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分詞構文の理解 Basic #2 (同じ主語と接続詞の省略形:受動態編)

日本人学習にとって難しい文法項目の一つである「分詞構文」は、
「分詞構文」自体を作ることからまず始めると、「分詞構文」を使った英作や、
英文中に出てきた分詞構文の意味が理解しやすくなります。

分詞構文が難しい理由の一つ:
分詞構文は省略表現なので、読者は文中に書かれていない省略された部分・情報を
自分で考えて補充し理解しなければなりません。その為、書かれた英文を読むより
難しくなります。

ですが、分詞構文にはわかりやすい一定のパターンがありますので、これを一つ一つ理解し、
習得していけば、最終的にはさほど難しくなくなります。

まず、分詞構文で省略される語句は、以下の3点のみです。
1)同じ文中に出ている同じ主語
2)書かなくても簡単に推測できる接続詞
3)Being (be 動詞 の現在分詞)
*ただし、接続詞と Being は、省略されずに残る場合もあります。

=分詞理解のチェックリスト Basic 編=
分詞構文の基本を理解するには、以下の5項目の理解が必要となります。
現時点で、どの程度分詞構文を理解しているのか、自分の理解度を以下のリストを使って、
チェックしてみましょう。理解できている項目にはチェックをつけて下さい。
そして、ある程度練習を終えたら、自分の理解の進歩度を見る為、同じリストで再チェック
してみましょう。

=分詞構文 基本理解チェックリスト=
□ 1)分詞構文は、ing 形か、過去分詞(多くが-ed 形)の形をしています。
□ 2)分詞構文の主語は省略されていますが、文中と同じ主語です。同じ主語なので、
繰り返しを避けるために、省略されています。
主語が省略されていると分かれば、意味が把握しやすくなります。
□ 3)分詞構文では、接続詞も省略されることを理解しましょう。
□ 4)分詞構文で省略されている接続詞は、落ち着いて考えれば小・中学生でもわかる
レベルの文と文のつながりを表しています。わかりやすい接続関係で、いちいち
言わなくても・書かなくてもわかるだろうという理由で省略されています。
例えば「雨が降りそうだ( )傘を持っていく」という文において
( )の中には因果関係を表す接続語句が来ることは、明らかです。
分詞構文では、この常識的に理解できる接続詞を省略します。
□ 5)上記の省略された接続関係を理解するためには、場合によっては複数の接続詞を
一つ一つあてはめて意味を確かめ、一番ぴったりするものを使って理解する必要
があります。
分詞構文を見てすぐに理解できるようになるには、練習が必要ですが、落ち着いて
ゆっくり考えれば、さほど難しくはなくなります。

=分詞構文の作り方#2 受動態編=
今回は、前回(能動態の分詞構文を作ったファイル)とは異なり、受動態の分詞構文を
作ってみましょう。

=分詞構文を使って、表現が省略される前の文=

Because the book was translated into many languages, it has been read widely in the world.

この英文において “was translated” の部分が受動態になっています。


この受動態を含む表現を分詞構文に変換するには、基本的に前回の能動態と同じです。
*能動態の分詞構文と異なる、受動態の分詞構文に特有の手順には、★★印がついています。

① まず、どこを分詞構文にするのかというと、接続詞のついた Because 以下の部分(節)


の受動態動詞 translated までを分詞構文にします。
② 文中に2回出てくる同じ主語を省略します。この文の場合は、接続詞のついた Because
以下の部分(節)の主語 the book とその代名詞 it が同じものを表す主語ですので、
Because 以下の部分の “the book“ を省略します。

Because the book was translated into many languages, it has been read in many countries.

すると → Because was translated into many languages, it has been read in many countries.
となります。 (ただし、このままでは、これは非文**です)
③ ★★また、残った主語は it で、これだけでは何を意味するのかわかりませんので、
it を、
元の名詞 the book に置き換えます。
④ 「多くの言語に翻訳された」という内容と「世界で幅広く読まれている」という内容
の意味のつながりは、
「だからその結果」という「原因と結果を表す関係」です。
これは、多くの人にとって、非常にわかりやすい文と文の意味のつながりなので、
この接続詞 Because も省略します。
Because was translated into many languages, the book has been read widely in the world.

