Resume 14

You might also like

Download as pdf or txt
Download as pdf or txt
You are on page 1of 5

第 4 章・憲法①-憲法のきほん

2024.1.10

Ⅰ.近代市民憲法

1. 近代市民憲法とは?

憲法とその他の法律の違い
① 法律は国会の議決により制定されるが、憲法は国民により定められる。
② 憲法は国家の法秩序の中でも最も強い効力を持ち(憲法の最高法規性)、憲法に違反す
る法律その他の法令は効力を否定される(日本国憲法 98 条)。
③ 憲法は国会・内閣・裁判所などの国家機関の組織を定め、その組織が担うべき権能を配
分する法(授権規範)であり、法律の制定主体・手続も憲法により定められる。
④ 憲法は国家が行使できる権限を授権することにより、同時にそれ以外の権限行使を認
めないという役割も果たす。
⇒憲法は権力者に対して守らなければならない原則・ルールを定めた基本法として存在。

近代市民憲法 Constitution,constitutional law


国家権力の組織や権限、統治の根本規範となる基本原理・原則を定めた法規範。

近代市民憲法の成立
英国・権利章典(1688)、アメリカ合衆国憲法(1788)、フランス・人権宣言(1789)
←絶対主義国家から近代立憲国家への転換

近代市民憲法の基本要素=国家権力に対する制約・拘束
 最高法規性
 基本的人権の保障
 権力分立

* 聖徳太子・17 条憲法(604)との異同
第1条 人と争わずに、和を大切にしなさい。
第2条 三宝(釈迦、その教え、僧侶)を深く尊敬し、礼を尽くしなさい。
第3条 天皇の命令には逆らわずに、畏まって聞きなさい。
第4条 役人はつねに礼儀正しくありなさい。
第5条 道に外れた心を捨てて、公平な態度で裁きを行いなさい。
第6条 悪いことは懲らしめ、良いことはどんどんしなさい。
第7条 仕事はその役目に合った人にさせなさい。
第8条 役人はさぼることなく、早朝から夜遅くまで一生懸命働きなさい。
第9条 お互いを疑うことなく、信じあいなさい。

1
第10条 他人と意見が異なっても、腹を立てないようにしなさい。
第11条 優れた働きや成果、または過ちを明確にして、必ず賞罰を与えなさい。
第12条 役人は勝手に民衆から税をとってはならない。
第13条 役人は自分だけでなく、他の役人の仕事も知っておきなさい。
第14条 役人は嫉妬の心を互いに持ってはならない。
第15条 国のことを大事に思い、私利私欲に走ってはいけない。
第16条 民衆を使うときは、その時期を見計らって使いなさい。
第17条 大事なことは 1 人で決めずに、必ずみんなと相談しなさい。

2. 近代市民憲法の基本要素

(1) 近代立憲主義

広義:国の統治や政治が憲法に立脚していなければならないという考え方。
狭義:基本となる憲法は人権の保障と権力分立を定めているものでなければならない。

(2) 人権の保障

近代立憲主義は、私的領域においてはもちろん、公的領域においても、個人が自由に行動
することを尊重し、その自由な行動範囲をしっかり守ってくれるものとして「基本的人権」
を樹立し、その保障を国家に義務づけるものである。
←近代思想のエッセンス(公私二分論、自由主義、個人主義)
⇒近代立憲主義の不可欠の要素としての「基本的人権」の保障

(3) 権力分立

権力分立=権力の腐敗・暴走を抑止するために、国家の権力を分割し、相互の抑制と均衡を
図る仕組み。

前提としての「法の支配」
① 正しい内容の法であること。
② 正しい内容の法が忠実に執行されること。
⇒法の制定(立法)・執行(行政)・適用(司法)権限の分割=権力分立

2
(4) 国民主権

主権=国のありようや将来について決める権限。

歴史-君主主権から国民主権へ
フランス人権宣言・第3条
すべての主権の淵源は本質的に国民に存する。いかなる団体、個人も、国民から明示的に
発しない権威を行使することはできない。

* 中間形態としての立憲君主制
名誉革命後のイギリス、ドイツ・プロイセン憲法、大日本帝国憲法など

☆ まとめ

近代立憲主義=国民主権+基本的人権の保障+権力分立

Ⅱ.日本国憲法

1. 日本国憲法のプロフィール

特色
 第二次世界大戦の敗戦後、1946 年に制定。
 日本としては、大日本帝国憲法(1889)に次ぐ 2 番目の近代市民憲法。
 国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を基本原理とする(日本国憲法の三大原理)。
構成

2. 国民主権

(1) 国民主権とは?

 主権=国の政治のあり方を最終的に決める力・権威(対内的主権)。
 大日本帝国憲法・天皇主権→日本国憲法・国民主権
 議会代表制:国民は代表者により構成される議会(国会)を通じて主権を行使。

3
(2) 天皇制と国民主権

 立憲君主から象徴天皇へ
 「現人神」から「人間」そして「国および国民統合の<象徴>」へ
 国民主権との調整――「主権の存する国民の総意」に依拠、非政治性+宗教的中立性

3. 平和主義

(1) 戦争と法

 法の支配(法治主義国家)と戦争
 国際社会における戦争違法化に向けての取組み

(2) 憲法第 9 条

特色:徹底性
 「自衛のための戦争」も放棄
 軍隊その他の戦力の不保持
 交戦権の否定
←「侵略」の歴史に対する反省、核兵器の登場(原爆投下は国連憲章制定後;
「手段」が「目
的」を凌駕→「手段」そのものの無力化)

4. 基本的人権の尊重

(1) 人権の歴史と類型

定義:すべての人が生まれながらにして有し、何者によっても奪われず、譲ることができな
い権利。
 生来性
 不可譲性

歴史
 絶対主義国家・絶対君主に対する抵抗概念。
 イギリス名誉革命、アメリカ合衆国憲法、フランス革命により憲法の中核化。

4
類型
① 自由権=国家の介入・干渉を受けない権利。精神的自由、経済的自由、身体的(人身の)
自由。
② 受益権(国務請求権)=国家に対し一定の積極的な給付を求める権利。裁判を受ける権
利(32 条)、国家賠償請求権(17 条)、損失補償請求権(29 条)、刑事補償請求権(40
条)など。
③ 参政権=政治に参画する権利の総称。選挙権・被選挙権、公務員就任権、請願権など。
④ 社会権=経済的・社会的弱者に対して、人間に値する生存を保障するために、積極的な
施策を国に対して要求する権利。生存権(25 条)、教育を受ける権利(26 条)、労働権
(27 条)、労働基本権(28 条)など。

(2) 日本国憲法の人権規定

特色
 「臣民の権利」から基本的人権(国民に限定されない)へ。
 自由権、社会権、受益権、参政権を網羅的に規定。

課題
 憲法規定の内実化・具現化――人権保障の最後の砦としての裁判所
 外国人、女性・子どもなど「社会的弱者」の人権

You might also like