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S T E P1記述問題から小論文へ
S T E P1記述問題から小論文へ
STEP3 小論文の書き方
長い文章を要約することができれば、もう、皆さんは、長い文章が書けるはず
です。文章のほとんどは、「事実を書いている部分」「意見を書いている部分」
「説明を書いている部分」の三つでできています。この中で、省略できるの
は、「説明を書いている部分」でした。
長い文章の大事な所だけを残して要約できるということは、逆に、要約した短
い文について、説明できるということです。ですから、要約ができるようにな
れば、長い文も書けるようになるのです。
長く書くということは、要約した文を具体的に分かりやすく説明することだ
からです。事実関係を書き、自分の意見を書いて、その説明をし、そしてそれ
をまた要約する(=結論を書く)こと、それが長い文を書くことなのです。
ここで、800字の小論文の書き方をもう一度思い出してください。
作⽂クラス 韓⼀外国語学院
① 事実関係=試験問題のテーマについての知識(本文要約)
② 問題点=何が問題なのか?はっきり示す 事実関係を説明する
③ 原因=なぜ問題が起きるのか?
④ 解決策=自分の意見
⑤ 理由=自分の意見の説明 意⾒を述べる
⑥ 具体例=自分の意見の根拠を示す
⑦ 反対意見の否定=自分の意見の正しさを示す 自分の意見の補強
⑧ 結論
このうち①〜③は、事実関係をまとめる部分です。本文要約がある問題であれ
ば、本文の要約に相当します。そして④〜⑥は、自分の意見を説明する部分で
す。そして最後に⑧で、もう一度全体を要約するのです。
この①から⑧までの文の関係が正しく書ければ、それが理論的な文章、つま
り、小論文です。
では、実際に、小論文の書き方を勉強しましょう。
作⽂クラス 韓⼀外国語学院
① 事実関係、問題点、原因の書き方
最初に、事実関係の書き方ですが、ここでは「環境問題」について、書いて
みましょう。
問題3 環境問題についてあなたの意見を述べなさい。
「環境問題」といっても、いろいろな問題があります。
環境問題 原因
1 地球の温暖化 二酸化炭素・フロンガスなど温室効果ガス
森林伐採 人口爆発
3 海洋汚染 工場の排水や産業廃棄物など
酸化物
6 オゾン層の破壊 フロンガス排出
オキシン 核廃棄物
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大きく七つの問題に分けてみましたが、原因を見てください。どの問題もそれ
ぞれ関係があることが分かります。
この中でも特に、現在、大きな問題として注目されているのが「温暖化」で
す。
温暖化によって、北極、南極の氷が溶けて、海面が上昇し、実際に、沈んでし
まう恐れがある太平洋の島国が、存在するからです。
ここまでを、実際に書いていきましょう。
[事実関係・問題点]
環境問題といってもいろいろな問題がある。
その中で、私は特に、地球環境温暖化について述べてみたい。
温暖化とは、工場や発電所や自動車が排出する二酸化炭素などが、地球の表
面に広がり地球全体を包みこんだようになって、ちょうど野菜を育てる温室の
ように、地球表面があたたかくなり、温度が上がることである。この20年間
で、0.5℃気温が上がっており、21世紀末には1.4℃上がるといわれてい
る。
この結果、地球全体の気候が変動し、南極、北極に近い高緯度地域の氷が溶
け、海面上昇をもたらし、現在、太平洋の島では、水没の危機が迫っている国
があるのである。
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事実関係、つまり、温暖化の説明と、その問題点を書いて、280字です。
ここまで書いたら、次は原因へと進みましょう。
【原因】
地球温暖化の原因は、第一に、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加であ
る。
では、なぜ、このようなガスが増えているのかというと、18世紀の産業革
命以後、世界の人口が爆発的に増加し、工業化・機械化にともなって、石炭や
石油などの化石燃料の使用が大量に増え続けているからに他ならない。また、
酸性雨や乱伐による森林の減少も大きな原因に数えられる。
ここまでで、460字です。環境問題、特に地球温暖化について書くと、事
