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佐久間孝久 `
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医療法人佐久間小児科医院理事長 ,1'. ― ュゴ→^`立逗直

メディカル情報センター
著者紹介

久留米大学小児科名誉教授

山下 文雄

著者は久留米大学小児科主任教授であった船津維一 郎
先生の愛弟子で感染症に造詣が深い。 わたくしはウイル
ス病がこのような咽頭所見を示すということを著者の見
事な写真で初めて知る ことができた。 まさに「目から鱗」
が落ちた感であった。
日常診療上、病態の同定はそう簡単な仕事ではない。
多忙な日常臨床のなかで概診をし、北九州環境衛生研究
所のスタッフ、化血研スタッフの地味かつ熱心 な協力の

もと、病原体を同定し、臨床へ確定診断をフィ ドバッ
クするという一 連の複雑な作業を反復し、見事なオリジ
ナル「臨床図譜」を作成出版された。
同じ船津先生門下の一 員として、 わたくしは著者の着
想、臨床眼、船津先生流の「臨床観 ・ 食いつき ・ 誠実さ」
に常づね敬意を持っていた。 小児の臨床に関心のある同
僚に一読をすすめる。
佐久間孝久先生讃歌

川崎市立川崎病院 前院長(小児科)

武内 可尚

俗に「医者勘」といわれるが、 これは何であろうか。 診断を下す上で、 臨床


医に必要な診断能力の事をさしていると思われる。 それには、 視診が重要であ
ることは論を待たない。 百万冊の書物を読み、 莫大 な知識を持っていても、 目
の前の患者に応用できないようでは何にもならない。視診は、 感染症の診断に
あたってもきわめて重要である。ここ でいう診断とは、 感染病原体 を想定した
病原診断のことである。急性感染症は、 小児科の診療業務の大部分を占めている。
しかし、「上気道炎」「急性胃腸炎」といった炎症部位の臓器名や器官名を付し
たままで診断をとどめていないだろうか。
「熱が高いから、 念のために抗生物質を 出しておきましょう」よく使われる言
葉ではない でしょうか。 長年にわたるこの習慣が、 多剤耐性菌 を作り出してし
まった。「かぜ」という便利なコトバ で処理される病原因子の切%はウイルスで
ある。小児の生態学、 病原体の季節的な流行パタ ー ン、 予防接種歴、 それに視
診が加われば、 かなりの感染病原体 を除外できる。 少なくとも抗生物質が必要
な感染症か否かを絞ることが出来る。
佐久間先生は、 ご自身が診察した急性感染症の病原診断をずっと心がけられ、
急性期の咽頭ぬぐい液や鼻咽頭分泌物を 採取され、 研究機関や検査機関に提出
されてきた。検体の採取にあたって、 口腔粘膜や皮膚所見を見事なカラ ー 写真
に収めてこられた。後で、 ウイルス分離や細菌培養の結果とつき合わせることで、
いろいろなバリエ ー ションにも揺るがない臨床眼を培ってこられたのである。
佐久間先生の採取した咽頭ぬぐい液から分離されたインフルエンザウイルスが、
ワクチン株に使われたことを知っている方は少ないと思われる。 それは、 A/北
九州/153/93(H3N2) である。 A 香港型インフルエンザウイルスが、 武漢タイプ
に抗原変異するまえの 3 シー ズンにわたってワクチン株に用いられた。
佐久間先生は、 視診による病原診断の貴重なノウハウ をご自分で独り占めす
るのではなく本書で公開された。急性感染症を 診る時のバイプルとなることを
疑わない。
ATLAS SAKUMA INDEX
(咽頭所見は際立った所見を持つ疾患と、 症例数の多い疾患順に提示した)

著者紹介 山下文雄 — --------------------------------------------------- 002

佐久間孝久先生讃歌 武内可尚 —-----------------------… … …--- 003


序文 ··……… ……… ……………------------------------------------------ 00
6

I.アデノウイルス 写真 1~18 -------------------.-...-----.--------.- - - - -. 009

論文
北九州市における小児科外来でみられたアデノウイルス感染症の疫学と臨床ー疫学--- ----- 020

北九州市における小児科外来でみられたアデノウイルス感染症の疫学と臨床ー臨床-------- 024

II. エ ンテロウイルス ・-----------------------------------------------… … 029

a. エコ ー
ウイルス 写真 a-1~13 … -------------… … … … ------ …… 031
b. コ クサッキーウイルスA群 写真 b-1~18 . …………………·- … . 038

C.エンテロウイルス 71 写真 c-1~3 ····……………………… … -- 048

d. コ クサッキ ー ウイルスB群 写真 d-1~15 ………·……………… 050


e. ポリオウイルス 写真 e- 1~2 ··…… … ……………………… …-· 058

論文ェコ ー 18発疹症 ····…………………………………………--- 060

皿単純ヘルペスウイルス 1 写真 1~19 …··-........... ……•••- ·· 063


論文 外来小児科におけるHerpes SimplexVirus-1感染症 … … …...…… ……- 074

w. インフルエンザウイルス 写真 1~12 ----●●●●●ー・・・・・・ ------........077

論文 Infant infl uenza …………………………………………… -- 084

V. その他(咽頭に特徴のあるその他の疾患)ー ………… … ……… 089

a. Ep stein-Barr virus 写真 a-1~4 ·………… … …………… -- 089

b. 突発性発疹症 写真 b-1~5 --· ……… -------------------------· … 092


95
V1.種々の発疹性疾患 ··… …-·………… …………… ·… …… 0

a.多形滲出性紅斑 — -------· ……·……………---------------……---095


①エコ ー ウイル ス 写真a-1~3 ………… … ·……………… …095

②ヘルペスウイルス 写真a-4 ···……---•………… …… …… 097


……… 097
③インフルエンザ 写真a-5 ·……… …-·-……………
b. 川崎病 写真b-1~2 --------……----------------------------------- 098
c. Gianotti-Crosti syndrome 写真c-1 •·…………………… ---099


vn.麻疹 ··………… ………… …………………… ………… ·-····· 100
a.麻疹 写真a-1 ---------------•--------------•------------------------- 100
b. 麻疹ワクチン接種後の麻疹 写真b-1~2 ··…-····•………… ..101

VJll.古典的疾患 ··-………………………•--.....................---•102
(ウイルスの分離が施行される以前より、臨床診断が可能であった疾患)

a. 流行性耳下腺炎 水痘 写真a-1 -------------…… ……------..102


b. 風疹 写真b-1~2 ...…………………………………… …… -103
C.伝染性紅斑 写真c-1~2 -------------------------------------------- 01 4

IX.マイコプラズマ 写真1~6 ----------------------------------------- 106

X. 細菌感染症 ----------------------------------------------------------―ー・llO

a.A群レンサ球菌 写真a-1~3 ---------------------------------------110


b. インフルエンザ菌 写真b-1~3 -------------------------------------112
C.黄色プドウ球菌 写真c-1~2 ---------------------------------------· 114

d.ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS) 写真d-1 --•-...--.....--ll5

XL 腸管感染症 ·………----------------………------------- --………116


a. ロ タウイルス 写真a-1 -------------------------------------------- 117

b. Small round structured virus 写真b- 1 ---------------- 118


論文(1)外来小児科におけるEntericAdenovirus40、 41による小児胃腸炎の臨床症状 119
論文 (2) 感染性胃腸炎 ー 特にsmall round virusesの臨床 — -------------------- 124

29
写真索弓I ---------------------------------------------------------------------- 1
表彰歴・職歴・著書・業績録 •--------------------------------------------130
終わりに ------------------------------------------------------------------------ 131
著者略歴 •--------------------------------------------------------------------- 132

Herpangina :ヘルパンギーナ及ぴヘルプアンギーナ両方の表示があります。
[序文]

外来小児科医は、 診察に際し検査・治療には自ずから制限がある。しかしその最大の魅力と利点は
新鮮な症例を病初期より経過を追って観察出来ることである。
患児の診察に際しては、 何れ の教科書にも記載のある如く、 病歴 ・ 家族歴 ・ 出産歴 ・ 既往歴•予防接
種の有無の確認の重要性は勿論であり、 現症の詳細な診察は当然 の事である。特に、 Virus 性感染症
の多い小児科に於いては咽頭の診察は重要で、 大いに診断の参考になり、 その所見は原因 Virus を示
唆しているものである。私は咽頭に特徴のある疾患につき Virus を分離し、 局所の所見を記録し、 以
下に報告する。
その過程の中で、 子どもの喉を見る度に不思議なことに気が ついた。
●それは、 所謂『かぜ』に罹患し発熱した子どもの咽頭は図示する(図l参照)ように決して 一様に
赤くないのである。図に 示すように、 軟口蓋部と咽頭扁桃部の間に画然として発赤の差があり、 その
境界は線状に見えるのである。 こ の所見は1歳前の乳児により著明であり、 成人は小児ほどはっきり
しない。何故なのか?
●先述の如く、 子ども達に『かぜ』と診断するが、 臨床の場で原因 Virusによる診断をつけられない
ものか?診断したいものである。 例として診断はコクサッキ ー A、B、 エコ ー、 インフルエンザ、 ア
デノ等、 出来ればその型までというのを目的とした。

■図l ■ 図2 口の天井 Frank H. Netterによる






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①縦走ヒダ(硬口蓋縫線) ⑤小口蓋孔

② 蓋腺 ⑥小口蓋動脈と神経
③大口蓋動脈と神経 ⑦口蓋垂筋
④大口蓋孔 ⑧口蓋扁桃
●咽頭の所見について
軟口蓋は下口蓋動脈の小下行枝による支配を受け、 咽頭部は 咽頭動脈上行枝による支配を受けてい
る。(図 2 参照) Netter の解剖図によると、 発生学的に軟口蓋は外胚葉由来、 咽頭部は内胚葉由来の
組織(図3参照)である。 成長に従い、 この両血管は吻合するとあった。 私がみた咽頭•軟口蓋の所
見は、 この発生学的解剖学的要因によるものでは な いかと考えている。
●ウイルス学的診断は非常に難しい問題であることが分かったが、 この観察により或る程度は診断が
可能であり、 予後を明確にし保護者の納得が得られたと思っている。 ただ、 Virusの種類については
かなりの診断が可能であるが、 その型については甚だ難しい問題だと実感している。

■ 図 3せ) 新生児 (36 週)口を閉じた安静呼吸時 ■ 図 3逗)新生児 (36 週)口腔と口峡


Frank H. Netterによる
(鼻中隔を除去した

部矢状断面)Frank H. Netterによる










①破線は右後鼻孔の位置を示す ①口蓋咽頭弓 ⑦軟口蓋(口蓋帆)の背後で


②右耳管咽頭口 ②口蓋扁桃 挙上した喉頭蓋の輪郭
③ 咽頭扁桃(アデノイド) ③口蓋舌弓 ⑧口蓋垂
④咽頭鼻部 ④正中舌喉頭蓋ヒダ ⑨左喉頭蓋谷
⑤ 軟口蓋(口蓋帆) ⑤舌盲孔 ⑩舌後1/3部の舌扁桃
⑥ (口峡にある)口蓋扁桃 ⑥分界溝 ⑪有郭乳頭
⑦喉頭蓋
アデノウイルス感染症報告数 (1989~2001年、佐久間小児科、北九州市環境科学研究所)
| Adeno 年 1989 199() 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 20()() 20()l total
検体数 140 209 129 346 344 1,121 1,084 490 128 174 157 229 160 4,711
Adeno 1 2 2 1 2 7 13 1 1 1 1 9 2 42
Adeno 2 1 1 2 11 21 10 2 2 2 12 3 67
Adeno 3 5 3 3 7 32 13 2 4 16 10 2 1 98
Adeno 4 1 1 2 4
咽頭より Adeno 5 2 1 8 14 4 3 1 2 2 1 38
Adeno 6 2 1 3 1 7
Adeno 7 2 3 2 2 11 20
N.T. 1 2 4 7
············································································································-··················--·······---·-··-···------·-·-------····-····---------·--·---·······
小計 10 3 3 7 12 61 69 20 10 23 17 28 20 283
11(N.T.) 1 1
血清により 型不明 (CF) 2 12 3 1 11 29
································································································································-----·--·-·-·-········--·-----------·--····--·----···-···············
,jヽ言t 2 1 12 3 1 11 30
40 I 2 9 3 8 3 25
41 I 1 2 12 7 9 2 33
40or41 I 1 18 6 25
便より 40+41 1 1 2
Ent.Ad.nottyped 4 8 1 4 3 2 22
Res. Ad.N.T. 6 11 11 10 6 8 1 3 56
·······---·-····-·---·-···--··--·····-------··---·····--·······------·····-··--·········-······----························--··············································································-·········
小計 3 17 28 44 22 19 8 9 5 6 2 163
.. 合計 476
型不明(CF)はCF抗体の有意上昇により診断した症例
N.T. : Nottypedはアデノウイルスを分離したが、型の同定ができなかった症例
Ad-11はpair血消のNTll の有意上昇により診断した(出血性膀脱炎)
検体数は咽頭よりの検体数のみである。

■表2アデノウイルス感染と咽頭所見

対象者数
1996 1997 1998 1999 2000 2001
22 10 21 19 27 21

咽頭所見 咽頭所見の型

著明な白色線状の滲出物が発赤腫脹した口蓋扁桃上にみられる例→ E(++)
白色線状の滲出物が発赤腫脹した口蓋扁桃上に僅かにみられる例→ E(+)
口蓋扁桃は発赤腫脹するが滲出物の見られない例 → E
咽頭後壁にリンパ濾胞の累々たる例 → L
口蓋扁桃全面に滲出物の覆う例 → BB
E(++),E(+),E,L,BB以外の群 → Other

アデノウイルス型
6 o1 0 0 0 0

7-2 4 100 1 2

eF
-012005
i

21.7%
23.3%
35.0%
2.5%
3.3%
14.2%

アデノウイルス感染診断数と咽頭所見数の差は写真の不備等咽頭所見の記録の不備による
アデノの咽頭所見は E型E(+) 型 E(++) 型の順に多い
アデノの咽頭所見で最も特徴のあるのはE(++) 型である
アデノウイルスの型で咽頭所見に差は無い
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D Adenovirus 2
E(++)群
口蓋扁桃は赤く腫脹し、 著明な線状に、 或いは斑点状の白色の滲出物を認める。
写真は1病日より2病日にかけての口蓋扁桃上の滲出物の変化を示す。

第1病日

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E(++)群

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I. アデノウイルス 011
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E(+)群
口蓋扁桃は赤く腫脹し、 僅かに線状の白色の滲出物を認める。 写真5に2病日より3病日にかけての口蓋扁桃の変化を示す。
写真6には結膜炎を示す。

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B Adenovirus 6
E(+)群
口蓋扁桃は赤く腫脹し、 僅かに線状の白色の滲出物を認める。
写真は2病Hより3病日にかけての口蓋扁桃の変化を示す。

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E(+)群
口蓋扁桃は赤く腫脹し、 僅かに線状の白色の滲出物を認める。
写真は結膜炎を示す。
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I. アデノウイルス 013
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E群
口蓋扁桃は赤く腫脹するが滲出物はみられない。

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口蓋扁桃は赤く腫脹するが滲出物はみられない。 Ad-7 5●6カ月 舅 検査讚日
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L群 咽頭後壁にリンパ濾胞が累々としている。前川崎市民病院院長武内可尚先 :E3西,`’:r; ;::
ご::阿釘::
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生が言われたように真に「いくら」様である。ただエコ ーの部の写真6エコ ー 7
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による例、インフルエンザの部の写真3、6インフルエンザA(HlNl)、B例にもこ 心..,;;。:三••— ••一...:


二点:芯" I '華i :if•: 9 I
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・ 言
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の咽頭後壁の所見がみられるが、アデノウイルスによるもののように顕著では無
い。インフルエンザの写真11の成人例は、このアデノウイルスの咽頭所見に類似
していたが、アデノウイルス感染は否定された。 :]:[.:『
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L群 写真9の説明を参照。 心.· ` 9 9, ::::
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I.アデノウイルス 015

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戸9,..o
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BB群
1J8
口蓋扁桃全面に滲出物が覆っている。



写真 11には2病日より3病日にかけての滲出物の発育を示す。

..


.
発熱は軽度で、 軽い咽頭痛を認めた。

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ID Adenovirus母子例
(1)
戸"·,.“
BB群
口蓋 扁 桃 全 面 に
滲出物が覆って
いる。 発 熱 は 軽
度 で、 軽い咽 頭
痛を認めた 。 写
真にも2 病 日 よ
91, サわ79ん(9)

り5病日 に か け (2)
(1)
て の滲 出 物 の 発第2病日
(2)
育を示す。 (l)

6日後第一子男が、
同型のアデノウ
イルス5型に罹
患した。

第5病日

016

ID Adenovirus 2 U`9U9 9, u
No : I

UllC ,10.s H ]0°->l PLT , 27ら


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l0コ少I
RD :4.47 1Q•/µ] MC\':79.5 L畑’
HGB : 12.4 ,/dl "£H :27.8 po
心:34.2 Lぇ 9CH :3S.3 H o/dl

E即 ?LT

Other群
写真は咽頭の軽度の発赤のみの変化である。
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m Adenovirus 2
写真は口蓋垂の両側の変化が著明である。
突発性発疹にみられる変化に類似している。

名 月
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I. アデノウイルス 017

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心:35.8 X "°り0C31.9 wdl

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写真は口蓋垂の両側の変化が著明である。突発性発疹にみられる変化に類似している。
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チェックAd(+)で診断した。咽頭後壁にピントが合っていないのが残念だが、口蓋垂の付け根の所見は、
見るべきものがある。
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Im Adenovirus ヘルプアンギ ー ナの所見

写真はヘルプアンギーナである。


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咽頭所見と腹部の発疹を示す。 発疹は2.5%に認めた。

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ID Adenovirus
咽頭所見の他に結膜、 舌の変化を示す。
舌は発赤し舌乳頭が浮き出てみえるが、
ウイルスの種類による特徴は無い。
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第3病日
_
^:―

WBC 69X 102


第5病日
便からもAdenovirus検出

I.アデノウイルス 019
■小児感染免疫16: 287-294, 2004

北九州市における小児科外来でみられた
アデノウイルス感染症の疫学と臨床 一 疫学
北九州市医師会
佐久間孝久
要旨
アデノウイルス感染症は小児科外来において日常みられ 迅速診断キットの使用によって、外来での診断がある程
る最も重要な疾患の 一
つである。1989年より2001年まで、 度可能になったとはいえ、小児科医にとってウイルス学的な
急性熱性上気道炎症状を訴えて、佐久間小児科を訪れた 診断は現在なお簡単なことではなく、AdV感染症は必ずし
患者の、咽頭より283株、糞便より163株のアデノウイルスを も十分に理解されている疾患とはいえない1 -3)
分離した。血清よりはアデノウイルス抗体の有意上昇により 著者は惑染症サ ー ベイランス検査定点として、1989年より
30例を診断した。計476例 であった。アデノウイルス患者は、 2001年まで外来患者からウイルス分離を試みて き た。そのう
全症例数(検診等を含む)の約〇 . 7%弱、急性熱性上気道 ちAdVを分離した患者について、疫学的考察を行ったので
炎症状患者の約6%を占めた (1994~1995年の調査による)。 報告する。
1994年より2001年に咽頭より3,513の検体を提出し、989 1 . 検査対象
株の各種ウイルスを分離した。アデノウイルスは248株を分 観察期間1989~2001年。主たる対象は佐久間小児科を
離した。これは全検体3,513の7.1%、分離ウイルス989の 訪れた患者の中で、臨床症状から明らかに区別 できる感染
25.1%を占め、 エ ンテロウイルス、インフル エ ンザに 次ぐ分離 症である麻疹、水痘、流行性耳下腺炎等、異型肺炎、細気
数であった。アデノウイルスは北九州市においては、ほぼ年 管支炎、クル ー プを除いた、小児科外来で最もよくみられる
間を通じて観察されたが、春から夏にかけて多くみられた。 急な発熱を伴う、急性咽頭炎患者、上気道炎患者とした。
アデノウイルス型別の分離は、1994年より2001年の咽頭より 咽頭ぬぐい液の検査、写真撮影については、保護者に
アデノウイルスを分離した症例248例、血清よりアデノウイル 感染症サ ー ベイランス事業の意義を十分に説明し、保護者
ス感染を確認し得た症例30例につき検討した。 アデノウイル の承諾を得て施行した。
スは3型が最も多く分離され、次いで2型、1型の順であった。 1994年、1995年は環境衛生研究所の感染性胃腸炎調
アデノウイルスは1歳児から 4歳児に最も多く分離された。ア 査研究の要望により、ほぼ1日あたり咽頭ぬぐい液、便をあ
デノウイルスの各型別の平均年齢は7型が最も高く6.1歳、 わせて6検体弱を提出した。1996年以降はほぼ1日1検体を
次いで3型の4.3歳であった。再感染例を1年以内に9例、1 提出した。
年以上の間隔で6例を認めた。家族内感染は19 家族22例 11.検査方法
に認めた。 検体は0.5%ゼラチンを混合したハンクス液に咽頭ぬぐい
緒言 液を混じ氷室に保存し、当日中に北九州市環境科学研究
アデノウイルス(以下、AdVと略)惑染症は小児科外来に 所に送付し、基準方法により保存した。 また抗体検査用
日常みられる最も重要な疾患の一つである。 の血清は、血清を分離後速やかに塩野義バイオメディカル





·

■表 1 アデノウイルス感染症報告数 (1989~2001 年、佐久間小児科、北九州市環境科学研究所)



検体数 140 209 129 346 344 1,121 1,084 490 128 174 157 229 160 4,711
Adeno 1 2 2 l 2 7 13 l l l l 9 2 42
Adeno 2 l l 2 11 21 10 2 2 2 12 3 67
Adeno 3 5 3 3 7 32 13 2 4 16 10 2 l 98
Adeno 4 l 2 4
咽頭より Adeno 5 2 l 8 14 4 3 l 2 2 l 38
Adeno 6 2 l 3 l 7
Adeno 7 2 3 2 2 11 20
l 2 4 7
iー
i

•••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••······•••·•··•••••••••••••·········••·••••••••

10 3 3 7 12 61 69 20 10 23 17 28 20 283
129

11(N.T.)
l

l."翌不明・(CF)
1212

33
22

11

li

血清により
.
l
30


2533
8 718
3 12l

39
92
2l

26

41
252 22

40or41
40+41
85

33

2
46i

4

Ent.Ad.nottyped

l

56
6.

02
l
l8
11

es. ..Ad.
-

R ....N.T.

. ...... .......
3

2
44
7


型不明(CF) はCF抗体のオi意上昇により診断した症例。 N.T.:Nottypedはアデノウイルスを分離したが、 型のIii!定できなかった症例。 Ad・11はpair血清のNTllの打意上
昇により診断した(出血性膀脱炎)検体数は咽頭よりの検体数のみである。

020
■表 2 咽頭よりのウイルス分離成績 (1994~1995年)
分離したウイルスの症例数に対する割合 分離したウイルスの提出検体に対する割合
•■l1 四
藍鯛徽 9, 9 3 9
四 撮出檎雌 1,121 l,関4

分月LE•ウイル'lス 欝合 兌離したウイ,440
ルス 欝合 分離したウイルス 欝合一生璽とた22とさ
Influenza 10 0.1% 112 12% Infl uenza 10 0. 9% 112 10.3%
Adenovirus 61 0.6% 69 0.7% Adenoviru s 61 5.4% 69 6.4%
Enterovirus 111 1.1% l'El 1.2% Enteroviru s 111 9.9% 1切 11.7%
Polio
He rpes Simplex V iru s I
Untyped
3
11
22
0.03%
0.1%
0.2%
4

6
゜ 0.04%
0.0%
0.1%
Polio
Herpes S implex Virus I
Untyped
3
11
22
0.3%
1.0%
2.0%
゜4

6
0.4%
0.0%
0.6%
218 2.2% 318 3.4% 218 l9.4% 318 29.3%

■表 3 咽頭よりのVirusの分離成績 (1994~2001年) ■図 l アデノウイルス月別患者数


検体緯数3,513 検体viru 989 例数 278例1994~2001年
40
ウイルス に対する に対する
分離ウイルスの欝合 分離ウイルスの鶴合 35
291
InfAd

鴎“ 芸

偶Z 塁
87 0i

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2


1

1
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i

■表 4 アデノウイルス型と年齢との関係 (1994~2001年)
年齢
0~5ヵ月


1
゜ ゜゜ 1
2 3 4 5
゜ ゜ ゜ ゜゜ ゜ ゜゜ 6 7 11 N.T. CF 症例数(%)
1( 0.36)
6~11ヵ月
1歳
2歳
10
7
6
゜゜ 2
7
6
19
14
14
2
12
10
1
3
゜゜ ゜ ゜゜
1

1
2

2
3
4
25( 9.0)
51(18.3)
51(18.3)
3歳
4歳
4
5

13
15
8
5 1
1
4
4 ゜゜ ゜゜ ゜゜ 3
3
1 1 4
7
36( 12.9)
43(15.5)

゜゜゜ ゜゜ ゜ ゜゜゜ ゜゜゜ ゜


5歳 1 12
3 1 2 4 23(8.3)
6歳
7~9歳
1
゜ ゜゜ 5
8
2
3
1 4
5
4
2
17(6.1)
18( 6.5)
10~12歳
>13 歳

1

35
゜ ゜ 63
2
3
80
l
1
4
20
2
l
35 6
I

5 29
゜ ゜ ゜ 1 l
5(1. 8)
8( 2.9)
278(1 00.0)
(%) (12.6) (22.7) (28.8) (1. 4) (12.6) (1. 8)
(7.2) (0.4) (2.2) (1 0 .4)
CF: アデノウイルスCF抗体の有意上昇により診断 、 N.T.: アデノウイルスを分離 、 しかし型の同定不能例

2 3 4 5 6 7 11 f N.T. CF 合計
35- 63 77• ……4 ......33..― ------......
5 20 1 --·- 6 ― ---- 29
··------ 273

症例数 ― ・ ・
平均年齢 言万.8 一万. 8- .....4.ぷ 2.6 6. c 2 4:2

............... --· · · · ·· · · · · · · ·· · · · · ------......----------· · ----------------· · -----


0 . 6~ 0.5~ 0.9~ 0.8~ 0.10~ 0.6~ 1.6~
···················-··························································································
• • • • • • • • • • • • • • • • • • • •

範囲最少ヵ月~!
最大年齢年月 i6.7 10.5 10.6 6.11 14.10 3 14.8
······-·······························································-·•·····················
(S.D.) 2.3 2.0 2.2 1. 4 3.1 1.1 2.7
*成人例3例を除く 、 **成人例2例を除く
平均年齢 小数点以下は6 ヵ月を0.5としている 。 (S.D.)も同様である。

ラボラトリ ー ズに送付した。保護者には体温表を手交し、体 IV. 結果


温その他の症状の記載を依頼し、治癒後に回収し診療録 1. AdVを分離またはペアー 血清により診断した症例数(表1)
と共に症状を評価した。 咽頭よりのウイルスの分離総数は 283株である。 AdVは 3
m. ウイルス検査 型が最も多く分離され、次いで 2型、1 型、 5 型の順であった。
ウイルスの分離にはAdV およびその他のウイルスの存在 7 型は1996年に2株分離され、以後 2000年までは 2~3株の
を念頭において (HEp-2 、Vero、RD-18S) 細胞に培養し、イン 分離であったが 2001年 以降急増した。
フルエンザの流行期には MDC 囮冊胞も追加使用した。陰 2. 1994~1995 年の咽頭よりのウイルス分離成績(表 2)
性材料については 24 穴のプラスティック板で
の 3 代まで同様の 特に検体検査の多かった 1994~1995年に ついて、症例
細胞で継代培養した。分離陽性の判定は細胞変性により、 数 および総検体数に対する分離ウイルスの株数と割合を
陽性材料については型特異抗血清による中和試験で型を 検討した。咽頭より分離し得た AdVは 1994年は総患者数
4, 5)
決定した 。 の0.6% 、 1995年は0.7%であった。
1994年は非常にインフルエンザの流行の少ない年であっ

