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Vol. 139, No.

1 YAKUGAKU ZASSHI 139, 3939 (2019) 39

―Foreword―

若手が取り組む新規糖尿病治療・予防法の開発を目指した研究戦略

清水かほり,,a 鬼木健太郎b

Development of a Novel Method for the Treatment and Prevention of Diabetes Mellitus

Kahori Shimizu,a and Kentaro Onikib

aLaboratory of Biochemistry, Faculty of Pharmacy, Osaka Ohtani University; 3111 Nishikiori-kita, Tondabayashi,
Osaka 5848540, Japan: and bDivision of Pharmacology and Therapeutics, Graduate School of Pharmaceutical
Sciences, Kumamoto University; 51 Oe-honmachi, Chuo-ku, Kumamoto 8620973, Japan.

糖尿病の患者数は増加の一途をたどっており,全 表して頂いた.本誌上シンポジウムは,日本薬学会
世界の成人の 11 人に 1 人が糖尿病患者である.さ 第 138 年会シンポジウム S70「若手が取り組む新規
らに,8 秒に 1 人が糖尿病により死亡していること 糖尿病治療・予防法の開発を目指した研究戦略」で
が報告されている(国際糖尿病アトラス 第 8 版 の発表から記載するものである.以下に本誌上シン
2017 年).糖尿病に対する治療薬は,1921 年に抽出 ポジウムの著者とタイトルを紹介する.1.「膵島ミ
されたインスリンに始まり,インスリン抵抗性改善 トコンドリアを標的とした分子送達技術の開発及び
系,インスリン分泌促進系,糖吸収・排泄促進系な 糖尿病治療への展開」山田勇磨(北海道大院薬),
ど数多く開発されてきた.しかしながら,糖尿病は 2.「糖尿病治療・予防を目指した改良型アデノウイ
今もなお克服されていないことから,糖尿病に対す ルスベクターによる遺伝子と食品に関する検討」清
る革新的な治療・予防法の開発が求められている. 水かほり(大阪大谷大薬), 3. 「臨床薬理遺伝学に
糖尿病は,慢性の高血糖を主徴とする代謝性疾患 基づく DsbA-L と肥満関連疾患予防に関する多角
群である.糖尿病の成因・病態形成は単一ではな 的検討」鬼木健太郎(熊本大院薬).
く,多様な生活習慣,環境,遺伝などが複雑に影響 本シンポジウムを通して,糖尿病に関する基礎研
しあっている.そして,膵臓からのインスリン分 究から臨床研究まで幅広い内容を総合的に議論する
泌,肝臓・骨格筋・脂肪組織による糖・脂質代謝, ことにより,新たな糖尿病治療・予防法を見い出し
インスリン抵抗性などが相互作用しあい,糖尿病の ていくことを期待する.
発症・進展につながる.したがって,糖尿病を多方 最後に,シンポジウムの開催並びに誌上シンポジ
面からとらえることにより,糖尿病に対する様々な ウムの執筆・掲載にあたり,貴重な機会を与えて頂
アプローチが開発可能であると期待される. きました日本薬学会第 138 年会組織委員会・スタッ
そこで,本誌上シンポジウムでは,糖尿病に対す フの先生方並びに日本薬学会役員の先生方,そして
る治療及び予防法を広い視点から探索するため,糖 今回シンポジストとしてご参加頂きました先生方並
尿病の発症及び進展に係わる膵臓,肝臓,ミトコン びに関係者のみなさまに,この場を借りて厚く御礼
ドリア,遺伝情報に着目した.そして,多様な研究 申し上げます.
背景を持つ若手のシンポジストにこれらの内容を発

a大阪大谷大学薬学部生化学講座(〒 584 8540 大阪府


富田林市錦織北 3111),b熊本大学大学院生命科学研
究部薬物治療学分野(〒8620973 熊本市中央区大江本
町 51)
e-mail: simizukaho@osaka-ohtani.ac.jp
日本薬学会第 138 年会シンポジウム S70 序文

 2019 The Pharmaceutical Society of Japan

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