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咽頭所見
咽頭所見
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佐久間孝久 `
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メディカル情報センター
著者紹介
久留米大学小児科名誉教授
山下 文雄
著者は久留米大学小児科主任教授であった船津維一 郎
先生の愛弟子で感染症に造詣が深い。 わたくしはウイル
ス病がこのような咽頭所見を示すということを著者の見
事な写真で初めて知る ことができた。 まさに「目から鱗」
が落ちた感であった。
日常診療上、病態の同定はそう簡単な仕事ではない。
多忙な日常臨床のなかで概診をし、北九州環境衛生研究
所のスタッフ、化血研スタッフの地味かつ熱心 な協力の
ー
もと、病原体を同定し、臨床へ確定診断をフィ ドバッ
クするという一 連の複雑な作業を反復し、見事なオリジ
ナル「臨床図譜」を作成出版された。
同じ船津先生門下の一 員として、 わたくしは著者の着
想、臨床眼、船津先生流の「臨床観 ・ 食いつき ・ 誠実さ」
に常づね敬意を持っていた。 小児の臨床に関心のある同
僚に一読をすすめる。
佐久間孝久先生讃歌
川崎市立川崎病院 前院長(小児科)
武内 可尚
論文
北九州市における小児科外来でみられたアデノウイルス感染症の疫学と臨床ー疫学--- ----- 020
北九州市における小児科外来でみられたアデノウイルス感染症の疫学と臨床ー臨床-------- 024
a. エコ ー
ウイルス 写真 a-1~13 … -------------… … … … ------ …… 031
b. コ クサッキーウイルスA群 写真 b-1~18 . …………………·- … . 038
デ
vn.麻疹 ··………… ………… …………………… ………… ·-····· 100
a.麻疹 写真a-1 ---------------•--------------•------------------------- 100
b. 麻疹ワクチン接種後の麻疹 写真b-1~2 ··…-····•………… ..101
VJll.古典的疾患 ··-………………………•--.....................---•102
(ウイルスの分離が施行される以前より、臨床診断が可能であった疾患)
X. 細菌感染症 ----------------------------------------------------------―ー・llO
鬱
a. ロ タウイルス 写真a-1 -------------------------------------------- 117
29
写真索弓I ---------------------------------------------------------------------- 1
表彰歴・職歴・著書・業績録 •--------------------------------------------130
終わりに ------------------------------------------------------------------------ 131
著者略歴 •--------------------------------------------------------------------- 132
Herpangina :ヘルパンギーナ及ぴヘルプアンギーナ両方の表示があります。
[序文]
外来小児科医は、 診察に際し検査・治療には自ずから制限がある。しかしその最大の魅力と利点は
新鮮な症例を病初期より経過を追って観察出来ることである。
患児の診察に際しては、 何れ の教科書にも記載のある如く、 病歴 ・ 家族歴 ・ 出産歴 ・ 既往歴•予防接
種の有無の確認の重要性は勿論であり、 現症の詳細な診察は当然 の事である。特に、 Virus 性感染症
の多い小児科に於いては咽頭の診察は重要で、 大いに診断の参考になり、 その所見は原因 Virus を示
唆しているものである。私は咽頭に特徴のある疾患につき Virus を分離し、 局所の所見を記録し、 以
下に報告する。
その過程の中で、 子どもの喉を見る度に不思議なことに気が ついた。
●それは、 所謂『かぜ』に罹患し発熱した子どもの咽頭は図示する(図l参照)ように決して 一様に
赤くないのである。図に 示すように、 軟口蓋部と咽頭扁桃部の間に画然として発赤の差があり、 その
境界は線状に見えるのである。 こ の所見は1歳前の乳児により著明であり、 成人は小児ほどはっきり
しない。何故なのか?
●先述の如く、 子ども達に『かぜ』と診断するが、 臨床の場で原因 Virusによる診断をつけられない
ものか?診断したいものである。 例として診断はコクサッキ ー A、B、 エコ ー、 インフルエンザ、 ア
デノ等、 出来ればその型までというのを目的とした。
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②
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①縦走ヒダ(硬口蓋縫線) ⑤小口蓋孔
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② 蓋腺 ⑥小口蓋動脈と神経
③大口蓋動脈と神経 ⑦口蓋垂筋
④大口蓋孔 ⑧口蓋扁桃
●咽頭の所見について
軟口蓋は下口蓋動脈の小下行枝による支配を受け、 咽頭部は 咽頭動脈上行枝による支配を受けてい
る。(図 2 参照) Netter の解剖図によると、 発生学的に軟口蓋は外胚葉由来、 咽頭部は内胚葉由来の
組織(図3参照)である。 成長に従い、 この両血管は吻合するとあった。 私がみた咽頭•軟口蓋の所
見は、 この発生学的解剖学的要因によるものでは な いかと考えている。
●ウイルス学的診断は非常に難しい問題であることが分かったが、 この観察により或る程度は診断が
可能であり、 予後を明確にし保護者の納得が得られたと思っている。 ただ、 Virusの種類については
かなりの診断が可能であるが、 その型については甚だ難しい問題だと実感している。
①
③
⑦
②
⑧
④
⑤
⑨
④
⑧
⑩
⑤
⑦
⑪
⑥
■表2アデノウイルス感染と咽頭所見
対象者数
1996 1997 1998 1999 2000 2001
22 10 21 19 27 21
咽頭所見 咽頭所見の型
著明な白色線状の滲出物が発赤腫脹した口蓋扁桃上にみられる例→ E(++)
白色線状の滲出物が発赤腫脹した口蓋扁桃上に僅かにみられる例→ E(+)
口蓋扁桃は発赤腫脹するが滲出物の見られない例 → E
咽頭後壁にリンパ濾胞の累々たる例 → L
口蓋扁桃全面に滲出物の覆う例 → BB
E(++),E(+),E,L,BB以外の群 → Other
アデノウイルス型
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23.3%
35.0%
2.5%
3.3%
14.2%
アデノウイルス感染診断数と咽頭所見数の差は写真の不備等咽頭所見の記録の不備による
アデノの咽頭所見は E型E(+) 型 E(++) 型の順に多い
アデノの咽頭所見で最も特徴のあるのはE(++) 型である
アデノウイルスの型で咽頭所見に差は無い
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E(++)群
口蓋扁桃は赤く腫脹し、 著明な線状に、 或いは斑点状の白色の滲出物を認める。
写真は1病日より2病日にかけての口蓋扁桃上の滲出物の変化を示す。
第1病日
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I. アデノウイルス 011
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写真6には結膜炎を示す。
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口蓋扁桃は赤く腫脹し、 僅かに線状の白色の滲出物を認める。
写真は結膜炎を示す。
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I. アデノウイルス 013
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口蓋扁桃は赤く腫脹するが滲出物はみられない。
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生が言われたように真に「いくら」様である。ただエコ ーの部の写真6エコ ー 7
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の咽頭後壁の所見がみられるが、アデノウイルスによるもののように顕著では無
い。インフルエンザの写真11の成人例は、このアデノウイルスの咽頭所見に類似
していたが、アデノウイルス感染は否定された。 :]:[.:『
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I.アデノウイルス 015
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発熱は軽度で、 軽い咽頭痛を認めた。
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口蓋 扁 桃 全 面 に
滲出物が覆って
いる。 発 熱 は 軽
度 で、 軽い咽 頭
痛を認めた 。 写
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(1)
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(2)
育を示す。 (l)
6日後第一子男が、
同型のアデノウ
イルス5型に罹
患した。
第5病日
016
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写真は口蓋垂の両側の変化が著明である。
突発性発疹にみられる変化に類似している。
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I. アデノウイルス 017
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写真は口蓋垂の両側の変化が著明である。突発性発疹にみられる変化に類似している。
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見るべきものがある。
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咽頭所見と腹部の発疹を示す。 発疹は2.5%に認めた。
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ID Adenovirus
咽頭所見の他に結膜、 舌の変化を示す。
舌は発赤し舌乳頭が浮き出てみえるが、
ウイルスの種類による特徴は無い。
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第3病日
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第5病日
便からもAdenovirus検出
I.アデノウイルス 019
■小児感染免疫16: 287-294, 2004
北九州市における小児科外来でみられた
アデノウイルス感染症の疫学と臨床 一 疫学
北九州市医師会
佐久間孝久
要旨
アデノウイルス感染症は小児科外来において日常みられ 迅速診断キットの使用によって、外来での診断がある程
る最も重要な疾患の 一
つである。1989年より2001年まで、 度可能になったとはいえ、小児科医にとってウイルス学的な
急性熱性上気道炎症状を訴えて、佐久間小児科を訪れた 診断は現在なお簡単なことではなく、AdV感染症は必ずし
患者の、咽頭より283株、糞便より163株のアデノウイルスを も十分に理解されている疾患とはいえない1 -3)
分離した。血清よりはアデノウイルス抗体の有意上昇により 著者は惑染症サ ー ベイランス検査定点として、1989年より
30例を診断した。計476例 であった。アデノウイルス患者は、 2001年まで外来患者からウイルス分離を試みて き た。そのう
全症例数(検診等を含む)の約〇 . 7%弱、急性熱性上気道 ちAdVを分離した患者について、疫学的考察を行ったので
炎症状患者の約6%を占めた (1994~1995年の調査による)。 報告する。
1994年より2001年に咽頭より3,513の検体を提出し、989 1 . 検査対象
株の各種ウイルスを分離した。アデノウイルスは248株を分 観察期間1989~2001年。主たる対象は佐久間小児科を
離した。これは全検体3,513の7.1%、分離ウイルス989の 訪れた患者の中で、臨床症状から明らかに区別 できる感染
25.1%を占め、 エ ンテロウイルス、インフル エ ンザに 次ぐ分離 症である麻疹、水痘、流行性耳下腺炎等、異型肺炎、細気
数であった。アデノウイルスは北九州市においては、ほぼ年 管支炎、クル ー プを除いた、小児科外来で最もよくみられる
間を通じて観察されたが、春から夏にかけて多くみられた。 急な発熱を伴う、急性咽頭炎患者、上気道炎患者とした。
アデノウイルス型別の分離は、1994年より2001年の咽頭より 咽頭ぬぐい液の検査、写真撮影については、保護者に
アデノウイルスを分離した症例248例、血清よりアデノウイル 感染症サ ー ベイランス事業の意義を十分に説明し、保護者
ス感染を確認し得た症例30例につき検討した。 アデノウイル の承諾を得て施行した。
スは3型が最も多く分離され、次いで2型、1型の順であった。 1994年、1995年は環境衛生研究所の感染性胃腸炎調
アデノウイルスは1歳児から 4歳児に最も多く分離された。ア 査研究の要望により、ほぼ1日あたり咽頭ぬぐい液、便をあ
デノウイルスの各型別の平均年齢は7型が最も高く6.1歳、 わせて6検体弱を提出した。1996年以降はほぼ1日1検体を
次いで3型の4.3歳であった。再感染例を1年以内に9例、1 提出した。
年以上の間隔で6例を認めた。家族内感染は19 家族22例 11.検査方法
に認めた。 検体は0.5%ゼラチンを混合したハンクス液に咽頭ぬぐい
緒言 液を混じ氷室に保存し、当日中に北九州市環境科学研究
アデノウイルス(以下、AdVと略)惑染症は小児科外来に 所に送付し、基準方法により保存した。 また抗体検査用
日常みられる最も重要な疾患の一つである。 の血清は、血清を分離後速やかに塩野義バイオメディカル
ー
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検体数 140 209 129 346 344 1,121 1,084 490 128 174 157 229 160 4,711
Adeno 1 2 2 l 2 7 13 l l l l 9 2 42
Adeno 2 l l 2 11 21 10 2 2 2 12 3 67
Adeno 3 5 3 3 7 32 13 2 4 16 10 2 l 98
Adeno 4 l 2 4
咽頭より Adeno 5 2 l 8 14 4 3 l 2 2 l 38
Adeno 6 2 l 3 l 7
Adeno 7 2 3 2 2 11 20
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型不明(CF) はCF抗体のオi意上昇により診断した症例。 N.T.:Nottypedはアデノウイルスを分離したが、 型のIii!定できなかった症例。 Ad・11はpair血清のNTllの打意上
昇により診断した(出血性膀脱炎)検体数は咽頭よりの検体数のみである。
020
■表 2 咽頭よりのウイルス分離成績 (1994~1995年)
分離したウイルスの症例数に対する割合 分離したウイルスの提出検体に対する割合
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藍鯛徽 9, 9 3 9
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ルス 欝合 分離したウイルス 欝合一生璽とた22とさ
Influenza 10 0.1% 112 12% Infl uenza 10 0. 9% 112 10.3%
Adenovirus 61 0.6% 69 0.7% Adenoviru s 61 5.4% 69 6.4%
Enterovirus 111 1.1% l'El 1.2% Enteroviru s 111 9.9% 1切 11.7%
Polio
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i
,
■表 4 アデノウイルス型と年齢との関係 (1994~2001年)
年齢
0~5ヵ月
型
゜
1
゜ ゜゜ 1
2 3 4 5
゜ ゜ ゜ ゜゜ ゜ ゜゜ 6 7 11 N.T. CF 症例数(%)
1( 0.36)
6~11ヵ月
1歳
2歳
10
7
6
゜゜ 2
7
6
19
14
14
2
12
10
1
3
゜゜ ゜ ゜゜
1
1
2
2
3
4
25( 9.0)
51(18.3)
51(18.3)
3歳
4歳
4
5
゜
13
15
8
5 1
1
4
4 ゜゜ ゜゜ ゜゜ 3
3
1 1 4
7
36( 12.9)
43(15.5)
35
゜ ゜ 63
2
3
80
l
1
4
20
2
l
35 6
I
5 29
゜ ゜ ゜ 1 l
5(1. 8)
8( 2.9)
278(1 00.0)
(%) (12.6) (22.7) (28.8) (1. 4) (12.6) (1. 8)
(7.2) (0.4) (2.2) (1 0 .4)
CF: アデノウイルスCF抗体の有意上昇により診断 、 N.T.: アデノウイルスを分離 、 しかし型の同定不能例
2 3 4 5 6 7 11 f N.T. CF 合計
35- 63 77• ……4 ......33..― ------......
5 20 1 --·- 6 ― ---- 29
··------ 273
•
症例数 ― ・ ・
平均年齢 言万.8 一万. 8- .....4.ぷ 2.6 6. c 2 4:2
―
範囲最少ヵ月~!