I.アデノウイルス 021
■図2再感染例(15例) 3 . 各種ウイルスの咽頭よりの分離の割合(表3)
●1年以内再感染例9例 1994~2001年までの8年間に3,513検体を提出し、989株
第1回感染 のウイルスを分離同定した。表3に分離した各ウイルスの総
年齢 歳 アデノウイルス型
検体数に対する割合、総分離ウイルスに対する割合を示す。
4.5 2 3
� :ふ

4.4 1 CF エンテロウイルスが最も多く、インフルエンザ、AdVの順であっ
39 3 一—と·'l ,,'rI l
た。この8年間を通じてウイルスの分離率は28.2%であった。
4. 患者の年齢と AdV の型(表4)
2.10 2 3
2.3 3 5 患者の年齢とAdVの型については、1994年より2001年
2.1 l 2
の症例について検討した。AdVは1歳~ 4歳児に高率に分
1.11 N.T. 5 離された。
0.9 3 墨2 患者の罹患平均年齢は7型が最も高く、次いで3型、 CF
0.7 1 -5
抗体で診断した児の順であり 、5型、 1型、 2型に罹患年齢の

6 8 10月 低い傾向を示した。
2 4
1回目と2回目罹息時の間開 5 . 月別分離(季節性)(図1)
1994年から2001年までのAdV 感染症278例について月
●1年以上の間隔での再感染例 6例 別の分離頻度をみると、図 1 のようにAdV 感染はほぼ通年
第1回感染 性にみられたが 、 どちらかというと、 春から夏に多い傾向がみ
年齢 歳 アデノウイルス型
2.7 5 4 られた。
6. 再感染例(図2)

I
2.2 3 2
1994年より2001年に15例のAdVの再感染例を診断した。
1.7 3
9例は1年以内に再感染し、6例は2年より6年にかけて再感
1.4
1.0
0.8
、 2
11
・3
染した。縦軸に感染時の年齢、 AdVの型を示す。横軸に 1
回目惑染と2回目感染の間隔を示す。 1回目感染と2回目感

2 3 4 5 6年 染でAdVの型別による特異性は認められなかったが、 1年
1回目と2回目罹患時の問開 以内感染群2例に同Subgroup群の感染 (0歳児に1型→5型、
2歳児に1型→2型)がみられた。また1年以上の間隔のあっ
たためAdVはエンテロウイルスに次いで多く分離され、エ ン た群では1歳児の1例に同Subgroup群の感染 (5型→2型)
テロウイルスのほぼ半数を占めた。1995年はインフルエンザ を認めた。初回感染と2回目感染で臨床症状には差は認め
に次いで3番目であった。 られなかった。
提出検体数に対するAdVの分離数の割合は1994年、 7 .家族内感染(図3)
1995年がそれぞれ5.4%、 6.4%であった。ちなみに著者医院 1994年より2001年の 19 家族にAdVの家族内感染例を診
の全ウイルスの分離率は、1994年19.4%、1995年29.3%であ 断した。同型のAdV感染を確認したのは17家族であった(図
った。 3 中のH 家はCF抗体の有意上昇により診断したものでAdV

■図3家族内感染 19家族41例に認めた
第1患者 19例 二次感染者 22例
アデノ型 第 一患者との閻隔
No.家族名 (年鵬) 同時発病 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18日 患者数
l A 3(35.8) 3*(2.3) 2
2 B 5(6.2) 5(4. l l) 2
3 C 3(3.5) 3(5.5) 2
4 D 3(6.6) 3(5) 2
5 E 2(4) 2(5.8) 2
6 F 3(2.10) 3(8.7) 3(4.9) 3
7 G 3(2.6) 3(4.4) 2


8

10 J
H
l
CF(l.9)
7(8.9)
2(6.1)
CF(4.9)
7(4.8)
2(1.3) 2(2.1)
2
2
3
11 K 2(2.2) 2(3.7) 2
12 L 1(4.9) 1(0.6) 2
13 M 3(4.9) 3(1.5) 2
14 N
15 ゜1(2.8)
6(1. l)
16 p 7(4.11)
l (4.8)
6(1.1)
7(7.6)
2
2
2
17 Q 5(2.7) 5*(26.2) 2
18 R 1(5.7) 1(5.8) 2
19 s 3(4.7) 5(1.4) CF(3.5) 3
患誉数 2 1 a 3 ] a l ] g a 2 2 a ] Q l Q 4]
*母子感染例 数字はアデノウイルス型 、 ( )は患者の年齢を示す 例 ( 4.8)は4歳8ヵ月を表す CF-CF抗体の有意上昇により診断例

022
型は不明である。S家は別型のAdV感染である)。発端者を 結語
除いて22例の家族に感染がみられた(3人発症が3家族)。 l)AdV感染はほぼ全症例数の1.0 %以下 、 急性熱性咽頭
母子感染が2 家族にみられた。家族内感染は、約半数が 5 炎のほぼ5~7%であった。
日以内に発症し残りの半数は7日以上15日の間隔がみられた。 2)北九州市においては3型が最も多く分離され、以下2型、
型による特異性は認められなかった。 1型の順であった。
v.考寮 3)AdVは1歳児から4歳児に最も多くみられる。 3型、7 型は
小児科の感染症サ ーベイランスの定点として、調査の主 年長児に多く、1型、2 型、5型は年少児に多くみられた。
たる対象疾患はインフルエ ンザ、手足口病、ヘ ルプアンギーナ、 4)AdVはほぼ通年性にみられるが、北九州市では春から夏
無菌性髄膜炎咽頭結膜熱、感染性胃腸炎等でこれらの 期にかけて多くみられた。11月にもピー クがあった。
疾患を想定したウイルス検索を目的として検体の採取を行 5)1994~2001年の間に再感染を15例に認めた。
った。したがって対象ウイルスとしてはインフルエンザウイルス、 6)1994~2001 年の間に 19 家族で家族内感染者22人を経
エンテロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、Rota vinls、 験した。
Small round structured virus等であった(感染性胃腸炎
はこの発表からは除外した)。 (ウイルス学的検査を施行していただいた、北九州市環
以上のことから、今回の主たる検査対象患者は小児科 境科学研究所のスタッフに深謝致します。)
外来で最もよくみられる急な発熱を伴う急性熱性疾患、上 (御指導、御校閲をいただいた堤隆博士に深謝致します。)
気道炎患者等が主体となった。
特に 1994年および1995 年は、他の年に比べ非常に多数
の検体を採取検査したので、この両年の各種ウイルスの分 文献
1) J ames DC:Adenoviruses; an over-view. /n:Textbook of Ped i atric
離成績から得られたAdVの占める割合は、これらの対象疾
I nfec tious D iseases 4 th ed. vo l. 2. (ed b y Ralph D, et al), W. B
患の中でAdV感染症が占める割合を窺わせるものと考える。 Saunders Comp an y, Ph il adelph i a,1998, 1666-1684
小児科外来におけるAdV感染は、インフル エ ンザ、 エ ンテ 2) Kenneth M : Adenoviruses ; an over- view. In: Nelson Textbook of
Pediatrics 15th edition (ed by Waldo EN), W. B.Saunders Comp any,
ロウイルスとともに最も普通にみられる急性感染症の 一 つ Philadelph ia,1996, 906-908
である。表2、表3の結果からも全症例の0.6~0. 7%、全検体(急 3) Eli Gold : Adenoviruses ; an overview. In: Prac tice of Pediatri cs
(rev ised Ed ition) (ed b y Vincen t CK), Harper & Row, Pub lisher ,
性熱性疾患、上気道炎症状)の5~7%がAdV感染といえる
Ph iladelph ia,1987, 4 (2) 1-10
のではないかと考えられる。この割合は大体諸家の報告に 4)浜田忠弥:Adenovirus科ウイルス学第4版 、 第1刷(植竹久雄編) 、 理工
等しいものである7~1 1)。サーベイランス対象疾患ではインフル 学社 、 東京 、 1992. 318-328
5) 中園直樹:アデノウイルス 、 ウイルス ・ クラミジア ・ リケッチア検査 、 第3版 、 第1I
エ ンザ、 エ ンテロウイルスに次<乃ミ患であるといえる。
分冊(金井興美編) 、 日本公衆衛生協会 、 東京 、 1987. 68-80
分離したAdV型別の割合は、諸家の報告のように 3型が 6)佐久間孝久 、 他:外来小児科におけるEnteric Adenoviru s40,41による小
児胃腸炎の臨床症状 、 外来小児科2: 191-202. 1999
最も多く分離され、次いで2 型、 1型が多かった 1~10)。 7 型は
7)国立感染症研究所 、 厚生省保険医療局 、 結核感染症課: アデノウイルス 、
著者の外来では1996 年に初めて分離され 、 以後横這い傾 1995-1999.病原微生物検出情報2 1: 24-25. 2000
向であったが2001 年に増加し始めた。しかし幸いに肺炎な 8)西野泰生:咽頭結膜熱(プール熱)ーアデノウイルス感染症、 小児内科34
(増刊号):1098-1102. 2002
どの重症は1例も経験しなかった。 9)原三千丸 、 他:アデノウイルスによる小児の呼吸器感染症108例の臨床的
AdV感染の年齢分布は従来の報告に等しく 1歳から4歳 検討 、 日児誌100 : 1603-1609. 1996
10)武内可尚:アデノウイルス感染症、 開業医の外来小児科学第4版(豊原
児に多く、型別では3型、7型が年長児に多く、1型、2型、5型
7
清臣 、 他編) 、 南山堂 、 東京 、 2002. 299-306
は年少児に多くみられた ~9)。 11) Mich iko S, et al: Longitudin al inves tig ation of epidemiologic feature
季節性はほぼ年間を通じてみられるが、北九州市におい of adeno如s infections in acute respiratory illnesses among children in
Yamagata, J apan. Tohoku J Exp Med 175: 185-193,1995
ては春から夏期にかけて感染が多いようであった 7~9)。11 月
にも症例数が多いが理由は不明であった。
再感染例が15例に認められた。初回の感染と2 回目の感
染の間にAdVの型別による特異性や、臨床症状の軽重な
ども認めなかった。患者の年齢、性別にも特徴はなかった8, )。 9

家族内感染が19家族22人にみられた。同日感染の2例と
1 日間隔で発病した 1例は、第三者よりの感染と思われる。
図3中のS家は第 1例と第2例のAdVの型が異なり地域社会
でのAdVの浸潤を窺わせた。ちなみにこの家族の発病は
1995年 5 月~ 6 月であった。これらの5例を除く他の17例 (CF
抗体検査によるH家を含む)は家族内の二次感染と考えら
れる。発病間隔の長い症例のあることは、特に便等に長く
1 10
AdVが排出されることが関連していると推測される , )。

I.アデノウイルス 023
■小児感染免疫I6: 295-305, 2004

北九州市における小児科外来でみられた
アデノウイルス惑染症の疫学と臨床 一 臨床
北九州市医師会
佐久間孝久
要旨 緒言
臨床症状は1994 年から2001 年に咽頭よりアデノウイルス 臨床症状は1994年より2001 年間に咽頭よりAdVを分離
を分離した248例、血清の抗体反応によりアデノウイルス惑 した症例248例、血清学的に AdV感染を診断した症例 30例
染を確認した30例、計 278 例について検討した。高く持続 の計 278例について検討した。
する発熱がアデノウイルス感染の特徴である。最高発熱の I.対象 ・ 方法
平均は39.57 士 0.57C(S.D.) 、有熱期間の平均は4.1 土1.4 日 第1部で報告した。
(S.D.) であった。最高発熱も有熱期間もアデノウイルス型と II. 臨床症状
は相関はみられなかった。非常な軽症例も数例みられた。 1.発熱
アデノウイルス感染の咽頭所見は独特であった。著者は6 1994~2001年の278例について検討した。
群に分けて検討した。線状の滲出物が発赤腫脹した口蓋 (1)発熱ー最高体温(図1)
扁桃上に認められる群は特に特異的で診断の参考になった。 ほとんどの例で最高体温は 39℃以上の高熱を示した。
咽頭後壁の累々た るリンパ濾胞群、口蓋扁桃上の全面に 最高体温の平均値は 39.57 土0.57℃(S.D.) であった。高熱
白苔の覆う群も特徴があった。これらの群の合計は約半数 はAdV感染の独特な症状の 一つである。
に達し大変診断に有用であった。呼吸器症状は80.9%に認 (2) AdV 型と最高体温との関係(図 2)
められた。重症の咳嗽が 31 例に認められたが、幸いに著者 最高体温の平均値は7型、 3型の Subgroup B-1群が 1型、
医院では重症の合併症はなかった。消化器症状は41. 7%に 2型、5型、 6型の Subgrou p C群より高かったが各型の間に
認められた。病中期の軽症の下痢は特徴があり診断の 参 有意差を認められなかった。 CF抗体で診断した群は、B-1
考になった。結膜炎は14.0%にみられたが、 3型のみについ 群とC群の中間値を示した
ていえば26.2%に認められた。他に発疹を数例認めた。検 (3)有熱期間(図3)
査成績(血液検査)は 一 定性がなく、ウイルス性疾患を示唆 ほとんどの例が長期間 の発熱を示し、平均 有熱期間は
するが、アデノウイルス感染を直接に診断する所見はなかっ 4.1 土1.4 日 (S.D.) であった。長い有熱期間はAdV感染の独
た。しかしEpste in-Barr vi rus感染、川崎病、細菌感染症、 特な症状の 一つである。
白血病等とは鑑別する必要があった。アデノウイルス感 染
は小児科外来で、決して軽症疾患ではないが、加療可能な
■図3有熱期間
疾患であるといえる。 例数 278例 1994~2001年
■図1最高体温の分布 80
例数 278例 1994~2001年
706050403020 100

100
90
80
70
60
50
40
30
20 l 2 3 4 5 6 >7
平均有熱期間土 (S.D.) 4.1土 1.4日
10

く37.9 38~38.4 38.5~38.9 39~39.4 39.5~39.9 >40体温℃


■図4アデノウイルス型と有熱期間との関係
0.7% 2.2% 9.7% 22.7% 33.8% 30.9% 日 平均値+ S.D. 278例 1994~2001年
最高体温の分布土(S.D.) 39.57土0.5TC
7
■図2アデノウイルス型と最高体温との関係
6
℃ 平均値+S.D. 278例 1994~2001年
40.5 5

4
40
3
39.5
2
39

38.5
l 2 3 4 5 6 7 11 CF アデノウイルス型 1 2 3 4 5 6 7 11 CF アデノウイルス型
35 63 80 4 35 5 20 l 35 例 35 63 80 4 35 5 20 1 35 例
CF :アデノウイルスの CF抗体の有意上昇により診断した例 CF :アデノウイルスのCF抗体の有意上昇により診断した例

024
■図5非常な軽症例(1994~2001年) (2) 18以内の有熱期間
1)最高発熱が38℃以下の例 2)有熱期間が1日以内の例 4例が1日で解熱した。その4例のうち2例は前項の2例と
4例 4例
同例である。図 5 中矢印で示す。上記軽症例の6例中 1 例

/〖
Ad-3 Ad-5
のみ3型で、残りはすべてSubgroup C群であった。1型2例、
℃ 女 ℃

35歳 33歳 男

·
38.S- 38·5•

上�ー
2型2例、5型1例であった。

38
38•

37

5
3. AdV感染と咽頭所見(表1)
37.S

へ /

,

2
a

1996年より 2001年の症例148例中写真撮影に成功した
3 a

Ad-5 Ad-2 120例について検討した。AdV惑染にみられる独特な咽頭


·

℃ 5


33歳 5ヵ 女
38,5•

� 所見を表のようにE(++)、E(+)、E、L、BB、他の6群に分
38

38•.
8

類し、その代表例を写真—1 E(++)、写真—2E(+)、写真—
\ ,

,
1 A5

3
2 2月

2 £盲
a

a
3 (E)、写真—4 (L)、写真—5 (BB) 、写真—6 (Other)に例


麿
`

示する。E(++)群が最もAdV感染に特徴的であった。しか
dヵ

A

[Tl-



女 し最も多いのはE群で、次はE(+)群であった。AdVの型と
985·

咽頭所見の間に相関関係は認められなかった。
↓ ,'

鑑別診廟
,
,

-
3
2

f

AdV感染症の特徴的咽頭所見はE(++)、E(+)、BB群
Ad-1
ー ,
1
2
B


蕊5•
9ヵ 男 のように白色の滲出物を伴う口蓋扁桃の発赤腫脹であると
考えられるので、下記疾患との鑑別が必要である。
d3
A
ー歳
℃ 5 39 5
39


勺:
� (1)溶連菌感染症(写真— 7)
月 溶連薗惑染症は軟口蓋の所見がAdV惑染とは非常に
B
39
39

異なり、軟口蓋の燃えるような発赤はAdV感染には みられ
8

ない。咽頭痛も溶連菌感染症に著明である。抗生剤も溶連

1
2

菌感染症には極めて有効であるが、AdV感染には無効で

(4 ) AdV型と有熱期間との関係(図4) 発熱が持続する。発疹もAdV感染にはまれで軽症である。
有熱期間の平均値は7型、3型のSubgroup B-1群が (2) ぶどう球菌感染症(写真— 8)
Subgroup C群より有熱期間が長い傾向を示したが、AdV ぶどう球菌による咽頭炎があるのか、ないのかは議論の
型別と有熱期間との間には有意差を認められなかった。 あるところである。教科書にも両論がある 1, ) 。写真-8のような
2

2.軽症型(図 5) 扁桃上の白苔を観察し、咽頭から純培養のようにぶどう球
AdV感染は持続する高熱と有熱期間の長いことが特徴 菌が分離されるときは診断に苦しむ。しかしAdV惑染とは 一
であるが、非常に軽症な例も少数例であるが認められた。 見して鑑別できる。
(1) 38℃以下の発熱例
■図6呼吸器症状 278例1994~2001年
4例は最高発熱が38℃以下であった。そのうち2例は35 例数

歳と33歳の成人で、他の2例は5ヵ月と9ヵ月の児であった。
180

150 146

■表lアデノウイルス感染と咽頭所見 120
年例

2000 2001 計 90

27 21 120

咽頭所見 咽頭所見の型


著明な白色線状の滲出物が発赤腫脹した口蓋扁桃上にみられる例
白色線状の滲出物が発赤腫脹した口歪扁桃上にわずかにみられる例
E(++)
鼻汁咽頭痛頭痛
口蓋扁桃は発赤腫脹するが滲出物のみられない例
E(+) 咳 喘鳴 痰

咽頭後壁にリンバ濾胞の累々たる例
E

口蓋扁桃全面に滲出物の覆う例
L
■図7消化器症状
E(++) 、 E(+)、E 、 L、 BB 以外の群 下痢 93例
BB

消化器症状
Other

3
0

病中期(3病日以降)
n-

I咽頭所見の型 1 ·!�冒ご息息!
よりの下痢58例
60

2 3ア: 心 ’’■
ノウイ ス型
ol oooo f

26(21.7)
250 50 194%

28(23.3) 200 40 病初期よりの


下痢35例

42(35.0)
162
65%
150

3(2.5)
30

906%

4(3.3)
100 23 20
25

17(14.2) .4%

50 10 20
68


アデノウイルス感染診断数と咽頭所見数の差は写真の不備等咽頭所見の記録の不備による 。
It器症状は278例中
116例41.7%にみられた。

アデノの咽頭所見はE型、 E(+)型 、 E(++)型の順に多い 。 I● 轄症


I● 消化器症状なし 1621278 58.3% 下痢回/日 持続

アデノの咽頭所見で最も特徴のあるのはE(++)型である 。 日
I● ●吐 23/278 8.3% 2
回以下 2日以下

アデノウイルスの型で咽頭所見に差ははない 。
I ● 曝吐・下痢 25/278 9.0% I ●中尋荏3~4回 3~4

I●下痢 68/278 24.5% I ●重霞 5回以上 5 日以上

I.アデノウイルス 025
口 Ad-1 6.7Y. M. l9 Ad-7 3.3Y. M.

国10.2Y.F. 四 l.4Y.M.
鱈E(++)-Type 国溶連菌感染症
曰E(+)-Type 口ぶどう球菌感染症
国E-Type 口 Epstein-Barr virus
El L-Type 四コクサッキ ーAlO
国BB-Type 国コクサッキ ー 83
口Other-Type 国エコー 13
国l.9Y.M. 国
9Y. F. 激しい咳を認めた。しかし著者の外来では肺炎等の重症
( 3) Epstein-Barr virus感染(写真—9) な合併症は経験しなかった。鼻汁は146/278例(52.5%)、喘
AdVのE(++)型の咽頭所見と類似しているが、頚部の 鳴、喀痰も数例に認めた。咽頭痛は56/278例(20.1%)、頭
リンパ節の腫脹、疼痛、全身症状がすべてAdV感染より重 痛は 34/278例(12.2%)で、咽頭痛や頭痛という自覚的な訴
篤感を受ける。血清の検査所見も参考にすべきである。 えは対象年齢の低さからインフルエンザ等に比して少ない
( 4)コクサッキ ー A群感染(写真—10) ようであった。
AdV感染に比べ全身症状、咽頭所見も軽症である。写 5.消化器症状(図7)
真のようにヘルプアンギ ー ナの所見がみらる時、鑑別は容 消化器症状は116/278例(41.7%)にみられた。嘔吐のみ
易である。 の症例は2 3/278例(8. 3%)、下痢のみの症例は68/278例
(5)コクサッキ ー B群感染(写真—11) (24.5%)、嘔吐下痢の症例は25/278例(9.0%)であった。
コクサッキー B群感染は 一般に写真のように発赤、腫脹を 下痢は9 3例に認められ全患者の3 3.5%であるが非常に
示す例が多いが、発熱が軽症で鑑別可能なことが多い。 特徴があった。35例は 病初期より下痢があり、一部に重症
(6)エコー 感染(写真—12) の下痢も含まれるが大部分は軽症の下痢であった。58例は
ェコ ー感染も 一 般に写真のように発赤、腫脹を示す例が 病日中期以降に軽症 の下痢を認めた。病日中期に保護者
多いが、発熱の軽症により鑑別可能なことが多い。エ コ ー によく問診すると、便がわずかに軟便になっているとの訴え
特有の発疹があれば鑑別は容易である。 が聞かれるものである。著者はこの時 期の便よりAdVを分
4.呼吸器症状(図6) 離し診断を確定した例もあった。
呼吸器症状は225/278例(80.9%)にみられた。まった<呼 AdVの型と下痢の重症度および下痢と年齢との間には
吸器症状がなく発熱のみの例は5 3/278(19.1%)であった。 特に相関関係を認めなかった。しかし重症下痢の6例中3
咳嗽は169/278例(60.8%)にみられ、うち31/169例(18. 3%) 例は6~10ヵ月の乳児であった。

026
6. 他の症状 なった。この軽症の下痢よりAdVを検出し、診断したこともあ
結膜炎は39/278 例(14.0%)に認められた。3型のみにつ った(疫学編表1のRes.Ad. N.T.がそれである)。他に軽症
いては 21/80例(2 6.3%)に結膜炎を認めた。発疹は7 /278 の腹痛を除いて著者の外来では腸間膜リンパ節炎、腸重積、
例(2.5%)に認めたが回復 期にみられ、突発性発疹に類似し 虫垂炎等の合併は1例も認められなかった。病初期からの
ていた。発疹例は全例乳幼児で6ヵ月から1歳 6ヵ月児にみら 下痢は薬剤投与前からの下痢であり、病中期の特徴ある下
れた。中耳炎、筋肉痛も数例に認めた。 痢は本文にも述べたごとく非常に軽症で、薬剤の中止の必
7.検査成績 要もなく特別な加療も要せず治癒した。AdV40 /41による下
検査成績は 一
般に検査値に 一
定性がなく、分散し、ウイ 痢の症状はもっと重症である。しかし発熱が呼吸器系AdV
ルス性疾患を窺わせはするが、直ちに診断に結びつく所見 に比し軽症であり、この 2 群は発熱で鑑別できた 1 , , )。 4 6

は 得られなかった。 結膜炎は3型で他の型よりも多くみられた 1~6, ) 8

(1) C-反応性蛋白 検査成績は、直接AdV診断に結びつくものはなかった。


91 例 に 検 査 した。 C 反応性蛋白の平 均値は 3.9 土 しかしEp s tein-Barr virus 感染、川崎病、細菌感染症、白血
2.3 m g /dl( S.D. ) で 、 中に は 非常に 高 値 を 示 す 例と 病等の鑑別には検査が必要であった。

<().5mg/dlの例があり、臨床症状とは必ずしも一致しなかった。 次性のAdV感染に臨床の場では二次性の細菌感染
(2) 赤血球沈降速度 合併の有無が判別不可能であるので、抗生剤はほとんどの
73例に検査した。赤血球沈降速度の平均値はわずかに 例に使用した。しかし有効例はないようであった。数例には
充進し 24.6土ll.7mm/h(S.D.)であった。 食欲不振、水分の摂取不十分で輸液を施行した。著者の
(3) 白血球数 診療した範囲では幸いに重症な肺炎、その他の合併症は1
92 例に検査した。白血球数の平均値は 98 . 6 土 39.lX 例も経験しなかった。ただ3型、7型については重症例の報
lOO(S.D.)であった。 告が多いことを十分に認識しておくべきである。
(4) 白血球像 結語
92 例に検査した。白血球像は軽い好中球増加を示す例 1)高く持続する発熱がAdV惑染の特徴である。
が多く、また異型リンパ球が39/92 例(42 .4%)に 認められ、百 2 )呼吸器症状は80.9%にみられたが肺炎等の重篤な合併
分比で1. 4 士1.2%を示した。単核球もわずかに増加しており、 症はみられなかった。
91例の平均で百分比は7.9土 2.3%であった。 3)消化器症状は 4 1.7%にみられた。病中期に約 20 %にみら
(5) GOT 、 GPT 、 LDH値 れる軽症の下痢はAdV感染に特徴的であった。
GOT、 GPT値は 2 例を除きすべて正常値であった。この 2 4) 咽頭所 見は特異的であり、約半数は咽頭所見により診
例とも 2~3週で正常値に復した。 LDH値はわずかに上昇 断が可能であった。
する例が多かった。 5) 検査所見(血液検査)は直接には診断に結びつかないが、
璽 . 考察 EB ウイルス感染、川崎病、白血病等の重症疾患との鑑
高く持続する発熱はAdV感染の特徴の一 つである。最高 別には必要であった。
体温 の平均、有熱期間は既存の報告にほぼ等しかった 1~4, ~ 8
6)AdV 感染は高熱が持続する重 症な感染症の一 つである
1 )
0
。AdVの型と発熱症状の間には相関は認められなかった が、ほとんどの例が外来で治療可能な疾患であるといえる。
が、最高体温と有熱 期間の平均値は7型がもっとも高値を示 (ウイルス学的検査を施行していただいた、北九州市環境
1,8,9)
した 。 科学研究所のスタッフに深謝致します。)
非常に軽症な症例が数例あったが、成人の軽症は過去 (御校閲、御指導を賜りました堤隆博士に深謝致します。)
1
の感染による抗体の存在を示唆し \乳児の軽症は母親由 文献
1) James DC : Adenoviruses ; an overview. In : Textbook of Pediatric Infec­
来 の胎盤経由の抗体のためだと考えられている 1)。 6例の軽 tious Diseases 4th edition vol.2 (ed by Ralph OF, et al), W. B. Saunders
症例のうち 5例は Subgroup C群であった。 Company, Philadelphia,1998,1666-1684
2) Ke皿ethM :Adeno如ses ; an overview. In : Nelson Textbook of Pedia—
AdV感染の咽頭所見は独特の所見であり、特にE(+ +) tries 15th edition (ed by WaldoEN), W. B. Saunders Company, Philadel­
phia,1996, 906-908
型の所見はこれだけで診断の碁になり得た。E(+)型、L型、
3)EliGold : Adenoviruses ; an overview. In : Practice of Pediatrics 15th(re­
BB型も有意に診断の参考になった。E(++)、E(+)、L、 visedEdition), (ed by Vincent CK), Harper & Row, Publisher, Philadel­
phia, 1987, 4(2):1-10
BB型を合計すると約半数を占めるため、他の発熱所見等 4)佐久間孝久,他:外来小児科におけるEnteric Adenovirus 40, 41による小児
を考慮すれば臨床の場で過半数は診断が可能であった。 胃腸炎の臨床症状.外来小児科2 : 191-202, 1999
5)浜田忠弥:Adenovirusf>f.ウイルス学,第4版第1刷(植竹久雄編),理工学社,
特に咽頭所見に注意すべきであると考える。 東京,1992, 318-328
6)中園直樹: アデノウイルス.ウイルス ・ クラミジア ・ リケッチア検査,第3版,第II分
AdVは呼吸器上皮粘膜と同時に消化管上皮の粘膜中 冊(金井興美編),日本公衆衛生協会,東京:1987, 68-80
1 10
でも増殖するといわれている , )。 7)国立感染症研究所 , 厚生省保険医療局 , 結核感染症課:アデノウイルス ,
1995-1999. 病原微生物検出情報21: 2,j..25, 2000
著者の観察した下痢の頻度は過去の報告 89
, ) より高く、ま 8) 西野泰生:咽頭結膜熱(プール熱)ーアデノウイルス感染症. 小児内科34
(増刊号): 1098-1102, 2002
た病中期に観察した軽症下痢は教科書や過去の報告には 9)原三千丸 , 他:アデノウイルスによる小児の呼吸器感染症108例の臨床的検
みられなかった。この軽症の下痢の出現頻度は2偉であるが、 討日児誌100: 1603-1609, 1996
10)武内可尚:アデノウイルス感染症. 開業医の外来小児科学,第4版(豊原
他の呼吸器感染症にはみられない症状で、診断の参考に 清臣, 他編), 南山堂,東京, 2002, 299-306

