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神経・生理心理学

第3回 神経細胞の形態と機能

0.はじめに

1.ニューロンのつくり

2.ニューロンの伝導

3.軸索の髄鞘(ずいしょう)

4.シナプスでの伝達

5.グリア細胞

0.はじめに

1.ニューロンのつくり

2.ニューロンの伝導

3.軸索の髄鞘(ずいしょう)

4.シナプスでの伝達

5.グリア細胞
今日の講義の目標

ニューロンがどのように情報伝達を行うかについ
て理解する。

今日のレポート課題:

「2つ以上のニューロンが情報伝達している様子
を図に描いて下さい。できれば文字による説明も
加えて下さい。」

はじめに

脳は、電気の流れ+化学物質(神経伝達物質)に
よって情報伝達を行います。

脳内では、膨大な数の神経細胞がつながってネット
ワークを形成し、ヒトの思考などの活動の基盤と
なっています。
脳の細胞には2種類ある

1.ニューロン(神経細胞)

脳内情報処理の最小単位

2.グリア細胞(神経膠(こう)細胞)

2.1 アストロサイト(星状膠細胞)

2.2 オリゴデンドロサイト

2.3 ミクログリア

0.はじめに

1.ニューロンのつくり

2.ニューロンの伝導

3.軸索の髄鞘(ずいしょう)

4.シナプスでの伝達

5.グリア細胞
ニューロンのつくり(茂木・富永「目からウロコの脳科学」)

神経終末
(軸索の末端)

ニューロンのつくり(シンプル)

樹状突起 軸索小丘 シナプス


(電気信号が開始 (神経細胞同士のつなぎ目)
する場所)

軸索
核・ 軸索=基本的に1本だ
細胞体 け。枝を出すことはあ 神経
る。ときには1m以上 終末
(軸索の
の長さになる。 末端)
0.はじめに

1.ニューロンのつくり

2.ニューロンの伝導

3.軸索の髄鞘(ずいしょう)

4.シナプスでの伝達

5.グリア細胞

情報の流れ(伝導と伝達)

1)前のニューロンの神経終末から、次のニューロンの樹状突起
が神経伝達物質を介して信号を受け取る(シナプス前細胞からシ
ナプス後細胞への伝達)。

2)樹状突起に同時に入力される多くの情報を軸索小丘で統合
し、閾値を超えると活動電位が発生する(発火、興奮)。

3)電気信号が軸索を通じて神経終末まで達する(伝導)。

4)神経終末で、神経伝達物質を介して信号が次のニューロンに
伝えられる(シナプス前細胞からシナプス後細胞への伝達)。
軸索の細胞膜
軸索の細胞膜は脂質二重層で、「Na+/K+ポンプ」
があり、静止膜電位(静止時の細胞内外に認められる
電位差)を一定(約ー70mV)に保っている。

Na+チャネルとK+チャネル
静止時、細胞外は「Na+」が多く、細胞内は「K+」が多い状態
で平衡している(静止電位は約( ー70 )mV)。

細胞膜にはNa+チャネルとK+チャネルがある
Na+チャネルは刺激に応じてNa+を細胞内に通す
K+チャネルは濃度勾配と電位に応じてK+を細胞外に通す K+
Na+
Na+ Na+

Na+ Na+
Na+K+ Na+ K+ 細胞外
ポンプは チャネルは チャネルは
Na+を細胞外 Na+を細胞内 細胞内
K+を細胞外
に出し に通す
K+を細胞内に に通す 静止時は
入れる マイナス

K+

K+ Na+ 他の陰イオン
K+
K+ K+
K+ K+
活動電位のしくみ(山科「新しい人体の教科書」)
Na+ Na+ Na+
Na+ K+


Na K 外
Na+
+ +
K+
チャ チ
ポンプ Na+
ネル ャ
ネ 細
ル 胞
K+
K+ 内

K+
他の陰イオン

活動電位の変化を模写してみよう

①刺激によ ②Na+流入に ③K+流出に ④静止


る電位変化 よる電位変化 よる電位変化 電位

0以上になることを
「オーバーシュート」

分極から脱してゆくこ
とを「脱分極」
閾値

静止電位 より分極すること
を「過分極」
ニューロンの伝導の2つの特徴
1)全か無かの法則

細胞膜内側の膜電位が閾値に達したときのみ、
同じ大きさの活動電位が発生する。
「0(発生しない)か1(発生する)」である。

2) 伝導の方向は一方向で、逆戻りしない

Na Na Na Na
+ + + +
チャ チャ チャ チャ
ネル ネル ネル ネル

0.はじめに

1.ニューロンのつくり

2.ニューロンの伝導

3.軸索の髄鞘(ずいしょう)