実関係・問題点・原因までで、これだけ長くなってしまいます。こんなに簡単
に書いても、400字を超えてしまうのです。
事実関係を書くとき、覚えておきたい表現を下に挙げましたので、参考にし
てください。
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【事実関係の表現】
定義・説明の表現
○温暖化とは、温度が上昇してあたたかくなることである。
○温室効果ガスとは、二酸化硫黄、フロンガスなどのことである。
○地球表面の温度が上がるということは、海面が上昇するということである。
問題点を強調する表現
○この結果、太平洋の島が水没するという問題が起きているのである。
○温暖化によって、自然災害が多発していることが問題なのである。
○問題なのは、温暖化が気候変動をもたらすことである。
原因を述べる表現
○温暖化の原因は、温室効果ガスの増加である。
○なぜ、温室効果ガスが増加しているのかというと、工場や発電に使用される
化石燃料が増えているからである。
○産業革命以後、世界の人口が爆発的に増加した。これが、温暖化の真の原因
なのではないだろうか。
これで、800字のうち、前半の400字はかけるはずです。皆さんも、ほか
の環境問題について、事実関係の説明、問題点、原因が書けるように練習して
おきましょう。
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② 解決策の書き方
大学の先生が知りたいのは、小論文のテーマ(ここでは、環境問題)に対す
る皆さんの知識と、皆さんの独自の考え方です。それを残りの400字で書
けばいいのです。
もう一度、原因のところに戻ってみましょう。原因が分かったということ
は、それを克服する方法が解決策になるはずです。原因が答えを導いてくれ
るのです。
例えば、温暖化の原因は、温室効果ガスの増加です。
ですから、温室効果ガスを減らせば解決できます。そのためには、リサイ
クルや省エネルギー、代替エネルギーの開発をしなければなりません。
ここで、新たな問題が出てきます。「だれが、それをするのか」という問題
です。答えは、温室効果ガスを増やした人です。つまり、先進国です。
では、なぜ、温室効果ガスを増やしたのか?それは、経済発展のためで
す。
このように、原因からスタートして考えを深めると、経済発展のために温
室効果ガスを増やした先進国が、代替エネルギーの開発などをする、という
解決策が導き出されます。
ここで、【問題3】の小論文の続きを書いてみましょう。
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【解決策(=意見)】
この問題を解決するためには、二酸化炭素の排出を減らさなければならな
い。そして、化石燃料に代わるエネルギーを開発しなければならない。それ
で、地球サミット等国際会議が開かれ、持続可能な開発が叫ばれている。
私たちの周りでもゴミを分別し、ビンやカンのリサイクルが行われている
し、太陽エネルギーを利用している家もある。
しかし、個人の努力や一企業の力だけでは、問題が解決しないのも事実であ
る。
この問題は、やはり、化石燃料を大量に使用し、二酸化炭素を排出する先進
国が積極的に取り組むしかないだろう。経済の発展を求める時代の流れは止め
られないし、新しい流れを作るのは、先進国しかないからである。
先進国の人々は、環境問題においても、世界をリードしなければならないの
である。
これで800字です。
環境問は大きな問題ですから、原因を考えていくと、産業革命まで歴史をさ
かのぼってしまいます。そして、現在の先進国と発展途上国との対立まで、問
題は広がってしまいます。最後には経済の発展を優先するのか、それとも、環
境保護を優先するのか、という究極の問題に答えなければなりません。しか
し。字数制限のある小論文ですべてを書ききることはできません。
自分の意見を書く際には、まず、自分の立場をはっきりさせることが大事で
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す。その上で、自分が勉強した知識を書きましょう。【問題3】の小論文の中で
も、太字の部分が知識を書いたところです。例として、環境問題に関する背景
知識を挙げてみました。
【環境問題の背景知識】
環境問題の会議としては、国連環境開発会議(地球サミット)が1992年
にリオデジャネイロで、2002年にヨハネスブルクで開かれています。温暖