I. アデノウイルス 027
virus,Year 1 988 1989 1 990 1 991 1992 1993 : 1994 1 995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
No. of sam les 66 1心209 129 346 344 :f121 1084 490 128 174 157 229 160 213 186 217

5393
total

CoxA 1
2
3
4 1
8

2
3 2

11

14

18
5 5 1 6
6
7
8 2
5 2

2

7


10
5
2
, 2
1
4 , 17
17
16

CoxB 1
、---
亡 5
8

11
12
19
1
2
1
8 6 6 5 4 12
6
5
20
2
゜ 18
99
17
2 2 5 17 5 3 l 33
3
4
1
2 l:
17
15
4
4
, l
4
1
16
14
l
47
44
5 l 2 2 4 11
6

ECH0 3
゜ 5 ゜ 2
15
_,: 50 4
l
2 11 11 5
5

17 18 10 4
2
154
6
6 2 3 8 13
7 79 5 86
,11 7
14 2 43
3
1
4
4 2
7
67
22
13 7 7
14 l
17 4 5
18 7 3 10
22 1 3
25 24 2 28
30
7 , ゜
_]. 17 6 46 106 2 2
8
13 7 12 7
10
17 13
18
266

Entero 71 6 2 8
I 7 2 4 4 7 6 35
N.T.-Not typed 5

エンテロウイルスの年別分離の割合 エンテロウイルスの年度別分離数
1994-2004年 例数 1996-2004年
25 7

20

1 994 1995 1996 1997 1998 1 999 2000 200 1 2002 2003 2004年 1 996 1997 l 998 1999 2000 2001 2002 2003 2004年
490 128 174 157 229 160 213 186 217 検体数


Echovlrus
Coxseckievlrus A
Co:'ecklevirus B
曰Echovirus 7
ェコ ー 7による典型的頬部の発疹例である。
この2例は全身の発疹の写真は無いが
次の3、 4、5の全身の写真を参考にしていただきたい。

-qi; I�紅
l: に□6 ) □屯ぷ,71;
B
日昌
巳入鴨
●:; 999:
?イオ/ん /,5 ヽ
9 ,鼻
6 外91ユ,, 71�1l'711918
·c
. ,ー
·`
,oo ,.,•バ

39 5·
390
38 5
,.
380·
375
370
36 5 ’`
36.0
35. 5

II. エ ンテロウイルス 031


塁g Echovirus 9 . 丑庫涵

..
"" ・ ュ99

8 1り '91 •Ol .“オヽヽ,.


�l

“C.

ェコ ー 9による典型的頬部の発疹例である。
この 2 例は全身の発疹の写真は無いが
真• ー・
次の3、 4、5の全身の写真を参考にしていただきたい。

哉 �

’‘II

2-1 2-2


塁Echovirus 18
ェコ ー 18による典型的全身の発疹像である。
頬部、 腹部を好発部位とする両側性の点状の紅斑が特徴である。 Echovirus 18 中和抗体
63.8.6 64X
63.9.6 1,024


1hI I ぷ
忌口]
月/
品l
砂 /7i /?I /9| //d 4/
戸←
ふ—
担 5 「甘::I9 11,'|�
担吐'---'
5•

]:芦ニコニに二二仁ニ

知.0ー


酬着
恰1紅秀1 1“月町“I 43[,

032
曰Echovirus 18 H I9 3刃g

ェコ ー 18による典型的な発疹像である。 腹部と頬部の紅斑を示す。

腹部

rlJ Echovirus 30
ェコ ー 30による発疹像である。
腹部と頬部の紅斑を示す。
ェコ ー 18の発疹よりやや粗である。
咽頭所見はやや発赤と
軽度の腫脹をみるのみである。

腹部

II. エンテロウイルス 033



日Echovirus 7

ェコ ー 7感染による典型的咽頭所見を示す。 般にエコ ー 感染では例示するように咽頭所見は軽い発赤と腫脹のみである。
この症例は咽頭後壁には腫脹したリンバ濾胞を認めるが、 アデノウイルス感染のそれ程、 顕著ではない。

r
畠ょ
HIb→心

6
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曰Echovirus 7
ェコ ー 7感染による典型的咽頭所見を示す。 この症例はアデノウイルスの症例の15と同 一例である。
口蓋垂の根部の変化に注意してみて下さい。

034
曰D Echovirus 9
ェコ ー 9感染による典型的咽頭所見を示す。

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曰Echovirus 11
ェコ ー 11感染による滲出性扁桃炎の咽頭所見を示す。
ェコ ー感染にみられる二峰性発熱を示した。


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II. エンテロウイルス 035



日D Echovirus 11 検査月日
2001.8.1l
Echal 1 (HI) Cax84(CF) HSVl(ND
<4 <4 N.D.
検査項目

2001.8.31 128 8 <4


Adeno(CF)
N.D.
2001.8.11 <4

ェコ ー 11感染による滲出性扁桃炎の咽頭所見を示す。 WBC 8600 Lympho50% Atypical-L 1%


RSC 451xl0 4 Stab 2% Seg 28%
HGB 12.4g/dl Mono 1 3% Eosin 5% Basa 1%
且つ口蓋扁桃上には魔爛像を認める。 HSVI感染、 アデノウイルス感染、 CRP 2.Smg/dl
コクサッキーB群4感染を疑ったが何れも否定された。
(この年はエコ ー は11型、 コクサッキ ー B群は4型の流行が分かっていた)


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ml Echovirus 30
エコ ー 30感染による軟口蓋の変化を示す。
岩手県の小川博士は同様な所見を小児科医会雑誌に多数報告されているが、 私の経験はこの1例のみである。

HIO沖,7,?
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塁者名:uL,n ;,9</'. ジ;;っ 佐久閤;..


036
匹い�chovirus 30
ェコ ー 30感染によるヘルプアンギ ー ナ像である。
コクサッキ ー A群、 コクサッキ ー B群によるものほど顕著ではない。

H(サーコ(7ユ
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雹 名:
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員名さ: n9. /f、(9生 5キ?汁


匹E Echovirus 11 ェコ ー 11感染による手足口病である。
ェコ ー感染でも希にヘルプアンギ ー ナ、 手足口病像を示す。

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II.エンテロウイルス 037
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038

日Coxsackievirtts A2 :.:I
HI9沼乃

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1病日より4病Hにかけて咽頭所見の変化を示す。

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しかし発熱は軽度であった。

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第1病日 第4病日


悶D Coxsackievirus A2


月/e l.>.n-1 /• I ✓; ! /

1病8より4病8にかけて咽頭所見の変化を示す。
しかし発熱は軽度であった。

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i :• e :.

第1病日 第2病日

II.エンテロウイルス 039
悶Coxsackievirus A4
写真b-2と同一症例である。2病Hより3病8にかけて
咽頭所見の変化を示す。 しかし発熱は軽度であった。

第2病日 第3病日

四Coxsackievirus A4
伍三デ訊;

咽頭所見と上口唇の口内疹を示す。

040
四Coxsackievirus A4
咽頭所見を示す。

巫 小一
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四D Coxsackievirus A4
2病日より3病Hにかけて咽頭所見の変化を示す。

第2病 日 第3病日

II. エンテロウイルス 041


四Coxsackievirus A5


咽頭所見を示す。 ヘルプアンギ ーナである。

Oil Coxsackievirus A6 二 雲
咽頭所見を示す。 ヘルプアンギーナが著明で咽頭後壁にはリンパ濾胞がみえる。
コクサッキ ー A6による発熱は軽度で、 12月17日の発熱は別の疾患と考えている。
12月17日の咽頭所見は軽度の発赤腫脹のみであった。 12月17日からの発熱は
別の vi rus によるものと考えている。
IVB

へ延生 会 )

042
OE Coxsackievirus A6 HI7-II3

号下ー .'且鱈
咽頭所見を示す。 ヘ ルプアンギ ー ナが著明で、 舌に口内炎を伴っている。

•”
匹! Coxsackievirus A6 -9オ

昂=二序ふ
2病日より3病日にかけて咽頭所見の変化を示す。
著明な ヘ ルプアンギ ー ナであるが、 発熱は非常に軽度であった。

第2病日 第3病日

II. エ ンテロウイルス 043


匹D Coxsackievirus A9
咽頭所見も軽度であったが、 発熱も非常に軽度であった。

匹I Coxsackievirus AIO
咽頭部の口内疹の一個一個が
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CoxA群の2型、 4型に比して口蓋扁桃部に限局してみえる。

11,,- コ7g

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044
匹E Coxsackievirus AIO
写真b-12と同様な所見である。

況 が叶 日 にが か立 B立受 認
3
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3

匹rJ Coxsackievirus AIO


独特な咽頭所見であったので例示する。症状は軽症である。

こ立二→
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戸□\言□□:: I
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II. エンテロウイルス 045


匹m Coxsackievirus AIO
咽頭所見と舌、 口唇の口内炎を示す。

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匹! Coxsackievirus Al6 手足日病


手足口病の咽頭所見を示す。

第1病日

046
匹& Coxsackievirus A16
手足口病の咽頭所見を示す。

lD Coxsackievirus Al6 瞑 □病
手足口病の咽頭所見と膝部、 足底の皮疹を示す。

II. エンテロウイルス 047


•日·

日Enterovirus 71 ヘルプアンギ ー

口唇の口内疹、 エ コ ー 様の発疹を示す。

048
匿g Enterovirus 71 手足口柄

咽頭所見と手掌の発疹を示す。
発熱なし

匿Enterovirus 71
発疹を示す。 /
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II. エンテロウイルス 049



日Coxsackievirus Bl HI5 — 糾
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ヘルプアンギーナ
第2病H 口蓋垂の両側に図の如きヘルプアンギーナを認めている。
第3病日 右側のヘルプアンギーナは舌圧子に触れて破れ、 軽い出血を認める。
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第2病日 第3病日

050
四Coxsackievirus Bl
口蓋垂の両側に発赤を認める。 ヘルプアンギ ー ナは、 はっきりしない。

骸趨0 di.日
1 佐久間IJI尻旦


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匹Coxsackievirus Bl
咽頭には軽度の発赤を認める。

H笠コ沙L
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II. エンテロウイルス 051


匹]Coxsackievirus B2


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顔面、 躯幹に、 粗に、

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点状の境界不整の紅斑を認める。

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掻痒感ははっきりしない。

背中-2


匹D Coxsackievirus B2 ! " ユ—·――_ _ーら段四8ぇ;L笠j:.t _’
9年
竺.卯’f- -·· 佐久1111,JI児科匿霞 配

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CAP <0.3mg/dl l
発熱は2峰性で、 2回ウイルスを分離し、

L 56%
2度咽頭所見を撮影している。 病初期の方が咽頭所見は強い。
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N Stab 2%

i.

Seg 35%
r

Mono 6%
Eosin 1%

1回目と2回目 ^● →・・・ー:「ご.. 二=ー一ーここ=ニミニ一ー・


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同一virusであった

3回目の発熱は
中耳炎と考えている
昏只王竺竺竺竺戸 ~ • →---•-...・-..・·~一`—~ 一―-―—

第2病日 第6病日

052

匹D Coxsackievirus B3
ヘルプアンギーナ例

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匹 Coxsackievirus B3
ヘルプアンギ ー ナ例

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II. エンテロウイルス 053


匹D Coxsackievirus B3
ヘルプアンギ ー ナ例

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匹D Coxsackievirus B3
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ヘルプアンギ ー ナ例

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E Coxsackievirus B4
ヘルプアンギ ー ナ例

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匹D Coxsackievirus B4
ヘルプアンギ ー ナ例
一般にコクサッキーB群3型、 4型によるヘルプアンギ ー ナはコクサッキ ー A群によるものの様に口内疹が明瞭でない。

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II. エ ンテロウイルス 055


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匹fJ Coxsackievirus B4 手足口柄


手足口病例
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匹E Coxsackievirus B5


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ヘルプアンギ ー ナ例
写頁としては右の写真がいいが、
口蓋垂右の小丘疹が、左の写真がよく見えるので2枚提示した。
同時に撮影したものである。
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匹II Coxsackievirus B5
ヘルプアンギ ー ナ例

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ヘルプアンギ ー ナ例第2病日より第3病Hにかけて、

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咽頭所見の変化を示した。 一般にコクサッキ ー B群3型、4型、5型による
ヘルプアンギ ー ナはコクサッキ ー A群によるものの様に明瞭でない。

第2病日 第3病日

II.エンテロウイルス 057
058
日Poliovirus
ポリオウイルス2型
この症例は平成15年4月25 8(日本ポリオ研究社のワクチンLot No.42)を接種し、平成15年5月9日に発熱し来院した。

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tE Poliovirus
ポリオウイルス1型
この症例は平成 8年4月 10 8にポリオワクチンを接種し、平成 8年4 月 13 日に発熱して来院した。
ウイルスの分離は4月15 8である。咽頭後壁の所見はアデノウイルス感染時の「いくら」様である。

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II.エンテロウイルス 059
■日本医事新報, 3398: 24-28, 1989.

ェコ ー 18発疹症
北九州市佐久till小児科医院 北九州市・環境衛生研究所

佐久間孝久 下原悦子 梨田 実

1986年春頃より、これまでほとんどみられなかった、いわゆ (1) ウイルス分離


る Boston exanthem様発疹を伴う患者をみるようになった。 ウイルス分離にはHeLa、FL、 BGM、 RD-18Sの4種類の細
1988 年に来院した患児16例に成因検索を試みた ところ、 胞を使用して、 CPE(cyt opa thi c effect)のみられたものにつ
ェ コー18 の感染を証明した ので、臨床症状、特に発疹の性 いてはデンカ生研製の エ ンテロウイルス中和用抗血清を用
状と合わせ報告する。 いて中和試験により同定した。
(2) 血情検査
ペア血清の得られた 3症例のうち症例6、14 では症例7よ
り分離のエ コー ウイルス18 を抗原とし、症例16では症例3よ
l.検査対象および方法
1988 年3月より10月 まで、佐久間小児科を訪れた患者の
うち、いわゆる Bos t on exanthem様発疹を示した 16例で、 り分離の エ コ ー ウイルス18 を抗原とし、 RD18-S細胞使用の
年齢は 3 ヵ月より4 歳まで、男11例、女 5 例を対象としウイルス マイクロタイタ ー 法により中和抗体を検索した。
学的検索ならびに臨床的観察を行った。なお1986年1 例、 回復期血清のみ得られた 13例のうち、症例8~13 では症
1987 年2例の発病後1~2年後の血清の検索を行い 、参考 例7 由来の抗原、症例1~5 、7 、 15 では症例3 由来の抗原、
とした。 1986年と1987 年の類似症例各々 5 例および7例 は 、 発症後1~2年経過後に血液を採取し検索しえた 1987年の
男女各々 4対1 、および4対 3 である。 症例17、18 、 1988 年の症例19では症例3 由来の抗原により
各患児の咽頭ぬぐい液および便を採取後でき るだけ速 中和抗体を検索した。
く北九州市環境衛生研究所に送付し、一方血消を採取し
以下の検索を行った。 2.結果
(I) ウイルス分離(表1)
総検体数 25 検体中17 検体、患者数14 例中10例から エコ
ー ウイルス18 型が分離された。

(2) 血消検査
ペアー血清の ある症例14,16においては有意の抗体上
■ 1発疹児のウイルス学検査成績
・ー←�

検体の種類
i�“ーm
昇を認めた。回復期の血清のみ得られた症例では症例6 を
咽頭ぬぐい液 I (-)
1女 9)] 除き全例に高い中和抗体価を認めた。 エコー18 を分離でき
-----------------------------------···· N.D. 128
便 3 (-)
咽頭ぬぐい液 3 E.18
2女,2.9年…………--------------------------- N.D. 128 なかった症例1 、 4 、 5 についても高い中和抗体価を認めた。
便 6 E.18
1987年の不明発疹症の症例17 は全く中和抗体は認められ
3 !).) p.9年'··四竺·ぐ唖……·}—--····I�:••· N.D. 360
なかった。 1987 年の症例18 は中和抗体を認めた。 1986年
の症例19 は非常に高い中和抗体価を示しbooster効果を
咽頭ぬぐい液 I (-)
4女2.0年•-----------------------------···…… N.D.益12
便 5 (-)
5 男 2.2年 咽頭ぬぐい液 I (-) N.D. 64 示唆した。症例6のみは エ コ ー ウイルスの分離も中和抗体の
6女1.9年懇屈ぬ免漢-------3……ーー(こに
(-)
く4 く4 上昇もなく、 エコー18 の感染を否定した。
便 3

7女 1.5年阻賦ぬ免漢_――----I_-------_E:!3.--
I .D. 180
(3) 臨床的観察(表 2)
便 3 E.18

i [荘
咽頭ぬぐい液 3 E.18
①発疹の性状(写真1、2)
8 男 1.0年 •--------------------------------------
便 5 E.18
.D. 1,024
形:大小あり、大きいものは4~5mm、小さいものは1~2mm、

ご: !=声: :
N.D. 360 辺縁は不整で明瞭、僅かに丘疹状であるが、扁平なもの も
190 :: l N.D. 360 ある。
11男1,II ·_姻直:笠漢…·---;―一_·-闘___ N.D..:;2,800

咽頭ぬぐい液 6 E.18
12男1.10年…………·-------------------------- N.D. 512
便 7 E.18
咽頭ぬぐい液 I (-)
13男 3月·-------------------------------------- N.D. E!:2,800
便 2 E.18
14男 5月 N.D 64 1,024
15男 6月 N.D. N.D. ;;a:;710
16男 6月 便 2 E.18 64 360
17男 7.9年 62年不明発疹症 く4
62年不明発疹症 22
61年不明発疹症 2,048
E.18: エコ ー 18 (北九州市環境衛生研究所 1988年7月28日-10月22日) 写真 1 症例 14 写真 2 症例 18

060
■表2 ECHOl 8感染児の臨床症状
No.I 症例No. 年・性 I 診察月日検体提出月日
発疹 発熱 血清中和 No.I 症例No.・年
・性 診察月日
I 「 門 ;冨発熱
韻躯幹 手足 1

咽頭便 前綾
抗体価 一 日
咽頭便 前綾

63.7.12 I O ---....
.----....--... I l+l+l+I--.--.
-------... I --. - ------------
I ---. I N .D 63.5.231
-----... --.O.. --.....
IO 1+1 - ---.+1+1+1+137.7℃
---.------------------------- N .D.
l I 13·3M 男
・ 63.7.13 I
------------... I 0 --.·----..
----.. 土土土土 一
--.--.--.......-··....... 9 I 7 • l.5Y・ 女 士土士土土 一
| ----------------------------------------.
5.25 -----
63.8.13 I I I I I I I I I i:;2,800 9.12 I I I I I I I I I 180
63.8.6 I N.D.I N .D. I I I I I I 38.4℃
----------------------·--·--·--·--·---·-------·--------- 64 63.5.6 I O I I+ I + I + I I I - I N.D.
8.8 --......-·.... -·· 十+
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++ ----- ー 5.7 I I O I+ 土土+十 一
101 3· l.9Y 男 5.10 一
8.9 ―I -----I -----I --l+I+ ― - --- ―ーー:::―-一

2 I 14·5M 男 ----e: 土
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8.11 I I l+l+l+I I I
---------------------------------------------- - --・�―----- I I I I I I I I 39.2℃
63.7.7 --.←------------------------------------------- N .D.
9.7 I 7.9 I -
I I I I I I I I 1.024 I
-----------------------------------· I I I I I ----------- I
63.7.4 I N .I N.D.I I + I I I I 38.5℃ N .D. 7.11
・ トー···----←-I -----I-----I-·I-- + I-- + I --I---I------- 38.2℃
........................---................ --------. ---- 11 I 12· 1.lOY 男
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7.5 I I
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----------- l+l +l+I I l37.D℃
O I ----------------------------
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···---····· l+l+l+l+l+l 38.0℃
I.·······--····-··.. .... 7.13 I
-------------. I 0 ------...
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7.151
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- - - - - -

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l+l+l +l+l +l38.7℃
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63.9.24 I ----··-·..
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女 4.22
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-• • - • - • • • ` ― ― `ー→--------------------------------------
9.23 I I I I I I I I I 128 131 5·2.2Y 男 | ----. 5.19 - -
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7.4 I I I I I I I I
---------------------------------------------- - .63.4.25 I I I I I I I I37.5℃
------------------------------------------------------- N .D.
7.5 I I I I I I I 38.1℃ 4.27 -
I
----------------·-----·-······-·-------------- ― I ―O
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7.6 39.1℃ 14 I 2 • 2.SY ・ 女 ド五.3 6 - 5 ニ
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----------·-------------···. ------------ -·-----------.----.-----------.---------------

7.8 I I I+ I+ I + I+ I+ I37.3℃ 9.12 I I 128




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7.9
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I I I I 37.8℃ N .D
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8.1 2 I I I I I I I I I i:;2,800 6.26
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I 1,024
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-
土土
6.30 I -----I ----- 1 1-- 1 - 1 - - - -
--1 1

---------- -- -- --- -------

0.11 I I I I I I I I I 360

色:初期は赤色であるが鮮紅色ではない。病状の消退 と 咳、鼻汁、くしゃみなどの気道症状はほとんどみられなかった。
共に次第に退色する。 下痢、嘔吐などの消化器症状 もほとんどみられなかった。
部位:頬、手足、騒幹に対称性である。頬の発疹はまず目 髄膜炎は1例もなく、疑わしい所見を呈した症例もなかった。
につき、他の部位の発疹より形も色も特徴が明瞭であり、ま (4)血液検査
た もし頬に発疹がなければ臨床的には診断は不可能である。 病初期、回復期の血液検査(赤血球、白血球、Ht、Hb、
持続:ほとんどの症例が、2~3日で次第に退色し、後に色 血小板、炎症反応、肝機能など) を施行したのは症例16の
素沈着はない。 みであった。有意の所見はなかった。病初期のみ血液検査
掻痒性:乳幼児が主であったのではっきりしないが、掻痒 を施行した症例14,回復期のみ血液検査を施行した症例9、
感があるようには観察されなかった。 15についても有意の所見はなかった。

②流行性 季節性(図)
● エコ ー
〇 臨床的類似症例•
18 検出例
4~8月に多く、秋季の暖かい間には少しみられた。
■患児の季節別・年齢別分布 * エコ ー18 中和抗体上昇例
゜゜
発症は散発性であり、家族内発症は 16例中 1例、症例10
のみに認められた。妹 3歳は同時に上気道炎に罹患、しか 1986

0 0
し発疹は認められなかった。弟6ヵ月は 1日目くしゃみ、鼻汁、
3日目咳、鼻汁、38℃、 4日目37.2℃、腸重積症に罹患、6日目 �987 年] II
*
゜゜
0 0
38℃、7日目(1988年7月1目)38℃、兄と全く同様の発疹を認 * 0 0

めた。 9日目解熱、発疹は次第に消失した。 1988 0 *


•• 0

* *
③発熱 ● ●*● ●● ●●0 * * 0
発生月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10 月 11 月
発熱はあまり著明ではなく、全く発熱を欠く例、僅かの発
1986

熱がある例、はっきり発熱を認める例がほぼ同数の割合に 年
認められた。どちらかといえば乳児に発熱が軽く、幼児には 00 0 *
゜゜
1987 年l

.•o ゜゜• ゜ ゜゜
っきりした発熱が認められた。発熱と発疹の時期について
は同時出現の例と、発熱が先行する例がみられ、一定の症 * I



1988
状はなかった。
年*o
④その他の症状 *● ●0 *
*● ●● *
咽頭発赤については軽重の差はあっても全例に認めら 児の年齢 1歳 2歳 3歳 4緩 5盪 6歳 7歳
*臨床的類似症例とは、1998 年エコ ー18 検出症例に類似の患者で 、 ウイルス
れた。しかし、粘膜疹など特徴ある所見は認められなかった。 学的検索はしていない症例である 。

