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デジタルガバメント
デジタルガバメント
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自治体デジタルトランスフォーメーション
ひがしがわ れい
東川 玲
内閣府企画官(博士/法学)
元新潟県魚沼市副市長
国と地方で
「デジタル・ガバメント」実現
第 3 種郵便物認可
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などの超高速モバイル通信網を活用した行政サー ら 年3月までを対象期間とし、
「 ─ 」
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多様な幸せが実現できる社会」により、
「誰一人 計画」
(注3)を策定し、「デジタル・ガバメント 体でも、全国統一的なシステムの標準化やオンラ
取り残さない、人に優しいデジタル化」を目標に 実行計画」における自治体関連の各施策について、 イン化などに着実に取り組まなければならないこ
掲げた。 自治体が重点的に取り組むべき事項・内容の具体 とを考慮したものとなっている。
デジタル庁の設置などで国の役割が明確化(注 化に着手した。関係省庁の支援策などを取りまと また自治体は、総務省策定のDX推進計画を踏
2)された一方、住民に身近な行政を担う自治体、 め、デジタル社会の構築に向けた取り組みを全自 まえつつ、自らの創意工夫でDXを推進していく
とりわけ市区町村では、住民のスマートフォンを 治体で着実に進めていくこととしている。 ことも期待される。
は じ め と す る 電 子 機 器 の 保 有 が 進 む 中、
「5G」 デジタル・ガバメント実行計画は、 年 月か
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1─2.
自治体によるDX取り組み事例 準まで達成すべきだとした。憲法や関係法令が保 台帳システムを用いたサービスをこのクラウド上
DXの認識共有・機運醸成のため、大阪府豊中 障する社会保障などの水準に、自治体ごとに大き に、各自治体がアプリケーションとして利用でき
市は市長が自ら「とよなかデジタル・ガバメント な差異があってはならないのと同様に、DX化に ることなどが想定される。政府は、基幹業務(住
宣言」を行い、デジタルによる価値創造と変革を ついても全国一律の水準を求めている。 基、税、介護などのいわゆる 業務。注9)にお
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進めることを打ち出している。また千葉県市川市 もっとも自治体の行政サービスには、後述する い て 標 準 仕 様 に 準 拠 し て、 各 自 治 体 は ガ バ メ ン
は、行政の「投資対効果の向上」や住民への価値 ように税や社会保障の徴収など、国が基準を定め ト・クラウドに自治体システムを構築できるとし
創 造 を 目 的 と し て、
「 市 川 市DX憲 章 」 を 制 定 し る基幹業務が多く含まれている。中山間地域など ている。
ている。憲章は、整合性の取れたDXの推進に必 を抱える町村では、新型コロナウイルス対策の給 ガバメント・クラウドにより、これまでは国か
要な指針や判断基準を共有するため、それらを明 付金支給などは、対面による提供が効率的な場面 らの給付金のような住民向けサービスを行う場合、
文化している。 も考えられることから、小規模自治体のDX化に それぞれの自治体が構築した自治体情報システム
第 3 種郵便物認可
他にも、各自治体におけるDXの方針・計画の ついては今後、配慮が必要となる(注8)。 を用いて行われてきたが、①時間や場所の制約を
策定過程で、▽若手職員を中心としたプロジェク 減らし、新しいサービスを住民に早く届けること
トチームなどを設置する事例▽業務担当部門のヒ 2─2.ガバメント・クラウドによる標準化 ができる②システム調達などの業務に関する決済
アリングで課題の抽出を行った事例▽民間企業や 自治体情報システムの標準化については、「地 や入札といった人的コストを削減できる③カスタ
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2─3.