最大年齢年月 i6.7 10.5 10.6 6.11 14.10 3 14.8
······-·······························································-·•·····················
(S.D.) 2.3 2.0 2.2 1. 4 3.1 1.1 2.7
*成人例3例を除く 、 **成人例2例を除く
平均年齢 小数点以下は6 ヵ月を0.5としている 。 (S.D.)も同様である。
I.アデノウイルス 021
■図2再感染例(15例) 3 . 各種ウイルスの咽頭よりの分離の割合(表3)
●1年以内再感染例9例 1994~2001年までの8年間に3,513検体を提出し、989株
第1回感染 のウイルスを分離同定した。表3に分離した各ウイルスの総
年齢 歳 アデノウイルス型
検体数に対する割合、総分離ウイルスに対する割合を示す。
4.5 2 3
� :ふ
4.4 1 CF エンテロウイルスが最も多く、インフルエンザ、AdVの順であっ
39 3 一—と·'l ,,'rI l
た。この8年間を通じてウイルスの分離率は28.2%であった。
4. 患者の年齢と AdV の型(表4)
2.10 2 3
2.3 3 5 患者の年齢とAdVの型については、1994年より2001年
2.1 l 2
の症例について検討した。AdVは1歳~ 4歳児に高率に分
1.11 N.T. 5 離された。
0.9 3 墨2 患者の罹患平均年齢は7型が最も高く、次いで3型、 CF
0.7 1 -5
抗体で診断した児の順であり 、5型、 1型、 2型に罹患年齢の
6 8 10月 低い傾向を示した。
2 4
1回目と2回目罹息時の間開 5 . 月別分離(季節性)(図1)
1994年から2001年までのAdV 感染症278例について月
●1年以上の間隔での再感染例 6例 別の分離頻度をみると、図 1 のようにAdV 感染はほぼ通年
第1回感染 性にみられたが 、 どちらかというと、 春から夏に多い傾向がみ
年齢 歳 アデノウイルス型
2.7 5 4 られた。
6. 再感染例(図2)
I
2.2 3 2
1994年より2001年に15例のAdVの再感染例を診断した。
1.7 3
9例は1年以内に再感染し、6例は2年より6年にかけて再感
1.4
1.0
0.8
、 2
11
・3
染した。縦軸に感染時の年齢、 AdVの型を示す。横軸に 1
回目惑染と2回目感染の間隔を示す。 1回目感染と2回目感
2 3 4 5 6年 染でAdVの型別による特異性は認められなかったが、 1年
1回目と2回目罹患時の問開 以内感染群2例に同Subgroup群の感染 (0歳児に1型→5型、
2歳児に1型→2型)がみられた。また1年以上の間隔のあっ
たためAdVはエンテロウイルスに次いで多く分離され、エ ン た群では1歳児の1例に同Subgroup群の感染 (5型→2型)
テロウイルスのほぼ半数を占めた。1995年はインフルエンザ を認めた。初回感染と2回目感染で臨床症状には差は認め
に次いで3番目であった。 られなかった。
提出検体数に対するAdVの分離数の割合は1994年、 7 .家族内感染(図3)
1995年がそれぞれ5.4%、 6.4%であった。ちなみに著者医院 1994年より2001年の 19 家族にAdVの家族内感染例を診
の全ウイルスの分離率は、1994年19.4%、1995年29.3%であ 断した。同型のAdV感染を確認したのは17家族であった(図
った。 3 中のH 家はCF抗体の有意上昇により診断したものでAdV
■図3家族内感染 19家族41例に認めた
第1患者 19例 二次感染者 22例
アデノ型 第 一患者との閻隔
No.家族名 (年鵬) 同時発病 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18日 患者数
l A 3(35.8) 3*(2.3) 2
2 B 5(6.2) 5(4. l l) 2
3 C 3(3.5) 3(5.5) 2
4 D 3(6.6) 3(5) 2
5 E 2(4) 2(5.8) 2
6 F 3(2.10) 3(8.7) 3(4.9) 3
7 G 3(2.6) 3(4.4) 2
,
8
10 J
H
l
CF(l.9)
7(8.9)
2(6.1)
CF(4.9)
7(4.8)
2(1.3) 2(2.1)
2
2
3
11 K 2(2.2) 2(3.7) 2
12 L 1(4.9) 1(0.6) 2
13 M 3(4.9) 3(1.5) 2
14 N
15 ゜1(2.8)
6(1. l)
16 p 7(4.11)
l (4.8)
6(1.1)
7(7.6)
2
2
2
17 Q 5(2.7) 5*(26.2) 2
18 R 1(5.7) 1(5.8) 2
19 s 3(4.7) 5(1.4) CF(3.5) 3
患誉数 2 1 a 3 ] a l ] g a 2 2 a ] Q l Q 4]
*母子感染例 数字はアデノウイルス型 、 ( )は患者の年齢を示す 例 ( 4.8)は4歳8ヵ月を表す CF-CF抗体の有意上昇により診断例
022
型は不明である。S家は別型のAdV感染である)。発端者を 結語
除いて22例の家族に感染がみられた(3人発症が3家族)。 l)AdV感染はほぼ全症例数の1.0 %以下 、 急性熱性咽頭
母子感染が2 家族にみられた。家族内感染は、約半数が 5 炎のほぼ5~7%であった。
日以内に発症し残りの半数は7日以上15日の間隔がみられた。 2)北九州市においては3型が最も多く分離され、以下2型、
型による特異性は認められなかった。 1型の順であった。
v.考寮 3)AdVは1歳児から4歳児に最も多くみられる。 3型、7 型は
小児科の感染症サ ーベイランスの定点として、調査の主 年長児に多く、1型、2 型、5型は年少児に多くみられた。
たる対象疾患はインフルエ ンザ、手足口病、ヘ ルプアンギーナ、 4)AdVはほぼ通年性にみられるが、北九州市では春から夏
無菌性髄膜炎咽頭結膜熱、感染性胃腸炎等でこれらの 期にかけて多くみられた。11月にもピー クがあった。
疾患を想定したウイルス検索を目的として検体の採取を行 5)1994~2001年の間に再感染を15例に認めた。
った。したがって対象ウイルスとしてはインフルエンザウイルス、 6)1994~2001 年の間に 19 家族で家族内感染者22人を経
エンテロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、Rota vinls、 験した。
Small round structured virus等であった(感染性胃腸炎
はこの発表からは除外した)。 (ウイルス学的検査を施行していただいた、北九州市環
以上のことから、今回の主たる検査対象患者は小児科 境科学研究所のスタッフに深謝致します。)
外来で最もよくみられる急な発熱を伴う急性熱性疾患、上 (御指導、御校閲をいただいた堤隆博士に深謝致します。)
気道炎患者等が主体となった。
特に 1994年および1995 年は、他の年に比べ非常に多数
の検体を採取検査したので、この両年の各種ウイルスの分 文献
1) J ames DC:Adenoviruses; an over-view. /n:Textbook of Ped i atric
離成績から得られたAdVの占める割合は、これらの対象疾
I nfec tious D iseases 4 th ed. vo l. 2. (ed b y Ralph D, et al), W. B
患の中でAdV感染症が占める割合を窺わせるものと考える。 Saunders Comp an y, Ph il adelph i a,1998, 1666-1684
小児科外来におけるAdV感染は、インフル エ ンザ、 エ ンテ 2) Kenneth M : Adenoviruses ; an over- view. In: Nelson Textbook of
Pediatrics 15th edition (ed by Waldo EN), W. B.Saunders Comp any,
ロウイルスとともに最も普通にみられる急性感染症の 一 つ Philadelph ia,1996, 906-908
である。表2、表3の結果からも全症例の0.6~0. 7%、全検体(急 3) Eli Gold : Adenoviruses ; an overview. In: Prac tice of Pediatri cs
(rev ised Ed ition) (ed b y Vincen t CK), Harper & Row, Pub lisher ,
性熱性疾患、上気道炎症状)の5~7%がAdV感染といえる
Ph iladelph ia,1987, 4 (2) 1-10
のではないかと考えられる。この割合は大体諸家の報告に 4)浜田忠弥:Adenovirus科ウイルス学第4版 、 第1刷(植竹久雄編) 、 理工
等しいものである7~1 1)。サーベイランス対象疾患ではインフル 学社 、 東京 、 1992. 318-328
5) 中園直樹:アデノウイルス 、 ウイルス ・ クラミジア ・ リケッチア検査 、 第3版 、 第1I
エ ンザ、 エ ンテロウイルスに次<乃ミ患であるといえる。
分冊(金井興美編) 、 日本公衆衛生協会 、 東京 、 1987. 68-80
分離したAdV型別の割合は、諸家の報告のように 3型が 6)佐久間孝久 、 他:外来小児科におけるEnteric Adenoviru s40,41による小
児胃腸炎の臨床症状 、 外来小児科2: 191-202. 1999
最も多く分離され、次いで2 型、 1型が多かった 1~10)。 7 型は
7)国立感染症研究所 、 厚生省保険医療局 、 結核感染症課: アデノウイルス 、
著者の外来では1996 年に初めて分離され 、 以後横這い傾 1995-1999.病原微生物検出情報2 1: 24-25. 2000
向であったが2001 年に増加し始めた。しかし幸いに肺炎な 8)西野泰生:咽頭結膜熱(プール熱)ーアデノウイルス感染症、 小児内科34
(増刊号):1098-1102. 2002
どの重症は1例も経験しなかった。 9)原三千丸 、 他:アデノウイルスによる小児の呼吸器感染症108例の臨床的
AdV感染の年齢分布は従来の報告に等しく 1歳から4歳 検討 、 日児誌100 : 1603-1609. 1996
10)武内可尚:アデノウイルス感染症、 開業医の外来小児科学第4版(豊原
児に多く、型別では3型、7型が年長児に多く、1型、2型、5型
7
清臣 、 他編) 、 南山堂 、 東京 、 2002. 299-306
は年少児に多くみられた ~9)。 11) Mich iko S, et al: Longitudin al inves tig ation of epidemiologic feature
季節性はほぼ年間を通じてみられるが、北九州市におい of adeno如s infections in acute respiratory illnesses among children in
Yamagata, J apan. Tohoku J Exp Med 175: 185-193,1995
ては春から夏期にかけて感染が多いようであった 7~9)。11 月
にも症例数が多いが理由は不明であった。
再感染例が15例に認められた。初回の感染と2 回目の感
染の間にAdVの型別による特異性や、臨床症状の軽重な
ども認めなかった。患者の年齢、性別にも特徴はなかった8, )。 9
家族内感染が19家族22人にみられた。同日感染の2例と
1 日間隔で発病した 1例は、第三者よりの感染と思われる。
図3中のS家は第 1例と第2例のAdVの型が異なり地域社会
でのAdVの浸潤を窺わせた。ちなみにこの家族の発病は
1995年 5 月~ 6 月であった。これらの5例を除く他の17例 (CF
抗体検査によるH家を含む)は家族内の二次感染と考えら
れる。発病間隔の長い症例のあることは、特に便等に長く
1 10
AdVが排出されることが関連していると推測される , )。
I.アデノウイルス 023
■小児感染免疫I6: 295-305, 2004
北九州市における小児科外来でみられた
アデノウイルス惑染症の疫学と臨床 一 臨床
北九州市医師会
佐久間孝久
要旨 緒言
臨床症状は1994 年から2001 年に咽頭よりアデノウイルス 臨床症状は1994年より2001 年間に咽頭よりAdVを分離
を分離した248例、血清の抗体反応によりアデノウイルス惑 した症例248例、血清学的に AdV感染を診断した症例 30例
染を確認した30例、計 278 例について検討した。高く持続 の計 278例について検討した。
する発熱がアデノウイルス感染の特徴である。最高発熱の I.対象 ・ 方法
平均は39.57 士 0.57C(S.D.) 、有熱期間の平均は4.1 土1.4 日 第1部で報告した。
(S.D.) であった。最高発熱も有熱期間もアデノウイルス型と II. 臨床症状
は相関はみられなかった。非常な軽症例も数例みられた。 1.発熱
アデノウイルス感染の咽頭所見は独特であった。著者は6 1994~2001年の278例について検討した。
群に分けて検討した。線状の滲出物が発赤腫脹した口蓋 (1)発熱ー最高体温(図1)
扁桃上に認められる群は特に特異的で診断の参考になった。 ほとんどの例で最高体温は 39℃以上の高熱を示した。
咽頭後壁の累々た るリンパ濾胞群、口蓋扁桃上の全面に 最高体温の平均値は 39.57 土0.57℃(S.D.) であった。高熱
白苔の覆う群も特徴があった。これらの群の合計は約半数 はAdV感染の独特な症状の 一つである。
に達し大変診断に有用であった。呼吸器症状は80.9%に認 (2) AdV 型と最高体温との関係(図 2)
められた。重症の咳嗽が 31 例に認められたが、幸いに著者 最高体温の平均値は7型、 3型の Subgroup B-1群が 1型、
医院では重症の合併症はなかった。消化器症状は41. 7%に 2型、5型、 6型の Subgrou p C群より高かったが各型の間に
認められた。病中期の軽症の下痢は特徴があり診断の 参 有意差を認められなかった。 CF抗体で診断した群は、B-1
考になった。結膜炎は14.0%にみられたが、 3型のみについ 群とC群の中間値を示した
ていえば26.2%に認められた。他に発疹を数例認めた。検 (3)有熱期間(図3)
査成績(血液検査)は 一 定性がなく、ウイルス性疾患を示唆 ほとんどの例が長期間 の発熱を示し、平均 有熱期間は
するが、アデノウイルス感染を直接に診断する所見はなかっ 4.1 土1.4 日 (S.D.) であった。長い有熱期間はAdV感染の独
た。しかしEpste in-Barr vi rus感染、川崎病、細菌感染症、 特な症状の 一つである。
白血病等とは鑑別する必要があった。アデノウイルス感 染
は小児科外来で、決して軽症疾患ではないが、加療可能な
■図3有熱期間
疾患であるといえる。 例数 278例 1994~2001年
■図1最高体温の分布 80
例数 278例 1994~2001年
706050403020 100
100
90
80
70
60
50
40
30
20 l 2 3 4 5 6 >7
平均有熱期間土 (S.D.) 4.1土 1.4日
10
4
40
3
39.5
2
39
38.5
l 2 3 4 5 6 7 11 CF アデノウイルス型 1 2 3 4 5 6 7 11 CF アデノウイルス型
35 63 80 4 35 5 20 l 35 例 35 63 80 4 35 5 20 1 35 例
CF :アデノウイルスの CF抗体の有意上昇により診断した例 CF :アデノウイルスのCF抗体の有意上昇により診断した例
024
■図5非常な軽症例(1994~2001年) (2) 18以内の有熱期間
1)最高発熱が38℃以下の例 2)有熱期間が1日以内の例 4例が1日で解熱した。その4例のうち2例は前項の2例と
4例 4例
同例である。図 5 中矢印で示す。上記軽症例の6例中 1 例
/〖
Ad-3 Ad-5
のみ3型で、残りはすべてSubgroup C群であった。1型2例、
℃ 女 ℃
35歳 33歳 男
·
38.S- 38·5•
上�ー
2型2例、5型1例であった。
38
38•
37
/
5
3. AdV感染と咽頭所見(表1)
37.S
へ /
,
�
2
a
’
1996年より 2001年の症例148例中写真撮影に成功した
3 a
℃ 5
し
℃
男
33歳 5ヵ 女
38,5•
� 所見を表のようにE(++)、E(+)、E、L、BB、他の6群に分
38
38•.
8
類し、その代表例を写真—1 E(++)、写真—2E(+)、写真—
\ ,
・
,
1 A5
3
2 2月
2 £盲
a
a
3 (E)、写真—4 (L)、写真—5 (BB) 、写真—6 (Other)に例
、
月
麿
`
示する。E(++)群が最もAdV感染に特徴的であった。しか
dヵ
A
℃
[Tl-
℃
男
女 し最も多いのはE群で、次はE(+)群であった。AdVの型と
985·
咽頭所見の間に相関関係は認められなかった。
↓ ,'
鑑別診廟
,
,
-
3
2
f
日
AdV感染症の特徴的咽頭所見はE(++)、E(+)、BB群
Ad-1
ー ,
1
2
B
℃
蕊5•
9ヵ 男 のように白色の滲出物を伴う口蓋扁桃の発赤腫脹であると
考えられるので、下記疾患との鑑別が必要である。
d3
A
ー歳
℃ 5 39 5
39
女
勺:
� (1)溶連菌感染症(写真— 7)
月 溶連薗惑染症は軟口蓋の所見がAdV惑染とは非常に
B
39
39
異なり、軟口蓋の燃えるような発赤はAdV感染には みられ
8
ない。咽頭痛も溶連菌感染症に著明である。抗生剤も溶連
,
1
2
菌感染症には極めて有効であるが、AdV感染には無効で
日
(4 ) AdV型と有熱期間との関係(図4) 発熱が持続する。発疹もAdV感染にはまれで軽症である。
有熱期間の平均値は7型、3型のSubgroup B-1群が (2) ぶどう球菌感染症(写真— 8)
Subgroup C群より有熱期間が長い傾向を示したが、AdV ぶどう球菌による咽頭炎があるのか、ないのかは議論の
型別と有熱期間との間には有意差を認められなかった。 あるところである。教科書にも両論がある 1, ) 。写真-8のような
2
2.軽症型(図 5) 扁桃上の白苔を観察し、咽頭から純培養のようにぶどう球
AdV感染は持続する高熱と有熱期間の長いことが特徴 菌が分離されるときは診断に苦しむ。しかしAdV惑染とは 一
であるが、非常に軽症な例も少数例であるが認められた。 見して鑑別できる。
(1) 38℃以下の発熱例
■図6呼吸器症状 278例1994~2001年
4例は最高発熱が38℃以下であった。そのうち2例は35 例数
歳と33歳の成人で、他の2例は5ヵ月と9ヵ月の児であった。
180
150 146
■表lアデノウイルス感染と咽頭所見 120
年例
2000 2001 計 90
27 21 120
咽頭所見 咽頭所見の型
]
著明な白色線状の滲出物が発赤腫脹した口蓋扁桃上にみられる例
白色線状の滲出物が発赤腫脹した口歪扁桃上にわずかにみられる例
E(++)
鼻汁咽頭痛頭痛
口蓋扁桃は発赤腫脹するが滲出物のみられない例
E(+) 咳 喘鳴 痰
咽頭後壁にリンバ濾胞の累々たる例
E
口蓋扁桃全面に滲出物の覆う例
L
■図7消化器症状
E(++) 、 E(+)、E 、 L、 BB 以外の群 下痢 93例
BB
消化器症状
Other
例
3
0
病中期(3病日以降)
n-
I咽頭所見の型 1 ·!�冒ご息息!
よりの下痢58例
60
2 3ア: 心 ’’■
ノウイ ス型
ol oooo f
26(21.7)
250 50 194%
42(35.0)
162
65%
150
3(2.5)
30
906%
4(3.3)
100 23 20
25
17(14.2) .4%
゜
50 10 20
68
溝
アデノウイルス感染診断数と咽頭所見数の差は写真の不備等咽頭所見の記録の不備による 。
It器症状は278例中
116例41.7%にみられた。
アデノの咽頭所見で最も特徴のあるのはE(++)型である 。 日
I● ●吐 23/278 8.3% 2
回以下 2日以下
アデノウイルスの型で咽頭所見に差ははない 。
I ● 曝吐・下痢 25/278 9.0% I ●中尋荏3~4回 3~4
I.アデノウイルス 025
口 Ad-1 6.7Y. M. l9 Ad-7 3.3Y. M.
国10.2Y.F. 四 l.4Y.M.
鱈E(++)-Type 国溶連菌感染症
曰E(+)-Type 口ぶどう球菌感染症
国E-Type 口 Epstein-Barr virus
El L-Type 四コクサッキ ーAlO
国BB-Type 国コクサッキ ー 83
口Other-Type 国エコー 13
国l.9Y.M. 国
9Y. F. 激しい咳を認めた。しかし著者の外来では肺炎等の重症
( 3) Epstein-Barr virus感染(写真—9) な合併症は経験しなかった。鼻汁は146/278例(52.5%)、喘
AdVのE(++)型の咽頭所見と類似しているが、頚部の 鳴、喀痰も数例に認めた。咽頭痛は56/278例(20.1%)、頭
リンパ節の腫脹、疼痛、全身症状がすべてAdV感染より重 痛は 34/278例(12.2%)で、咽頭痛や頭痛という自覚的な訴
篤感を受ける。血清の検査所見も参考にすべきである。 えは対象年齢の低さからインフルエンザ等に比して少ない
( 4)コクサッキ ー A群感染(写真—10) ようであった。
AdV感染に比べ全身症状、咽頭所見も軽症である。写 5.消化器症状(図7)
真のようにヘルプアンギ ー ナの所見がみらる時、鑑別は容 消化器症状は116/278例(41.7%)にみられた。嘔吐のみ
易である。 の症例は2 3/278例(8. 3%)、下痢のみの症例は68/278例
(5)コクサッキ ー B群感染(写真—11) (24.5%)、嘔吐下痢の症例は25/278例(9.0%)であった。
コクサッキー B群感染は 一般に写真のように発赤、腫脹を 下痢は9 3例に認められ全患者の3 3.5%であるが非常に
示す例が多いが、発熱が軽症で鑑別可能なことが多い。 特徴があった。35例は 病初期より下痢があり、一部に重症
(6)エコー 感染(写真—12) の下痢も含まれるが大部分は軽症の下痢であった。58例は
ェコ ー感染も 一 般に写真のように発赤、腫脹を示す例が 病日中期以降に軽症 の下痢を認めた。病日中期に保護者
多いが、発熱の軽症により鑑別可能なことが多い。エ コ ー によく問診すると、便がわずかに軟便になっているとの訴え
特有の発疹があれば鑑別は容易である。 が聞かれるものである。著者はこの時 期の便よりAdVを分
4.呼吸器症状(図6) 離し診断を確定した例もあった。
呼吸器症状は225/278例(80.9%)にみられた。まった<呼 AdVの型と下痢の重症度および下痢と年齢との間には
吸器症状がなく発熱のみの例は5 3/278(19.1%)であった。 特に相関関係を認めなかった。しかし重症下痢の6例中3
咳嗽は169/278例(60.8%)にみられ、うち31/169例(18. 3%) 例は6~10ヵ月の乳児であった。
026
6. 他の症状 なった。この軽症の下痢よりAdVを検出し、診断したこともあ
結膜炎は39/278 例(14.0%)に認められた。3型のみにつ った(疫学編表1のRes.Ad. N.T.がそれである)。他に軽症
いては 21/80例(2 6.3%)に結膜炎を認めた。発疹は7 /278 の腹痛を除いて著者の外来では腸間膜リンパ節炎、腸重積、
例(2.5%)に認めたが回復 期にみられ、突発性発疹に類似し 虫垂炎等の合併は1例も認められなかった。病初期からの
ていた。発疹例は全例乳幼児で6ヵ月から1歳 6ヵ月児にみら 下痢は薬剤投与前からの下痢であり、病中期の特徴ある下
れた。中耳炎、筋肉痛も数例に認めた。 痢は本文にも述べたごとく非常に軽症で、薬剤の中止の必
7.検査成績 要もなく特別な加療も要せず治癒した。AdV40 /41による下
検査成績は 一
般に検査値に 一
定性がなく、分散し、ウイ 痢の症状はもっと重症である。しかし発熱が呼吸器系AdV
ルス性疾患を窺わせはするが、直ちに診断に結びつく所見 に比し軽症であり、この 2 群は発熱で鑑別できた 1 , , )。 4 6
I. アデノウイルス 027
virus,Year 1 988 1989 1 990 1 991 1992 1993 : 1994 1 995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
No. of sam les 66 1心209 129 346 344 :f121 1084 490 128 174 157 229 160 213 186 217
゜
5393
total
CoxA 1
2
3
4 1
8
2
3 2
11
゜
14
18
5 5 1 6
6
7
8 2
5 2
2
゜
7
,
10
5
2
, 2
1
4 , 17
17
16
CoxB 1
、---
亡 5
8
゜
11
12
19
1
2
1
8 6 6 5 4 12
6
5
20
2
゜ 18
99
17
2 2 5 17 5 3 l 33
3
4
1
2 l:
17
15
4
4
, l
4
1
16
14
l
47
44
5 l 2 2 4 11
6
ECH0 3
゜ 5 ゜ 2
15
_,: 50 4
l
2 11 11 5
5
゜
17 18 10 4
2
154
6
6 2 3 8 13
7 79 5 86
,11 7
14 2 43
3
1
4
4 2
7
67
22
13 7 7
14 l
17 4 5
18 7 3 10
22 1 3
25 24 2 28
30
7 , ゜
_]. 17 6 46 106 2 2
8
13 7 12 7
10
17 13
18
266
Entero 71 6 2 8
I 7 2 4 4 7 6 35
N.T.-Not typed 5
エンテロウイルスの年別分離の割合 エンテロウイルスの年度別分離数
1994-2004年 例数 1996-2004年
25 7
20
1 994 1995 1996 1997 1998 1 999 2000 200 1 2002 2003 2004年 1 996 1997 l 998 1999 2000 2001 2002 2003 2004年
490 128 174 157 229 160 213 186 217 検体数
一
Echovlrus
Coxseckievlrus A
Co:'ecklevirus B
曰Echovirus 7
ェコ ー 7による典型的頬部の発疹例である。
この2例は全身の発疹の写真は無いが
次の3、 4、5の全身の写真を参考にしていただきたい。
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390
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380·
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370
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36.0
35. 5
“C.