II.エンテロウイルス 061
3.考察 ェコ ー ウイルス18の分離状況は、1981年、1984年に流行
(1)ウイルス検索のいとぐち があり、1987年から再び流行がみられている。この事業年
ェ コー 18感染症は、従来髄膜炎の起炎ウイルスとしての 報は必ずしも全国の感染をカバ ーしているとはいえないが 、
報告が多くI) ~3)、発疹症としての報告はあまりない4)~6)。我々 一応の傾向は示しているといえよう。松浦ら 4) の富山県の
は198併F頃より、少し変わった発疹症の発生に気が付いた。 1981年のエコー18中和抗体の年齢分布では、3~5歳と15
7)
それは Nevaら 、藤井 8)
による Boston exanthem 〔エコ ー 16 歳以上の2年齢群に高い中和抗体価を認めている。菅原ら
)
型感染時の発疹症で、顔面、駆幹から四肢に及ぶ小紅色 10 の岩手県の昭和46年~50年の調査でも9歳以下群には
斑状·丘疹状発疹(small pinkish maculopapular rash) で ほとんど抗体保有者がいないが、10歳以上群には約30%の
2~4日持続するものである。他のエ コー ウイルスでも同様発 抗体保有者がいる。
疹の出現が報告されている〕に非常に似ている発疹であっ これらのことは 、エコ ー 18の感染には4年ないし6~7年の
た。 周期があることを示している。以上より判断すると1989年の
1986年 、 北九州市環境衛生研究所で エコ ー 16、エコー 9 流行はないのかもしれないが、今後とも観察を続けるつもり
の血消を検査したが、感染は否定された。1987年も3月にな である。
って 、 同様な発疹を診てふたたび咽頭ぬぐい液、糞便よりウ
イルスの分離を施行したが、ウイルスの分離は不成功であっ まとめ
た。1988年、同様発疹症の咽頭ぬぐい液、糞便よりエ コー 1988年、北九州市の小児科外来で観察したエコ ー 18感
18を3年目にして分離、血清検査を施行し、診断を確定する 染症児の臨床症状、ウイルス学的検査成績を述べた。我々
ことができた。 の経験したエコー 18による発疹症は 、頬の発疹に特徴があ
ただし、1987年の症例18(表1)では中和抗体を認め、特 り夏期に流行した。
に1986年の症例19では中和抗体の非常な上昇を認め、 稿を終えるにあたり、ご指導、ご校閲いただきました久留
1986年、1987年にもエコ ー 18の感染があったのであり、後者 米大学小児科学教室•山下文雄教授に深謝いたします。
の高値はそのbooster効果のためと考えている。 またウイルス学的検索をご指導くださいました北九州市環境
(2)エコ ー 18感染症の発疹は特徴的か 衛生研究所•杉嶋伸禄先生に深謝いたします。
ェ コー 18感染症は従来は髄膜炎を主症状とした報告が
ほとんどであった。我々は患児の発疹を診て 、 従来の既知
の発疹症ではないと判断し、ウイルス検索の結果エコ ー 18 文献
1) Kennett, M. L, Ellis, AW., Lewis, FA, et al. : J. Hyg. (Camb.), 70: 325,
感染であることを同定した。経験例での発疹の特徴は頬に
1972
対称的に分布する形、色、 共に明瞭な maculopapular rash 2) 1.ag ercrantz, M., Hugo, H. and S temer,G.:Scand ,J.lnfec t.D is.,5:249,
で、手足口病 、 ヘ ルプアンギー ナと同様に臨床的に成因ウイ 1973
3)W ilfe rt, C.M., Lauer, BA, Cohen, M., et al. : J. Infec t D is., 131:
ルスを推定しうるのではないかと思うほどであった。 75,1975
5 6
Lagercrantzら互 Wedemeyerら ) 、西野 ) は発疹はあまり 4)Matsuura, K., Hasegawa, S., Nakayama,T., et al: M icro b iol, Immuno l.,
27: 35 9,1983
特徴的ではないとしながらも頬、躯幹、四肢の発疹を報告
S) Wedemeyer, P. P., Cooney, MK and St Geme, JW. : Minn. Med., 49: 1057,
している。西野の報告に写真を欠く のは残念である。我々 1966
の症例での発疹は藤井 8) の報告のエコー 16の場合に酷似 6)西野泰生:小児科, 25: 971, 1984
7)Neva , F. A, Feemster, RF. and Gorback, I. J.: JAMA, 155: 544, 1954
しているが 、 彼らの観察にあるようなステ ー ジははっきりしな 8)藤井修照感染症誌, 60: 64,1 986
かった。発疹の類似性からみて、エコ ー 16とエコ ー 18とは類 9)厚生省保健医療局感染症対策室監修:感染症サ ー ペイランス事業年報 ,
昭和56if-~61年, 厚生出版 , 東京 , 1988
似の因子があるのかもしれない。臨床症状は藤井の場合 、我々
10)'/奇原恒有川名林治:日本医事新報 , No.2732: 25, 1976
のより少し重いようである。
(3) 疫学
家族内の臨床的発生は16例中1例6.3%であった。西野6)
によれば74例中、16家族34例に、Lagercrantzら2) は6家族
27例中、23例に感染を証明し、むしろ周囲への濃厚な感染
を示唆している。我々は同 一 家族の抗体保有状況を検査
していないので、抗体があるから感染が起こらなかったのか、
ウイルスの感染力の故なのか論ずることはできないが、我々
は家族内発生、周囲への臨床的感染の少なさはこのウイル
スの感染力の弱さで、大流行のない原因ではないかと考え
ている。
発症の季節は春から夏にかけての報告が多い。しかし
9
惑染症サ ー ベイランス事業年報 )によれば、冬季にも検出の
報告がみられる。年中発生のみられるウイルスかもしれない。

062


UHerpes simplex virus
非常な軽症例
軽い歯肉炎を認める。

軽い咳、 鼻汁
食欲やや落ちる
発熱無し、 機嫌.睡眠、 良



BHerpes simplex virus 1

` HI6つ11/-d'

虚;五戸昂辻
歯肉炎を認める。 母親が歯が見えなくなったと訴えた。

言:濯言胃

064

II Herpes simplex virus 1 "'.,,,
" 9,ュL '"'、. • • 9,”‘
0,
(1) ● 9“9』>^a 佐刃耐Jヽ
ヘルプアンギ ー ナ2例を示す。
(1)コクサッキーA群のヘルプアンギーナに比すと、1個1個の口内疹が、
停出二

独立し劃然とみえ、 且つ自発痛が強く、 咽頭の奥まで存在する。 衰

(2 )左前口蓋弓の口内疹は梢膨隆し、 中央が陥没している(腋がみえる)。

:ここ
,,.' '
4•-0 1
^^

Herpangina Herpangina
(l) 臨床診断 (2)臨床診断
(1) (2)


D Herpes simplex virus 1

H.14.12.逗l し宕漏n 同 三 。ー 勺ぶ斎
' ヨて10 11' ,と’ l9, H

ヘルプアンギーナ例

三三
第1病8 ~
第2病8にかけての口内疹の変化を示す。
1 置三圭三
この例のヘルプアンギ ー ナはコクサッキ ー B群によるものと類似しているが、
この例は第5病日に前口部に歯肉炎がみられヘルペスの診断が出来た。

g!0。 : 1n 1ムn :

第 1病 日 第2病日

m. 単純ヘルペスウイルス1 065


II Herpes simplex virus
ヘルプアンギ ー ナと口内炎の例である。


DHerpes simplex virus

ヘルプアンギ ー ナ例である。
宣言

嗅溢粛
名 一名

..

ー「[-11111
..,
. .
365
i ,

066
II Herpes simplex virus 1
1.6ii7反 (い に匹


H9ヽ.,,r
•4 92. 99
,• p :ig•`"'和 l•I"
’^一9.I ・ � 佐久●り9覺

口蓋扁桃上の独特の円形の魔爛を示す。 閲丹言 ・
+ 91 1 ; •


9
: とこごど ] し ぶ

(1) 臨床診断 (2) 臨床診断


(l) (2) Angina Herpes


D Herpes simplex virus 1 riJJ-,f6
i● ● a:
団紅9• 8“・年3 •l/員
1w ●●ai. 霞久●収●,i覺1!111属

第3病日、 第10病日の口蓋扁桃上の独特の円形の廉爛を示す。
1.II/8


.,l'I、,J
`;:
•I,,
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/ 9?! 9|
; i, i :
11..I,| \,,,
'I
309
1•

私は7-(l)例でヘルペスウイルスを分離したので、
% `$疇
写真7-(2)、 8の症例ではヘルペスの診断が可能であった。
第6病日咽頭には未だHerpangi na様の病変があったが、
り I `'s
宅し� 冨9
ト .か
翌日が日曜の故か、 それより来院せす、
次週の火曜の夜より再発病した症例。 ●●

~`'�,へ9 ·'· ' n 1| .o c丞 ,•, .


第3病日 第 10病日 再燃

m. 単純ヘルペスウイルス1 067

B Herpes simplex virus I
Gingivostomatitis
"'’-9り
9
典型的疱疹性歯肉口内炎を例示する。 ぷI 拉ぶ;;記.食ら、
99 .

ヽ·
咽頭のヘルプアンギ ー ナ、 ーを

硬口蓋の所見をよくみていただきたい。

Im Herpes simplex virus I


Gingivostomatitis HI9-?9

典型的疱疹性歯肉口内炎を例示する。
咽頭のヘルプアンギ ー ナ、 硬口蓋の所見をよくみていただきたい。

068

mHerpes simplex virus 1 家族例
(3)
同 一家族内によくみる症型として例示する。 HI9 ~いヽr
1
,...,.......
\ • ら
”心・胃
(1) 1.4歳 男の口腔ヘルペスが
(2)母親の乳頭に感染し
(3) 4歳 女 姉が罹患した家族例である。

(1) (3)

碕 ' `し,
H 9』- 9 今,

Iaヱ'II
●98 . ' , , ヽ·
19璽:

9 9

,. . `


ID Herpes simplex virus

(1)

眼瞼と口内に発疹を示した症例。
特に上眼瞼の目尻には写真l以3)に示す様な
ヘルペス特有の中央の凹んだ発疹がある。


」b-牡.2-


デ'‘↓
USVI Il/,.

m. 単純ヘルペスウイルス1 069
ID Herpes simplex virus 1
H 91・1や
, n名 1 · • らね ,
�..ら 1 "ヽ9,“’ ::al 佐久Ill,jI紐I

滲出性扁桃炎の2例を示す。13-(1) 4.3歳女13-(2) 3.6歳男


13-(2)は第5病8口痛を伴う歯肉炎を併発しヘルペスの診断がついた。

(1) 臨床診断 (2)臨床診断


Angina Angina→Herpes
(1) (2)

mHe屯�s simplex virus 1


口痛、 全身症状が著明であった。

日9→ア
8 8l
`云ば こぷlt {,1:d ]左久面J\
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070
Im Herpes
ー百
simplex virus 1 .
Hヽ,., ,,

'心¢ ;巧f叫
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’’
i:
1-·

第2病日 ~ 第3病8にかけての咽頭所見の増悪がよく分る。

第2病日

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へ」·•...
o : 0|
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•↓

Im Herpes simplex virus 1


36町 屑 ー:●9.0


し 9
そ汰::::;:: 忠臼· ご:
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一心心.ヽ
..
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H心を?b
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- - -•....0 ---.
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t'¢1. J.よ笙
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R ,LT .、 一・• . .. ....

じとに
8メ 辛知互‘辺L. とi
ょヽ

第4病日 ~ 第6病日にかけての咽頭所見の改善がみられる。 .-.”←•ー・正 二ニーニ ご.


→そこ

全身症状が著明であった。
."閑ば�. 、.s.ヽ..

"'9●

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..占二ニ ・ ギ
1 「 —●●
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:ぷ�←:;;•
”’ 99.. 99 99 U99.
如弁L 95

第4病日~第 6 病日にかけて咽頭所見の改善がみられる。 "●

非常に全身の倦怠を訴え、咽頭痛(++)であった。
'で
・久●●賣い●●彎・
'!

“'`
咽頭培養、有意の細菌(一)。

”ヤ髯• o o o_o o

第4丙日 第6病日

m. 単純ヘルペスウイルス1 071
. .


ID Herpes simplex virus
第3病Hの咽頭所見でヘルペスの診断をした。しかし後で写真を点検すると
r
第2病日己に咽頭後壁にヘルペスが認められる。 四l‘'
' 丹 ' 99
召、:� :; ぢ,
第2病日 第2病日 :: •9

1に9 :99.5‘ ”`’’●;�., ··"

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品:-:.. 1·.. - ・・
;;U翡柑!出'~“

冨`` `

ttば "


]や心l
応よ'17`

乞心


田Herpes simplex virus

‘ 9.

, 9 1., (.
' 5
応: ふ夕
19

9 .'·

iリ2夕 ”L—/仇久f;l小見ほi t


5 9
企 J
ニん 1
□ バロ
第4病8疱疹性歯肉口内炎と顎下リンパ節の著明な腫脹を認めた。 上


平成17年1月21日、インフルエンザ迅速診断(キャピリア+)であったが、 コ
玉s
第3 病日、写真右のことく顎下リンバ腺が腫脹し、 "-> .

第4病日歯肉口内炎をともなった。MOCK細胞を使用したが、 3�; ・

;::-•
59 3ら
インフルエンザは検出されなかった。

第3病日
]。—

072
IJHe屯�s simplex virus 1
ヘルプアンギ ー ナと第3病日より全身、
特に腹部の発疹を認めた例。
後述の発疹性疾患のヘルペスによる
多形滲出性紅斑例7の発疹との差を
比較していただきたい。

m. 単純ヘルペスウイルス1 073
■外来小児科2004; 7: 147-154

外来小児科におけるHerpes SimplexVirus-1感染症
北九州市医師会
佐久間孝久
はじめに 考えられる。1995年には1例の分離も無かった。
Herpes Simplex Virus-1 (以下HSV-1と略す)感染は初 (2)HSV-1月別分離数(図2)
123
惑染、再感染、反復感染の3種の感染様式をとる , , )。外来 季節性は認められない。3 月、 6月、 12月に1 例の患者もな
小児科においては皮膚感染、口唇ヘルペス、疱疹性歯肉 いのは、症例数が少ないのが一因と考えている。
口内炎を示す時は診断が容易であるが2, , ) 、発熱を主訴と 34
(3)HSV-l 44例の年令別臨床診断別例数(図3)
する咽頭炎の症状を示す時は他のウイルスとの鑑別診断 患者の年齢分布は1歳児が最多で、加齢と共に減少した。
の困難なことがある5,6) 。筆者は 1994~2002年に急性熱性 図中に外来での臨床診断名を示しているが、外来でHSV-1
上気道炎の患者44 例よりHSV-1を分離し、疫学的、臨床的 の診断を可能としていたのは44 例中 21例の半数以下で、
検討をしたので報告する。 残りはヘルプアンギーナ、コクサッキー、エコ ー、アデノウイルス、
l.対象 インフルエンザと、HSV-1以外の他の疾患を診断していた。
検脊対象児は 1994~2002年に、佐久間小児科医院に (4) 1994-2002 年の検体数、分離ウイルスに対する HSV-1
来院した患者である。疱疹性歯肉 口 内炎については、症状 の割合(表)
が明白な場合は検査しなかった例もある。1994~1995年は HSV-1の分離は検体数の1. 2%、分離ウイルスに対しては
北九州市環境科学研究所のエンテリックアデノウ イルスの 4.2%であった。因に著者の施設の総検体数に対するウイル
調査研究のために平均、咽頭より 一 日4検体、便より 3 検体 ス分離の割合は27.8%あった。
を提出し、他の年では咽頭より平均1日1検体を提出した。 (5)HSV-1の咽頭所見,皮内発疹像(写真1~8)
2.検査方法 ①HSV-1の診断が難しかった例
患者の咽頭ぬぐい液を採取し、冷蔵保存し、当日中に北 写真 1の 1) 、 2)、3) 、 4)、5)ヘルプアンギーナ例
九州市環境科学研究所に搬送した。同所においては諸種 写真2の 1) 、 2) 滲出性扁桃炎例
のウイルスの感染を考慮し、MDCK、HEp-2、 RD-18s 、 Vero ②典型的HSV-1感染例
の細胞で分離培養を施行した。HSV-1の同定は特異的な 写真3の 1) 、 2)、3) 、 4) 疱疹性歯肉口内炎の典型例
CPEが出現した細胞を用いて蛍光抗体法によった7)。 ③成人例
3.結果 写真4の1)、2)、3)成人例
(1) HSV-1の年別分離数(図 1) ④特殊例
非常に症状の明白な疱疹性歯肉 口内炎の 一 部、口唇 写真5の1)、2)、3) 母子、家族感染例、皮膚感染例
ヘルペス等を含まないので実際の患者数はもう少し多いと
■表 Vi rusの咽頭よりの分離成績
■ 図l He「pes Si m p lex Vi rus-l年別分離数 検体数 3,756
Virusの分離1,046
数 1994~2 002年
例数 44例1994~2002£平 検体総数3,756 分●vlrusl.046
12 Virus Virus分離数に対する に対する
分離virusの割合分●virusの割合
10 Influenza 317 8.4 (%) 30.3 (%)
8

Adeno 267 7.1 25.5

CoxA 60 1.6
6

5.7
CoxB 122 3.2 11.7
Echo 218 5.8 20.8
Entero71 6 0.2 0.6
4

Polio 11 0.3 1.1

RS 00 01
2

----
―-―

HSV-1 44 l2 4.2

100.0
1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 200 l 2002
検体数 1,121 1,084 490 128 174 157 229 160 213 総検体に対するウイルスの分離の割合 1,046/3,756=27.8%

■ 図2 Herpes Simplex Virus- l月別分離数 ■ 図3 Herpes Simplex V i rus-l年齢別 臨床診断別例数


l
例「 T


2 0

44例1994~200笞E 44例1994~200 なE
12
他の疾患 17
l

I Herpangina 6
I Herpes 21
8

-
|—7
6

1他の疾患には、 イン
フルエンザ、 アデノ
ウイルス、 エンテロ
-T
4

ウイルス烹染等の
修断を含む

:] ]1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12月 <1 1 2 3 4 5 6~9 10---19 >20年齢

074
4-1 31歳 女 アンギーナ

1-3 1.6歳 女 アンギーナ 1-4 l. l歳 男 ヘルベス 2 27歳 女 ヘルベス性アンギーナ 4-3 36歳 男 ヘルベス性アンギーナ


1-5 3.11歳 男 ヘルベス 2-1 4.3歳 女 アンギ ー ナ 5-1 1.4歳 男 ヘルベス 5-2 36歳 女 ヘルベス(乳頭部)

2-2 3.6歳 男 アンギーナ→ヘルベス 3-1 2.4歳 女 疱樹生歯肉口内炎咽即所見 5-3 4.0歳 女 ヘルベス 6 5.8歳 女 ヘルプアンギ ーナ

3-2 2.4歳 女 硬口蓋 3-3 7.0歳 女 疱樹生歯肉口内炎咽即所見 7 9.4歳 女 □内炎 8 3.1歳 男 アンギーナ(アデノウイルス)

⑤鑑別診断 写真3の 1) 咽頭所見は軽微である。ヘルプアンギ ー ナ



写真6 コクサッキ A4によるヘルプアンギ ナ ー の所見がある。
写真7 コクサッキ ーAlOによる口唇疹 写真3の2) 硬口蓋の所見が著明である。
写真8 アデノウイルス3型による 滲出性扁桃炎 写真3 の 3) 咽頭所見はヘルプアンギーナである。
6)写真説明 写真3 の4) 歯肉炎、舌炎の所見がある。
写真 1の 1) 、 2) 、 3) 、 4) 、 5) ヘ ルプアンギーナ群 写真4の 1) 、 2) 、 3) 成人例
コクサッキ ーA、Bによる ヘ ルプアンギーナとの鑑別は困難 小児科であるので、成人を診察する ことは稀である。以
なことが多い。疼痛がエンテロウイルスに比すと強い。 下の症例は付き添いの保護者を診察した時のものである。
写真 1 の 1) ではヘルペスが僅かに膨隆し、口蓋扁桃部 成人のこうした症例はHSV-1 とはいえ感染ル ー トを考えさせ
に及んでいる(咽頭の奥まで発疹がある)。 られる。
写真 1の 2) では左の前口蓋弓、口蓋垂の根部のヘルペ 写真4の 1) 31歳 女子例
スは膨隆し且つ中央部が陥凹している。 咽頭後部まで ヘ ルペスがみえる。口蓋扁桃は滲出性扁
写真 1 の 3) 、 4) 、 5) 口蓋扁桃上の円形の歴爛面は 桃炎像である。
HSV-1感染 に特有のものかも知れない。著者 は第 1 例では 写真4の2) 27歳 女子例
診断できなかったが、2例目、 3例目はHSV-1の診断が可能であ 発赤、腫脹した扁桃上に薄い白色の滲出物を認める。
った。 咽頭痛は著明であった。HSV-1 に特有の咽頭所見と考える。
写真2 の 1) 、 2) 滲出性扁桃炎群 写真4の3) 36歳 男子例
両例とも扁桃の所見からはHSV-1 の診断はできなかった。 咽頭部に白色の滲出物を認める。ヘルプアンギーナ様もみ
しかし第 2 例は口腔前部に特有のヘルペス性発疹をみて える。
HSV-1の診断が可能であった。 写真5の 1) 、 2) 、 3) 母子、家族感染例、皮向感染例
写頁3 の 1) 、 2) 、 3) 、 4) 疱疹性歯肉口内炎の典型例 1. 4歳の男子より母親の乳頭に感染した。姉は弟より4 日

ill. 単純ヘルペスウイルス1 075


後に発病した。 歯肉口内炎、カポジ水痘様ヘルペス、ヘ ルペス性ひょう そ等
写真6、写真7 、写真8 鑑別診断 の記載はあるが 1~6)、ヘ ルプアンギーナ、 滲出性扁桃炎像の
写真6 コクサッキ ーA4によるヘ ルプアンギー ナを示す。 記載は少ない 1, ) 。西野町ま 126例中 23 例(18.2%) は咽頭炎
2

一般にコクサッキ ーA群によるヘルプアンギーナは疼痛が少 のみの所見で、ウイルスが分離されて、 HSV-1の診断が可


なく、治癒傾向が強く、歯肉炎が少ない。しかし鑑別が困難 能であったと述べている。著者も44例中 17例 (38.6%) は、他
なことも多い。 のウイルスによる咽頭炎を想定していた。感染症サ ー ベイラ
写真 7にコクサッキ ー AlOによる口唇疹を示す。この例は ンス事業年報によればヘ ルプアンギー ナ中のHSV-1の報告
軽症だが歯肉炎もみられHSV-1との鑑別が困難であった。 の割合は、 1994-1998年では 3.7%~6%であった9) 。西野町よ
写真8にアデノウイルスによる滲出性扁桃炎を示す。 126例中10例 (7.9%) を 病初ヘルプアンギー ナと診断しコクサ
HSV-1による滲出性扁桃炎とは他の発熱などの症状による ッキ ー A群によるヘ ルプアンギーナとの鑑別は困難であった
以外に鑑別法はないと考えている。 と記載している。筆者は 1994~2002年の間に 、ヘ ルプアン
4考察 ギ ー ナよりウイルスを分離し得たのは52例で、うちHSV-1によ
HSV-1感染様式は緒言にも述べたように初感染、再感染、 るものは6例11.5%であった。
再発惑染の形式をとることが知られている。感染臓器別に 成人のHSV-1による咽頭、扁桃炎の所見はアデノウイル
も多彩な症状を示し、また近年の検査技術の進歩により、 ス感染や溶連菌感染症にない独特なものであった。成人
HSV-1は常に唾液涙液の中に非常に多くの人に産生され の症例2、 27歳女子例はHSV-1独特の咽頭所見であると考
ていることが分かってきた。またHSV-1のDNAを検出しても えている。HSV-1による多形滲出性紅斑は他のウイルスに
必ずしもそのDN紐ゞ感染性を有しないことも知られてきた , ,7)。 34
比すと多いとされているが4)筆者の経験は1例のみであった。
筆者の検体は全て発熱、歯肉炎、ヘ ルペス等症状を有 図 3にも示す如くHSV-1感染は約 50%以上が正しい診断
する対象より採取したもので不顕性感染を含まない。従来 をしていなかった。しかし後で結果が出てふりかえって仔細
の教科書にはHSV-1による、特に初感染群に咽頭炎の記 に 症状を観察すると、記録にはHSV-1 らしい特徴があり、 2
載があまりみられない。私はこの仕事を通じて初惑染に、疱 度3度と同様な疾患に遭遇した際には診断がつくものと考えて
疹性歯肉口内炎 、 乳児の軽症の歯肉炎と同頻度に咽頭 しヽる。
炎があるのではないかと考えている。 結語
1994~2002年の成績で検体数からの検出率は1. 2%であ 1. HSV-1の初感染は園肉口内炎、疱疹性歯肉口内炎の
るが、最も検出率が高かったのは 2000年の229検体から9株 他 に咽頭炎の症状を示すことがある。コクサッキ ー A群に
3.9%、 1999年の157検体から 6株3.8%であった。1995年は全 よるヘルプアンギ ー ナ、アデノウイルスによる滲出性扁桃
<HSV-1を検出できなかった。理由は分からないがHSV-1患 炎との鑑別が困難な例が約半数にみられた。
者が全く無かったとは考え難く、臨床症状の明白な疱疹性 2.ヘ ルペスウイルスは分離ウイルスの略4%であった。
歯肉口内炎患者を除外したためかと考えている。 3.季節性はみられないが、地城的 (閉鎖的小集団内、家族
西野5)i訳洋間 (1887~I992) に 12胡K、勝島6)は4年間 (19泌 内、保育園等)に小流行がみられた。
1989) に385株を分離している。筆者との分離数の差は対 4.急性ヘ ルペス性上気道炎は1歳児に多く、加齢とともに
象の選択方法によるもので、筆者医院のHSV-1 患者の実 減少した。
数は箪者のウイルス分離数より多いと考えている。 .
5 成人の急性ヘ ルペス性上気道炎は独特の咽頭所見を
分離ウイルス中のHSV-1の割合は 2002年(平成14年)発 呈した。明らかに細菌性、他のウイルスに原因する咽頭
行の厚生労働省健康局結核感染症課編感染症発生動向 所見とは異なるものであった。大変汚い印象を受けた。
調査事業によれば1993~1998年1. 7%~5.7%の間にあり、 稿を終えるに当たり、御指導、御校閲をいただきました堤隆博士に深謝致
します。ウイルス学的検査を施行していただきました、北九州市現境科学研
大体4%前後と考えられる凡筆者の結果も1994~2002年の
究所のスタッフに深謝致します。
成績では 4.2%であった。勝島の山形での報告は 12.7%と高
文献
率であった6) 。年齢は1歳児に最多で加齢と共に患者数は 1) 澤登昭一単 . 純ヘルペスウイルス感染症.小林登他編.新小児医学大系.第20
巻 c 小児感染病学Ill.東京:中山円店, 1981: 67-95
減少している。厚生労働省健康局結核感染症課編感染 2) 亀崎健治単純ヘルペス感染症毀原消臣他編開業医の外来小児科学.第 4
, 4 版東京:南山堂, 2002: 266-270
症発生動向調査事業 八他も略同様な報告であった ,5,6) 。 3) 新村慎人,他ヘルペスウイルス感染症東京:臨床医薬研究協会, 1996 4)
季節性はあまり明瞭では無かったが、一般に冬期に多く 6 Steve Kohl. Herpes Simplex Vlflls. Ralph D. Feigin, James D. Cheny編
Textbook of pediatric infectious diseases. 4th ed. V. 2. Philadelphia: W. S.
月~ 10月にかけて少なかった。これは感染症サ ー ベイランス Saunders 1998:1703-1731
5) 西野泰生,他小児科外来における単純ヘルペスウイルスの分離状況とアシク
事業年報見他の報告でも同様な傾向であった 5,6) 。HSV-1 ロビルの使用経験島根医学 1993; 13: 41臼20
感染はインフルエンザ、エンテロウイルスの様な季節的な流 6) 勝島矩子.呼吸器感染症の臨床a.病因並びに臨床診断.第 19回日本小児科
学会セミナー山 . 形 1990
行は認められないが、 1994年は 11 例中 10月に1 例、 11月に5 7)柳壱夫.ヘルペスウイルス.金井興美編ウイルス・クラミジアリケッチア検査.第
3版 第 Ill版第 lll 分冊各論2. 東京:日本公衆衛生協会 1987:18-37
例、 1999年は 6例中 1月に3 例、 2000年は9例中5月に3 例と地 8)厚生労働省健康局結核感染症課編.感染症発生動向調査事業年報.東京:
域的に小集団(例 保育園、家庭)の中で小流行があるとい 太陽美術,平成 14年
9) 厚生省保険医療局結核感染症課編.感染症サーペイランス事業年報.東京:太
う印象を持った。 陽美術,平成 13年
10) Marks, M. I. Herpangina and pleurodynia associated with herpes simplex
外来小児科におけるHSV-1感染は教科書的には疱疹性 virus. Pediatrics 1971; 48: 305-307

076
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アデノウイルス写真18を参照して下さい。
ウイルス性の発熱の際はこうした変化をみるが、 ウイルスによる特徴はみられない。

II Influenza A(HINI)
写真 3、 4 には咽頭後壁のリンパ濾胞を認める。 しかしこれは A(HlNl) に特異なものではない。
アデノウイルスの写真9、 10と比較してみていただきたい。


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咽頭後壁のリンパ濾胞を認める。
アデノウイルスの写真9、10、 インフルエンザのA(HlNl)の写真3、 4と比較してみていただきたい。

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ヘルプアンギー ナの所見を示した例。
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第2病日~第3病Hにかけての咽頭所見の変化を示す。 ニ—ニ ーニコ


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発病のシ ー ズンはまさにインフルエンザの流行期であったが、
口蓋扁桃の所見はアデノウイルス感染を示唆していた。

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滲出性扁桃炎を示した例。


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回Influenza A(HINI)
全身に薄い発疹を伴った症例。
写真は顔を示す。
伝染性紅斑の様に赤い発赤ではなかった。

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写真に示す様に、 口蓋扁桃上、 咽頭後壁に累々たるリンパ濾胞を認める。 成人でもあり非常に苦しんだ。
私はこの所見よりアデノウイルス感染を疑ったが結果はA(H3N2)、Streptococcuspyogenes(3+)、
Staphlococcus aureus(+)の混合感染であった。 /・
滲出性扁桃炎と発疹。

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滲出性扁桃炎に口内炎を合併した症例。
滲出性扁桃炎と口内炎を呈す。

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IV. インフルエンザウイルス 083


Acta Paediat「ica」aponica {7997) 39, 669-675

Original Article

Infant influenza

TAKAHISA SAKUMA

Sakuma Pediatric Clinic, Kitakyushyu City, /sikai, Japan

Abstract Reports on the symptoms of infant influenza (less than I year of age) are very few. From 1989 to 1996, 105
infants with influenza were examined. The symptoms, nutrition and source of infection of the 105 patients were
investigated in Sakuma Pediatric Clinic and viral studies were performed at the Kitakyushu City Institute of
Environmental Sciences. The symptoms of patients under 6 months old are very mild, with a low maximum body
temperature and a short duration of fever. Other complications are few. The symptoms gradually become more
severe with each month of age. The ratio of patients displaying a diphasic fever with two peak temperatures
increases with each month of age. Over 50% of patients over 9 months old have this diphasic fever with two peak
temperatures. It is inconclusive whether an anti-infective factor in human milk exists or not. Of the 105 patients
in this study, 28 were under 4 months of age; of these 28, all but 3 were infected by family members.

