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分詞構文の理解 #3 中級 (同じ主語と接続詞の省略形:時間差編)

日本人学習にとって難しい文法項目の一つである「分詞構文」は、
「分詞構文」自体を作ることからまず始めると、「分詞構文」を使った英作や、
英文中に出てきた分詞構文の意味が理解しやすくなります。

分詞構文が難しい理由の一つ:
分詞構文は省略表現なので、読者は文中に書かれていない省略された部分・情報を
自分で考えて補充し理解しなければなりません。その為、書かれた英文をそのまま
読むより難しくなります。

ですが、分詞構文にはわかりやすい一定のパターンがありますので、これを一つ一つ理解し、
習得していけば、最終的にはさほど難しくなくなります。

まず、分詞構文で省略される語句は、以下の3点のみです。
1)同じ文中に出ている同じ主語
2)書かなくても簡単に推測できる接続詞
3)Being (be 動詞 の現在分詞)
*ただし、接続詞と Being は、省略されずに残る場合もあります。

=分詞理解のチェックリスト 中級編=
分詞構文を更に理解するには、前回(受動態編)までに示した5項目に加えて、更に 3 項目
の理解が必要となります。
現時点で、どの程度分詞構文を理解しているのか、自分の理解度を以下のリストを使って、
チェックしてみましょう。理解できている項目にはチェックをつけて下さい。
そして、ある程度練習を終えたら、自分の理解の進歩度を見る為、同じリストで再チェック
してみましょう。

=分詞構文 基本理解チェックリスト=
□ 1)分詞構文は、ing 形か、過去分詞の形をしています。
□ 2)分詞構文の主語は省略されていますが、文中と同じ主語です。同じ主語なので、
繰り返しを避けるために、省略されています。
主語が省略されていると分かれば、意味が把握しやすくなります。
□ 3)分詞構文で分詞の部分が ing (現在分詞)の形をしていた場合は、
動詞の能動態の意味を持ちます。一方、過去分詞(多くが ed 形です)の場合は、
受動態の意味となります。いずれの場合も、上の2)で見つけた「省略されている
文中の同じ主語」を補充して意味を考えると、わかりやすくなります。
□ 4)分詞構文では、接続詞も省略されることを理解しましょう。
□ 5)分詞構文で省略されている接続詞は、落ち着いて考えれば小・中学生でもわかる
レベルの文と文のつながりを表しています。わかりやすい接続関係で、いちいち
言わなくても・書かなくてもわかるだろうという理由で省略されています。
例えば「雨が降りそうだ( )傘を持っていく」という文において
( )の中には因果関係を表す接続語句が来ることは、明らかです。
分詞構文では、この常識的に理解できる接続詞を省略します。
□ 6)上記の省略された接続関係を理解するためには、場合によっては複数の接続詞を
一つ一つあてはめて意味を確かめ、一番ぴったりするものを使って理解する必要
があります。
分詞構文を見てすぐに理解できるようになるには、練習が必要ですが、落ち着いて
ゆっくり考えれば、さほど難しくはなくなります。
(ここまでの項目にチェックがつかない場合は、#1,または#2のファイルを
読んでみましょう。)
□ 7)分詞構文になる表現が受動態の場合は、受動態の be 動詞である Being が省略
されて、過去分詞から始まる分詞構文となることがよくあります。Being は
あってもなくても意味に変わりはありません。
(この項目にチェックがつかない場合は、#2のファイルを読んでみましょう。)

□ 8)★★★新項目!(このファイルで説明する新項目です。)
過去の出来事と、それによる現在の状態など、できごとに時間差がある場合は、
having という分詞を使って、その時間差を表現します。
(この新項目にチェックがつかない場合は、以下の説明を読んでください。
そして、この項目は、復習の再チェックの際に使って下さい)

=分詞構文の作り方#3 中級 時間差編=
今回は、前回や前々回(受動態と能動態の分詞構文を作った各ファイル)で示した分詞構文
の基本の応用編で、過去の出来事と、それによる今の状態のように、二つの出来事の間に

時間差がある場合の分詞構文を練習します。 時間差を表現するには、having という分詞

を使って、having + 過去分詞の形で表現します。
=分詞構文を使って表現が省略される前の文=

Because I visited this city before, I know some good restaurants here.