標準化スケジュール 自治体がDXを推進するに当たっては、専門的 措置( 年度から各年度2000億円程度)を行
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国と自治体は2021年に先行事業を始め、 知見を持つ外部デジタル人材の登用が望ましいが、 う。こうした地域のデジタル化は、DX推進計画
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第 3 種郵便物認可
体で、原則として主要な手続きを「オンライン・ 設置していない。また、情報化担当職員が5人以 子行政をさらに推進していくこととしている。
ワ ン ス オ ン リ ー」
( オ ン ラ イ ン で1 度 提 出 し た 情 下の市町村が6割以上となっている。このうち外
4.小括
報は、2度目の提出を不要とする)で行えるよう 部人材を登用している自治体は、特別職非常勤職
にする。 員などを活用した 団体にとどまっている(注 )。 自治体の行政サービスは従来、各自治体ごとに
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国は標準化に向けた取り組みに対する財政支援 デジタル庁は都道府県と連携し、市町村の外部 構築した情報システムに基づいて行われてきた。
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ステム移行経費(接続、データ移行、文字の標準 を創設している。こうした取り組みで外部人材の 今後、デジタル庁主導による全国一律の自治体
化等)に対する補助(国費で全額負担)を、自治 登用のみならず、自治体職員による「デジタル担 DX化が進展するか否かは、自治体によるガバメ
体に行うとしている。 当職員」の育成を支援する。 ント・クラウドの導入が努力義務となっている中
「情報通信技術を活用した行政の推進等に関す で、クラウド化によるサービス提供が住民や現場
る法律」を改正した「デジタル手続法」によれば、 3─2.地域全体のDX化 から高く評価される安全性や利便性を持つかどう
年度末を目指して、住民がガバメントシステム 国は、光ファイバーや5Gサービスなどの情報 かが、大きなカギとなろう。
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による業務アプリを利用できるよう、マイナンバ 通信基盤の整備の進展を踏まえ、これらを活用し
ーカードの普及と、同カードを用いて申請を行う た地域社会のデジタル化を支援するため、地方公 注1=2020年 月に閣議決定。政府は、デ
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の業務手続き(注 )については、マイナポー 共団体金融機構の準備金を活用した「地域デジタ ジタル化は国民生活の利便性を向上させ、行政機
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タルからカードを用いてオンライン手続きを可能 ル社会推進費」を、地方財政計画の新たな歳出項 関や民間企業の効率化に資するとして、IT基本
とするなど対象事務の拡大を目標としている。 目として計上する。デジタル人材の確保や条件不 法 の 全 面 的 な 見 直 し を 行 い、
「人に優しいデジタ
利地域のインフラ整備、観光や福祉など、デジタ ル化」を進めるとした。
3.デジタル人材の確保と地域のデジタル化
ルを活用した地域づくりを支援の対象とする。 注2=基本方針は、デジタル社会の形成に関す
3─1.
デジタル人材の確保 同推進費に必要な財源については、地方交付税 る施策を迅速かつ重点的に推進する新たな司令塔
として、デジタル庁を設置するとした。 金、児童手当、生活保護、児童扶養手当などの
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注3=総務省「自治体デジタル・トランスフォ 業務については、関係省庁のシステムも標準化す
ーメーション(DX)推進計画」 るとしている。
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注 =マイナンバーカードを用いて申請を行う
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ことが想定される手続き。子育て、介護、被災者
注4=政府の情報システムについて、共通的な 支援、自動車保有などが対象となる。
基 盤・ 機 能 を 提 供 す る 複 数 の ク ラ ウ ド サ ー ビ ス 注 = 総 務 省「 地 方 自 治 情 報 管 理 概 要 」
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(IaaS、PaaS、SaaS)の利用環境を、 (2019年3月)
自治体に提供することを目指すとしている。 注 =行政のデジタル化を進めるための自治体
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注5= デ ジ タ ル・ ガ バ メ ン ト 実 行 計 画 で は、 職員と政府・官公庁職員の直接対話型のプラット
第 3 種郵便物認可
「各施策の取組状況やデジタル庁の設置を踏まえ、 フォームであり、利用者は自治体・官公庁の職員
その在り方を含めて見直しを検討するとともに、 に限定するとしている。
必要に応じて随時、改定等を行う」こととされて
いる。
注7=データ活用は、個人情報などのプライバ
シー情報の活用を含むことから、不正利用の防止
ふっしょく
や不安の払拭などによる安全・安心なデジタル基
盤が求められる。
注8=国はデジタルディバイド(情報格差)対
策として、
「デジタル活用支援員」の周知・連携、
NPOや地域おこし協力隊など、地域の幅広い関
係者と連携した地域住民に対するきめ細かなデジ
タル活用支援を行う。
注9=住民基本台帳、選挙人名簿管理、固定資
産税、法人・個人住民税、国民健康保険、国民年