Pv2023 07 Crane Untensi

You might also like

Download as pdf or txt
Download as pdf or txt
You are on page 1of 2

クレーン運転士・実技試験に向けたクレーン仕様の検討

学生氏名 池田 貴則 西田 夏輝 和田 雅
担当教官 梶 篤雄

1 はじめに(テーマ選定理由) 3 実技試験の受験状況
港湾で働く為にクレーン・デリック運転士の資格を取得す クレーン・デリック運転士実技試験を受験した港湾技術科
ることは必要であり、港湾技術科では必須になって 22~24 期生 35 名の合格までの受験回数を調べたと
いる。この資格を取得すればコンテナーターミナルで働き、ガ ころ図 2 の通り 1 回目での合格率は 53%であった。
ントリークレーン・オペレーター(ガンマン)になる道が開ける。 また、不合格になった原因を調べたところ、
「壁に
このクレーン・デリック(天井クレーン)運転士免許試験は、 接触」67%、
「ポールに接触」15%、障害物に接触し
学科・実技ともに初回での合格率は約 50%と難関で て不合格になった者は 82%を占めている。
(図 3)
ある。特に実技試験については、移動式クレーンの合格
率がほぼ 100%に対して半分の合格率に留っている。
この合格率の違いを考察したところ、試験場と港
湾短大のクレーンの仕様の違いに因るもと考えた。移動
式クレーンは試験場と港湾短大の機種が全く同じである
ことから、短大で運転技能を習熟すれば、本試験で
確実に結果が得られる。一方、天井クレーン(クレーン・デリ
ック)は建屋に備え付けられており、各々が専用設計
で駆動系の仕様もかなり違うため、短大の練習では (図 2) (図 3)
上手くできるのに本試験で失敗することになると考
えた。港湾短大の天井クレーンの仕様をできるだけ試験 次に受験者から試験用天井クレーンの感想を図 4 にま
場のクレーンの仕様に近づけることで、実技試験の合格 とめた。多くの方が「横行が早い」
「走行と横行の速
率を上げることを目標にする。 度比率が違う」といった感想であった。私たちも実
際に体験して、クレーンの仕様の違いに大変戸惑った。
2 クレーン運転士実技試験のあらまし
実技試験は、1tの荷を吊って、2m の高さを維持
しながら、図 1 のコースを所定の時間内に運転する。
(図1)

(図 4)

4 天井クレーンの仕様
4-1 速度制御方式
コースには、A~Fのポール、バー、壁障害があ 天井クレーンの機能は、
「走行」「横行」「巻上げ下げ」
り、特に最後の「F 壁障害」を斜行で通過すること の3つがあり、いずれも電動モータで駆動していること
が難しく、合否のポイントになっている。 から、その速度制御方式を調べることにした。
6 実習クレーン(港湾短大)の仕様の検討
試験クレーンに近づけるため以下ことをおこなった。
1 実習クレーンの現状把握
2 試験クレーンの仕様(速度等)を推察
3 研修クレーンの仕様調査と試乗
4 試験クレーンの仕様に近づける作業
5 経験者が試乗して調整を繰り返す

図 5 電動モータの速度制御方式 (引用:クレーン運転士教本) 1 走行・横行・巻上げ下げの速度を計測

4-2 仕様の比較
速度制御方式を中心に、試験場(試験クレーン)
、港
湾短大(実習クレーン)、港湾技能研修センター(研修クレー
ン)の仕様を調べた。 図 6 仕様の比較
図8 図9

2 走行と横行の速度比による斜行角度

図 10 図 11 最終調整後のルート

3 港湾技能研修センターの仕様確認
図 13 二次抵抗制御装置

<試験場の天井クレーン> <港湾短大の天井クレーン>
巻線形電動モータ かご形電動モータ
二次抵抗速度制御方式 インバータ速度制御方式

4 試験クレーンの仕様に近づける作業 図 14

電源周波数 Hz を変えると、
・立ち上がりがゆっくり ・加減速の速度が速い 電動モーターの速度が変わる。
・負荷の大小で速度変化 ・速度調整が可能

5 実習クレーン(港湾短大)の仕様 7 結果
走行・横行・巻上げ下げの構造と速度の計算式を 試乗しては動きを確認することを何度も繰り返し、
仕様書より調べた。 実習クレーンの速度を以下の通りに変更した。
図7 ○ 走行(1 ノッチ) 20.9 m/min → 25.1 m/min
○ 横行(1 ノッチ) 16.5 m/min → 26.2 m/min
○ 巻上下げ(1 ノッチ) 6.2 m/min → 10.8 m/min

8 今後に向けて
今回は仕様変更後の受験結果を得ることができな
かった。今後は、受験される方々の結果を受け、少
しでも試験場のクレーンに近づけられるよう、随時仕様
の修正を繰り返し、合格率が上がることを目指す。

You might also like