Key words infants, influenza, symptoms, two-peaked fever.

Infant influenza is described as mild in the literature, but a as coughing and sniveling, and these symptoms were evalu­
detailed description is not available. 1·3 On the other hand, ated according to the questionnaire and the record of medi­
patients with severe symptoms of infant influenza have cal examinations.
been reported from general hospitals.45
From long experience as a pediatrician, the author noticed Virus isolation
that the symptoms of influenza differ considerably accord­ To isolate other viruses together with the influenza virus,
ing to the age of the patient. samples were inoculated into five kinds of cells (MDCK,
(I) The symptoms of infant influenza patients are very HEp-2, BGM, Vero and RD-18S), and negative materials
mild compared with those of older children and adults. were re-inoculated into the same fresh cell lines until the
(2) Influenza often causes a two-peaked fever in older third passage in 24-well plastic plates. Isolation was judged
children, which is rare in infants, beginning at around 6 by the cytopathic effect (CPE) or hemagglutination (HA),
months. and positive materials were identified by neutralization us­
These observations, which were published in 1991,6 were ing type-specific anti-sera or by the hemagglutination-in­
further extended in this current study. Clinical symptoms, hibition (HI) test.
the relationship between the patient's nutrition and infection
with influenza, and the role of infection by family members Serum examination
were investigated in 51 infant patients younger than 7 Samples (109) were collected for examination between Au­
months and 54 aged between 7 and 12 months. The titers in gust 1989 and April 1996 from 101 infants younger than 1-
the cord blood and serum of antibody against the influenza year-old (42 younger than 6 months and 67 between 7 and
virus, which is considered to reduce the severity of the 12 months). The samples were collected at random from in­
symptoms, were also examined. fant patients in various states of health.
The influenza virus antibody (HI) was measured by the
Methods micro method. Antigens used between 1989 and 1991 were
The subjects were 105 patients younger than I year of age BINagasaki/1 /87, B/Yamagata/16/88, A/Yamagata/ 120/86
(this study focused on those under 6 months), with symp­ (HINl), A/Sichuan/2/87(H3N2) and A/Fukuoka/c29/85
toms likely to be due to influenza, who visited the Sakuma (H3N2), and B/Bangkok/163/90, B/Mie/1/93, A/Yamagata/
Pediatric Clinic during the eight influenza seasons between 32/89(H1Nl), A/Beijing/352/89(H1Nl), A/Kitakyushu/400/
January 1989 and April 1996. 91(H3N2), and A/Kitakyushu/153/93 between 1992 and
Samples for virus isolation were prepared by collecting 1995.
the solution used for swabbing the pharynx of the patients
and mixing it with Hanks'solution supplemented with 0.5%
gelatin. The samples were then sent to the laboratory under Results
refrigeration within 21-48h, and examined by routine meth­ Virus isolation and identification
ods. The serum for antibody examination was collected and Between 1989 and 1996, 101 influenza virus strains were
refrigerated, and several samples were sent together. isolated from infants under I year of age (49 younger than
The patients' parents were asked to fill in a daily question­ ?months and 52 aged between 7 and 12 months); 56 strains
naire concerning the body temperature and symptoms such of H3N2, 20 strains of HlNI, and 25 strains of B were isola­
ted.
Correspondence: Takahisa Sakuma MD, Kosiba 1-1-40, Tobata-ward,
Kitakyushyu, Japan
Received 2 December 1996; revision 15 May 1997; accepted 30 May 1997.

084
H1N1 st「ain (Fig. 2)
Serum antibody titer of infants A I-month-old infant showing a 512-fold positive antibody
B st「ain (Fig. 7) titer was not infected with influenza. Eleven samples from
A I-month-old infant showing a 256-fold positive antibody infants up to 11 months of age showed 32-64-fold positive
titer was not infected with influenza. Four samples from in­ antibody titers. Increases in the antibody titer were ob­
fants up to 3 months of age showed increases in the anti­ served in paired serum samples from three infants. A 512-
body titer, which were considered to be derived from their fold or higher increase in the antibody titer, most likely
mother. Increases in the antibody titer, which may have caused by infection, was observed in 1 I samples from in­
been caused by infection, were also observed in four sam­ fants of 7 months or older. and v皿s was isolated from 2 of
pies from infants aged 6 months or older, and virus was iso­ the 11 samples.
lated from one of the four samples.
H3N2 st「ain {Fig. 3)
There were 13 samples from infants up to 11 months of age
Table 1 Hemagglutination-inhibition antibody titer of influenza which showed 32-64-fold positive antibody titers. A 128-
in cord blood serum
HI antibody titer Mean fold or higher increase in the antibody titer, most likely
Antigen <16 16 32 64 128 256 512 anti?ody titer
caused by infection, was observed in 6 samples from in­
fants of 7 months or older. Increase in the antibody titer
6 55 8 1

6 6 6 8 6

3 268 6

013 00
564 05

BlAichi/5/88 53
B/Yamagata/16/88 77 was observed in paired serum samples from a 3-month-old
A/Yamagata/120/86(H !NI) 133 infant. Virus was isolated from this infant. In a 3 -month-old
A/Fukuoka/C29/85/(H3N2) 101

..
infant who showed a 64-fold increase in antibody titer, the
NSichuan/2/87/(H3N2) 74
titer decreased to less than 32-fold on examination at the
Table 2a Yearly number of patients classified according to age(months) age of 4 months.

and virus t凶2e


Year Month Total

• A/Yamagata/120/86(1989-92)
8
4

2 3 5 6 7 10 11 2048
■ A/Yamag ata/32/89(1993, 1995)
1989-1991 1024

▲A/Beりing/352/89(1993)
78
4
34

2l

23

H3M2 512
o.
**

HINI
2
5
6


7
l

B
a1
1
2
8


1
1

1992
97

(
2

1
21

H)

H3N2
2

HINl 64

3/.Ag
B 32
:
1993
3
3

2
4

H3N2 16 <32
HINI 1
3

0.
2

B 8
1994
1995
l
l
4

H3N2


Fig. 2 Influenza type A (HIN!) HI antibody titers in infants(0-12
HINl
l
2
3

o
2

B months) from 1988 to 1995.(●—●)Paired serum sample. When a


1996 single sample was examined using more than one antigen, the
39
)2

H3N2 higher antibody titer was adopted. The numbers parentheses show
2
3

HINl the number of patients. (+) Patient with virus isolated. Antigens:


B (●)NYamagata/120/86 (1989-92).(■) NYamagata/32/89 (1993,


1995).(▲) A几如jing/352/89 (I 993)
8

2-7-4-1s-1s-s-11-13-9 13 105
**O●No isolation of virus in these patients
●NKitakyusyu/159/93 (1993, 1995)
2
0
4
8


●NKitakyusyu/400/91 (7997)


●B/Nagasaki/1/87(1988, 1989, 1991) ▲NSichuan/2/87 (1990-91)
4
1
0
2

0
2
4

●B/Yamagata/16/88(1990) ▲NFukuoka/C29/85 (7988-89)



▲B/Bangkok/163/90(1993)
2
5
1



5
2
1



▲B/Mie/1/93(1995)
日●


2
5

▲ ▲
6
2
5

a11
1

1
2
8
(1
1
8
2
H)

J
al


●▲
-
](

6
4
I
4
6

H)

▲ ▲

3
2
3
2


<32 <32
(7) (1) (6) (4) (6) (7) (72) (15) (9) (8) (13) (19) (1) (1) (6) (3 ) (5) (6) (11) (14) (8) (7) (11) (17)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
Age(months) Age(months)

Fig. 3 Influenza type A (H3N2) m antibody titers in infant (0-12


Fig. I Influenza type B hemagglutination -inhibition test(HI) anti­ months) fr o m 1988 to 1995.(●—●) Paired serum sample. When a
body titers in in fants (0-12 months ) from 1988 to 1995. When a single sample was exa mined using more than one antigen, the high­
single sample was examined using more than one antigen, the high­ er antibody titer was adopted. The numbers in parentheses are the
er antibody titer was adopted. The numbers in parentheses are the number of patients. (+) Patient with virus isolated. Antigens:(● )
number of patients. (+) Patient with virus isolated. Antigens 碑ukuoka/C29/85 (I 988- 89). (●)NS ichuan/2/87 (1990-91).(▲)
(●)B/Nagasaki/1/87 (I 988, 1989, 1991).(●)B/Yamagata/16/88 NKitakyusyu/400/9 I (1991).(A) A/Kitakyusyu/159/93 (1993,
(1990).(▲) B/Bangkok:/163/90 (1993).(▲) B/Mie/1/93 (1995). 1995).

w.インフルエンザウイルス 085
.. . . . ..
40 �

... . . . . -
. .
- ..... 91

. .

. . .. .
1
●● ●●

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7

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⑮ .
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上3

. . .. .. . .
X
● ●●
乏 る
38 3

. .. ..,... . .
..ロー.s,..
F ..
●●

37

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
Age(months) Age(months)
Fig. 4 Relationship between maximum body temperature and age Fig. 5 Relationship between fever period and age in infant influen­
in infant influenza. Y= 38.2685 + 0.101026X, r= 0.4675, p = za. Y = 1.27078 + 0.310228X, r = 0.4324, p = 0.0000****, d.f. =
0.0000****, d.f. = 103.(●)H3N2,(●)HINl , (■) B 103.(●)H3N2,(●)HIN!,(■)B.

Antibody titer of the cord blood serum6 Relationship between feve「and age
The HI antibody titers of the cord blood serum are shown As Shown in Fig. 4, the maximum body temperature in­
in Table 1. The mean antibody titer was highest in A/ Ya­ creased significantly with age, and the fever period was sig­
magata/120/86 (HlNl) and the lowest in B/Aichi/5/88. nificantly prolonged with age (Fig. 5).
The two-peaked fever was more commonly observed in
Evaluation of clinical symptoms older infants (Table 3).
Table 2a,2b shows the yearly numbers of patients classified
according to age (months) and virus type. Clinical symptoms othe「than feve「(Table 4)
The subjects were 51 infants up to 7 months of age (in 49 The main clinical symptoms other than fever were investi­
of whom virus was isolated, and 2 were positive for anti­ gated in two groups: infants up to 7 months of age and in­
bodies) and 54 between 7 and 12 months of age (virus was fants between 7 and 12 months. There were no significant
isolated in 52 infants and 2 were positive for antibodies). differences in either respiratory or digestive symptoms be­
tween the two groups. However, because the fever period
of infants up to 7 months of age was short, such symptoms
Table 3 Relationship between fever type and age in infant intluenza

0 1 2竺g
e
�m りon s
)6 7 8 1, IO ll
o
T tai
tended to be milder.

No. patients with


o
tw -peaked fever o o 2 o 2 4 o 4 4 Is 9 s 35

No. patients w ith 0 2 5 4 13 II 8 7 9 4 4 3 70


one-peaked fever
Mann-Whitney l!,test Z = -3.923_1._P= 0.0001 •••
Three patients with a three-peaked fever are included in the number with two-peaked fever.

Table 2b Date of onset, examination and results of the serum antibody titer of influenza in the 4 patients identified by symbols in Table 2a.,

Patients Age(months) Sex Date of onset Date of 1st Result Date of 2nd Result
exanunation Hl H3 B examination HI H3 B




4
7
4
M
M
M
18.1.1989
6.2 1989
6.1.1989
25.1.1989
19.12.1988
ND
Both parents had influenza at this time.
<16 <16 <16
<16 <16 <16
21.2.1989
1.3.1989
1.5.1989
256 <16 <16
l024 <16 <16
1024 <16 <16

7 F 5.1 1989 ND 10.4.1989 512 <16 <16


Both parents had influenza at this time.
The patients were examined during the acute stage of influenza and, as their family doctor, I confirmed that neither they, nor their families, suffered any illnesses during the inspection period
ND, Not determined; HI; HINI ; H3, H3N2

086
Nutrition of infant patients (Table 5) the number of infections. In a few cases a low antibody titer
The relationship between nutrition and infection with influ­ remains at 11-12 months of age. Antibody titers in the cord
enza was investigated in 28 infants at 0-4 months of age. blood serum showed that maternal antibodies are certainly
Breastfed infants constituted a little less than 30%. transferred to the infant and prevent infection with influen­
za or minimize its symptoms. 10· 11 However, the mildness of
Infection by family membe「s (Table 6) symptoms in infant influenza cannot be totally explained by
Infection by family members was investigated in order to antibody titers alone.
clarify the source of infection in infants. Of infants up to 4 Nearly 15% of the infants aged between 6 and 12 months
months of age, about 50% were infected by their mother or showed 64- and 32-fold increases of antibody titers of
other family members . Only a few were infected from H3N2 and HlNl, which were probably derived from their
sources other than their family members. This was also true mothers. This may be one of the reasons why both the
of 5 and 6-month-old infants. child-type influenza, with relatively high fever, and the
milder infant type influenza are observed at these ages . On
Complications the other hand, no infants of 4 months or older, except one
There were no patients with severe complications of the 11-month-old baby. showed a 64-fold increased antibody
nervous or respiratory systems, or diseases such as pneu­ titer of B type influenza. This may be because only a few
monia that might require hospitalization. However, bran­ mothers have the B type antibody (due to the rare preva­
chitis, tympanitis and rhinorrhagia, though not severe, were lence of B type influenza), as shown by the results from the
frequently observed. Two 2-month-old infants with H3N2 cord blood serum.
influenza in 1993 who had a two-peaked fever of 39℃ or There have been a number of reports on the two-peaked
higher were hospitalized because their mothers simultane­ fever caused by influenza,1 2· 13 but the reason for it is not
ously contracted influenza. well understood. 1•·1 5 In this present study, infants who pos­
sessed antibodies derived from their mothers had a one­
Discussion peaked fever on contracting influenza. As shown in previ­
Severe infant influenza has been reported by hospitals,4-5 ous reports, infants who had had influenza in the past, vac­
but surveys conducted in infant homes show that fever in cinated children and adults who have probably contracted
infants is mild,1·9 agreeing with the results of the present influenza repeatedly, also showed the one-peaked fever.6· 12
study. This indicates that infection with influenza will cause a
To elucidate the reason for the mildness of fever in in­ two-peaked fever in an individual without immunity
fants, maternally derived antibodies and nutrition were ex­ agai nst influenza.
amined. The mean value of antibody titers that were trans­ There are various views concerning the prevention of in­
ferred from the mother decreases rapidly and reaches its fection by breast-feeding. 1 6 In the present study, it was not
lowest point at 5-6 months of age. The infant's antibody titers possible to judge the preventive effect of breast-feeding. In
count then tends to increase gradually in accordance with a survey of nutrition of infants in Kitakyushu City conduc­
Table 4 Clinical sy mptoms of infant influenza ted at about the same time as the present study, breast-fed
infants accounted for 50%, mixed nutrition 20%, and whol­
Age (months)
ly formula-fed 30% (T. Sakuma et al., unpubl. data).
0-6 (n = 51) 7-12 (n = 54)
A large number of infants were infected by their mothers
Coughing 36(70.6%) 47(87.0%)
Snivelling 33(64.7%) 45(83.3%) or siblings, and up to 7 months of age only a few were in­
Diarrhea 11(21.6%) 15(27.8%) fected in places other than their home. Prevention of virus
Vomiting 5(9.8%) 15(27.8%) invasion in the home will prevent most infants from con­
tracting influenza.
Table 5 Nutrition of 28 infant patients (0-4 months)

Age (months) No. patients Breast fed B>F B=F B<F Formula-fed (F) Unknown
221 50

I 2
2
314 88

2 7
112l

14 5

3 4
116

4 15
l7

To al 28 2
7

7.
2

3
5.
8

3


7.1%

49.9%
Table 6 Infection by family members in 51 p atients aged 0-6 months

Age (months) No. infant patients Mother Father S ibling Grandparents Nursery school Friend Unknown
1234 561

274 5581

2 6 2 5 5 4 24

2 5 1 7 l4 o
1 3 2 3 4 2 15


12137

lool

22
31
l]

4
3
5
t
a

Number of primary patients or number infected from infant patients (including more than one cases).

IV. インフルエンザウイルス 087


Severe complications and deaths caused by influenza have References
been reported,4·5 but none were encountered during the 1. Minamitani M. Influenza: An overview. In: Kobayashi
study period. Even though most patients in the present N,Tada T, Yabuuchi M (eds). New Encyclopedia of Pedia­
study had mild influenza, careful examination and treat­ tric and Related Medical Science. 20 C. Vol. 3: Children's
ment were undertaken. Two 2-month-old infants who had a Infectious Diseases 1st edn. Nakayama shoten, Tokyo,
two-peaked high fever in 1993 could have been treated as 1981;151-71 (in Jpn. )
outpatients but were admitted to a general hospital because 2. Grenzen WP. V皿I infections of the respiratory tract: An
their mothers simultaneously contracted influenza. The rel­ overview. In: Kelley VC(eds). Practice of Pediatrics, Vol.4.
atively severe fever of these two infants may have resulted Harper & Row, Philadelphia,1987; 1-26
from the absence of antibodies in their mothers because of 3. Wright P. Influenza viral infections: An overview. In:
a considerable shift in the antigen of H3N2 that occurred in Nelson WE(ed.). Textbook of Pediatrics, 15th edn. W.B.
1993. Saunders Co., Philadelphia ,1996; 901-3
The author performed symptomatic treatment on every pa­ 4. Paisley JW Bruhn FW, Lauer BA et al. Type A2 influen­
tient, and administered antipyretic drugs, cough medicine, za viral infections in children. Am. J. Dis. Child. 1978; 132:
expectorant and antidiarrheal drugs according to individual 34-6
symptoms. Antibiotics were also administered to patients 5. Liou Y, Barbour SD, Bell LM et al. Children hospitalized
suspected of having a bacterial infection. The careful in­ nf
with influenza infection. Pediatr. I ect. Dis. J. 1987; 6:
spection of general symptoms is the most important point. 541-3
The author treats all patients according to this principle. 6. Sakuma T, Shimohara E, Nashida M. Infant influenza.
In conclusion, the results of the study reported here con­ Jpn. Med. J. 1991; 3505: 43-50 (in Jpn.)
firm what the author has observed over many years as a pe­ 7. Yamada A, Imanishi J, Kishida K et al. Epidemic of type
diatrician in an outpatient clinic; that is, infant influenza in 8 influenza in a children's home. Clin. Viral. 1986; 14:
normally developed infants, especially those under 6 497-8 (in Jpn.)
months of age, generally displays milder symptoms thran in 8. Sugaya N, Mitarnura K, Takeuchi K. Influenza A out­
children and adults. The two-peaked fever, which is com­ break in 1983 and infections in young children. J. Jpn. As­
mon in children, is rare in infants and only exceeds 50% of soc. Inf Dis. 1984; 58: 1199-1205 (in Jpn.)
infants from the age of 9 months. However, the author can­ 9. Katagiri S, Ohizumi A, Homma M . Follow-up study of
not elucidate its mechanism. type C influenza outbreak in a children's home. Microbiol.
lmmunol. 1987; 31: 337-43
Acknowledgements 10. Maurel N, Bruijne JI, Bruningh HA, Schouten HJA.
My thanks to Ms Simohara and Mr Goto for their viral Haem-agglutination-inhibition antibodies against influenza
study, and to Mr T. Kuriya for his statistical study. A and influenza 8 in maternal and neonatal sera. J. Hyg.
Camb. 1978; 80: 13-19
11. Reuman PD, Ayoub EM, Small PA. Effect of passive
maternal antibody influenza illness in children: a prospec­
tive study influenza A in mother-infant pairs. Pediatr. In­
fect. Dis. J 1987; 6: 398-403
12. Sakuma T, Shimohara E, Goto S. Epidemic of influenza
in 1991-1992 and 1992-1993. Jpn Med. J.1995; 3716: 43-
53 (in Jpn.)
13. Kazi M. Influenza: An overview. In: Kazi M(ed.). All
About Cold Syndrome. 1st edn. Nankodo, Tokyo, 1978;
103-12 (in Jpn.)
14. Murakami S. Possible Role of Febrile Response in Host
Defence, 1st edn. Nihonizishinpo, Tokyo,1988 (in Jpn.)
15. Yamauchi K. Virus: An overview. In: Iriki M. Fever
Syndrome, 1st edn. Bunkodo, Tokyo,1989; 35-41 (in Jpn.)
16. Hashira S. Anti-infective factors in human milk. Sho­
niigaku, 1989; 22: 833-52 (in Jpn.)

088
適o 一
---


日Epstein-Barr Virus
ーーコ
固、、こす, 醤出:]らは

·-一·
工汀芍こ
ー手土コ
1· し
!`
EBV-抗VCAlgM 10により診断した。7病日 GOT、GPT、LDHの高値により入院した。
�:
血小板減少2.8X Iがをともなった。

Epsterin Barr virus 症例

発冑年月日 19991014
櫂患時年鵬 10
性 女 "'立ハ暢
嘱日 5 7 10

EBV・コウVCA lgM 10
EBV・コウVCA EBNA <10 %
EBV•コウVCA lgM
アデノ(CF)
マイコ(PA) 40
WBCX1び 49 66
Lympho% 51 57
Atyp;cal-L% 8 5
Neutoro%
(Stab)% 7 8
(See)% 35 24
Mono% 3 6
Eosin % 1 ゜
Boso% 274
CAP mg/di 03 l6 331
GOT U/1 51 276 705
GTT U/1 24 176
LOHU/1 380 718
いて 2 8 10
自分 で見て い ないにつの で ceはment 出来ない 血 .小 板
X 減少
4
リ ンJ O,の形態

匹I Epstein-Barr Virus
・ ー

・・・ ―年···が加,;;,.m .•ヘ


EBV抗VCAigM 20により診断した。 芯I

ニ、;; I 心西面·•• 鼈i•雌●1
;,1.::;:;1 コ.;‘,r. 可,i.
‘ .
.;i匹n: ジ立凸
9病8再発熱の為入院した。入院後 肝機能障害、顆粒球減少がみられた。 i 竺丁丁十三づ、i

Epsterin Barr virus 症例

発病年月日 1999.1213
糧患時年齢 3

病日

4 , 戸畑賓院
17

EBV・コウVCA ISM 20 10
EBVーコウVCA EBNA <10 % <10
EBV—コウVCA ls:M 160
アデノ(CF)
マイコ(PA) BO
WBCxl守 92 157 92
Lympho% 51 46
Atypical.(_% 8 13
Neutoro%
(Stab)% 4 4 10
(Ses)%
Mmo%
Eosln %

27

1
29
7
1
Boso%
CAP ms/di 05 04
GOTU/1 79 51 898
GTTU/1 57 58 979
LOH U/1 349 381 1468

自分/で見てい顧ないにつ で は nt出来ない
の come
リン n
稟の形 いて

090

匹J Epstein-Barr Virus
2001.19.29
EBV-抗VCA lgM 160により診断した。 EBウイルス抗 VGA lgG 640
Flowchartの如き発熱を示したが、 一般状態が比較的良かったのと EBウイルス抗 VGA lgM >160
EBウイルス抗 ESNA 10ミマン
肝機能障害がなかったので、 当院で経過を観察した。

`ゞ
を::ニニ
I
-

•/

曰Epstein-Barr Virus
EBY-抗VCA lgM >160により診断した。 2006.2.15
EBV-コウVCA IGM 160
Flowchartの如き発熱を示したが、 一般状態が比較的良かったので、 EBV—コウEBNA 10ミマン
マイコプラスマ(PA) X40
平成13年9月29日 GOT 159、 GPT 131、 LDH595であったが、
当院で経過を観察した。 肝機能は10月9日には殆ど正常に復した。
←·一年聖芦土劉庄芸土;
、:.r: へ出9叫 ,;ぷ猛1 、991 ,9 9 ぷl
ヽヒ

.,
竺狂・9

ほ骨

V.その他 091
四突発性発疹症 .:I
.........
在ぶふ,
/mI 1勺
各1|%I /S|
/?I /9

突発性発疹症の発疹を示す。 咽頭所見は定型的では無かった。 ...二

999-9 ,
,.,

ms.
•e e
で ん
りャみず
のどが9たい
`ヤば9う
·た1mmヽ

092
•L·

四突発性発疹症
典型的な突発性発疹症の咽頭所見を示す。

(,!消)
H9.忙み竺
三ダヽ
’I :
"さ. , 佐久間小II
・= 『刈呵 ゴ
41ど

□言コーロ=

本39

:長冒 こ
な言]雪


匹突発性発疹症 こ
H叱沿

e•.•• H/3.. I.bZ ー・白f 迂ltiク.