4.シナプスでの伝達

5.グリア細胞
軸索は髄鞘(ミエリン)に巻かれている

ン 髄鞘(ずいしょう)
ヴ 又は
ィ ミエリン



髄鞘は絶縁体の脂質。髄鞘がある神経(有髄神経)は
活動電位が髄鞘を飛び越してランヴィエの絞輪で伝わ
るので速くなる。これを跳躍伝導という。

有髄神経線維は伝導が速い
(工藤「もっとよくわかる脳神経科学」)
脱髄疾患

炎症によって髄鞘が壊れて中の電線がむき出しにな
る病気を、脱髄疾患という。

この脱髄が斑状に中枢神経のあちこちにでき、神経
症状の再発を繰り返すのが多発性硬化症(MS)で
す。

若い女性に多く、視力障害、運動・感覚障害、歩行
障害、高次脳機能障害など、さまざまな障害が生ず
る。

0.はじめに

1.ニューロンのつくり

2.ニューロンの伝導

3.軸索の髄鞘(ずいしょう)

4.シナプスでの伝達

5.グリア細胞
シナプスとは シナプス前細
シナプス
小胞
胞の神経終末

ニューロン間で情
報をやりとりする
部分(右図全体) 神


シナプス前細胞と 達
シナプス後細胞の 物
間は「すき間」 質
(シナプス間隙)
がある

シナプス後細胞の樹状突起
における受容体

シナプスにおけるニューロン間の伝達

前のニューロンの神
経終末にあるシナプ
ス小胞が動いて神経
伝達物質を拡散

次のニューロンの
樹状突起にある受
容体に作用し、興
奮/抑制させる
興奮性と抑制性の神経伝達物質

興奮性 グルタミン酸
アドレナリン
ノルアドレナリン
ドーパミン
アセチルコリン

など
抑制性 γ―アミノ酪酸(GABA)
グリシン
セロトニン

など

抑制性の神経伝達物質GABAはおなじみですね
興奮性/抑制性のシナプス後電位

シナプス間隙を超えてきた神経伝達物質は、シナプス
後膜にシナプス後電位を生じさせる。

神経伝達物質の結合により後ろのニューロンの膜電位
が上がるとき、その膜電位のことを、 興奮性シナプ
ス後電位 (EPSP: Excitatory PostSynaptic Potential)
という。

神経伝達物質の結合により膜電位が下がるとき、その
膜電位のことを、抑制性シナプス後電位(IPSP:
Inhibitory PostSynaptic Potential)という。

興奮させたり抑制したり
(工藤「もっとよくわかる脳神経科学」)

興奮性シナプ 抑制性シナプス
ス後電位 後電位
0.はじめに

1.ニューロンのつくり

2.ニューロンの伝導

3.軸索の髄鞘(ずいしょう)

4.シナプスでの伝達

5.グリア細胞

グリア細胞とは

神経膠(こう)細胞ともいわれる。
膠は、「にかわ」、接着剤の意味。

ニューロンとニューロンをつなぎ合わせる接着
剤のような細胞という誤解に基づく。

脳細胞の9割を占めるが、ニューロンが主役な
ら、グリア細胞は「わき役」と言われてきた。

しかし近年、その役割の重要性が認識されるよ
うになった。
3種のグリア細胞
1)アストロサイト/星状膠細胞

多くの突起を出し、星のような形に見えるので
この名前がつく。

毛細血管と神経細胞をつなぎ、シナプスをささ
え栄養を受け渡したり、余計なイオンを除去した
りして神経細胞を保護する。

血液脳関門(blood-brain barrier、血液からの病
原体や有害物質の侵入に対するバリア)にも関与す
る。

3種のグリア細胞
2)オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)

突起がそれほど多くないという意味。
中枢神経でニューロンの軸索に巻きついて( 髄
鞘 )をつくる。

3)ミクログリア(小膠細胞)

やや小さい。脳の中に侵入してきた異物を貪食
し、シナプスを修復する。

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