ェコ ー 9による典型的頬部の発疹例である。
この 2 例は全身の発疹の写真は無いが
真• ー・
次の3、 4、5の全身の写真を参考にしていただきたい。
哉 �
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2-1 2-2
.
塁Echovirus 18
ェコ ー 18による典型的全身の発疹像である。
頬部、 腹部を好発部位とする両側性の点状の紅斑が特徴である。 Echovirus 18 中和抗体
63.8.6 64X
63.9.6 1,024
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恰1紅秀1 1“月町“I 43[,
032
曰Echovirus 18 H I9 3刃g
ー
ェコ ー 18による典型的な発疹像である。 腹部と頬部の紅斑を示す。
腹部
rlJ Echovirus 30
ェコ ー 30による発疹像である。
腹部と頬部の紅斑を示す。
ェコ ー 18の発疹よりやや粗である。
咽頭所見はやや発赤と
軽度の腫脹をみるのみである。
腹部
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曰Echovirus 7
ェコ ー 7感染による典型的咽頭所見を示す。 この症例はアデノウイルスの症例の15と同 一例である。
口蓋垂の根部の変化に注意してみて下さい。
034
曰D Echovirus 9
ェコ ー 9感染による典型的咽頭所見を示す。
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曰Echovirus 11
ェコ ー 11感染による滲出性扁桃炎の咽頭所見を示す。
ェコ ー感染にみられる二峰性発熱を示した。
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ml Echovirus 30
エコ ー 30感染による軟口蓋の変化を示す。
岩手県の小川博士は同様な所見を小児科医会雑誌に多数報告されているが、 私の経験はこの1例のみである。
HIO沖,7,?
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塁者名:uL,n ;,9</'. ジ;;っ 佐久閤;..
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036
匹い�chovirus 30
ェコ ー 30感染によるヘルプアンギ ー ナ像である。
コクサッキ ー A群、 コクサッキ ー B群によるものほど顕著ではない。
H(サーコ(7ユ
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雹 名:
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員名さ: n9. /f、(9生 5キ?汁
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匹E Echovirus 11 ェコ ー 11感染による手足口病である。
ェコ ー感染でも希にヘルプアンギ ー ナ、 手足口病像を示す。
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II.エンテロウイルス 037
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038
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日Coxsackievirtts A2 :.:I
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1病日より4病Hにかけて咽頭所見の変化を示す。
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正
しかし発熱は軽度であった。
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第1病日 第4病日
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悶D Coxsackievirus A2
冒
月/e l.>.n-1 /• I ✓; ! /
1病8より4病8にかけて咽頭所見の変化を示す。
しかし発熱は軽度であった。
'云e;
i :• e :.
第1病日 第2病日
II.エンテロウイルス 039
悶Coxsackievirus A4
写真b-2と同一症例である。2病Hより3病8にかけて
咽頭所見の変化を示す。 しかし発熱は軽度であった。
第2病日 第3病日
四Coxsackievirus A4
伍三デ訊;
咽頭所見と上口唇の口内疹を示す。
040
四Coxsackievirus A4
咽頭所見を示す。
巫 小一
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冒
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四D Coxsackievirus A4
2病日より3病Hにかけて咽頭所見の変化を示す。
第2病 日 第3病日
言
咽頭所見を示す。 ヘルプアンギ ーナである。
Oil Coxsackievirus A6 二 雲
咽頭所見を示す。 ヘルプアンギーナが著明で咽頭後壁にはリンパ濾胞がみえる。
コクサッキ ー A6による発熱は軽度で、 12月17日の発熱は別の疾患と考えている。
12月17日の咽頭所見は軽度の発赤腫脹のみであった。 12月17日からの発熱は
別の vi rus によるものと考えている。
IVB
碍
へ延生 会 )
畠
042
OE Coxsackievirus A6 HI7-II3
号下ー .'且鱈
咽頭所見を示す。 ヘ ルプアンギ ー ナが著明で、 舌に口内炎を伴っている。
•”
匹! Coxsackievirus A6 -9オ
昂=二序ふ
2病日より3病日にかけて咽頭所見の変化を示す。
著明な ヘ ルプアンギ ー ナであるが、 発熱は非常に軽度であった。
第2病日 第3病日
匹I Coxsackievirus AIO
咽頭部の口内疹の一個一個が
□ロ一
CoxA群の2型、 4型に比して口蓋扁桃部に限局してみえる。
11,,- コ7g
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044
匹E Coxsackievirus AIO
写真b-12と同様な所見である。
況 が叶 日 にが か立 B立受 認
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第1病日
046
匹& Coxsackievirus A16
手足口病の咽頭所見を示す。
lD Coxsackievirus Al6 瞑 □病
手足口病の咽頭所見と膝部、 足底の皮疹を示す。
日Enterovirus 71 ヘルプアンギ ー
ナ
口唇の口内疹、 エ コ ー 様の発疹を示す。
048
匿g Enterovirus 71 手足口柄
咽頭所見と手掌の発疹を示す。
発熱なし
匿Enterovirus 71
発疹を示す。 /
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↓ _T?
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ヘルプアンギーナ
第2病H 口蓋垂の両側に図の如きヘルプアンギーナを認めている。
第3病日 右側のヘルプアンギーナは舌圧子に触れて破れ、 軽い出血を認める。
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第2病日 第3病日
050
四Coxsackievirus Bl
口蓋垂の両側に発赤を認める。 ヘルプアンギ ー ナは、 はっきりしない。
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1 佐久間IJI尻旦
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匹Coxsackievirus Bl
咽頭には軽度の発赤を認める。
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竺正乞こーと
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顔面、 躯幹に、 粗に、
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点状の境界不整の紅斑を認める。
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掻痒感ははっきりしない。
背中-2
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匹D Coxsackievirus B2 ! " ユ—·――_ _ーら段四8ぇ;L笠j:.t _’
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竺.卯’f- -·· 佐久1111,JI児科匿霞 配
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CAP <0.3mg/dl l
発熱は2峰性で、 2回ウイルスを分離し、
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2度咽頭所見を撮影している。 病初期の方が咽頭所見は強い。
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Mono 6%
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第2病日 第6病日
052
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匹D Coxsackievirus B3
ヘルプアンギーナ例
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匹 Coxsackievirus B3
ヘルプアンギ ー ナ例
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E Coxsackievirus B4
ヘルプアンギ ー ナ例
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匹D Coxsackievirus B4
ヘルプアンギ ー ナ例
一般にコクサッキーB群3型、 4型によるヘルプアンギ ー ナはコクサッキ ー A群によるものの様に口内疹が明瞭でない。
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ヘルプアンギ ー ナ例
写頁としては右の写真がいいが、
口蓋垂右の小丘疹が、左の写真がよく見えるので2枚提示した。
同時に撮影したものである。
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匹II Coxsackievirus B5
ヘルプアンギ ー ナ例
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西ェ!土
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ヘルプアンギ ー ナ例第2病日より第3病Hにかけて、
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咽頭所見の変化を示した。 一般にコクサッキ ー B群3型、4型、5型による
ヘルプアンギ ー ナはコクサッキ ー A群によるものの様に明瞭でない。
第2病日 第3病日
II.エンテロウイルス 057
058
日Poliovirus
ポリオウイルス2型
この症例は平成15年4月25 8(日本ポリオ研究社のワクチンLot No.42)を接種し、平成15年5月9日に発熱し来院した。
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(日和·リオ店知·
tE Poliovirus
ポリオウイルス1型
この症例は平成 8年4月 10 8にポリオワクチンを接種し、平成 8年4 月 13 日に発熱して来院した。
ウイルスの分離は4月15 8である。咽頭後壁の所見はアデノウイルス感染時の「いくら」様である。
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II.エンテロウイルス 059
■日本医事新報, 3398: 24-28, 1989.
ェコ ー 18発疹症
北九州市佐久till小児科医院 北九州市・環境衛生研究所
佐久間孝久 下原悦子 梨田 実
(2) 血消検査
ペアー血清の ある症例14,16においては有意の抗体上
■ 1発疹児のウイルス学検査成績
・ー←�
表
検体の種類
i�“ーm
昇を認めた。回復期の血清のみ得られた症例では症例6 を
咽頭ぬぐい液 I (-)
1女 9)] 除き全例に高い中和抗体価を認めた。 エコー18 を分離でき
-----------------------------------···· N.D. 128
便 3 (-)
咽頭ぬぐい液 3 E.18
2女,2.9年…………--------------------------- N.D. 128 なかった症例1 、 4 、 5 についても高い中和抗体価を認めた。
便 6 E.18
1987年の不明発疹症の症例17 は全く中和抗体は認められ
3 !).) p.9年'··四竺·ぐ唖……·}—--····I�:••· N.D. 360
なかった。 1987 年の症例18 は中和抗体を認めた。 1986年
の症例19 は非常に高い中和抗体価を示しbooster効果を
咽頭ぬぐい液 I (-)
4女2.0年•-----------------------------···…… N.D.益12
便 5 (-)
5 男 2.2年 咽頭ぬぐい液 I (-) N.D. 64 示唆した。症例6のみは エ コ ー ウイルスの分離も中和抗体の
6女1.9年懇屈ぬ免漢-------3……ーー(こに
(-)
く4 く4 上昇もなく、 エコー18 の感染を否定した。
便 3
7女 1.5年阻賦ぬ免漢_――----I_-------_E:!3.--
I .D. 180
(3) 臨床的観察(表 2)
便 3 E.18
i [荘
咽頭ぬぐい液 3 E.18
①発疹の性状(写真1、2)
8 男 1.0年 •--------------------------------------
便 5 E.18
.D. 1,024
形:大小あり、大きいものは4~5mm、小さいものは1~2mm、
ご: !=声: :
N.D. 360 辺縁は不整で明瞭、僅かに丘疹状であるが、扁平なもの も
190 :: l N.D. 360 ある。
11男1,II ·_姻直:笠漢…·---;―一_·-闘___ N.D..:;2,800
咽頭ぬぐい液 6 E.18
12男1.10年…………·-------------------------- N.D. 512
便 7 E.18
咽頭ぬぐい液 I (-)
13男 3月·-------------------------------------- N.D. E!:2,800
便 2 E.18
14男 5月 N.D 64 1,024
15男 6月 N.D. N.D. ;;a:;710
16男 6月 便 2 E.18 64 360
17男 7.9年 62年不明発疹症 く4
62年不明発疹症 22
61年不明発疹症 2,048
E.18: エコ ー 18 (北九州市環境衛生研究所 1988年7月28日-10月22日) 写真 1 症例 14 写真 2 症例 18
060
■表2 ECHOl 8感染児の臨床症状
No.I 症例No. 年・性 I 診察月日検体提出月日
発疹 発熱 血清中和 No.I 症例No.・年
・性 診察月日
I 「 門 ;冨発熱
韻躯幹 手足 1
・
咽頭便 前綾
抗体価 一 日
咽頭便 前綾
円
63.7.12 I O ---....
.----....--... I l+l+l+I--.--.
-------... I --. - ------------
I ---. I N .D 63.5.231
-----... --.O.. --.....
IO 1+1 - ---.+1+1+1+137.7℃
---.------------------------- N .D.
l I 13·3M 男
・ 63.7.13 I
------------... I 0 --.·----..
----.. 土土土土 一
--.--.--.......-··....... 9 I 7 • l.5Y・ 女 士土士土土 一
| ----------------------------------------.
5.25 -----
63.8.13 I I I I I I I I I i:;2,800 9.12 I I I I I I I I I 180
63.8.6 I N.D.I N .D. I I I I I I 38.4℃
----------------------·--·--·--·--·---·-------·--------- 64 63.5.6 I O I I+ I + I + I I I - I N.D.
8.8 --......-·.... -·· 十+
-------.. -----------··..
++ ----- ー 5.7 I I O I+ 土土+十 一
101 3· l.9Y 男 5.10 一
8.9 ―I -----I -----I --l+I+ ― - --- ―ーー:::―-一
・
2 I 14·5M 男 ----e: 土
--------. + 千
i6 --..........------------. --.·-.------ 9.14 I I I I I I I I I 360
・ ― ―
8.11 I I l+l+l+I I I
---------------------------------------------- - --・�―----- I I I I I I I I 39.2℃
63.7.7 --.←------------------------------------------- N .D.
9.7 I 7.9 I -
I I I I I I I I 1.024 I
-----------------------------------· I I I I I ----------- I
63.7.4 I N .I N.D.I I + I I I I 38.5℃ N .D. 7.11
・ トー···----←-I -----I-----I-·I-- + I-- + I --I---I------- 38.2℃
........................---................ --------. ---- 11 I 12· 1.lOY 男
.D
7.5 I I
-----. -------------- l+l +l+l+l+l 38.0℃
-----------------..------- 7.12I ------.
----------- l+l +l+I I l37.D℃
O I ----------------------------
7.6 I··
···---····· l+l+l+l+l+l 38.0℃
I.·······--····-··.. .... 7.13 I
-------------. I 0 ------...
----.. 土士士士士 -.-.---.--. 38.3℃
-.. ---
7.151
--------. I
--.-..--.... 1 1- 1
--------.. - 1 - --.1 1-
- -----. -
------
3 I 15·6M 男 _____7_•7-- ----- ----_ +_ t .ナ .ナ ナ _ _ _-=---- _ _一
7.8
... ·-·......... ·-......十+
------.. +--............. 8.12 I I I I I I I I I 512
+十
·―▼ •------ ----- ----- -- -- -- -- --- ------- ---------
・
I 360
疇---------------------------------------------
5.9
------------------·..
5.11
●土+ +
------疇`→.. ------------
土
+
++ ー
士士
+
一
63.4.20
-----..---·......● ....--.+--.....--...... + ....- ---------.... N .D. 9.13 I I I I I I I I I �512
5 I l • 9M - N I+I- I - I N.D.
女 4.22
...---......... --...● + +
··-·------------. ------------------- •635.18 ● .D. + I + I38.0℃
-• • - • - • • • ` ― ― `ー→--------------------------------------
9.23 I I I I I I I I I 128 131 5·2.2Y 男 | ----. 5.19 - -
---------------.------------------------- - - - -
・
63.7.3
-----· I
----------·· I I I I I I 37.7℃
I ---------------------.. ---....-------- N.0. 9.14 I I I I I I I I I 64
・
7.4 I I I I I I I I
---------------------------------------------- - .63.4.25 I I I I I I I I37.5℃
------------------------------------------------------- N .D.
7.5 I I I I I I I 38.1℃ 4.27 -
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6:28 0 一 土土 38.1℃
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-
土土
6.30 I -----I ----- 1 1-- 1 - 1 - - - -
--1 1
男
---------- -- -- --- -------
・
0.11 I I I I I I I I I 360
色:初期は赤色であるが鮮紅色ではない。病状の消退 と 咳、鼻汁、くしゃみなどの気道症状はほとんどみられなかった。
共に次第に退色する。 下痢、嘔吐などの消化器症状 もほとんどみられなかった。
部位:頬、手足、騒幹に対称性である。頬の発疹はまず目 髄膜炎は1例もなく、疑わしい所見を呈した症例もなかった。
につき、他の部位の発疹より形も色も特徴が明瞭であり、ま (4)血液検査
た もし頬に発疹がなければ臨床的には診断は不可能である。 病初期、回復期の血液検査(赤血球、白血球、Ht、Hb、
持続:ほとんどの症例が、2~3日で次第に退色し、後に色 血小板、炎症反応、肝機能など) を施行したのは症例16の
素沈着はない。 みであった。有意の所見はなかった。病初期のみ血液検査
掻痒性:乳幼児が主であったのではっきりしないが、掻痒 を施行した症例14,回復期のみ血液検査を施行した症例9、
感があるようには観察されなかった。 15についても有意の所見はなかった。
・
②流行性 季節性(図)
● エコ ー
〇 臨床的類似症例•
18 検出例
4~8月に多く、秋季の暖かい間には少しみられた。
■患児の季節別・年齢別分布 * エコ ー18 中和抗体上昇例
゜゜
発症は散発性であり、家族内発症は 16例中 1例、症例10
のみに認められた。妹 3歳は同時に上気道炎に罹患、しか 1986
年
0 0
し発疹は認められなかった。弟6ヵ月は 1日目くしゃみ、鼻汁、
3日目咳、鼻汁、38℃、 4日目37.2℃、腸重積症に罹患、6日目 �987 年] II
*
゜゜
0 0
38℃、7日目(1988年7月1目)38℃、兄と全く同様の発疹を認 * 0 0
.•o ゜゜• ゜ ゜゜
っきりした発熱が認められた。発熱と発疹の時期について
は同時出現の例と、発熱が先行する例がみられ、一定の症 * I
.