この英文において「以前この都市を訪れた」 “visited” という過去形と、


「今、この都市で
の良いレストランを知っている」”know” という現在形の間に、時間差が(過去と現在の)
生じています。このように、過去の出来事と、現在の状態との時間差を分詞構文で表したい

場合、having + 過去分詞 という形を使います。

この時間差のある文を分詞構文で表現する場合も、基本は、前回や前々回の分詞構文の作り
方と同じです。また、時間差は、能動態でも受動態でも生じますので、両方の分詞構文で
having が使われます。

ですので、能動態で時間差のある分詞構文の場合と、受動態で時間差のある分詞構文の
それぞれを、今までのおさらいを含めて見ていきましょう。
今回のポイントである時間差のある分詞構文のみで使う手順には★★★印がついています。

=能動態の分詞構文で時間差がある場合の作り方=
では、実際に次の英文を使って、時間差を含む能動態の分詞構文を作ってみましょう。

Because I visited this city before, I know some good restaurants here.

① まず、どこを分詞構文にするのかというと、接続詞のついた Because 以下の部分(節)


の動詞 visited までを分詞構文にします。
② 文中に2回出てくる同じ主語を省略します。この文の場合は、接続詞のついた Because
の部分(節)の主語 I を省略します。
Because I visited this city before, I know some good restaurants here.

すると → Because visited this city before, I know some good restaurants here.
となります。 (ただし、このままでは、これは非文**です)

③ 「以前、この都市を訪れた」という内容と「ここの良いレストランを知っている」と
いう内容の接続関係は、「だからその結果」という「原因と結果を表す関係」です。
これは、多くの人にとって、非常にわかりやすい意味のつながりなので、
この接続詞 Because も省略します。
Because visited this city before, I know some good restaurants here.

すると → visited this city before, I know some good restaurants here. となります。
(ただし、このままでは、意味不明の非文となります)

④ ★★★最終的に、
(繰り返される同じ)主語と(言わなくてもわかる)接続詞を省略した
ことをわかりやすく示すために、残った動詞 visited を分詞 に変えていくのですが、
ここでは、 visited という過去形と know という現在形の間に「過去と現在」という

時間の差があります。

この時間差を分詞構文で表現する場合、having + 過去分詞を使います。

つまり、
visited this city before, I know some good restaurants here. が

→ Having visited this city before, I know some good restaurants here. となるわけです。

尚、ここでの Having visited の visited は、過去形ではなく、have の後に来る

過去分詞であることを理解しましょう。

練習にもう一つ能動態で時間差のある分詞構文を作ってみましょう。

Because I prepared the party dinner well in advance, I am ready to serve all the dishes.

「パーティー用の夕食を十分に前もって準備したので、(今)私は、全ての食事を出す

準備が整っている。」

→Because I prepared the party dinner well in advance, I am ready to serve all the dishes.

と省略していき、

最終的に→ Having prepared the party dinner well in advance, I am ready to serve all the
dishes. となります。

それでは、次に受動態で練習をしてみましょう。

=受動態の分詞構文で時間差がある場合の作り方=

次の英文を使って、時間差を含む受動態の分詞構文を作ってみましょう。
今回のポイントである時間差のある分詞構文のみで使う手順には★★★印がついています。

Because the letter was sent by express, it should be delivered today.

「手紙は速達で送られたので、今日届くはずだ。

受動態の分詞構文のみに使う手順には、☆☆印がついています。

① まず、どこを分詞構文にするのかというと、接続詞のついた Because 以下の部分(節)


の動詞の受動態の部分 sent までを分詞構文にします。
② 文中に2回出てくる同じ主語を省略します。この文の場合は、接続詞のついた Because
の部分(節)
の主語 the letter とその代名詞 it が同じものを表す主語ですので、Because
以下の “the letter“ を省略します。

Because the letter was sent by express, it should be delivered today.

