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初めての雪

本文
図書館で授業の準備を終え、やれやれと伸びをしたとき、窓の外でひらひら白いもの
が舞っているのに気がついた。雪だ。帰り支度もそこそこに、外へ飛び出すと、空のか
なたから白いかけらがこちらをめがけるように、次から次へと落ちてきて、ほおや手の
ひらに触れては消えていく。「これが雪か」と何とも不思議な思いにとらわれているう
ちに、周りの景色がみるみる変わっていく。勢いを増した雪が、ベンチといわず木とい
わず、辺りを白一色に染めていた。私は、しばらくその場に立ち尽くして、生まれて初
めての雪を飽きずに眺めていた。
次の日、窓の外の白い世界が、朝の陽を受けてきらきら輝いていた。家を出ると、空
気がすがすがしい。毎日通う大学への道が、いつもとはまるっきり違っていた。歩くた
びに、きゅっきゅっと足元で雪が鳴る。子供たちが作ったのか、途中に雪だるまがあっ
た。手袋を外し、そっと触れてみる。横に並ぶポストは雪の帽子をかぶっている。雪を
少し手に取って、舌に乗せる。味はしないが、冷たい。四季のはっきりしない暑い所で
育って私には、心がときめく思いの朝だった。
しばらくたって、何日間か太陽が顔を見せず、ヒューヒューと空が泣いてでもいるか
のような日が続き、休むことなく雪が降った。交通機関が動かなくなり、大学も何日
間か授業がなくなった。窓の外の町は、何もかもが止まってしまったように見えた。テ
レビは、雪が原因の交通事故で何人けがをした、屋根の雪を下ろそうとして、お年寄
りが亡くなったと、毎日雪のニュースを伝えている。後で知ったことだが、こうした事
故で命を落とす人が毎年後を絶たないということだ。白一色の世界で、雪に押しつ
ぶされそうになりながらも、身を潜めるようにして生きる人たちがいる。雪には、厳し
い冬の暮らしを強いる、もうひとつの顔があることを知った。
これまで何か疑問に思うと、ついインターネットを通して答えを得ようとしてきた。日
本へ来る前に、雪景色やスキーの様子も、絵や動画を見て、知っていた。しかし、初め
ての雪を経験して、何をどう利用したところで、得られるのは知識の一部でしかない
と、つくづく思い知らされた。物事の表面的、一面的知識で納得している限り、自分の
世界を狭くすることはあっても、物事の本当の姿を知ることはできないのだ。物を知る
とはどういうことなのか、初めての雪に教えられた気がする。

まとめ
四季ははっきりしない暑い場所で育ったので筆者は 日本へ来た上で、初めて
雪を見ました。 その時、 立ちつくして眺めました。 しかし。 しばらく
経って、 雪が降りるのは命を落として、 冬の暮らしを知強いました。 その
時雪の一面も知った。 だから、 何か知りたい時。 インターネットで検索し
たいだけでなく、体験するのは必要だがわかりました。

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