I和
己正土一崎
c :, ー戸

この症例はヒトヘルペスウイルス6 型 IgGにより診断した。 心0
==
..9 9 :
-• ニ
皮疹を示す。
:言
這。
呈主王 ―

ざ ,r-一


・←ー・ • 一•:=・•一.
ヒトヘルベスウイルス6型 g .,·ぷ・•=.ー・
==二. 一一:==二._.←

39 0 :

`こ . . ー....一..-··-·· -···
--· -. . .. . ---·· ----
-··-'
.

2002.77..259
.
l G(FA)
<10
X640

V. その他 093
●l二

四]突発性発疹症
典型的な突発性発疹症の咽頭所見を示す。
咽頭所見はヘルプアンギーナ様にみえる。

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四突発性発疹症
典型的な突発性発疹症の咽頭所見を示す。
咽頭所見はヘルプアンギーナ様にみえる。

℃しり了t-i:O 、 北叶

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094
日多形滲出性紅斑
Echovirusll感染に伴った多形滲出性紅斑第3病B

豆 湧
2001.7.3 2001.7.21
WBC 4200 4500
CRPmg/dl 5.5 く0.3
ESR mm/h 30 6
GOT U/L 32 31
GPTU/L 12 31
LOH U/L 244 188

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Echol 1 (HI) <8 16 -` -··
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Adeno(CF) <4
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CoxB-4(CF) 4 紐

VI.種々の発疹性疾患 095
匹多形滲出性紅斑
Echovirusll 感染に伴った多形滲出性紅斑第4病H

塁り多形滲出性紅斑
Echovirusll 感染に伴った多形滲出性紅斑第5病8

096
曰多形滲出性紅斑
rythema exsudativum multiforme(minor) Herpes simplex virus 1

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日多形滲出性紅斑
(HINI)
インフルエンザウイルスによる多形滲出性紅斑の記載は教科書にはない。私は頬の発疹
よりエコ ー 感染を疑ったがA(HINI)が分離された。発疹は両側性で、下左は大腿伸側、
下右は手関節部である。掻痒感は乳児ではっきりしない。咽頭所見は発赤と腫脹を認める。

H11'-27b


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VI.種々の発疹性疾患 097
四Jll崎病
Kawasaki diseaseの咽頭所見

1)

(1)病初期咽頭よりアデノウイルス4型を分離したが、
2病日、3病日と解熱せず、 次第に川崎病の諸症状が現れた症例。
(2)咽頭の発赤、 腫脹が著明で口蓋扁桃上に白色の滲出物を認める。

(2)

匹}川崎病
Kawasaki diseaseの皮膚所見
(1)

(1)

(2)

(1)皮疹は赤く、 発疹は不正型である。
非常に変な感じを受ける発疹である。
(2)皮疹とBCGの接種部位の再発赤を示す。

前胸部 (2) 前胸部 (2)

098
匿,Gianotti-Crosti syndrome
福岡県小児科医報.42:61舷>,2004を参考にしていただきたい。

サイトメガロウイルス感染は血消学的に診断した。

2003.7.3 Cytomegalovirus
lgG 29GI lgM 1.7MI
(謹の躙I3佐久間孝久・
福岡県小児科医報.
42:61-65,2004を参照)

--
■表1 H.14.4.25 1.2歳女

罰1
\層8.44 可 ,

11,"
溢三冒こ
831

9
91

WBC 103/ul 4.9 11.06 BUN mg/di 3.


02137

ABC 106/ul 4.38 4.87 4.55 クレアチニンmg/dl


9 60 4
10-

13

PLT 103/ul 33.6 27. 3 血清Na mEq/1


glOHl79
44104
68 320

K mEq/1
1
5

Lympho% 56 50 Cl mEq/1
5
107

Neutro Ca mEq/1
61383

(Stab)% 血清鉄ug/dl
9
35 5

355 0
332 5

348
7

3395

(Sag)% TIBCug/dl
9

Mono% 血清グルコ ースmg/dl


Eosin%
94
LL6 114

LL5
6

6 17
7 17 19 6
06

Baso% lgG870~1700mg/dl
1

lgAIIO~410mg/dl
CAP mg/di <0.3 <0.3 0 lgM35~220mg/dl
E避� mm/hour 12
435

ダ= 一 C3 65~135mg/dl
紅47g 53813西呵 8548

総蛋白g/dl C4 13~35mg/dl
アルブミンg/dl CH50 30~510U/ml

T-Bil mg/d 蛋白分画


□.Bil mg/di A/Gl.42~2 2.27
19 5
517

31 2
5 06
6 17
032

GOT U/L 1分画目58.8~70.9% 69.4ALB


.二こ

GPT U/L 2分画目1.8~3.7% 2.6al


7

7

LOH U/L 3分画目5.3~9.4% Hl l.3a2


AIP U/L 4分画目6.9~10.9% 8.2/3
52 生
6 45

CK U/L 5分画目10.3~22.0% L8.5Y



mm-

アミラ ー ゼU/L
-
表 ー CytlgG
2

4 日 rus り
4
2

ー 2


7.5 7.7
OVI

29GI(+) (1ミマン) 19.9(<2.0)


igMHB

1. 7MI(土) (1ミマン) 2.11(<0.8)


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0.01イカIU/ml(0.05ミマン) 0.00(-)
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0.1(<0.8)
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( )は正常値

VI. 種々の発疹性疾患 099


曰麻疹
/ムー96I)

口腔のコプリック斑、 下口唇
内側口内疹、 典型的皮疹を示す。
平成12年、2000年12月の症例。

100
塁l 麻杉;(麻疹ワクチン接種後)
H.5.5.17ビケン CAMBEMPl碑接種 腹部
平成13年3月14 8発病、
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平成13年3月16日 麻疹ウイルス(lil) 8X
平成13年4月10 8 麻疹ウイルス(lil)l<YM X 芦田—ー·,..l"I"

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コプリック斑は無く、

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小赤斑が点在し一部は水泡を形成している。



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VII.麻疹 101
日流行性耳ド腺炎水痘
どちらの疾患も軽度の発赤、 腫脹がある。
水痘では口内疹を認める例もある。

(1) (2)

102
日風疹
顔面、腹部の発疹を示す。
咽頭所見は軽度の発赤、 腫脹の他所見はない。

匹l 風疹
結膜の充血、 舌の変化を示す。
咽頭所見は軽度の発赤、 腫脹の他所見はない。

VIII. 古典的疾患 103


匿'伝染性紅斑
顔面の発赤を示す。 上腕のレー ス様のうすい紅斑を示す。

匿!伝染性紅斑
顔面の発赤を示す。 前胸部のレ ー ス様のうすい紅斑を示す。
咽頭所見は軽度の発赤、 腫脹がある。

104
伝染性紅斑

伝染性紅斑(ヒトパルボウイルスBl 9)
平成 17 年 (2005) 4~5 月に北九州では、伝染性紅斑(ヒトパ ル
ボウイルス Bl9) の小流行がみられ、 3 家族の母親に血清学的に感
染を確認した。(ヒトパルボウイルス Bl9) 検査は (EIA) 法により、
IgG ·IgM の基準値は 0.8 未満である。

検査月日 I 検査項目
lgG lgM
備 考

第 1例
↑ 11/June 第2子女 4.4歳
2005.5.26 (一 ) (一) 18/June 第1子男 8.7歳
6.18 13.3 8.15 典型的伝染性紅斑

第2例 12/May 第2子男 3.7歳


2005.5.12 9,47 9.65 20/May 夫
6.7 11 .47 4.43 28/May 第1子 男 6.10歳
成人の発疹は軽症だったが
子供2人は典型的伝染性紅斑

第3例 6.22第1子 男 7歳
2005.6.22 I l 0.55 7.32
典型的伝染性紅斑

母親の症状
第1例 5月26日より 頭痛・咽頭痛 全身の倦怠感
39歳 ↓約2週
両手関節痛・腰痛・手のむくみ

第2例 5月初旬より 両手関節痛・足・膝関節痛


36歳 手掌の赤味 約1 週

第3例 H 16.6.10発熱38℃
36歳 6.14再発熱某病院入院
CAP l.3mg/dl
W 1,640
Pit 8.3↓ XlO 勺µL
6.22次第に解熱し、退院
W 3,780
Pit 15.4 X 10勺µL

VIII.古典的疾患 105
D マイコプラズマ
2002.1 1. 7 2002.11.16
マイコプラスマ抗体 (PA) <40 X 1280
WBC 6300 7800
咽頭は軽度の発赤をみる。 左葉の肺炎があった。 <0.3
CRP mg/di LO
ESRmm 22 4

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0マイコプラズマ
2000.10.25 の検体
マイコプラスマ抗体 (PA) X坐退挫

咽頭は軽度の発赤をみる。 右中葉の肺炎と、 肝機能障害を認める。 WBC 8500


CRP mg/di 0.3
GOT U/L 138 GPT U/L656
LDHU/L 586

IX. マイコプラズマ 107


0 マイコプラズマ マイコプラズマ抗体(PA)
WBC
CRP mg/di
2000.1.5
N.D.
5600
3.7
2000.1.30
X2560
N.D.
0.9
ESRmm 78 36

2000.1.30
アデノウイルス (CF) I X8
咽頭は発赤と軽度の腫脹をみる。Flowchartにみられる発熱の為、 パラインフルエンザ !(HI) I <10
アデノウイルス、 パ ラインフルエンザl、3ウイルス、 バラインフルエンザ3(HI) I x 40
RSウイルス (CF) I x 16
R.S.ウイルスの抗体を検査している。


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0 マイコプラズマ
2004.11.4 2004.11.28 2004.11.4
マイコプラズマ抗体(PA) < 40 X 1280
バラインフルエンザJ (HI) N.D. <10 CR`�
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7
咽頭は軽度の発赤をみる。Flowchartにみられる発熱の為、
バラインフルエンザ3(HI) 160 160 ESRmm I �
42
RS ウイルス (CF) N.D. X4
パ ラインフルエンザl、3ウイルス、R.S.ウイルスの抗体を

検査している。

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症状経週表● e
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108
0マイコプラズマ
2000.1 1.6 2000.12.2 2000.1 1.6
マイコプラズマ抗体 (PA) 10 X 1280 WBC 13700
口蓋扁桃の発赤、 腫脹は著明で、Flowchartにみられる バラインフルエンザ l(HI) N.D. <10 CRP mg/di 2.2
バラインフルエンザ 3(HI) N.D. 160 ESRmm 16
発熱の為、 パ ラインフルエンザl、3ウイルス、
RSウイルス(CF) <4 >128

R.S. ウイルスの抗体を検査している。

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つどがいたい ゜ 0゜ n
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0マイコプラズマ
この症例は平成 15 年の 12 月 58の初診時、 マイコプラズマ
(PA) 抗体の 640 X は分かっていたが、全く呼吸器症状が無く、軟
口蓋の写真にみられるような所見の為に溶連菌感染症を疑った。
セフエム系の薬剤を投与したが、症状の改善は無かった。 12 月 15
82 回目の検査でマイコプラズマ (PA) 抗体の 2560 X を確認し、
クラリシッドに薬剤を変更し急速な症状の改善をみて治癒した。
マイコプラズマの肺外感染例と考えられる。尚、表に示す如くEB
ウイルス、インフルエンザ、アデノウイルス、Herpes simplex vi—
rus 1、サイトメガロウイルス、 溶連菌感染症は全て否定された。

03.12.8 031215 04.1.19


マイコプラズマ抗体(PA) X640 X 2560
EB抗VCA [gG X 160 X320
インフルエンザ (H3N2XHI) X 16-0 x80
(HIN!)(Jil) X640 x320
B (Ill) X 16-0 x80
アデノウイルス(CF) X16
HSVl(NT) <4
サイトメガロウイルスIGM(EIA) <I
ASK X40
ASLO <55

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IX.マイコプラズマ 109
x .細頗感染茄
...

血液寒天培地上のStr. pyogenes(/3型の溶血環)
紺野昌俊、 生方公子先生による

a. A群レンサ球菌 Streptococcus pyogenes


b.インフルエンザ菌 Haemophilus influenzae
c.黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus
d.ブドウ球薗性熱傷様皮膚症候群 (SSSS)

曰Streptococcus pyogenes
(1)'- ’’ ."=•一ーIヒーシ ヽ (2)
II ••一~~’ヒとツ (3 )
、 (1)

1. Streptococcus pyogenes (A群)


鳥―
L


g量―

軟口蓋の燃えるような発赤が特徴である。

一般に低年齢層に多い型である。



9:ぺ

二摩 ・
、°こ‘.、 9

(2) (3)

110
匹I Streptococcus pyogenes
(1)、- ■99999999999
9999,ll,999999999,L-�
9999999~999999,1 匂(2)

軟口蓋に発赤だけでなく小濾胞を認める。
写真1よりやや高い年齢層に多い型である。

(2)T-2

匹J Streptococcus pyogenes
(1) (3)
(1)
滲出性扁桃炎をしめす症例
一般に、 前の2型に比して更に年齢層が高い。

(3)

X. 細菌感染症 111
日Haemophilus influenzae

t揉道]反
Haemophilus influenzaの滲出性扁桃炎は非常に粘槻な感じがある。
非常に咽頭痛が著明で、 全身症状が烈しかった。
患者は非常に苦しんだ。

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匹Haemophilus influenzae
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非常に咽頭痛が著明で、 全身症状が烈しかった。
患者は非常に苦しんだ。

Haemophilus influenzae Enterococcus faecalis

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匹Haemophilus influenzae
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E遷荘iii: H
し今蜘

主訴 咽頭痛
Staphylococcus aureusを同時に分離した。 ··『●1.Ill......笠 . ・
発熱(一) • • • - - : 7.."・て二万仁ご. き一•一●●● ::ニ ニニニ.
...富 0 99上3999“’’□“‘“日”““'’
症状は軽度で患者は全く苦しまなかった。 鼻汁(土) ::::::::::.ユ土=出;ら

初診時
全経過を通じて、発熱なく、訴えも初診時と変わりなく、 顔貌 普通

.·,.,
軽い咽頭痛のみで、4~5日の経過で治癒した。 顔色 良

望 宝
す―�

•3 cc`
0~"0"

● CN 筐
食欲 良



、.
9 ou 9



機嫌 良
::了.1: '
睡眠 良

便通 ( )

X. 細菌感染症 113

u
r
a
e
IS
u』口琶―
日Staphylococcus
32涵7�

i
Staphylococcus aureusによるアンギ ー ナがあるのか、
無いのかは意見の別れているところである。
あるという説と、無いという説と、2次的にあるという説がある。
(1)右の口蓋扁桃の上扁桃腺寓とみられる部位から

――
吹き出たような黄白色苔がみえる。
(2)右の写真は回復期である。

匿I Staphylococcus aureus
15町
“`· ,.、,

戸口
=,デ函下戸孟冗

:
'.:I

(1)は急性期、

ニ ー
n
(2)は翌H、口蓋扁桃上の円形の黄白色苔の中心部から、

下二言 :~ピ•
::
:!
::

少し苔が融解し回復期に向かったことを示している。
I

圭nr=i
筐言ロー
l
(2)

114
2,.

四ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)
皮疹、 皮,,,と口唇粘膜との移行部の病変、 皮,,,のニコルスキ ー 現象を示す。 基幹病院への入院を必要とした。

..
. 、、
:ヽ• '..“

X. 細菌感染症 115
曰Rotavirus
腸管感染症であるが、 咽頭には軽度の発赤がある。

2005年2月28日 第2病日 ロタ・アデノドライを使用して便よりRotavirusを検出。

XI. 腸管感染症 117


日SRSV流行性嘔吐下痢症

腸管感染症であるが、 咽頭には軽度の発赤がある。
吐物よりのウイルスの分離の報告はあるが、 私は咽頭ぬぐい液よりのウイルスの分離は出来なかった。


1□ ;五― -―-唸化ふ]
-HI

月/日卜l/ふ P/, I />し_/立

118
■外来小児科 1999; 2: 191-202

外来小児科におけるEntericAdenovin1s40、41による
小児胃腸炎の臨床症状
佐久間小児科 北九州市環境科学研究所
佐久間孝久 仮屋園弘志

要旨 緒言
目的:外来小児科における腸管系アデノウイルス (EAd) Ente ric Adenovirus (以下、 EAd と略す)による胃腸炎の
の臨床症状の観察。方法:外来で得た検体より電子顕微 報告はそう多いものではない1~7l o EAdによる小児下痢症は、
鏡 でAdを検出し、Ad群特異抗原で EAd40、EAd41を Enter­ 臨床医は日常よく診ている疾患ではあるが、ウイルス学的臨
ic adenovirus40(EAd40) 、Enteric adenovirus41 (EAd41) 床検査の困難により、よく理解されているとはいえない。ま
特異的抗原で EAd40、 EAd41を同定した。結果: 1991年 11 た成書にみられる長期の下痢1~3)は、われわれの一 般外来
月より 1996年3月まで、胃腸炎の症状を訴えて来院した患者 では 、 患者を診察している著者などには、経験したことがな
より得た2,400検体より 131株のAdを検出した。 131株のAdは、 いように長い記載である。近年の臨床検査の進歩は北九
EAd40、2湖(19.1%);EAd41、3嬌 (25.2%);EAd40 or EAd41、 州市環境科学研究所においても EAd のウイルス学的検査
19株 ( 14.5%); EAd40+EAd41、 1 株 (0.8%) ;N onent e­ を可能にし、著者の外来診療でその臨床像を観察し得た
r i c adenovirus(Non-EAd) 、 39株 (29.8%) ;再検査でAd 陰 ので報告する。
性は 14株(10.7%) であった。 EAdウイルスは主として 6か月~ I . 対象と検査力法
2歳までの乳幼児より検出され、加齢とともに患者は減少した。 検査対象は 1991年 11月より 1996年3月までの間、胃腸炎
EAd の初発症状は 80%が下痢で 20%は嘔吐であった。発熱 症状を訴えて佐久間小児科医院を訪れた患者より得た
は軽症で出現は45 %以下。最高発熱の平均は 38℃ (37.1 2,4 00検体である。嘔吐のみを主訴とした患者の検体は浣
~38.8℃)、持続の平均は1. 7 日 (0.5~4日)。嘔吐はAd40の 腸により得た。保護者には体温、便性 、 一般症状の記載を
55%、Ad41の 62.5%。下痢はほとんど 100%にみられ、激しい 要請し、診療録の記録とともに症状を評価した。
下痢ではないが長引く傾向があった。1日の下痢の最高回 11 .検査力法
数の平均はAd40、Ad41ともに5回 (1~30回)、下痢の持続 便の検査法は表1に示す。
の平均はAd40は 4.5 日、Ad41は4.6日 (2~14 日)であった。 1) 電子顕微鏡による便中のEAdの検出は文献叫こよった。

結論: EAd による胃腸炎は小児の胃腸炎の主たる因の 2)咽頭よりのアデノウイルス (Ad)の検出は文献叫こよった。
つである。その症状は激しくなく、外来で加療可能であった。 3) 便中のEAd40、41、Ad group s pecific antigenの同定
EAd 感染、Rotavirus 感染、SRSV惑染は臨床の場において は monoclonal antibodies を用いたen zyme immu­
も、ある程度は鑑別が可能であった。下痢の持続は外国の noassay法 (EIA 法) 10) によった「このmonoclonal anti—
報告にあるように長くはなかった。 bodies(15D,Ad group-specific; 12D, Ad40 type-s pe­
Key Words:Enteric adenovirus、Non-enteric adenovirus、 cific; lF , Ad41 type-specific)は大瀬戸光明博士より
アデノウイルス胃腸炎 分与を受け、技術指導を受けた」。
4) EIA 法陽性例のうち EAd40/41 例 、 Non Enteri c ade­
no (Non-EAd)例、EIA陰性例は 293細胞にて 3代継代
■表1便中アデノウイルス検査法
培養した後、 EIA 法、indirect fl uorescent antibody
Sample

' '
法(I FA 法)4) を行い、 一 部はG293細胞中のウイルス
DNAを抽出、精製し、制限酵素Sma I で切断したもの
EM

' I ' ' ' '
Adv(+) A dv(-) を 5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (PAGE) した叫
5) 細菌学的検査は北九州市リンテック株式会社の細菌

' I '
EIA 40 41 40+41 40/41 Non-EAd #(-) 学臨床検査施設で施行した。
III.治療
脱水症を呈しないように心がけて加療した。患者の症状
3 passages in G 293 cells
によりその 10%弱に輸液を必要とした、重症の脱水症は 1 例
も経験しなかった。内服は Clostridium butyricumを主薬と
EIA/IFA 40 41 40/41 Non-EAd #(-) し 、 時にロ ー トエキス、タンニン酸アルブミン、ロペラマイドを併
用した。遷延する下痢にはtilactase を併用し、ミルクをボンラ
DNA analysis
クト、ソ ー ヤミー ルに変えることも指示した。
#(-) : Adenovirus antigen detected by EM but not detected upon retesting
EM : Electron microscopy 食事療法は年齢、症状に合わせて指導した。
EIA : Enzyme immunoassay
!FA : Indirect fluorescent antibody test DNA analysis

XI. 腸管感染症 119


N.結果 EAdではあるがEAd40 、EAd41を同定できなかった症例

1.ウイルス分離 (EAd40/41と略す) 19 株、EAd40+41 1 株は 1994 年にまと

年別、月別検体提出数と便中 Adの検出数を示す(図 1) 。 まって観察された(図 3-2) 。


1991 年11月より 1996年3 月まで 2,400の検体を調査した。 Non enteric adeno(Non-EAd)39株はほぼ全観察期間

毎年2月に検体が多く、9月が少なかった。検出数、検体数と にみられた(図 4) 。
検出数の比はともに5月に多く2月が最低であった(図 1 、 2) 。 電子顕微鏡ではAd陽性で再検査陰性例は14例であった。
EAd40、41 はほぼ各年毎に交互に流行した(図 3-1) 。

■表2 便中アデノウイルスの Enteric Adena-type Non-Enteric Adeno-group•


年齢別検出数 Age group 40 41 40/41 40+41 I 2 3 #(-) No.
m: month
y: year
0~5m
6~llm 4
1 1
10
3
2
1
7
3
8

3 3 37
, 6.9%
28.2%
No. : Number of patients
ly 15 7 5 3 3 2 3 38 290%
40/41 : Adeno40,41 undivided
*: p.121の注)参照
2y
3y
2
2 2
, 4
1
3
1
1
2
19
8
14.5%
6.1%
#(一):再検査陰性例 4y 1 2 4 1 2 10 7.6%
5y 1 2 3 2.3%
6y 1 1 08%
7~9y 1 1 2 4 31%
10~12y 1 1 0.8%
�13y l 1 0.8%
No. 25 33 19 1 12 21 6 14 131
Mean age ly 8m 2y 2y 2m 4y 10m ly 5m ly llm 2y 7m
Median age ly 5m ly 9m ly 10m 9m ly ly
Range lm-4y6m 5m-6y 4m-4y7m 5m-7y7m 3m-8y9m 8m-10y7m

■図 3 胃腸炎患者から分離された Enteric Adenoviruses


■図 l 年別、 月別検体提出数とアデノウイルス検出数 叶●3- 1 Ad40 and Ad4 1
No.

■ Ad40, 25 str,la,
一検体数2400 •疋l • 33 Strains
No
■ アデノウイルス陽性例131株
100

_-11
90
|
·
川 [

80


_ _

70

ービ

60
_

II

11 ]

_ 6
,' プ―

_ p­

_ l
_ 3
_
_
_

"

,

50
-

3-
5
B

8


如一
11
1
3

10
2

2
4
6―

2
12

89
i

Yea, and Month


40

●3-2 Ad40 or Ad4 l and Ad40+Ad4 l


30
No
8
20
■ Ad40ロ41: 19 Strains
• ^d40+91: 1 9traIns
10

Year and Month

■図 2 検出したアデノウイルスの月別例数と
検体数に対する割合 (1992.l→1995.12)


十アデノウイルス陽性割合
十アデノウイルス陽性例125株

2- 1 5 :五―gi0 1 -1可 , 10- 山Jlu 万5-e プ8-g10匹 1 2 3


検体数 168 279 337 169 147 163 171 148 84 116 202 246

1
25 l
― ― ー _ ― ー

Yea, and Month


"1 2 34 2-3 6 ?-B -2 3

20
■ 図4 Non-enteric adeno

adoao, 39 atralos
N 0
4
禾 pue·

■N=,叫 lし
l
5

この
阿桟董陰性例は14例
14例は図3.1 、 3·2、 図4には含まない
oN
l
0


·
·
·
·
·
·
·
·

·












L


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Month Yee, and Month

120
2. 便中 A dの年齢別検出数 ①初発症状
便中のAdは6 か月児より 2 歳児に最も多く分離した。 EAd EAd 群、Non-EAdl 群は嘔吐、下痢の消化器症状(嘔吐、
罹患者の平均年齢は2歳前後で、 EAd41がEAd40よりやや 下痢、腹痛)を初発症状とする症例が多く、Non-EAd2 群は
高かった。年齢の中央値は各型とも、平均値より低かった。 発熱を初発症状とする症例が多かった(表 3) 。この 2 群間
患者数は加齢とともに減少した(表2)。 の差は統計学上有意の差を認めた(p<0.0001 byがt est)。
3. 臨床症状 ②発熱
胃腸炎患者よりの 2,400検体より131株の EAdを分離した。 発熱の出現は EAdは EAd40の 45%が最高で他の EAd、
男性64例、女性67例である。他の病原体(細菌またはウイ Non-EAdl 群はさらに低く、Non-EAd2 群と際だった差を示
ルス)との混合感染を認めた9例と、電子顕微鏡検査陽性 した(表3) 。病気期間中の最高発熱はEAdはAd41 群が 38
例で再検査陰性例の 14例は臨床症状の検討からは除外 ℃であったが、Non-EAd2 群は39.3℃と高く、この 2 群間は統
した。臨床症状の検討は E Ad40-20 例、 EAd41-32 例、 計学上有意の差を認めた(p<0.0001 by unpaired Student 's
EAd40/41-18例、 EAd40+EAd41-1例、Non-EAdの 37例、 t est)。発熱の持続もこの2群間の差は著明で、統計学上有
108例について施行した。Non-EAd例は臨床症状により次 意の差を認めた(p<0.0001 by un paired Stu dent 's t est)。
の3群に分けた。 ③嘔吐
1群 (Non-EAdl 群):12例、症状が全く EAdに等しい。2 群: 各群とも嘔吐の出現は約 50%前後、1日当たりの頻度は2
(Non-EAd2 群)20例、症状が全く呼吸器系Ad 群( Res Ad ~3回、持続は2~3日で各群間に差はみられなかった(表4) 。
群)に等しい。3 群:( Non-EAd3 群)5例、前記の 2 群のどちら ④下痢
かの範疇にあるか決定できなかった群注) 。 下痢の治癒は乳児においては、1日の便の回数が発病
前となり、便性も正常に復したことを確認し、幼児では1日の
■表3 初発症状と発熱 便通が 1~2回となり有形軟便、有形正常便に復したことを
Initial Symptoms
確認して治癒日とした。
Enteiic adeno No of fever vomiting diarrhea abdominal pain
patients No(%) No.('l\) No(%) No(%) 下痢はほとんど100 %に認められたが、 EAd41 群に 2例、
40 20 1(5) 4(20) 15(75)
41 32 8(25) 24(75)
18 1(56) 16(88.9) 1(56)
Non-EAdl 群に 1例全く嘔吐のみ という症例があり、これら