*
1988
状はなかった。
年*o
④その他の症状 *● ●0 *
*● ●● *
咽頭発赤については軽重の差はあっても全例に認めら 児の年齢 1歳 2歳 3歳 4緩 5盪 6歳 7歳
*臨床的類似症例とは、1998 年エコ ー18 検出症例に類似の患者で 、 ウイルス
れた。しかし、粘膜疹など特徴ある所見は認められなかった。 学的検索はしていない症例である 。
II.エンテロウイルス 061
3.考察 ェコ ー ウイルス18の分離状況は、1981年、1984年に流行
(1)ウイルス検索のいとぐち があり、1987年から再び流行がみられている。この事業年
ェ コー 18感染症は、従来髄膜炎の起炎ウイルスとしての 報は必ずしも全国の感染をカバ ーしているとはいえないが 、
報告が多くI) ~3)、発疹症としての報告はあまりない4)~6)。我々 一応の傾向は示しているといえよう。松浦ら 4) の富山県の
は198併F頃より、少し変わった発疹症の発生に気が付いた。 1981年のエコー18中和抗体の年齢分布では、3~5歳と15
7)
それは Nevaら 、藤井 8)
による Boston exanthem 〔エコ ー 16 歳以上の2年齢群に高い中和抗体価を認めている。菅原ら
)
型感染時の発疹症で、顔面、駆幹から四肢に及ぶ小紅色 10 の岩手県の昭和46年~50年の調査でも9歳以下群には
斑状·丘疹状発疹(small pinkish maculopapular rash) で ほとんど抗体保有者がいないが、10歳以上群には約30%の
2~4日持続するものである。他のエ コー ウイルスでも同様発 抗体保有者がいる。
疹の出現が報告されている〕に非常に似ている発疹であっ これらのことは 、エコ ー 18の感染には4年ないし6~7年の
た。 周期があることを示している。以上より判断すると1989年の
1986年 、 北九州市環境衛生研究所で エコ ー 16、エコー 9 流行はないのかもしれないが、今後とも観察を続けるつもり
の血消を検査したが、感染は否定された。1987年も3月にな である。
って 、 同様な発疹を診てふたたび咽頭ぬぐい液、糞便よりウ
イルスの分離を施行したが、ウイルスの分離は不成功であっ まとめ
た。1988年、同様発疹症の咽頭ぬぐい液、糞便よりエ コー 1988年、北九州市の小児科外来で観察したエコ ー 18感
18を3年目にして分離、血清検査を施行し、診断を確定する 染症児の臨床症状、ウイルス学的検査成績を述べた。我々
ことができた。 の経験したエコー 18による発疹症は 、頬の発疹に特徴があ
ただし、1987年の症例18(表1)では中和抗体を認め、特 り夏期に流行した。
に1986年の症例19では中和抗体の非常な上昇を認め、 稿を終えるにあたり、ご指導、ご校閲いただきました久留
1986年、1987年にもエコ ー 18の感染があったのであり、後者 米大学小児科学教室•山下文雄教授に深謝いたします。
の高値はそのbooster効果のためと考えている。 またウイルス学的検索をご指導くださいました北九州市環境
(2)エコ ー 18感染症の発疹は特徴的か 衛生研究所•杉嶋伸禄先生に深謝いたします。
ェ コー 18感染症は従来は髄膜炎を主症状とした報告が
ほとんどであった。我々は患児の発疹を診て 、 従来の既知
の発疹症ではないと判断し、ウイルス検索の結果エコ ー 18 文献
1) Kennett, M. L, Ellis, AW., Lewis, FA, et al. : J. Hyg. (Camb.), 70: 325,
感染であることを同定した。経験例での発疹の特徴は頬に
1972
対称的に分布する形、色、 共に明瞭な maculopapular rash 2) 1.ag ercrantz, M., Hugo, H. and S temer,G.:Scand ,J.lnfec t.D is.,5:249,
で、手足口病 、 ヘ ルプアンギー ナと同様に臨床的に成因ウイ 1973
3)W ilfe rt, C.M., Lauer, BA, Cohen, M., et al. : J. Infec t D is., 131:
ルスを推定しうるのではないかと思うほどであった。 75,1975
5 6
Lagercrantzら互 Wedemeyerら ) 、西野 ) は発疹はあまり 4)Matsuura, K., Hasegawa, S., Nakayama,T., et al: M icro b iol, Immuno l.,
27: 35 9,1983
特徴的ではないとしながらも頬、躯幹、四肢の発疹を報告
S) Wedemeyer, P. P., Cooney, MK and St Geme, JW. : Minn. Med., 49: 1057,
している。西野の報告に写真を欠く のは残念である。我々 1966
の症例での発疹は藤井 8) の報告のエコー 16の場合に酷似 6)西野泰生:小児科, 25: 971, 1984
7)Neva , F. A, Feemster, RF. and Gorback, I. J.: JAMA, 155: 544, 1954
しているが 、 彼らの観察にあるようなステ ー ジははっきりしな 8)藤井修照感染症誌, 60: 64,1 986
かった。発疹の類似性からみて、エコ ー 16とエコ ー 18とは類 9)厚生省保健医療局感染症対策室監修:感染症サ ー ペイランス事業年報 ,
昭和56if-~61年, 厚生出版 , 東京 , 1988
似の因子があるのかもしれない。臨床症状は藤井の場合 、我々
10)'/奇原恒有川名林治:日本医事新報 , No.2732: 25, 1976
のより少し重いようである。
(3) 疫学
家族内の臨床的発生は16例中1例6.3%であった。西野6)
によれば74例中、16家族34例に、Lagercrantzら2) は6家族
27例中、23例に感染を証明し、むしろ周囲への濃厚な感染
を示唆している。我々は同 一 家族の抗体保有状況を検査
していないので、抗体があるから感染が起こらなかったのか、
ウイルスの感染力の故なのか論ずることはできないが、我々
は家族内発生、周囲への臨床的感染の少なさはこのウイル
スの感染力の弱さで、大流行のない原因ではないかと考え
ている。
発症の季節は春から夏にかけての報告が多い。しかし
9
惑染症サ ー ベイランス事業年報 )によれば、冬季にも検出の
報告がみられる。年中発生のみられるウイルスかもしれない。
062
.
.
ー
UHerpes simplex virus
非常な軽症例
軽い歯肉炎を認める。
軽い咳、 鼻汁
食欲やや落ちる
発熱無し、 機嫌.睡眠、 良
•
.
BHerpes simplex virus 1
ロ
` HI6つ11/-d'
虚;五戸昂辻
歯肉炎を認める。 母親が歯が見えなくなったと訴えた。
言:濯言胃
064
.
II Herpes simplex virus 1 "'.,,,
" 9,ュL '"'、. • • 9,”‘
0,
(1) ● 9“9』>^a 佐刃耐Jヽ
ヘルプアンギ ー ナ2例を示す。
(1)コクサッキーA群のヘルプアンギーナに比すと、1個1個の口内疹が、
停出二
孟
(2 )左前口蓋弓の口内疹は梢膨隆し、 中央が陥没している(腋がみえる)。
:ここ
,,.' '
4•-0 1
^^
Herpangina Herpangina
(l) 臨床診断 (2)臨床診断
(1) (2)
.
D Herpes simplex virus 1
←
H.14.12.逗l し宕漏n 同 三 。ー 勺ぶ斎
' ヨて10 11' ,と’ l9, H
ヘルプアンギーナ例
三三
第1病8 ~
第2病8にかけての口内疹の変化を示す。
1 置三圭三
この例のヘルプアンギ ー ナはコクサッキ ー B群によるものと類似しているが、
この例は第5病日に前口部に歯肉炎がみられヘルペスの診断が出来た。
g!0。 : 1n 1ムn :
第 1病 日 第2病日
m. 単純ヘルペスウイルス1 065
.
ー
II Herpes simplex virus
ヘルプアンギ ー ナと口内炎の例である。
.
DHerpes simplex virus
ー
ヘルプアンギ ー ナ例である。
宣言
嗅溢粛
名 一名
..
ー「[-11111
..,
. .
365
i ,
066
II Herpes simplex virus 1
1.6ii7反 (い に匹
:
H9ヽ.,,r
•4 92. 99
,• p :ig•`"'和 l•I"
’^一9.I ・ � 佐久●り9覺
口蓋扁桃上の独特の円形の魔爛を示す。 閲丹言 ・
+ 91 1 ; •
“
匂
9
: とこごど ] し ぶ
.
D Herpes simplex virus 1 riJJ-,f6
i● ● a:
団紅9• 8“・年3 •l/員
1w ●●ai. 霞久●収●,i覺1!111属
第3病日、 第10病日の口蓋扁桃上の独特の円形の廉爛を示す。
1.II/8
げ
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`;:
•I,,
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; i, i :
11..I,| \,,,
'I
309
1•
私は7-(l)例でヘルペスウイルスを分離したので、
% `$疇
写真7-(2)、 8の症例ではヘルペスの診断が可能であった。
第6病日咽頭には未だHerpangi na様の病変があったが、
り I `'s
宅し� 冨9
ト .か
翌日が日曜の故か、 それより来院せす、
次週の火曜の夜より再発病した症例。 ●●
m. 単純ヘルペスウイルス1 067
.
B Herpes simplex virus I
Gingivostomatitis
"'’-9り
9
典型的疱疹性歯肉口内炎を例示する。 ぷI 拉ぶ;;記.食ら、
99 .
、
ヽ·
咽頭のヘルプアンギ ー ナ、 ーを
硬口蓋の所見をよくみていただきたい。
典型的疱疹性歯肉口内炎を例示する。
咽頭のヘルプアンギ ー ナ、 硬口蓋の所見をよくみていただきたい。
068
.
mHerpes simplex virus 1 家族例
(3)
同 一家族内によくみる症型として例示する。 HI9 ~いヽr
1
,...,.......
\ • ら
”心・胃
(1) 1.4歳 男の口腔ヘルペスが
(2)母親の乳頭に感染し
(3) 4歳 女 姉が罹患した家族例である。
(1) (3)
碕 ' `し,
H 9』- 9 今,
Iaヱ'II
●98 . ' , , ヽ·
19璽:
9 9
,. . `
.
ID Herpes simplex virus
ー
(1)
眼瞼と口内に発疹を示した症例。
特に上眼瞼の目尻には写真l以3)に示す様な
ヘルペス特有の中央の凹んだ発疹がある。
.
」b-牡.2-
:
で
デ'‘↓
USVI Il/,.
m. 単純ヘルペスウイルス1 069
ID Herpes simplex virus 1
H 91・1や
, n名 1 · • らね ,
�..ら 1 "ヽ9,“’ ::al 佐久Ill,jI紐I
日9→ア
8 8l
`云ば こぷlt {,1:d ]左久面J\
印t:目
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第2病日 ~ 第3病8にかけての咽頭所見の増悪がよく分る。
第2病日
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全身症状が著明であった。
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如弁L 95
非常に全身の倦怠を訴え、咽頭痛(++)であった。
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・久●●賣い●●彎・
'!
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咽頭培養、有意の細菌(一)。
”ヤ髯• o o o_o o
第4丙日 第6病日
m. 単純ヘルペスウイルス1 071
. .
ー
ID Herpes simplex virus
第3病Hの咽頭所見でヘルペスの診断をした。しかし後で写真を点検すると
r
第2病日己に咽頭後壁にヘルペスが認められる。 四l‘'
' 丹 ' 99
召、:� :; ぢ,
第2病日 第2病日 :: •9
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LD9-99 .じ?ど、t,9 U99
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品:-:.. 1·.. - ・・
;;U翡柑!出'~“
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ttば "
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]や心l
応よ'17`
乞心
.
田Herpes simplex virus
ー
‘ 9.
•
, 9 1., (.
' 5
応: ふ夕
19
9 .'·
●
iリ2夕 ”L—/仇久f;l小見ほi t
虹
5 9
企 J
ニん 1
□ バロ
第4病8疱疹性歯肉口内炎と顎下リンパ節の著明な腫脹を認めた。 上
塁
平成17年1月21日、インフルエンザ迅速診断(キャピリア+)であったが、 コ
玉s
第3 病日、写真右のことく顎下リンバ腺が腫脹し、 "-> .
第4病日歯肉口内炎をともなった。MOCK細胞を使用したが、 3�; ・
;::-•
59 3ら
インフルエンザは検出されなかった。
第3病日
]。—
072
IJHe屯�s simplex virus 1
ヘルプアンギ ー ナと第3病日より全身、
特に腹部の発疹を認めた例。
後述の発疹性疾患のヘルペスによる
多形滲出性紅斑例7の発疹との差を
比較していただきたい。
m. 単純ヘルペスウイルス1 073
■外来小児科2004; 7: 147-154
外来小児科におけるHerpes SimplexVirus-1感染症
北九州市医師会
佐久間孝久
はじめに 考えられる。1995年には1例の分離も無かった。
Herpes Simplex Virus-1 (以下HSV-1と略す)感染は初 (2)HSV-1月別分離数(図2)
123
惑染、再感染、反復感染の3種の感染様式をとる , , )。外来 季節性は認められない。3 月、 6月、 12月に1 例の患者もな
小児科においては皮膚感染、口唇ヘルペス、疱疹性歯肉 いのは、症例数が少ないのが一因と考えている。
口内炎を示す時は診断が容易であるが2, , ) 、発熱を主訴と 34
(3)HSV-l 44例の年令別臨床診断別例数(図3)
する咽頭炎の症状を示す時は他のウイルスとの鑑別診断 患者の年齢分布は1歳児が最多で、加齢と共に減少した。
の困難なことがある5,6) 。筆者は 1994~2002年に急性熱性 図中に外来での臨床診断名を示しているが、外来でHSV-1
上気道炎の患者44 例よりHSV-1を分離し、疫学的、臨床的 の診断を可能としていたのは44 例中 21例の半数以下で、
検討をしたので報告する。 残りはヘルプアンギーナ、コクサッキー、エコ ー、アデノウイルス、
l.対象 インフルエンザと、HSV-1以外の他の疾患を診断していた。
検脊対象児は 1994~2002年に、佐久間小児科医院に (4) 1994-2002 年の検体数、分離ウイルスに対する HSV-1
来院した患者である。疱疹性歯肉 口 内炎については、症状 の割合(表)
が明白な場合は検査しなかった例もある。1994~1995年は HSV-1の分離は検体数の1. 2%、分離ウイルスに対しては
北九州市環境科学研究所のエンテリックアデノウ イルスの 4.2%であった。因に著者の施設の総検体数に対するウイル
調査研究のために平均、咽頭より 一 日4検体、便より 3 検体 ス分離の割合は27.8%あった。
を提出し、他の年では咽頭より平均1日1検体を提出した。 (5)HSV-1の咽頭所見,皮内発疹像(写真1~8)
2.検査方法 ①HSV-1の診断が難しかった例
患者の咽頭ぬぐい液を採取し、冷蔵保存し、当日中に北 写真 1の 1) 、 2)、3) 、 4)、5)ヘルプアンギーナ例
九州市環境科学研究所に搬送した。同所においては諸種 写真2の 1) 、 2) 滲出性扁桃炎例
のウイルスの感染を考慮し、MDCK、HEp-2、 RD-18s 、 Vero ②典型的HSV-1感染例
の細胞で分離培養を施行した。HSV-1の同定は特異的な 写真3の 1) 、 2)、3) 、 4) 疱疹性歯肉口内炎の典型例
CPEが出現した細胞を用いて蛍光抗体法によった7)。 ③成人例
3.結果 写真4の1)、2)、3)成人例
(1) HSV-1の年別分離数(図 1) ④特殊例
非常に症状の明白な疱疹性歯肉 口内炎の 一 部、口唇 写真5の1)、2)、3) 母子、家族感染例、皮膚感染例
ヘルペス等を含まないので実際の患者数はもう少し多いと
■表 Vi rusの咽頭よりの分離成績
■ 図l He「pes Si m p lex Vi rus-l年別分離数 検体数 3,756
Virusの分離1,046
数 1994~2 002年
例数 44例1994~2002£平 検体総数3,756 分●vlrusl.046
12 Virus Virus分離数に対する に対する
分離virusの割合分●virusの割合
10 Influenza 317 8.4 (%) 30.3 (%)
8
CoxA 60 1.6
6
5.7
CoxB 122 3.2 11.7
Echo 218 5.8 20.8
Entero71 6 0.2 0.6
4
RS 00 01
2
----
―-―
HSV-1 44 l2 4.2
100.0
1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 200 l 2002
検体数 1,121 1,084 490 128 174 157 229 160 213 総検体に対するウイルスの分離の割合 1,046/3,756=27.8%
竺
2 0
44例1994~200笞E 44例1994~200 なE
12
他の疾患 17
l
I Herpangina 6
I Herpes 21
8
-
|—7
6
1他の疾患には、 イン
フルエンザ、 アデノ
ウイルス、 エンテロ
-T
4
ウイルス烹染等の
修断を含む
「
074
4-1 31歳 女 アンギーナ
1-3 1.6歳 女 アンギーナ 1-4 l. l歳 男 ヘルベス 2 27歳 女 ヘルベス性アンギーナ 4-3 36歳 男 ヘルベス性アンギーナ
云
1-5 3.11歳 男 ヘルベス 2-1 4.3歳 女 アンギ ー ナ 5-1 1.4歳 男 ヘルベス 5-2 36歳 女 ヘルベス(乳頭部)
2-2 3.6歳 男 アンギーナ→ヘルベス 3-1 2.4歳 女 疱樹生歯肉口内炎咽即所見 5-3 4.0歳 女 ヘルベス 6 5.8歳 女 ヘルプアンギ ーナ
3-2 2.4歳 女 硬口蓋 3-3 7.0歳 女 疱樹生歯肉口内炎咽即所見 7 9.4歳 女 □内炎 8 3.1歳 男 アンギーナ(アデノウイルス)
076
U Influenza A(H3N2)
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咽頭所見と舌の所見を示す。
アデノウイルス写真18を参照して下さい。
ウイルス性の発熱の際はこうした変化をみるが、 ウイルスによる特徴はみられない。
II Influenza A(HINI)
写真 3、 4 には咽頭後壁のリンパ濾胞を認める。 しかしこれは A(HlNl) に特異なものではない。
アデノウイルスの写真9、 10と比較してみていただきたい。
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咽頭後壁のリンパ濾胞を認める。
アデノウイルスの写真9、10、 インフルエンザのA(HlNl)の写真3、 4と比較してみていただきたい。
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ヘルプアンギー ナの所見を示した例。
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発病のシ ー ズンはまさにインフルエンザの流行期であったが、
口蓋扁桃の所見はアデノウイルス感染を示唆していた。
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滲出性扁桃炎を示した例。
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口胃
回Influenza A(HINI)
全身に薄い発疹を伴った症例。
写真は顔を示す。
伝染性紅斑の様に赤い発赤ではなかった。
082
m Influenza A(H3N2)
写真に示す様に、 口蓋扁桃上、 咽頭後壁に累々たるリンパ濾胞を認める。 成人でもあり非常に苦しんだ。
私はこの所見よりアデノウイルス感染を疑ったが結果はA(H3N2)、Streptococcuspyogenes(3+)、
Staphlococcus aureus(+)の混合感染であった。 /・
滲出性扁桃炎と発疹。
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ID Influenza A(HINI)
滲出性扁桃炎に口内炎を合併した症例。
滲出性扁桃炎と口内炎を呈す。
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Original Article
Infant influenza
TAKAHISA SAKUMA
Abstract Reports on the symptoms of infant influenza (less than I year of age) are very few. From 1989 to 1996, 105
infants with influenza were examined. The symptoms, nutrition and source of infection of the 105 patients were
investigated in Sakuma Pediatric Clinic and viral studies were performed at the Kitakyushu City Institute of
Environmental Sciences. The symptoms of patients under 6 months old are very mild, with a low maximum body
temperature and a short duration of fever. Other complications are few. The symptoms gradually become more
severe with each month of age. The ratio of patients displaying a diphasic fever with two peak temperatures
increases with each month of age. Over 50% of patients over 9 months old have this diphasic fever with two peak
temperatures. It is inconclusive whether an anti-infective factor in human milk exists or not. Of the 105 patients
in this study, 28 were under 4 months of age; of these 28, all but 3 were infected by family members.