すると → was translated into many languages, the book has been read widely in the world.
となります。 (ただし、このままでは、意味不明の非文となります)

⑤ 最終的に、
(繰り返される同じ)主語と(言わなくてもわかる)接続詞を省略したことを

示すために、ここで、残った動詞 was を分詞 (ing 形)に変えます。

すると、分詞構文ができあがります。

was translated into many languages, the book has been read widely in the world.

→ Being translated into many languages, the book has been read widely in the world.

となり、これで分詞構文のできあがりです。

なぜ、ing の形(現在分詞)にするのかというと、was は、 be 動詞の過去形で、


was だけをみると、能動態だからです。(was に translated を加えると、受動態に
なりますが、was だけを見れば、been という過去分詞にはなっていませんので能動
態です。従って分詞構文を作るときの基本ルールに従って、元の動詞が能動態ならば
ing 形(現在分詞)に変え、was を being という分詞(現在分詞)に変換します。

⑥ ★★上の⑤でできあがった文のままでも全く問題ありませんが、
Being をさらに省略することも可能です。分詞構文で使われる Being は、実は、
非常によく省略される分詞です。

Being translated into many languages, the book has been read widely in the world.

→ Translated into many languages, the book has been read widely in the world.
練習にもう一つ受動態の分詞構文を作ってみましょう。
Because the bread is baked at the shop, it is very delicious.
「パンがお店で焼かれているので、とてもおいしい」
→Because the bread is baked at the shop, it is very delicious.

最終的には二通りの分詞構文を使った文が可能となります。

→ Being baked at the shop, the bread is very delicious.

或いは、Being を省略して(上の⑥参照)

Baked at the shop, the bread is very delicious.

** よくある質問

Q1 省略する主語は、同じ主語でないとだめでしょうか。

A: はい。異なる主語を省略してしまうと、意味が不明瞭になってしまいます。
同じ主語だからこそ、省略しても、意味がわかりやすいのです。

Q2 同じ主語と、更に言わなくてもわかる接続詞を省略して、そのままにしておいたら
どうでしょうか?

A: 上の手順②で**マークを付けた(「非文」の箇所)のですが、接続詞と同じ主語を
省略して動詞をそのまま残した場合、英語の文として成立しなくなります。
つまり、文法的に間違いとなってしまいます。

×× 間違った文 Is checked once a year, the car has few problems.

理由は、二つ以上の動詞を同じ文の中でつなげるには、(並列構造等を除いて)
必ず接続詞(または接続詞の役割を持つ表現)が必要となるからです。
つまり、接続詞がなければ、二つ以上の動詞は基本的に一つの文の中に置くことが
できないということです。
ですが、分詞は、動詞と意味がほぼ同じである一方で、文法的には異なりますので、
分詞構文を使えば、接続詞がなくても、文が成立します。
正しい分詞構文 Being checked once a year, the car has few problems.
或いは、Being を省略して Checked once a year, the car has few problems.

Q3 接続詞は、残してかまいませんか?

A: 構いません。接続詞を省略しない場合は、読み手や聞き手に文の接続関係がわかり
やすくなります。その接続関係を明確に伝えたい時は、接続詞を省略しないことが
よくあります。

Q4 受動態の分詞構文の Being は省略しなくても構いませんか?

A: 構いません。上の手順⑥でも説明した通り、受動態の be 動詞を分詞構文にした
場合、その Being は、省略しても、しなくても、どちらでも構いません。

Q5 動詞と動詞を文中に二つ以上置くには接続詞が必要なのであれば、同じ主語だけ省略
したらいいのでしょうか?

A: 残念ですが、接続詞を使う場合、その多くは、同じ主語を省略することができません。

このような接続詞を「従位接続詞」と呼ぶのですが、これらを使う場合は、
「主語と動詞」のセット同士をつなぐか、あるいは、「分詞構文+主語+動詞」の
パターンでつなぐかのどちらかで使うのが基本です。従って、主語だけを省略すること
は、できません。

但し、例外的な接続詞があります。それはよく見かける and, or, but などです。


これらが、正しく接続している場合は、その、つないでいる表現どうしの中に同じ語句
があれば(主語でも動詞でも)省略することができます。
例; I did my best and I was able to pass the test.
→I did my best and was able to pass the test.

ただし、繰り返しますが、このよくみかける and, but, or は、接続詞としては


特殊な(等位接続詞と呼ばれる)接続詞です。

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