引 い た平 均SS濃 度 を考 え, 以下 の よ うに して
図-5 SSに 関 す る計 算 値 と実 測 値 の 対 比
測 定 ラ イ ン位 置 で の 濁 りの 総 量 と掘 削 あ るい は排 出 した
け落 ち る可 能性 はあ る もの の, 重 量 濃 度 で表 す こ とが で 土 砂 量 の比 か ら濁 りの 発 生 原 単位 を算 定 す る こと が で き
き るの で 結 果 の 取 り扱 い が容 易 な た め で あ っ た. た だ 両 る(も ち ろ ん, この 場 合, 掘 削 あ る い は排 出地 点 か ら測
者 の 間 に は図 一2に 示 す よ う に あ る程 度 の相 関 は認 め ら 点 位 置 ま で に沈 澱 し た濁 り は除 外 され る).
れ たの で, 必 要 に応 じてSSか ら濁 度 を推 定 で き る こ と (1) 連 続 発 生 源 の 場 合
もわ か っ た. 測 定 ラ イン上 の各 測 点 のSS濃 度 分 布 か ら, 測 定 ラ イ
b) 現 地 で の濁 りの発 生 量 と原 単 位 ン上 の濁 り領 域 幅Bを 決 め, 平 均SS濃 度 を用 い て 発
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土 木 学 会 論 文 集No. 474/'VI-20, pp. 67∼74, 1993. 9
KU: 水 深(m)
η: 流 速(m/hr)
ω01=W3/Q0 (3-2)
こ こ に ω01: 測 定 ラ イ ン位 置 で の 濁 りの発 生 原 単 位
(ton/m3, 9.8kN/m3)
Q0: 取 り扱 い 土 砂 量(m3/hr)
(2) 一 時 的 発 生 源 の 場 合
測 定 ラ イ ン を濁 りが通 過 す る 間 のSS濃 度 を連 続 測定
し, そ のSS濃 度 分 布 か ら通 過 した 濁 り領 域 の平 面 積A.
を求 め, 平 均SS濃 度 を用 い て発 生 量 と発 生 原単 位 を 次
式 に よ り算 定 す る.
Wb=S・A・H×10-6 (3-3)
ここに 既: 濁 りの 発 生 量(ton, 9.8kN)
S: 連 続 測 定 し た濁 りの 平 均SS濃 度
(ton/m3, 9. 8kN/m3)
図-8 粒子径 と汚濁限界流速 の関係
A: 濁 り領 域 の 平 面 積(m2)
E: 水 深(m)
W1=W/Q0 (3-4)
こ こ に ω01: 測 定 ラ イ ン位 置 で の 濁 りの 発 生原 単 位
(ton/m3, 9.8kN/m3)
Q0: 取 り扱 い 土 砂 量(m3)
c) 流 れ の 中 で の 濁 り粒 子 の 沈 降 と再 浮 上 の 問題
ポ ン プ湊 深 等, 海底 近 くで濁 りが発 生 して い る に もか
か わ らず, 流 下 方 向 の水 面 へ の 濁 りが浮 上 す る現 象 や,
討 され て お り, 西 村 は粒 子 の 沈 降 と乱 流 拡散 に よ る上 方
輸 送 の バ ラ ンス か らVfH/Kz<1(こ こ にVt: 粒子の沈
降 速 度, H: 水 深, Kz: 鉛 直 拡 散 係 数)な ら粒 子 は垂
直方 向 に ほ ぼ一 様 に分 布 し安 定 し た懸 濁 状 態 に な る と述 (1): 底 質 浄 化 協 会 「埋 立 工 事 に お け る軟 弱 土 の 堆
べ て い る4). と こ ろ が, この よ う な 方 法 で は不 明 確 な拡 積 と余 水 濃 度 」 日米 専 門 家 会議(1985)
(2)(3): 日本 港 湾 コ ンサ ル タ ン ト協 会 「粘 土 に つ い
散 係 数 の項 が加 わ る こ とか ら, 筆 者 等 は沈 澱 池 の設 計 で て」 協 研021. (1974)
による
用 い られ る洗 掘 ・再 浮 上 の 限 界 流 速 の考 え方7)を適 用 す
る こと と した. 図-10 海 水 中 に お け る微 細 粒 子 の フ ロ ッ ク化 説 明 図
具 体 的 に は図一7の よ う な状 況 の 中 で, Ingers01式 お
よ びCamp式 を補 正 し た 汚 濁 限 界 流 速(再 浮 上 限 界 流 す る粒 子 と, 表 層 か ら下 層 ま で の 鉛 直 断 面 に一 様 に広 が
い て"Camp式 を補 正"と あ る の は, 松 田, 岩 田が 実 施 横 軸 は濁 り粒 子 に は フ ロ ッ ク も含 む た め, 相 当粒 子 径 と
とか ら, 補 正 した も の で あ る. この よ う に して求 め た粒 4=74μ との 直 接 的 な 関 係 は な い. さ ら に, 海 水 中 で 撹
子 の浮 上 限界 で あ る た め, 浮 上 後 に海 底 面 を這 っ て流 下 拝 され た微 細 な濁 り粒 子 は凝 集 して フロ ック化 し, 図一
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凌深埋立工事にお ける濁 りの発生原単位の検討/油 谷 ・室田 ・岩田
9.8kN/m3) 必 要 で あ る. そ の た め, この 後 の 追 加 調 査 を含 め表 一4
R74: 取 り扱 い 土 砂 の 粒 子 径74μ 以 下 の 粒 径 を 平 均 化 し た表 一5が 第 四 港 湾 建 設 局 に よ り昭和57年
加積 百 分 率(%) に 開発 さ れ て い る.
