Brunnstrom Stage (J)

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脳卒中の運動障害における理学評価について

平成 21 年 6 月 19 日 舘 利幸 【Brunnstrom の回復段階】
【はじめに】 1950 年代の初めごろ、Brunnstrom 女史は脳卒中の発症後の回復過程で、麻
整形外科を受診する疾患において、片麻痺を合併する疾患は、その片麻痺の 痺上下肢に最初に出現する特徴的な粗大運動を「共同運動」ととらえ、この構
評価も含め治療プランを立てなければならない。 成要素や変化の共通性から「回復段階」として、脳卒中片麻痺の評価を体系化
今回、片麻痺の運動障害における理学評価である Brunnstrom Stage につい した。
てまとめ報告する。 共同運動の基本的な構成要素

上肢 屈筋共同運動 伸筋共同運動 下肢 屈筋共同運動 伸筋共同運動


【脳卒中の障害】
肩甲帯 挙上と後退 前方突出 骨盤帯 挙上
脳卒中は脳血管病変のために脳に循環障害が起こり脳が破壊される疾患と定
肩関節 屈曲・外転・外旋 伸展・内転・内旋 股関節 屈曲・外転・外旋 伸展・内転・内旋
義される。脳内に発生した虚血または出血によって、脳のある領域が一時的あ
肘関節 屈曲 伸展 膝関節 屈曲 伸展
るいは持続的に傷害され、その範囲や病理学的変化の程度によって、身体活動 前腕 回外 回内 足関節 背屈・内反 底屈・内反
の統御器官としての機能を反映した多彩な病型を呈する。 手関節 掌屈・尺屈 背屈・橈屈 趾 伸展 屈曲
脳卒中に起因する中枢神経麻痺による運動障害の特徴は、末梢神経麻痺とは 手指 屈曲 伸展
著しく異なり、末梢神経麻痺が「量的変化」であるとすれば、中枢神経麻痺は
「質的変化」である。すなわち、片麻痺をはじめとする中枢神経麻痺において
脳卒中片麻痺の回復順序:ブルンストローム法
は、回復の途上において、正常ではみられない質的に異なった「異常」な現象
が出現し、一時はそれが前景を占めるが、さらに回復が進めば、しだいにその stageⅠ 弛緩性麻痺
異常な現象が弱化し、徐々に正常な状態に戻る。 ↓
stageⅡ 筋緊張の出現、連合運動

stageⅢ 痙性麻痺、共同運動

stageⅣ 共同運動から分離運動へ

stageⅤ 随意的な分離運動の増加

stageⅥ 協調性、スピードとも正常に近くなる

中枢神経系と末梢神経系の回復過程
ブルンストローム法ステージ(Brunnstrom Stage) 上肢の Brunnstrom Stage

手指の Brunnstrom Stage


下肢の Brunnstrom Stage 【運動療法】
脳卒中片麻痺に対する運動療法は、脳の損傷によって乱された運動機能を可
能な限り発症前の運動機能に近づけようとするものである。そのためには量的
に低下した機能の再現化と、質的徴候の抑制を同時に進め、固体全体として協
調された機能を漸増的に促すことが基本である。

以下に中枢神経麻痺に対する上肢および手指の運動療法の一例を紹介する。
【おわりに】
脳卒中において急性期の管理は当院の専門外である。また、当院において脳
血管障害の理学療法を行っていいないため、脳卒中に伴う片麻痺に対する理学
療法を行うことには限界がある。しかし整形疾患に片麻痺を合併する患者にと
っては、治療プランやゴール設定をするうえで、片麻痺の評価をすることはそ
の方の状態を把握するうえで重要であると思われた。

【参考・引用文献】
・ 福井圀彦・他編:脳卒中最前線―急性期の診断からリハビリテーションま
で-.第 3 版,医歯薬出版株式会社,2008
・ 細田多穂・他編:理学療法ハンドブック改定第 3 版,第 3 巻 疾患別・理学
療法プログラム.共同医書出版社,東京,2007
・ 池田亀夫ほか:図説臨床整形外科 15 リハビリテーション.メディカルビュ
ー社,1983
・ 理学療法士・作業療法士 国家試験必修ポイント 理学療法基礎編.医歯薬
出版株式会社,2007
・ 社団法人 全国柔道整復学校協会監修 リハビリテーション医学.南江堂,
2000

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