Infant influenza is described as mild in the literature, but a as coughing and sniveling, and these symptoms were evalu
detailed description is not available. 1·3 On the other hand, ated according to the questionnaire and the record of medi
patients with severe symptoms of infant influenza have cal examinations.
been reported from general hospitals.45
From long experience as a pediatrician, the author noticed Virus isolation
that the symptoms of influenza differ considerably accord To isolate other viruses together with the influenza virus,
ing to the age of the patient. samples were inoculated into five kinds of cells (MDCK,
(I) The symptoms of infant influenza patients are very HEp-2, BGM, Vero and RD-18S), and negative materials
mild compared with those of older children and adults. were re-inoculated into the same fresh cell lines until the
(2) Influenza often causes a two-peaked fever in older third passage in 24-well plastic plates. Isolation was judged
children, which is rare in infants, beginning at around 6 by the cytopathic effect (CPE) or hemagglutination (HA),
months. and positive materials were identified by neutralization us
These observations, which were published in 1991,6 were ing type-specific anti-sera or by the hemagglutination-in
further extended in this current study. Clinical symptoms, hibition (HI) test.
the relationship between the patient's nutrition and infection
with influenza, and the role of infection by family members Serum examination
were investigated in 51 infant patients younger than 7 Samples (109) were collected for examination between Au
months and 54 aged between 7 and 12 months. The titers in gust 1989 and April 1996 from 101 infants younger than 1-
the cord blood and serum of antibody against the influenza year-old (42 younger than 6 months and 67 between 7 and
virus, which is considered to reduce the severity of the 12 months). The samples were collected at random from in
symptoms, were also examined. fant patients in various states of health.
The influenza virus antibody (HI) was measured by the
Methods micro method. Antigens used between 1989 and 1991 were
The subjects were 105 patients younger than I year of age BINagasaki/1 /87, B/Yamagata/16/88, A/Yamagata/ 120/86
(this study focused on those under 6 months), with symp (HINl), A/Sichuan/2/87(H3N2) and A/Fukuoka/c29/85
toms likely to be due to influenza, who visited the Sakuma (H3N2), and B/Bangkok/163/90, B/Mie/1/93, A/Yamagata/
Pediatric Clinic during the eight influenza seasons between 32/89(H1Nl), A/Beijing/352/89(H1Nl), A/Kitakyushu/400/
January 1989 and April 1996. 91(H3N2), and A/Kitakyushu/153/93 between 1992 and
Samples for virus isolation were prepared by collecting 1995.
the solution used for swabbing the pharynx of the patients
and mixing it with Hanks'solution supplemented with 0.5%
gelatin. The samples were then sent to the laboratory under Results
refrigeration within 21-48h, and examined by routine meth Virus isolation and identification
ods. The serum for antibody examination was collected and Between 1989 and 1996, 101 influenza virus strains were
refrigerated, and several samples were sent together. isolated from infants under I year of age (49 younger than
The patients' parents were asked to fill in a daily question ?months and 52 aged between 7 and 12 months); 56 strains
naire concerning the body temperature and symptoms such of H3N2, 20 strains of HlNI, and 25 strains of B were isola
ted.
Correspondence: Takahisa Sakuma MD, Kosiba 1-1-40, Tobata-ward,
Kitakyushyu, Japan
Received 2 December 1996; revision 15 May 1997; accepted 30 May 1997.
084
H1N1 st「ain (Fig. 2)
Serum antibody titer of infants A I-month-old infant showing a 512-fold positive antibody
B st「ain (Fig. 7) titer was not infected with influenza. Eleven samples from
A I-month-old infant showing a 256-fold positive antibody infants up to 11 months of age showed 32-64-fold positive
titer was not infected with influenza. Four samples from in antibody titers. Increases in the antibody titer were ob
fants up to 3 months of age showed increases in the anti served in paired serum samples from three infants. A 512-
body titer, which were considered to be derived from their fold or higher increase in the antibody titer, most likely
mother. Increases in the antibody titer, which may have caused by infection, was observed in 1 I samples from in
been caused by infection, were also observed in four sam fants of 7 months or older. and v皿s was isolated from 2 of
pies from infants aged 6 months or older, and virus was iso the 11 samples.
lated from one of the four samples.
H3N2 st「ain {Fig. 3)
There were 13 samples from infants up to 11 months of age
Table 1 Hemagglutination-inhibition antibody titer of influenza which showed 32-64-fold positive antibody titers. A 128-
in cord blood serum
HI antibody titer Mean fold or higher increase in the antibody titer, most likely
Antigen <16 16 32 64 128 256 512 anti?ody titer
caused by infection, was observed in 6 samples from in
fants of 7 months or older. Increase in the antibody titer
6 55 8 1
6 6 6 8 6
3 268 6
013 00
564 05
BlAichi/5/88 53
B/Yamagata/16/88 77 was observed in paired serum samples from a 3-month-old
A/Yamagata/120/86(H !NI) 133 infant. Virus was isolated from this infant. In a 3 -month-old
A/Fukuoka/C29/85/(H3N2) 101
..
infant who showed a 64-fold increase in antibody titer, the
NSichuan/2/87/(H3N2) 74
titer decreased to less than 32-fold on examination at the
Table 2a Yearly number of patients classified according to age(months) age of 4 months.
,
• A/Yamagata/120/86(1989-92)
8
4
2 3 5 6 7 10 11 2048
■ A/Yamag ata/32/89(1993, 1995)
1989-1991 1024
'
▲A/Beりing/352/89(1993)
78
4
34
2l
23
H3M2 512
o.
**
HINI
2
5
6
、
7
l
B
a1
1
2
8
、
1
1
1992
97
(
2
1
21
H)
H3N2
2
HINl 64
3/.Ag
B 32
:
1993
3
3
2
4
H3N2 16 <32
HINI 1
3
0.
2
B 8
1994
1995
l
l
4
H3N2
ロ
Fig. 2 Influenza type A (HIN!) HI antibody titers in infants(0-12
HINl
l
2
3
o
2
H3N2 higher antibody titer was adopted. The numbers parentheses show
2
3
HINl the number of patients. (+) Patient with virus isolated. Antigens:
.
B (●)NYamagata/120/86 (1989-92).(■) NYamagata/32/89 (1993,
.
1995).(▲) A几如jing/352/89 (I 993)
8
2-7-4-1s-1s-s-11-13-9 13 105
**O●No isolation of virus in these patients
●NKitakyusyu/159/93 (1993, 1995)
2
0
4
8
.
●NKitakyusyu/400/91 (7997)
.
.
●B/Nagasaki/1/87(1988, 1989, 1991) ▲NSichuan/2/87 (1990-91)
4
1
0
2
ー
0
2
4
▲B/Bangkok/163/90(1993)
2
5
1
.
▲
5
2
1
▲
.
▲B/Mie/1/93(1995)
日●
.
2
5
▲ ▲
6
2
5
」
a11
1
1
2
8
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8
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H)
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6
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I
4
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H)
▲ ▲
▲
3
2
3
2
▲
<32 <32
(7) (1) (6) (4) (6) (7) (72) (15) (9) (8) (13) (19) (1) (1) (6) (3 ) (5) (6) (11) (14) (8) (7) (11) (17)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
Age(months) Age(months)
w.インフルエンザウイルス 085
.. . . . ..
40 �
... . . . . -
. .
- ..... 91
. .
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1
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37
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
Age(months) Age(months)
Fig. 4 Relationship between maximum body temperature and age Fig. 5 Relationship between fever period and age in infant influen
in infant influenza. Y= 38.2685 + 0.101026X, r= 0.4675, p = za. Y = 1.27078 + 0.310228X, r = 0.4324, p = 0.0000****, d.f. =
0.0000****, d.f. = 103.(●)H3N2,(●)HINl , (■) B 103.(●)H3N2,(●)HIN!,(■)B.
Antibody titer of the cord blood serum6 Relationship between feve「and age
The HI antibody titers of the cord blood serum are shown As Shown in Fig. 4, the maximum body temperature in
in Table 1. The mean antibody titer was highest in A/ Ya creased significantly with age, and the fever period was sig
magata/120/86 (HlNl) and the lowest in B/Aichi/5/88. nificantly prolonged with age (Fig. 5).
The two-peaked fever was more commonly observed in
Evaluation of clinical symptoms older infants (Table 3).
Table 2a,2b shows the yearly numbers of patients classified
according to age (months) and virus type. Clinical symptoms othe「than feve「(Table 4)
The subjects were 51 infants up to 7 months of age (in 49 The main clinical symptoms other than fever were investi
of whom virus was isolated, and 2 were positive for anti gated in two groups: infants up to 7 months of age and in
bodies) and 54 between 7 and 12 months of age (virus was fants between 7 and 12 months. There were no significant
isolated in 52 infants and 2 were positive for antibodies). differences in either respiratory or digestive symptoms be
tween the two groups. However, because the fever period
of infants up to 7 months of age was short, such symptoms
Table 3 Relationship between fever type and age in infant intluenza
0 1 2竺g
e
�m りon s
)6 7 8 1, IO ll
o
T tai
tended to be milder.
Table 2b Date of onset, examination and results of the serum antibody titer of influenza in the 4 patients identified by symbols in Table 2a.,
Patients Age(months) Sex Date of onset Date of 1st Result Date of 2nd Result
exanunation Hl H3 B examination HI H3 B
*
゜
*
4
7
4
M
M
M
18.1.1989
6.2 1989
6.1.1989
25.1.1989
19.12.1988
ND
Both parents had influenza at this time.
<16 <16 <16
<16 <16 <16
21.2.1989
1.3.1989
1.5.1989
256 <16 <16
l024 <16 <16
1024 <16 <16
086
Nutrition of infant patients (Table 5) the number of infections. In a few cases a low antibody titer
The relationship between nutrition and infection with influ remains at 11-12 months of age. Antibody titers in the cord
enza was investigated in 28 infants at 0-4 months of age. blood serum showed that maternal antibodies are certainly
Breastfed infants constituted a little less than 30%. transferred to the infant and prevent infection with influen
za or minimize its symptoms. 10· 11 However, the mildness of
Infection by family membe「s (Table 6) symptoms in infant influenza cannot be totally explained by
Infection by family members was investigated in order to antibody titers alone.
clarify the source of infection in infants. Of infants up to 4 Nearly 15% of the infants aged between 6 and 12 months
months of age, about 50% were infected by their mother or showed 64- and 32-fold increases of antibody titers of
other family members . Only a few were infected from H3N2 and HlNl, which were probably derived from their
sources other than their family members. This was also true mothers. This may be one of the reasons why both the
of 5 and 6-month-old infants. child-type influenza, with relatively high fever, and the
milder infant type influenza are observed at these ages . On
Complications the other hand, no infants of 4 months or older, except one
There were no patients with severe complications of the 11-month-old baby. showed a 64-fold increased antibody
nervous or respiratory systems, or diseases such as pneu titer of B type influenza. This may be because only a few
monia that might require hospitalization. However, bran mothers have the B type antibody (due to the rare preva
chitis, tympanitis and rhinorrhagia, though not severe, were lence of B type influenza), as shown by the results from the
frequently observed. Two 2-month-old infants with H3N2 cord blood serum.
influenza in 1993 who had a two-peaked fever of 39℃ or There have been a number of reports on the two-peaked
higher were hospitalized because their mothers simultane fever caused by influenza,1 2· 13 but the reason for it is not
ously contracted influenza. well understood. 1•·1 5 In this present study, infants who pos
sessed antibodies derived from their mothers had a one
Discussion peaked fever on contracting influenza. As shown in previ
Severe infant influenza has been reported by hospitals,4-5 ous reports, infants who had had influenza in the past, vac
but surveys conducted in infant homes show that fever in cinated children and adults who have probably contracted
infants is mild,1·9 agreeing with the results of the present influenza repeatedly, also showed the one-peaked fever.6· 12
study. This indicates that infection with influenza will cause a
To elucidate the reason for the mildness of fever in in two-peaked fever in an individual without immunity
fants, maternally derived antibodies and nutrition were ex agai nst influenza.
amined. The mean value of antibody titers that were trans There are various views concerning the prevention of in
ferred from the mother decreases rapidly and reaches its fection by breast-feeding. 1 6 In the present study, it was not
lowest point at 5-6 months of age. The infant's antibody titers possible to judge the preventive effect of breast-feeding. In
count then tends to increase gradually in accordance with a survey of nutrition of infants in Kitakyushu City conduc
Table 4 Clinical sy mptoms of infant influenza ted at about the same time as the present study, breast-fed
infants accounted for 50%, mixed nutrition 20%, and whol
Age (months)
ly formula-fed 30% (T. Sakuma et al., unpubl. data).
0-6 (n = 51) 7-12 (n = 54)
A large number of infants were infected by their mothers
Coughing 36(70.6%) 47(87.0%)
Snivelling 33(64.7%) 45(83.3%) or siblings, and up to 7 months of age only a few were in
Diarrhea 11(21.6%) 15(27.8%) fected in places other than their home. Prevention of virus
Vomiting 5(9.8%) 15(27.8%) invasion in the home will prevent most infants from con
tracting influenza.
Table 5 Nutrition of 28 infant patients (0-4 months)
Age (months) No. patients Breast fed B>F B=F B<F Formula-fed (F) Unknown
221 50
I 2
2
314 88
2 7
112l
14 5
3 4
116
,
4 15
l7
To al 28 2
7
7.
2
3
5.
8
3
%
%
%
�
7.1%
49.9%
Table 6 Infection by family members in 51 p atients aged 0-6 months
Age (months) No. infant patients Mother Father S ibling Grandparents Nursery school Friend Unknown
1234 561
274 5581
2 6 2 5 5 4 24
2 5 1 7 l4 o
1 3 2 3 4 2 15
ー
12137
lool
22
31
l]
゜
4
3
5
t
a
Number of primary patients or number infected from infant patients (including more than one cases).
088
適o 一
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日Epstein-Barr Virus
ーーコ
固、、こす, 醤出:]らは
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工汀芍こ
ー手土コ
1· し
!`
EBV-抗VCAlgM 10により診断した。7病日 GOT、GPT、LDHの高値により入院した。
�:
血小板減少2.8X Iがをともなった。
発冑年月日 19991014
櫂患時年鵬 10
性 女 "'立ハ暢
嘱日 5 7 10
EBV・コウVCA lgM 10
EBV・コウVCA EBNA <10 %
EBV•コウVCA lgM
アデノ(CF)
マイコ(PA) 40
WBCX1び 49 66
Lympho% 51 57
Atyp;cal-L% 8 5
Neutoro%
(Stab)% 7 8
(See)% 35 24
Mono% 3 6
Eosin % 1 ゜
Boso% 274
CAP mg/di 03 l6 331
GOT U/1 51 276 705
GTT U/1 24 176
LOHU/1 380 718
いて 2 8 10
自分 で見て い ないにつの で ceはment 出来ない 血 .小 板
X 減少
4
リ ンJ O,の形態
匹I Epstein-Barr Virus
・ ー
百
発病年月日 1999.1213
糧患時年齢 3
性
病日
女
4 , 戸畑賓院
17
EBV・コウVCA ISM 20 10
EBVーコウVCA EBNA <10 % <10
EBV—コウVCA ls:M 160
アデノ(CF)
マイコ(PA) BO
WBCxl守 92 157 92
Lympho% 51 46
Atypical.(_% 8 13
Neutoro%
(Stab)% 4 4 10
(Ses)%
Mmo%
Eosln %
,
27
1
29
7
1
Boso%
CAP ms/di 05 04
GOTU/1 79 51 898
GTTU/1 57 58 979
LOH U/1 349 381 1468
自分/で見てい顧ないにつ で は nt出来ない
の come
リン n
稟の形 いて
090
.