40/41
40and41 I I
Non- EAd 1 12 1(8 3) 11(91 7) の症例の検体は淀腸によって得た。 EAd40、41 群では1日
2 20 16(80) 1(5) 3(15)
3 5 1(20) 1(20) 3(60) 当たりの下痢の最高回数も3.8~5回と多く、回数の範囲も 1
#(-) 14
Total 122 ●(-)阿検査陰性例 ~30 回と他群に比して多かった。下痢の平均持続日 数も
Fever
Enteric adeno No of Incidence mean range of mean dura. range of du ra.
4.5日とかなり長く、 Non-EAd2 群は殊に6.2日と長かった。Ad
patients No(%) pe ak℃ peak℃ days days
40 20 9(45) 37.7 371-388 13 1~3 による下痢は持続日数の範囲も 1~14日と他のウイルス性下
41 32 6(188) 38 37 4~38 6 17 0.5~ 4
40/41 18 2(111) 37 5 37 4~37.5 1.3 0.5~ 2 痢症に比して長かった。
40and41 1 I 371 37.1 I 1
Non-EAd I 12 4(333) 37 4 37.2~37.5 1.1 0 5~2 ⑤他の症状
2 20 20(100) 39 3 37 9-40.6 43 2 9
3 5 5(100) 38.3 38-38.9 09 0 5~1 a) 呼吸器系合併症:中耳炎、軽症鼻炎も呼吸器系合併症
#(-) 14
に含む。 EAd 群、Non-EAdl 群の呼吸器症状の合併は
■表4 嘔吐と下痢 Non-EAd2 群のそれに比して低かった(表5)。この 2 群間
Vomiting
Enteric adeno No.of Incidence mean max. dailJ range of mean dura range of dura. の差は統計学上有意の差を認めた(p <0.0001 byがtest)。
patients No(%) frequency frequency days days
40 20 11(55) 2.1 1~6 21 1~6
20(62 5) l~8 1~8
重症の肺炎は1例もなかったが、 EAd40を便中に証明し

2

゜ ゜
32 23

゜ ゜
41
40/41 18 5(27.8) 26 1~5 2 1 -4
40and41 I た6か月の女子の1例は重症の細気管支炎を合併して入
Non-EAd 1 12 2(16 6) 55 1~10 3 2-4
2 20 8(40) 3.1 l~5 23 2~3
3 5 1(20) 2 2 I I
#(·) 14
■表 6 乳児の感染と栄養法との関係
Diarrhea
No. Sex Mon th Virus Nutrition Seve rity o
Enter ic adeno No.of Incidence mean max. dailJ range of mean dura range of dura.
patients No(%) frequency frequency days days o age sym ptoms
40 20 20(100) 5 2~13 45 2~9
M M FM M M M M BM M BM B
f mf mmf f mmf f f mm
1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011121314

1 345 5 5 5 5 5 6 6 6 6 6

1 2 llll2 2 1 331 1 1

41 32 30(938) 5 1~30 46 2 14
40/41 18 18(100) 38 l~10 38 1-8 40
40and41 I I 1 1 4 4 Non-EAd group2
Non-EAd I 12 11(917) 51 4~9 39 2-7
2 20 20(100) 37 1~7 62 1~13 40/41
3 5 5(100) 29 1-7 44 2~7 40/41
#(-) 14
41
■表5他の症状 40/41

patients No ` `
Enteric adeno !Nu mber of恥mresp.il conjunc
tiviti
No
E su
s onx tondsail s Fluid th eraPJ
No.ill
te

N .o 駕
Severity of pharyng. swab
symptoms• (+)
Non-EAd group2
Non-EAd group2
Non-EAd group!
f
40 20 8(40) 2(10) 1.6 f
41 32 6(18.8) 5(156) 14 40
6(333)


40/41 18 1(5.6) 12
40and41 I 41


Non-EAd 1 12 3(25) 11 41
2 20 15(75) 3(15) 2(10) 2(10) 24 Ad2Ad3..
3 5 2(40) I 40/41
14 2(143)
# ()-
治療9こ駁し、 各往例の疾患のft重を以下の基讚で評値し 、 採点した.
Non-EAd group!
, II,, 2.中等"' 3.重虻4. やや重.. 5.J.変重症 詳編は文戴°を書1!11.
..•この2例は便の検査でAdenovirus陽性闘に""'こ咽頭よりAd2、Ad3を分霞した。 f:女児 m:男児 B:母乳栄焚 F:人工栄狡 M:混合栄養

XI.腸管感染症 121
院を必要とした。また、EAd40を便中に証明した2歳5か月 ■表 7 Enteric adenoviruses,SRSV,Rotavirus感染症の比較
の男子1例は持続する発熱と咳嗽で入院を必要とした。 Enterlc adenovirus SRSV Rotavirus

ほぽ年間を通じて 秋より冬 に かけて


b)結膜炎、口蓋扁桃の滲出性扁桃炎:Non-EAd2群に認 季箇性 みられるが . 4~6月に
多い傾向がある
Rotavlrusの流行に
先行する
冬. 1~2月が多い

められ、EAd群、Non-EAdl群には認められなかった。 I 好発 年齢Iぷ3VImsとも6ヵ月~2戴までに多い、 加齢に従って減少する I


好発年11 幼児と乳児では
症状に聾がある
c)輸液を必要とした症例:甫症な脱水症は1例もなかった。
熱、 痢が

EAd群の8例、Non-EAd2群の2例に発熱、嘔吐、下痢の 初発紅状 下痢 鴫吐 発ほ激 とし ん 疇ど同 時 に
吐、

く 始まる

治療に輸液を必要とした。 く es r Ad的 0 よ り は
発 軽虞、 発熱例が少 ない 軽初震 、 発よ 熱り やや遅れて R症
軽 p でi a tor,
例は少な

病 期
熱する 持 績は 2 日 くらい である
d)疾患の重症度:EAd群、Non-EAdl群の平均は1.1~1.6、 発
病 期 に●明
疇吐 軽度 し か し治露傾 向は 中等廣
Non-EAd2群は2.4であった。この2群間の差は統計学上 強い

し い、
下痢
●症ではないが
軽下痢を欠 く 例も 識臼 水 様 、 強い醸臭
有意の差を認めた(p<0.0001 byがtest) 。この重症度 持観する 症 色 便もある
. 特に年畏

ある
児では

ベッドサイドで籐行 (+)発熱響明であれば
の判定基準は文献叫こよる。 m
可II! 費巴 Res.Adeno. (-) (+)
口夕、 アァノドライ• 発熱軽震であればEnt.Adeno

e)咽頭よりのウイルスの分離:Non-EAd2群の2例の咽頭よ 冑Ill 5日 3日 7日

り、Ad2 1株、Ad3 1株を分離した。 痘の· 1.6 1.4 3.2

*:感度は低いが参考になる 。 **:スコアは文献叫こよる 。
4. 乳児の感染と栄養法
この報告では6か月未満児は14例であった。母乳栄養児 は著者らのごとく 4年 にもわたる報告はなく、はっきりした傾
は3例、人工栄養児は1例、混合栄養児は10例であった。母 向 を示すもの は な か っ た。著者ら の観察ではEAd40、
乳の感染防御効果についてはこの報告では明らかにでき EAd41はほぼ交互に流行していた。ただ1994年に愛媛衛
なかった(表6)。 研分与のモノクロナル抗体でEAd40、EAd41を同定できな
5. 家族内感染 かった株が集中して みられた。これは検体の量の不足、再
家族内感染は多くの家族に認めた。しかし家族内感染 検査のための凍結、融解などで抗原の力価の低下などの
でウイルスを分離できたのは2家族であった。2家族とも1993 問題もあるが、この時期、EAd40、EAd41に何か愛媛衛研分
年 5月の症例で、2家族とも年長児より年少児への感染で、 与のモノクロナル抗体との間に抗原の微細な変異があった
1家族はEAd40、他の1家族はEAd40/41感染であった。 のではないかと考えている。
EAd40の発病間隔は5日、EAd40/41の発病間隔は8日であ 月別の便中Adの検出数は数も検体数との割合でも5月
った。 が最高で2月が最低であった。Non-EAdはほぼ通年みられた。
6.混合感染 この傾向は4,16)の報告に同様であった。
EAd群の7例に他の病原体との混合惑染を認めた。細 性差は諸家の報告5, ) にもみられず、著者らの報告も同様
6

菌との混合感染は2例(EAd40とSalmonella04、EAd41と であった。
Campylobacter)であり細菌性胃腸炎の症状を示した。他 V1.年鯨分布
のウイルスとの混合惑染は(EAd40とSmall round struc­ 患児の罹患年齢に関しては、いずれの報告も4~5歳以
tured virus:SRSV) 2例、(EAd40/41とSRSV)l例、特別に 下の、殊に2歳以下の児に多いと報告している←7) 。EAd40、
重症化することはなかった。EAd40の2例は胃腸炎に持続 EAd41の間ではEAd41が高いとする報告5, ) と差はないと 15

する高熱と強い咳嗽、鼻汁を伴い、明らかにEAdに他の病 する報告4) があるが著者らの観察では平均年齢、年齢の中


原体の混合感染を疑わせたが、他の病原体の検出はでき 間値ともEAd41がわずかに高かった。64%が2歳未満児でこ
なかった。Non-EAdの2例はSRSVの混合感染を認めた。 の年齢児が下痢しやすい傾向にあると考えられる。呼吸器
同 一患者の再感染例は1例もなかった。 系Ad感染と考えられるNon-EAd2群の年齢の中間値が非
V.考寮 常に低いのは、Adl、2、3、4、5、6、7に乳児が罹患すると下
著者らは1987年叫こRotavirusによる胃腸炎を、1996年 4) 1
痢症状を併発することが多いと考えられる。
にSRSVによる胃腸炎を報告してきた。そして今回EAdによ vn.痘状
る胃腸炎の報告を加え得た。これらの 3種のウイルスは乳幼 Non-EAd群は症状の差により3群に分けた。1群は、著者
児の胃腸炎に最もよく みられるウイルスで ~3, ~7, ) 、その症 らはtypeの同定をし得なかったが文献 , , )により、Ad31では
1 5 14 1 2 16

状の差を比較検討することができたことは大変な燒倖であ ないかと考えている。2群は著者らはtypeの同定をし得なか
った。3種のウイルス性疾患の症状の差を表7に示す。 ったが、Adl、2、3、4、5、6、7ではなしヽかと考えている。Non­
検体提出数はほぼ胃腸炎の患者数を反映していると考 EAd2群の2例より、それぞれ同時に咽頭よりAd2、Ad3を分
えている。Rot avirus流行のためか、毎年2月に最も検体数 離し得たことは、この群が呼吸器系Ad群であることを示唆し
が多く、9月が最低であった。 ていると考えている。3群は1群、2群のいずれにも決定しか
4)
EAdの年次別、月別の報告はさほど多くはない。山下 の ねた群であった。
報告では1986年頃よりEAd41が優位となり、1991年以降は EAd40、EAd41の間に症状の差があるとする報告 ,5) があ 4

EAd40の分離はない。荒木 15, ) の報告は観察期間が短く、


16
る。著者の報告でもわずかに認められたが、はっきりしたも
あまり明瞭な傾向はないが、EAd40、EAd41はほぼ交互に のではなかった。
流行し、著者らの観察と同様の傾向であった。外国の報告 EAdの75%、Non-EAdl群の91.7%が初発症状が下痢で

122
あった。これに対してNon-EAd2 群は 80%以上が発熱が初 って、それぞれかなりの程度までは鑑別でき、かつべ州サイ
14)
発症状であった。著者らの先の報告 ではSRSV感染では ドでロタ ・ アデノドライの検査を施行すれば、さらに確診を得
72%が嘔吐を初発症状とした。Rotavi rus 感染では、発熱、 ることができる疾患である。
13)
嘔吐、下痢の症状がほとんど同時に激しくみられた 。これ
らの初発症状の差は非常に診断の参考になるものであった。
←7)
EAdの発熱は従来の報告はすべて軽症であった 。著 謝辞
者らの観察でも発熱の出現頻度、程度ともに軽症であった。 ウイルス学的研究を施行していただきました北九州市環
Non-EAd2群の発熱は呼吸器系 Adの発熱症状に同等で 境科学研究所の下原悦子先生、中村悦子先生、統計学的
あった。 考察をしていただきました久留米大学小児科学教室の安

嘔吐は半数以上の症例に認められたが、文献 7)にみら 藤昭和博士に深謝いたします。
れるごとく、程度はあまり重症ではなかった。
vm. r痢 文献
1) Hammond GW. Adenovirus: An overview. In ; Long SS, Pickering LK
下痢はその持続が非常に長い報告 5, ) と、著者らの報
7

and Prober CG (eds). Pediatric Infectious Diseases. Churchill Living­


告に近い報告6)がある。そのために文献5,” を参考にした教 stone, NewYork,1997; 1182-1188
3
科書 1~ )は、われわれの 一般小児科外来では経験したことが 2) Cheny JD. Adenoviruses:An overview. In ; Fegin RD and Cheny
JD(eds)
ないような長い下痢をする疾患として記載してある。下痢の Textbook of Pediatric Infectious Diseases, 4th edn.volume2. WB Saun­
定義、便性が正常か否かの判断により多少の長短がある ders, Philadelphia, 1998; 1666-1684
3)西尾治アデノウイルス:牛島広治編 . ウイルス性下痢症とその関連疾患 .
のかも知れないが、非常に長いのは Sweden5) 、Canada7l の
新興医学出版社東京, 1995; 57-67
報告であり、著者らに近いのはAmeri ca6) の報告である。本 4)山下育孝 , 服部昌志, 大瀬戸光明 , 他. 小児における腸管アデノウイルス
邦では未だ著者らの他に下痢の持続などに関する報告が 胃腸炎の疫学感染症学雑誌1995; 69: 377-382
5) Uhnoo I, Wadell G, Sevensson L, et al. Importance of enteric adeno­
ない。国により下痢の持続に差があることは、それらの国の viruses 40 and 41 in acute gastroenteritis in infants and young children.
医療制度、気侯、衛生状態によるのかも知れない。日本の J Clin. Microbiol. 1984; 20: 365-372
6) Kotloff KL, Losonsky GA. Morris JG, Wasserman SS, Singh-Naz N,
医療制度は非常に容易に、少額の経済負担で医療を受け
and Levine MM. Enteric adenovirus infection and childhood diarrhea.
られる。特に著者らの北九州市は救急医療の制度が充実 An epidemiologic study in three clinical settings. Pediatrics. 1989; 84:
している地域である。発病後数時間で受診し、食事療法、 219-225
7) Krajden M, Brown M, Petrasek A. and Middleton PJ. Clinical fea—
脱水症の予防、薬剤療法など医学的管理を受けている患 tures of adenovinls enteritis : a review of 127 cases. Pediatr Infect Dis J1990
児は珍しくない。著者の経験した最も下痢の長かった症例 ;9 :63侶1
8)大瀬戸光明下痢症ウイルスの電子顕微鏡による検出. 微生物検査必携ウ
(EAd41 罹患児;下痢の期間 14 日)は、発熱もなく患児の 一
イルスクラミジア ・ リケッチア検査(原生省監修) . 日本公衆衛協会,東
般状態が全くよかったために、母親が様子をみていて、下 京1987;第3版第II分冊 , 各論1, 176-179
痢が続くので来院した時は、すでに発病7日であり、加療を 9)中園碩樹アデノウイルス. 微生物検査必携ウイルス·クラミジアリケッチア
検査(厚生省監修). 日本公衆衛生協会, 東京. 1%7;第3版 , 第1I分冊, 各論1: 68-
始めて7日で治癒した。ちなみに著者は脱水症の予防には 79
意を用いたが、下痢への整腸剤の投与、食事の注意など 10)井上栄 . ELISA微生物検査必携ウイルス ・ クラミジアリケッチア検査
一 (厚生省監修) . 日本公衆衛生協会, 東京 . 1987;第3版 , 第1分冊 , 総論 48
般の加療以外に特別の治療はなにもしていない。
61
IX . 他の症状 11)藤永薫 , 坂岡博 . アデノウイルス:坂岡博藤永蹂編分子疫学. 東京
l . 呼吸器症状の合併 共立出版1990: 318-326
12)佐久間孝久. 感染性胃腸炎ー特にsmall round virusの臨床像 . 東京小
呼吸器症状の合併は従前の報告に等しく4,5)、Non-EAd2 児科医会報(特集号)1994; 10-13
群に多く、EAdに少なかった。 13)佐久間孝久. Ro血加迷t小児急性下痢症の臨症日本医事新報l'&rl; 3289:
30-34
2. 輸液を要した例
14)佐久間孝久, 仮屋園弘志, 中村悦子, 他. 感染性胃腸炎ー特にsmall round
この報告では重症の脱水症は 1 例も経験していないが、 virusの臨床 . 日本医師会雑誌1996; 115: 1103-1111
lOf列に輸液を必要とした。同様の報告は文献5)にみられるが、 15)荒木和子,藤田靖子 , 篠崎立彦, 他 . 腸管アデノウイルス感染症の流行
疫学 . 日児誌1988; 92: 2361-2366
数例の重症の脱水症の報告もある見 16)荒木和子 , 察長海 , 佐藤賢子 , 他 . 腸管アデノウイルスの地域的流行例 .
3.疾患の重症度 惑染症学雑誌1994; 68: 1459-1464
17)国立予防衛生研究所:アデノウイルス感染症 1982~1993. 病原微生物
著者らは疾患の治癒に際し、疾患の重症度を文献叫こ
検出情報. 1994; 15: 97-98
記載した基準により評価した。EAd 群は軽症と中等症の中 18)柱新太郎.母乳の感染防御因子 . 小児医学. 1989; 22: 833-852
間にあり、Non-EAd2群は中等症と重症の中間にあり、Non­
EAd2群の方が重症感があった。
母乳のAd ウイルス感染の予防効果は、不分明であった。
X.結語
1. EAdによる胃腸炎は外来で充分加療可能な感染といえ
る。
2. EAd 惑染、Rotavi rus感染、 SRSV感染は臨床症状によ

XI. 腸管感染症 123


■日本医師会雑誌1996; 115: 1103-1111

感染性胃腸炎
特にsmall round vinlsesの臨床
北九州市佐久間小児科医院 北九州市環境科学研究所 北九州市環境科学研究所 北九州市環境科学研究所

佐久間孝久 仮屋園弘志 中村悦子 下原悦子

はじめに ■図lウイルス性、細菌性胃腸炎年月別患者数
140
感染性胃腸炎、特にsmall round viruses(以下SRVと略
す)の臨床像については、中田 ~2八岡田3)、角掛4)、石丸5)な
1
120 1.497例■ウイルス性
どの報告がみられるが 、 本症はウイルスの検索に電子顕微 305例■細菌性
100
鏡を必要とするだけに、小児科臨床医にとって、必ずしも一
般的によく理解されている疾患とはいえない。 80

筆者らは1992年から1994年まで、SRVの臨床について 60

観察する機会を得たの で報告する。 ほとんどの小児科医に


40
とってA群rotavirus(以下A-rotavirusと略す)惑染は、症状
の特異性と、 最近はベッドサイドでの臨床検査が可能になっ 20


たことで、 病像がよく理解されている疾患といえる。SRV感
染の臨床像の理解を容易にするためにA-rotavirus感染の
臨床像を併記した。
SRVについては、 1994年の日本小児科医会生涯教育研 I.結果
修会での発表 6)の症例を含み、A-rotavirusの臨床症状に 1.病原微生物検査結果
関しては、筆者の先年の報告の結果7)を用い、A-rotavirus (1)感染性胃腸炎年月別患者数
の流行性、患者数、乳児の罹患、重複感染は今回のデー タ 外来で臨床診断をしたウイルス性胃腸炎1,497/1,802例
を使用した。 (83.1%)、細菌性胃腸炎 305/1,802例(16.9%)の 年月別の
l.検査対象 患者数を示す(図 1) 。夏季に細菌性胃腸炎が多く、冬から
1992年1月から1994年12月まで、佐久間小児科医院に胃 春季にウイルス性胃腸炎が多く、秋は両疾患とも少なく、毎
腸炎症状を訴えて来院した患者1,802例中、検体を得られ 年ほぼ同様の傾向を示した。
た1,631例である。 (2)病原微生物検出割合
2.検査材料 1,802例の症例中、検査を実施しえたのは1,631例(90.5%)、
患者から採取した糞便は氷室に保存し、可及的早急に 種々の理由で検査実施しなかった症例は171例(9.5%)で
北九州市環境科学研究所に搬入し、病原体の検索を施行 あった。原因微生物を検出した症例は635/1,631例(38.9%)、
した。下痢症状のない患者については浣腸便を使用した。 重複感染が14例あり、 分離した病原微生物は649株、うちウ
3.検査方法 イルスが558株、細菌が91株であった。原因微生物を検出
(1) ウイルス学的検査診断は北九州市環境科学研究所に できなかった症例は996/1,631例(61.1%)であった。
おいて実施した。 A-rota virusが最も多く分離され279/649株(43.0%)、次
① SRVの検索は大瀬戸町こよった。 にsmall round struc tured virus(以下SRSVと略す)
② rotavirus、adenovirusは外来においてOrion Diag­ 132/649株(20.3%)、adenovirus97/649株(14.9%)、 calici­

nostica社製ロタアデノドライを用いてスクリ ニングを実施し、 virus 25/649株(3.9%)、astrovirus 12/649株(1.8%)、C群
直接電顕法は大瀬戸町こよった。 rotavirus(以下C-rotavirusと略す)9/649株(1.4%)、reo­
③ rotavirusの電気泳動法は松野叫こよった。 virus 4/649株(0.6%)の順であった。
④ reovirusの電気泳動法は池上 10) によった。 細菌はC. jejuni 45/649株(6.9%)が最も多く分離され、病
(2)細菌検査 原性大腸菌35/649株(5.4%)、 ■図2 ウイルス検出割合
Compylobacter jejuni(以下C.jejuniと略す)、Salmonel­ Salmonella 11/649株(1.7%) 0.7%(4棒)

似病原性大腸蘭検査は、(株)リンテックに依頼し、 Sa/mo­ の順であった。


nellaの血清型の検査は福岡市医師会病院に依頼した。 (3)ウイルスの検出割合
(3)臨床観察は全例、佐久間小児科医院で実施し、診察所 A-rotavirusが半数を
見と診療録により整理検討した。 占め、SRSVが1/4弱、 calici
4.5%(25 樟l

adenovirusが1/5弱、 astro
2.2%(1 2株)

残りを他のウイルスが
占めた(図 2) 。

124
(4) 年月別患者数と季節性 chain reaction 法(以下 PCR法と略す)による毒素遺伝子
① SRSV 感染 132 例、ca licivirus感染25 例、astrovi rus感 の検索を行 ってお り、1993 年10 月、0157を検出した 1 例から
染 12 例(図 3-1) 。SRSVの流行には季節性があり、特に 9 月 PCR法によりVero毒素遺伝子を検出した。
にはほとんど発病がなく、年により 10 月、ある いは11 月から (5) 年齢別患者数
rotavi rusに先立って流行が始まり、12 月、1 月にそのピー ク ① SRSV 感染 132 例、cali civirus感染25 例、astrovi rus感
がみられた。夏季の 発病は年によって異なるようである。 染 12 例(図 4-1) 。SRSVは1~2歳児に最も多く、次いで6~
cali civi rus感染、astrovirus感染については例数が少ない 12か月児が多いが、 幼児期以降にも相当数の発病がみら
が SRSVの流行と ほぼ同様の経過が窺われた。 れた。calicivi rus、astro virusは例数が少ないが、やはり1歳
② A-ro t av i rus 感 染 279 例、 C-ro t av i r u s 感染 9 例 、 前後の乳児に発病のピー クがあり、幼児にも発病がみられた。
reovi rus感染4 例、adenov i rus感染 97 例(図 3-2) 。A­ ② A-ro t av i rus 感 染 279 例、 C-ro t av i rus 感染 9 例、
ro tavirusは冬季に流行し、インフルエンザの流行に や や遅 reo virus感染4 例(図 4-2) 。A-ro tavirusは1~2歳児に最も
れて、2 月、3 月に流行のピー クがみられた。adeno virus感染 患者 数が多く、次いで 6~12か月児が多か った。しかし、
はぼぼ年間を通じてみられた。 SRSVと異なり3、4、5歳と加齢とともに患者は減少 した。
③ C. jejuni感染45 例、Salmonella 感染 11 例、病原性大 ③ adenovirus感染97 例(図 4-3) 。adenovirus感染は症
腸菌感染 35例(図 3-3) 。C. jejuni感染が最多でほぼ年間 状により消化器系 adenovirus感染 82 例、呼吸器系 adeno­
を通じてみられた。Salmonella(以下 s.と略す)感染はS. en­ virus感染 15 例に分けた(以下消化器系 adenovirus感染は
ter itidis 4 例、S. Thompson2 例、S. Bareilly 1 例、S. in/an tis 1 adenovi rus感染,呼吸器adenovi rus感染は呼吸器系 ade
例、S グル プ09 2 例、および型別不明 1 例であった。病原
ー novirus感染と略す)。
性大腸菌については1993 年以降は全例p olymerase adenovi rus感染は6~12か月児に最も多く、次いで1~2
歳児が多かった。幼児にも発病がみられた。呼吸器系 ade
■図3年月別患者数
(例)14
no virus感染は各年齢に 一様に発病がみられた。この観察
[図 3- l J
SRSV, Calici, Astrov1rus
期間に 同 一 症例の便と咽頭から細胞培養によって分離さ
12 132例 ■ SRSV
25例 ■ Calici れた adenovirusは4株、全例adenovirus 3型であった。
10 12例 ■ Astra
■図4 年齢別患者数
B

■図4-1 SRSV, Cal i c i, Astrovirus


(例)45
6

40
132例 ■ $RSV
■Callci
4

35 25例
12例 ■Astro
30
2

25

(年月)

[図 3-2] A-rota, C-rota, Rea, Adenovirus


(例)70

60
279例 ■ A-rota
50
9例 ■ C-rota ■ 図4-2 A-rota, C-rota, Reovirus
4例 ■ Reo (例)140
40 97例 ■ Adeno 279例■A-rota
120 9例■C-rota
4例■Reo
30 100

80
20
60

10

(年月)

[図 3-3] Campylo. Salmonella. 病原性大腸菌




■ 図4-3 Adena, 呼吸器系Adeno


9

45例 ■ Campylo
8

(例)25

11例 ■ Salmonella ■Adeno


7

82例
35例 ■ 病原性大腸菌 20 15例 ■ 呼阪器系Adena
6
5

15
4
3

10
2
1
0

(年月)