す る と → Because was sent by express, it should be delivered today.

(ただし、このままでは、これは非文**です)

③ ここで、残った主語の it は、これだけでは何を意味するのかわかりませんので、it を、
元の名詞の the letter に置き換えます。
④ 「手紙が速達で送られた」という内容と「今日届くはずだ」という内容の接続関係は、
Because で表現されている「だからその結果」という「原因と結果を表す関係」です。
これは、多くの人にとって、非常にわかりやすい、つながり関係なので、
この接続詞 Because も省略します。

Because was sent by express, the letter should be delivered today.


すると → was sent by express, the letter should be delivered today.

となります。 (ただし、このままでは、意味不明の非文となります)

⑤ ★★★
最終的に、
(繰り返される同じ)主語と(言わなくてもわかる)接続詞を省略したことを

示すために、ここで、残った動詞 was を分詞 に変えていきます。ここの、was sent と

いう過去形と should be delivered today という現在形の間に、「過去と現在」という

時間の差があります。

この時間差を分詞構文で表現する為に、having + 過去分詞を使います。

つまり、

was sent by express, the letter should be delivered today.

Having been sent by express, the letter should be delivered today. となります。

ここでの Having been は、Having の後ろが be 動詞の過去分詞形 been になっている


点を確認しましょう。また、時間差がない分詞構文の場合に省略していた Being が、
上のように時間差のある内容の場合、省略されずに、”Having been” とセットで表現
されている点も確認しましょう。

練習にもう一つ受動態で時間差のある分詞構文を作ってみましょう。

Because the weekend sports festival was canceled three times, it is postponed to next
Monday.

→Because the weekend sports festival was canceled three times, it is postponed to next
Monday.

最終的には
→ Having been canceled three times, the weekend sports festival is postponed to next

Monday.

後の Q&A にもありますが、Having の後ろの been は省略できませんので確認しましょう。

** よくある質問
Q1 時間差を表す Having は、省略できますか?

A: はい。文脈上、時間差が明らかな場合は、having + 過去分詞の形をとらない場合も
あります。たとえば、上の受動態の分詞構文で、

Having been canceled three times, the sports festival is postponed to next Monday.

とありますが、
「運動会のキャンセル」と「延期」の時間差は常識的ですので、このよう
な場合は、Having を省略して

Being canceled three times, the sports festival is postponed to next Monday.

とするのが可能です。

或いは、Being を省略して

Canceled three times already, the sports festival is postponed to next Monday.

とすることも可能です。

ですが、その一方で、時間差があることを明確に伝えたい場合は、having + 過去分詞

を使って表現します。

Q2 時間差のある受動態の分詞構文において、”Having been” の”been” は省略しても


構いませんか?

A: 省略できません。以下に示す通り、時間差のある場合の Having been の been は

省略してしまうと、受動態の意味が消えてしまい、能動態の意味に変わってしまう
からです。上で作った時間差のある受動態の分詞構文を例に使うと
Having been sent by express, the letter should be delivered today.

において、been を省略してしまうと、

Having sent by express, the letter should be delivered today. となり、

この文だと、Having sent の省略された主語が、the letter となる為、文の意味が


「手紙自体が速達で送ったので、今日届くはずだ」となります。つまり、
「(人間が)速達で送った」のではなく、「手紙が送った」と、動作を起こしたもの
が「手紙」となり、常識では、人間が手紙を送りますので、結果として、常識か
ら逸脱した非現実的な意味の文になってしまいます。
このように、Having been の been だけを省略すると、意味が大きく異なってし
まいますので、省略はできないのです。

*尚、繰り返しになりますが、 時間差を表す having がない受動態の分詞構文の


場合は、Being だけであれば、省略することができます。

Being sent by express, the letter should be delivered today.

Sent by the express, the letter should be delivered today.

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