化防止のためには、1992年に気候変動枠組み条約(温暖化防止条約)が締
結され、毎年のように締約国会議(COP)が開かれています。特に1997
年に合意された「京都議定書」には、2008年から2012年の間に、先進
国全体の温室効果ガス排出量を1990年に比べて5.2%減らすことが決めら
れています。
二酸化炭素の排出量が多い国は、1位アメリカ、2位中国、3位ロシア、4
位日本、5位インド、6位ドイツです。
私たち一人一人に何ができるかというと、電気を節約すること、ゴミを出さ
ないようにし、リサイクルに協力すること、あまり自動車に乗らないこと、コ
ンビニなどのレジでもらうビニール袋を受け取らないこと、といった消極的な
ことしかできません。後は、科学技術の発達による新発明を期待するしかない
のです。
新しい動きとしては、二酸化炭素を排出する企業に税金を払わせる国もあれ
ば、発展途上国の二酸化炭素を削減して先進国に売るといった新しいビジネス
も展開されています。
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大学の経済学部や経営学部、国際かんけい学部を志望する学生は、このよう
な知識が必要かもしれません。これらの知識の中から、自分の意見に合わせ
て、必要なものを書いていきましょう。
ここで、(解決策=意見)の書き方を覚えておきましょう。
【解決策(=意見)の表現】
「〜なければならない」「〜必要がある」「〜ことだ」
=必要性を表す
○地球温暖化問題を解決するためには、二酸化炭素を削減しなければならな
い。
○二酸化炭素の排出を減らすためには、石油の使用を減らす必要がある。
○二酸化炭素の排出を減らすには、まず、電気を節約することだ。
「〜べきだ」「〜べきではない」
=人や組織など行為の主体に対して自分の意見を主張する
○まず、先進国が温暖化防止に取り組むべきだ。
○日本の企業も二酸化炭素の削減に協力するべきである。
○先進国は、これ以上、二酸化炭素の排出を増やすべきではない。
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「〜だろう」=自分の意見を表す
○地球温暖化を止めなければならないことは、だれもが知っていることだろ
う。
○二酸化炭素を減らさなければならないことは、アメリカの国民も知っている
だろう。
「〜はずである」「〜にちがいない」=自分の意見を強く表す
○ゴミを分別して出すことは、小学生でも知っているはずである。
○地球温暖化を止めなければならないことは、中学生でも知っているにちがい
ない。
「〜ではないだろうか」=読む人に対して自分の意見を強調する
○まず、先進国が温暖化防止に取り組むべきではないだろうか。
○二酸化炭素を排出する企業には、税金を負担させる必要があるのではないだ
ろうか。
○地球温暖化の問題を知らない人はいないのではないだろうか。
「〜たいものだ」「〜てほしいものだ」=一般的な希望・要望を表す
○温暖化の問題を解決して、住みやすい環境にしたいものである。
○企業の経営は、もっと環境に対する意識を持ってほしいものである。
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「〜を求める」=公的な要求を表す
○二酸化炭素を排出する企業には、新たに環境税を課すことを求める。
「〜が求められる」=客観的な要望を表す。
○二酸化炭素削減のため、国民の協力が求められる。
「〜ざるを得ない」「〜わけにはいかない」=必然性を表す
○石油が有限である以上、代替エネルギーを開発せざるを得ない。
○海に沈む国があるというのに、温暖化防止に協力しないわけにはいかない。
「〜と言わざるを得ない」=自分の意見を客観的に表す
○地球温暖化の責任は先進国にあると言わざるを得ない。
「〜ものと思われる」「〜と思えてならない」=自分の考えを客観的に表す
○今後、地球環境はさらに悪化するものと思われる。
○環境問題は、自然が人類に与えた試練だと思えてならない。
作⽂クラス 韓⼀外国語学院
「〜だからこそ」「〜がゆえに」「〜からにはほかならない」
=理由・原因の強調を表す
○大気中の二酸化炭素が増加したからこそ、地球は温暖化したのである。
○大気中の二酸化炭素が増加したがゆえに、地球は温暖化したのである。
○地球が温暖化したのは、大気中の二酸化炭素が増加したからにはほかならな
い。