匹J Epstein-Barr Virus
2001.19.29
EBV-抗VCA lgM 160により診断した。 EBウイルス抗 VGA lgG 640
Flowchartの如き発熱を示したが、 一般状態が比較的良かったのと EBウイルス抗 VGA lgM >160
EBウイルス抗 ESNA 10ミマン
肝機能障害がなかったので、 当院で経過を観察した。
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を::ニニ
I
-
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曰Epstein-Barr Virus
EBY-抗VCA lgM >160により診断した。 2006.2.15
EBV-コウVCA IGM 160
Flowchartの如き発熱を示したが、 一般状態が比較的良かったので、 EBV—コウEBNA 10ミマン
マイコプラスマ(PA) X40
平成13年9月29日 GOT 159、 GPT 131、 LDH595であったが、
当院で経過を観察した。 肝機能は10月9日には殆ど正常に復した。
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V.その他 091
四突発性発疹症 .:I
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四突発性発疹症
典型的な突発性発疹症の咽頭所見を示す。
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V. その他 093
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四]突発性発疹症
典型的な突発性発疹症の咽頭所見を示す。
咽頭所見はヘルプアンギーナ様にみえる。
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四突発性発疹症
典型的な突発性発疹症の咽頭所見を示す。
咽頭所見はヘルプアンギーナ様にみえる。
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094
日多形滲出性紅斑
Echovirusll感染に伴った多形滲出性紅斑第3病B
`
豆 湧
2001.7.3 2001.7.21
WBC 4200 4500
CRPmg/dl 5.5 く0.3
ESR mm/h 30 6
GOT U/L 32 31
GPTU/L 12 31
LOH U/L 244 188
←=-
令デ
Echol 1 (HI) <8 16 -` -··
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Adeno(CF) <4
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CoxB-4(CF) 4 紐
VI.種々の発疹性疾患 095
匹多形滲出性紅斑
Echovirusll 感染に伴った多形滲出性紅斑第4病H
塁り多形滲出性紅斑
Echovirusll 感染に伴った多形滲出性紅斑第5病8
096
曰多形滲出性紅斑
rythema exsudativum multiforme(minor) Herpes simplex virus 1
百 H9·t 3�
I
日多形滲出性紅斑
(HINI)
インフルエンザウイルスによる多形滲出性紅斑の記載は教科書にはない。私は頬の発疹
よりエコ ー 感染を疑ったがA(HINI)が分離された。発疹は両側性で、下左は大腿伸側、
下右は手関節部である。掻痒感は乳児ではっきりしない。咽頭所見は発赤と腫脹を認める。
H11'-27b
一
馴i
`戸
VI.種々の発疹性疾患 097
四Jll崎病
Kawasaki diseaseの咽頭所見
1)
(1)病初期咽頭よりアデノウイルス4型を分離したが、
2病日、3病日と解熱せず、 次第に川崎病の諸症状が現れた症例。
(2)咽頭の発赤、 腫脹が著明で口蓋扁桃上に白色の滲出物を認める。
(2)
匹}川崎病
Kawasaki diseaseの皮膚所見
(1)
(1)
(2)
(1)皮疹は赤く、 発疹は不正型である。
非常に変な感じを受ける発疹である。
(2)皮疹とBCGの接種部位の再発赤を示す。
098
匿,Gianotti-Crosti syndrome
福岡県小児科医報.42:61舷>,2004を参考にしていただきたい。
サイトメガロウイルス感染は血消学的に診断した。
2003.7.3 Cytomegalovirus
lgG 29GI lgM 1.7MI
(謹の躙I3佐久間孝久・
福岡県小児科医報.
42:61-65,2004を参照)
--
■表1 H.14.4.25 1.2歳女
罰1
\層8.44 可 ,
晶
11,"
溢三冒こ
831
9
91
13
K mEq/1
1
5
Lympho% 56 50 Cl mEq/1
5
107
Neutro Ca mEq/1
61383
(Stab)% 血清鉄ug/dl
9
35 5
355 0
332 5
348
7
3395
(Sag)% TIBCug/dl
9
Eosin%
94
LL6 114
LL5
6
6 17
7 17 19 6
06
Baso% lgG870~1700mg/dl
1
lgAIIO~410mg/dl
CAP mg/di <0.3 <0.3 0 lgM35~220mg/dl
E避� mm/hour 12
435
ダ= 一 C3 65~135mg/dl
紅47g 53813西呵 8548
総蛋白g/dl C4 13~35mg/dl
アルブミンg/dl CH50 30~510U/ml
31 2
5 06
6 17
032
7
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アミラ ー ゼU/L
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表 ー CytlgG
2
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0 .5ミマンpg/ml
( )は正常値
口腔のコプリック斑、 下口唇
内側口内疹、 典型的皮疹を示す。
平成12年、2000年12月の症例。
100
塁l 麻杉;(麻疹ワクチン接種後)
H.5.5.17ビケン CAMBEMPl碑接種 腹部
平成13年3月14 8発病、
,.m●9』れ只
平成13年3月16日 麻疹ウイルス(lil) 8X
平成13年4月10 8 麻疹ウイルス(lil)l<YM X 芦田—ー·,..l"I"
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コプリック斑は無く、
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小赤斑が点在し一部は水泡を形成している。
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平成13年4月14 8発病 吹・シJ •
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平成13年4月17 8 麻疹ウイルス(IIl) 64 X
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”ウイルス<Hl>
VII.麻疹 101
日流行性耳ド腺炎水痘
どちらの疾患も軽度の発赤、 腫脹がある。
水痘では口内疹を認める例もある。
(1) (2)
102
日風疹
顔面、腹部の発疹を示す。
咽頭所見は軽度の発赤、 腫脹の他所見はない。
匹l 風疹
結膜の充血、 舌の変化を示す。
咽頭所見は軽度の発赤、 腫脹の他所見はない。
匿!伝染性紅斑
顔面の発赤を示す。 前胸部のレ ー ス様のうすい紅斑を示す。
咽頭所見は軽度の発赤、 腫脹がある。
104
伝染性紅斑
伝染性紅斑(ヒトパルボウイルスBl 9)
平成 17 年 (2005) 4~5 月に北九州では、伝染性紅斑(ヒトパ ル
ボウイルス Bl9) の小流行がみられ、 3 家族の母親に血清学的に感
染を確認した。(ヒトパルボウイルス Bl9) 検査は (EIA) 法により、
IgG ·IgM の基準値は 0.8 未満である。
検査月日 I 検査項目
lgG lgM
備 考
第 1例
↑ 11/June 第2子女 4.4歳
2005.5.26 (一 ) (一) 18/June 第1子男 8.7歳
6.18 13.3 8.15 典型的伝染性紅斑
第3例 6.22第1子 男 7歳
2005.6.22 I l 0.55 7.32
典型的伝染性紅斑
母親の症状
第1例 5月26日より 頭痛・咽頭痛 全身の倦怠感
39歳 ↓約2週
両手関節痛・腰痛・手のむくみ
第3例 H 16.6.10発熱38℃
36歳 6.14再発熱某病院入院
CAP l.3mg/dl
W 1,640
Pit 8.3↓ XlO 勺µL
6.22次第に解熱し、退院
W 3,780
Pit 15.4 X 10勺µL
VIII.古典的疾患 105
D マイコプラズマ
2002.1 1. 7 2002.11.16
マイコプラスマ抗体 (PA) <40 X 1280
WBC 6300 7800
咽頭は軽度の発赤をみる。 左葉の肺炎があった。 <0.3
CRP mg/di LO
ESRmm 22 4
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0マイコプラズマ
2000.10.25 の検体
マイコプラスマ抗体 (PA) X坐退挫
0 マイコプラズマ マイコプラズマ抗体(PA)
WBC
CRP mg/di
2000.1.5
N.D.
5600
3.7
2000.1.30
X2560
N.D.
0.9
ESRmm 78 36
2000.1.30
アデノウイルス (CF) I X8
咽頭は発赤と軽度の腫脹をみる。Flowchartにみられる発熱の為、 パラインフルエンザ !(HI) I <10
アデノウイルス、 パ ラインフルエンザl、3ウイルス、 バラインフルエンザ3(HI) I x 40
RSウイルス (CF) I x 16
R.S.ウイルスの抗体を検査している。
一
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0 マイコプラズマ
2004.11.4 2004.11.28 2004.11.4
マイコプラズマ抗体(PA) < 40 X 1280
バラインフルエンザJ (HI) N.D. <10 CR`�
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7
咽頭は軽度の発赤をみる。Flowchartにみられる発熱の為、
バラインフルエンザ3(HI) 160 160 ESRmm I �
42
RS ウイルス (CF) N.D. X4
パ ラインフルエンザl、3ウイルス、R.S.ウイルスの抗体を
検査している。
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症状経週表● e
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五
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108
0マイコプラズマ
2000.1 1.6 2000.12.2 2000.1 1.6
マイコプラズマ抗体 (PA) 10 X 1280 WBC 13700
口蓋扁桃の発赤、 腫脹は著明で、Flowchartにみられる バラインフルエンザ l(HI) N.D. <10 CRP mg/di 2.2
バラインフルエンザ 3(HI) N.D. 160 ESRmm 16
発熱の為、 パ ラインフルエンザl、3ウイルス、
RSウイルス(CF) <4 >128
R.S. ウイルスの抗体を検査している。
冨コ誓拿二:
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•5なみず
つどがいたい ゜ 0゜ n
0 I • n
0マイコプラズマ
この症例は平成 15 年の 12 月 58の初診時、 マイコプラズマ
(PA) 抗体の 640 X は分かっていたが、全く呼吸器症状が無く、軟
口蓋の写真にみられるような所見の為に溶連菌感染症を疑った。
セフエム系の薬剤を投与したが、症状の改善は無かった。 12 月 15
82 回目の検査でマイコプラズマ (PA) 抗体の 2560 X を確認し、
クラリシッドに薬剤を変更し急速な症状の改善をみて治癒した。
マイコプラズマの肺外感染例と考えられる。尚、表に示す如くEB
ウイルス、インフルエンザ、アデノウイルス、Herpes simplex vi—
rus 1、サイトメガロウイルス、 溶連菌感染症は全て否定された。
.., ⇔
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IX.マイコプラズマ 109
x .細頗感染茄
...
血液寒天培地上のStr. pyogenes(/3型の溶血環)
紺野昌俊、 生方公子先生による
曰Streptococcus pyogenes
(1)'- ’’ ."=•一ーIヒーシ ヽ (2)
II ••一~~’ヒとツ (3 )
、 (1)
`
g量―
軟口蓋の燃えるような発赤が特徴である。
い
一般に低年齢層に多い型である。
:
\
9:ぺ
二摩 ・
、°こ‘.、 9
」
(2) (3)
110
匹I Streptococcus pyogenes
(1)、- ■99999999999
9999,ll,999999999,L-�
9999999~999999,1 匂(2)
軟口蓋に発赤だけでなく小濾胞を認める。
写真1よりやや高い年齢層に多い型である。
(2)T-2
匹J Streptococcus pyogenes
(1) (3)
(1)
滲出性扁桃炎をしめす症例
一般に、 前の2型に比して更に年齢層が高い。
(3)
X. 細菌感染症 111
日Haemophilus influenzae
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t揉道]反
Haemophilus influenzaの滲出性扁桃炎は非常に粘槻な感じがある。
非常に咽頭痛が著明で、 全身症状が烈しかった。
患者は非常に苦しんだ。
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非常に咽頭痛が著明で、 全身症状が烈しかった。
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主訴 咽頭痛
Staphylococcus aureusを同時に分離した。 ··『●1.Ill......笠 . ・
発熱(一) • • • - - : 7.."・て二万仁ご. き一•一●●● ::ニ ニニニ.
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症状は軽度で患者は全く苦しまなかった。 鼻汁(土) ::::::::::.ユ土=出;ら
初診時
全経過を通じて、発熱なく、訴えも初診時と変わりなく、 顔貌 普通
.·,.,
軽い咽頭痛のみで、4~5日の経過で治癒した。 顔色 良
望 宝
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食欲 良
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便通 ( )
X. 細菌感染症 113
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日Staphylococcus
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Staphylococcus aureusによるアンギ ー ナがあるのか、
無いのかは意見の別れているところである。
あるという説と、無いという説と、2次的にあるという説がある。
(1)右の口蓋扁桃の上扁桃腺寓とみられる部位から
――
吹き出たような黄白色苔がみえる。
(2)右の写真は回復期である。
匿I Staphylococcus aureus
15町
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戸口
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(1)は急性期、
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(2)は翌H、口蓋扁桃上の円形の黄白色苔の中心部から、
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少し苔が融解し回復期に向かったことを示している。
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(2)
114
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四ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)
皮疹、 皮,,,と口唇粘膜との移行部の病変、 皮,,,のニコルスキ ー 現象を示す。 基幹病院への入院を必要とした。
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X. 細菌感染症 115
曰Rotavirus
腸管感染症であるが、 咽頭には軽度の発赤がある。
腸管感染症であるが、 咽頭には軽度の発赤がある。
吐物よりのウイルスの分離の報告はあるが、 私は咽頭ぬぐい液よりのウイルスの分離は出来なかった。
゜
1□ ;五― -―-唸化ふ]
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118
■外来小児科 1999; 2: 191-202
外来小児科におけるEntericAdenovin1s40、41による
小児胃腸炎の臨床症状
佐久間小児科 北九州市環境科学研究所
佐久間孝久 仮屋園弘志
要旨 緒言
目的:外来小児科における腸管系アデノウイルス (EAd) Ente ric Adenovirus (以下、 EAd と略す)による胃腸炎の
の臨床症状の観察。方法:外来で得た検体より電子顕微 報告はそう多いものではない1~7l o EAdによる小児下痢症は、
鏡 でAdを検出し、Ad群特異抗原で EAd40、EAd41を Enter 臨床医は日常よく診ている疾患ではあるが、ウイルス学的臨
ic adenovirus40(EAd40) 、Enteric adenovirus41 (EAd41) 床検査の困難により、よく理解されているとはいえない。ま
特異的抗原で EAd40、 EAd41を同定した。結果: 1991年 11 た成書にみられる長期の下痢1~3)は、われわれの一 般外来
月より 1996年3月まで、胃腸炎の症状を訴えて来院した患者 では 、 患者を診察している著者などには、経験したことがな
より得た2,400検体より 131株のAdを検出した。 131株のAdは、 いように長い記載である。近年の臨床検査の進歩は北九
EAd40、2湖(19.1%);EAd41、3嬌 (25.2%);EAd40 or EAd41、 州市環境科学研究所においても EAd のウイルス学的検査
19株 ( 14.5%); EAd40+EAd41、 1 株 (0.8%) ;N onent e を可能にし、著者の外来診療でその臨床像を観察し得た
r i c adenovirus(Non-EAd) 、 39株 (29.8%) ;再検査でAd 陰 ので報告する。
性は 14株(10.7%) であった。 EAdウイルスは主として 6か月~ I . 対象と検査力法
2歳までの乳幼児より検出され、加齢とともに患者は減少した。 検査対象は 1991年 11月より 1996年3月までの間、胃腸炎
EAd の初発症状は 80%が下痢で 20%は嘔吐であった。発熱 症状を訴えて佐久間小児科医院を訪れた患者より得た
は軽症で出現は45 %以下。最高発熱の平均は 38℃ (37.1 2,4 00検体である。嘔吐のみを主訴とした患者の検体は浣
~38.8℃)、持続の平均は1. 7 日 (0.5~4日)。嘔吐はAd40の 腸により得た。保護者には体温、便性 、 一般症状の記載を
55%、Ad41の 62.5%。下痢はほとんど 100%にみられ、激しい 要請し、診療録の記録とともに症状を評価した。
下痢ではないが長引く傾向があった。1日の下痢の最高回 11 .検査力法
数の平均はAd40、Ad41ともに5回 (1~30回)、下痢の持続 便の検査法は表1に示す。
の平均はAd40は 4.5 日、Ad41は4.6日 (2~14 日)であった。 1) 電子顕微鏡による便中のEAdの検出は文献叫こよった。
一
結論: EAd による胃腸炎は小児の胃腸炎の主たる因の 2)咽頭よりのアデノウイルス (Ad)の検出は文献叫こよった。
つである。その症状は激しくなく、外来で加療可能であった。 3) 便中のEAd40、41、Ad group s pecific antigenの同定
EAd 感染、Rotavirus 感染、SRSV惑染は臨床の場において は monoclonal antibodies を用いたen zyme immu
も、ある程度は鑑別が可能であった。下痢の持続は外国の noassay法 (EIA 法) 10) によった「このmonoclonal anti—
報告にあるように長くはなかった。 bodies(15D,Ad group-specific; 12D, Ad40 type-s pe
Key Words:Enteric adenovirus、Non-enteric adenovirus、 cific; lF , Ad41 type-specific)は大瀬戸光明博士より
アデノウイルス胃腸炎 分与を受け、技術指導を受けた」。
4) EIA 法陽性例のうち EAd40/41 例 、 Non Enteri c ade
no (Non-EAd)例、EIA陰性例は 293細胞にて 3代継代
■表1便中アデノウイルス検査法
培養した後、 EIA 法、indirect fl uorescent antibody
Sample
' '
法(I FA 法)4) を行い、 一 部はG293細胞中のウイルス
DNAを抽出、精製し、制限酵素Sma I で切断したもの
EM
' I ' ' ' '
Adv(+) A dv(-) を 5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (PAGE) した叫
5) 細菌学的検査は北九州市リンテック株式会社の細菌
' I '
EIA 40 41 40+41 40/41 Non-EAd #(-) 学臨床検査施設で施行した。
III.治療
脱水症を呈しないように心がけて加療した。患者の症状
3 passages in G 293 cells
によりその 10%弱に輸液を必要とした、重症の脱水症は 1 例
も経験しなかった。内服は Clostridium butyricumを主薬と
EIA/IFA 40 41 40/41 Non-EAd #(-) し 、 時にロ ー トエキス、タンニン酸アルブミン、ロペラマイドを併
用した。遷延する下痢にはtilactase を併用し、ミルクをボンラ
DNA analysis
クト、ソ ー ヤミー ルに変えることも指示した。
#(-) : Adenovirus antigen detected by EM but not detected upon retesting
EM : Electron microscopy 食事療法は年齢、症状に合わせて指導した。
EIA : Enzyme immunoassay
!FA : Indirect fluorescent antibody test DNA analysis
毎年2月に検体が多く、9月が少なかった。検出数、検体数と にみられた(図 4) 。
検出数の比はともに5月に多く2月が最低であった(図 1 、 2) 。 電子顕微鏡ではAd陽性で再検査陰性例は14例であった。
EAd40、41 はほぼ各年毎に交互に流行した(図 3-1) 。
■ Ad40, 25 str,la,
一検体数2400 •疋l • 33 Strains
No
■ アデノウイルス陽性例131株
100
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11
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2
12
89
i
■図 2 検出したアデノウイルスの月別例数と
検体数に対する割合 (1992.l→1995.12)
』
十アデノウイルス陽性割合
十アデノウイルス陽性例125株
1
25 l
― ― ー _ ― ー
20
■ 図4 Non-enteric adeno
adoao, 39 atralos
N 0
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禾 pue·
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この
阿桟董陰性例は14例
14例は図3.1 、 3·2、 図4には含まない
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120
2. 便中 A dの年齢別検出数 ①初発症状
便中のAdは6 か月児より 2 歳児に最も多く分離した。 EAd EAd 群、Non-EAdl 群は嘔吐、下痢の消化器症状(嘔吐、
罹患者の平均年齢は2歳前後で、 EAd41がEAd40よりやや 下痢、腹痛)を初発症状とする症例が多く、Non-EAd2 群は
高かった。年齢の中央値は各型とも、平均値より低かった。 発熱を初発症状とする症例が多かった(表 3) 。この 2 群間
患者数は加齢とともに減少した(表2)。 の差は統計学上有意の差を認めた(p<0.0001 byがt est)。
3. 臨床症状 ②発熱
胃腸炎患者よりの 2,400検体より131株の EAdを分離した。 発熱の出現は EAdは EAd40の 45%が最高で他の EAd、
男性64例、女性67例である。他の病原体(細菌またはウイ Non-EAdl 群はさらに低く、Non-EAd2 群と際だった差を示
ルス)との混合感染を認めた9例と、電子顕微鏡検査陽性 した(表3) 。病気期間中の最高発熱はEAdはAd41 群が 38
例で再検査陰性例の 14例は臨床症状の検討からは除外 ℃であったが、Non-EAd2 群は39.3℃と高く、この 2 群間は統
した。臨床症状の検討は E Ad40-20 例、 EAd41-32 例、 計学上有意の差を認めた(p<0.0001 by unpaired Student 's
EAd40/41-18例、 EAd40+EAd41-1例、Non-EAdの 37例、 t est)。発熱の持続もこの2群間の差は著明で、統計学上有
108例について施行した。Non-EAd例は臨床症状により次 意の差を認めた(p<0.0001 by un paired Stu dent 's t est)。
の3群に分けた。 ③嘔吐
1群 (Non-EAdl 群):12例、症状が全く EAdに等しい。2 群: 各群とも嘔吐の出現は約 50%前後、1日当たりの頻度は2
(Non-EAd2 群)20例、症状が全く呼吸器系Ad 群( Res Ad ~3回、持続は2~3日で各群間に差はみられなかった(表4) 。
群)に等しい。3 群:( Non-EAd3 群)5例、前記の 2 群のどちら ④下痢
かの範疇にあるか決定できなかった群注) 。 下痢の治癒は乳児においては、1日の便の回数が発病
前となり、便性も正常に復したことを確認し、幼児では1日の
■表3 初発症状と発熱 便通が 1~2回となり有形軟便、有形正常便に復したことを
Initial Symptoms
確認して治癒日とした。
Enteiic adeno No of fever vomiting diarrhea abdominal pain
patients No(%) No.('l\) No(%) No(%) 下痢はほとんど100 %に認められたが、 EAd41 群に 2例、
40 20 1(5) 4(20) 15(75)
41 32 8(25) 24(75)
18 1(56) 16(88.9) 1(56)
Non-EAdl 群に 1例全く嘔吐のみ という症例があり、これら
゜
40/41
40and41 I I
Non- EAd 1 12 1(8 3) 11(91 7) の症例の検体は淀腸によって得た。 EAd40、41 群では1日
2 20 16(80) 1(5) 3(15)
3 5 1(20) 1(20) 3(60) 当たりの下痢の最高回数も3.8~5回と多く、回数の範囲も 1
#(-) 14
Total 122 ●(-)阿検査陰性例 ~30 回と他群に比して多かった。下痢の平均持続日 数も
Fever
Enteric adeno No of Incidence mean range of mean dura. range of du ra.