XI. 腸管感染症 125


2.臨床 は SRSV惑染にほぼ等しかった。
ウイルス性胃腸炎の症状比較を表 1 に示す。 ③治癒までの日数、呼吸器症状、輸液を必要とした症例
(l)SRSV感染 などはSRSV感染にほぼ等しかった。
①初発症状として嘔吐を主徴とすることが特徴的であり、 B) 呼吸器系 adenovirus感染
経過中の嘔吐の頻度もほかのウイルスに比して断然高かっ ①初発症状は発熱で、発熱の程度も持続も顕著であった。
た。 ②嘔吐 は SRSV に比すと少なかった。下痢の症状は
②乳児は嘔吐も下痢も顕著であるが、3歳ごろを境にして、 SRSVなどの惑染にほぼ等しかった。
幼児学童では嘔吐のみが著明で下痢を欠く症例もみられ、 ③治癒までの日数はSRSVなどの感染に比してやや長く、
乳児と年長児の間に年齢に よる症状の差を認めた。 高熱の持続のためか輸液を必要とした症例もやや多か
一 一
③発熱は 般に軽度で、発病後5~12時間後に 過性 った。
の軽い発熱をみることが多かった。 (5)rotavi rus 感染
④治癒までの日数は 3日前後で予後は全く良好であった。 A )C-rotavirus感染
⑤ 3歳以上群に輸液を必要とした症例が多かったのは、 症例が少なかったが症状はSRSV、calici感染に似ていた。
嘔吐に対する治療のためである。 症状の程度もほぼ等しかった。A-rotavirus感染に比すと非
(2)cali ci vi rus感染 常に軽症であった。
①基本的には3歳以下のSRSV感染に似た症状であった。 B)A-rotavirus感染
ただ3歳以下のSRSV感染に比すと、初発症状の嘔吐の訴 A-rotavirus感染は発熱、嘔吐、下痢、いずれもほかの疾
えがやや少なく、下痢の出現の割合もやや少なかった。 患より顕著であった。治癒までの日数、呼吸器症状の合併例、
②治癒までの日数、呼吸器症状、輸液を必要とした症例 輸液を必要とした症例はすべて他の疾患より多くみられた。
などは SRSV感染にほぼ等しかった。 ただ\嘔吐のみは SRSV感染に比して出現は少なかったが、
(3)astrovi rus感染 嘔吐回数、嘔吐持続はほかの疾患より顕著であった。
症例が少ないが症状は SRSV、ca lic i感染に似ていた。 3.各ウイルス症状の程度の比較
ただ初発症状としての嘔吐が SRSV感染ほど顕著ではなか 各患者について、病歴、現症、治療、予後などを考慮して
った。 疾患の重症度を評価し、採点したのが表2である(なお、評
10
(4)adenovi rus 感染 価の基準の詳細については、紙面の制約上文献 )を参照
A)adenovirus惑染 されたい)。
①初発症状は SRSV感染に比して下痢、腹痛が多いの A-rotavi rus 感染が他 疾患より重症 で、次に 呼吸器系
が特徴であった。 adenovirus感染であり、ほかの疾患は お おむね同等程度
②嘔吐が SRSVより少ない点を除き、発熱、下痢の症状 であっ た。

■表1ウイルス性胃腸炎の症状比較
初発症状 発熱 嘔吐 下痢
I
品息
蜘 数⑤

発熱 発熱最高発熱発熱持続曝吐 最高11吐持続下痢 最高 治癒 呼吸器 輸液を


例数I の平均日数の 疇吐数の日散の 下痢数のまでの症状の必要と
出現数 平均 出現数平均 平均 出現数平均 日 数合併症した症例
息 (%)℃日 (%)回日(%)回日(%)

呻°
SRSV 2 55 19 22 59 70 21 4
76 (2.6) (72.4)(25.0) (28.9) 37.7 1 .7 (77.6 ) 2.9 1 .2 (92.1) 3.5 3.7 (27.6) (5.3)
3歳まで

し4

]記三ふ三Iヨ正三□三 了: I:コミ:豆 ::匠岨三臼 I 三: :三霰:::覧:


1 3 6
3歳以上148 (2 1 ) (9ヤ7) (63)I(4甜379 1 2 1(9358) 41 12 (5:2) 21 1 22 8)(2 2)

calici

astro

adeno 戸]笠)

呼吸器系adeno 15
14
1(93."3)
0 伝揺品 39.5
(6 4.4 I csg3) 3.a
14
2.4 I (93."3) 3.3 4.1
8 6
(53.3)(40.0)

C-rota 0
(6e.7)(33.3)l
ぶ.4) 38.4 ,., I 話.7) 2.5 1 .3| (
8g,) 3.6 | 3.8 (2§.2) (2§.2)

A-rota * 1 12 12 16 11 5
16 (75.0) 38.4 2.3|(75.0) 4.7 2.5 | (100) 10.2| 6.4 (eaB)(31.3)
1 . 各ウイルスとも重複感染例は除外している。 2.各症状の最も特徴ある部分を太字で表した。 3. A-rotaの症状は前回の調査(文献町によった。
4. • A-rotaの初発症状は発熱、嘔吐、下痢をほとんど同時に訴えるのでこの表は空欄とした。 5最高発熱の平均とは、発熱を伴った各症例の、全経過中の最高発熱の平均である。
6最高嘔吐数の平均とは 、 嘔吐を伴った各症例の 、 全経過中の最高嘔吐数の平均である。 7 . 最高下痢数の平均とは、下痢を伴った各症例の、全経過中の最高下痢数の平均である。
8.呼吸器症状は咳、鼻汁を伴った症例である。咽頭発赤は程度の差はあるが、ほとんどの症例に認めた。

126
4. 重複感染(表3) ■表5 乳児の罹患と栄養法
SRSVとadenovi rus、 adenovi rusとA-rotavi rusの重複感 1 SRSV, calici, astro, adeno

染がそれぞれ4例に認められた。重複感染の症状は特別 No. 性 発病峙月欝 ウイルス 栄養法 症状程震 傭

重症ではなく、SRSVとadenovi rus ではいわゆる流行性嘔 1 女 l adeno 混合 l

吐下痢症の症状を呈し、 adenovi rusとA-ro tav irus ではA­ 2 男 2 a st r o 母乳 2

ro tavi rusに似た症状を示した。
3 男 3 adeno 混合 2
5. 再感染
4 女 3 SASV 人工 2
同一 人の同ウイルス再感染例を示す(表4) 。No.2 .症例 A- rota と
5 女 4 adeno 母乳 l 重 複感染 *
は同ウイルスの再感染ではないが (astrovi rusとSRSV) 提
6 男 4 adeno 混合 2
示した。3例とも初回、再感染いずれもが軽症であり、両者
7 女 4 adeno 人工 1
間に症状の差を認めなかった。
6.乳児(4か月まで)の罹患と栄養法(表5) 8 女 4 ast ro 混合 2

4か月までに罹患した8例の栄養法は母乳栄養2例、混合
栄養4例、人工栄養2例であった(表5—①)。症状の程度は、 2 A-rota

軽症3例、軽症と中等症の中間5例であった。1例にadeno­ No 性 発病時月鵬 ウイルス 栄養法 症状程度 備

vi rusとA-rotavi rusの重複感染が認められた。 1 女 20生日 A-rota 混合 l

t
A-ro av rus i 感染は4か月児までに9例が認められた(表 2 女 2 A-rota 人工 2

5-®)。母乳栄養2例、 混合栄養3例、人工栄養4例であった。 3 女 3 A-rota 人工 2

症状の程度は軽症3例、軽症と中等症の中間4例、輸液を 4 男 4 A-rota 人工 l

要した中等症が2例みられた。 5 男 4 A-rota 混合 2

6 男 4 A-rota 人工 3 軽 症→度脱水
輸 液

II .考察 7 男 4 A-rota 混合 3 軽 症→度脱水


輪 液

SRSV、calicivinls、astro曲us、norwalkvirusの分類学上、 8 女 4 A-rota l


母乳
1~ 女 4 A-rota 2
免疫学上の問題については中田ら 2)の総説があるが、現在、 母乳
(•1の症例No 5は2の表では除いた)
全く明確に整理されているとはいえない。cali civirusとnor­
walkv rus i はウイルス学的にはcali civirus科に属するものと
考えられ、SRSVには種々の抗原型があることが分かってい SRSV、 cal icivirus、astrovinis、adenovirus感染は、いず
2~3, 1 1~12)
る 。 れもいわゆるウイルス性流行嘔吐下痢症の症状を呈するこ
とが分かったが、季節性、好発年齢、症状などに微妙な差
異が認められた。季節性、好発年齢の傾向は従来の報告
■表2 各ウイルスの症状の軽重の比較 とほぼ等しかった3-5) 。SRSVの特徴である嘔吐の顕著なこ

゜゜゜
例散 1(轄) 2(1と3の中圃) 3(中等症) 4(やや重症) 平均
とと、年齢による症状の差は岡田、手嶋 3) の指摘のとおりで
SRSV3鐵以下
------ · - ----
-
3鐵以 上
- 76
48
49(645%)
30(625%)
24(316%)
18(375%) ゜
3(39%) 14
----
14
--
あった。この乳児と年長児あるいは学童との間にみられる
callcl
astro
24
10
17(70.8%)
2(200%)
5(20.8%)
8(800%) ゜
2(8.3%)

゜゜゜
14
1B 症状の差は 、 宿主側の年齢による生態防御機構の差では
心no
岬鵬no
C-<ota
73


15 ゜
34(466%)
.....
4(44 4%)
. 2.5%
. ... 3.1(4 ..
5(33.3%)
4(444%)
). 8(11 '!6)
10(666%)
1(111%)
0

l.6
2.7
17
なくて、電子顕微鏡による形態学的診断によってSRSVを
A-rOta 16 1 (6.2%) 3(18.8%) 4(25.0%) 8(500%) 3.2
同 一 種類 とみているためで、主として年長児の罹患する
SRSVと、年少児の罹患するSRSVは抗原的に異なるウイル

. . .
■表3 重複感染 スではないかと考えている。

. . . . . .
SRSV calici astro A-rota adeno Campy/a 病圃性大.. 分類杯能
SRSV ●●●● ca li civ i rus 、astrovi rus 、 SRSVの間の臨床症状の差は
calici cal icivi rus、astrovirusの分離例数が少なかったために、明

. . .
astro
A-rota ●●●●
確に言及することはできなかった。今後の課題だと思って
adeno ●●●● ●●●● いる。
Campy/a
重複感染
病原性大..

分類不能 重複感染が 14例に認められたが、症状に特別なものはな


かった。生態内でこれら複数のウイルスの演ずる役割がある
■表4 同一人の同ウイルス再感染例 のか、ないのか、ただ存在するだけなのか、これも今後の課
症例(生年月日) 発痢時年月鵬 ウイルス分鼈日 ウイルス
7か月 1園 19911127 SRSV
題であろう。
No 1. (1991.4 25)
1●7か月 2国 1992.12.16 SRSV 再感染例
1鐵8か月 1国 1992.4.8 astro
No 2. (1990.7.12)
1戴11か月 2国 1992.626 SRSV SRSV罹患後の免疫に関しては6か月間は局所免疫が成
1112か月 1国 19926.12 callci
立するといわれている7)。箪者の症例では、2例に再感染を
No 3. (1991.3.17) 1●8か月 2固 199211.21 SRSV
2績 3回 1993.4.7 cattct 認め、1例は1年の間隔、ほかの1例は10か月の間隔であった。

XI.腸管感染症 127
乳児の罹患と栄養法 謝辞:この研究についてデー タをいただき、ご助言、ご指導
4 か 月 児 ま で の S R S V 、 c al i c i v i r u s 、 a s t r o v i r u s 、 をいただきました埼玉県浦和市の手嶋力男博士、岩手県
adenovirus感染例の栄養法は、同期間中に筆者が調査し ー関市の角掛茂博士に深謝いたします。
た北九州市の栄養法(母乳栄養児50%、混合栄蓑児20%、 ご校閲を賜りました堤隆博士に深謝いたします。
人工栄養児30%)と比して、必ずしも母乳栄養児の罹患率
が低いとはいえないと考えている。また、 この栄養法別によ
る症状の差も認められなかった。 一 方、 4 か月児までのA­ 文献
1) 中田修二 , 千葉峻三:ウイルス性腸炎臨床消化器内科 1991;6:1078-1087
rotavirus感染の9例では人工栄挫児が多かった。9例中2
2) 中田修二:ウイルス性胃腸炎一 年長児小児科診療 1991;54:816-823
例に脱水症を認め輸液を要したが、 この脱水症を起こした2 3) 岡田正次郎:歴史的背最とSRVによる小児嘔吐下痢症 . 食品と微生物
例の栄養法は1例は人工栄養、1例は混合栄養であった。 1987;4:93-102
4) 角掛茂:散発性小児下痢症と検出ウイルスとの関連 . 関医会報 1995;365·
A-rotavirus感染に関しては乳児の感染性下痢症の発病 15-21
抑制に、母乳の果たす役割を考えさせられる結果であった。 5) 石丸啓郎:小児感染性胃腸炎一日本小児科学会雑誌 1995; 99:1391-1394
6) 佐久間孝久:感染性胃腸炎ー 特にsmall round virusの臨床像 . 東京小
SRSV感染群とA-ro tavirus感染群の栄養法による発病の
児科医会報 , 第5回日本小児科医会生涯教育セミナ ー 講演集 , 1994; 10-13
差は、ウイルスの性質に原因するものと考えられる。 7) 佐久間孝久:Rotavirus性小児急性下痢症の臨床. 日本医事新報1987;
症状の軽重の程度 3289:30-34
8) 大瀬戸光明:下痢症ウイルスの電子顕微鏡による検出. 金井興美他 , ウイル
A-ro tavi rus感染群がいちばん重症であり、呼吸器系
スクラミジアリケッチア検査 , 第3版 , 第II分冊 , 各論1, (財)日本公衆衛生協
adeno感染を除けば、 SRSV感染は一 般に治癒傾向の強い、 会東京, 1987;176-179
9) 松野重夫:ロタウイルスRNAの電気泳動金井興美他 , ウイルスクラミジア
同程度の症状の疾患群だといえる。この観察期間に、これ
リケッチア検査第3版, 第1I分冊, 各論1, (財)日本公衆衛生協会,束京,1987;172-
らの疾患による死亡例は1例もなく、重症な合併症を疑わせ 174
る症例もなかった。しかしA-rotavirus感染に関しては、無床 10) 池上信子:レオウイルス . 金井興美他 , ウイルス ・ クラミジアリケッチア検査 ,
第3版 , 第II分冊 , 各論l , (財)日本公衆衛生協会, 束京 , 1987;182-193
の当院では例年2~3例の基幹病院への入院加療を要す 11) 中込治:下痢症ウイルス:最近の進展 . 臨床とウイルス 1994; 22:26-30.
る症例がみられる。 12) 安東民衛:Small round viruses ー 最近注目されている胃腸炎ウイルス
ー . モダンメディア 1990;36:438-463

おわリに
(1) SRSV感染は乳児では嘔吐で始まることが多く、一 般に
軽症嘔吐下痢症の経過をとるが、 年長児、学童ではほ
とんど嘔吐で始まり下痢を欠く症例がある。嘔吐が目立
つ ことと、年齢の差による症状の差は SRSV感染の特
徴である。
(2) calicivirus感染は SRSV感染より少 し低年齢児に多く
みられた。症状は嘔吐がSRSV感染ほど顕著でない点
を除き、 SRSV感染にほとんど変わらず臨床的な区別は
困難であった。
(3) astrovirus感染は例数が少なく特徴を述べられないが、
症状は嘔吐が SRSV感染ほど顕著でない点を除き、
SRSV感染にほとんど変わらず臨床的な区分は困難で
あった。
(4) adenovirus感染は SRSV感染、caliciviru s感染より、さら
に低年齢児に多くみられた。adenovirus感染は SRSV
感染に比して嘔吐が少なく、下痢の症状が強くみられた。
呼吸器系adeno感染は当然のことながら発熱が著明で
あった。
(5) A-rotavirus感染はほかの疾患に比して、下痢、嘔吐、
発熱、病期すべて重症であった。C-rotavirus感染は例
数が少なく特徴をあげられないが、嘔吐がSRSV感染ほ
ど顕著でない点を除き、 SRSV感染とほとんど変わらず
症状から臨床的に区別することは困難であった。

128
(写真(通しNo.))

⑥]
アデノウイルス l~18
アストロウイルス 腸管感染症表紙(116頁)
インフルエンザ 89~100
インフルエンザ菌 135~137
咽頭後壁のリンパ濾胞腫脹群(いくら様) 7,9,10,15,24,69,91,92,94
エンテロウイルス71 50~52
ェコ ー ウイルス 19~31
ェコ ーウイルス以外の非特異的発疹 17,52,56
胃腸炎ウイルス 141,142
Epstein-Barr virus 101~104


川崎病 115,116
コクサッキ ー
A群 32~49
コクサッキ ー
B群 53~67
Calici』keウイルス 腸管感染症表紙(116頁)

匿]
細菌性扁桃炎 132~139
滲出性扁桃炎 1~6,11,12,27,28,82~86,96,97,100~104
Gianotti-Crosti syndrome 117
水痘 121
Small round structured virus 142

五]
多形滲出性紅斑 110~114
手足口病 31,47 ~49,51,64
伝染性紅斑 124,125
突発性発疹症 105~109


ヒトパルボウイルス19 124,125
風疹 122,123
プドウ球菌感染症 138,139
プドウ球菌性熱傷様皮府症候群 140
ヘルペスウイルス 70~88
ヘルプアンギ ー
ナ 16,32~41,43~46,50,53,54,57~63,65,66,67,72~75
ポリオウイルス 68,69

直]
マイコプラズマ 126~131
麻疹 ll8~120

丙]
溶連菌感染症 132~134

ぎ]
流行性耳下腺炎 121
ロタウイルス 141
●表彰歴• ●業績録●
平成03年11月14日 福岡県北九州市学校保健会貨
平成03年11月19日 福岡県学校保健会穴 1. 小児赤痢並ぴに諸種急性伝染病、リウマチ性疾患及び白血病
平成04年02月10日 福岡県北九州市民功労賞 における血清ム コ 蛋白、尿ドナジオ反応の病期的消長.久留米
平成10年09月188 福岡県 母子保健 家族計画賞 医学会雑誌 . 23: (12), 6648-6711,昭和35年
平成11年11月25日 厚生大臣賞(母子保健家族計画) 2. 麻疹KL接種 児 の麻疹 とくに異型麻疹例 . 小児科臨床 . 2 4 :

平成14年09月26日 福岡県医師会長賞(学校保健) (12),316S3173,昭和46年

平成17年08月20日 日本外来小児科学会リサ チ箕
ー 3. Rota Virus性小児急性下痢症の臨床 . 日本医事新報. 3289,
30,
昭和62年(福岡県医師会長受賞)

●職歴• 4. エコー 18発疹症

日本医事新報. 3398, 24-28,平成1年(福岡県医師会長受賞)


昭和39年04月01日 福岡県北九州市戸畑区 一枝乳児保育園園 5. 乳児のインフルエンザ
医(現在に至る)
日本医事新報. 3505, 43-50,平成3年(福岡県医師会長受賞)
昭和41年04月01日 福岡県北九州市戸畑区天籟寺小学校校医
6. 三歳児健診での視カスクリー ニング. 8本医事新報. 3559,12-
(現在に至る)
19平成4年(福岡県医師会長受賞)
昭和55年04月018 福岡県北九州市戸畑区医師会理事(平成2
7. 感染性胃腸炎特にsmall round virusの臨床像.東京小児科
年3月迄)学校保健・乳児保健 委貝・広報委
医会報特集号, 10-13,1994.
員・看護学校・将来構想委員会
8. 1991/1992, 1幽1993のインフルエンザの流行.日本医事新報.3716,
昭和59年04月01日 北九州市医師会代議員(平成2年3月迄)
43-53,平成7年
平成02年04月01日 福岡県北九州市小児科医会監事(平成5年
9. 感染性胃腸炎特にsmall round virusesの臨床 . 日本医師会
3月迄)
雑誌 . 115,(7), 1103-llll ,平成8年.(福岡県医師会長受ft)
平成02年04月01日 福岡県北九州市戸畑区小児保健研究会会
長(平成9年3月迄) 10 . 三歳児健診での視カスクリ ー ニング. 第2報日本医事新報 . 窃 n
平成02年04月01日 福岡県北九州市戸畑区医師会裁定委員(平 41,平成8年

成16年3月迄) 11. ウイルス性腸炎 JIM. 7, (11), 921-923,1997


平成09年06月 福岡県北九州市戸畑区 一枝幼稚園園医(平 12.Infant influenza.Acta Paediatrica Japonica. 39, 669-675,
成17年3月迄) 1997(平成12年度 福岡県医師会長受賞)
平成16年04月 福岡県北九州市戸畑区医師会監事(現在 13. 外来小児科におけるEnteric Adenovirus40,41による小児胃
に至る) 腸炎の臨床症状. 外来小児科. 2, (2), 191-202, 1999.
14. インフルエ ンザワクチン接種成絞ー外来小児科における観察 一
昭和56年01月01日 感染症発生動向調査定点観測医療機関
その1 接種者の抗体応答(1995~1叙坪). 小児感染免疫.13,(2),
平成05年01月01日 感染症発生動向調査検査定点医療機関(現
在に至る) 119-131,2001.
15. インフルエ ンザワクチン接種成絞ー外米小児科における観察一
その2 小児感染免疫. 13, (2), 133-147,2001.
●著書• 16. 外来小児科におけるrespiratory syncytial virus (RSV)の
臨床症状福岡県小児科医報. 39, 45-49, 2001.
1. インフルエンザ ,エンテロウイルス感染症,ポリオウイルス感染 . 豊 17各種感冒様疾患の咽頭所見.治療別冊 . 83,(2),646-655,2001
原情臣他編開業医の外来小児科学. 改訂第2版.東京:南山堂, 18. 佐久間孝久:3歳児健診における視力検査 ー北九州市の個別
1992:296-313. 健診方式を利用して 一. 外来小児科. 2003;6:114-122. (平成16
2. インフルエンザ . 豊原消臣他編 . 開業医の外来小児科学. 第3版. 年度福岡県医師会長受賞)
東京:南山堂,1997:324-334. 19. 佐久間孝久:外来小児科におけるHerpes Simplex Virus 1
3. こどもの口内咽頭所見. 絹巻宏, 横田 俊 一 郎編 .こどもの皮 感染症 . 外来小児科. 2004;7:(2), 147-154.

疹・ロ内咽頭所見チェックガイド. 第1版第1刷 .東京: 医学書院, 20. 佐久間孝久:北九州市における外来小児科でみられたアデノウ

2000:29-31,146-154. イルス感染症の疫学と臨床 一 疫学.小児感染免疫 . 16,(3),287-294,

4. インフルエンザ . 豊原清臣他編. 開業医の外来小児科学. 第4 2004.

版東京:南山堂,2002: 284-292. 21. 佐久間孝久:北九州市における外来小児科でみられたアデノウ


ルス感染症の疫学と臨床一臨床小児感染免疫 . 16,(3),295-305,
5. 佐久間孝久:3歳健診. 小児科臨床 . 2003: 56: 533-542.
2004.
6. 佐久間孝久:かぜの咽頭所見.小児科診療.2003:66:2237-2243.
22. 佐久間孝久:CytomegalovirusによるGianotti-Crosti Syn­
7. 佐久間孝久: 3歳児健診時の視力検査 . 横田俊 一郎編 . 乳幼
dromeの1症例. 福岡県小児科医報42,61-65,2004.
児健診.中山書店;東京,2004:64- 67.


わ に

●小児科学のご指導を頂いた故舷津教授、山下文雄教授、加藤裕久教授、武内可尚先生、
論文作成に再三ご助言、ご鞭撻を項きました堤隆、木村範孝両博士に深謝致します。
●豊 田潤 一 先生はじめ同門の諸先生方の御指導・御友情に深謝致します。
●開業診療中は、北九州市立八幡病院、北九州市立医療センタ ー、済生会八幡病院、産
業医科大学病院、新日鐵八幡記念病院、厚生年金病院、新小倉病院また近隣の諸先生
にご指導、ご援助を賜った事に改めて御礼を申し上げます。
●また開業医の大先輩、西 野泰生、角掛茂、勝島矩子、志 水哲也、柏木茂、原三千丸、鈴
江純史諸先生のご指導ご鞭撻に厚く御礼申し上げます。
● ウイルス学的検査をして項きました、北九州市環境衛生研究所のスタッフに厚く御礼申
し上げます。ウイルスの分離なくしては、この観察は成立しませんでした。杉嶋伸禄、高橋
正規、下原悦子、梨田実、仮屋園弘志、中村悦子、山本康之、森下正人、木村尚志、内尾
俊 博、高橋勉、鈴木崇子、村瀬浩太郎(諸先生)
●化血研の後藤修郎博士に御礼を申し上げます。
●デー タの整理·患者の対応に協力してくれました現在のスタッフ加藤千秋、西川都、赤星
薫島村真理子、徳永喜子、原田美紀子、喜田利恵、山下妙子(敬称略)に深謝致します。
●2003年10月、開院40周年を祝いました、私のスタッフを記します。この方々のsupp ortに
深謝致します。
尾崎慶子、一宮敏子、宿理政子、三原浩子、北山(日高)幸子、浜田恵子、坂本知颯子、山
本登美子、矢羽田明美、香川俊子、三神(岸上)真理子、多田(本田)昌子、小宮(浜崎)
豊子、船越(熊谷)多恵、西村(岩尾)芳恵、中野(花田)純子、下村登志枝、春田(山下)
静香、山西由香、加地(山道)文子、川口(有馬)幸恵、佐藤しのぶ、中村(今城)和江、北
下(松吉)薫、児玉(平田)百合、尾崎越子、片山麗子、松尾邦江、小谷喜久子、水野(飛田)
幸恵、川口(岩本)幸乃、梶原(野間口)幸子、奥薗(安田)由美、物故者竹脇美代子、黒
木(高本)伸子(敬称略)
●この本の上梓に終始励ましを賜った、吉野正之氏、中谷貴代美氏(アレフレッサファ ー マ)、
仁王直助氏(メディカル情報センター)、戸川博文氏(プラネット)に深謝致します。
巻頭にも述べたが、咽頭所見の不思議さがこの観察の出発点であった。発生学的な要因
による血管支配が この所見の基だと、私なりに解釈•納得しております。もし、この拙文をお
読みになりまして、それは違うとおっしゃられる方がお ありでしたらお教え下さい。

◎最後の最後になりましたが妻への感謝は一 日も忘れた事はありません。

筆者と共に20年…
Sakuma Takah i sa
佐久間 孝久(さくま たかひさ)

昭和 4 年5月 7日生まれ。昭和 30 年 、 久留米


医科大学卒業。昭和 31 年 、 第 20 回医師
国家試験合格。昭和 36 年 、 小児赤痢の
研究により医学博士の称号を受ける。平
成 7年 、 小児科学会認定医 、 平成 8年 、 感
染症認定医。

私は昭和 30 年に医師になり、久留
米大学小児科に入局した。そして、
久留米大学小児科舷津教授のご
指導を受けた。当時は赤痢·ポリオ・
リウマチ熱の全盛時代で、病棟はそ
れらの患者で溢れていた。昭和 36
年からは新日鐵八幡病院に2年間勤
務し、昭和 38 年現地に開業し現在
に至っている。医師会関係は理事と
して10年以上勤めて、貢を果たした
と思っている。

書籍名: アトラ;スさくま
小児曝頭所見ATLAS SAKUMA
発行B: 2005 年8 月 20 日 第 1 版第 1刷発行
2005 年 9月 25 日 第1版第2刷発行
2006 年5 月 27 日 第1版第 3刷発行
著 者: 佐久間孝久
発行者: 仁王直助
発行所: 株式会社メデイカル情報センター
〒 810-0062 福岡市中央区荒戸 3 丁目 2-5-1101
TEL 092-771-2800 FAX 092-711-1988
http://www.mvc—j.com info@mvc-j.com
印刷所: アロ ー 印刷株式会社 製本所: 篠原製本株式会社
発売元: 医学図書出版株式会社
代表取締役 鈴木吉見
〒 113-0033 東京都文京区本郷2-28-1 TEL 03-3811-8210

© Takahisa Sakuma 2005 Prin ted in Japan


本内の写真・論文・イラスト等の無断複写(コビ ー )は
著作権法での例外を除き 、 禁じられています。
複写を希望される場合はメディカル情報センタ ー
または佐久閥孝久にご連絡ください。

落丁本・乱T本は小社書紺制作部宛お送りください。
送料小社負担にてお取り替えいたします。
尚この本についてのお問い合わせは小社出版部宛にお願いします。
ISBN4-87151-332-7 C3047
定価はカバーに表示してあります。
●編染・デザイン・レイアウト:戸川博文
●編集協力:システムクリエ ー ト
●表紙・表紙カパー・別紙扉:lii/�iデザイン室

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