12月25日までの課題(Libby Herb)

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12 月 25 日までの課題の訳例

リビー 映画。シネマよ。テレビがイヤってわけじゃないけど、映画がわたしのホントの
ゴールなの。
ハーブ なるほど……映画、ねぇ。そりゃまた大変な職業を選んだねぇ。
リビー あなたと同じじゃない。あなただってちゃんとやっているでしょう?
(あたりを見回し、自分の言ったことに気付く)
ハーブ 映画で何をしたいんだい?
リビー 演技!
ハーブ 演技?女優になりたいのかい?映画の?それには才能っていうちょっとしたもの
が必要なんだがね。
リビー 才能ならあるわ。才能はいっぱいあるの。わたしを女版ダスティン・ホフマンっ
て言ってくれる人もいるんだから。
ハーブ 誰が?
リビー ロビーとおばあちゃん。
ハーブ どこかで演じたことがあるの?
リビー ま、(それなりに)いろいろね。
ハーブ たとえば?
リビー エラスムス高校。わたしたち、『ミス・ブローディの青春』をやったの。
ハーブ へぇ。何の役をやったの?
リビー わたしの役はなくて、代役。
ハーブ ジーン・ブローディの?
リビー ううん。彼女のクラスの女の子のうちの一人、サンディの。
ハーブ サンディ?へぇ、そう……それで、舞台には立ったのかい?
リビー ううん。二回しか上演しなかったから。それにわたし、照明もやってたし。
ハーブ ああ、君は照明係だった。
リビー 照明係の、アシスタントよ。
ハーブ なるほど。じゃあ君はエラスムス高校で二回だけ上演された『ミス・ブローディ
の青春』に出てくるサンディの代役兼照明係のアシスタントだったってわけだ。
リビー 夏学期の公演よ。
ハーブ 夏学期中の。まぁ、いずれにしろそれじゃあ「経験豊富」とは言えないな。
リビー そうね。むしろ「控え目なスタート」がしっくりくるわね。わたしにわかってい
るのは自分の力を信じてるってことだけ。
ハーブ それは素晴らしいことだよ。大切なことだ。でも残念ながらこの世界では誰もが
みんなそう信じているんだよ。レジュメを求められたらどうするんだい?
リビー え、何を?
ハーブ レジュメ、履歴書、君の経歴だよ。今まで何をしてきたかっていう、功績のリス
ト。エラスムス高校で照明係をしている写真だけじゃ充分とは思えないね。
リビー 朗読して見せることだってできるわ。毎日部屋で練習してる一幕物のお芝居があ
るの。それにわたしうまいの。とっても上手なのよ。朗読しながら泣けちゃうこと
だってあるんだから。才能はあるわけ。あと必要なのはきっかけだけなのよ。
ハーブ それで君は映画を選んだってわけかい?
リビー そうよ。だってわたしにあるのは決断力と自信だけだから。あとは、わたしの心
の中に灯ってる小さな火を燃え上がらせてくれるような誰かが必要なのよ。
ハーブ それで、その誰かに心当たりはあるのかい?
リビー わからないわ。このへんにいる人よ。監督とか、ライターとか、映画に関係して
いる誰かよ。ブルックリンから来た名もない小娘に、チャンスを与えてくれるような、
そんな人よ。
ハーブ (頷く)その人はこのあたりの人でないといけないのかな。
リビー 誰もあなた、だなんて言ってないわ。
ハーブ ただ聞いただけだよ。
リビー でも、もしあなたが何らかの理由で私のために電話を掛けてもいいと思うのなら、
そしてそれが義理立てとか、義務感とか、罪悪感によるものでなく、ただ私の中に潜
む可能性を買ってくれたからなら、心から感謝するわ。
ハーブ 誰が、そんなしゃべり方を教えたんだ?
リビー どんな?
ハーブ 角を曲がって、屋根に登って、地下に潜って、下水道から上がってくるような、
さ。言いたいことがあるなら、はっきり言えばいい。
リビー わかったわ。普通なら、死んでもあなたに頼みごとはしないけど、あなたはわた
しに借りがあるから。
ハーブ ぼくがなんだって?
リビー わたしに借りがあるの。それも沢山の。おばあちゃんも「カリフォルニアまで
行って、借りを返すかどうか確かめといで。」って言ってたわ。
ハーブ へぇ、おばあちゃんがそう言ったのかい?
リビー えぇ。三週間前に、マウント・ヘブロンの墓地でね。
ハーブ そんなところで何をしていたんだ?
リビー おばあちゃんがそこに住んでるのよ。つまり死んだの。で、おじいちゃんの隣に
埋められているわ。
ハーブ そうなのか?知らなかったよ、残念だ。それはいつ?
リビー 六年前の、六月十四日。
ハーブ それでいつ、おばあちゃんと話したんだい?
リビー 先週よ。
ハーブ 先週?
リビー 先月。昨晩。今朝。ちょっとややこしいの。
ハーブ そうだろうね。
リビー おばあちゃんのことは忘れてちょうだい。いつか別の時に説明するから。今は私
が、リビーが、十六年間の間会わなかったあなたの娘が、簡単なお願いをしているだ
けなんだから。あなたはわたしの夢を叶える手助けをすることに、興味があるのか、
それともないのか? どう、これならはっきりしているかしら?
ハーブ おい、ちょっと待ってくれ!落ちつけよ。飲み込まなきゃならないことがありす
ぎるじゃないか。息子のカールはロビーって呼ばれていて、昔の女房は鳥の手羽先を
持ってくる男とデートして、娘は死んだばあさんと話をしてるってことがやっとわ
かったところだ。この情報を全部、整理させてくれよ。
リビー ねぇ、わたしにここにいてほしくないならはっきりそう言って? 別にあなたの
施しを期待してここに来たわけじゃないんだから。

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