4.5日とかなり長く、 Non-EAd2 群は殊に6.2日と長かった。Ad
patients No(%) pe ak℃ peak℃ days days
40 20 9(45) 37.7 371-388 13 1~3 による下痢は持続日数の範囲も 1~14日と他のウイルス性下
41 32 6(188) 38 37 4~38 6 17 0.5~ 4
40/41 18 2(111) 37 5 37 4~37.5 1.3 0.5~ 2 痢症に比して長かった。
40and41 1 I 371 37.1 I 1
Non-EAd I 12 4(333) 37 4 37.2~37.5 1.1 0 5~2 ⑤他の症状
2 20 20(100) 39 3 37 9-40.6 43 2 9
3 5 5(100) 38.3 38-38.9 09 0 5~1 a) 呼吸器系合併症:中耳炎、軽症鼻炎も呼吸器系合併症
#(-) 14
に含む。 EAd 群、Non-EAdl 群の呼吸器症状の合併は
■表4 嘔吐と下痢 Non-EAd2 群のそれに比して低かった(表5)。この 2 群間
Vomiting
Enteric adeno No.of Incidence mean max. dailJ range of mean dura range of dura. の差は統計学上有意の差を認めた(p <0.0001 byがtest)。
patients No(%) frequency frequency days days
40 20 11(55) 2.1 1~6 21 1~6
20(62 5) l~8 1~8
重症の肺炎は1例もなかったが、 EAd40を便中に証明し
゜
2
゜ ゜
32 23
゜ ゜
41
40/41 18 5(27.8) 26 1~5 2 1 -4
40and41 I た6か月の女子の1例は重症の細気管支炎を合併して入
Non-EAd 1 12 2(16 6) 55 1~10 3 2-4
2 20 8(40) 3.1 l~5 23 2~3
3 5 1(20) 2 2 I I
#(·) 14
■表 6 乳児の感染と栄養法との関係
Diarrhea
No. Sex Mon th Virus Nutrition Seve rity o
Enter ic adeno No.of Incidence mean max. dailJ range of mean dura range of dura.
patients No(%) frequency frequency days days o age sym ptoms
40 20 20(100) 5 2~13 45 2~9
M M FM M M M M BM M BM B
f mf mmf f mmf f f mm
1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011121314
1 345 5 5 5 5 5 6 6 6 6 6
1 2 llll2 2 1 331 1 1
41 32 30(938) 5 1~30 46 2 14
40/41 18 18(100) 38 l~10 38 1-8 40
40and41 I I 1 1 4 4 Non-EAd group2
Non-EAd I 12 11(917) 51 4~9 39 2-7
2 20 20(100) 37 1~7 62 1~13 40/41
3 5 5(100) 29 1-7 44 2~7 40/41
#(-) 14
41
■表5他の症状 40/41
patients No ` `
Enteric adeno !Nu mber of恥mresp.il conjunc
tiviti
No
E su
s onx tondsail s Fluid th eraPJ
No.ill
te
N .o 駕
Severity of pharyng. swab
symptoms• (+)
Non-EAd group2
Non-EAd group2
Non-EAd group!
f
40 20 8(40) 2(10) 1.6 f
41 32 6(18.8) 5(156) 14 40
6(333)
゜
40/41 18 1(5.6) 12
40and41 I 41
゜
Non-EAd 1 12 3(25) 11 41
2 20 15(75) 3(15) 2(10) 2(10) 24 Ad2Ad3..
3 5 2(40) I 40/41
14 2(143)
# ()-
治療9こ駁し、 各往例の疾患のft重を以下の基讚で評値し 、 採点した.
Non-EAd group!
, II,, 2.中等"' 3.重虻4. やや重.. 5.J.変重症 詳編は文戴°を書1!11.
..•この2例は便の検査でAdenovirus陽性闘に""'こ咽頭よりAd2、Ad3を分霞した。 f:女児 m:男児 B:母乳栄焚 F:人工栄狡 M:混合栄養
XI.腸管感染症 121
院を必要とした。また、EAd40を便中に証明した2歳5か月 ■表 7 Enteric adenoviruses,SRSV,Rotavirus感染症の比較
の男子1例は持続する発熱と咳嗽で入院を必要とした。 Enterlc adenovirus SRSV Rotavirus
く 始まる
治療に輸液を必要とした。 く es r Ad的 0 よ り は
発 軽虞、 発熱例が少 ない 軽初震 、 発よ 熱り やや遅れて R症
軽 p でi a tor,
例は少な
病 期
熱する 持 績は 2 日 くらい である
d)疾患の重症度:EAd群、Non-EAdl群の平均は1.1~1.6、 発
病 期 に●明
疇吐 軽度 し か し治露傾 向は 中等廣
Non-EAd2群は2.4であった。この2群間の差は統計学上 強い
初
し い、
下痢
●症ではないが
軽下痢を欠 く 例も 識臼 水 様 、 強い醸臭
有意の差を認めた(p<0.0001 byがtest) 。この重症度 持観する 症 色 便もある
. 特に年畏
ある
児では
ベッドサイドで籐行 (+)発熱響明であれば
の判定基準は文献叫こよる。 m
可II! 費巴 Res.Adeno. (-) (+)
口夕、 アァノドライ• 発熱軽震であればEnt.Adeno
e)咽頭よりのウイルスの分離:Non-EAd2群の2例の咽頭よ 冑Ill 5日 3日 7日
*:感度は低いが参考になる 。 **:スコアは文献叫こよる 。
4. 乳児の感染と栄養法
この報告では6か月未満児は14例であった。母乳栄養児 は著者らのごとく 4年 にもわたる報告はなく、はっきりした傾
は3例、人工栄養児は1例、混合栄養児は10例であった。母 向 を示すもの は な か っ た。著者ら の観察ではEAd40、
乳の感染防御効果についてはこの報告では明らかにでき EAd41はほぼ交互に流行していた。ただ1994年に愛媛衛
なかった(表6)。 研分与のモノクロナル抗体でEAd40、EAd41を同定できな
5. 家族内感染 かった株が集中して みられた。これは検体の量の不足、再
家族内感染は多くの家族に認めた。しかし家族内感染 検査のための凍結、融解などで抗原の力価の低下などの
でウイルスを分離できたのは2家族であった。2家族とも1993 問題もあるが、この時期、EAd40、EAd41に何か愛媛衛研分
年 5月の症例で、2家族とも年長児より年少児への感染で、 与のモノクロナル抗体との間に抗原の微細な変異があった
1家族はEAd40、他の1家族はEAd40/41感染であった。 のではないかと考えている。
EAd40の発病間隔は5日、EAd40/41の発病間隔は8日であ 月別の便中Adの検出数は数も検体数との割合でも5月
った。 が最高で2月が最低であった。Non-EAdはほぼ通年みられた。
6.混合感染 この傾向は4,16)の報告に同様であった。
EAd群の7例に他の病原体との混合惑染を認めた。細 性差は諸家の報告5, ) にもみられず、著者らの報告も同様
6
菌との混合感染は2例(EAd40とSalmonella04、EAd41と であった。
Campylobacter)であり細菌性胃腸炎の症状を示した。他 V1.年鯨分布
のウイルスとの混合惑染は(EAd40とSmall round struc 患児の罹患年齢に関しては、いずれの報告も4~5歳以
tured virus:SRSV) 2例、(EAd40/41とSRSV)l例、特別に 下の、殊に2歳以下の児に多いと報告している←7) 。EAd40、
重症化することはなかった。EAd40の2例は胃腸炎に持続 EAd41の間ではEAd41が高いとする報告5, ) と差はないと 15
状の差を比較検討することができたことは大変な燒倖であ ないかと考えている。2群は著者らはtypeの同定をし得なか
った。3種のウイルス性疾患の症状の差を表7に示す。 ったが、Adl、2、3、4、5、6、7ではなしヽかと考えている。Non
検体提出数はほぼ胃腸炎の患者数を反映していると考 EAd2群の2例より、それぞれ同時に咽頭よりAd2、Ad3を分
えている。Rot avirus流行のためか、毎年2月に最も検体数 離し得たことは、この群が呼吸器系Ad群であることを示唆し
が多く、9月が最低であった。 ていると考えている。3群は1群、2群のいずれにも決定しか
4)
EAdの年次別、月別の報告はさほど多くはない。山下 の ねた群であった。
報告では1986年頃よりEAd41が優位となり、1991年以降は EAd40、EAd41の間に症状の差があるとする報告 ,5) があ 4
122
あった。これに対してNon-EAd2 群は 80%以上が発熱が初 って、それぞれかなりの程度までは鑑別でき、かつべ州サイ
14)
発症状であった。著者らの先の報告 ではSRSV感染では ドでロタ ・ アデノドライの検査を施行すれば、さらに確診を得
72%が嘔吐を初発症状とした。Rotavi rus 感染では、発熱、 ることができる疾患である。
13)
嘔吐、下痢の症状がほとんど同時に激しくみられた 。これ
らの初発症状の差は非常に診断の参考になるものであった。
←7)
EAdの発熱は従来の報告はすべて軽症であった 。著 謝辞
者らの観察でも発熱の出現頻度、程度ともに軽症であった。 ウイルス学的研究を施行していただきました北九州市環
Non-EAd2群の発熱は呼吸器系 Adの発熱症状に同等で 境科学研究所の下原悦子先生、中村悦子先生、統計学的
あった。 考察をしていただきました久留米大学小児科学教室の安
←
嘔吐は半数以上の症例に認められたが、文献 7)にみら 藤昭和博士に深謝いたします。
れるごとく、程度はあまり重症ではなかった。
vm. r痢 文献
1) Hammond GW. Adenovirus: An overview. In ; Long SS, Pickering LK
下痢はその持続が非常に長い報告 5, ) と、著者らの報
7
感染性胃腸炎
特にsmall round vinlsesの臨床
北九州市佐久間小児科医院 北九州市環境科学研究所 北九州市環境科学研究所 北九州市環境科学研究所
はじめに ■図lウイルス性、細菌性胃腸炎年月別患者数
140
感染性胃腸炎、特にsmall round viruses(以下SRVと略
す)の臨床像については、中田 ~2八岡田3)、角掛4)、石丸5)な
1
120 1.497例■ウイルス性
どの報告がみられるが 、 本症はウイルスの検索に電子顕微 305例■細菌性
100
鏡を必要とするだけに、小児科臨床医にとって、必ずしも一
般的によく理解されている疾患とはいえない。 80
筆者らは1992年から1994年まで、SRVの臨床について 60
゜
たことで、 病像がよく理解されている疾患といえる。SRV感
染の臨床像の理解を容易にするためにA-rotavirus感染の
臨床像を併記した。
SRVについては、 1994年の日本小児科医会生涯教育研 I.結果
修会での発表 6)の症例を含み、A-rotavirusの臨床症状に 1.病原微生物検査結果
関しては、筆者の先年の報告の結果7)を用い、A-rotavirus (1)感染性胃腸炎年月別患者数
の流行性、患者数、乳児の罹患、重複感染は今回のデー タ 外来で臨床診断をしたウイルス性胃腸炎1,497/1,802例
を使用した。 (83.1%)、細菌性胃腸炎 305/1,802例(16.9%)の 年月別の
l.検査対象 患者数を示す(図 1) 。夏季に細菌性胃腸炎が多く、冬から
1992年1月から1994年12月まで、佐久間小児科医院に胃 春季にウイルス性胃腸炎が多く、秋は両疾患とも少なく、毎
腸炎症状を訴えて来院した患者1,802例中、検体を得られ 年ほぼ同様の傾向を示した。
た1,631例である。 (2)病原微生物検出割合
2.検査材料 1,802例の症例中、検査を実施しえたのは1,631例(90.5%)、
患者から採取した糞便は氷室に保存し、可及的早急に 種々の理由で検査実施しなかった症例は171例(9.5%)で
北九州市環境科学研究所に搬入し、病原体の検索を施行 あった。原因微生物を検出した症例は635/1,631例(38.9%)、
した。下痢症状のない患者については浣腸便を使用した。 重複感染が14例あり、 分離した病原微生物は649株、うちウ
3.検査方法 イルスが558株、細菌が91株であった。原因微生物を検出
(1) ウイルス学的検査診断は北九州市環境科学研究所に できなかった症例は996/1,631例(61.1%)であった。
おいて実施した。 A-rota virusが最も多く分離され279/649株(43.0%)、次
① SRVの検索は大瀬戸町こよった。 にsmall round struc tured virus(以下SRSVと略す)
② rotavirus、adenovirusは外来においてOrion Diag 132/649株(20.3%)、adenovirus97/649株(14.9%)、 calici
ー
nostica社製ロタアデノドライを用いてスクリ ニングを実施し、 virus 25/649株(3.9%)、astrovirus 12/649株(1.8%)、C群
直接電顕法は大瀬戸町こよった。 rotavirus(以下C-rotavirusと略す)9/649株(1.4%)、reo
③ rotavirusの電気泳動法は松野叫こよった。 virus 4/649株(0.6%)の順であった。
④ reovirusの電気泳動法は池上 10) によった。 細菌はC. jejuni 45/649株(6.9%)が最も多く分離され、病
(2)細菌検査 原性大腸菌35/649株(5.4%)、 ■図2 ウイルス検出割合
Compylobacter jejuni(以下C.jejuniと略す)、Salmonel Salmonella 11/649株(1.7%) 0.7%(4棒)
adenovirusが1/5弱、 astro
2.2%(1 2株)
残りを他のウイルスが
占めた(図 2) 。
124
(4) 年月別患者数と季節性 chain reaction 法(以下 PCR法と略す)による毒素遺伝子
① SRSV 感染 132 例、ca licivirus感染25 例、astrovi rus感 の検索を行 ってお り、1993 年10 月、0157を検出した 1 例から
染 12 例(図 3-1) 。SRSVの流行には季節性があり、特に 9 月 PCR法によりVero毒素遺伝子を検出した。
にはほとんど発病がなく、年により 10 月、ある いは11 月から (5) 年齢別患者数
rotavi rusに先立って流行が始まり、12 月、1 月にそのピー ク ① SRSV 感染 132 例、cali civirus感染25 例、astrovi rus感
がみられた。夏季の 発病は年によって異なるようである。 染 12 例(図 4-1) 。SRSVは1~2歳児に最も多く、次いで6~
cali civi rus感染、astrovirus感染については例数が少ない 12か月児が多いが、 幼児期以降にも相当数の発病がみら
が SRSVの流行と ほぼ同様の経過が窺われた。 れた。calicivi rus、astro virusは例数が少ないが、やはり1歳
② A-ro t av i rus 感 染 279 例、 C-ro t av i r u s 感染 9 例 、 前後の乳児に発病のピー クがあり、幼児にも発病がみられた。
reovi rus感染4 例、adenov i rus感染 97 例(図 3-2) 。A ② A-ro t av i rus 感 染 279 例、 C-ro t av i rus 感染 9 例、
ro tavirusは冬季に流行し、インフルエンザの流行に や や遅 reo virus感染4 例(図 4-2) 。A-ro tavirusは1~2歳児に最も
れて、2 月、3 月に流行のピー クがみられた。adeno virus感染 患者 数が多く、次いで 6~12か月児が多か った。しかし、
はぼぼ年間を通じてみられた。 SRSVと異なり3、4、5歳と加齢とともに患者は減少 した。
③ C. jejuni感染45 例、Salmonella 感染 11 例、病原性大 ③ adenovirus感染97 例(図 4-3) 。adenovirus感染は症
腸菌感染 35例(図 3-3) 。C. jejuni感染が最多でほぼ年間 状により消化器系 adenovirus感染 82 例、呼吸器系 adeno
を通じてみられた。Salmonella(以下 s.と略す)感染はS. en virus感染 15 例に分けた(以下消化器系 adenovirus感染は
ter itidis 4 例、S. Thompson2 例、S. Bareilly 1 例、S. in/an tis 1 adenovi rus感染,呼吸器adenovi rus感染は呼吸器系 ade
例、S グル プ09 2 例、および型別不明 1 例であった。病原
ー novirus感染と略す)。
性大腸菌については1993 年以降は全例p olymerase adenovi rus感染は6~12か月児に最も多く、次いで1~2
歳児が多かった。幼児にも発病がみられた。呼吸器系 ade
■図3年月別患者数
(例)14
no virus感染は各年齢に 一様に発病がみられた。この観察
[図 3- l J
SRSV, Calici, Astrov1rus
期間に 同 一 症例の便と咽頭から細胞培養によって分離さ
12 132例 ■ SRSV
25例 ■ Calici れた adenovirusは4株、全例adenovirus 3型であった。
10 12例 ■ Astra
■図4 年齢別患者数
B
40
132例 ■ $RSV
■Callci
4
35 25例
12例 ■Astro
30
2
゜
25
(年月)
60
279例 ■ A-rota
50
9例 ■ C-rota ■ 図4-2 A-rota, C-rota, Reovirus
4例 ■ Reo (例)140
40 97例 ■ Adeno 279例■A-rota
120 9例■C-rota
4例■Reo
30 100
80
20
60
10
゜
(年月)
45例 ■ Campylo
8
(例)25
82例
35例 ■ 病原性大腸菌 20 15例 ■ 呼阪器系Adena
6
5
15
4
3
10
2
1
0
(年月)
■表1ウイルス性胃腸炎の症状比較
初発症状 発熱 嘔吐 下痢
I
品息
蜘 数⑤
呻°
SRSV 2 55 19 22 59 70 21 4
76 (2.6) (72.4)(25.0) (28.9) 37.7 1 .7 (77.6 ) 2.9 1 .2 (92.1) 3.5 3.7 (27.6) (5.3)
3歳まで
し4
calici
astro
adeno 戸]笠)
呼吸器系adeno 15
14
1(93."3)
0 伝揺品 39.5
(6 4.4 I csg3) 3.a
14
2.4 I (93."3) 3.3 4.1
8 6
(53.3)(40.0)
,
C-rota 0
(6e.7)(33.3)l
ぶ.4) 38.4 ,., I 話.7) 2.5 1 .3| (
8g,) 3.6 | 3.8 (2§.2) (2§.2)
*
*
A-rota * 1 12 12 16 11 5
16 (75.0) 38.4 2.3|(75.0) 4.7 2.5 | (100) 10.2| 6.4 (eaB)(31.3)
1 . 各ウイルスとも重複感染例は除外している。 2.各症状の最も特徴ある部分を太字で表した。 3. A-rotaの症状は前回の調査(文献町によった。
4. • A-rotaの初発症状は発熱、嘔吐、下痢をほとんど同時に訴えるのでこの表は空欄とした。 5最高発熱の平均とは、発熱を伴った各症例の、全経過中の最高発熱の平均である。
6最高嘔吐数の平均とは 、 嘔吐を伴った各症例の 、 全経過中の最高嘔吐数の平均である。 7 . 最高下痢数の平均とは、下痢を伴った各症例の、全経過中の最高下痢数の平均である。
8.呼吸器症状は咳、鼻汁を伴った症例である。咽頭発赤は程度の差はあるが、ほとんどの症例に認めた。
126
4. 重複感染(表3) ■表5 乳児の罹患と栄養法
SRSVとadenovi rus、 adenovi rusとA-rotavi rusの重複感 1 SRSV, calici, astro, adeno
ro tavi rusに似た症状を示した。
3 男 3 adeno 混合 2
5. 再感染
4 女 3 SASV 人工 2
同一 人の同ウイルス再感染例を示す(表4) 。No.2 .症例 A- rota と
5 女 4 adeno 母乳 l 重 複感染 *
は同ウイルスの再感染ではないが (astrovi rusとSRSV) 提
6 男 4 adeno 混合 2
示した。3例とも初回、再感染いずれもが軽症であり、両者
7 女 4 adeno 人工 1
間に症状の差を認めなかった。
6.乳児(4か月まで)の罹患と栄養法(表5) 8 女 4 ast ro 混合 2
4か月までに罹患した8例の栄養法は母乳栄養2例、混合
栄養4例、人工栄養2例であった(表5—①)。症状の程度は、 2 A-rota
t
A-ro av rus i 感染は4か月児までに9例が認められた(表 2 女 2 A-rota 人工 2
症状の程度は軽症3例、軽症と中等症の中間4例、輸液を 4 男 4 A-rota 人工 l
要した中等症が2例みられた。 5 男 4 A-rota 混合 2
6 男 4 A-rota 人工 3 軽 症→度脱水
輸 液
SRSV、calicivinls、astro曲us、norwalkvirusの分類学上、 8 女 4 A-rota l
,
母乳
1~ 女 4 A-rota 2
免疫学上の問題については中田ら 2)の総説があるが、現在、 母乳
(•1の症例No 5は2の表では除いた)
全く明確に整理されているとはいえない。cali civirusとnor
walkv rus i はウイルス学的にはcali civirus科に属するものと
考えられ、SRSVには種々の抗原型があることが分かってい SRSV、 cal icivirus、astrovinis、adenovirus感染は、いず
2~3, 1 1~12)
る 。 れもいわゆるウイルス性流行嘔吐下痢症の症状を呈するこ
とが分かったが、季節性、好発年齢、症状などに微妙な差
異が認められた。季節性、好発年齢の傾向は従来の報告
■表2 各ウイルスの症状の軽重の比較 とほぼ等しかった3-5) 。SRSVの特徴である嘔吐の顕著なこ
゜゜゜
例散 1(轄) 2(1と3の中圃) 3(中等症) 4(やや重症) 平均
とと、年齢による症状の差は岡田、手嶋 3) の指摘のとおりで
SRSV3鐵以下
------ · - ----
-
3鐵以 上
- 76
48
49(645%)
30(625%)
24(316%)
18(375%) ゜
3(39%) 14
----
14
--
あった。この乳児と年長児あるいは学童との間にみられる
callcl
astro
24
10
17(70.8%)
2(200%)
5(20.8%)
8(800%) ゜
2(8.3%)
゜゜゜
14
1B 症状の差は 、 宿主側の年齢による生態防御機構の差では
心no
岬鵬no
C-<ota
73
,
15 ゜
34(466%)
.....