KR1: 図一8に お いて 現 地 の流 速 に対 応 す る粒
4. 考 察 お よび 課 題
子径 以 下 の粒 径 加 積 百 分 率(%)
ω01: 現 地 の 流 況 下 で 求 め たSS発 生原 単位 本 論 文 の ポ イ ン トと して は2つ あ り, そ の1はSSを
(2) 発生原単位の算定 て濁 りの 定 量 的 取 り扱 い が可 能 と な り, 水 中光 量 の 指 標
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土 木 学 会 論 文 集No. 474/VI-20, pp. 67∼74, 1993. 9
表-4 SS発 生 原 単位 表
但 しt/hは9.8kN/h、t/m3は9.8kN/m3 (SI単 位)
用 す る こ と と した. そ の2は 原 単位 を標 準 化 して 予 測 の 一 方, 原 単 位 の値 は, 実 測 値 そ の もの か ら算 定 した も
必 要 な様 々 に異 な る現 場 条 件 に対 して も使 用 で き る よ う の で あ り, 標 準 化 の 過 程 にお い て, 一 定 の安 全 率 は見 込
に した こと で あ る. ん だ も の の, 海 水 中 の流 れ の 中 の濁 り現象 の機 構 を十 分
実 際 のSSの 発 生 量 の算 定 は, 次 の よ う な手 順 で行 う. 解 明 した う え で算 定 し た もの で は な い. した が っ て, 実
用 的 に は問 題 は な い と考 え るが, 厳 密 な意 味 で は, 土 粒
子 の沈 降, 浮 上 現 象 を精 査 し, そ の詳 細 な機 構 を解 明 す
る こ とで 原 単 位 の もつ 意 味 が よ り明確 に な る と考 え る.
5. 結 論
凌 喋 埋 立 工 事 に よ る海 域 の濁 りの問 題 は港 湾 整 備 事 業
に お いて 昭 和40年 代 か ら50年 代 にか けて そ の 現 象 の解
明(海 生生 物 へ の影 響 を含 む)と 防 除 対 策(有 害重 金 属
等 を含 む 汚 泥 の 除去 事 業 で は と く に重 要)の 確 立 が強 く
求 め られ た 問題 で あ っ た. 本 論 文 で はそ れ らの調 査 研 究
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凌 深 埋 立 工 事 に お け る濁 りの 発 生 原 単 位 の検 討/油 谷 ・室 田 ・岩 田
の う ち有 害 堆 積 汚 泥(こ れ ら は別 途 検 討 した)を 除 く一 参 考 文 献
般 の海 底 土 砂 を対 象 と し た濁 り につ いて 数 多 くの 現地 調 1) 運 輸 省第 四港 湾 建設 局: 凌喋 埋 立 影 響 分 析 調 査, p. 293,
1975年3月.
査 を も と にSSを 指 標 と した濁 りの発 生原 単位 を 開発 し
2) 小川 元 ・竹 内 益 雄: 土 運 船 に よ る投 棄 土 砂 の分 散, 土
た こ と を 中心 に と り ま と め た. この 原 単 位 は以 後, 公 有
木 学 会論 文 報 告 集, No. 161, 1969年1月.
水 面 の埋 立 申請 等 の 工 事 に係 る環 境 アセ ス メ ン トを実 施
3) 石黒 隆 編: 海 岸 ・港 湾 ・海 洋 工 事, 山 海 堂, pp. 133∼
す る 際 に広 く用 い られ て い る が, 4-に 述 べ た よ う に残 136, 1980.
さ れ た課 題 を含 む もの で あ る. 環 境 問 題 が 再 び ク ロー ズ 4) 西村 肇: 瀬 戸 内 海 の 汚 染III-海 水 の 濁 り-, 科学
を踏 ま え, さ ら に必 要 な 考 察 を加 え て 今 回発 表 す る こ と 8) 松 田 ・岩 田: 鉛 直 ジ ェ ッ トに よる 海 底 土 砂 の切 崩 に つ い
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