4(44 4%)
. 2.5%
. ... 3.1(4 ..
5(33.3%)
4(444%)
). 8(11 '!6)
10(666%)
1(111%)
0
゜
l.6
2.7
17
なくて、電子顕微鏡による形態学的診断によってSRSVを
A-rOta 16 1 (6.2%) 3(18.8%) 4(25.0%) 8(500%) 3.2
同 一 種類 とみているためで、主として年長児の罹患する
SRSVと、年少児の罹患するSRSVは抗原的に異なるウイル
. . .
■表3 重複感染 スではないかと考えている。
. . . . . .
SRSV calici astro A-rota adeno Campy/a 病圃性大.. 分類杯能
SRSV ●●●● ca li civ i rus 、astrovi rus 、 SRSVの間の臨床症状の差は
calici cal icivi rus、astrovirusの分離例数が少なかったために、明
. . .
astro
A-rota ●●●●
確に言及することはできなかった。今後の課題だと思って
adeno ●●●● ●●●● いる。
Campy/a
重複感染
病原性大..
XI.腸管感染症 127
乳児の罹患と栄養法 謝辞:この研究についてデー タをいただき、ご助言、ご指導
4 か 月 児 ま で の S R S V 、 c al i c i v i r u s 、 a s t r o v i r u s 、 をいただきました埼玉県浦和市の手嶋力男博士、岩手県
adenovirus感染例の栄養法は、同期間中に筆者が調査し ー関市の角掛茂博士に深謝いたします。
た北九州市の栄養法(母乳栄養児50%、混合栄蓑児20%、 ご校閲を賜りました堤隆博士に深謝いたします。
人工栄養児30%)と比して、必ずしも母乳栄養児の罹患率
が低いとはいえないと考えている。また、 この栄養法別によ
る症状の差も認められなかった。 一 方、 4 か月児までのA 文献
1) 中田修二 , 千葉峻三:ウイルス性腸炎臨床消化器内科 1991;6:1078-1087
rotavirus感染の9例では人工栄挫児が多かった。9例中2
2) 中田修二:ウイルス性胃腸炎一 年長児小児科診療 1991;54:816-823
例に脱水症を認め輸液を要したが、 この脱水症を起こした2 3) 岡田正次郎:歴史的背最とSRVによる小児嘔吐下痢症 . 食品と微生物
例の栄養法は1例は人工栄養、1例は混合栄養であった。 1987;4:93-102
4) 角掛茂:散発性小児下痢症と検出ウイルスとの関連 . 関医会報 1995;365·
A-rotavirus感染に関しては乳児の感染性下痢症の発病 15-21
抑制に、母乳の果たす役割を考えさせられる結果であった。 5) 石丸啓郎:小児感染性胃腸炎一日本小児科学会雑誌 1995; 99:1391-1394
6) 佐久間孝久:感染性胃腸炎ー 特にsmall round virusの臨床像 . 東京小
SRSV感染群とA-ro tavirus感染群の栄養法による発病の
児科医会報 , 第5回日本小児科医会生涯教育セミナ ー 講演集 , 1994; 10-13
差は、ウイルスの性質に原因するものと考えられる。 7) 佐久間孝久:Rotavirus性小児急性下痢症の臨床. 日本医事新報1987;
症状の軽重の程度 3289:30-34
8) 大瀬戸光明:下痢症ウイルスの電子顕微鏡による検出. 金井興美他 , ウイル
A-ro tavi rus感染群がいちばん重症であり、呼吸器系
スクラミジアリケッチア検査 , 第3版 , 第II分冊 , 各論1, (財)日本公衆衛生協
adeno感染を除けば、 SRSV感染は一 般に治癒傾向の強い、 会東京, 1987;176-179
9) 松野重夫:ロタウイルスRNAの電気泳動金井興美他 , ウイルスクラミジア
同程度の症状の疾患群だといえる。この観察期間に、これ
リケッチア検査第3版, 第1I分冊, 各論1, (財)日本公衆衛生協会,束京,1987;172-
らの疾患による死亡例は1例もなく、重症な合併症を疑わせ 174
る症例もなかった。しかしA-rotavirus感染に関しては、無床 10) 池上信子:レオウイルス . 金井興美他 , ウイルス ・ クラミジアリケッチア検査 ,
第3版 , 第II分冊 , 各論l , (財)日本公衆衛生協会, 束京 , 1987;182-193
の当院では例年2~3例の基幹病院への入院加療を要す 11) 中込治:下痢症ウイルス:最近の進展 . 臨床とウイルス 1994; 22:26-30.
る症例がみられる。 12) 安東民衛:Small round viruses ー 最近注目されている胃腸炎ウイルス
ー . モダンメディア 1990;36:438-463
おわリに
(1) SRSV感染は乳児では嘔吐で始まることが多く、一 般に
軽症嘔吐下痢症の経過をとるが、 年長児、学童ではほ
とんど嘔吐で始まり下痢を欠く症例がある。嘔吐が目立
つ ことと、年齢の差による症状の差は SRSV感染の特
徴である。
(2) calicivirus感染は SRSV感染より少 し低年齢児に多く
みられた。症状は嘔吐がSRSV感染ほど顕著でない点
を除き、 SRSV感染にほとんど変わらず臨床的な区別は
困難であった。
(3) astrovirus感染は例数が少なく特徴を述べられないが、
症状は嘔吐が SRSV感染ほど顕著でない点を除き、
SRSV感染にほとんど変わらず臨床的な区分は困難で
あった。
(4) adenovirus感染は SRSV感染、caliciviru s感染より、さら
に低年齢児に多くみられた。adenovirus感染は SRSV
感染に比して嘔吐が少なく、下痢の症状が強くみられた。
呼吸器系adeno感染は当然のことながら発熱が著明で
あった。
(5) A-rotavirus感染はほかの疾患に比して、下痢、嘔吐、
発熱、病期すべて重症であった。C-rotavirus感染は例
数が少なく特徴をあげられないが、嘔吐がSRSV感染ほ
ど顕著でない点を除き、 SRSV感染とほとんど変わらず
症状から臨床的に区別することは困難であった。
128
(写真(通しNo.))
⑥]
アデノウイルス l~18
アストロウイルス 腸管感染症表紙(116頁)
インフルエンザ 89~100
インフルエンザ菌 135~137
咽頭後壁のリンパ濾胞腫脹群(いくら様) 7,9,10,15,24,69,91,92,94
エンテロウイルス71 50~52
ェコ ー ウイルス 19~31
ェコ ーウイルス以外の非特異的発疹 17,52,56
胃腸炎ウイルス 141,142
Epstein-Barr virus 101~104
面
川崎病 115,116
コクサッキ ー
A群 32~49
コクサッキ ー
B群 53~67
Calici』keウイルス 腸管感染症表紙(116頁)
匿]
細菌性扁桃炎 132~139
滲出性扁桃炎 1~6,11,12,27,28,82~86,96,97,100~104
Gianotti-Crosti syndrome 117
水痘 121
Small round structured virus 142
五]
多形滲出性紅斑 110~114
手足口病 31,47 ~49,51,64
伝染性紅斑 124,125
突発性発疹症 105~109
⑭
ヒトパルボウイルス19 124,125
風疹 122,123
プドウ球菌感染症 138,139
プドウ球菌性熱傷様皮府症候群 140
ヘルペスウイルス 70~88
ヘルプアンギ ー
ナ 16,32~41,43~46,50,53,54,57~63,65,66,67,72~75
ポリオウイルス 68,69
直]
マイコプラズマ 126~131
麻疹 ll8~120
丙]
溶連菌感染症 132~134
ぎ]
流行性耳下腺炎 121
ロタウイルス 141
●表彰歴• ●業績録●
平成03年11月14日 福岡県北九州市学校保健会貨
平成03年11月19日 福岡県学校保健会穴 1. 小児赤痢並ぴに諸種急性伝染病、リウマチ性疾患及び白血病
平成04年02月10日 福岡県北九州市民功労賞 における血清ム コ 蛋白、尿ドナジオ反応の病期的消長.久留米
平成10年09月188 福岡県 母子保健 家族計画賞 医学会雑誌 . 23: (12), 6648-6711,昭和35年
平成11年11月25日 厚生大臣賞(母子保健家族計画) 2. 麻疹KL接種 児 の麻疹 とくに異型麻疹例 . 小児科臨床 . 2 4 :
平成17年08月20日 日本外来小児科学会リサ チ箕
ー 3. Rota Virus性小児急性下痢症の臨床 . 日本医事新報. 3289,
30,
昭和62年(福岡県医師会長受賞)
●小児科学のご指導を頂いた故舷津教授、山下文雄教授、加藤裕久教授、武内可尚先生、
論文作成に再三ご助言、ご鞭撻を項きました堤隆、木村範孝両博士に深謝致します。
●豊 田潤 一 先生はじめ同門の諸先生方の御指導・御友情に深謝致します。
●開業診療中は、北九州市立八幡病院、北九州市立医療センタ ー、済生会八幡病院、産
業医科大学病院、新日鐵八幡記念病院、厚生年金病院、新小倉病院また近隣の諸先生
にご指導、ご援助を賜った事に改めて御礼を申し上げます。
●また開業医の大先輩、西 野泰生、角掛茂、勝島矩子、志 水哲也、柏木茂、原三千丸、鈴
江純史諸先生のご指導ご鞭撻に厚く御礼申し上げます。
● ウイルス学的検査をして項きました、北九州市環境衛生研究所のスタッフに厚く御礼申
し上げます。ウイルスの分離なくしては、この観察は成立しませんでした。杉嶋伸禄、高橋
正規、下原悦子、梨田実、仮屋園弘志、中村悦子、山本康之、森下正人、木村尚志、内尾
俊 博、高橋勉、鈴木崇子、村瀬浩太郎(諸先生)
●化血研の後藤修郎博士に御礼を申し上げます。
●デー タの整理·患者の対応に協力してくれました現在のスタッフ加藤千秋、西川都、赤星
薫島村真理子、徳永喜子、原田美紀子、喜田利恵、山下妙子(敬称略)に深謝致します。
●2003年10月、開院40周年を祝いました、私のスタッフを記します。この方々のsupp ortに
深謝致します。
尾崎慶子、一宮敏子、宿理政子、三原浩子、北山(日高)幸子、浜田恵子、坂本知颯子、山
本登美子、矢羽田明美、香川俊子、三神(岸上)真理子、多田(本田)昌子、小宮(浜崎)
豊子、船越(熊谷)多恵、西村(岩尾)芳恵、中野(花田)純子、下村登志枝、春田(山下)
静香、山西由香、加地(山道)文子、川口(有馬)幸恵、佐藤しのぶ、中村(今城)和江、北
下(松吉)薫、児玉(平田)百合、尾崎越子、片山麗子、松尾邦江、小谷喜久子、水野(飛田)
幸恵、川口(岩本)幸乃、梶原(野間口)幸子、奥薗(安田)由美、物故者竹脇美代子、黒
木(高本)伸子(敬称略)
●この本の上梓に終始励ましを賜った、吉野正之氏、中谷貴代美氏(アレフレッサファ ー マ)、
仁王直助氏(メディカル情報センター)、戸川博文氏(プラネット)に深謝致します。
巻頭にも述べたが、咽頭所見の不思議さがこの観察の出発点であった。発生学的な要因
による血管支配が この所見の基だと、私なりに解釈•納得しております。もし、この拙文をお
読みになりまして、それは違うとおっしゃられる方がお ありでしたらお教え下さい。
◎最後の最後になりましたが妻への感謝は一 日も忘れた事はありません。
筆者と共に20年…
Sakuma Takah i sa
佐久間 孝久(さくま たかひさ)
私は昭和 30 年に医師になり、久留
米大学小児科に入局した。そして、
久留米大学小児科舷津教授のご
指導を受けた。当時は赤痢·ポリオ・
リウマチ熱の全盛時代で、病棟はそ
れらの患者で溢れていた。昭和 36
年からは新日鐵八幡病院に2年間勤
務し、昭和 38 年現地に開業し現在
に至っている。医師会関係は理事と
して10年以上勤めて、貢を果たした
と思っている。
書籍名: アトラ;スさくま
小児曝頭所見ATLAS SAKUMA
発行B: 2005 年8 月 20 日 第 1 版第 1刷発行
2005 年 9月 25 日 第1版第2刷発行
2006 年5 月 27 日 第1版第 3刷発行
著 者: 佐久間孝久
発行者: 仁王直助
発行所: 株式会社メデイカル情報センター
〒 810-0062 福岡市中央区荒戸 3 丁目 2-5-1101
TEL 092-771-2800 FAX 092-711-1988
http://www.mvc—j.com info@mvc-j.com
印刷所: アロ ー 印刷株式会社 製本所: 篠原製本株式会社
発売元: 医学図書出版株式会社
代表取締役 鈴木吉見
〒 113-0033 東京都文京区本郷2-28-1 TEL 03-3811-8210
落丁本・乱T本は小社書紺制作部宛お送りください。
送料小社負担にてお取り替えいたします。
尚この本についてのお問い合わせは小社出版部宛にお願いします。
ISBN4-87151-332-7 C3047
定価はカバーに表示してあります。
●編染・デザイン・レイアウト:戸川博文
●編集協力:システムクリエ ー ト
●表紙・表紙カパー・別紙扉:lii/�iデザイン室